説明

パチンコ機

【課題】演出表示器を大型化しなくても画像の表示領域を拡大することができ、演出効果を高めることができるパチンコ機を実現する。
【解決手段】発射ハンドル4を構成する回動部材4hの表面に有機ELディスプレイ90が設けられており、演出表示器30が城が炎上する動画Z4を表示すると、有機ELディスプレイ90が燃え盛る炎を表現した演出画像Z3を表示する。このように、演出表示器30が表示する動画と関連する演出画像Z3を発射ハンドル4に表示することができるため、演出表示器を大型化しなくても画像の表示領域を拡大することができ、演出効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発射装置により発射された遊技球が始動口に入賞した場合に大当りかハズレかの大当り判定を行うとともに動画の表示を開始し、その開始から所定時間経過後に大当り判定の結果に対応する画像を表示する画像表示装置を備えたパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来のパチンコ機の正面説明図である。従来のパチンコ機600は、前枠609と、この前枠609に配置された遊技盤602と、この遊技盤602に配置された始動口603、演出表示器604および変動入賞装置606と、発射ハンドル601と、上受け皿605とを備える。遊技者が発射ハンドル601を操作して発射された遊技球が始動口603に入賞すると、始動口603に入賞した遊技球を検出するスイッチがオンし、制御基板(図示省略)に搭載されたマイクロコンピュータが、大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)を行う。
【0003】
そして、演出表示器604が動画の表示を開始し、その途中で複数の図柄を配列して成る図柄列の変動表示(スクロール表示ともいう)を開始する。たとえば、連続した異なる数字(たとえば、0〜9)を表現した図柄を配列して成る図柄列を画面上の横方向3箇所の表示領域において、数字の昇順に画面の上から下へ移動するように表示する。また、機種によっては、画面の右から左へ移動するように図柄列を表示する。
【0004】
そして、演出表示器604が画像列の変動表示を開始してから所定時間経過すると、各表示領域において図柄列の変動表示が停止し、前述したマイクロコンピュータによる大当り判定の結果に対応する図柄が各表示領域に確定表示される。たとえば、大当り判定の結果が大当りであった場合は、各表示領域に「7」が確定表示され、表示領域全体で「777」の同一数字から成る大当り図柄が確定表示される。また、抽選結果がハズレであった場合は、表示領域全体で「767」など、同一数字で揃っていないハズレ図柄が確定表示される。
【0005】
なお、確定表示とは、大当り判定の結果を示す図柄が確定された表示状態のことであり、図柄列が再変動することのない表示状態のことである。以下、図柄列の変動表示が各表示領域においてそれぞれ開始されてから、大当り図柄またはハズレ図柄が各表示領域において確定表示されるまでを1回の変動表示と数える。
【0006】
演出表示器604が大当り図柄を確定表示すると大当りが発生し、変動入賞装置606が開閉部材607を開作動させ、大入賞口608を開口させる。大入賞口608は、遊技球の入賞領域が普通の入賞口よりも大きいため、入賞が容易になる。遊技球が大入賞口608に入賞すると、パチンコ機600の内部に設けられた賞球払出装置から所定個数の賞球が上受け皿605に払出される。そして、大入賞口608に規定数(たとえば、10個)の遊技球が入賞したという条件、あるいは、大入賞口608の開口時間が規定時間(たとえば、約30秒)に達したという条件が満足されると、開閉部材607が閉成し、大入賞口608が閉口する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−315918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のパチンコ機では、演出表示器による演出効果を高めるため、演出表示器の画面が大型化する傾向にある。
しかし、遊技盤の大きさには制約があるため、演出表示器が大型化すると、遊技球の流下領域が狭くなるという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、上記の問題を解決するために創作されたものであり、演出表示器を大型化しなくても画像の表示領域を拡大することができ、演出効果を高めることができるパチンコ機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、この出願の請求項1に係る発明では、遊技球の流下領域が形成された遊技盤(5)と、前記流下領域へ遊技球を発射する発射装置(4f)と、遊技者が手で操作可能であり、前記発射装置の発射強度を調節するための発射強度調節部材(4)と、前記遊技盤に設けられた入賞口(17〜20)および始動口(21,22)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞したときに大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)を行うマイクロコンピュータ(51)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞した場合に動画の表示を開始し、その開始から所定時間経過後に前記大当り判定の結果に対応する画像を表示する画像表示装置(30)と、前記遊技盤に設けられており、遊技球の入賞領域が前記入賞口よりも大きい大入賞口(24a,25a)を有し、前記マイクロコンピュータによる大当り判定の結果が大当りであり、その大当りに対応する画像を前記画像表示装置が表示した場合に前記大入賞口を所定回数開閉するように構成された変動入賞装置(24,25)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口または始動口に入賞したときに、当該パチンコ機の内部から、当該パチンコ機にて遊技を行う遊技者が視認可能な領域へ賞球を払出す賞球払出装置(38c)と、を備えたパチンコ機(1)において、
前記発射強度調節部材の表面の少なくとも一部(4h)が有機ELディスプレイ(90)であるという技術的手段を用いる。
なお、有機ELディスプレイのELは、Electro-Luminescenceの略である。以下同じ。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のパチンコ機(1)において、前記有機ELディスプレイ(90)が前記動画と関連のある画像を表示するという技術的手段を用いる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のパチンコ機(1)において、前記一部が曲面であり、フレキシブルな前記有機ELディスプレイが前記曲面と一体化しているという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のパチンコ機(1)において、当該パチンコ機(1)にて遊技を行う遊技者が操作可能な操作部材(9)が備えられており、前記操作部材を操作することにより、前記有機ELディスプレイ(90)に表示される画像が変化するように構成されているという技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のパチンコ機(1)において、前記有機ELディスプレイ(90)が、有機ELディスプレイ本体(92)と、その表面を覆う透明の保護層(91)とを備えるという技術的手段を用いる。
【0015】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1に係る発明の効果)
請求項1に係る発明を実施すれば、遊技球を発射する発射装置の発射強度を調節するための発射強度調節部材の表面の少なくとも一部が有機ELディスプレイであるため、画像表示装置のみでは不足していた表示領域を有機ELディスプレイによって補うことができる。
したがって、画像表示装置を大型化しなくても画像の表示領域を拡大することができ、演出効果を高めることができる。
【0017】
(請求項2に係る発明の効果)
請求項2に係る発明を実施すれば、有機ELディスプレイが画像表示装置の動画と関連のある画像を表示するため、画像表示装置による演出効果を高めることができる。
【0018】
(請求項3に係る発明の効果)
請求項3に係る発明を実施すれば、発射強度調節部材の表面のうち、曲面の部分にも有機ELディスプレイを一体化するように配置することができる。
したがって、発射強度調節部材の表面に有機ELディスプレイを配置するために、発射強度調節部材の形状として曲面を使うことができる領域の制約が生まれるおそれがない。
【0019】
(請求項4に係る発明の効果)
請求項4に係る発明を実施すれば、操作部材を操作すると、有機ELディスプレイに表示される画像が変化するため、画像表示装置だけでは成し得なかった演出を行うことができるので、演出効果を高めることができる。
【0020】
(請求項5に係る発明の効果)
請求項5に係る発明を実施すれば、有機ELディスプレイ本体の表面が透明の保護層により覆われているため、遊技者が手で有機ELディスプレイの表面を押圧するなど、外部接触から有機ELディスプレイ本体を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施形態に係るパチンコ機1を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4の斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4を右方向から見た説明図である。
【図4】(a)は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4を回動中心に沿って縦方向に切断した断面図であり、(b)は(a)に示す発射ハンドル4に設けられた有機ELディスプレイ90の縦断面を拡大して示す説明図である。
【図5】(a)は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4の正面図であり、(b)は(a)においてCで示す部分の縦断面を拡大して示す説明図である。
【図6】図1に示すパチンコ機1に設けられた遊技盤5の正面図である。
【図7】図1に示すパチンコ機1に設けられた遊技盤5の斜視図である。
【図8】図6において可動部材40が下降した状態を示す正面図である。
【図9】(a)は図6に示す遊技盤5に設けられた第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25を拡大して示す正面図であり、(b)は図6に示す遊技盤5に設けられた特別図柄表示装置31などを拡大して示す正面図である。
【図10】図1に示すパチンコ機1の主な電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図11】図1に示すパチンコ機1の主な電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図12】(a),(b)は発射ハンドル4の平面図である。
【図13】従来のパチンコ機600の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態に係るパチンコ機について説明する。
[主要構成]
この実施形態に係るパチンコ機の主要構成について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係るパチンコ機1を斜め前方から見た斜視図である。
【0023】
パチンコ機1の左側にはプリペイド記録媒体読取装置100が設けられている。パチンコ機1には、外殻を構成する外枠セット8が設けられており、この外枠セット8の前面には前枠2が設けられている。また、前枠2には天板1aが備えられており、その天板1aの左端前方には回動軸部材1bが設けられている。前枠2には透明のガラス枠3が、回動軸部材1bを回動軸にして開閉可能に取付けられている。
【0024】
前枠2は、遊技盤(図6において符号5で示す)の盤面が露出するように開口形成されている。遊技盤はその盤面が露出するように前枠2に配置されている。前枠2の開口部分の裏面は、ガラス枠3によって覆われており、そのガラス枠3を通して遊技盤を視認できるようになっている。前枠2の前面右下方には、遊技盤5へ遊技球を発射する発射装置の発射強度を調節するための発射ハンドル4が取付けられている。
【0025】
遊技盤5の下方には、パチンコ機1の排出口6bから払出された賞球や貸球を貯留する上受け皿6が設けられている。上受け皿6の下方には、上受け皿6の貯留可能数を超えて内部から流下した遊技球を貯留する下受け皿7が設けられている。
【0026】
前枠2には、払出すべき遊技球が無いことを報知する球切れLED13と、遊技球の払出しの異常を報知する払出異常LED14とが設けられている。また、前枠2には、効果音を発生する右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが設けられている。
【0027】
プリペイド記録媒体読取装置100には、プリペイド記録媒体の利用が可能であることを示す利用ランプ101と、貸出金額の単位(たとえば、100円、200円、300円、500円)の選択を行うための金額設定ボタン102と、金額設定ボタン102により選択した貸出金額を表示する貸出金額表示部103と、100円未満の残高およびメンテナンス情報を度数表示部6eに表示させる場合に押す端数表示ボタン104と、プリペイド記録媒体読取装置100が接続されるパチンコ機1の方向を示す連結台方向表示ランプ105とが設けられている。
【0028】
また、プリペイド記録媒体読取装置100には、プリペイド記録媒体がパチンコ機1に対応していることを示す表示ランプ106と、プリペイド記録媒体を挿入する挿入口108と、挿入口108にプリペイド記録媒体が挿入されていることを示す挿入中ランプ107とが設けられている。プリペイド記録媒体読取装置100の内部には、挿入口108から挿入されたプリペイド記録媒体を装填する装填装置(図示省略)が設けられている。プリペイド記録媒体としては、プリペイドカードまたはプリペイドコインなどが使用される。
【0029】
挿入口108から挿入されたプリペイド記録媒体は、その端部が挿入口108から突出しない状態で上記の装填装置に装填されるため、装填装置が故障すると、プリペイド記録媒体を返却することができなくなる。そこで、装填装置は、挿入口108を含む前面パネルの一部と共に前面に引き出し可能に構成されている。装填装置は、普段はロック機構によって引き出し不能になっているが、プリペイド記録媒体読取装置100に設けられた鍵穴109から鍵を差し込んでロック状態を解除することができるように構成されている。
【0030】
[発射ハンドル4の構造]
次に、発射ハンドル4の構造について図を参照して説明する。
図2は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4の斜視図である。図3は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4を右方向から見た説明図である。図4(a)は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4を回動中心に沿って縦方向に切断した断面図であり、(b)は(a)に示す発射ハンドル4に設けられた有機ELディスプレイ90の縦断面を拡大して示す説明図である。図5(a)は図1に示すパチンコ機1に設けられた発射ハンドル4の正面図であり、(b)は(a)においてCで示す部分の縦断面を拡大して示す説明図である。
【0031】
発射ハンドル4は、前面カバー4aと、発射レバー4bと、回動部材4hと、有機ELディスプレイ90と、タッチセンサホルダ4dと、タッチスイッチ4j(図4)と、取付部材4iとを備える。前面カバー4aは、遊技者の掌をあてがう部分であり、前方へ膨出した球面に形成されている。前面カバー4aは回動不能に固定されている。回動部材4hは、円筒形状に形成されており、回動自在に設けられている。回動部材4hの周面には、遊技者の指を掛けるための3個の発射レバー4bが突出形成されている。
【0032】
前面カバー4aと回動部材4hとの間には、遊技者の手が触れたことを検出するためのタッチセンサホルダ4dが設けられている。図4に示すように、発射ハンドル4の内部には、タッチセンサホルダ4dと電気的に接続されたタッチスイッチ4jが設けられている。タッチセンサホルダ4dは、回動部材4hと略同径の円筒形状に形成されており、前面カバー4aの周縁からタッチセンサホルダ4dおよび回動部材4hの外周面までが略面一となっている。図3に示すように、発射ハンドル4の後端からは、筒状の取付部材4iが延びており、その取付部材4iは、前枠2に開口形成された挿入口2aに挿入されており、前枠2の内部において固定されている。
【0033】
回動部材4hの表面には、有機ELディスプレイ90が設けられている。有機ELディスプレイ90は、円筒形状の回動部材4hの表面と一体化して設けられている。図4(b)および図5(b)に示すように、有機ELディスプレイ90は、回動部材4hの表面と一体的に設けられた有機ELディスプレイ本体92と、その有機ELディスプレイ本体92の表面を覆う透明の保護層91とを備える。この実施形態では、保護層91は、透明の合成樹脂により形成されている。
【0034】
有機ELディスプレイ本体92は公知の構造である。たとえば、有機ELディスプレイ本体92は、薄板でフレキシブルのプラスチック基板と、このプラスチック基板上に配置された薄板でフレキシブルのガラス基板と、このガラス基板上に配置されたフレキシブルの透明電極と、この透明電極上に配置されたフレキシブルの有機ELと、この有機EL上に配置されたフレキシブルの電極と、この電極および有機ELを封止するフレキシブルのガスバリア層と、このバスバリア層を覆うフレキシブルの保護フィルムとを備える。また、この実施形態では、保護層91は、透明で硬質のプラスチックにより形成されている。
【0035】
[遊技盤の主要構成]
次に、パチンコ機1に備えられた遊技盤の主要構成について図を参照して説明する。
図6は図1に示すパチンコ機1に設けられた遊技盤5の正面図である。図7は図6に示す遊技盤5を斜め前方から見た斜視図である。図8は図6に示す遊技盤5に設けられた可動役物40が下降した状態を示す正面図である。図9(a)は図6に示す遊技盤5に設けられた第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25を拡大して示す正面図であり、(b)は図6に示す遊技盤5に設けられた特別図柄表示装置31などを拡大して示す正面図である。
【0036】
遊技盤5の盤面には、遊技球が流下する遊技領域が形成されており、遊技球の流下経路は、遊技盤5の盤面に打ち込まれた多数の遊技釘28によって規制されている。遊技盤5の盤面の周囲には、発射ソレノイド(図10において符号4fで示す)などの発射装置によって発射された遊技球を遊技領域に案内するためのレールセット15が設けられている。
【0037】
遊技盤5の中央には、ハウジングであるセンター飾り16が設けられている。このセンター飾り16は、図7に示すように盤面から前方へ突出する立体形状に形成されており、遊技領域の中央領域を占有している。センター飾り16には、演出表示器30が設けられている。演出表示器30は、演出図柄の変動表示、確定図柄の確定表示、各種の演出画像の表示および保留数の表示などを行う。
この実施形態では、演出表示器30は、液晶表示器により構成されている。なお、LEDをドットマトリクス状に配置したドット表示器、7セグメントLED、有機ELディスプレイなどを演出表示器30として用いることもできる。
【0038】
センター飾り16の左端には、遊技球がセンター飾り16の内部に流入可能な流入口16bが開口形成されている。センター飾り16の下部には、流入口16bからセンター飾り16の内部に流入した遊技球が遊技領域に流出する流出口16cが開口形成されている。盤面の左側には、レールセット15の内周に沿って左サイド飾り36が設けられている。左サイド飾り36とセンター飾り16との間には、遊技球が流下する左寄り遊技領域が形成されている。その左寄り遊技領域には、遊技球の流下経路を変化させる風車35が回転自在に設けられている。
【0039】
左サイド飾り36には、左袖上入賞口17と、左袖入賞口18と、左下入賞口19とが設けられている。センター飾り16の左外面には、遊技球がセンター飾り16の内部に流入可能な流入口16bが開口形成されている。図8に示すように、センター飾り16の内部には、流入口16bから流入した遊技球を案内するための案内通路16eが設けられている。センター飾り16の左内面には、案内通路16eによって案内された遊技球を流出させるための流出口16cが開口形成されている。
【0040】
センター飾り16の下部には、流出口16cから流出した遊技球が転動するためのステージ16dが設けられている。流出口16cから流出した遊技球は、ステージ16dの上を流下経路R2にて流下し、流下経路R3〜R5のいずれかに沿って流下する。ステージ16dの直下であって、流下経路R3に沿った箇所には、中始動口21が設けられている。遊技状態が確変遊技状態に変化しているときに遊技球が中始動口21に入賞すると、現在の確変遊技状態から通常遊技状態へ転落するか否かを決定するための抽選、いわゆる転落抽選が行われる。ステージ16dの上方には、流出口16cから流出した遊技球以外の遊技球がステージ16dに落下しないようにするための防護部材16fが設けられている。センター飾り16の上面には、案内部16aが形成されており、案内部16aに乗った遊技球は、流下経路R1に沿って、センター飾り16の右方に形成された右寄り遊技領域(流下領域)へ案内される。
【0041】
盤面の右側には、右サイド飾り37が設けられており、その右サイド飾り37には、ゲート23および右肩入賞口20が設けられている。右寄り遊技領域のセンター飾り16には、普通電動役物27が設けられている。普通電動役物27は、翼形状の開閉翼片27cを備えている。開閉翼片27cは、その基部が回動可能に軸支されており、その基部の回動によって先端を外方(図中では右方)へ開いたり内方(図中では左方)へ閉じたりする。
【0042】
開閉翼片27cが外方へ開くと、その開いた開閉翼片27cとセンター飾り16との間に右始動口22が形成される。図2は、開閉翼片27cが外方へ開き、右始動口22が形成された状態を示す。遊技状態が確変遊技状態に変化しているときに遊技球が右始動口22に入賞すると、現在の確変遊技状態から通常遊技状態へ転落するか否かを決定するための抽選、いわゆる転落抽選が行われる。遊技盤5の下方には、どこにも入賞などしなかった遊技球を回収するためのアウト口26が開口形成されている。
【0043】
演出表示器30の上方であってセンター飾り16の中央には、LEDによって装飾された可動役物40が設けられている。図8に示すように、可動役物40の両端は、支持部材40a,40aによって支持されている。可動役物40は、演出表示器30が表示する特定の演出に連動して演出表示器30の前面に自然落下し、モータ(図11において右リフトモータ40dおよび左リフトモータ40fで示す)などの昇降装置によって上昇して落下前の原点に復帰する(図6)。
【0044】
また、可動役物40は、モータ(図11において家紋モータ40bで示す)およびカム機構(図示せず)などの駆動装置によって振動する。図8に示すように、可動役物40の背面には、LEDによって装飾された可動役物43が設けられている。可動役物43は、モータ(図11において万華鏡モータ43aで示す)などの駆動装置によって回転し、可動役物40が落下すると、その背後から出現する。また、センター飾り16の両側には、可動役物41,42が設けられている。可動役物41,42は、それぞれモータ(図11において左竜モータ41aおよび右竜モータ42aで示す)などの駆動装置によって作動する。
【0045】
また、図7に示すように、センター飾り16の下部であって、演出表示器30の前面下部には、箱状の収納部材46が設けられている。この収納部材46の内部には、図8に示す可動役物44,45が収納されている。可動役物44,45は、それぞれモータ(図11において扉左モータ44aおよび扉右モータ45aで示す)などの駆動装置によって左右方向へ移動する。可動役物44,45は、合体したときに一つの意匠を構成する。
【0046】
収納部材46の正面および背面は、透光性材料によって形成されており、遊技者が可動役物44,45の状態を視認できるようになっている。また、相互に離反した可動役物44,45間に形成された空間の奥には、LEDにより装飾された装飾部材(図示省略)が設けられており、可動役物44,45が相互に離反したときに装飾部材の各LEDが点灯または点滅するようになっている。
【0047】
この実施形態では、可動役物40は、家紋を模した形状に形成されており、可動役物40を装飾しているLEDが点灯することによって家紋が浮き出るように構成されている。また、可動役物43は万華鏡を模した形状に形成されており、可動役物43を装飾しているLEDが点灯または点滅することにより、あたかも万華鏡を覗いているように見える演出を行う。また、可動役物41,42は、それぞれ竜の頭を模した形状に形成されており、前述した駆動装置によって竜が口を開閉する。
【0048】
図8は、可動役物41,42が作動し、一対の竜がそれぞれ口を開けた状態を示す。また、可動役物41,42の内部には、それぞれLED41c,42cが設けられており、そのLEDが点灯することにより、あたかも竜が火を吹くように見える演出を行う。また、可動役物44,45は、それぞれ扉形状に形成されており、各前面には竜の一部がそれぞれ描かれている。そして、可動役物44,45が合体すると、竜が完成するようになっている。
【0049】
上述した各可動役物40〜45は、遊技中の所定のタイミングで動作して演出効果を高める。また、各可動役物40〜45は、大当りの発生の予告、大当りの発生の示唆、演出表示器30が大当り発生の確率が高い演出画像を表示することの予告など、各種の報知および予告を行う。
【0050】
図6において中始動口21と右肩入賞口20との間(図中において符号Bで示す破線で囲まれた領域)には、図9(a)に示すように、第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25が上下に重ねて設けられている。第1変動入賞装置24は、横長板状の第1開閉部材24dを備えており、この第1開閉部材24dは、ソレノイド(図10において第1大入賞口ソレノイド24bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第1開閉部材24dが開放すると、第1大入賞口24aが開口する。
【0051】
第2変動入賞装置25は、横長板状の第2開閉部材25dを備えており、この第2開閉部材25dは、ソレノイド(図10において第2大入賞口ソレノイド25bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第2開閉部材25dが開放すると、第2大入賞口25aが開口する。図9(a)は、第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aがそれぞれ開口した状態を示す。第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aは、大当りが発生したときに開口する。この実施形態では、第1開閉部材24dおよび第2開閉部材25dは、それぞれ横長の板状に形成されており、両側の下端を軸にして前後に開閉するように構成されている。
【0052】
図6において左サイド飾り36の左袖上入賞口17の左側(図中において符号Aで示す破線で囲まれた領域)には、図9(b)に示すように、特別図柄表示装置31と、普通図柄表示装置33と、普通図柄保留数表示装置34とが設けられている。
この実施形態では、特別図柄表示装置31、普通図柄表示装置33および普通図柄保留数表示装置34は、それぞれLEDにより構成されているが、液晶表示装置などにより構成することもできる。
【0053】
特別図柄表示装置31は複数(たとえば、図5(b)に示すように7個)のLEDにより構成されており、それらのLEDは、遊技球が中始動口21または右始動口22に入賞すると所定の点滅パターンで点滅する。それらのLEDが点灯したときの発光色および消灯したときのLEDの地の色が特別図柄を構成し、LEDが点滅している状態が、特別図柄が変動表示している状態である。
【0054】
特別図柄表示装置31は、各LEDをランダムに点滅させ、その点滅が停止したときに点灯しているLEDおよび消灯しているLEDの組合せが特定の組合せであるときに大当りが発生し、その組合せの種類によって大当りの種類が異なる。大当りの種類は、大当り遊技において実行可能な最大ラウンド数、通常大当り、確変大当りおよび時短のうちの2つ以上を組み合わせて構成されている。
【0055】
また、大当りの種類によって第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25のどちらかが動作して大当り遊技が行われる。
ここで、時短とは、特別図柄が変動表示を開始したタイミングから変動表示を終了したタイミングまでに要する時間が短縮され、かつ、普通図柄が変動表示を開始してから変動表示を終了するまでに要する時間が短縮された遊技状態をいう。
【0056】
特別図柄表示装置31が特別図柄を変動表示しているときに遊技球が中始動口21または右始動口22に入賞したときは、その入賞に基づく特別図柄の変動表示は直ぐに実行されず、一旦保留される。その保留数は、演出表示器30によって表示される。
【0057】
[パチンコ機の主な電気的構成]
次に、パチンコ機1の主な電気的構成についてそれをブロックで示す図10および図11を参照して説明する。
【0058】
図10に示すように、主制御基板50には、主制御用MPU51が搭載されている。主制御用MPU51は、主制御用CPU52と、主制御用ROM53と、主制御用RAM54とを備える。
【0059】
主制御用CPU52は、大当り判定、確変大当り判定、転落抽選、転落抽選に当選した場合の遊技状態の設定、大当り図柄の抽選、ハズレ図柄の抽選、入賞の検出、ゲート通過の検出、普通図柄の当り判定、賞球の払出命令など、遊技の進行に必要な処理を実行する。主制御用CPU52は、確変遊技状態のときに遊技球が中始動口21または右始動口に入賞したときは、転落抽選を行った後に大当り判定を行う。
【0060】
また、主制御用MPU51は、バックアップ電源端子VBBと、NMI(Non-Maskable Interrupt)端子とを備える。
主制御用ROM53には、主制御用CPU52が上記の各処理を実行するためのコンピュータプログラム、各制御基板へ送信する制御コマンド、大当り判定を行う際に参照する大当り値が設定された大当り値テーブル、転落抽選を行う際に参照する当り値が設定された当り値テーブル、各種の演出を行うときに参照する演出テーブルなどが読出し可能に記憶されている。
【0061】
主制御用RAM54は、主制御用CPU52が前述した各処理を実行するときに使用するワーク領域を有する。また、主制御用RAM54は、主制御用CPU52が前述した各処理を実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に記憶する。さらに、主制御用RAM54は、パチンコ機1に供給されている電源が遮断されたときにコンデンサ(図示省略)からバックアップ電源の供給を受け、確変大当り判定の結果など、電源遮断直前に記憶していたデータを記憶保持する。
【0062】
また、主制御基板50には、中始動口21に入賞した遊技球を検出する中始動口スイッチ21aと、右始動口22に入賞した遊技球を検出する右始動口スイッチ27aと、外部端子板503とが電気的に接続されている。主制御用CPU52は、大当りの発生回数、入賞数および特別図柄の変動回数などのデータを外部端子板503を介してホールコンピュータへ送信する。ホールコンピュータは、当該パチンコ機1が設置されたパチンコホールの管理室などに配置されている。
【0063】
また、主制御基板50には、図柄表示基板84が電気的に接続されている。図柄表示基板84には、特別図柄表示装置31と、普通図柄表示装置33と、普通図柄保留数表示装置34とが搭載されている。また、主制御基板50には、払出制御基板60と、セキュリティ中継端子板89と、電源基板76とが電気的に接続されている。
【0064】
セキュリティ中継端子板89には、不正行為において使用される誘導磁界を検出するための誘導磁界センサ500と、不正行為において使用される磁気を検出するための第1磁気センサ501と、第2磁気センサ502とが電気的に接続されている。
払出制御基板60には、下受け皿7が遊技球で満杯になった状態を検出するための下皿満杯スイッチ7bと、扉開放中継端子板86とが電気的に接続されている。扉開放中継端子板86には、ガラス枠セット3が開放された状態を検出するための扉開放スイッチ87と、外枠セット8が開放された状態を検出するための外枠開放スイッチ88とが電気的に接続されている。
【0065】
また、払出制御基板60には、払出中継端子板83が電気的に接続されており、払出中継端子板83には、遊技球を上受け皿6へ払出す部材を駆動するための払出モータ38cと、この払出モータ38cによって払出された遊技球を検出するための前部払出センサ38a,後部払出センサ38bと、払出モータ38cによって払出す遊技球が切れていることを検出する前部球切れスイッチ38d,後部球切れスイッチ38eとが電気的に接続されている。これらの前部払出センサ38a〜後部球切れスイッチ38eが賞球払出装置を構成している。
【0066】
払出制御基板60には、払出制御用MPU61が搭載されており、その払出制御用MPU61は、払出制御用CPU62と、払出制御用ROM63と、払出制御用RAM64とを備える。払出制御用CPU62は、主制御用MPU51から送信される払出制御コマンドに従って払出モータ38cを制御し、賞球および貸球の払出しを制御する。また、払出制御用CPU62は、前部払出センサ38aおよび後部払出センサ38bからそれぞれ出力される信号の変化を検出し、払出された賞球数および貸球数を計数する。また、払出制御用MPU61は、バックアップ電源端子VBBと、NMI(Non-Maskable Interrupt)端子とを備える。
【0067】
払出制御用ROM63には、払出制御用CPU62が実行するコンピュータプログラムなどが読出し可能に記憶されている。払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に記憶する。さらに、払出制御用RAM64は、未払いの賞球数および貸球数を記憶し、主電源77が遮断されたときに、未払いの賞球数および貸球数を記憶保持する。
【0068】
また、払出制御基板60には、プリペイド記録媒体の残り度数を表示する度数表示基板504が貸出装置接続端子板78を介して電気的に接続されている。貸出装置接続端子板78には、プリペイド記録媒体読取装置100(図1)が電気的に接続されている。
【0069】
さらに、払出制御基板60には発射制御基板4kが電気的に接続されており、発射制御基板4kには、遊技球を発射する発射装置を駆動する発射ソレノイド4fと、遊技球を発射位置へ供給する球供給装置を駆動する球送りソレノイド4gと、発射レバー4bの回動量に応じて発射装置4の発射強度を調節するための発射強度電子ボリューム4cと、遊技者が発射レバー4bに触れたことを検出するタッチスイッチ4dと、発射レバー4bの回動によってオンまたはオフし、発射ソレノイド4fを駆動する発射スイッチ4eとが電気的に接続されている。
【0070】
主制御基板50には、盤面中継端子板37が電気的に接続されており、その盤面中継端子板37には、左袖上入賞口17に入賞した遊技球を検出するための左袖上入賞口スイッチ17aと、左袖入賞口18に入賞した遊技球を検出するための左袖入賞口スイッチ18aと、左下入賞口19に入賞した遊技球を検出するための左下入賞口スイッチ19aと、右肩入賞口20に入賞した遊技球を検出するための右肩入賞口スイッチ20aと、第1大入賞口24aに入賞した遊技球を検出するための第1大入賞口スイッチ24cと、ゲート23を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ23aと、第2大入賞口25aに入賞した遊技球を検出するための第2大入賞口スイッチ25cと、第1変動入賞装置24を駆動するための第1大入賞口ソレノイド24bと、普通電動役物27を駆動するための普通電動役物ソレノイド27bと、第2変動入賞装置25を駆動するための第2大入賞口ソレノイド25bとが電気的に接続されている。
【0071】
図11に示すように、パチンコ機1には、演出制御基板400が設けられており、その演出制御基板400には、画像音声制御基板70と、盤面演出中継端子板82と、盤面LED中継端子板81と、補助演出駆動基板410と、演出電源基板79とが電気的に接続されている。演出制御基板400には、演出制御用CPU402を備えた演出制御用MPU401が搭載されている。演出制御用CPU402は、主制御用CPU52(図10)から送信された演出制御信号を受信し、その受信した演出制御信号を対応する基板に振り分ける処理などを行う。
【0072】
画像音声制御基板70には、液晶中継端子板30aを介して演出表示器30が電気的に接続されている。また、画像音声制御基板70には、有機ELディスプレイ本体92を駆動するための有機EL駆動回路93が電気的に接続されており、その有機EL駆動回路93には有機ELディスプレイ本体92が電気的に接続されている。さらに、画像音声制御基板70には、盤面演出中継端子板82が電気的に接続されており、その盤面中継端子板82には、枠部演出中継端子板85を介して右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが電気的に接続されている。また、枠部演出中継端子板85には、枠部LED駆動基板66を介して照光付演出スイッチ9aが電気的に接続されている。照光付演出スイッチ9aは、演出ボタン9を押圧操作したときにオンし、演出ボタン9に内蔵されているLEDを点灯させるスイッチである。
【0073】
画像音声制御基板70には、画像音声制御用MPU71および音量調節装置75が搭載されている。画像音声制御用MPU71は、画像音声制御用CPU72と、画像音声制御用ROM73と、画像音声制御用RAM74とを備える。画像音声制御用CPU72は、主制御用CPU52から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って演出表示器30を制御し、演出制御信号に対応する画像を演出表示器30に表示させる。
【0074】
また、画像音声制御用CPU72は、主制御用CPU52から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って有機EL駆動回路93を制御し、演出制御信号に対応する画像を有機ELディスプレイ本体92に表示させる。
また、画像音声制御用CPU72は、主制御用CPU52から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って各スピーカ10〜12を駆動し、演出制御信号に対応する効果音などを各スピーカ10〜12から出力させる。
【0075】
画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に記憶されている。また、画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブルが読出し可能に記憶されている。たとえば、画像音声制御用ROM73には、演出表示器30が演出内容を表示するためのコンピュータプログラムおよび有機ELディスプレイ本体92が演出内容を表示するためのコンピュータプログラムが読出し可能に記憶されている。
【0076】
画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に記憶する。音量調節装置75は、各スピーカ10〜12が出力する効果音などの音量を調節する音量調節つまみを備える。
【0077】
補助演出駆動基板410には、補助演出上中継端子板508と、補助演出右中継端子板68と、補助演出下中継端子板507とが電気的に接続されている。補助演出上中継端子板508には、可動役物40の背面に配置された可動役物43を回転させる万華鏡モータ43aと、その可動役物43が原点に復帰したことを検出する万華鏡原点センサ43bと、可動役物42を駆動する右竜モータ42aと、可動役物42が原点に復帰したことを検出する右竜原点センサ42bと、可動役物41を駆動する左竜モータ41aと、可動役物41が原点に復帰したことを検出する左竜原点センサ41bとが電気的に接続されている。
【0078】
補助演出右中継端子板68には、可動役物40を振動させる家紋モータ40bと、可動役物40の位置を検出する家紋位置確認センサ40cと、可動役物40を上昇させる右リフト(図示省略)を駆動する右リフトモータ40dと、右リフトが原点に復帰したことを検出する右リフト原点センサ40eとが電気的に接続されている。
補助演出下中継端子板507には、可動役物40を上昇させる左リフト(図示省略)を駆動する左リフトモータ40fと、左リフトが原点に復帰したことを検出する左リフト原点センサ40gと、収納部材46に収納された右側の可動役物45を移動させる扉右モータ45aと、その可動役物が原点に復帰したことを検出する扉右原点センサ45bと、左側の可動役物44を移動させる扉左モータ44aと、その可動役物44が原点に復帰したことを検出する扉左原点センサ44bとが電気的に接続されている。
【0079】
補助演出駆動基板410には、補助演出制御用MPU420が搭載されている。補助演出制御用MPU420は、補助演出制御用CPU421と、補助演出制御用ROM422と、補助演出制御用RAM423とを備える。補助演出制御用CPU421は、主制御用CPU52から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って可動役物40〜45などの動作を制御する。補助演出制御用ROM422には、補助演出制御用CPU421が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に記憶されている。また、補助演出制御用ROM422には、補助演出制御用CPU421がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブル(たとえば、可動役物40〜45などの動作パターン)が読出し可能に記憶されている。
【0080】
補助演出制御用RAM423は、補助演出制御用CPU421がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、補助演出制御用RAM423は、補助演出制御用CPU421がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に記憶する。
【0081】
また、パチンコ機1には、主電源(AC/24V)77に接続された電源基板76(図10)が備えられており、電源基板76は、主電源77から供給される電源を主制御基板50と、払出制御基板60と、演出電源基板79(図11)とに供給する。演出電源基板79は、電源基板76から供給される電源を演出電源基板79と電気的に接続された各基板へ分配する。盤面LED中継端子板81には、遊技盤5に設けられた装飾用の各LEDが搭載されている。
【0082】
[発射ハンドル4による演出例]
次に、発射ハンドル4による演出例について図を参照して説明する。
(演出例1)
図2および図3に示したように、発射ハンドル4の回動部材4hに設けられた有機ELディスプレイ90に演出画像Z3を表示することができる。たとえば、演出表示器30が特定の演出画像を表示している場合に、その演出画像と関連のある演出画像Z3を表示する。図示の例では、有機ELディスプレイ90には、炎を表現した演出画像Z3が表示されており、図6に示す演出表示器30の画面には、城が炎上しているような動画Z4が表示されている。演出画像Z3は、燃え盛る炎を表現した動画である。
【0083】
このように、燃え盛る炎を表現した動画を演出表示器30および有機ELディスプレイ90に表示することにより、城を燃やしている炎が発射ハンドル4に燃え移ったような演出を行うことができる。また、発射ハンドル4という遊技者が手で掴む部分が燃えているような演出を行うことができるため、演出効果を高めることができる。
【0084】
(演出例2)
図12(a),(b)は発射ハンドル4の平面図である。同図に示すように、遊技球を発射する方向を指示する指示画像Z2を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することができる。たとえば、第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25(図9(a))の少なくとも一方が開閉する遊技状態に変化したときに、遊技球がセンター飾り16の右側を流下するように、いわゆる右打ちを指示することができる。図12(a)に示す例では、有機ELディスプレイ90には、「右打ち」というメッセージから成る指示画像Z2が表示されており、遊技者に右打ちを指示している。指示画像Z2は、回動部材4hに沿って時計回りまたは反時計回りに移動するように表示することもできる。
【0085】
また、図12(b)に示すように、右向きの矢印を表示することにより、右打ちを指示することもできる。
このように、従来のパチンコ機では演出表示器30に表示しているメッセージを発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することができるため、その分、演出表示器30は演出画像の表示領域を拡大することができる。
【0086】
(その他の演出例)
(1)パチンコ機1の遊技状態を報知するための報知画像を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することもできる。たとえば、パチンコ機1が実行する演出モードが複数種類存在する場合に、「修羅モード突入」など、どの演出モードに変化しているのかを表す報知画像を表示することができる。
【0087】
(2)演出表示器30が変動表示する演出図柄と同じ図柄、あるいは、関連する図柄を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することもできる。たとえば、演出表示器30が、一〜九の漢数字を表現した演出図柄を配列した演出図柄列を、画面の横方向の3箇所においてそれぞれ画面の上から下へ数字の昇順に変動表示している場合に、演出図柄を配列した演出図柄列を時計回りまたは反時計回りに有機ELディスプレイ90に表示する。
【0088】
また、演出表示器30の画面において横方向に設定された3つの表示領域のうち、左右の表示領域における演出図柄の変動表示が停止し、左右の表示領域には大当り図柄を構成する同じ演出図柄が確定表示されており、中央の表示領域では演出図柄が変動中の状態、つまり、リーチ変動の状態になっているときに、上記の確定表示されている演出図柄と同じ演出図柄を有機ELディスプレイ90に表示する。このとき、有機ELディスプレイ90に表示する演出図柄は停止表示しても良いし、時計回りまたは反時計回りに移動するように表示しても良い。
【0089】
つまり、演出表示器30がリーチ変動を表示しているときに、演出表示器30が確定表示している演出図柄と同じ演出図柄を有機ELディスプレイ90に表示することにより、有機ELディスプレイ90に表示されている演出図柄と同じ演出図柄が演出表示器30の中央の表示領域に確定表示され、大当りが発生するのではないかと思わせるような演出を行う。つまり、大当りの発生を示唆する演出を行う。たとえば、演出表示器30が左右の表示領域において漢数字の七を表した演出図柄を確定表示しているときに、同じ漢数字の七を表した演出図柄を発射ハンドル4の有機ELディスプレイ90に表示する。
【0090】
(3)また、演出ボタン9を操作すると、有機ELディスプレイ90に表示される画像が変化するように構成することもできる。たとえば、演出ボタン9を操作すると、有機ELディスプレイ90に表示される動画が停止したり、動画の速度が遅くなったりするように構成することができる。また、演出ボタン9を操作すると、有機ELディスプレイ90に表示される静止画像や動画の種類が変更されるように構成することもできる。
このような構成を用いれば、演出表示器30だけでは成し得なかった演出を行うことができるため、演出効果を高めることができる。
【0091】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ機1を実施すれば、発射ハンドル4の表面の少なくとも一部が有機ELディスプレイ90であるため、演出表示器30のみでは不足していた表示領域を有機ELディスプレイ90によって補うことができる。
したがって、演出表示器30を大型化しなくても画像の表示領域を拡大することができ、演出効果を高めることができる。
【0092】
(2)しかも、有機ELディスプレイ90が演出表示器30の動画と関連のある画像を表示するようにすれば、演出表示器30による演出効果を高めることができる。
【0093】
(3)また、発射ハンドル4の表面のうち、曲面の部分にも有機ELディスプレイ90を一体化するように配置することができる。
したがって、発射ハンドル4の表面に有機ELディスプレイ90を配置するために、発射ハンドル4の形状として曲面を使うことができる領域の制約が生まれるおそれがない。
【0094】
(4)さらに、有機ELディスプレイ本体92の表面が透明の保護層91により覆われているため、遊技者が手で有機ELディスプレイ90の表面を押圧するなど、外部接触から有機ELディスプレイ本体92を保護することができる。
【0095】
〈他の実施形態〉
(1)発射ハンドル4を構成する前面カバー4a、または、発射レバー4b、または、タッチセンサホルダ4dの表面に有機ELディスプレイ90を設けることもできる。
【0096】
(2)演出表示器30が演出図柄を変動表示している途中で遊技球が中始動口21または右始動口22に入賞した場合は、その入賞による演出図柄の変動表示は直ぐには実行されず、一旦保留されるが、その保留数を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することもできる。この場合、保留数は、数字で表しても良いし、画像の数で表しても良い。
【0097】
(3)大当りが発生すると、第1大入賞口24aまたは第2大入賞口25a(図9(a))が開閉し、大入賞口が開口してから閉口するまでを1ラウンドとした場合に複数のラウンドを実行するが、そのラウンド数を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することもできる。
【0098】
(4)第1ラウンドの開始から最終ラウンドの終了までの遊技を大当り遊技とした場合に、特定の大当り図柄にて大当りが発生した場合は、当該大当りに基づく大当り遊技が終了した以降の遊技状態が、大当りの発生確率の高い遊技状態に変化する。このように大当りの発生確率が高い遊技状態を確変遊技状態とした場合に、遊技状態が確変遊技状態に変化したことを表す画像、あるいは、その変化を示唆する画像を発射ハンドル4に設けた有機ELディスプレイ90に表示することもできる。
【0099】
(5)パチンコ機1が、遊技状態が確変遊技状態に変化してから演出表示器30が行う演出図柄の変動回数が特定の回数に達するまで確変遊技状態が継続する機種である場合に、変動回数をリアルタイムに有機ELディスプレイ90に表示することもできる。
【0100】
(6)確変遊技状態において遊技球が中始動口21または右始動口22に入賞したときに、遊技状態を現在の確変遊技状態から通常遊技状態に戻すか、あるいは、現在の確変遊技状態を維持するかを抽選(いわゆる、転落抽選)により決定する遊技構成を用いる場合に、その抽選の結果を表す画像、あるいは、その結果を示唆する画像を有機ELディスプレイ90に表示することもできる。
【0101】
(7)有機ELディスプレイ90に表示する画像は、前述した各画像に限定されるものではなく、宣伝広告などを表す画像でも良い。
【符号の説明】
【0102】
1・・パチンコ機(遊技機)、4・・発射ハンドル(発射強度調節部材)、
4a・・前面カバー、4b・・発射レバー、4d・・タッチセンサホルダ、
4h・・回動部材、5・・遊技盤、17・・左袖上入賞口(入賞口)、
21・・中始動口(始動口)、22・・右始動口(始動口)、
24・・第1変動入賞装置(変動入賞装置)、24a・・第1大入賞口(大入賞口)、
25・・第2変動入賞装置(変動入賞装置)、25a・・第2大入賞口(大入賞口)、
30・・演出表示器(画像表示装置)、90・・有機ELディスプレイ、
91・・保護層、92・・有機ELディスプレイ本体、Z2・・指示画像、
Z3・・演出画像、Z4・・動画。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の流下領域が形成された遊技盤と、
前記流下領域へ遊技球を発射する発射装置と、
遊技者が手で操作可能であり、前記発射装置の発射強度を調節するための発射強度調節部材と、
前記遊技盤に設けられた入賞口および始動口と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞したときに大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)を行うマイクロコンピュータと、
前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞した場合に動画の表示を開始し、その開始から所定時間経過後に前記大当り判定の結果に対応する画像を表示する画像表示装置と、
前記遊技盤に設けられており、遊技球の入賞領域が前記入賞口よりも大きい大入賞口を有し、前記マイクロコンピュータによる大当り判定の結果が大当りであり、その大当りに対応する画像を前記画像表示装置が表示した場合に前記大入賞口を所定回数開閉するように構成された変動入賞装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口または始動口に入賞したときに、当該パチンコ機の内部から、当該パチンコ機にて遊技を行う遊技者が視認可能な領域へ賞球を払出す賞球払出装置と、を備えたパチンコ機において、
前記発射強度調節部材の表面の少なくとも一部が有機ELディスプレイであることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記有機ELディスプレイが前記動画と関連のある画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記一部が曲面であり、フレキシブルな前記有機ELディスプレイが前記曲面と一体化していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパチンコ機。
【請求項4】
当該パチンコ機にて遊技を行う遊技者が操作可能な操作部材が備えられており、
前記操作部材を操作することにより、前記有機ELディスプレイに表示される画像が変化するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のパチンコ機。
【請求項5】
前記有機ELディスプレイが、有機ELディスプレイ本体と、その表面を覆う透明の保護層とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−27506(P2013−27506A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164982(P2011−164982)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(591142909)マルホン工業株式会社 (524)
【Fターム(参考)】