説明

パッシブ光ネットワークの装置および方法

波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDM−PON)のノード(20)は、波長分割多重式の光回線終端装置(OLT)(22)を備える。OLT(22)は、光インタフェース(23)を有し、複数の異なる波長チャネル(λ)を使用して、パッシブ光ネットワークの中の、複数の遠隔光ネットワークユニット(11)とインタフェース接続する。OLT(22)は、光波長チャネル(λ)に対応した複数の第1の電気式ポート(24)を有する。複数の第2ポート(33)は、少なくとも2つの事業者ネットワーク(40〜42)とインタフェース接続する。電子式のスイッチングマトリックス(30)は、第1ポート(24)と第2ポート(33)とを相互に接続し、これにより、任意の事業者(40〜42)は、ポイントツーポイント形式で任意の加入者にアクセスすることができる。ノード(20)における装置は、複数のモジュール(25)として形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ光ネットワークの装置と、装置をインストールおよびアップグレードする方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
パッシブ光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)は、通信システムのアクセスネットワークの1つのタイプである。PONは、典型的に、セントラルオフィス(中央局)を有し、中央局における光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)と呼ばれる装置がメトロネットワークまたはキャリアネットワークとインタフェースして接続する。光ファイバおよび光スプリッタによって、OLTは、複数の光ネットワークユニット(ONU:Optical Network Unit)に接続される。FTTH(Fiber To The Home)システムでは、ONUは加入者敷地内に配置され、またFTTC(Fiber To TheCurb)システムでは、ONUは道路脇のキャビネットの中に配置される。
【0003】
現在存在するPONは、非同期転送モード型のパッシブ光ネットワーク(APON:Asynchronous Transfer Mode PON)技術、広帯域PON(BPON:Broadband PON)技術、ギガビットPON(GPON:Gigabit PON)技術、およびイーサネット(登録商標)PON(EPON:Ethernet PON)技術を基盤としており、ITU−T(International Telecommunication Union)およびIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)によって標準化されている。多くのこれらのPON技術は、いずれかの形式の時分割多元接続技術を使用しており、波長チャネルの容量は、時分割形式で複数のONUの間で共有されている。
【0004】
より最近になって、波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDMPON)が提案されている。WDMPONは、複数の波長チャネルをサポートしている。PONにおける光ネットワークユニット(OLT)と各ONUとの間の通信には、別々の波長を割り当てることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヨーロッパ等の公開市場では、加入者は通信サービスの供給を受ける事業者を選択することができなければならないという要求条件がある。これは、インストールしなければならないネットワーク装置を複雑にするものである。なぜなら、中央局には、複数の事業者がそれぞれOLT装置をインストールしなければならない可能性があるからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの視点によれば、波長分割多重光アクセスネットワークのノードのための装置が提供され、この装置は、
複数の波長チャネルを使用して、パッシブ光ネットワークの中の複数の遠隔光ネットワークユニットとインタフェース接続するための光インタフェースと、光波長チャネルに対応した複数の第1の電気式ポートと
を備える波長分割多重式の光回線終端装置と、
少なくとも2つの事業者ネットワークにインタフェース接続するための複数の第2ポートと、
第1ポートと第2ポートとを相互接続するための電子式スイッチングマトリックスと
を備える。
【0007】
上記のような装置によって、波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDM−PON)の容量の、十分な、物理層「アンバンドリング」が可能になり、複数の事業者がポイントツーポイント形式で、任意の光ネットワークユニットまたは加入者にアクセスすることができるようになる。典型的には、各光ネットワークユニットと通信するためには、単一の波長チャネルが存在するであろう。または、複数の光ネットワークユニットのそれぞれと通信するためには、1対の波長チャネルが存在するであろう。
【0008】
波長分割多重式の光回線終端装置は、複数の光インタフェースを備え、それぞれが、複数の波長チャネルを使用して、複数の異なるパッシブ光ネットワークの中の複数の遠隔光ネットワークユニットとインタフェース接続するために、複数の光インタフェースのそれぞれの中で使用されている光波長チャネルに対応した複数の第1の電気式のポートが存在することが有利である。
【0009】
本装置は複数のモジュールとして形成されることが有利である。複数のモジュールのそれぞれは、波長分割多重式の光回線終端装置ユニットを備える。波長分割多重式の光回線終端装置ユニットは、光インタフェースの内の1つを提供し、その光インタフェースの中で使用されている光波長チャネルに対応した複数の第1の電気式ポートを有する。
【0010】
複数のモジュールのそれぞれは、そのモジュールの中の波長分割多重式の光回線終端装置ユニットの第1ポートと第2ポートとを相互接続するための電子式スイッチングマトリックスユニットを更に備えることが有利である。
【0011】
本装置をモジュラ形式にすることによって、pay−as−you−grow(成長に応じての拡張)モデルが可能になる。pay−as−you−growモデルでは、事業者は、サービスを要求する加入者に対してサービスを提供するのに必要なだけの装置をインストールすればよい。複数のモジュールのそれぞれの光インタフェースは、他のモジュールの光インタフェースから光学的にアイソレート(分離)されている。これにより、光インタフェースのいくつかまたは全てにおいて波長チャネルの共通なセットの再使用が可能になり、装置のコストが低減するという利点が得られる。
【0012】
複数のモジュールのそれぞれは、プラグインカード等の単一の物理ユニットであってよいし、または共同して動作して必要な機能を提供するように意図された、複数の物理ユニットまたはカードであってもよい。
【0013】
本発明の別の視点は、光アクセスネットワークをインストールする方法を提供する。光アクセスネットワークは、上記で定義したノードにおける、インストールするための装置を備え、接続を要求する、パッシブ光ネットワークの複数の光ネットワークユニットのそれぞれに対して、その光ネットワークユニットが使用する光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットに対して必要な事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するようにスイッチングマトリックスを設定する。
【0014】
本発明の別の視点は、光アクセスネットワークをアップグレードする方法を提供する。光アクセスネットワークは、上記で定義したノードにおける装置と、スイッチングマトリックスを有する。スイッチングマトリックスは、光ネットワークユニットが使用する光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットに対する第1の事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するように構成されている。本方法は、その光ネットワークユニットが使用する光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットに対して要求された異なる事業者ネットワークに対応した別の第2ポートとを相互接続するようにスイッチングマトリックスを再設定するステップを備える。
【0015】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下で説明する。これらは、例としてのみ示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDM−PON)および事業者のメトロネットワークに接続された中央局を備える通信システムを示す図である。
【図2】1組のモジュールによって実現される、図1に示す中央局の機能を示す図である。
【図3】1つのモジュールが複数のPONにサービスを提供する、図2の代替バージョンを示す図である。
【図4】図3に示すモジュールの内の1つをより詳細に示す図である。
【図5】新しいWDM−PONをインストールするように中央局装置を設定する方法のステップを示す図である。
【図6】ONUを異なる事業者ネットワークに接続するように中央局装置を設定する方法のステップを示す図である。
【図7】新しい事業者ネットワークに接続するように中央局装置を設定する方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施形態に従った通信システムを示す。この通信システムは、複数の波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDM−PON)10を備え、これらは、ともに光アクセスネットワークを形成する。各WDM−PON10は、アクセスネットワークとして使用して、加入者敷地内にサービスを提供することができる。各WDM−PONにおける主要なエンティティは、中央局(CO)20における光回線終端装置(OLT)22、分配ノード12、および複数の光ネットワークユニット(ONU)11である。ONUは、PONアーキテクチャのタイプに依存して、個々の加入者敷地内、または道路脇のキャビネットの中に配備される。
【0018】
中央局20は、異なる事業者に属するメトロ通信ネットワークまたはコア通信ネットワーク40、41、42にインタフェース接続する。事業者40〜42は異なる通信プロバイダであり、PON10によってサービスを提供される加入者に対して、競争して通信サービスを提供することができる。図1には、このようなネットワーク40の1つを詳細に示してある。典型的には、第1の事業者40は、インカンベント(既存事業者)として知られ、他の事業者41、42は、免許された他の事業者(OLO:Other Licensed Operator)として知られる。
【0019】
波長分割多重式のパッシブ光ネットワーク(WDM−PON)においては、中央局20とONU11との間の通信に対して、複数の波長チャネル(ラムダλと呼ばれる)が割り当てられる。有利な方式では、中央局20と単一のONU11との間の通信に対しては、単一のラムダが割り当てられる。1組の波長チャネルがOLTと遠隔のノード12との間で共通ファイバ13の上で搬送され、遠隔のノード12のところで1組のファイバ14の上にパッシブ的に逆多重化される。各ファイバ14は、ONU11に単一の波長チャネルを搬送する。双方向の通信は、種々の形式で達成することができる。これらは、各ONUに対して2つの波長チャネル使用する(すなわち、ダウンストリーム通信に対しては1つの波長チャネル、またアップストリーム通信に対しては異なる波長チャネルを使用する)、または単一の波長チャネルの時分割多重を使用する等である。
【0020】
OLT22は、PON10の中の1組のONU11に対して光インタフェース23をサポートしている。OLT22は、ファイバ13に接続され、1組の光波長チャネルの上で送信および受信を行う。各光波長チャネルは、CO20における光回線終端装置ユニット(OLT)22のところで終端される。OLT22はまた、1組の電気ポート24を有する。各ポート24は、ONU11の内のそれぞれの1つに対する入力パスまたは出力パスを形成する。典型的には、ポート24とONU11との間には1対1の関係が存在する。OLT22は光送信機を有し、光送信機は、ポート24から受信した、送信されるべきデータを表す電気信号を使用して光源からの光を変調する。OLT22はまた、光受信機を有し、光受信機は、光波長チャネルによって搬送されたデータ信号を検出し、データを電気信号としてポート24に出力する。典型的には、データは、光源の位相変調、周波数変調、または強度変調によって波長チャネルを通して搬送される。図1においては、COはN個のPON10に接続され、各PONの中の1組のONUに対して光インタフェース23をサポートしている。
【0021】
CO20の総合スイッチングマトリックス30は、OLT22の電気ポート24に接続され、また1組のポートを有し、それらは事業者ネットワーク40〜42のそれぞれに接続される。スイッチングマトリックス30によって、ONU11が使用するそれぞれの波長チャネルを表す任意のポート24と任意の事業者ネットワーク40〜42との間の相互接続が可能になる。スイッチングマトリックス30は、特定の事業者と、その事業者からのサービスを要求する全てのONU11との間のトラフィックのルーティングを行う。図1に示すように、1組のポート33は、インカンベント事業者のネットワーク40へのインタフェース34に接続されている。またスイッチングマトリックス30の別の組のポートは、事業者OLO1に対するインタフェースに接続され、スイッチングマトリックス30の更に別の組のポートは、事業者OLO2に対するインタフェースに接続されている。スイッチングマトリックス30は、単一の切り替えステージとして実現することができるが、または、図2および図3に示すように、複数のシーケンシャルスイッチングステージとして実現するのが有利である。スイッチングマトリックス30は、ONU11と事業者ネットワーク40〜42との間の信号の切り替えを電気の領域で実行する。
【0022】
制御装置31は、COから要求される接続性(例えば、ONUxはOLO1からのサービスを要求する、またONUyはOLO2からのサービスを要求する)を規定する外部の入力信号33に応答してスイッチングマトリックス30を設定する。制御装置31は、制御信号32を出力し、スイッチングマトリックスを設定して要求された接続性(コネクティビティ)を提供する。
【0023】
インタフェース装置34は、各事業者ネットワーク40〜42に対して提供される。各事業者40〜42は、自分自身のネットワーク40〜42を通して、どのようにトラフィックを伝送するかに関して、個別に決定することができる。典型的には、事業者は、いずれかの形の多重化(アグリゲーション:集約化)を使用して、各ONUに対する送受信の個々の接続を合波するであろう。または、コンセントレーション(すなわち、圧縮、またはビットレートの低減)を使用して、個々の接続のビットレートや、合波した接続のセットを削減することもできるであろう。インタフェース装置34は、事業者ネットワーク40に向かって転送する方向では、トラフィックを多重化(また集約化とも呼ばれる)する装置、または、オプションとして、トラフィックをコンセントレート(すなわち圧縮、またはトラフィックのビットレートを低減)する装置を含むことができる。インタフェース装置34はまた、CO20に向かって転送する方向に対しては、トラフィックを逆多重化する装置、またはオプションとして、トラフィックをデコンセントレート(すなわち、逆圧縮、またはトラフィックのビットレートを増加)する装置を含むことができる。インタフェース装置34は、CO20における1つ以上の回線カードとして実現することができる。事業者は、その事業者に対してサービスの提供を要求するONU11の数の増加に応じて、CO20における回線カードの数および/または容量を増加させることができる。
【0024】
インカンベントまたはOLO40〜42から要求される要求条件を満足するために、種々の異なる形式でトラフィックを多重化、またオプションとしてコンセントレートすることができる。この例としては次のものを含む。
【0025】
ラムダ/ユーザを基本として多重化(集約化)し、いずれのレベルのコンセントレーションも行わずに、適切な事業者に対して送信する。異なる集約化レベルを実行することができるであろう(例えば、8ラムダ/ユーザ@1Gに対して10Gbリンク、40Gb/32加入者)。
【0026】
インカンベント事業者の加入者に対して多重化(集約化)を行う。トラフィックはまた、同一のノードの中でコンセントレートすることができる。このようなトラフィックは、インカンベント光パケットメトロによってすぐに転送されるべきである。
【0027】
特定のOLOに対しては、インカンベントによって、多重化(集約化)、およびコンセントレートもまた行うことができる。この形式では、OLOは、インカンベントの転送サービスに依存して、そのトラフィックを事業者POP(Operator Point of Presencce)に向かって搬送するべきである。
【0028】
図2は、CO20の有利な構成を示す。この構成では、光回線終端装置機能22およびスイッチングマトリックス機能30は、1組のモジュール25にわたって分散している。複数のモジュール25のそれぞれは、WDMOLT機能220およびスイッチング機能300を備える。各WDMPONOLTユニット220は、図1に示したOLT22と同じ機能を提供するが、これは、単一のPON10がサービスを提供する1組のONUに対してだけである。OLT220は、ファイバ13と光学的にインタフェースし、1組の光波長チャネルの上で送信/受信を行う。OLTユニット220は光送信機を有し、光送信機は、送信するべきデータを表す電気信号を使用して光源からの光を変調する。OLTユニット220はまた、光受信機を有し、光受信機は、光波長チャネルによって搬送されたデータ信号を検出し、電気信号としてそのデータを出力する。典型的には、データは、光源からの光の位相変調、周波数変調、または強度変調によって、波長チャネルの上で搬送される。複数のモジュールのそれぞれは、最大数(例えば、128)までのONUにサービスを提供することができる容量を有するOLT22を有する。各OLTユニット22は、1組の電気ポート240を有する。各ポート240は、ONU11の内のそれぞれの1つに対する入力/出力パスである。ポート240とPON10の中ONU11との間には、1対1の関係がある。OLT220は、それぞれの通信方向に対してONU11毎に1つのポート240を有し、従ってONU11毎には2つのポートを有することが有利である。
【0029】
図1の中の示した、CO20の総合スイッチングマトリックス30は、ここでは1組のモジュール25の中に分散しており、複数のモジュールのそれぞれ25の中にはスイッチングユニット300が存在する。モジュール25の中のスイッチングユニット300は、2段系列の切り替えステージ321、322を有することができる。CO装置をモジュラ形式で構成することによって、CO20の機能は、ONU11との光インタフェースをサポートするOLT装置に関して、また、スイッチング機能は、加入者の事業者に対する接続をサポートする点に関して、さらなる加入者が光ネットワーク10に追加されるに従って、適切にアップグレードすることが可能になる。各スイッチングユニット321、322は、制御装置31から制御信号32を受信して、モジュールのスイッチングユニット321、322を設定し、必要な接続を実現する。
【0030】
図2はまた、事業者40〜42のそれぞれに対して異なるインタフェース装置34を設置(インストール)する場合に、事業者インタフェース装置34をモジュラ構成にする例を示している。
【0031】
図2は、CO20にインストールされている1組N個のモジュール25を示す。電気的な切り替えインタフェースまたはバス、26、27は、モジュール25の間を相互に接続し、これによって、それぞれのモジュール25の間で信号を交換することが可能になる。インタフェース27は、事業者ネットワークインタフェース34のそれぞれに接続される。
【0032】
モジュール25の中の切り替え器は、電気回線交換機であり、小型な集積化した厳密なノンブロッキング(Strictly Non Blocking)デバイスで形成される。1組N個の入力の1組N個の出力に対する接続を再設定するという問題は、任意の入力ポートと任意の出力ポートとの間の、可能な順列の内の1つを見いだすという問題である。このシナリオでは、区別されていない1グループK個の出力(例えば、1つのOLOに関連して)を有し、ここでは、例えば、単一のOLO(K個のポート)およびインカンベント((N−K)個のポート)を考慮して、出力ポートは区分されている。この形式では、異なるOLOプラスインカンベントの区分に基づけば、可能な順列の数は実質的に減少するであろう。この場合は、各入力を適切な事業者(インカンベントまたはOLOの内の1つ)に割り当てられている出力の内の1つに接続することで十分であるので、特定のユーザを特定の出力に切り替えるということは要求されない。
【0033】
図3は、モジュール25の代替の構成を示す。ここで、複数のモジュールのそれぞれ25は、より高い容量を有し、2つのOLTユニット220、221を備えている。OLTユニット220、221のそれぞれは、PON10に接続されている。さらなるスイッチングユニット323、324が提供されている。1つの例として、複数のモジュール25のそれぞれは、2×128のONUPONに接続することができ、サービスが提供されるONUの数は合計256になる。同一のモジュール25の中では、PON10の内の1つが使用している1組の波長チャネルは、別のPON10が再使用することができ、これにより、効率のよい周波数利用が可能になり、また、同じOLTモジュールをOLTモジュール220、221に対して使用することが可能になる。CO20は、図2および図3に示した異なるタイプのモジュールの混成を備えることができる。
【0034】
図4は、図3のモジュール25の内の1つを更に詳細に示したものである。OLTユニット220はPON10Aに接続され、OLTユニット221はPON10Bに接続されている。いくつかの数値が与えられているが、これらは例示の目的であって、限定する目的ではない。各OLTユニットは、1組128の入力電気ポート240と、1組128の出力電気ポート240とを有する。ここで、クロスポイントスイッチングユニット321、322は、ONUから事業者への方向の信号の切り替えに使用され、クロスポイントスイッチングユニット323、324は、事業者からONUへの方向の信号の切り替えに使用される。図4は、事業者40〜42のそれぞれに対して向けられた信号を出力する1組の出力ポート330を示す。同様に、1組の入力ポート332は、事業者40〜42のそれぞれからの入力信号を受信する。各スイッチングユニット321−324は、制御装置31から制御信号32を受信し、モジュールのスイッチングユニット321、322を設定して要求された接続を実行する。
【0035】
実施形態の中で記述した複数のモジュール25のそれぞれは、プラグインカード等の単一の物理ユニットであってもよいし、または複数の物理ユニットまたは複数のカード(例えば、1つのカードはOLTユニット22を備え、1つのカードはスイッチングユニット30を備える)であってもよく、これらは共同して動作して、複数のONU11に対するOLT機能と、スイッチング機能とを提供するように意図されている。モジュール、またはモジュールを形成するカードは、CO20における装置ラックにプラグインするように構成することが有利である。また、OLTユニット220は、光集積回路として実現された光素子を有するカードを備え、モジュールのコストおよび物理的サイズを低減することが有利である。また、光回路および電子回路の集積化(同一の「ダイ」の中に光および電子の機能を集積化できる可能性を含む)によって、単一のモジュールとすることができて、これにより物理的サイズを大幅に低減することができれば、更に有利である。上記で説明したように、本明細書の中で示すアーキテクチャは、各PON10A、10Bの中で同じ1組の波長チャネルの再使用を可能にするものであり、これにより、各OLTユニット220は同一のものであってよいことになる。
【0036】
本明細書の中で記述されているアーキテクチャは、波長アンバンドリングを提供する。再配置可能なノンブロッキングスイッチ(rearrangeably non−blocking switch)によって、単一のラムダの粒度で種々の事業者に対して波長チャネルをルーティングできる可能性が保証され、これにより、事業者は、少数ユーザに対しても、要求されたサービスを提供することができるようになる。各ユーザは、波長に基づいた、仮想的なポイントツーポイント接続を有することができる。またこのアーキテクチャによって、個々のユーザ、またはユーザのグループに対して、異なるデータレートおよび/または異なるプロトコルを提供するが可能になる(WDM−PONの透明性)。各ユーザは、1.25GHzの帯域幅を有することができ、またユーザ毎で異なる帯域幅、および異なるポート数を適用することもできる。WDM−PONOLT22、220からスイッチングマトリックス30、300へのリンクは、純粋に電気インタフェースである。これにより、スイッチングマトリックスの複雑さとインストールコストが低減される。
【0037】
図5は、中央局(CO)装置を設定する方法のステップを示す。最初にステップ101において、CO20において装置がインストールされ、必要な数のWDM−PON10および事業者をサポートする。モジュラ装置20に対しては、WDM−PONの数に対応した数のモジュール25をインストールする必要がある。スイッチングマトリックスは、各ONUに対して、そのONUに対応したポートが、要求された事業者に接続されるように設定される。後の時点で、更なる加入者がサービスを要求した場合には、追加的に1つのWDM−PON10、または複数のWDM−PONが必要になり、それによって、新しい加入者に対してサービスを提供する。ステップ103において、追加的な1つのモジュール25、または複数のモジュールがCOにインストールされ、新しい加入者にサービスを提供する。ステップ104において、スイッチングマトリックスは、新しい各ONUに対して、そのONUに対応したポートが、要求された事業者に接続されるように設定される。サービスを要求している加入者の数に整合した量の装置をインストールすればそれで十分であって、追加的な装置は、必要に応じて追加することができるということを理解することができる。
【0038】
図6は、ONUを新しい事業者ネットワークに接続するように中央局装置を設定する方法の各ステップを示す。以前に説明した本方法のステップ101、102、または101〜104を使用して、COは既に設定されているということを仮定している。ステップ111において、ONUは、異なる事業者からのサービスを要求する。例えば、このONUに接続されている加入者は、彼らの現在の事業者によって提供されているサービスの品質、またはコストに対して満足していない可能性がある。ステップ112において、スイッチングマトリックスは、そのONUに対応したポートが、要求された新しい事業者に接続されるように再設定される。追加的な装置は必要でない。このスイッチの設定は、要求された接続(例えば、ONUxはOLO1からのサービスを要求する)を規定する入力33に応じて行うことができる。制御装置32はこの要求をコマンドに翻訳して、モジュール25の中の個々のスイッチングユニットを再設定し、要求された接続を実行する。
【0039】
図7は、中央局装置を新しい事業者ネットワークに接続するように設定する方法のステップを示す。図5に記述した本方法のステップ101、102、または101〜104を使用して、COは既に設定されているということを仮定している。ステップ121において、新しい事業者OLOはCOに接続されることを希望する。ステップ122において、新しい1つの回線カード、または複数の回線カード34がCOにインストールされ、OLOに対するインタフェースをサポートし、トラフィックの、要求された多重化およびコンセントレーションを行う。ステップ123において、スイッチングマトリックスは、新しいOLOからサービスを要求しているONUに対応したポートが、要求された新しい事業者に接続されるように再設定される。スイッチの再設定は、要求された接続(例えば、ONUxはOLO1からのサービスを要求する)を規定する入力33に応答して行うことができる。制御装置32はこの要求をコマンドに翻訳して、モジュール25の中の個々のスイッチングユニットを再設定し、要求された接続を実行する。
【0040】
ここで開示した発明の変形および他の実施形態は、当業者にとって思いつくところであり、これらはこれまでの記述および関連する図面の中で示した教示の利益を有するものである。従って、本発明は開示した具体的な実施形態に限定されるものではなく、変形および他の実施形態は、本開示の範囲の中に含まれると意図されることが理解される。本明細書には具体的な用語が使用さているが、それらは一般的かつ記述的意味で使用されているだけであり、限定する目的ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アクセスネットワークのノード用の装置であって、
波長分割多重式の光回線終端装置であって、複数の光波長チャネルを使用しているパッシブ光ネットワークにおいて複数の遠隔光ネットワークユニットとインタフェース接続するための光インタフェースと、前記複数の光波長チャネルに対応した電気式の複数の第1ポートと、を有した波長分割多重式の光回線終端装置と、
少なくとも2つの事業者ネットワークとインタフェース接続するための複数の第2ポートと、
前記複数の第1ポートと前記複数の第2ポートとを相互接続するための電子式のスイッチングマトリックスと
を有したことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記波長分割多重式の光回線終端装置は、複数の光インタフェースを備え、当該複数の光インタフェースのそれぞれは、複数の光波長チャネルを使用するそれぞれ異なる複数のパッシブ光ネットワークにおける複数の遠隔光ネットワークユニットに対してインタフェース接続しており、前記複数の光波長チャネルに対応した電気式の複数の第1ポートが当該複数の光インタフェースのそれぞれによって使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は複数のモジュールとして構成されており、
前記複数のモジュールのそれぞれは、
前記複数の光インタフェースのうちの1つの光インタフェースを提供するとともに、その光インタフェースにおいて使用される前記光波長チャネルに対応した電気式の複数の第1ポートを有している波長分割多重式の光回線終端装置
を有していることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のモジュールのそれぞれは、さらに、
そのモジュールにおける前記波長分割多重式の光回線終端装置の前記第1ポートを前記第2ポートと相互接続する電子式のスイッチングマトリックス
を有していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のモジュールのそれぞれは、
要求されたコネクティビティを提供するためにそのモジュールにおける前記電子式のスイッチングマトリックスを設定するための入力部
を有していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のモジュールのそれぞれにおける前記電子式のスイッチングマトリックスは、
複数のスイッチングステージ
を有していることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記電子式のスイッチングマトリックスは、共通の物理ユニット上で前記波長分割多重式の光回線終端装置とともに集積化されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のモジュールのそれぞれは、
そのモジュールにおける前記電子式のスイッチングマトリックスを、前記複数のモジュールのうちの他の少なくとも1つのモジュールにおけるスイッチングマトリックスに対してインタフェース接続する電子式のインタフェース
を有していることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のモジュールのうちの1つのモジュールにおける前記波長分割多重式の光回線終端装置の前記光インタフェースは、前記複数のモジュールのうちの他のモジュールにおける前記波長分割多重式の光回線終端装置と同一のセットの光波長チャネルを使用するように構成されていることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
事業者ネットワークとインタフェース接続するネットワークインタフェース装置をさらに有していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ネットワークインタフェース装置は、
多重化されたトラフィックに対する装置と、
圧縮されたトラフィックに対する装置と
のうち少なくとも1つの装置を有していることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載された装置を有することを特徴とするネットワークノード。
【請求項13】
光アクセスネットワークをインストールする方法であって、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載された装置をノードに設置するステップと、
接続を必要としている前記パッシブ光ネットワークの光ネットワークユニットのそれぞれについて、その光ネットワークユニットによって使用される光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットについて必要とされる事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するように前記スイッチングマトリックスを設定するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記装置は、請求項3ないし9のいずれか1項に記載された複数のモジュールを有し、
前記方法は、さらに、
追加の遠隔光ネットワークユニットとインタフェース接続する光インタフェースを有した追加のモジュールを前記装置にインストールするステップと、
接続を必要とする追加の光ネットワークユニットのそれぞれについて、その光ネットワークユニットによって使用される光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットについて必要とされる事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するように前記追加の光ネットワークユニットのスイッチングマトリックスを設定するステップと
を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載され、光ネットワークユニットによって使用される光波長チャネルに対応した第1ポートと、当該光ネットワークユニットについて第1の事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するように構成された前記スイッチングマトリックスを有し、ノードに備えられた装置を有する光アクセスネットワークをアップグレードする方法であって、
前記光ネットワークユニットによって使用される前記光波長チャネルに対応した前記第1ポートと、当該光ネットワークユニットについて必要とされる他の事業者ネットワークに対応した他の第2ポートとを相互接続するように、前記スイッチングマトリックスを再設定するステップ
を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記装置は、請求項3ないし9のいずれか1項に記載された複数のモジュールを有し、
前記方法は、さらに、
追加の遠隔光ネットワークユニットとインタフェース接続する光インタフェースと、追加の電気的な第1ポートとを有した追加のモジュールを前記装置にインストールするステップと、
接続を必要とする追加の光ネットワークユニットのそれぞれについて、その光ネットワークユニットによって使用される光波長チャネルに対応した第1ポートと、その光ネットワークユニットについて必要とされる事業者ネットワークに対応した第2ポートとを相互接続するように、前記追加の光ネットワークユニットの前記スイッチングマトリックスを設定するステップと
をさらに有することを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506329(P2013−506329A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530136(P2012−530136)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063716
【国際公開番号】WO2011/038781
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】