説明

パスウェイ表示方法、情報処理装置及びパスウェイ表示プログラム

【課題】時系列に起こるタンパク質や、アミノ酸等の発現過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することを目的の一つとする。
【解決手段】情報を処理する情報処理装置におけるパスウェイの表示方法であって、パスウェイ情報取得段階(S10)と、発現情報特定段階(S11)と、発現情報取得段階(S12)と、動画表示段階(S13)と、を含むことによって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスウェイ表示方法、情報処理装置及びパスウェイ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子は生物の遺伝的な形質を規定する因子であり、遺伝情報の単位とされており、この遺伝情報の実態はDNAである。遺伝子はDNAが複製されることによって次世代へと受け継がれる。なお、遺伝情報は、転写と翻訳との過程を経て、タンパク質のアミノ酸配列に変換されることによって、初めて各々の機能を発揮することができ、該過程を発現という。
【0003】
このような生体を構成する遺伝子同士や、タンパク質同士の関係を表現する手段の一つとして、例えばタンパク質等をノードとし、ノード間の相互作用をコントロールとして、タンパク質同士の関係を視覚的に表すパスウェイ(Pathway)が用いられている。例えば、細胞内に多数存在するタンパク質がお互いに関連を持ちながら一つの現象を行なう(例えば、細胞接着や細胞分裂、神経伝達物質の放出等)過程において、人では約3万種あるタンパク質の内、特定のものが特定の時期に働き、一つのパスウェイを形成する。そして、このパスウェイを利用することにより疾患のメカニズム等を解析することに役立てている。
【0004】
このパスウェイの表示方法として、例えば、特許文献1に記載の方法等がある。特許文献1に記載の方法は、複雑なパスウェイや、中・大規模なパスウェイについて、グラフを自動的に描画するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2003−167882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1記載の方法では、ある時間断面毎に切ってパスウェイを表示しているため、時系列に起こるタンパク質や、アミノ酸等の発現過程を視覚的に容易に把握することが困難な問題があった。また、同様に、時系列に起こる代謝産物の生成過程を視覚的に容易に把握することが困難な問題もあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、時系列に起こるタンパク質や、アミノ酸等の発現過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することを目的の一つとする。また、本発明は、時系列に起こる代謝産物の生成過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することを他の目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、情報を処理する情報処理装置における、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、前記情報処理装置が、前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きるタンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループの発現に係る発現情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定する発現情報特定段階と、前記発現情報特定段階で特定した発現情報を格納手段より取得する発現情報取得段階と、前記パスウェイ情報及び前記発現情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、情報を処理する情報処理装置における、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、前記情報処理装置が、前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きるタンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループの発現に係る発現情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定する発現情報特定段階と、前記発現情報特定段階で特定した発現情報を格納手段より取得する発現情報取得段階と、前記パスウェイ情報及び前記発現情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、を含むことにより、時系列に起こるタンパク質や、アミノ酸等の発現過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。これにより、例えば、ユーザは視覚的に容易にアミノ酸等の発現過程を把握することができる。なお、ここで、格納手段とは、例えば後述するHD19又はネットワークを介して情報処理装置と接続された他の装置のHD等に対応する。パスウェイ情報を格納する格納手段と、関連付け情報を格納する格納手段と、発現情報を格納する格納手段と、は必ずしも同じ格納手段でなくてもよい。また、遺伝子とは、例えば後述するDNA又はmRNA等に対応する。また、その他遺伝子に関する物質とは、例えば染色体等に対応する。また、それらのグループとは、例えばタンパク質複合体や、後述するリボソーム等に対応する。また、動画とは、例えば、アニメーション、つまり静止画を時系列に変化させて表示するもの、等に対応する。
【0010】
また、本発明は、情報を処理する情報処理装置における、代謝産物を示すノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、前記情報処理装置が、前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きる代謝産物の生成に係る生成情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記生成情報を特定する生成情報特定段階と、前記生成情報特定段階で特定した生成情報を格納手段より取得する生成情報取得段階と、前記パスウェイ情報及び前記生成情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、情報を処理する情報処理装置における、代謝産物を示すノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、前記情報処理装置が、前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きる代謝産物の生成に係る生成情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記生成情報を特定する生成情報特定段階と、前記生成情報特定段階で特定した生成情報を格納手段より取得する生成情報取得段階と、前記パスウェイ情報及び前記生成情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、を含むことにより、時系列に起こる代謝産物の生成過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。これにより、例えば、ユーザは視覚的に容易に代謝産物の生成過程を把握することができる。なお、ここで、格納手段とは、例えば後述するHD19又はネットワークを介して情報処理装置と接続された他の装置のHD等に対応する。パスウェイ情報を格納する格納手段と、関連付け情報を格納する格納手段と、生成情報を格納する格納手段と、は必ずしも同じ格納手段でなくてもよい。
【0012】
また、上記問題を解決するため、本発明は、情報処理装置及びパスウェイ表示プログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つによれば、時系列に起こるタンパク質や、アミノ酸等の発現過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。また、本発明の他の一つによれば、時系列に起こる代謝産物の生成過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。但し、本発明の実施の形態を説明するにおいて、前提となるセントラルドグマの概念を、図1を用いて説明する。図1は、セントラルドグマの概念図である。
【0015】
生命現象の中で重要な働きをするタンパク質の設計図はDNAにあるが、直接DNAからタンパク質を合成することはできない。DNA上の情報は、一旦メッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、翻訳という過程を経て、アミノ酸が沢山連なったタンパク質を合成する(セントラルドグマ)。この翻訳で重要な働きをするのがリボソームと、トランスファRNA(tRNA)と、である。リボソームはmRNAをくわえ込み、アミノ酸の運び屋であるtRNAは、その中でmRNAのコドンを認識する。そして、リボソームの酵素作用によって隣り合ったアミノ酸がペプチド結合をし、ペプチド、更にはタンパク質となる。
【0016】
ここで、タンパク質の発現のステップを、図2に示す。図2は、タンパク質の発現ステップを示す図である。生体メカニズムの異常は個々のタンパク質発現の過程の(A)及び/又は(B)で起こる可能性がある。また、mRNA及びタンパク質は他の分子の発現を亢進したり、抑制したりする機能を持つものがあるので、(C)分子(タンパク質)間相互作用における異常も考えられる。
【実施例1】
【0017】
以下、情報処理装置1の一例のハードウェア構成を図3に示す。図3は、情報処理装置の一例のハードウェア構成図である。図3に示されるように、情報処理装置1は、ハードウェア構成として、入力部11と、表示部12と、記録媒体ドライブ部13と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、CPU(Central Processing Unit)17と、インターフェース部18と、HD(Hard Disk)19と、を含む。
【0018】
入力部11は、情報処理装置1の操作者(又はユーザ)が操作するキーボード及びマウス等で構成され、情報処理装置1に各種操作情報等を入力するのに用いられる。表示部12は、情報処理装置1の操作者が利用するディスプレイ等で構成され、各種情報(又は画面)等を表示するのに用いられる。インターフェース部18は、情報処理装置1をネットワーク等に接続するインターフェースである。
【0019】
パスウェイを画面等に表示するパスウェイ表示プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体14によって情報処理装置1に提供されるか、ネットワーク等を通じてダウンロードされる。記録媒体14は、記録媒体ドライブ部13にセットされ、パスウェイ表示プログラムが記録媒体14から記録媒体ドライブ部13を介してHD19にインストールされる。
【0020】
ROM15は、情報処理装置1の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記録する。RAM16は、情報処理装置1のメインメモリである。CPU17は、必要に応じて、HD19よりパスウェイ表示プログラムを読み出して、RAM16に格納し、パスウェイ表示プログラムを実行することで、後述する機能の全て又は一部を提供したり、後述するフローチャート等を実行したりする。また、HD19は、パスウェイ表示プログラム以外に、例えば後述するパスウェイ情報や、関連付け情報、発現情報等を格納する。なお、パスウェイ情報や、関連付け情報、発現情報等の全て又はその内の幾つかの情報は、当該情報処理装置1とネットワークを介して接続された他の装置のHD等に格納されていてもよい。但し、以下では説明の簡略化のため、パスウェイ情報や、関連付け情報、発現情報等は、HD19に格納されているものとして説明を行う。
【0021】
以下、情報処理装置1の一例の機能構成を図4に示す。図4は、情報処理装置の一例の機能構成図(その1)である。図4に示されるように、情報処理装置1は、機能構成として、パスウェイ情報取得部21と、発現情報特定部22と、発現情報取得部23と、動画表示部24と、パスウェイ情報DB31と、関連付け情報DB32と、発現情報DB33と、を含む。
【0022】
パスウェイ情報取得部21は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、パスウェイ情報DB31よりパスウェイ情報を取得する。発現情報特定部22は、関連付け情報DB32に格納されている関連付け情報から、パスウェイ情報取得部21が取得したパスウェイ情報に対応する発現情報を特定する。
【0023】
発現情報取得部23は、発現情報特定部22が特定した発現情報を、発現情報DB33より取得する。動画表示部24は、パスウェイ情報取得部21が取得したパスウェイ情報及び発現情報取得部23が取得した発現情報を用いて、表示部12に表示されている画面等にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させ、動画表示する。動画表示部24は、例えば後述する発現値(発現量の値)の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたり、例えば発現値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたりする。このように、例えば動画表示部24等が、発現値の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたり、発現値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたりすることにより、ユーザは、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を視覚的に容易に把握することができる。なお、動画表示部24は、発現値の絶対値に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたり、発現値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたりしてもよい。但し、以下では説明の簡略化のため、動画表示部24は、発現値の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させ、発現値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させるものとして説明を行う。
【0024】
また、動画表示部24は、後述するように例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、一つの画面に二つのパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させ、動画表示する。このように、例えば動画表示部24等が、一つの画面に二つのパスウェイ、例えば一つが正常な細胞(正常細胞)のタンパク質をノードとしたパスウェイで、もう一つがガン細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイ、を表示させることにより、ユーザは、二つのパスウェイの時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程の違いを視覚的に容易に把握することができる。なお、動画表示部24は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、組織、臓器、投薬、試薬、種差、発生(卵、胎児、成獣)等が異なるタンパク質や、mRNA等の二つのパスウェイを一つの画面に表示してもよい。
【0025】
また、動画表示部24は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、パスウェイに表示されているノードの内、たとえばユーザ等に選択されたノードを抽出(例えば、他のノード等の表示を消したり、選択されたノードをポップアップ表示したり)して、該ノードの大きさや色を時系列に変化させるようにしてもよい。このように、動画表示部24が、特定のノードを抽出して表示することにより、変化が激しいノード等、注目すべきノードの変化を詳細に示すことができる。
【0026】
パスウェイ情報DB31は、パスウェイ情報を管理する。なお、パスウェイ情報は、パスウェイを識別するパスウェイIDや、パスウェイの属性を表すパスウェイ属性情報、視覚的にパスウェイを表示するのに用いられるパスウェイデータ、ノードの属性(例えば、ノードの形状が円形か、楕円形か、多角形か等)を表すノード属性情報、コントロールの属性(例えば、コントロールが実線か、点線か等)を表すコントロール属性情報等を含む。なお、パスウェイデータは、パスウェイを構成するコントロール情報及びノード情報を含む。また、コントロール情報は、コントロールの位置情報を含む。また、ノード情報は、ノードの位置情報及びノードに対応するタンパク質又はmRNA等の発現量に係るデータを含む。なお、該発現量に係るデータは、後述する発現データの初期値に対応する。ノードの位置情報の一例は、後述する図5に示す。また、コントロール属性情報の一例は、後述する図6に示す。
【0027】
関連付け情報DB32は、パスウェイ情報と、発現情報と、を関連付ける関連付け情報を管理する。関連付け情報の一例は、後述する図7に示す。発現情報DB33は、初期値となるパスウェイ情報より一定期間後のパスウェイ情報であり、タンパク質等の発現によるパスウェイの変化を表す発現情報を管理する。なお、発現情報は、発現情報を識別する発現IDや、発現情報の属性を表す発現属性情報、後述する発現データ等を含む。発現データの一例は、後述する図8に示す。
【0028】
以下、ノードの位置情報の一例を図5に示す。図5は、ノードの位置情報の一例を示す図である。図5に示されるように、ノードの位置情報は、ノードを識別するノードIDと、ノードのx座標と、y座標と、を含む。
【0029】
以下、コントロール属性情報の一例を図6に示す。図6は、コントロール属性情報の一例を示す図である。図6に示されるように、コントロール属性情報は、コントロールを識別するコントロールIDと、ノードを識別するノードID1と、ノードID2と、コントロールの線の種類を識別する線種IDと、始点と、終点と、を含む。ここで、始点には、始点の座標(ノードID1の座標)が格納される。また、終点には、終点の座標(ノードID2の座標)が格納される。
【0030】
以下、関連付け情報の一例を図7に示す。図7は、関連付け情報の一例を示す図である。図7に示されるように、関連付け情報は、発現IDと、ノードIDと、パスウェイIDと、を含む。なお、本実施例では、説明の簡略化のため、ノードIDで識別されるノードの名前は、例えばタンパク質名や、mRNA名等と1対1で対応しているものとして説明を行う。以下においても同様である。
【0031】
以下、発現データの一例を図8に示す。図8は、発現データの一例を示す図である。図8に示されるように、発現データは、発現データを識別する発現データIDと、発現量の値(発現値)の所定時間経過後毎の値と、を含む。なお、図8に示される所定時間の単位は、秒であってもよいし、分や、時間、日等であってもよい。
【0032】
以下、パスウェイ表示処理の一例を図9に示す。図9は、パスウェイ表示処理の一例を示すフローチャートである。ステップS10において、パスウェイ情報取得部21は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、パスウェイ情報DB31よりパスウェイ情報を取得する。
【0033】
ステップS10に続いてステップS11に進み、発現情報特定部22は、関連付け情報DB32に格納されている関連付け情報から、ステップS10においてパスウェイ情報取得部21が取得したパスウェイ情報に対応する発現情報を特定する。
【0034】
ステップS11に続いてステップS12に進み、発現情報取得部23は、ステップS11において発現情報特定部22が特定した発現情報を、発現情報DB33より取得する。ステップS12に続いてステップS13に進み、動画表示部24は、パスウェイ情報取得部21が取得したパスウェイ情報及び発現情報取得部23が取得した発現情報を用いて、表示部12に表示されている画面等にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させ、動画表示する。なお、ステップS13における動画表示部24による動画表示処理の詳細は、後述する図10に示す。
【0035】
情報処理装置1が、図9に示したような処理を行うことによって、ユーザは、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を視覚的に容易に把握することができる。
【0036】
以下、動画表示処理の一例を図10に示す。図10は、動画表示処理の一例を示すフローチャート(その1)である。ステップS20において、動画表示部24は、変数tに、初期時刻を代入する。ステップS21では、動画表示部24が、時刻tでの発現値を用いてノード及びコントロール等を表示する。なお、ステップS21における動画表示部24による発現値を用いたノード等の表示処理の詳細は、後述する図11に示す。
【0037】
ステップS21に続いてステップS22に進み、動画表示部24は、数百ミリ秒処理を静止する。ステップS22に続いてステップS23に進み、動画表示部24は、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻以上か否かを判定する。動画表示部24は、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻以上であると判定すると(ステップS23においてYES)、ステップS25に進み、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻より小さいと判定すると(ステップS23においてNO)、ステップS24に進む。
【0038】
ステップS24では、動画表示部24が、変数tに現在tに代入されている時刻の次の時刻を代入する。
【0039】
ステップS25では、動画表示部24が、変数tに初期時刻を代入し、ステップS26に進む。ステップS26では、動画表示部24が、ユーザ等によって、画面に表示されているStopボタンが押されているか否かを判定する。動画表示部24は、ユーザ等によってStopボタンが押されていると判定すると(ステップS26においてYES)、動画表示処理を終了し、Stopボタンが押されていないと判定すると(ステップS26においてNO)、ステップS21の処理に戻る。
【0040】
動画表示部24が、図10に示したような処理を行うことによって、タンパク質や、mRNA等の発現過程を動画表示することができる。
【0041】
以下、ノード等の表示処理の一例を図11に示す。図11は、ノード等の表示処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【0042】
ステップS30において、動画表示部24は、変数iに1を代入する。ステップS31では、動画表示部24が、変数iの値が、表示対象としているパスウェイに含まれるノード数以下か否かを判定する。動画表示部24は、パスウェイ情報DB31等において管理されているパスウェイ情報を参照し、変数iの値が、表示対象としているパスウェイに含まれるノード数以下であると判定すると(ステップS31においてYES)、ステップS32に進み、変数iの値が、表示対象としているパスウェイに含まれるノード数より多いと判定すると(ステップS31においてNO)、発現値を用いたノード等の表示処理を終了する。
【0043】
ステップS32では、動画表示部24が、発現値の絶対値から、表示するノードの大きさを計算する。例えば、動画表示部24は、表示対象としているパスウェイに含まれるノードの発現値の絶対値が、同じパスウェイに含まれる他のノードの発現値の絶対値に比べて大きいノードは、該ノードの大きさを大きくし、小さいノードは、該ノードの大きさを小さくする。ステップS32に続いてステップS33に進み、動画表示部24は、発現値の初期値に対する比から、表示するノードの色を計算する。例えば、動画表示部24は、比を求める計算の結果、発現値の初期値に対する比が大きいノード(例えば、2倍以上のノード)は、ノードの色を赤とし、比が変わらないノード(例えば、1倍前後のノード)は、ノードの色を黒とし、比が小さいノード(例えば、0.5倍以下のノード)は、ノードの色を緑とする。
【0044】
ステップS33に続いてステップS34に進み、動画表示部24が、ステップS32において計算したノードの大きさや、ステップS33において計算したノードの色に応じて、ノードを表示する。ステップS34に続いてステップS35に進み、動画表示部24は、変数iをインクリメントし、ステップS31に進む。なお、図11では説明の簡略化のため、省略してあるが、例えばステップS34等において、動画表示部24は、変数iに1が代入されている場合、ノードを表示すると共に、コントロールを表示してもよい。また、例えばステップS34等において、動画表示部24は、変数iに2以上が代入されている場合、ステップS32において計算したノードの大きさ(つまり発現値の絶対値)等に応じて、該ノードに関係するコントロールの表示を消去したりしてもよい。
【0045】
ここで、ノードが例えばタンパク質を表している場合であっても、動画表示部24が該ノードの大きさや色を計算する際に用いる発現値(又は発現情報)は、必ずしも該ノードに対応するタンパク質の発現値(又は発現情報)に限られない。動画表示部24は、該ノードの大きさや色を計算する際に、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、該タンパク質に係るmRNAの発現値(又は発現情報)等を用いる場合もある。このようにタンパク質に対応するノードの大きさや色を計算する際に、該タンパク質のmRNA等の発現値を用いる利点等は、後述する図17等において説明する。また、動画表示部24によって表示されたノード及びコントロール(つまり、パスウェイ)の例は、後述する図12から図16等に示す。
【0046】
動画表示部24が、図11に示したような処理を行うことによって、例えばタンパク質や、mRNAの発現の変化を、ノードの大きさや、色で表すことが可能となり、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を、視覚的に容易に把握することができる。特に、動画表示部24が、発現値の絶対値から、表示するノードの大きさを計算し、表示することにより、ユーザは、例えばあるタンパク質や、mRNA等の発現値が表示対象としているパスウェイ上で他のタンパク質や、mRNA等の発現値に比べて、どれだけの割合で存在しているのか容易に把握することができる。また、動画表示部24が、発現値の初期値に対する比から、表示するノードの色を計算し、表示することにより、ユーザは、例えばあるタンパク質や、mRNA等がどれだけの比で増えているのか、或いは減っているのか容易に把握することができる。
【0047】
また、動画表示部24が、発現値の絶対値から、表示するノードの大きさを計算し、発現値の初期値に対する比から、表示するノードの色を計算して、ノードの大きさや色を同時に変化させて表示することにより、ユーザは、例えば表示対象としているパスウェイに含まれるタンパク質(又はmRNA)等の発現値が時間の経過と共にどのように変化するか、視覚的に容易に把握することができる。
【0048】
以下、パスウェイの表示画面の一例を、図12に示す。図12は、パスウェイの表示画面を示す図(その1)である。図12に示される画面には、時刻0でのパスウェイが表示されている。また、時刻0では、各ノードの色は黒で表示される。
【0049】
以下、パスウェイの表示画面の他の例を、図13から図15に示す。図13は、パスウェイの表示画面を示す図(その2)である。図13に示される画面には、時刻1でのパスウェイが表示されている。図13に示される画面では、図12に示した画面に比べて、ノードの色や、大きさが変化している。図14は、パスウェイの表示画面を示す図(その3)である。図14に示される画面には、時刻3でのパスウェイが表示されている。図15は、パスウェイの表示画面を示す図(その4)である。図15に示される画面には、時刻5でのパスウェイが表示されている。図12から図15等に示されたように、動画表示部24が、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を動画表示することによって、ユーザは、該発現過程を視覚的に容易に把握することができる。
【0050】
以下、パスウェイの表示画面の他の例を図16に示す。図16は、パスウェイの表示画面を示す図(その5)である。上述した図12から図15では、動画表示部24が、一つの画面に一つのパスウェイを表示する例を示したが、図16に示されるように、動画表示部24は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、一つの画面に二つのパスウェイを表示するようにしてもよい。上述したように、動画表示部24等が、一つの画面に二つのパスウェイ、例えば一つが正常細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイで、もう一つがガン細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイ、を表示させることにより、ユーザは、正常細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイと、ガン細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイと、を比較しながら、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を視覚的に容易に把握することができる。
【0051】
以下、動画表示部24が、一つの画面に二つのパスウェイを表示する場合の表示パターン(又は比較パターン)の例を、図17に示す。ここで、前提知識として、mRNAの発現量と、タンパク質の発現量と、は、必ずしも相関しないことが知られている。しかしながら、依存関係としてタンパク質の発現の前にmRNAの発現が起こることは確かである。また、あるタンパク質Aが、タンパク質Bの発現を亢進・抑制することが知られている。更には、一旦発現したmRNAや、タンパク質は生体内に必ずしも蓄積されるのではなく、分解される。このため、タンパク質レベルでは発現が確認されたが、mRNAレベルでは確認できない場合もある。
【0052】
図17は、表示パターンの一例を示す図である。図17のAに示されるように、表示パターンの一つとして、例えば、正常細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質の発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、ガン細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質の発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、を表示するパターンがある。動画表示部24が、図17のAに示されるような表示を行うことによって、例えばユーザは、正常細胞と、ガン細胞と、におけるタンパク質の発現量を時系列に比較することができる。
【0053】
また、図17のBに示されるように、表示パターンの他の一つとして、例えば、正常細胞のmRNAをノードとし、該mRNAの発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、ガン細胞のmRNAをノードとし、該mRNAの発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、を表示するパターンがある。動画表示部24が、図17のBに示されるような表示を行うことによって、例えばユーザは、正常細胞と、ガン細胞と、におけるmRNAの発現量を時系列に比較することができる。特に、図17のBに示した表示は、図2に示した(A)のステップにおける欠陥を分析するのに適している。
【0054】
また、図17のCに示されるように、表示パターンの他の一つの例として、例えば、正常細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質の発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、正常細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質に係るmRNAの発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、を表示するパターンがある。動画表示部24が、図17のCに示されるような表示を行うことによって、例えばユーザは、正常細胞において、図2に示したような発現ステップが正常に働いたときの、タンパク質と、mRNAと、の発現パターンを比較することができる。
【0055】
また、図17のDに示されるように、表示パターンの他の一つの例として、例えば、ガン細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質の発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、ガン細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質に係るmRNAの発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、を表示するパターンがある。動画表示部24が、図17のDに示されるような表示を行うことによって、例えばユーザは、図17のA及び/又は図17のBに示したような表示によって正常細胞と比較して、ガン細胞における発現量に特徴的な分子等が特定できていた場合、図2に示した(A)から(C)のステップの内、どのステップで異常が起きたのか分析することができる。
【0056】
また、図17のEに示されるように、表示パターンの他の一つの例として、例えば、ガン細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質の発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、正常細胞のタンパク質をノードとし、該タンパク質に係るmRNAの発現値を用いてノードの色や大きさを表示したパスウェイと、を表示するパターンがある。動画表示部24が、図17のEに示されるような表示を行うことによって、例えばユーザは、mRNAの発現量や、コピー(複製)の順序、タイミング等が正常である片方のパスウェイを基準に、ガン細胞のタンパク質の発現量の変化に基づき、図2に示したようなステップにおいて、どのステップで異常が起きたか分析することができる。何故なら、ガン細胞のパスウェイでは、あるタンパク質が欠損したり、過剰に発現したりすることがある。仮にタンパク質が欠損した場合、ユーザは、対応するmRNAの発現タイミング以降に生体機構に異常が起きたことを推定できる。また、逆に過剰に発現した場合、ユーザは、発現抑制タンパク質に対応するmRNAの発現タイミング以降に異常が起きたことが推定できる。図17のEに示した表示は、図2に示した(B)及び(C)のステップにおける欠陥を分析するときに適した表示である。
【0057】
上述したように、本実施例によれば、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。これによりユーザは視覚的に容易にアミノ酸等の発現過程を把握することができる。
【実施例2】
【0058】
上述した実施例1では、時系列に起こるタンパク質や、mRNA等の発現過程を視覚的に容易に把握可能とする機能及び方法等について説明を行ったが、同様な機能及び方法等を用いて、時系列に起こる代謝産物の生成過程を視覚的に容易に把握可能とすることもできる。
【0059】
以下、実施例2では、代謝産物の生成過程を視覚的に容易に把握可能とする本発明の機能及び方法等を示す。但し、実施例2では、実施例1に示した「タンパク質や、mRNA等」を「代謝産物」に、また、実施例1に示した「発現」を「生成」に置き換えれば上述した説明とほぼ同様なため、詳細な説明は省略する。
【0060】
以下、情報処理装置1の本実施例における一例の機能構成を図18に示す。図18は、情報処理装置の一例の機能構成図(その2)である。図18に示されるように、情報処理装置1は、機能構成として、パスウェイ情報取得部41と、生成情報特定部42と、生成情報取得部43と、動画表示部44と、パスウェイ情報DB51と、関連付け情報DB52と、生成情報DB53と、を含む。
【0061】
パスウェイ情報取得部41は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、パスウェイ情報DB51よりパスウェイ情報を取得する。生成情報特定部42は、関連付け情報DB52に格納されている関連付け情報から、パスウェイ情報取得部41が取得したパスウェイ情報に対応する生成情報を特定する。
【0062】
生成情報取得部43は、生成情報特定部42が特定した生成情報を、生成情報DB53より取得する。動画表示部44は、パスウェイ情報取得部41が取得したパスウェイ情報及び生成情報取得部43が取得した生成情報を用いて、表示部12に表示されている画面等にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させ、動画表示する。動画表示部44は、例えば生成値(代謝産物の生成量の値)の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたり、例えば生成値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたりする。このように、例えば動画表示部44等が、生成値の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたり、生成値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたりすることにより、ユーザは、時系列に起こる代謝産物等の生成過程を視覚的に容易に把握することができる。なお、動画表示部44は、生成値の絶対値に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させたり、生成値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させたりしてもよい。但し、以下では説明の簡略化のため、動画表示部44は、生成値の絶対値に応じて、表示しているノードの大きさを時系列に変化させ、生成値の初期値に対する比に応じて、表示しているノードの色を時系列に変化させるものとして説明を行う。
【0063】
パスウェイ情報DB51は、パスウェイ情報を管理する。なお、パスウェイ情報は、パスウェイを識別するパスウェイIDや、パスウェイの属性を表すパスウェイ属性情報、視覚的にパスウェイを表示するのに用いられるパスウェイデータ、ノードの属性(例えば、ノードの形状が円形か、楕円形か、多角形か等)を表すノード属性情報、コントロールの属性(例えば、コントロールが実線か、点線か等)を表すコントロール属性情報等を含む。なお、パスウェイデータは、パスウェイを構成するコントロール情報及びノード情報を含む。また、コントロール情報は、コントロールの位置情報を含む。また、ノード情報は、ノードの位置情報及びノードに対応する代謝産物等の生成量に係るデータを含む。なお、該生成量に係るデータは、後述する生成データの初期値に対応する。
【0064】
関連付け情報DB52は、パスウェイ情報と、生成情報と、を関連付ける関連付け情報を管理する。生成情報DB53は、初期値となるパスウェイ情報より一定期間後のパスウェイ情報であり、代謝産物等の生成によるパスウェイの変化を表す生成情報を管理する。なお、生成情報は、生成情報を識別する生成IDや、生成情報の属性を表す生成属性情報、代謝産物等の生成量に係るデータの所定時間経過後毎のデータである生成データ等を含む。
【0065】
以下、パスウェイ表示処理の本実施例における一例を図19に示す。図19は、パスウェイ表示処理の一例を示すフローチャート(その2)である。ステップS40において、パスウェイ情報取得部41は、例えば入力部11等を介したユーザからの要求等に応じて、パスウェイ情報DB51よりパスウェイ情報を取得する。
【0066】
ステップS40に続いてステップS41に進み、生成情報特定部42は、関連付け情報DB52に格納されている関連付け情報から、ステップS40においてパスウェイ情報取得部41が取得したパスウェイ情報に対応する生成情報を特定する。
【0067】
ステップS41に続いてステップS42に進み、生成情報取得部43は、ステップS41において生成情報特定部42が特定した生成情報を、生成情報DB53より取得する。ステップS42に続いてステップS43に進み、動画表示部44は、パスウェイ情報取得部41が取得したパスウェイ情報及び生成情報取得部43が取得した生成情報を用いて、表示部12に表示されている画面等にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させ、動画表示する。
【0068】
情報処理装置1が、図19に示したような処理を行うことによって、ユーザは、時系列に起こる代謝産物等の生成過程を視覚的に容易に把握することができる。
【0069】
上述したように、本実施例によれば、時系列に起こる代謝産物等の生成過程を、同一或いは異なる時系列で動画表示することができる。これによりユーザは視覚的に容易に代謝産物の生成過程を把握することができる。
【実施例3】
【0070】
例えば、上述した実施例1では、情報処理装置1が、例えば、一つの画面に同一のパスウェイながら異なる発現情報を用いたパスウェイ、例えば一つが正常細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイで、もう一つがガン細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイ、を同じ時系列に基づいて変化させ、表示した例を示した(例えば、図16等参照)。
【0071】
しかしながら、情報処理装置1は、一つの画面に同一のパスウェイを複数表示し、各々のパスウェイの表示を異なる時系列に基づいて変化させ、表示してもよい。
図20は、パスウェイの表示画面を示す図(その6)である。図20において、50は、フォームである。本実施例では、情報処理装置1は、ユーザからの要求等に応じて、表示画面に複数のフォーム(図20の例では、501、502)を表示し、前記フォームにそれぞれ一つのパスウェイを表示するものとして説明を行なう。
【0072】
図20の、フォーム501に示されるパスウェイと、フォーム502に示されるパスウェイとは、例えば、同じガン細胞のタンパク質をノードとしたパスウェイである。しかしながら、フォーム501に示されるパスウェイの時系列は、「0、0.5、1、3、5、7、9」であるのに対して、フォーム502に示されるパスウェイの時系列は、「0、5、10、30、50、70、90」である。なお、上述したように、時間の単位は、秒であってもよいし、分や、時間、日等であってもよい。
【0073】
情報処理装置1は、フォーム50毎に、例えばHD19等に、実施例1の図5に示したノードの位置情報、図6に示したコントロール属性情報、図7に示した関連付け情報、図8に示した発現データ等を、格納している。そして、情報処理装置1は、フォーム50毎に、実施例1の図9〜図11に示した処理を実行し、動画表示を行なう。
【0074】
ここで、フォーム502に示されるパスウェイに対応する発現データの一例を、図21に示す。図21は、発現データの一例を示す図(その2)である。図21に示される発現データは、図8に示した発現データと比べて、時間経過の刻みが異なっている。
【0075】
情報処理装置1が、図20に示されるような表示を行なうことによって、例えばユーザは、短期的には発現量も少なく全体に対する影響も少ないが、長期的には発現量が大きくなり全体に対する影響も大きいタンパク質や、逆に、短期的には発現量が大きく全体に対する影響も大きいが、長期的には発現量が急に小さくなり全体に対する影響も少ないタンパク質等を特定することができる。
【0076】
上述したように、本実施例によれば、タンパク質や、mRNA等の発現過程を、異なる時系列において、視覚的に容易に把握可能とすることができる。
【実施例4】
【0077】
例えば、上述した実施例1では、情報処理装置1が、パスウェイ情報を取得し、取得したパスウェイ情報と、関連付け情報とに基づいて発現情報を特定し、特定した発現情報を取得して、動画表示を行なった(例えば、図9等参照)。つまり、上述した実施例1では、関連付け情報において、パスウェイ情報と、発現情報とは必ず関連付けられており、また、パスウェイ情報に関連する発現情報も必ず発現情報DB33に格納されているものとして説明を行なった。
【0078】
しかしながら、関連付け情報において、パスウェイ情報と、発現情報とが必ず関連付けられているとは限らない場合や、パスウェイ情報に関連する発現情報が発現情報DB33に格納されていない場合もありうる。特に、後述する実施例に示すように、情報処理装置1とネットワークを介して接続された通信端末装置にパスウェイの編集を許可し、情報処理装置1が、通信端末装置より編集結果を受け取り、パスウェイ情報DB31及び/又は関連付け情報DB32及び/又は発現情報DB33等に編集結果を反映する構成とすると、上述したような場合がありうる。
【0079】
以下、上述した図9のステップS11等において説明した発現情報特定処理の本実施例における一例を図22に示す。図22は、発現情報特定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS50において、発現情報特定部22は、変数nに1を代入する。
【0080】
ステップS51では、発現情報特定部22が、変数nの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下か否かを判定する。発現情報特定部22は、パスウェイ情報DB31等において管理されているパスウェイ情報を参照し、変数nの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下であると判定すると(ステップS51においてYES)、ステップS52に進み、変数nの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数より多いと判定すると(ステップS51においてNO)、発現情報特定処理を終了する。
【0081】
ステップS52では、発現情報特定部22が、変数nの値に対応するノードのノードIDと、表示対象としているフォームのパスウェイのパスウェイIDと、に基づいて、該当する図7に示したような関連付け情報を検索し、前記ノードID及び前記パスウェイIDに対応する発現IDが存在するか否かに応じて、発現情報を、特定可能か否かを判定する。発現情報特定部22は、発現情報を特定可能であると判定すると(ステップS52においてYES)、ステップS53に進み、発現情報を特定不可能であると判定すると(ステップS52においてNO)、ステップS55に進む。
【0082】
ステップS53では、発現情報特定部22が、変数nの値に対応するノードのノードIDと、表示対象としているフォームのパスウェイのパスウェイIDと、に基づいて、該当する図7に示したような関連付け情報より、前記ノードID及び前記パスウェイIDに対応する発現IDを取得し、発現情報を特定する。
【0083】
ステップS53に続いてステップS54に進み、発現情報特定部22は、変数nの値に対応するノードのノード情報等に、発現情報を特定したことを示す情報と、特定した発現情報を識別する発現ID(又は特定した発現情報に含まれる発現データを識別する発現データID)と、を付加する。なお、以下では説明の簡略化のため、発現情報特定部22は、ノード情報等に、発現IDではなく、発現データIDを付加するものとして説明を行なう。なお、このことは、本発明の実施を制限するものではない。
【0084】
一方、ステップS55では、発現情報特定部22が、変数nの値に対応するノードのノード情報等に、発現情報を特定することができなかったことを示す情報を付加する。
【0085】
ステップS56では、発現情報特定部22が、変数nの値を1つインクリメントし、ステップS51に進む。
【0086】
以下、上述した図9のステップS12等において説明した発現情報取得処理の本実施例における一例を図23に示す。図23は、発現情報取得処理の一例を示すフローチャートである。なお、発現情報取得部23は、ノード情報等に発現情報を特定したことを示す情報が付加されたノードに対して以下に示す処理を実行する。
【0087】
ステップS60において、発現情報取得部23は、変数mに1を代入する。ステップS61では、発現情報取得部23が、変数mの値が、ノード情報等に発現情報を特定したことを示す情報が付加されたノードのノード数以下か否かを判定する。発現情報取得部23は、変数mの値が、ノード情報等に発現情報を特定したことを示す情報が付加されたノードのノード数以下であると判定すると(ステップS61においてYES)、ステップS62に進み、変数mの値が、ノード情報等に発現情報を特定したことを示す情報が付加されたノードのノード数より多いと判定すると(ステップS61においてNO)、発現情報取得処理を終了する。
【0088】
ステップS62では、発現情報取得部23が、変数mの値に対応するノードのノード情報等に含まれる発現データIDに基づいて、該当する図8に示したような発現データを参照し、前記発現データIDに対応する発現データが存在するか否かに応じて、発現データがあるか否かを判定する。発現情報取得部23は、発現データがあると判定すると(ステップS62においてYES)、ステップS63に進み、発現データがないと判定すると(ステップS62においてNO)、ステップS65に進む。
【0089】
ステップS63では、発現情報取得部23が、変数mの値に対応するノードのノード情報等に含まれる発現データIDに基づいて、該当する図8に示したような発現データより、発現データを取得する。ステップS63に続いてステップS64に進み、発現情報取得部23は、変数mの値に対応するノードのノード情報等に、発現データを取得したことを示す情報を付加する。
【0090】
一方、ステップS65では、発現情報取得部23は、変数mの値に対応するノードのノード情報等に、発現データが無かったことを示す情報を付加する。
【0091】
ステップS66では、発現情報取得部23が、変数mの値を1つインクリメントし、ステップS61に進む。
【0092】
次に、情報処理装置1の本実施例における一例の機能構成を図24に示す。図24は、情報処理装置の一例の機能構成図(その3)である。図24に示されるように、情報処理装置1は、機能構成として、パスウェイ情報取得部21と、発現情報特定部22と、発現情報取得部23と、動画表示部24と、モード選択部41と、パスウェイ情報DB31と、関連付け情報DB32と、発現情報DB33と、を含む。
【0093】
図24に示される情報処理装置1の機能構成は、図4に示した情報処理装置1の機能構成と比べて、モード選択部41が新たに情報処理装置1の機能構成として含まれている。モード選択部41は、RAM16等において保持されているモード(mode)情報に基づいて、パスウェイの表示モードを選択し、動画表示部24等に選択結果を通知する。なお、RAM16等において保持されているモード情報には、予めデフォルトのモード(例えば、モード1)が設定されており、後述する図25や図26に示されるような表示画面において、ユーザ等によって、モードが選択されると、選択されたモードが、モード情報に設定される。
【0094】
なお、以下では説明の簡略化のため、パスウェイの表示モードとして、図22に示したような発現情報特定処理において発現情報を特定することができなかった、及び図23に示したような発現情報取得処理において発現データを取得することができなかった、ノードは表示しないモード1と、前記ノードも表示するモード2とを例に説明を行なう。
【0095】
図25は、パスウェイの表示画面を示す図(その6)である。また、図26は、パスウェイの表示画面を示す図(その7)である。図25には、モード1(mode1)が選択された場合のパスウェイの表示画面の一例が示されている。また、図26には、モード2(mode2)が選択された場合のパスウェイの表示画面の一例が示されている。
【0096】
図26に示される表示画面では、図22に示したような発現情報特定処理において発現情報を特定することができなかったノードは青色で、図23に示したような発現情報取得処理において発現データを取得することができなかったノードは黄色で表示されている。一方、図25に示される表示画面では、図26に示される表示画面において、青色や、黄色で表示されたノードは表示されていない。
【0097】
なお、図26では、情報処理装置1が、図22に示したような発現情報特定処理において発現情報を特定することができなかったノードと、図23に示したような発現情報取得処理において発現データを取得することができなかったノードと、を色で区別して表示した。しかしながら、情報処理装置1は、色に変えて、ノードの形状で区別して表示するようにしてもよい。また、情報処理装置1は、色や形状に変えて、ノードの近傍に発現情報を特定できなかったことを示す文字列や、発現データを取得することができなかったことを示す文字列を表示して区別するようにしてもよい。
【0098】
以下、動画表示処理の本実施例における一例を図27に示す。図27は、動画表示処理の一例を示すフローチャートである。ステップS70において、動画表示部24は、変数tに、初期時刻を代入する。ステップS71では、動画表示部24より呼び出されたモード選択部41が、RAM16等において保持されているモード情報に基づいて、モードを選択する。動画表示部24は、モード選択部41より受け取った選択結果に基づいて、モード情報にモード1(mode1)が設定されている場合は、ステップS72に進み、モード情報にモード2(mode2)が設定されている場合は、ステップS73に進む。
【0099】
ステップS72では、動画表示部24が、時刻tでのモード1におけるノード及びコントロール等を表示する。なお、ステップS72における動画表示部24による表示処理の詳細は、後述する図28に示す。
【0100】
一方、ステップS73では、動画表示部24が、時刻tでのモード2におけるノード及びコントロール等を表示する。なお、ステップS73における動画表示部24による表示処理の詳細は、後述する図29に示す。
【0101】
ステップS74では、動画表示部24が、数百ミリ秒処理を静止する。ステップS74に続いてステップS75に進み、動画表示部24は、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻以上か否かを判定する。動画表示部24は、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻以上であると判定すると(ステップS75においてYES)、ステップS77に進み、変数tに代入されている時刻が、例えば予め定められている最終時刻より小さいと判定すると(ステップS75においてNO)、ステップS76に進む。
【0102】
ステップS76では、動画表示部24が、変数tに現在tに代入されている時刻の次の時刻を代入する。一方、ステップS77では、動画表示部24が、変数tに初期時刻を代入する。
【0103】
ステップS78では、動画表示部24が、ユーザ等によって、画面に表示されているStopボタンが押されているか否かを判定する。動画表示部24は、ユーザ等によってStopボタンが押されていると判定すると(ステップS78においてYES)、動画表示処理を終了し、Stopボタンが押されていないと判定すると(ステップS78においてNO)、ステップS71の処理に戻る。
【0104】
次に、ノード等の表示処理の本実施例における一例を、図28及び図29に示す。図28は、ノード等の表示処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【0105】
ステップS80において、動画表示部24は、変数iに1を代入する。ステップS81では、動画表示部24が、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下か否かを判定する。動画表示部24は、パスウェイ情報DB31等において管理されているパスウェイ情報を参照し、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下であると判定すると(ステップS81においてYES)、ステップS82に進み、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数より多いと判定すると(ステップS81においてNO)、表示処理を終了する。
【0106】
ステップS82では、動画表示部24が、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されているか否かを判定する。動画表示部24は、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されていると判定すると(ステップS82においてYES)、ステップS83に進み、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されていないと判定すると(ステップS82においてNO)、ステップS86に進む。
【0107】
ステップS83では、動画表示部24が、変数iの値に対応するノードの発現値の絶対値から、表示するノードの大きさを計算する。例えば、動画表示部24は、表示対象としているパスウェイに含まれるノードの発現値の絶対値が、同じパスウェイに含まれる他のノードの発現値の絶対値に比べて大きいノードは、該ノードの大きさを大きくし、小さいノードは、該ノードの大きさを小さくする。
【0108】
ステップS83に続いてステップS84に進み、動画表示部24は、変数iの値に対応するノードの発現値の初期値に対する比から、表示するノードの色を計算する。例えば、動画表示部24は、比を求める計算の結果、発現値の初期値に対する比が大きいノード(例えば、2倍以上のノード)は、ノードの色を赤とし、比が変わらないノード(例えば、1倍前後のノード)は、ノードの色を黒とし、比が小さいノード(例えば、0.5倍以下のノード)は、ノードの色を緑とする。
【0109】
ステップS84に続いてステップS85に進み、動画表示部24は、ステップS83において計算したノードの大きさや、ステップS84において計算したノードの色に応じて、変数iの値に対応するノードを表示する。ステップS86では、動画表示部24が、変数iの値を1つインクリメントし、ステップS81に進む。
【0110】
図29は、ノード等の表示処理の一例を示すフローチャート(その3)である。ステップS90において、動画表示部24は、変数iに1を代入する。ステップS91では、動画表示部24が、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下か否かを判定する。動画表示部24は、パスウェイ情報DB31等において管理されているパスウェイ情報を参照し、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数以下であると判定すると(ステップS91においてYES)、ステップS92に進み、変数iの値が、表示対象としているフォームのパスウェイに含まれるノード数より多いと判定すると(ステップS91においてNO)、表示処理を終了する。
【0111】
ステップS92では、動画表示部24が、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されているか否かを判定する。動画表示部24は、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されていると判定すると(ステップS92においてYES)、ステップS93に進み、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現データを取得したことを示す情報が付加されていないと判定すると(ステップS92においてNO)、ステップS97に進む。
【0112】
ここで、ステップS93からステップS96までの処理は、図28に示したステップS83からステップS86までの処理と同様のため、説明を省略する。
【0113】
ステップS97では、動画表示部24が、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現情報を特定したことを示す情報が付加されているか否かを判定する。動画表示部24は、変数iの値に対応するノードのノード情報に、発現情報を特定したことを示す情報が付加されていると判定すると(ステップS97においてYES)、ステップS98に進み、発現情報を特定したことを示す情報が付加されていないと判定すると(ステップS97においてNO)、ステップS99に進む。
【0114】
ステップS98では、動画表示部24が、例えば、予め定められた大きさ及び色(例えば、黄色等)で変数iの値に対応するノードを表示する(例えば、図26等参照)。一方、ステップS99では、動画表示部24が、例えば、予め定められた大きさ及び色(例えば、青色等)で変数iの値に対応するノードを表示する(例えば、図26等参照)。
つまり、動画表示部24は、発現情報は特定できたが、発現データは取得することができなかったノードを黄色で表し、発現データも取得することができず、且つ、発現情報も特定することができなかったノードを青色で表す。
このように、動画表示部24は、図22に示したような発現情報特定処理において発現情報を特定することができなかったノードと、図23に示したような発現情報取得処理において発現データを取得することができなかったノードと、を色で区別して表示することができる。
なお、上述したように、動画表示部24は、色に変えて、ノードの形状で区別して表示するようにしてもよい。また、動画表示部24は、色や形状に変えて、ノードの近傍に発現情報を特定できなかったことを示す文字列や、発現データを取得することができなかったことを示す文字列を表示して区別するようにしてもよい。
【0115】
上述したように、本実施例によれば、情報処理装置1は、表示モードに応じて、発現情報に関連付けられていないノードや、発現データが存在しないノードを、表示したり、表示しなかったりすることができる。また、情報処理装置1は、発現情報に関連付けられていないノードや、発現データが存在しないノードを表示する場合、それらを区別して表示するので、ユーザは、発現情報が関連付けられていないノードか、発現データが存在しないノードかを区別することができる。
【実施例5】
【0116】
上述した実施例では、主に情報処理装置1単体で動作する場合を例に説明を行なった。しかしながら、情報処理装置1と、少なくとも1つ以上の通信端末装置とを、ネットワークを介して接続するようにしてもよい。そして、ユーザ等が通信端末装置を用いて、ノード情報、発現情報等を編集することができるようにしてもよい。
【0117】
図30は、情報処理装置の一例の機能構成図(その4)である。図30に示されるように、情報処理装置1は、機能構成として、パスウェイ情報取得部21と、発現情報特定部22と、発現情報取得部23と、動画表示部24と、モード選択部41と、検索要求受信部42と、検索処理部43と、検索結果送信処理部44と、編集支援処理部45と、編集結果受信部46と、編集反映処理部47と、パスウェイ情報DB31と、関連付け情報DB32と、発現情報DB33と、を含む。
【0118】
図30に示される情報処理装置1の機能構成は、図24に示した情報処理装置1の機能構成と比べて、検索要求受信部42と、検索処理部43と、検索結果送信処理部44と、編集支援処理部45と、編集結果受信部46と、編集反映処理部47と、が新たに情報処理装置1の機能構成として含まれている。
【0119】
検索要求受信部42は、通信端末装置から、所望のパスウェイに係る検索条件を含む検索要求を、ネットワークを介して受信する。検索処理部43は、パスウェイ情報DB31、関連付け情報DB32、発現情報DB33等から、検索要求受信部42が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じた、パスウェイに係る情報を検索して検索結果を出力する。ここで、パスウェイに係る情報とは、例えば、所望のパスウェイに含まれるノードのノード情報や、コントロール情報、関連付け情報、発現データ等である。
【0120】
検索結果送信処理部44は、検索処理部43が出力する検索結果を、検索要求の送信元である通信端末装置へ送信する。また、検索結果送信処理部44は、通信端末装置において、パスウェイに係る情報等を基にパスウェイが表示された場合に、表示されたパスウェイに対してコントロールやノードの追加や削除等の編集を行うことができる編集プログラムを検索結果と合わせて送信する機能も備える。
【0121】
編集支援処理部45は、通信端末装置において編集プログラムが実行され、編集作業が行われている間に、通信端末装置から編集に必要な情報等の要求を受けると、この要求に対応して必要な情報を提供する等の、通信端末装置における編集の支援処理を行う。
【0122】
編集結果受信部46は、通信端末装置からパスウェイに対する編集結果を、ネットワークを介して受信する。編集反映処理部47は、パスウェイ情報DB31、関連付け情報DB32、発現情報DB33等に対して、編集結果受信部46が受信した編集結果を反映する処理を行う。これにより、通信端末装置が検索要求により、編集結果を反映したパスウェイを参照することができるようになる。
【0123】
次に、パスウェイ提供処理の一例を、図31に示す。図31は、パスウェイ提供処理の一例示すフローチャートである。図31に示すように、まず、ステップS110において、検索要求受信部42は、通信端末装置からネットワークを介してパスウェイに係る検索要求(検索条件を含む)を受信する。
【0124】
次に、ステップS111において、検索処理部43は、検索要求受信部42が受信した検索要求に含まれる検索条件に応じたパスウェイに係る情報を、パスウェイ情報DB31、関連付け情報DB32、発現情報DB33等から検索する。次に、ステップS112において、検索結果送信処理部44は、検索処理部43が出力する検索結果及びパスウェイを編集するための編集プログラムを検索要求元の通信端末装置へ送信する。これにより、通信端末装置においては、パスウェイが表示され、且つ、表示されたパスウェイに対して編集作業を行うことができる。なお、編集プログラムは一度通信端末装置へ送信された後は、毎回送信する必要はなくなるので、利用者の要求に応じて必要な場合にのみ送信すればよい。
【0125】
次に、ステップS113において、編集支援処理部45は、通信端末装置から編集支援要求を受信したか否かを判断する。ここで、編集支援処理部45は、編集支援要求を受信したと判断すると(ステップS113においてYES)、ステップS114に進み、受信した編集支援要求に応じた支援情報を通信端末装置へ送信する。一方、ステップS113において、編集支援処理部45が、編集支援要求を受信していないと判断すると(ステップS113においてNO)、ステップS115に進む。
【0126】
ステップS115では、編集結果受信部46が、編集結果を通信端末装置から受信したか否かを判断する。ここで、編集支援処理部45が、編集結果を受信していないと判断すると(ステップS115においてNO)、ステップS113の処理に戻る。一方、編集支援処理部45が、編集結果を受信したと判断すると(ステップS115においてYES)、ステップS116に進む。
【0127】
ステップS116では、編集反映処理部47が、パスウェイ情報DB31及び/又は関連付け情報DB32及び/又は発現情報DB33に対して、編集結果受信部46が受信した編集結果を反映する処理を行う。
【0128】
上述したように、本実施例によれば、パスウェイを簡便に編集でき、且つ編集後のパスウェイを公開することができる。
【実施例6】
【0129】
上述した各実施例では、説明の簡略化のため、コントロールの形状を単に直線を用いて説明を行なった。しかしながら、例えば、図6の線種IDに示されるように、コントロールを示す「線」の種類は複数存在する。情報処理装置1は、この線種IDに応じて、コントロールの形状を変えて表示するようにしてもよい。なお、この線種IDは、ノード間の相関関係に応じて、ユーザ等が設定する。
【0130】
図32は、コントロールの形状の一例を示す図である。形状91(Direct Postive)は、直接的且つ促進的な関係があることを表すコントロールの形状である。ここで、直接的且つ促進的な関係とは、ノード1がノード2を修飾するとか、ノード1からノード2へシグナル伝達されるとか、ノード1がノード2に結合するとか、ノード1がノード2に変化する等の関係である。
【0131】
形状92(Direct Negative)は、直接的且つ抑制的な関係があることを示すコントロールの形状である。ここで、直接的且つ抑制的な関係とは、ノード1がノード2を阻害するとか、ノード1がノード2を不活性化させる等の関係である。
【0132】
形状93(Indirect Positive)は、間接的且つ促進的な関係があることを表すコントロールの形状である。ここで、間接的且つ促進的な関係とは、ノード1の活性化によりノード2が増加する等、ノード間の直接的作用は明確でないが、量的・質的な正の相関関係が認められる関係である。
【0133】
形状94(Indirect Negative)は、間接的且つ抑制的な関係があることを示すコントロールの形状である。ここで、間接的且つ抑制的な関係とは、ノード1の活性化によりノード2が減少する等、ノード間の直接的作用は明確ではないが、量的・質的な負の相関関係が認められる関係である。
【0134】
形状95(Express Positive)は、転写・翻訳を抑制するノードと、発現誘導/調整されるノードとの関係を表す形状である。
【0135】
形状96(Express Negative)は、転写・翻訳を抑制するノードと、発現抑制されるノードとの関係を表す形状である。
【0136】
形状97(Bind)は、関係があることを示すコントロールの形状である。
【0137】
上述したように、本実施例によれば、ノード間の相関関係に応じて、コントロールの形状を変えて表示することができる。
【実施例7】
【0138】
例えば、情報処理装置1は、一つの画面に二つの異なるパスウェイを表示し、各々のパスウェイの表示を、同一の時系列に基づいて変化させ、表示してもよいし(例えば、図33参照)、異なる時系列に基づいて変化させ、表示してもよい(例えば、図34参照)。
【0139】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、上述した各実施例は組み合わせて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、セントラルドグマの概念図である。
【図2】図2は、タンパク質の発現ステップを示す図である。
【図3】図3は、情報処理装置の一例のハードウェア構成図である。
【図4】図4は、情報処理装置の一例の機能構成図(その1)である。
【図5】図5は、ノードの位置情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、コントロール属性情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、関連付け情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、発現データの一例を示す図(その1)である。
【図9】図9は、パスウェイ表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、動画表示処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図11】図11は、発現値を用いたノード等の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、パスウェイの表示画面を示す図(その1)である。
【図13】図13は、パスウェイの表示画面を示す図(その2)である。
【図14】図14は、パスウェイの表示画面を示す図(その3)である。
【図15】図15は、パスウェイの表示画面を示す図(その4)である。
【図16】図16は、パスウェイの表示画面を示す図(その5)である。
【図17】図17は、表示パターンの一例を示す図である。
【図18】図18は、情報処理装置の一例の機能構成図(その2)である。
【図19】図19は、パスウェイ表示処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図20】図20は、パスウェイの表示画面を示す図(その6)である。
【図21】図21は、発現データの一例を示す図(その2)である。
【図22】図22は、発現情報特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】図23は、発現情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】図24は、情報処理装置の一例の機能構成図(その3)である。
【図25】図25は、パスウェイの表示画面を示す図(その6)である。
【図26】図26は、パスウェイの表示画面を示す図(その7)である。
【図27】図27は、動画表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図28】図28は、ノード等の表示処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【図29】図29は、ノード等の表示処理の一例を示すフローチャート(その3)である。
【図30】図30は、情報処理装置の一例の機能構成図(その4)である。
【図31】図31は、パスウェイ提供処理の一例示すフローチャートである。
【図32】図32は、コントロールの形状の一例を示す図である。
【図33】図33は、パスウェイの表示画面を示す図(その7)である。
【図34】図34は、パスウェイの表示画面を示す図(その8)である。
【符号の説明】
【0141】
1 情報処理装置
11 入力部
12 表示部
13 記録媒体ドライブ部
14 記録媒体
15 ROM
16 RAM
17 CPU
18 インターフェース部
19 HD
21 パスウェイ情報取得部
22 発現情報特定部
23 発現情報取得部
24 動画表示部
31 パスウェイ情報DB
32 関連付け情報DB
33 発現情報DB
41 パスウェイ情報取得部
42 生成情報特定部
43 生成情報取得部
44 動画表示部
51 パスウェイ情報DB
52 関連付け情報DB
53 生成情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を処理する情報処理装置における、タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、
前記情報処理装置が、
前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、
格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きるタンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループの発現に係る発現情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定する発現情報特定段階と、
前記発現情報特定段階で特定した発現情報を格納手段より取得する発現情報取得段階と、
前記パスウェイ情報及び前記発現情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、
を含むことを特徴とするパスウェイ表示方法。
【請求項2】
前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記発現情報に係る値の絶対値又は前記発現情報に係る値の初期値に対する比に応じて、前記ノードの大きさを、時系列に変化させることを特徴とする請求項1記載のパスウェイ表示方法。
【請求項3】
前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記発現情報に係る値の絶対値又は前記発現情報に係る値の初期値に対する比に応じて、前記ノードの色を、時系列に変化させることを特徴とする請求項1又は2記載のパスウェイ表示方法。
【請求項4】
前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記画面に複数の異なるパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項5】
前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記画面に同一のパスウェイを複数表示させ、少なくとも前記複数表示された中の二つのパスウェイの表示を各々異なる時系列に基づいて変化させることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項6】
前記発現情報特定段階において、前記パスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定することができなかった場合、前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記パスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定することができなかったことを示す情報を前記画面に表示することを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項7】
前記発現情報取得段階において、前記発現情報特定段階で特定した発現情報を格納手段より取得することができなかった場合、前記動画表示段階では、前記情報処理装置が、前記パスウェイ情報に対応する前記発現情報を取得することができなかったことを示す情報を前記画面に表示することを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、少なくとも、前記発現情報特定段階において前記パスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定することができなかった又は前記発現情報取得段階において前記発現情報特定段階で特定した発現情報を格納手段より取得することができなかった、前記ノードは表示しない第一の表示モードと、前記ノードも表示する第二の表示モードとを選択する選択段階を更に含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項9】
前記動画表示段階において表示される前記コントロールの形状は、前記コントロールに係るノード間の相関関係に応じて異なることを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
前記パスウェイに係る編集結果を、ネットワークを介して通信可能な通信端末装置より受信する編集結果受信段階と、
前記編集結果受信段階において受信した前記編集結果を、格納手段に格納されている前記パスウェイ情報、又は前記関連付け情報、又は前記発現情報に反映させる反映段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至9何れか1項記載のパスウェイ表示方法。
【請求項11】
情報を処理する情報処理装置であって、
タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得手段と、
格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きるタンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループの発現に係る発現情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得手段において取得したパスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定する発現情報特定手段と、
前記発現情報特定手段で特定した発現情報を格納手段より取得する発現情報取得手段と、
前記パスウェイ情報及び前記発現情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、
タンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループのいずれかを示すシンボルである複数のノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得手段と、
格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きるタンパク質、アミノ酸、遺伝子、その他遺伝子に関する物質、又はそれらのグループの発現に係る発現情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得手段において取得したパスウェイ情報に対応する前記発現情報を特定する発現情報特定手段と、
前記発現情報特定手段で特定した発現情報を格納手段より取得する発現情報取得手段と、
前記パスウェイ情報及び前記発現情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示手段と、
して動作させることを特徴とするパスウェイ表示プログラム。
【請求項13】
情報を処理する情報処理装置における、代謝産物を示すノードと、ノード間の関連性を示すコントロールと、を含むパスウェイの表示方法であって、
前記情報処理装置が、
前記パスウェイに係るパスウェイ情報を格納手段より取得するパスウェイ情報取得段階と、
格納手段に格納されている、前記パスウェイ情報と、時系列に起きる代謝産物の生成に係る生成情報と、を関連付ける関連付け情報から、前記パスウェイ情報取得段階において取得したパスウェイ情報に対応する前記生成情報を特定する生成情報特定段階と、
前記生成情報特定段階で特定した生成情報を格納手段より取得する生成情報取得段階と、
前記パスウェイ情報及び前記生成情報を用いて、画面にパスウェイを表示させ、該パスウェイの表示を時系列に変化させて、動画表示する動画表示段階と、
を含むことを特徴とするパスウェイ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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