説明

パチンコ台検査装置

【課題】
パチンコ台の表裏の検査面の変更の際に、パチンコ台支持具の昇降に起因するパチンコ台の上端部の損傷、及び転倒を防止することである。
【解決手段】
パチンコ台Pの過度の傾斜又は転倒を防止すべく、当該パチンコ台Pの上端部を支持するために、フレームFの上端枠部72に回動可能に支承されたパチンコ台支持具S1 と、前記パチンコ台支持具S1 の内部に侵入した状態で、前記パチンコ台支持具S1 の垂直回動軸心Cの位置に昇降可能に配置されて、前記パチンコ台Pの上端面P3 を上方から押し付けるためのパチンコ台押付具Tとを備え、パチンコ台Pの検査時には、当該パチンコ台Pの上端面P3 を前記パチンコ台押付具Tで押し付けた状態で、前記回動式ローラコンベア単体D1 とパチンコ台支持具S1 とを一体にして回動させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台を直線搬送させる途中で停止させて、当該パチンコ台の表裏両面の各検査を同一場所で可能にするために、検査ラインの検査部に組み込まれるパチンコ台検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台の検査には、釘打状態、役物装置の配置状態、セーフ玉或いはアウト玉の流れの状態等の表面の検査と、ワイヤーハーネスの配線状態を含む電機系統等の裏面の検査との二種類がある。特許文献1には、パチンコ台の表面と裏面の各検査を別の場所で行っていたものを、同一場所で行うことにより、検査能率の向上、検査員の削減、検査ラインの短縮等を実現したパチンコ台検査装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の装置は、ローラコンベア10に載せられたパチンコ台8の垂直姿勢を維持させるために、当該パチンコ台8の上端部を支持する支持具14が昇降すると共に、当該支持具14を上昇させておいて、昇降用シリンダ18により昇降される押付具20により、パチンコ台8の上端面を押し付けた状態で、パチンコ台8を回動させる構成であった。
【0004】
よって、検査を終えて検査部からパチンコ台8を搬出させる際には、パチンコ台8の上端部から上昇している支持具14を下降させて、当該パチンコ台8の上端部に支持具14を再嵌着させており、この支持具14の再嵌着時において、支持具14がパチンコ台8の上端部に対してうまく嵌着せずに、当該支持具14によりパチンコ台8の上端部が損傷、或いは僅かに折損されたりする事態が発生していた。
【0005】
また、パチンコ台8の検査面を裏面に変更させたり、或いは裏面の検査の後に表面を前面に向けるために、パチンコ台8を180°回動(半回転)させる際に、当該パチンコ台8は、押付具20により上端部が一点状に支持されているのみであるため、パチンコ台8の回動時、或いは回動後であって、支持具14によりパチンコ台8の上端部を嵌着支持される前に、当該パチンコ台8に対して不意に外力が作用すると、押付具20によるパチンコ台8の一点状支持が外れて、パチンコ台8が傾斜したり、極端な場合には、倒れてしまう不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−144082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パチンコ台の表裏の検査面の変更の際に、パチンコ台の上端部をパチンコ台支持具で常に支持状態にしておくことにより、パチンコ台の傾斜或いは転倒を防止すると共に、パチンコ台支持具の昇降に起因するパチンコ台の上端部の損傷を防止できるパチンコ台検査装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、パチンコ台を直線搬送させる途中で停止させて、当該パチンコ台の表裏両面の各検査を同一場所で可能にすべく、検査ラインの検査部に組み込まれるパチンコ台検査装置であって、前記パチンコ台を載せた状態で搬送可能であって、搬送方向に沿った中央部の垂直な回動軸心を中心にして回動可能にフレームの中間部材に支承された回動式コンベア単体と、当該回動式コンベア単体に載せられたパチンコ台の垂直姿勢を維持させるべく、当該パチンコ台の上端部を支持するために前記フレームの上端部材に装着されたパチンコ台支持機構とから成り、当該パチンコ台支持機構は、前記パチンコ台の過度の傾斜又は転倒を防止すべく、当該パチンコ台の上端部を支持して、前記フレームの上端部材に、前記回動式コンベア単体の回動軸心と同一の軸心を中心にして回動可能に支承されたパチンコ台支持具と、前記パチンコ台支持具の内部に侵入した状態で、前記パチンコ台支持具の回動軸心位置に昇降可能に配置されて、当該パチンコ台支持具により垂直姿勢を確保されたパチンコ台の上端面を上方から押し付けるためのパチンコ台押付具とを備え、パチンコ台の検査時には、当該パチンコ台の上端面を前記パチンコ台押付具で押し付けた状態で、前記回動式コンベア単体とパチンコ台支持具とを一体にして回動させ、前記検査部に対するパチンコ台の搬入出時には、前記パチンコ台押付具をパチンコ台の上端面に対して離間させた状態で、前記回動式コンベア単体及びパチンコ台支持具を搬送方向に沿わせて配置して、前記検査部に対してパチンコ台の搬入出を行う構成であることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、検査部に搬入されたパチンコ台は、全体が回動式コンベア単体に載せられて、その上端部は、パチンコ台支持機構を構成するパチンコ台支持具により過度の傾斜又は転倒を防止するように支持され、パチンコ台支持機構を構成するパチンコ台押付具により、当該パチンコ台の上端面を押し付けると、パチンコ台の垂直姿勢が維持される。この状態で、パチンコ台の表面の側の検査を行う。なお、検査時には、回動式コンベア単体は、回動しないようにロックされている。
【0010】
回動式コンベア単体の垂直な回動軸心と、パチンコ台支持機構を構成するパチンコ台支持具の回動軸心とは一致しており、しかもパチンコ台押付具は、回動式コンベア単体、及びパチンコ台支持具の共通する回動軸心上に配置されているために、回動式コンベア単体に載せられたパチンコ台の上端面をパチンコ台押付具により押し付けた状態で、回動式コンベア単体とパチンコ台支持具とは、パチンコ台を介して一体となって回動可能な構造となる。従って、パチンコ台の裏面の検査を行うには、回動式コンベア単体のロックを解除して、パチンコ台を人手により180°回動(半回転)させると、当該パチンコ台を介して一体となっている回動式コンベア単体とパチンコ台支持具とは、一体状となって回動させられて、パチンコ台の裏面が手前側を向く。この状態で、回動式コンベア単体が回動しないようにロックして、パチンコ台の裏面の検査を行う。
【0011】
パチンコ台の裏面の検査を終えた後には、再度、パチンコ台を180°回動(半回転)させて、表面を手前側に配置し、この状態で、パチンコ台押付具による押付けを解除して、検査部からパチンコ台を搬出させる。
【0012】
このように、請求項1の発明では、フレームの上端部材に回動可能に支持されたパチンコ台支持具は、パチンコ台の回動方向に沿ったいずれの位置においても、常にパチンコ台の上端部を支持していて、パチンコ台に対して昇降しないために、パチンコ台支持具によりパチンコ台の上端部が損傷されることはなくなると共に、パチンコ台の回動中において、パチンコ台が傾斜する等して、パチンコ台押付具によるパチンコ台の上端面の押付けが解除されても、当該パチンコ台は、パチンコ台支持具により支持されているため、大きく傾斜したり、或いは転倒したりしない。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記パチンコ台支持具の上方の部分に、当該パチンコ台支持具の回動軸心と同心となって一体に設けられた位置決め円板体と、前記フレームの上端部材における当該位置決め円板体の側方に配置されて、当該位置決め円板体の外周部の対向位置に形成された一対の位置決め凹部に対して付勢状態で嵌合される嵌合体がロッドの先端部に取付けられた加圧シリンダとから成る位置決め装置を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明によれば、パチンコ台支持具には、当該パチンコ台支持具と一体に回転する位置決め円板体が設けられていて、パチンコ台の表面、及び裏面がそれぞれ前面を向いた検査位置においては、前記位置決め円板体の外周部に設けられた各位置決め凹部に、加圧シンリダのロッドの先端の嵌合体が嵌合して、パチンコ台支持具が二つの検査位置に位置決めされる。このため、パチンコ台は、下端部を支持している回動式コンベア単体、及び上端部を支持しているパチンコ台支持具の双方が位置決めされるため、検査時におけるパチンコ台の垂直配置姿勢が確定されて、微動しなくなるので、安定して検査作業を行える。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記パチンコ台支持具は、断面L字状をなしていて、パチンコ台の表面の側は開放されていることを特徴としている。
【0016】
回動式ローラコンベア上にパチンコ台を垂直に載せた場合には、パチンコ台の重心は裏面側に存在しているので、パチンコ台は裏面側に傾斜することはあっても、表面側に傾斜することは殆どないと共に、パチンコ台検査装置に対してパチンコ台が表面を検査員の立つ側を向いて搬入・搬出される際には、検査員が常にいるために、請求項3の発明のように、パチンコ台の上端部を支持するパチンコ台支持具が断面L字状をなしていて、パチンコ台の表面の側が開放されていても問題ないと共に、何らかの理由により、パチンコ台検査装置からパチンコ台を手前側に取り出す際には、パチンコ台支持具には、当該パチンコ台の上端部と干渉する部分が存在しないので、パチンコ台の取り出しが容易となる利点もある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フレームの上端部材に回動可能に支持されたパチンコ台支持具は、パチンコ台の回動方向に沿ったいずれの位置においても、常にパチンコ台の上端部を支持していて、パチンコ台に対して昇降しないために、パチンコ台支持具の下降時にパチンコ台の上端部が損傷されることはなくなると共に、パチンコ台の回動中において、当該パチンコ台が傾斜する等して、パチンコ台押付具によるパチンコ台の上端面の押付けが解除されても、当該パチンコ台は、パチンコ台支持具により支持されているため、大きく傾斜したり、或いは転倒したりしない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るパチンコ台検査装置Aが組み込まれた検査ラインの全体斜視図である。
【図2】パチンコ台検査装置Aの正面断面図である。
【図3】同じく右側面図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれパチンコ台Pの上端部の位置決め装置の「位置決め状態」及び「非位置決め状態」を示す図である。
【図5】パチンコ台検査装置Aの斜視図である。
【図6】パチンコ台Pの上端部の位置決め装置の斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明のパチンコ台検査装置Aの作用説明図である。
【図8】検査ラインの走行部Bの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図6に示される実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1に示されるように、検査ラインには、パチンコ台Pの搬送方向Qに沿って、パチンコ台検査装置Aと走行部Bとが交互に配置されている。
【0020】
パチンコ台検査装置Aは、フレームFの中間棚部71に垂直回動軸1(垂直回動軸心C)を中心にして回動可能に支持された回動式ローラコンベア単体D1 と、当該回動式ローラコンベア単体D1 の直上に配置されて、当該ローラコンベア単体D1 の垂直回動軸心Cと同一軸心を中心にして回動可能なように、前記フレームFの上端枠部72に支持されたパチンコ台支持具S1 とから成る。回動式ローラコンベア単体D1 は、ローラフレーム2に多数のローラ3が回転可能に支持されていて、ローラフレーム2の裏面に一体に取付けられた円板体4には、180°位相の異なる部分に一対の位置決め孔5が設けられている。円板体4の各位置決め孔5には、垂直回動軸1の側方に配置されて位置決めシリンダ6の位置決めピン7が挿脱する構成になっている。なお、前記垂直回動軸1は、中間棚部71に固定されたハウジング8に回動可能に支持されている。
【0021】
パチンコ台支持具S1 は、回動式ローラコンベア単体D1 に載せられたパチンコ台Pを垂直に保持するために、当該パチンコ台Pの上端部を保持するための部材であって、前記回動式ローラコンベア単体D1 の垂直回動軸心Cと同一の軸心を中心にして水平面内で回動可能なように、フレームFの上端枠部72に支持されている。即ち、図2、図3及び図5に示されるように、パチンコ台支持具S1 は、断面L字状をなしていて、その天板部10の上方には、一体連結体12を介して位置決め円板体13が一体に取付けられている。位置決め円板体13の中心は、前記垂直回動軸心Cと一致している。位置決め円板体13の上面には、支持筒14が一体に取付けられていて、当該支持筒14は、フレームFの上端枠部72の支持体15に軸受16を介して回動可能となって吊下げ状態で支持されている。この構成により、パチンコ台支持具S1 は、回動式ローラコンベア単体D1 の直上に、当該回動式ローラコンベア単体D1 の垂直回動軸心Cと同一の軸心を中心に回動可能なように、フレームFの上端枠部72に支持される。パチンコ台支持具S1 の側板部11の内側面には、回動式ローラコンベア単体D1 に載せられ支持されたパチンコ台Pが所定角度を超えて裏面側に傾斜した場合に当接するクッション体17が取付けられている。なお、パチンコ台支持具S1 は、断面L字状をなしていて、パチンコ台Pの表面P1 が配置される側が開放されているのは、パチンコ台Pは、起立状態で重心の存在する裏面側に傾斜しようとするが、前面側に傾斜することは殆どないからである。また、パチンコ台支持具S1 の表面側が開放されているために、何らかの理由により、パチンコ台検査装置Aからパチンコ台Pを取り外す必要が生じた場合には、パチンコ台支持具S1 の表面側にパチンコ台Pと干渉する部材が存在しないために、パチンコ台Pの表面側への取り外しが容易となる利点がある。
【0022】
また、前記位置決め円板体13とフレームFの上端枠部72との間には、シリンダ取付け板18が配置されている。シリンダ取付け板18は、一対の取付け具19を介してフレームFの上端枠部72に一体に取付けられている。前記位置決め円板体13の外周部におけるパチンコ台支持具S1 の長手方向と交差する対向位置(180°位相の異なる位置)には、一対の位置決め凹部21a,21bが形成されていて、当該各位置決め凹部21a,21bに嵌合体22を付勢状態で嵌合させるための加圧シリンダ23が前記シリンダ取付け板18の裏面に取付けられている。即ち、図4に示されるように、加圧シリンダ23のロッド24の先端部に前記嵌合体22が一体に取付けられていて、垂直回動軸心Cを中心にしてパチンコ台Pが回動して、その長手方向が搬送方向Qに沿うと、ロッド24の先端部に嵌合体22は、一対の位置決め凹部21a,21bのいずれかに嵌合されて、当該位置において、パチンコ台Pが回動しないようにロックされることにより、位置止めされる。パチンコ台支持具S1 に一体に取付けられた位置決め円板体13と、フレームFの上端枠部72にシリンダ取付け板18を介して取付けられた加圧シンリダ23とで、パチンコ台支持具S1 の上端部を位置決めするための位置決め装置が構成される。従って、例えば、パチンコ台Pの前面が検査員の立つ側K(図3参照)を向いている状態で、当該パチンコ台Pをいずれかの方向に180°回動させると、一対の位置決め凹部21a,21bの他方に嵌合体22が嵌合されて、パチンコ台Pの裏面が検査員の立つ側Kを向いて位置決めされる。
【0023】
また、回動式ローラコンベア単体D1 に垂直となって載せられたパチンコ台Pの上端面は、パチンコ台押付具Tにより押し付けられて、当該パチンコ台Pの垂直姿勢を保持させる構成になっている。即ち、フレームFの上端枠部72に垂直に取付けられた昇降シリンダ31のロッド32は、前記支持筒14の内部に挿入されていて、当該ロッド32と、前記パチンコ台支持具S1 の内側に配置された押付体33とは、連結体34を介して連結されている。連結体34は、位置決め円板体13及びパチンコ台支持具S1 の天板部10に形成された各貫通孔13a,10aを貫通している。押付体33は、取付け板体35の裏面に、パチンコ台Pの上端面に押し付けられる一対の押付部材36が取付けられた構成であって、取付け板体35の上面の連結部37は、前記連結体34の下端部に軸受38を介して回動可能に連結されている。パチンコ台支持具S1 とパチンコ台押付具Tとで、パチンコ台Pの上端部を支持するパチンコ台支持機構が構成される。このため、昇降シリンダ31のロッド32を突出させて、押付体33を構成する一対の押付部材36をパチンコ台Pの上端面P3 に対して押し付けることにより、回動式ローラコンベア単体D1 に垂直に載せられたパチンコ台Pの垂直姿勢を維持できる。また、パチンコ台検査装置Aに対してパチンコ台Pを搬入・搬出させる際には、昇降シリンダ31のロッド32を引っ込めて、パチンコ台Pの上端面P3 に対して一対の押付部材36を離間させておく。
【0024】
なお、パチンコ台Pの走行部Bは、図1及び図8に示されるように、フレームFの中間棚部71に固定配置された固定式ローラコンベア単体D2 と、その直上のフレームFの上端枠部72に固定配置されたパチンコ台支持具S2 とで構成され、固定式ローラコンベア単体D2 に載せられて駆動走行される検査済のパチンコ台Pの上端部は、パチンコ台支持具S2 の両側板部81のいずれかの内側に支持可能となって走行する。各パチンコ台検査装置Aを構成する回動式ローラコンベア単体D1 と、各走行部Bを構成する固定式ローラコンベア単体D2 とは、搬送方向Qに沿って一直線状に配置されて、ローラコンベアを構成している。なお、固定式ローラコンベア単体D2 のローラ3は、駆動回転される。
【0025】
そして、表面P1 を検査員の立つ側に向けて、パチンコ台検査装置Aに搬入されたパチンコ台Pは、回動式ローラコンベア単体D1 の複数のローラ3の上に垂直に支持された状態で、上端部は、パチンコ台支持具S1 の内部に配置されている。この状態で、昇降シリンダ31のロッド32の下降により、押付体33の一対の押付部材36がパチンコ台Pの上端面P3 を押し付けることにより、パチンコ台Pの垂直姿勢が維持される。また、パチンコ台支持具S1 に一体に取付けられた位置決め円板体13の一方の位置決め凹部21aには、加圧シリンダ23の加圧力により嵌合体22が押圧嵌合されることにより、回動式ローラコンベア単体D1 の直上に配置されたパチンコ台支持具S1 は、当該回動式ローラコンベア単体D1 と平行な関係を維持している。この状態で、パチンコ台Pの表面P1 の諸検査を行う。
【0026】
パチンコ台Pの表面P1 の検査の終了後には、図5及び図7(b)に示されるように、昇降シリンダ31のロッド32を上昇させて、押付体33の一対の押付部材36がパチンコ台Pの上端面P3 から離間させた状態(この状態が、図2及び図3で2点鎖線で示されている)で、検査員の手動によりパチンコ台Pを半回転させて、裏面P2 を検査員の立つ側Kに向ける。パチンコ台Pの回動中には、図4(b)に示されるように、加圧シリンダ23のロッド24の先端の嵌合体22は、位置決め円板体13の外周面に押圧されていて、パチンコ台Pの裏面が検査員の立つ側Kを向くと、当該嵌合体22は、別の位置決め凹部21bに押圧嵌合されて、パチンコ台支持具S1 の搬送方向Qに沿った配置位置が維持される。この状態で、再度、昇降シリンダ31のロッド32の下降により、押付体33の一対の押付部材36によりパチンコ台Pの上端面P3 を押し付けて、パチンコ台Pの垂直姿勢を維持しておいて、パチンコ台Pの裏面P2 の検査を行う。
【0027】
このように、フレームFの上端枠部72に回動可能に支持されたパチンコ台支持具S1 は、パチンコ台Pの回動方向に沿ったいずれの位置においても、常にパチンコ台Pの上端部を支持していて、パチンコ台Pに対して昇降しないために、パチンコ台支持具S1 の下降時にパチンコ台の上端部が損傷されることはなくなると共に、パチンコ台Pの回動中において、当該パチンコ台Pが傾斜する等して、パチンコ台押付具Tによるパチンコ台Pの上端面P3 の押付けが解除されても、当該パチンコ台Pは、パチンコ台支持具S1 の側板部11により支持されているため、裏面側に過度に傾斜したり、或いは転倒したりしない利点がある。
【0028】
パチンコ台Pの裏面P2 の検査を終えた後には、再度、パチンコ台Pを半回転させて、表面P1 を検査員の立つ側Kに向け、この状態で、パチンコ台Pを側方の走行部Bに移動させる。
【0029】
なお、上記実施例では、パチンコ台支持具S1 は、断面がL字状をなしていて、パチンコ台支持具S1 からパチンコ台Pを表面P1 の側に取り出し易い構成になっているが、パチンコ台支持具S1 は、走行部Bのパチンコ台支持具S2 のように、断面コの状に形成して、表裏のいずれかの側にも過度に傾斜しない構成にすることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
A:パチンコ台検査装置
C:回動式ローラコンベア単体とパチンコ台支持具の共通の垂直回動軸心
1 :回動式ローラコンベア単体
F:フレーム
K:検査員の立つ側
P:パチンコ台
1 :パチンコ台の表面
2 :パチンコ台の裏面
3 :パチンコ台の上端面
Q:パチンコ台の搬送方向
1 :パチンコ台支持具(パチンコ台支持機構)
T:パチンコ台押付具(パチンコ台支持機構)
13:位置決め円板体(位置決め装置)
21a,21b:位置決め凹部
22:嵌合体(位置決め装置)
23:加圧シリンダ(位置決め装置)
24:加圧シリンダのロッド
31:昇降シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ台を直線搬送させる途中で停止させて、当該パチンコ台の表裏両面の各検査を同一場所で可能にすべく、検査ラインの検査部に組み込まれるパチンコ台検査装置であって、
前記パチンコ台を載せた状態で搬送可能であって、搬送方向に沿った中央部の垂直な回動軸心を中心にして回動可能にフレームの中間部材に支承された回動式コンベア単体と、
当該回動式コンベア単体に載せられたパチンコ台の垂直姿勢を維持させるべく、当該パチンコ台の上端部を支持するために前記フレームの上端部材に装着されたパチンコ台支持機構と、から成り、
当該パチンコ台支持機構は、
前記パチンコ台の過度の傾斜又は転倒を防止すべく、当該パチンコ台の上端部を支持して、前記フレームの上端部材に、前記回動式コンベア単体の回動軸心と同一の軸心を中心にして回動可能に支承されたパチンコ台支持具と、
前記パチンコ台支持具の内部に侵入した状態で、前記パチンコ台支持具の回動軸心位置に昇降可能に配置されて、当該パチンコ台支持具により垂直姿勢を確保されたパチンコ台の上端面を上方から押し付けるためのパチンコ台押付具と、を備え、
パチンコ台の検査時には、当該パチンコ台の上端面を前記パチンコ台押付具で押し付けた状態で、前記回動式コンベア単体とパチンコ台支持具とを一体にして回動させ、前記検査部に対するパチンコ台の搬入出時には、前記パチンコ台押付具をパチンコ台の上端面に対して離間させた状態で、前記回動式コンベア単体及びパチンコ台支持具を搬送方向に沿わせて配置して、前記検査部に対してパチンコ台の搬入出を行う構成であることを特徴とするパチンコ台検査装置。
【請求項2】
前記パチンコ台支持具の上方の部分に、当該パチンコ台支持具の回動軸心と同心となって一体に設けられた位置決め円板体と、前記フレームの上端部材における当該位置決め円板体の側方に配置されて、当該位置決め円板体の外周部の対向位置に形成された一対の位置決め凹部に対して付勢状態で嵌合される嵌合体がロッドの先端部に取付けられた加圧シリンダと、から成る位置決め装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ台検査装置。
【請求項3】
前記パチンコ台支持具は、断面L字状をなしていて、パチンコ台の表面の側は開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ台検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39145(P2013−39145A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175935(P2011−175935)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(592040767)有限会社伊藤鉄工所 (7)
【Fターム(参考)】