説明

パチンコゲーム機

【課題】獲得した得点の精算を可能として、プレーヤがゲーム途中でプレーを終了することができ、パチンコゲーム機の稼働率の向上を図ることができる利便性の高いパチンコゲーム機を提供する。
【解決手段】精算レートは表示操作パネル30の持玉数精算レート表示部304に表示される。パチンコ玉の持ち数は持玉数表示部404に表示されており、プレーヤが投入したもののパチンコ玉に交換していないメダルの貯留枚数は貯留枚数表示部408に表示されている。精算可能な数のパチンコ玉がある場合には、持玉数精算ボタン308が点灯する。精算するときは、持玉数精算ボタン308を押しながら、精算ボタン406を押す。すると、持玉数表示部404に表示されている持玉が、持玉数精算レート表示部304に表示されている精算レートでメダルに交換され、貯留枚数表示部408に表示されているメダルの貯留枚数に加算されて、メダル交換機60から払い戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンターなどで使用する8号風俗営業パチンコゲーム機に関し、具体的には、その得点精算機能の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターなどに設置されているパチンコゲーム機(いわゆる8号風俗営業パチンコゲーム機)では、1メダル投入(又は1硬貨投入)を行うと、予め設定された得点を獲得することができ、この獲得した得点分のパチンコ玉がパチンコゲーム盤面に供給されて、発射される。パチンコ玉を発射して各種の入賞口(チャッカー)に入ると入賞となる。また、スタート入賞口にパチンコ玉が入ると、パチンコ盤面略中央の可変表示部で図柄が回転し、3つの図柄が全て一致するといわゆる「大当り」となり、電動チューリップなどの変動入賞口が解放されるようになる。入賞口にパチンコ玉が入ると、プレーヤは一定数のメダルを獲得する。
【0003】
ところで、上述したパチンコゲーム機では、通常、獲得した得点は、相当するパチンコ玉を全部打ち出して消化するか、パチンコ盤面側で大当りを発生させてメダルを獲得することになる。しかし、メダルを投入してプレーを始めた後に、様々な理由によってゲーム機を放置する状態になることがある。
【0004】
このような場合、精算手法としては、例えば、下記特許文献1記載の遊戯装置がある。これは、ゲームの終了時にその場で遊技媒体の持数を計数して記録媒体を発行し、ゲームを楽しく終了することができるようにした遊技装置を提供するもので、相互に各種信号の送受を行なう遊技媒体貸出機及び遊技機を組み合わせており、遊技媒体貸出機は、現金又は金額記憶媒体の投入に応じて遊技媒体を貸し出すもので、精算時に持玉記録媒体へ持玉数を記録する持玉数書込手段を有し、遊技機は、ゲームの終了時に遊技媒体貸出機に精算情報を送信する精算個数送信手段を有する。しかし、このような手段は、いわゆる7号風俗営業のパチンコ店において可能な精算方法であり、8号風俗営業のパチンコゲーム機にそのまま適用することはできない。
【0005】
また、獲得した得点がパチンコゲーム機に残されて表示されたたままプレーヤが退席あるいは退店して不在となると、プレーヤが退店して放置した終了状態なのか、それとも、プレーヤが店内にいてパチンコゲーム機を取り置いている状態なのかを区別することができない。このため、店舗側としては、プレーヤが放置した状態か、あるいは取り置いている中断状態かを、時間をおいて誰かが着席するかどうかから判断することになる。すなわち、所定時間の経過までに誰かがそのパチンコゲーム機に着席すれば、前記中断状態と判断し、所定時間が経過しても誰も着席しないときは前記終了状態と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−142326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような方法では、終了か中断かの判断に相当の時間を要することになり、その間、パチンコゲーム機を他の人が使用することができない。このため、当該ゲーム機の稼働率が低下し、無駄が発生することとなる。また、プレーヤとしても、ゲームの途中でプレーを終了し、獲得した得点を何らかの方法で精算して他のゲーム機に利用することができれば、パチンコゲーム機自体がメダル貸し機と同等の機能を持つことになる。これにより、店舗側では、メダル貸し機の設置台数を減らすことができるといった利点も生ずる。
【0008】
本発明は、以上のような点に着目したもので、その目的は、パチンコゲーム機において獲得した得点の精算を可能として、プレーヤがゲームの途中でプレーを終了することができ、パチンコゲーム機の稼働率の向上を図ることができる利便性の高いパチンコゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、メダルをパチンコ玉に交換してゲームを行うパチンコゲーム機において、プレーヤがパチンコ玉の精算を指示するための精算指示手段,該精算指示手段が操作されたときに、残っているパチンコ玉を所定のレートでメダルに換算する精算手段,換算後の数のメダルを払い出すメダル払出手段,を備えたことを特徴とする。
【0010】
主要な形態の一つは、前記精算指示手段が、プレーヤが獲得したパチンコ玉が精算可能かどうかを示す表示ボタンスイッチと、メダルの払い出しを指示するための精算ボタンスイッチとを含むことを特徴とする。他の形態の一つは、前記精算手段が、前記レートを設定するためのレート設定手段を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、精算指示手段によって精算を指示すると、パチンコ玉が所定のレートでメダルと交換されて払い出されることとしたので、プレーヤはゲームの途中でもプレーを終了することができ、パチンコゲーム機の稼働率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の全体を示す図である。
【図2】前記実施例の操作パネル部分を拡大して示す図である。
【図3】前記実施例の制御構成を示す図である。(A)は全体の制御構成,(B)は精算に関する制御構成をそれぞれ示す。
【図4】精算時の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1には、本実施例にかかるパチンコゲーム機の全体が示されている。同図において、パチンコゲーム機10の正面には、盤面20が設けられている。この盤面20の下方にはパチンコ玉を打ち出す操作ハンドル22が設けられており、盤面20の上方には、各種の表示を行う表示灯24が設けられている。盤面20の右隣には、表示操作パネル30及び40がそれぞれ設けられており、それらの間にメダルの投入口50が設けられている。更に、表示操作パネル40の下側には、メダル交換機60が設けられている。
【0015】
これらのうち、前記盤面20としては、各種のものが知られており、通常は、略中央の可変表示部,電動チューリップ,スタート入賞口,SP(特別)入賞口,アタッカー,通過入賞口,排出口,大当り時に点灯ないし点滅する照明部,パチンコ玉が当たる釘などが必要に応じて設けられている。
【0016】
図2には、表示操作パネル30及び40の詳細が示されている。まず、表示操作パネル30には、同図(A)に一例を示すように、各種の表示部や操作ボタンが設けられている。これらのうち、特に本件発明に関係するものとして、精算時の持玉とメダルとの交換レートを示す持玉数精算レート表示部304,精算時に操作する持玉数精算ボタン308がある。
【0017】
次に、表示操作パネル40にも、図2(B)に示すように、各種の表示部や操作ボタンが設けられている。これらのうち、本件発明に関係するものとして、持玉数を表示する持玉数表示部404,貯留されたメダルを払い出すための精算ボタン406,メダルの貯留枚数を表示するメダル貯留枚数表示部408がある。
【0018】
図3(A)には、パチンコゲーム機10の制御構成が示されている。同図に示すように、MPUなどによって構成されたゲーム制御装置100には、上述した盤面20,表示操作パネル30及び40,メダル交換機60がそれぞれ接続されている。ゲーム制御装置100には、ゲーム制御プログラム110が設けられており、これによって、盤面20,表示操作パネル30及び40,メダル交換機60の全体動作が制御されている。
【0019】
概略の動作を説明すると、プレーヤは、メダル交換機60で現金をメダルに交換し、交換したメダルを投入口50に投入する。すると、表示操作パネル40の貯留枚数表示部408に投入したメダル数が表示される。次に、プレーヤが転送ボタン402を押すと、抽選が行われ、その結果に応じてパチンコ玉に交換され、交換後のパチンコ玉の数が持玉数表示部404に表示される。プレーヤは、盤面20の操作ハンドル22を操作し、パチンコ玉を盤面20上に打ち出す。そして、入賞の程度に応じて、表示操作パネル30上に該当する表示が行われる。また、メダル数や持玉数は、表示操作パネル40上に表示される。これらの動作は、ゲーム制御装置100のゲーム制御プログラム110によって制御される。
【0020】
図3(B)には、本発明にかかる得点精算に関係する部分が示されており、ゲーム制御プログラム110に含まれている精算処理プログラム112によって、表示操作パネル30の持玉数精算レート表示部304,持玉精算ボタン308,表示操作パネル40の持玉数表示部404,精算ボタン406,貯留枚数表示部408,メダル交換機60の精算処理動作が制御されるようになっている。
【0021】
次に、本実施例による精算処理動作について説明する。精算レート,すなわち、持玉何個につきメダルを1個払いだすかは、表示操作パネル30の持玉数精算レート表示部304に表示される。また、持っているパチンコ玉の数は持玉数表示部404に表示されており、プレーヤが投入したもののパチンコ玉に交換していないメダルの貯留枚数は貯留枚数表示部408に表示されている。プレーヤがゲームを行い、精算可能な数のパチンコ玉がある場合には、持玉数精算ボタン308が点灯する。プレーヤが席を取り置いている中断状態では、精算は行われず、表示操作パネル30及び40の表示は、そのままである。従って、店舗側や他のプレーヤは、それらの表示を参照することで、当該パチンコゲーム機10が中断状態であることを簡単に知ることができる。
【0022】
次に、プレーヤがゲームを中止して精算するときは、持玉数精算ボタン308を押しながら、精算ボタン406を押す。すると、持玉数表示部404に表示されている持玉が、持玉数精算レート表示部304に表示されている精算レートでメダルに交換され、交換後のメダル数が貯留枚数表示部408に表示されているメダルの貯留枚数に加算される。そして、合計のメダル貯留枚数が、メダル交換機60からプレーヤに払い戻される。その結果、持玉数表示部404の表示及び貯留枚数表示部408の表示がいずれも「0」となる。
【0023】
図4には、表示の変化の一例が示されている。同図(A)に示すように、持玉数精算レート表示部304の表示が「10」,持玉数表示部404の表示が「126」,貯留枚数表示部408の表示が「31」の場合、持玉「126」は10個で1メダルのレートで生産されるため、精算後のメダル数は「12」となる(端数切捨ての場合)。これが、31個の貯留メダルに加算され、合計で12+31=43個のメダルが、メダル交換機60からプレーヤに払い出される。払い出し後は、同図(B)に示すように、持玉数表示部404及び貯留枚数表示部408の表示は、いずれも「0」となる。払い出されたメダルは、他のメダルゲーム機で使用することができる。
【0024】
このように、本実施例によれば、プレーヤは、獲得した得点をメダルとして精算することができ、獲得した得点を「0」にして退席することができる。このため、店舗型ないし他のプレーヤは、表示操作パネルの表示を見ることで、当該パチンコゲーム機が使用可能であるかどうかを簡便に判別することができる。これにより、店舗側としては、パチンコゲーム機の稼働時間を無駄にすることがなく、パチンコゲーム機の稼働率や集客率の向上を図ることができる。また、パチンコゲーム機自体がメダル貸し機と同等の性能を持っており、その回転率が高まることで、メダル貸し機の設置台数の低減を図ることもでき、全体としてコストの低減,売り上げの向上が可能となる。一方、プレーヤ側には、パチンコゲーム機を替えるなど選択の幅が広がる,精算で得たメダルを他のゲームで使用して楽しむことができるなどの利点が生ずる。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、持玉の精算レートを任意に設定できることとしたが、もちろん予め定めたレートに固定してもよい。また、前記実施例では、持玉数精算ボタン308を押しながら精算ボタン406を押すという具合に、2つのボタンを操作して精算を行ったが、一つのボタン操作のみで精算処理を行うようにしてもよい。
(2)前記実施例で示した盤面の形態,ボタンや表示部の形状や配置,などは一例であり、各種の形態としてよい。
(3)精算処理が終了したパチンコゲーム機であることを示す精算終了済み表示灯を設けるようにしてもよい。該表示灯が点灯しているかどうかで、精算が終了しているかどうかを簡単に見分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、プレーヤがプレーを終了するときは、獲得したパチンコ玉を精算してメダルを払い出すこととしたので、ゲームの中断中なのか、それとも他のプレーヤが使用可能なのか、を簡単に知ることができ、8号風俗営業パチンコゲーム機の稼働率の向上を図ることができ、ゲームセンターなどに好適である。
【符号の説明】
【0027】
10:パチンコゲーム機
20:盤面
22:操作ハンドル
24:表示灯
30:表示操作パネル
40:表示操作パネル
50:投入口
60:メダル交換機
100:ゲーム制御装置
110:ゲーム制御プログラム
112:精算処理プログラム
304:持玉数精算レート表示部
308:持玉数精算ボタン
402:転送ボタン
404:持玉数表示部
406:精算ボタン
408:貯留枚数表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルをパチンコ玉に交換してゲームを行うパチンコゲーム機において、
プレーヤがパチンコ玉の精算を指示するための精算指示手段,
前記精算指示手段が操作されたときに、残っているパチンコ玉を所定のレートでメダルに換算する精算手段,
換算後の数のメダルを払い出すメダル払出手段,
を備えたことを特徴とするパチンコゲーム機。
【請求項2】
前記精算指示手段が、
プレーヤが獲得したパチンコ玉が精算可能かどうかを示す表示ボタンスイッチと、
メダルの払い出しを指示するための精算ボタンスイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1記載のパチンコゲーム機。
【請求項3】
前記レートを設定するためのレート設定手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のパチンコゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−217517(P2012−217517A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83731(P2011−83731)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(595087107)株式会社東プロ (1)
【Fターム(参考)】