パッシブ型ロックを備えた呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法
【課題】改良された呼吸器アクセスアセンブリを提供する。
【解決手段】呼吸器アクセスアセンブリは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートを含む。アセンブリは、ポートを有する遠位プレートと、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートとを含む。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合され、各プレートは、互いに対して相対的に変位するように構成される。アセンブリは、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合されたポートを貫通して吸引カテーテルなどの物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。
【解決手段】呼吸器アクセスアセンブリは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートを含む。アセンブリは、ポートを有する遠位プレートと、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートとを含む。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合され、各プレートは、互いに対して相対的に変位するように構成される。アセンブリは、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合されたポートを貫通して吸引カテーテルなどの物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、挿管患者に対する医療の向上に関し、詳細には、新規なマルチアクセス呼吸器ポート、アセンブリ、マニホルド、フィッティング、アダプタ、コネクタ及び/またはアクセス制御アセンブリの発明、並びに関連する換気方法、吸引方法、モニタリング方法、サンプリング方法、及び乳児、青年、成人を含む挿管患者の気道に治療薬デリバリーを提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患患者のケアは、発展著しい医学分野であり、そのニーズは乳児から高齢者まで多岐にわたる。そのような患者たちが一時的及び永続的に患う呼吸器系疾患には、多くの、様々な種類のものがある。例えば、挿管患者に対する医療処置には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、目視検査、インライン検出、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれ得る。ほとんどの問題は、現在、患者の多様なニーズと、複数の治療(一部は同時に行われる)への適応とに集中している。患者にとって最善の複数の治療を、容易に、効率的に、かつ安全に達成するための機器がないことは、以前から問題になっており、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,569,344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、肺活量が小さい患者(未熟児や気腫を患う成人など)の場合、1つの問題は、貯留した肺分泌物の除去である。そのような患者を分泌物除去処理中に酸素不足に陥らせることは望ましくない。分泌物除去は、吸引カテーテルにより達成される。吸引カテーテルは、呼吸器アクセスアセンブリによって人工気道内に一時的に配置され、すなわち、気管内チューブが患者の気道の一部に留置されて、患者の肺に空気(酸素及び他のガス)を供給する。この手順は単純なように思われるが、医療ケア提供者が装置の交換またはその他の治療法の施行を連続的または同時に行わなければならないときには特に、困難を伴う。実際に、これらの困難の結果、患者が人工呼吸器関連肺炎に罹患する可能性がある。これらの困難に対処しかつ克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した困難及び問題を踏まえて、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。ポートは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリは近位プレートを含み、近位プレートは第1のポート及び第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合され、各プレートは、相対的に変位するように構成される。アセンブリはまた、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容する。
【0006】
本発明の別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリの使用方法が提供される。本方法は、呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含む。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。ポートは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリはまた、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合される。遠位プレート及び近位プレートは、互いに対して相対的に変位するように構成される。アセンブリは、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータをさらに含む。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容する。本方法は、遠位プレートのポートが近位プレートの1つのポートと整合されるように一方または両方のプレートを変位させ、開放アセンブリを提供するステップを含む。本方法は、開放アセンブリに物体を通過させることによって、アクチュエータの一部に物体を接触させ、アクチュエータの少なくとも一部を作動させて、アクチュエータに両プレートを或る位置にロックさせることによって、両プレートの相対的な変位を実質的に防止するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの斜視図。アセンブリは呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端では人工気道に結合される。呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの分解遠位斜視図。
【図3】図1及び図2の呼吸器アクセスアセンブリの分解近位斜視図。
【図4】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの側面図。
【図5】図4に示した遠位プレートの近位側表面の平面図。
【図6】図4及び図5に示した遠位プレートの近位側表面の斜視図。プレートの一部上に配置された1列の歯を示す。
【図7】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの側面図。
【図8】図7に示した近位プレートの遠位側表面の平面図。
【図9】図7及び図8の近位プレートの遠位側表面の斜視図。
【図10A】1対の爪の遠位側表面を示す斜視図。
【図10B】ベース部の遠位側表面を示す斜視図。
【図11】遠位プレートの近位側表面の斜視図。遠位プレート上のそれぞれの位置に1対の爪及びベース部が配置されている。遠位プレートのポートを貫通して物体が配置されていないときの、ポートに対する爪の位置、特に遠位プレートの一部上の歯に対する爪の歯の位置を示す。
【図12】遠位プレートの近位側表面の斜視図。遠位プレート上のそれぞれの位置に1対の爪及びベース部が配置されている。或る物体(ポートの断面において破線で示す)が一方の爪を動かしたときの、ポートに対する爪の位置及び遠位プレートの一部上の歯に係合された該一方の爪の歯の位置を示す。
【図13】呼吸器アクセスアセンブリの第1の開放位置の側面図であって、遠位プレートのポート及び近位プレートの第1のポートが軸線方向に整合されている。
【図14】呼吸器アクセスアセンブリの第2の開放位置の側面図であって、遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが軸線方向に整合されている。
【図15】呼吸器アクセスアセンブリの第3の閉鎖位置の側面図であって、遠位プレートのポート、近位プレートの第1のポート及び近位プレートの第2のポートは、互いに整合されておらずかつ閉塞されていない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態、本発明の例を詳細に見てみる。それらの例は、図面に示されている。各例及び実施形態は、本発明の説明のために与えられており、本発明を制限する意図はない。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている構成要素を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。本発明には、これら及び他の変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨のものとして含まれるものとする。
【0009】
本願の呼吸器アクセスポートアセンブリは、閉鎖式換気システムにおいて機能し、閉鎖式システムの閉鎖回路特性を損なうことなく、また患者への換気ガスの流入を阻害することなく、挿管患者の呼吸器系へのマルチアクセスに適応するように設計される。例えば、限定されるものではないが、1若しくは複数のガスを用いて患者の肺を換気するため、肺から分泌物を吸引するため、肺に酸素を送り込んで肺からの残留二酸化炭素を除去するかまたは減少させるため、患者の呼吸器系の選択された部分を目視検査するため、痰及びガスをサンプリングするため、流量、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗い流すため並びに、薬剤、ガス及び/または洗浄液を投与するために、1若しくは複数のアクセス部位を通して閉鎖式呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【0010】
呼吸器アクセスポートアセンブリのための多くの現行の設計は、1つのポートしか有していないものがある。これらの例では、他の作業、例えば、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などを行う必要があるときには、吸引カテーテルを抜去しなければならない。そのような人工呼吸器装着患者の吸引カテーテルを抜去することによって閉鎖式換気システムを開放すると、上述したように感染症を来す可能性がある。また、マルチアクセスポートマニホルド及び/またはアセンブリの現行の設計には、安全ロックが含まれていない。場合によっては、そのような安全ロックの欠如が原因で、マニホルドポートから吸引カテーテルを導入したときに、カテーテルの一部が脱落(離断)して患者の肺内に吸引されてしまうかもしれない。これが、気道閉塞、感染症を含む重篤な合併症を引き起こし、死につながる可能性すらある。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの適切なシーリングが行われないと、終末呼気陽圧(PEEP)に支障を来すことがあり、それが今度は最適以下の換気を生じさせて、結果として患者の肺胞虚脱を招く可能性がある。本願の呼吸器アクセスアセンブリは、閉鎖式換気システムを開放することなくマルチアクセスを可能にする機能を含み、かつ、アセンブリ内に配置されたときに吸引カテーテル及び/または他の物体のどこかの部分が亡失することを防ぐパッシブ型安全ロック機能を含む。
【0011】
ここで図面を見てみると、図1〜図15に示されているように、呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。図1〜図9に示されているように、アセンブリ10には遠位ディスク(円盤体)またはプレート12及び近位ディスクまたはプレート14が含まれており、これらは互いに隣接して積み重ねられかつ軸線方向に整合された構成で配置される。「整合させる」、「整合」なる語及びそれらの変化語は、望ましくは、一直線に配列された複数のものの配置または位置が持つ空間特性を指すが、これに限定されるものではない。「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、望ましくは、特定の用途または使用を目的として設計、配置、設置または成形することを指すが、これらに限定されるものではない。例えば:起伏の多い地形向けに構成された軍用車両;システムのパラメータを設定することによって構成されたコンピュータ。
【0012】
遠位ディスクまたはプレート12は、図2及び図4〜図6に示されているように、ディスクまたはプレート12を貫通して形成された開口を有するポート16を少なくとも1つ含む。ディスクまたはプレート12の遠位側の外部表面22上に、カフ部(例えばカフ部20など)を設けることができるが、これに限定されるものではない。そのようなカフ部20は、ポート16の一部を提供するように、ポート16及び貫通延在開口を全体的に取り囲んでいる。当然のことながら、本明細書に図示及び/または記載されているカフ部は、ディスクまたはプレートの内部表面上にあるにしても外部表面上にあるにしても、本明細書に記載されているカフ部20のための特徴及び機能を含むことが望ましい。
【0013】
本明細書では、「ポート」なる語は、望ましくは、或る物体及び/または液体及び/またはガスを通過させるために構成部品に開口しているかまたは該構成部品を貫通する開口を意味する。本明細書では、「カフ部」なる語は、望ましくは、ポート上に配置されかつポートの一部を形成する、貫通開口を有する概ね円筒形の構成部品を意味するが、これに限定されるものではない。さらに、本明細書においては、ポート及びそのカフ部を集合的に「ポート」と呼ぶことがあり、2つ以上のポート及びその各々の関連するカフ部を集合的に「ポート」「両ポート(ポート及びカフ部が2つの場合)」と呼ぶことがあることを理解されたい。
【0014】
本明細書では、「プレート」なる語は、望ましくは、円形、正方形、矩形などを含むプレートの任意の形状及び構成をを指すが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、プレートは、弧状、弓形、平面的、凸状、凹状のものなどであってもよい。
【0015】
遠位ディスクまたはプレート12は、近位側表面24も有しており、近位側表面24は、外周部26と、外周部26に沿って形成されることが望ましい外周壁28とを含む。外周壁28は、外周部26から近位方向に約90°の角度をなして延出するものであってよい。「約」なる語は、望ましくは、数字に隣接して置かれたとき、記載されている数字プラスまたはマイナス10%の数を指すが、これに限定されるものではない。外周壁28の内部表面30上には、複数の歯32が形成されていることが望ましい。複数の歯32は、ポート16に隣接して配置されることができる。外周壁28は、溝36が形成された外部表面34も含むことが望ましい。溝36内には、Oリング38を配置することができる。Oリング38は、近位ディスク14の外周壁に接して配置されたとき、少なくとも部分的なシールとして機能する。遠位プレート12の近位側表面24は中心孔40を含み、中心孔40は、それを貫通するネジやピン42(図11及び図12に示す)などの留め具を受容するように構成されている。ピン42は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する相対的な変位を許容しつつ、各プレート12、14を互いに隣接して積み重ねられかつ軸線方向に整合された位置で保持することが望ましい。中心孔40の周囲には半円形の凹部44が設けられる。この半円形凹部44は、他の部品と協働し、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する相対的な変位を制限することができる。この実施形態では、限定されるものではないが、回転は約200°以下の範囲に限定されることが望ましい。回転は、約1°ないし約200°の範囲に限定されることが、より望ましい。
【0016】
遠位プレート12の内部近位側表面24は、複数の、傾斜のついた凹部46も含むことができる。これらの傾斜のついた凹部は、本明細書に記載されている他の部品と協働して、特定の所定位置でプレート12、14を互いに対して保持する助けとなることが望ましい。そのような部品及び所定位置については、以下で詳細に説明する。
【0017】
本明細書では、同じ意味で用いられる「方向」または「配置」なる語は、望ましくは、何かが位置している場所または方法の空間特性、例えば「時計の針の位置」を指すが、これに限定されるものではない。
【0018】
近位ディスクまたはプレート14は、限定されるものではないが、第1のポート50及び第2のポート52を含み、各ポートは、図7〜図9に示されているように、近位プレート14を貫通して延在する開口を有する。第1のポート50は、近位プレート14の近位側の外部表面56上に設けられた第1のカフ部54を有することができる。この例では、図9に示されているように、第1のカフ部54は遠位側の内部表面58を越えても延出し、第1のカフ部54には切り込み60が含まれてもよい。同様に、第2のポート52は、近位プレート14の近位側の外部表面56上に設けられた第2のカフ部62を有することができる。第2のカフ部62も、第1のカフ部54のように、内部遠位側表面58を越えて延出し、同様に切り込み60を含み得る。
【0019】
近位プレート14は外周部64を有し、外周部64は外周壁66を含むことが望ましい。外周壁66は、外周部64に沿って形成されることができ、かつ外周部64から遠位方向に約90°の角度をなして延出することが望ましい。本実施形態では、限定されるものではないが、遠位プレート12の外周壁28を近位プレート14の外周壁66内に収まる大きさにすることにより、遠位プレート12の外周壁28の外周面34上のOリング38が少なくとも、近位プレート14の外周壁68の内部表面68に接して変位可能なシールを形成する助けとなるようにする。
【0020】
近位プレート14には、中心開口69が設けられる。中心開口69は、遠位プレート12の中心孔40と整合されることが望ましく、両者は、貫通して配置されるネジまたはピン42(図11及び図12)によって、少なくとも互いに隣接して保持される。
【0021】
近位プレート14の遠位側表面58上に、中心開口69及びカフ部54、62に隣接して、複数の突出部分(複数の凸状環状リブ70など)を設けることができる。遠位及び近位プレートを共にロックするための手段またはパッシブ型ロックアセンブリの少なくとも一部を、近位プレート14の遠位側表面58に隣接して配置することができる。
【0022】
アクチュエータまたはパッシブ型ロックアセンブリは、例えば、図2、図3及び図10Aに示されているようなU字型コネクタ76によって接続されている1対の爪(歯止め)74を含むことが望ましいが、これに限定されるものではない。爪74及びコネクタ76は、近位プレート14の遠位側表面58上に配置されることが望ましい。各爪74は、一端においては開口80が設けられた円形部分78を有し、反対端においては複数の歯82を有する。各爪74はまた、その外縁部86に沿って配置されたフランジ84を含むことが望ましい。1対の爪74の各爪のフランジ84は、第1のカフ部54の切り込み60及び第2のカフ部62の切り込み60内にそれぞれ変位可能に延出するように構成されている。このようにして、1つの爪74のフランジ84は、第1のカフ部54内に延出しかつ僅かに第1のポート50内に延出する。同様に、もう1つの爪74のフランジ84は、第2のカフ部62内に延出しかつ僅かに第2のポート52内に延出する。例えば、第1または第2のポート50、52を貫通して吸引カテーテルなどの物体が配置されているときに、各フランジ84をそれぞれの切り込み60から出すことができることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
アクチュエータまたはパッシブ型ロックアセンブリの一部として、図2、図3及び図10Bに示されているようなベース部88が設けられる。ベース部88は、1対の爪74及びU字型コネクタ76に隣接して設けられることが望ましい。1対の爪74及びU字型コネクタ76の遠位側表面90は、ベース部88の近位側表面92に対向して配置されることが望ましい。ベース部の近位側表面92には、複数の柱部94を含むことが望ましい。
【0024】
1対の爪74の各爪上の各円形部分78は、図11及び図12に示されているように、ベース部88の近位側表面92上の柱部94に掛けられるように構成されている。U字型コネクタ76は、複数の柱部94のうちの2つの柱部94の間に配置されることができる。そして、複数の柱部94の各柱部94は、1対の爪74及びU字型コネクタ76を近位プレート14に隣接した位置で保持しかつ1対の爪74の変位を制限するために、近位プレート14の遠位側表面58上の複数の環状リブ70の各環状リブ70内に収まるように配置されることが望ましい。ベース部88には、留め具すなわちネジやピン42などを通すことができるように、ベース部88を貫通する開口95を含む。ベース部88の遠位側表面96には、開口95の近くにタブまたは変位止め98を含む。ベース部88の一端には曲線状の脚部100を含み、曲線状の脚部100の各端の遠位側表面96上にはタブ102を含む(図2及び図10B)。ベース部88の反対端は、Oリング106を保持するように構成された円形溝104を含むことができる。ベース部88の遠位側表面96は、遠位プレート12の近位側表面24に対向して配置されることが望ましい。
【0025】
図2及び図3に示されているように、近位プレート14の外周壁66の外周面110上に、カラー部108を配置することができる。カラー部108は、その外周面110上に複数のリブ112または他の突出部分(図示せず)を含むことができる。これらは、医療提供者がアセンブリ10を手に持ちアセンブリ10を操作するのに役立つ。カラー部108は、テザー部116によってカラー部108に結合され得るキャップ114を1対含むことが望ましい。各キャップ114は、第1のポート50及び/または第2のポート52を閉塞または閉鎖するように、第1のカフ部54及び/または第2のカフ部62などのカフ部内にちょうど収まるように構成されている。当然のことながら、キャップ114は、カフ部54、62内に収まるように構成されるか、またはカフ部54、62の外に嵌るように構成されるか、またはカフ部54、62内またはカフ部54、62上にネジで取り付けられるかまたはスナップ式留め具などで留められるように構成されることなどができる。
【0026】
「結合(する)」なる語及びその変化語は、望ましくは、2つのものの接続、連結、締結、関連付け、結束、(接着剤による)接着、または一体的または介在的な結び付けを含むが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、2つのものは、直接または間接的に結合されることができる。
【0027】
操作中、ポート16のカフ部20は、マニホルド120のポートに結合されることができ、マニホルド120は今度は気管内チューブまたは人工気道122及び人工呼吸器(図示せず)に結合される。人工気道122の少なくとも一部が、患者の気道(図示せず)の一部に配置される。
【0028】
吸引カテーテルアセンブリ130は、図1に部分的に示されているように、少なくとも遠位エンドコネクタ(連結端部)132を含み、遠位エンドコネクタ132は、近位プレート14の第1のポート50の第1のカフ部54に解除可能に結合されることが望ましい。あるいは、吸引カテーテルアセンブリ130を、第1のカフ部54に解除可能に結合することができる中間のクイックリリース・コネクタ(図示せず)に結合してもよい。遠位エンドコネクタ132にはスリーブ134を結合することが望ましく、スリーブ134は、少なくとも実質的に吸引カテーテル136を覆って延在し、吸引カテーテル154を実質的に覆うための近位エンドコネクタ(図示せず)を含み得る。吸引カテーテル136は、少なくとも1つの開口を備えた遠位端(図示せず)を含む。「実質的な」または「実質的に」なる語は、望ましくは、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当な、またはかなりの量を指すが、これらに限定されるものではない。例えば、本明細書において「実質的に覆われている」の如く適用される「実質的に」は、或るものが少なくとも70%覆われていることを意味する。
【0029】
吸引カテーテル136は、ルーメンが貫通しかつ開口近位端(図示せず)を有する長寸の本体139も含むことが望ましい。吸引カテーテルアセンブリ130または吸引カテーテル134の近位端は、吸引カテーテル136に吸引力を与える吸引装置(図示せず)の少なくとも一部に結合されるように適合されている。当然のことながら、吸引カテーテル136は、患者の気道内の一部まで延在してそこから分泌物を吸引するために、アセンブリ10を貫通し、任意の取り付けられたマニホルド120及び人工気道122を貫通して延在するのに十分な長さを有する。吸引力が停止されたときには、当然のことながら、吸引カテーテル136は、その後、患者の気道、人工気道122、マニホルド120及び呼吸器アクセスアセンブリ10から引き抜かれることが望ましい。吸引カテーテル136は、吸引カテーテルアセンブリ130及びスリーブ134内の適切な位置に戻されることが望ましい。このようにして、吸引カテーテル136の実質的な長さは、スリーブ134内に収容され、従って、再び分泌物吸引のために必要とされるまで、患者の閉鎖回路換気システムの外側に置かれる。
【0030】
吸引カテーテルは、公知であり、多くの医学的用途のために広く市販されている。吸引は、「開放式」または「閉鎖式」システムを用いて行うことができる。開放式システムでは、吸引カテーテルは、軟質ルーメンに挿入される単なる軟質プラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端には吸引源が接続される。ルーメンに入る前に吸引カテーテルが接触する如何なるものも滅菌状態に維持されていなければならないので、患者に接触または隣接して「滅菌領域」が作られなければならない。吸引カテーテルは、使用後には、表面が患者の分泌物で覆われることになるので、慎重に取り扱わなければならない。対照的に、例えば米国特許第4,569,344号明細書(特許文献1)に開示されているような「閉鎖式」システムでは、分泌物を吸引するために用いることができる機器は、使用前に吸引カテーテルの汚染を排除するかまたは最小にするために、概ね円筒状のプラスチックバッグに封入されている。これは、一般に「閉鎖式吸引カテーテル」と呼ばれるもので、バラード(登録商標)メディカルプロダクツ社(キンバリークラーク社)からトラックケアー(登録商標)という商品名で販売されている。閉鎖式吸引システムは広く医療提供者に好まれているが、その理由は、閉鎖式の方が患者及び医療提供者への感染症伝播の可能性が低いからである。本願の呼吸器アクセスポートアセンブリ10は、そのような閉鎖式吸引アセンブリ130と併用されることが望ましい。
【0031】
当然のことながら、吸引カテーテルアセンブリ130は、第1または第2のポート50、52のそれぞれ第1または第2のカフ部54、63のいずれかに結合され得る。同様に、第1または第2のポート50、52のそれぞれ第1または第2のカフ部54、63の一方に、気管支鏡または他の器具類などを解除可能に結合することもできる。当然のことながら、吸引カテーテル136及び吸引カテーテルアセンブリ130は、常に、閉鎖回路換気システムの一部として維持される。
【0032】
操作及び使用方法において、医療提供者は、遠位プレート12のポート16のカフ部20に結合されているマニホルド120を把持する。医療提供者はまた、近位プレート14の外周壁66の外周面110に結合されているカラー部108を掴み、近位プレート14を回転させて、遠位プレート12のカフ部20及びポート16が近位プレート14の第1のカフ部54及び第1のポート50と整合するようにする。ベース部88の遠位側表面96上のタブまたは変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。タブまたは変位止め98が、円形部分78と協働して、遠位及び近位プレート12、14の回転を互いに対して約200°以内に制限する。従って、ポート16、50及びそれぞれのカフ部20、54が整合されていなければ、医療提供者は、カラー部108を掴み、近位プレート14を、図1に示されているように、反時計回り方向にその最大点または最大回転まで回転させ、遠位プレート12のポート16及びカフ部20を近位プレート14の第1のポート50及び第1のカフ部54と整合させることができるようにする。あるいは、当然のことながら、近位プレート14を医療提供者が保持し、遠位プレート12を時計回り方向にその最大回転点まで変位させることもできる。しかし、遠位プレート12及びそのポート16及びカフ部20は、マニホルド120に結合され、マニホルド120は患者の人工気道122に結合され、これらは全て相対的に固定された位置に維持されることが望ましい。従って、当然のことながら、遠位プレート12を静止したまま保持して近位プレート14を回転させる方がより望ましい。
【0033】
「静止(した)」、「静止プレート」及び/または「静止ディスク」なる句は、望ましくは、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートまたは該プレートを保持する部品が、相手方のディスクを医療提供者が3つの所定位置のうちの1つまで回転させる間に医療提供者に把持されかつ相対的に固定された「静止」位置に保持されるときの当該プレートを指すが、これに限定されるものではない。両プレートは、同様に、固定された不動位置に配置されかつ共にロックされているときに、相対的に「静止したプレート」であり得る。
【0034】
「プレートを回転させる」及び/または「ディスクを回転させる」なる句は、望ましくは、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートがロックされていないために各プレートが互いに対して回転し得るときの当該プレートを指すが、これに限定されるものではない。遠位及び近位プレートは、3つの所定位置に配置されるように構成される。しかし、非ロック位置にあるとき、遠位及び近位プレートの両者は互いに対して自由に回転することができ、各プレートは、互いに対して逆方向に(最大約200°またはそれ以下)相対的に変位または回転することができる。両プレートは、同様に、各プレートを医療提供者が逆方向に自由に回転させることができるように非ロック位置に配置されているときに、相対的に変位または「回転」することができる。
【0035】
遠位及び近位プレート12、14のポート16、50及びカフ部20、52がそれぞれ整合されたとき、これらは、ベース部88の遠位側表面96の脚部100の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上に複数あるうちの2つの傾斜のついた凹部46との協働によって、この特定の所定位置に解除可能に保持される。すなわち、脚部100上の1対のタブ102の各々が、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。脚部100の遠位側表面96上のタブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合され、その一方で、遠位プレート12の近位側表面24上には、複数(4)個の凹部46が形成されている。従って、これらの部品は、互いに協働して、特定の所定位置すなわち第1の開放位置(図1及び図13)で遠位及び近位プレート12、14を解除可能に保持する。第1の開放位置では、ポート16、50及びカフ部20、54はそれぞれ、軸線方向に整合された位置にある。
【0036】
「開放(された)」及び「開放位置」なる語及び句並びにそれらの変化語は、望ましくは、本明細書に記載の互いに整合された複数(2)個のポートの位置であって、該位置において、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの物体を、互いに整合されたポートを通って患者の気道の一部内へ進めることができるような位置を指すが、これに限定されるものではない。
【0037】
吸引カテーテルアセンブリ130は第1のポート50の第1のカフ部54に結合されることが望ましいので、吸引カテーテル134を、互いに整合されたポート16、50及びカフ部20、54をそれぞれ通り、マニホルド120及び人工気道122を通って患者の気道の少なくとも一部内へ進め、そこから分泌物を吸引することができる。吸引カテーテル(または他の物体)が遠位及び近位プレート12、14のポート16、50をぞれぞれ貫通して配置されている間に、医療提供者が、遠位及び近位プレート12、14を互いに対して別の位置に相対的に変位させようと試みたとしても、1若しくは複数の部品が、プレート12、14の変位を防止するように働き、それによってパッシブ型ロックを提供する。
【0038】
第一に、医療提供者が、マニホルド120及び/または遠位プレート12を把持しかつ静止位置で保持すると同時にカラー部108を掴みかつ近位プレート14を反時計回り方向に変位または回転させることによって遠位及び近位プレート12、14を変異させようと試みたとしても、そのような変位は変位止め98によって防止される。ベース部88(ベース部88は近位プレート14にしっかりと結合される)上の変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。半円形凹部44は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する回転を制限する。これらの部品は、互いに協働して、反時計回り方向にさらに回転することを防止する。
【0039】
第二に、医療提供者が、近位プレート14を遠位プレート12に対して時計回り方向に変位または回転させようと試みたとしても、吸引カテーテル134が、第1のポート及び第1のカフ部50、54にそれぞれに隣接する爪74のフランジ84に押し付けられる。この圧力は、フランジ84を変位させ、結果として爪74を変位させ、図12に示されているように、爪74の複数の歯82のうちの少なくともいくつかを、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32のうちの少なくともいくつかと係合させる。ベース部88に結合されかつベース部88を介して近位プレート14に結合される爪74の歯82は、遠位プレート12の歯32と係合しかつ噛み合う。この係合は、その結果、遠位プレート12に対する近位プレート14の時計回りの変位を実質的に防止する。すなわち、遠位及び/または近位プレート12、14のごく限られた相対的な変位が生じることもあるが、そのような変位は、ポート16及び第1のポート50の整合、またはポート16、50を通って吸引カテーテル134を変位させる能力に、実質的に影響を与えない。その理由は、実質的な変位が許容されていないからである。従って、これらの部品の協働によってパッシブ型ロックが提供され、それによって、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位が実質的に防止される。その結果、互いに整合されたポート15、50を貫通して吸引カテーテル136が配置されているときに、医療提供者が遠位及び近位プレート12、14を不注意に変位させることが防止される。そのようなパッシブ型安全ロックがなければ、そのような変位によって吸引カテーテル136の遠位部分が切断される可能性があり、そうなれば、患者は破滅的状況に至るかもしれない。このパッシブ型ロックは、図11に示されているように、アセンブリ10の互いに整合されたポート16、50から吸引カテーテル136が完全に引き抜かれたときに係合解除される。この引き抜きにより、爪74上の複数の歯82は、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32から離れかつ係合解除することができる。従って、近位プレート14は、この時点で、遠位プレート12に対する時計回り方向の回転が可能になる。あるいは、当然のことながら、この時点で、遠位プレート12を近位プレート14に対して反時計回り方向に回転させることもできる。
【0040】
遠位プレート12のポート16及びカフ部20を近位プレート14の第2のポート52及び第2のカフ部62と整合させることができるようにするために、近位プレート14を、遠位プレート12(遠位プレート12は、この場合もやはり、既に述べた理由で、医療提供者によって相対的に静止した位置で把持されることが望ましい)に対して時計回り方向にその最大点または最大回転まで変位または回転させたときに、アセンブリ10を、図14に示されるような第2の開放位置へと変位させることができる。この位置は、遠位及び近位プレート12、14のポート16、52及びそれぞれのカフ部20、62の軸線方向の整合を提供する第2の被選択所定位置である。ベース部88(ベース部88は近位プレート14に結合される)の遠位側表面96上のタブまたは変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。変位止め98は、半円形凹部44と協働して、遠位及び近位プレート12、14の回転を互いに対して約200°以内に制限する。従って、変位止め98及び半円形凹部44は互いに協働してさらなる回転を制限するので、第2の位置は、医療提供者が近位プレート14を遠位プレート12に対して時計回り方向に回転させることができる範囲内にある。遠位及び近位プレート12、14のポート16、52及びカフ部20、62は、それぞれ軸線方向に整合されているときに、ベース部88の遠位側表面96の脚部100上の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上の複数の傾斜のついた凹部46のうちの2つとの協働によって、この特定の所定位置で解除可能に保持される。すなわち、脚部100上の各タブ102は、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。1対のタブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合される。2つの凹部46は、遠位プレート12の近位側表面24上に形成される。従って、これらの部品は、互いに協働して、遠位及び近位プレート12、14を別の特定の所定位置で解除可能に固定する。すなわち、これらの部品は、互いに協働して、アセンブリ10を第2の開放位置で固定する。この位置において、気管支鏡または他の器具または物体を、アセンブリ10または遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16及び第2のポート52を通り、マニホルド120を通って、人工気道122内及び患者の気道の一部(図示せず)内へ導入することができる。当然のことながら、第1の開放位置に関して詳細に上記したように、互いに整合されたポート16、52及びカフ部20、62をそれぞれ貫通して、物体、例えばほんの一例として気管支鏡の一部が配置されている間に、医療提供者が、遠位及び近位プレート12、14を相対的に変位させようと試みたとしても、アセンブリ10は、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位を実質的に防止するようなパッシブ(受動的)にロックされた位置に配置される。
【0041】
「変位を実質的に防止する」なる句及びその変化語は、望ましくは、遠位プレートのポートが近位プレートのポートと整合され、互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときの、両プレートの相対的な変位を指すが、これに限定されるものではない。両プレートには、僅かな不整合(ずれ)を許容するような僅かな相対的変位が生じることがあるが、両ポートは、ポートを通過する物体が僅かな不整合によって断裂(pinch off)したり詰まったりしないように実質的に整合されたままであり、物体は、尚も両ポートを通過することができる。
【0042】
この場合もやはり、遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16及び第2のポート52を貫通して物体が配置されているときに、1若しくは複数の部品(2つの部品が望ましいが、これに限定されるものではない)が、互いに協働して遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位を防止し、それによって、この場合もやはり、アセンブリ10のためのパッシブ型ロックを提供する。第一に、医療提供者が、マニホルド120及び/または遠位プレート12を把持しかつ静止位置に保持すると同時にカラー部108を掴みかつ近位プレート14を時計回り方向に変位または回転させることによって、遠位及び近位プレート12、14を相対的に変位させようと試みたとしても、そのような変位は変位止め98によって防止される。ベース部88(ベース部88は近位プレート14にしっかりと結合される)上の変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。半円形凹部44は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する過度の回転を制限する。これらの部品は、互いに協働して、近位プレート14が時計回り方向にさらに回転することを防止する。
【0043】
第二に、遠位及び近位プレート12、14のポート16、52がそれぞれ整合されているときに、医療提供者が、遠位プレート12に対して近位プレート14を反時計回り方向に変位または回転させようと試みたとしても、気管支鏡または物体(図示せず)の一部が、第2のポート52及び第2のカフ部62に隣接する爪74のフランジ84に押し付けられる。この圧力は、フランジ84及びその爪74を相対的に変位させ、図12に示されているように、爪74の複数の歯82のうちの少なくともいくつかを、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32のうちの少なくともいくつかと係合させる。近位プレート14に結合されている爪74の歯82は、遠位プレート12の歯32と係合しかつ噛み合い、それによって遠位プレート12に対する近位プレート14の反時計回りの変位を実質的に防止する。すなわち、遠位及び/または近位プレート12、14のごく限られた相対的な変位が生じることもあるが、そのような変位は、ポート16、52の整合に、または吸引カテーテル134にポート16、52を通過させる能力に、実質的に影響を与えない。その理由は、実質的な変位が許容されていないからである。従って、これらの部品の協働によってパッシブ型ロックが提供され、それによって、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位が実質的に防止される。
【0044】
その結果、互いに整合されたポート16及び第2のポート52を貫通して、気管支鏡、吸引カテーテルなどの物体が配置されているときに、医療提供者が遠位及び近位プレート12、14を不注意に変位させることが防止される。そのようなパッシブ型安全ロックがなければ、そのような変位によって物体が影響を受ける(例えば、そのような物体の遠位部分が切断される)可能性があり、そうなれば、この場合もやはり、患者は破滅的状況に至るかもしれない。このパッシブ型ロックは、物体(図12中に吸引カテーテル136として描かれている)がアセンブリ10の遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16、52から完全に引き抜かれたときに外される。この引き抜きにより、爪74上の歯82は、図11に示されているように、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の歯32から離れかつ係合解除することができる。従って、近位プレート14は、この時点で、遠位プレート12に対して反時計回り方向に回転することができる。あるいは、当然のことながら、遠位プレート12を近位プレート14に対して時計回り方向に回転させることもできる。
【0045】
ポート16及びカフ部20が第1のポート50及び第1のカフ部54と整合される第1の位置は、例えば、ポート16及びカフ部20が第2のポート52及び第2のカフ部62(図13)と整合される第2の位置から約180°離れて配置されることが望ましいが、これに限定されるものではない。アセンブリ10が第1の位置に配置されているときには、第2のポート52及び第2のカフ部62は、遠位プレート12の一部によって閉塞されることが望ましい。同様に、アセンブリ10が第2の位置に配置されているときには、第1のポート50及び第1のカフ部54も、遠位プレート12(図14)の一部によって閉塞されることが望ましい。そのような閉塞は、キャップ114などの他の部品と協働してPEEP圧力を維持するとともに、閉塞されたポート内に、吸引カテーテル、気管支鏡、その他などの物体が導入されないようにすることによって、どのポートが開放されているかに関する混乱を防止する。
【0046】
呼吸器アクセスアセンブリ10は、図15に示されているような、第3の被選択位置などの追加の所定位置も含むことができる。すなわち、アセンブリ10は、遠位及び近位プレート12、14の全てのポート16、50及び52に対する閉鎖位置である第3の位置を含み得る。限定されるものではないが、この例では、第1の開放位置と第2の開放位置との間に閉鎖位置が設けられている。ゆえに、閉鎖位置は、例えば第1の位置及び第2の位置に対して約90°の角度をなす位置である。医療提供者が第1の開放位置と第2の開放位置との間で遠位プレート12に対して近位プレート14を変位または回転させるとき、遠位及び近位プレート12、14は、中間閉鎖位置を通過する。この第3の閉鎖位置は、任意選択的な位置である。というのも、物体の通過を許容するポートの整合がないので、ポート内に配置された物体のいかなる部分を切断する危険もないからである。この位置は、ポート16、50及び52のいずれにもポートを貫通する物体が配置されていないときに利用され得る。第3の位置においては、医療提供者が、遠位プレート12のポート16が第1のポート50と第2のポート52との間に配置されるまで、近位ポートを反時計回り(遠位及び近位プレート12、14が第1の位置にある場合)または反時計回り(遠位及び近位プレート12、14が第2の位置にある場合)のいずれかに変位または回転させている間、マニホルド120及び/または遠位プレート12の一部が相対的に静止した位置に保持されることが望ましい。ポート16はそのとき、ベース部88の遠位側表面96上の溝104に収容されているOリング上に配置されることが望ましい。Oリングは、ポート16を閉塞し、かつ封止する働きをする。この位置では、遠位プレート12の一部が第1のポート50及び第2のポート52の両者を閉塞する。ポート16、50及び52は、この位置ではロックされない。しかし、ポート16、50及び52は、ベース部88の遠位側表面96の脚部100上の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上の複数の傾斜のついた凹部46のうちの2つとの協働によって、第3の被選択所定閉鎖位置において解除可能に保持される。この場合もやはり、脚部100上の1対のタブ102の各タブは、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。タブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合されている。上記2つの傾斜のついた凹部46は、遠位プレート12の近位側表面24上に形成されている。従って、これらの部品は、互いに協働して、遠位及び近位プレート12、14を第3の閉鎖位置に解除可能に固定する。当然のことながら、傾斜のついた凹部は、プレート12、14の一方または両方を相対的に変位または回転させるために十分な圧力が医療提供者によって加えられるまで、遠位及び近位プレート12、14を或る位置に保持し、その時点で、凹部46の傾斜により、タブ102は凹部46から出ることができる。ポート16、50及び52が或る期間使用されないとき、医療提供者は、PEEPの維持を支援するために、プレート12、14を第3の閉鎖位置へと変位させることを選択してもよい。
【0047】
「閉鎖(された)」または「閉鎖位置」なる語及び/または句並びにそれらの変化語は、望ましくは、1若しくは複数のポートの位置であって、該位置において、ポートが整合されていないので、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの任意の大きな物体が、上記の「閉鎖された」ポートを通過することができないような位置を指すが、これに限定されるものではない。ポートは、物体(既に言及したものなど)を閉塞するかまたは物体がポートを通過しないようにするために、「閉鎖」または「閉塞」され得る。しかし、ポートは完全に閉塞または閉鎖されなくてもよいし、少なくとも或る場合には、閉塞または閉鎖されたポートをガス及び/または液体が通過する状態が続くようにしてもよい。
【0048】
本明細書において、特定の部品が特定の角度で記載及び図示されている。しかし、当然のことながら、アセンブリが本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の部品を任意の角度または複数の角度の任意の組合せで配置することができる。
【0049】
さらに当然のことながら、本発明において、曲線状または弓形プレート、凸状または凹状ディスクまたはプレート、あるいは平坦または平面的なディスクまたはプレートを用いることもできる。さらに、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の構成を含むことができる。同様に、ディスクまたはプレートは、様々な形で相対的に変位することができる。すなわち、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているような結果を達成するように機能する限り、互いに対して、回転、旋回、摺動及び任意の方法での変位が可能である。
【0050】
遠位及び近位プレートが、平坦、四角形、または矩形のプレート(図示せず)である場合、当然のことながら、遠位及び近位プレートは、互いに対して摺動するように配置されることができる。そのような実施形態では、限定されるものではないが、ベース部及び爪は、摺動体を収容するために異なって構成されることができ、2つ以上のベース部に1若しくは複数の爪を設けてもよい。プレートの互いに対する相対的な変位を制限するために、2つ以上の変位止めを設けることができる。遠位プレートは、2列以上の歯を有してもよい。遠位及び/または近位プレートは、フィンガ、歯、溝、レール、リブなどを1若しくは複数有することができる。すなわち、遠位及び/または近位プレートは、互いに対する噛み合いを可能にする構造特性を有し得る。この代替実施形態及び他の代替実施形態を実施するために必要とされるであろう変更箇所については、当業者が熟知しているであろう。
【0051】
さらに、当然のことながら、爪を、棒材、ブロック、または当分野で既知の任意の装置などで代用してもよい。そのような装置を用いる場合、少なくとも一方のプレートの互いに対する相対的な変位を防止するために、装置は、プレート壁の一部に接して摩擦により配置され得るように、変位可能な装置である。そのようなプレート壁はそれ自体が、粗面または摩擦要素、例えば歯、棒状物などを含むことができる。あるいは、プレート壁は、上記装置が少なくとも一方のプレートの変位を防止するように摩擦により接して配置されることになる摩擦部品、例えばOリング、リブ、歯などの少なくとも一部を含むことができる。
【0052】
アセンブリ10は、遠位ディスクまたはプレート上に2つ以上のポート及びカフ部を含み、近位ディスクまたはプレート上に3つ以上のポート及びカフ部(図示せず)を含むことができる。さらに、アセンブリ10は、マニホルド120または当分野で既知の任意の他のマニホルドを含むことができる。さらに、アセンブリ10は、吸引カテーテルアセンブリ130または当分野で既知の任意の他の吸引カテーテルアセンブリを含むことができる。さらなる代替形態では、アセンブリ10は、マニホルド及び吸引カテーテルアセンブリをともに含むことができる。
【0053】
「機能的連通(operable communication)」なる句は、望ましくは、特定の目的のための2つの点及び/または2つの構造間での伝達または通過を指すが、これに限定されるものではない。この例では、機能的連通は、ガス及び/または液体を通過させることができる通路であり、物体を通過させることができるように構成することもできる。
【0054】
「含む」「含んでいる」なる語及び語根「含む」からの他の派生語は、望ましくは、限定されるものではないが、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。同様に、「含む」「含んでいる」なる語及び「有する」「有している」なる語及びそれらの派生語は、「含む」なる語として解釈されることを意図しており、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【0055】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、本発明に含まれる対象はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、本発明の対象は、本発明の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものとする。
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、挿管患者に対する医療の向上に関し、詳細には、新規なマルチアクセス呼吸器ポート、アセンブリ、マニホルド、フィッティング、アダプタ、コネクタ及び/またはアクセス制御アセンブリの発明、並びに関連する換気方法、吸引方法、モニタリング方法、サンプリング方法、及び乳児、青年、成人を含む挿管患者の気道に治療薬デリバリーを提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患患者のケアは、発展著しい医学分野であり、そのニーズは乳児から高齢者まで多岐にわたる。そのような患者たちが一時的及び永続的に患う呼吸器系疾患には、多くの、様々な種類のものがある。例えば、挿管患者に対する医療処置には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、目視検査、インライン検出、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれ得る。ほとんどの問題は、現在、患者の多様なニーズと、複数の治療(一部は同時に行われる)への適応とに集中している。患者にとって最善の複数の治療を、容易に、効率的に、かつ安全に達成するための機器がないことは、以前から問題になっており、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,569,344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、肺活量が小さい患者(未熟児や気腫を患う成人など)の場合、1つの問題は、貯留した肺分泌物の除去である。そのような患者を分泌物除去処理中に酸素不足に陥らせることは望ましくない。分泌物除去は、吸引カテーテルにより達成される。吸引カテーテルは、呼吸器アクセスアセンブリによって人工気道内に一時的に配置され、すなわち、気管内チューブが患者の気道の一部に留置されて、患者の肺に空気(酸素及び他のガス)を供給する。この手順は単純なように思われるが、医療ケア提供者が装置の交換またはその他の治療法の施行を連続的または同時に行わなければならないときには特に、困難を伴う。実際に、これらの困難の結果、患者が人工呼吸器関連肺炎に罹患する可能性がある。これらの困難に対処しかつ克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した困難及び問題を踏まえて、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。ポートは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリは近位プレートを含み、近位プレートは第1のポート及び第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合され、各プレートは、相対的に変位するように構成される。アセンブリはまた、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを有する。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容する。
【0006】
本発明の別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリの使用方法が提供される。本方法は、呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含む。呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。ポートは、患者の人工気道と機能的に連通するように適合されている。呼吸器アクセスアセンブリはまた、第1のポート及び第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに対向して重合される。遠位プレート及び近位プレートは、互いに対して相対的に変位するように構成される。アセンブリは、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータをさらに含む。遠位プレートのポートが近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ両プレートの互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、アクチュエータは、両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止する。(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、アクチュエータは、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容する。本方法は、遠位プレートのポートが近位プレートの1つのポートと整合されるように一方または両方のプレートを変位させ、開放アセンブリを提供するステップを含む。本方法は、開放アセンブリに物体を通過させることによって、アクチュエータの一部に物体を接触させ、アクチュエータの少なくとも一部を作動させて、アクチュエータに両プレートを或る位置にロックさせることによって、両プレートの相対的な変位を実質的に防止するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの斜視図。アセンブリは呼吸器マニホルドに結合され、アセンブリの遠位端では人工気道に結合される。呼吸器アクセスアセンブリの近位端に結合された吸引カテーテルアセンブリの一部を示す。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの分解遠位斜視図。
【図3】図1及び図2の呼吸器アクセスアセンブリの分解近位斜視図。
【図4】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの遠位プレートの側面図。
【図5】図4に示した遠位プレートの近位側表面の平面図。
【図6】図4及び図5に示した遠位プレートの近位側表面の斜視図。プレートの一部上に配置された1列の歯を示す。
【図7】図1〜図3の呼吸器アクセスアセンブリの近位プレートの側面図。
【図8】図7に示した近位プレートの遠位側表面の平面図。
【図9】図7及び図8の近位プレートの遠位側表面の斜視図。
【図10A】1対の爪の遠位側表面を示す斜視図。
【図10B】ベース部の遠位側表面を示す斜視図。
【図11】遠位プレートの近位側表面の斜視図。遠位プレート上のそれぞれの位置に1対の爪及びベース部が配置されている。遠位プレートのポートを貫通して物体が配置されていないときの、ポートに対する爪の位置、特に遠位プレートの一部上の歯に対する爪の歯の位置を示す。
【図12】遠位プレートの近位側表面の斜視図。遠位プレート上のそれぞれの位置に1対の爪及びベース部が配置されている。或る物体(ポートの断面において破線で示す)が一方の爪を動かしたときの、ポートに対する爪の位置及び遠位プレートの一部上の歯に係合された該一方の爪の歯の位置を示す。
【図13】呼吸器アクセスアセンブリの第1の開放位置の側面図であって、遠位プレートのポート及び近位プレートの第1のポートが軸線方向に整合されている。
【図14】呼吸器アクセスアセンブリの第2の開放位置の側面図であって、遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが軸線方向に整合されている。
【図15】呼吸器アクセスアセンブリの第3の閉鎖位置の側面図であって、遠位プレートのポート、近位プレートの第1のポート及び近位プレートの第2のポートは、互いに整合されておらずかつ閉塞されていない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態、本発明の例を詳細に見てみる。それらの例は、図面に示されている。各例及び実施形態は、本発明の説明のために与えられており、本発明を制限する意図はない。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている構成要素を別の実施形態とともに用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。本発明には、これら及び他の変更形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨のものとして含まれるものとする。
【0009】
本願の呼吸器アクセスポートアセンブリは、閉鎖式換気システムにおいて機能し、閉鎖式システムの閉鎖回路特性を損なうことなく、また患者への換気ガスの流入を阻害することなく、挿管患者の呼吸器系へのマルチアクセスに適応するように設計される。例えば、限定されるものではないが、1若しくは複数のガスを用いて患者の肺を換気するため、肺から分泌物を吸引するため、肺に酸素を送り込んで肺からの残留二酸化炭素を除去するかまたは減少させるため、患者の呼吸器系の選択された部分を目視検査するため、痰及びガスをサンプリングするため、流量、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗い流すため並びに、薬剤、ガス及び/または洗浄液を投与するために、1若しくは複数のアクセス部位を通して閉鎖式呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【0010】
呼吸器アクセスポートアセンブリのための多くの現行の設計は、1つのポートしか有していないものがある。これらの例では、他の作業、例えば、気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などを行う必要があるときには、吸引カテーテルを抜去しなければならない。そのような人工呼吸器装着患者の吸引カテーテルを抜去することによって閉鎖式換気システムを開放すると、上述したように感染症を来す可能性がある。また、マルチアクセスポートマニホルド及び/またはアセンブリの現行の設計には、安全ロックが含まれていない。場合によっては、そのような安全ロックの欠如が原因で、マニホルドポートから吸引カテーテルを導入したときに、カテーテルの一部が脱落(離断)して患者の肺内に吸引されてしまうかもしれない。これが、気道閉塞、感染症を含む重篤な合併症を引き起こし、死につながる可能性すらある。さらに、呼吸器アクセスアセンブリの適切なシーリングが行われないと、終末呼気陽圧(PEEP)に支障を来すことがあり、それが今度は最適以下の換気を生じさせて、結果として患者の肺胞虚脱を招く可能性がある。本願の呼吸器アクセスアセンブリは、閉鎖式換気システムを開放することなくマルチアクセスを可能にする機能を含み、かつ、アセンブリ内に配置されたときに吸引カテーテル及び/または他の物体のどこかの部分が亡失することを防ぐパッシブ型安全ロック機能を含む。
【0011】
ここで図面を見てみると、図1〜図15に示されているように、呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。図1〜図9に示されているように、アセンブリ10には遠位ディスク(円盤体)またはプレート12及び近位ディスクまたはプレート14が含まれており、これらは互いに隣接して積み重ねられかつ軸線方向に整合された構成で配置される。「整合させる」、「整合」なる語及びそれらの変化語は、望ましくは、一直線に配列された複数のものの配置または位置が持つ空間特性を指すが、これに限定されるものではない。「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、望ましくは、特定の用途または使用を目的として設計、配置、設置または成形することを指すが、これらに限定されるものではない。例えば:起伏の多い地形向けに構成された軍用車両;システムのパラメータを設定することによって構成されたコンピュータ。
【0012】
遠位ディスクまたはプレート12は、図2及び図4〜図6に示されているように、ディスクまたはプレート12を貫通して形成された開口を有するポート16を少なくとも1つ含む。ディスクまたはプレート12の遠位側の外部表面22上に、カフ部(例えばカフ部20など)を設けることができるが、これに限定されるものではない。そのようなカフ部20は、ポート16の一部を提供するように、ポート16及び貫通延在開口を全体的に取り囲んでいる。当然のことながら、本明細書に図示及び/または記載されているカフ部は、ディスクまたはプレートの内部表面上にあるにしても外部表面上にあるにしても、本明細書に記載されているカフ部20のための特徴及び機能を含むことが望ましい。
【0013】
本明細書では、「ポート」なる語は、望ましくは、或る物体及び/または液体及び/またはガスを通過させるために構成部品に開口しているかまたは該構成部品を貫通する開口を意味する。本明細書では、「カフ部」なる語は、望ましくは、ポート上に配置されかつポートの一部を形成する、貫通開口を有する概ね円筒形の構成部品を意味するが、これに限定されるものではない。さらに、本明細書においては、ポート及びそのカフ部を集合的に「ポート」と呼ぶことがあり、2つ以上のポート及びその各々の関連するカフ部を集合的に「ポート」「両ポート(ポート及びカフ部が2つの場合)」と呼ぶことがあることを理解されたい。
【0014】
本明細書では、「プレート」なる語は、望ましくは、円形、正方形、矩形などを含むプレートの任意の形状及び構成をを指すが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、プレートは、弧状、弓形、平面的、凸状、凹状のものなどであってもよい。
【0015】
遠位ディスクまたはプレート12は、近位側表面24も有しており、近位側表面24は、外周部26と、外周部26に沿って形成されることが望ましい外周壁28とを含む。外周壁28は、外周部26から近位方向に約90°の角度をなして延出するものであってよい。「約」なる語は、望ましくは、数字に隣接して置かれたとき、記載されている数字プラスまたはマイナス10%の数を指すが、これに限定されるものではない。外周壁28の内部表面30上には、複数の歯32が形成されていることが望ましい。複数の歯32は、ポート16に隣接して配置されることができる。外周壁28は、溝36が形成された外部表面34も含むことが望ましい。溝36内には、Oリング38を配置することができる。Oリング38は、近位ディスク14の外周壁に接して配置されたとき、少なくとも部分的なシールとして機能する。遠位プレート12の近位側表面24は中心孔40を含み、中心孔40は、それを貫通するネジやピン42(図11及び図12に示す)などの留め具を受容するように構成されている。ピン42は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する相対的な変位を許容しつつ、各プレート12、14を互いに隣接して積み重ねられかつ軸線方向に整合された位置で保持することが望ましい。中心孔40の周囲には半円形の凹部44が設けられる。この半円形凹部44は、他の部品と協働し、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する相対的な変位を制限することができる。この実施形態では、限定されるものではないが、回転は約200°以下の範囲に限定されることが望ましい。回転は、約1°ないし約200°の範囲に限定されることが、より望ましい。
【0016】
遠位プレート12の内部近位側表面24は、複数の、傾斜のついた凹部46も含むことができる。これらの傾斜のついた凹部は、本明細書に記載されている他の部品と協働して、特定の所定位置でプレート12、14を互いに対して保持する助けとなることが望ましい。そのような部品及び所定位置については、以下で詳細に説明する。
【0017】
本明細書では、同じ意味で用いられる「方向」または「配置」なる語は、望ましくは、何かが位置している場所または方法の空間特性、例えば「時計の針の位置」を指すが、これに限定されるものではない。
【0018】
近位ディスクまたはプレート14は、限定されるものではないが、第1のポート50及び第2のポート52を含み、各ポートは、図7〜図9に示されているように、近位プレート14を貫通して延在する開口を有する。第1のポート50は、近位プレート14の近位側の外部表面56上に設けられた第1のカフ部54を有することができる。この例では、図9に示されているように、第1のカフ部54は遠位側の内部表面58を越えても延出し、第1のカフ部54には切り込み60が含まれてもよい。同様に、第2のポート52は、近位プレート14の近位側の外部表面56上に設けられた第2のカフ部62を有することができる。第2のカフ部62も、第1のカフ部54のように、内部遠位側表面58を越えて延出し、同様に切り込み60を含み得る。
【0019】
近位プレート14は外周部64を有し、外周部64は外周壁66を含むことが望ましい。外周壁66は、外周部64に沿って形成されることができ、かつ外周部64から遠位方向に約90°の角度をなして延出することが望ましい。本実施形態では、限定されるものではないが、遠位プレート12の外周壁28を近位プレート14の外周壁66内に収まる大きさにすることにより、遠位プレート12の外周壁28の外周面34上のOリング38が少なくとも、近位プレート14の外周壁68の内部表面68に接して変位可能なシールを形成する助けとなるようにする。
【0020】
近位プレート14には、中心開口69が設けられる。中心開口69は、遠位プレート12の中心孔40と整合されることが望ましく、両者は、貫通して配置されるネジまたはピン42(図11及び図12)によって、少なくとも互いに隣接して保持される。
【0021】
近位プレート14の遠位側表面58上に、中心開口69及びカフ部54、62に隣接して、複数の突出部分(複数の凸状環状リブ70など)を設けることができる。遠位及び近位プレートを共にロックするための手段またはパッシブ型ロックアセンブリの少なくとも一部を、近位プレート14の遠位側表面58に隣接して配置することができる。
【0022】
アクチュエータまたはパッシブ型ロックアセンブリは、例えば、図2、図3及び図10Aに示されているようなU字型コネクタ76によって接続されている1対の爪(歯止め)74を含むことが望ましいが、これに限定されるものではない。爪74及びコネクタ76は、近位プレート14の遠位側表面58上に配置されることが望ましい。各爪74は、一端においては開口80が設けられた円形部分78を有し、反対端においては複数の歯82を有する。各爪74はまた、その外縁部86に沿って配置されたフランジ84を含むことが望ましい。1対の爪74の各爪のフランジ84は、第1のカフ部54の切り込み60及び第2のカフ部62の切り込み60内にそれぞれ変位可能に延出するように構成されている。このようにして、1つの爪74のフランジ84は、第1のカフ部54内に延出しかつ僅かに第1のポート50内に延出する。同様に、もう1つの爪74のフランジ84は、第2のカフ部62内に延出しかつ僅かに第2のポート52内に延出する。例えば、第1または第2のポート50、52を貫通して吸引カテーテルなどの物体が配置されているときに、各フランジ84をそれぞれの切り込み60から出すことができることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
アクチュエータまたはパッシブ型ロックアセンブリの一部として、図2、図3及び図10Bに示されているようなベース部88が設けられる。ベース部88は、1対の爪74及びU字型コネクタ76に隣接して設けられることが望ましい。1対の爪74及びU字型コネクタ76の遠位側表面90は、ベース部88の近位側表面92に対向して配置されることが望ましい。ベース部の近位側表面92には、複数の柱部94を含むことが望ましい。
【0024】
1対の爪74の各爪上の各円形部分78は、図11及び図12に示されているように、ベース部88の近位側表面92上の柱部94に掛けられるように構成されている。U字型コネクタ76は、複数の柱部94のうちの2つの柱部94の間に配置されることができる。そして、複数の柱部94の各柱部94は、1対の爪74及びU字型コネクタ76を近位プレート14に隣接した位置で保持しかつ1対の爪74の変位を制限するために、近位プレート14の遠位側表面58上の複数の環状リブ70の各環状リブ70内に収まるように配置されることが望ましい。ベース部88には、留め具すなわちネジやピン42などを通すことができるように、ベース部88を貫通する開口95を含む。ベース部88の遠位側表面96には、開口95の近くにタブまたは変位止め98を含む。ベース部88の一端には曲線状の脚部100を含み、曲線状の脚部100の各端の遠位側表面96上にはタブ102を含む(図2及び図10B)。ベース部88の反対端は、Oリング106を保持するように構成された円形溝104を含むことができる。ベース部88の遠位側表面96は、遠位プレート12の近位側表面24に対向して配置されることが望ましい。
【0025】
図2及び図3に示されているように、近位プレート14の外周壁66の外周面110上に、カラー部108を配置することができる。カラー部108は、その外周面110上に複数のリブ112または他の突出部分(図示せず)を含むことができる。これらは、医療提供者がアセンブリ10を手に持ちアセンブリ10を操作するのに役立つ。カラー部108は、テザー部116によってカラー部108に結合され得るキャップ114を1対含むことが望ましい。各キャップ114は、第1のポート50及び/または第2のポート52を閉塞または閉鎖するように、第1のカフ部54及び/または第2のカフ部62などのカフ部内にちょうど収まるように構成されている。当然のことながら、キャップ114は、カフ部54、62内に収まるように構成されるか、またはカフ部54、62の外に嵌るように構成されるか、またはカフ部54、62内またはカフ部54、62上にネジで取り付けられるかまたはスナップ式留め具などで留められるように構成されることなどができる。
【0026】
「結合(する)」なる語及びその変化語は、望ましくは、2つのものの接続、連結、締結、関連付け、結束、(接着剤による)接着、または一体的または介在的な結び付けを含むが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、2つのものは、直接または間接的に結合されることができる。
【0027】
操作中、ポート16のカフ部20は、マニホルド120のポートに結合されることができ、マニホルド120は今度は気管内チューブまたは人工気道122及び人工呼吸器(図示せず)に結合される。人工気道122の少なくとも一部が、患者の気道(図示せず)の一部に配置される。
【0028】
吸引カテーテルアセンブリ130は、図1に部分的に示されているように、少なくとも遠位エンドコネクタ(連結端部)132を含み、遠位エンドコネクタ132は、近位プレート14の第1のポート50の第1のカフ部54に解除可能に結合されることが望ましい。あるいは、吸引カテーテルアセンブリ130を、第1のカフ部54に解除可能に結合することができる中間のクイックリリース・コネクタ(図示せず)に結合してもよい。遠位エンドコネクタ132にはスリーブ134を結合することが望ましく、スリーブ134は、少なくとも実質的に吸引カテーテル136を覆って延在し、吸引カテーテル154を実質的に覆うための近位エンドコネクタ(図示せず)を含み得る。吸引カテーテル136は、少なくとも1つの開口を備えた遠位端(図示せず)を含む。「実質的な」または「実質的に」なる語は、望ましくは、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当な、またはかなりの量を指すが、これらに限定されるものではない。例えば、本明細書において「実質的に覆われている」の如く適用される「実質的に」は、或るものが少なくとも70%覆われていることを意味する。
【0029】
吸引カテーテル136は、ルーメンが貫通しかつ開口近位端(図示せず)を有する長寸の本体139も含むことが望ましい。吸引カテーテルアセンブリ130または吸引カテーテル134の近位端は、吸引カテーテル136に吸引力を与える吸引装置(図示せず)の少なくとも一部に結合されるように適合されている。当然のことながら、吸引カテーテル136は、患者の気道内の一部まで延在してそこから分泌物を吸引するために、アセンブリ10を貫通し、任意の取り付けられたマニホルド120及び人工気道122を貫通して延在するのに十分な長さを有する。吸引力が停止されたときには、当然のことながら、吸引カテーテル136は、その後、患者の気道、人工気道122、マニホルド120及び呼吸器アクセスアセンブリ10から引き抜かれることが望ましい。吸引カテーテル136は、吸引カテーテルアセンブリ130及びスリーブ134内の適切な位置に戻されることが望ましい。このようにして、吸引カテーテル136の実質的な長さは、スリーブ134内に収容され、従って、再び分泌物吸引のために必要とされるまで、患者の閉鎖回路換気システムの外側に置かれる。
【0030】
吸引カテーテルは、公知であり、多くの医学的用途のために広く市販されている。吸引は、「開放式」または「閉鎖式」システムを用いて行うことができる。開放式システムでは、吸引カテーテルは、軟質ルーメンに挿入される単なる軟質プラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端には吸引源が接続される。ルーメンに入る前に吸引カテーテルが接触する如何なるものも滅菌状態に維持されていなければならないので、患者に接触または隣接して「滅菌領域」が作られなければならない。吸引カテーテルは、使用後には、表面が患者の分泌物で覆われることになるので、慎重に取り扱わなければならない。対照的に、例えば米国特許第4,569,344号明細書(特許文献1)に開示されているような「閉鎖式」システムでは、分泌物を吸引するために用いることができる機器は、使用前に吸引カテーテルの汚染を排除するかまたは最小にするために、概ね円筒状のプラスチックバッグに封入されている。これは、一般に「閉鎖式吸引カテーテル」と呼ばれるもので、バラード(登録商標)メディカルプロダクツ社(キンバリークラーク社)からトラックケアー(登録商標)という商品名で販売されている。閉鎖式吸引システムは広く医療提供者に好まれているが、その理由は、閉鎖式の方が患者及び医療提供者への感染症伝播の可能性が低いからである。本願の呼吸器アクセスポートアセンブリ10は、そのような閉鎖式吸引アセンブリ130と併用されることが望ましい。
【0031】
当然のことながら、吸引カテーテルアセンブリ130は、第1または第2のポート50、52のそれぞれ第1または第2のカフ部54、63のいずれかに結合され得る。同様に、第1または第2のポート50、52のそれぞれ第1または第2のカフ部54、63の一方に、気管支鏡または他の器具類などを解除可能に結合することもできる。当然のことながら、吸引カテーテル136及び吸引カテーテルアセンブリ130は、常に、閉鎖回路換気システムの一部として維持される。
【0032】
操作及び使用方法において、医療提供者は、遠位プレート12のポート16のカフ部20に結合されているマニホルド120を把持する。医療提供者はまた、近位プレート14の外周壁66の外周面110に結合されているカラー部108を掴み、近位プレート14を回転させて、遠位プレート12のカフ部20及びポート16が近位プレート14の第1のカフ部54及び第1のポート50と整合するようにする。ベース部88の遠位側表面96上のタブまたは変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。タブまたは変位止め98が、円形部分78と協働して、遠位及び近位プレート12、14の回転を互いに対して約200°以内に制限する。従って、ポート16、50及びそれぞれのカフ部20、54が整合されていなければ、医療提供者は、カラー部108を掴み、近位プレート14を、図1に示されているように、反時計回り方向にその最大点または最大回転まで回転させ、遠位プレート12のポート16及びカフ部20を近位プレート14の第1のポート50及び第1のカフ部54と整合させることができるようにする。あるいは、当然のことながら、近位プレート14を医療提供者が保持し、遠位プレート12を時計回り方向にその最大回転点まで変位させることもできる。しかし、遠位プレート12及びそのポート16及びカフ部20は、マニホルド120に結合され、マニホルド120は患者の人工気道122に結合され、これらは全て相対的に固定された位置に維持されることが望ましい。従って、当然のことながら、遠位プレート12を静止したまま保持して近位プレート14を回転させる方がより望ましい。
【0033】
「静止(した)」、「静止プレート」及び/または「静止ディスク」なる句は、望ましくは、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートまたは該プレートを保持する部品が、相手方のディスクを医療提供者が3つの所定位置のうちの1つまで回転させる間に医療提供者に把持されかつ相対的に固定された「静止」位置に保持されるときの当該プレートを指すが、これに限定されるものではない。両プレートは、同様に、固定された不動位置に配置されかつ共にロックされているときに、相対的に「静止したプレート」であり得る。
【0034】
「プレートを回転させる」及び/または「ディスクを回転させる」なる句は、望ましくは、近位プレートまたは遠位プレートのうちのいずれか一方であって、該プレートがロックされていないために各プレートが互いに対して回転し得るときの当該プレートを指すが、これに限定されるものではない。遠位及び近位プレートは、3つの所定位置に配置されるように構成される。しかし、非ロック位置にあるとき、遠位及び近位プレートの両者は互いに対して自由に回転することができ、各プレートは、互いに対して逆方向に(最大約200°またはそれ以下)相対的に変位または回転することができる。両プレートは、同様に、各プレートを医療提供者が逆方向に自由に回転させることができるように非ロック位置に配置されているときに、相対的に変位または「回転」することができる。
【0035】
遠位及び近位プレート12、14のポート16、50及びカフ部20、52がそれぞれ整合されたとき、これらは、ベース部88の遠位側表面96の脚部100の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上に複数あるうちの2つの傾斜のついた凹部46との協働によって、この特定の所定位置に解除可能に保持される。すなわち、脚部100上の1対のタブ102の各々が、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。脚部100の遠位側表面96上のタブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合され、その一方で、遠位プレート12の近位側表面24上には、複数(4)個の凹部46が形成されている。従って、これらの部品は、互いに協働して、特定の所定位置すなわち第1の開放位置(図1及び図13)で遠位及び近位プレート12、14を解除可能に保持する。第1の開放位置では、ポート16、50及びカフ部20、54はそれぞれ、軸線方向に整合された位置にある。
【0036】
「開放(された)」及び「開放位置」なる語及び句並びにそれらの変化語は、望ましくは、本明細書に記載の互いに整合された複数(2)個のポートの位置であって、該位置において、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの物体を、互いに整合されたポートを通って患者の気道の一部内へ進めることができるような位置を指すが、これに限定されるものではない。
【0037】
吸引カテーテルアセンブリ130は第1のポート50の第1のカフ部54に結合されることが望ましいので、吸引カテーテル134を、互いに整合されたポート16、50及びカフ部20、54をそれぞれ通り、マニホルド120及び人工気道122を通って患者の気道の少なくとも一部内へ進め、そこから分泌物を吸引することができる。吸引カテーテル(または他の物体)が遠位及び近位プレート12、14のポート16、50をぞれぞれ貫通して配置されている間に、医療提供者が、遠位及び近位プレート12、14を互いに対して別の位置に相対的に変位させようと試みたとしても、1若しくは複数の部品が、プレート12、14の変位を防止するように働き、それによってパッシブ型ロックを提供する。
【0038】
第一に、医療提供者が、マニホルド120及び/または遠位プレート12を把持しかつ静止位置で保持すると同時にカラー部108を掴みかつ近位プレート14を反時計回り方向に変位または回転させることによって遠位及び近位プレート12、14を変異させようと試みたとしても、そのような変位は変位止め98によって防止される。ベース部88(ベース部88は近位プレート14にしっかりと結合される)上の変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。半円形凹部44は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する回転を制限する。これらの部品は、互いに協働して、反時計回り方向にさらに回転することを防止する。
【0039】
第二に、医療提供者が、近位プレート14を遠位プレート12に対して時計回り方向に変位または回転させようと試みたとしても、吸引カテーテル134が、第1のポート及び第1のカフ部50、54にそれぞれに隣接する爪74のフランジ84に押し付けられる。この圧力は、フランジ84を変位させ、結果として爪74を変位させ、図12に示されているように、爪74の複数の歯82のうちの少なくともいくつかを、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32のうちの少なくともいくつかと係合させる。ベース部88に結合されかつベース部88を介して近位プレート14に結合される爪74の歯82は、遠位プレート12の歯32と係合しかつ噛み合う。この係合は、その結果、遠位プレート12に対する近位プレート14の時計回りの変位を実質的に防止する。すなわち、遠位及び/または近位プレート12、14のごく限られた相対的な変位が生じることもあるが、そのような変位は、ポート16及び第1のポート50の整合、またはポート16、50を通って吸引カテーテル134を変位させる能力に、実質的に影響を与えない。その理由は、実質的な変位が許容されていないからである。従って、これらの部品の協働によってパッシブ型ロックが提供され、それによって、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位が実質的に防止される。その結果、互いに整合されたポート15、50を貫通して吸引カテーテル136が配置されているときに、医療提供者が遠位及び近位プレート12、14を不注意に変位させることが防止される。そのようなパッシブ型安全ロックがなければ、そのような変位によって吸引カテーテル136の遠位部分が切断される可能性があり、そうなれば、患者は破滅的状況に至るかもしれない。このパッシブ型ロックは、図11に示されているように、アセンブリ10の互いに整合されたポート16、50から吸引カテーテル136が完全に引き抜かれたときに係合解除される。この引き抜きにより、爪74上の複数の歯82は、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32から離れかつ係合解除することができる。従って、近位プレート14は、この時点で、遠位プレート12に対する時計回り方向の回転が可能になる。あるいは、当然のことながら、この時点で、遠位プレート12を近位プレート14に対して反時計回り方向に回転させることもできる。
【0040】
遠位プレート12のポート16及びカフ部20を近位プレート14の第2のポート52及び第2のカフ部62と整合させることができるようにするために、近位プレート14を、遠位プレート12(遠位プレート12は、この場合もやはり、既に述べた理由で、医療提供者によって相対的に静止した位置で把持されることが望ましい)に対して時計回り方向にその最大点または最大回転まで変位または回転させたときに、アセンブリ10を、図14に示されるような第2の開放位置へと変位させることができる。この位置は、遠位及び近位プレート12、14のポート16、52及びそれぞれのカフ部20、62の軸線方向の整合を提供する第2の被選択所定位置である。ベース部88(ベース部88は近位プレート14に結合される)の遠位側表面96上のタブまたは変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。変位止め98は、半円形凹部44と協働して、遠位及び近位プレート12、14の回転を互いに対して約200°以内に制限する。従って、変位止め98及び半円形凹部44は互いに協働してさらなる回転を制限するので、第2の位置は、医療提供者が近位プレート14を遠位プレート12に対して時計回り方向に回転させることができる範囲内にある。遠位及び近位プレート12、14のポート16、52及びカフ部20、62は、それぞれ軸線方向に整合されているときに、ベース部88の遠位側表面96の脚部100上の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上の複数の傾斜のついた凹部46のうちの2つとの協働によって、この特定の所定位置で解除可能に保持される。すなわち、脚部100上の各タブ102は、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。1対のタブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合される。2つの凹部46は、遠位プレート12の近位側表面24上に形成される。従って、これらの部品は、互いに協働して、遠位及び近位プレート12、14を別の特定の所定位置で解除可能に固定する。すなわち、これらの部品は、互いに協働して、アセンブリ10を第2の開放位置で固定する。この位置において、気管支鏡または他の器具または物体を、アセンブリ10または遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16及び第2のポート52を通り、マニホルド120を通って、人工気道122内及び患者の気道の一部(図示せず)内へ導入することができる。当然のことながら、第1の開放位置に関して詳細に上記したように、互いに整合されたポート16、52及びカフ部20、62をそれぞれ貫通して、物体、例えばほんの一例として気管支鏡の一部が配置されている間に、医療提供者が、遠位及び近位プレート12、14を相対的に変位させようと試みたとしても、アセンブリ10は、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位を実質的に防止するようなパッシブ(受動的)にロックされた位置に配置される。
【0041】
「変位を実質的に防止する」なる句及びその変化語は、望ましくは、遠位プレートのポートが近位プレートのポートと整合され、互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときの、両プレートの相対的な変位を指すが、これに限定されるものではない。両プレートには、僅かな不整合(ずれ)を許容するような僅かな相対的変位が生じることがあるが、両ポートは、ポートを通過する物体が僅かな不整合によって断裂(pinch off)したり詰まったりしないように実質的に整合されたままであり、物体は、尚も両ポートを通過することができる。
【0042】
この場合もやはり、遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16及び第2のポート52を貫通して物体が配置されているときに、1若しくは複数の部品(2つの部品が望ましいが、これに限定されるものではない)が、互いに協働して遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位を防止し、それによって、この場合もやはり、アセンブリ10のためのパッシブ型ロックを提供する。第一に、医療提供者が、マニホルド120及び/または遠位プレート12を把持しかつ静止位置に保持すると同時にカラー部108を掴みかつ近位プレート14を時計回り方向に変位または回転させることによって、遠位及び近位プレート12、14を相対的に変位させようと試みたとしても、そのような変位は変位止め98によって防止される。ベース部88(ベース部88は近位プレート14にしっかりと結合される)上の変位止め98は、遠位プレート12の近位側表面24上の半円形凹部44内に配置される。半円形凹部44は、遠位及び近位プレート12、14の互いに対する過度の回転を制限する。これらの部品は、互いに協働して、近位プレート14が時計回り方向にさらに回転することを防止する。
【0043】
第二に、遠位及び近位プレート12、14のポート16、52がそれぞれ整合されているときに、医療提供者が、遠位プレート12に対して近位プレート14を反時計回り方向に変位または回転させようと試みたとしても、気管支鏡または物体(図示せず)の一部が、第2のポート52及び第2のカフ部62に隣接する爪74のフランジ84に押し付けられる。この圧力は、フランジ84及びその爪74を相対的に変位させ、図12に示されているように、爪74の複数の歯82のうちの少なくともいくつかを、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の複数の歯32のうちの少なくともいくつかと係合させる。近位プレート14に結合されている爪74の歯82は、遠位プレート12の歯32と係合しかつ噛み合い、それによって遠位プレート12に対する近位プレート14の反時計回りの変位を実質的に防止する。すなわち、遠位及び/または近位プレート12、14のごく限られた相対的な変位が生じることもあるが、そのような変位は、ポート16、52の整合に、または吸引カテーテル134にポート16、52を通過させる能力に、実質的に影響を与えない。その理由は、実質的な変位が許容されていないからである。従って、これらの部品の協働によってパッシブ型ロックが提供され、それによって、遠位及び近位プレート12、14の相対的な変位が実質的に防止される。
【0044】
その結果、互いに整合されたポート16及び第2のポート52を貫通して、気管支鏡、吸引カテーテルなどの物体が配置されているときに、医療提供者が遠位及び近位プレート12、14を不注意に変位させることが防止される。そのようなパッシブ型安全ロックがなければ、そのような変位によって物体が影響を受ける(例えば、そのような物体の遠位部分が切断される)可能性があり、そうなれば、この場合もやはり、患者は破滅的状況に至るかもしれない。このパッシブ型ロックは、物体(図12中に吸引カテーテル136として描かれている)がアセンブリ10の遠位及び近位プレート12、14の互いに整合されたポート16、52から完全に引き抜かれたときに外される。この引き抜きにより、爪74上の歯82は、図11に示されているように、遠位プレート12の外周壁28の内部表面30上の歯32から離れかつ係合解除することができる。従って、近位プレート14は、この時点で、遠位プレート12に対して反時計回り方向に回転することができる。あるいは、当然のことながら、遠位プレート12を近位プレート14に対して時計回り方向に回転させることもできる。
【0045】
ポート16及びカフ部20が第1のポート50及び第1のカフ部54と整合される第1の位置は、例えば、ポート16及びカフ部20が第2のポート52及び第2のカフ部62(図13)と整合される第2の位置から約180°離れて配置されることが望ましいが、これに限定されるものではない。アセンブリ10が第1の位置に配置されているときには、第2のポート52及び第2のカフ部62は、遠位プレート12の一部によって閉塞されることが望ましい。同様に、アセンブリ10が第2の位置に配置されているときには、第1のポート50及び第1のカフ部54も、遠位プレート12(図14)の一部によって閉塞されることが望ましい。そのような閉塞は、キャップ114などの他の部品と協働してPEEP圧力を維持するとともに、閉塞されたポート内に、吸引カテーテル、気管支鏡、その他などの物体が導入されないようにすることによって、どのポートが開放されているかに関する混乱を防止する。
【0046】
呼吸器アクセスアセンブリ10は、図15に示されているような、第3の被選択位置などの追加の所定位置も含むことができる。すなわち、アセンブリ10は、遠位及び近位プレート12、14の全てのポート16、50及び52に対する閉鎖位置である第3の位置を含み得る。限定されるものではないが、この例では、第1の開放位置と第2の開放位置との間に閉鎖位置が設けられている。ゆえに、閉鎖位置は、例えば第1の位置及び第2の位置に対して約90°の角度をなす位置である。医療提供者が第1の開放位置と第2の開放位置との間で遠位プレート12に対して近位プレート14を変位または回転させるとき、遠位及び近位プレート12、14は、中間閉鎖位置を通過する。この第3の閉鎖位置は、任意選択的な位置である。というのも、物体の通過を許容するポートの整合がないので、ポート内に配置された物体のいかなる部分を切断する危険もないからである。この位置は、ポート16、50及び52のいずれにもポートを貫通する物体が配置されていないときに利用され得る。第3の位置においては、医療提供者が、遠位プレート12のポート16が第1のポート50と第2のポート52との間に配置されるまで、近位ポートを反時計回り(遠位及び近位プレート12、14が第1の位置にある場合)または反時計回り(遠位及び近位プレート12、14が第2の位置にある場合)のいずれかに変位または回転させている間、マニホルド120及び/または遠位プレート12の一部が相対的に静止した位置に保持されることが望ましい。ポート16はそのとき、ベース部88の遠位側表面96上の溝104に収容されているOリング上に配置されることが望ましい。Oリングは、ポート16を閉塞し、かつ封止する働きをする。この位置では、遠位プレート12の一部が第1のポート50及び第2のポート52の両者を閉塞する。ポート16、50及び52は、この位置ではロックされない。しかし、ポート16、50及び52は、ベース部88の遠位側表面96の脚部100上の1対のタブ102と遠位プレート14の近位側表面24上の複数の傾斜のついた凹部46のうちの2つとの協働によって、第3の被選択所定閉鎖位置において解除可能に保持される。この場合もやはり、脚部100上の1対のタブ102の各タブは、複数の傾斜のついた凹部46のうちの1つに入る。タブ102はベース部88上に設けられ、ベース部88は近位プレート14に結合されている。上記2つの傾斜のついた凹部46は、遠位プレート12の近位側表面24上に形成されている。従って、これらの部品は、互いに協働して、遠位及び近位プレート12、14を第3の閉鎖位置に解除可能に固定する。当然のことながら、傾斜のついた凹部は、プレート12、14の一方または両方を相対的に変位または回転させるために十分な圧力が医療提供者によって加えられるまで、遠位及び近位プレート12、14を或る位置に保持し、その時点で、凹部46の傾斜により、タブ102は凹部46から出ることができる。ポート16、50及び52が或る期間使用されないとき、医療提供者は、PEEPの維持を支援するために、プレート12、14を第3の閉鎖位置へと変位させることを選択してもよい。
【0047】
「閉鎖(された)」または「閉鎖位置」なる語及び/または句並びにそれらの変化語は、望ましくは、1若しくは複数のポートの位置であって、該位置において、ポートが整合されていないので、吸引カテーテル、気管支鏡の一部、その他などの任意の大きな物体が、上記の「閉鎖された」ポートを通過することができないような位置を指すが、これに限定されるものではない。ポートは、物体(既に言及したものなど)を閉塞するかまたは物体がポートを通過しないようにするために、「閉鎖」または「閉塞」され得る。しかし、ポートは完全に閉塞または閉鎖されなくてもよいし、少なくとも或る場合には、閉塞または閉鎖されたポートをガス及び/または液体が通過する状態が続くようにしてもよい。
【0048】
本明細書において、特定の部品が特定の角度で記載及び図示されている。しかし、当然のことながら、アセンブリが本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の部品を任意の角度または複数の角度の任意の組合せで配置することができる。
【0049】
さらに当然のことながら、本発明において、曲線状または弓形プレート、凸状または凹状ディスクまたはプレート、あるいは平坦または平面的なディスクまたはプレートを用いることもできる。さらに、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているように機能する限り、任意の構成を含むことができる。同様に、ディスクまたはプレートは、様々な形で相対的に変位することができる。すなわち、ディスクまたはプレートは、本明細書に図示及び/または記載されているような結果を達成するように機能する限り、互いに対して、回転、旋回、摺動及び任意の方法での変位が可能である。
【0050】
遠位及び近位プレートが、平坦、四角形、または矩形のプレート(図示せず)である場合、当然のことながら、遠位及び近位プレートは、互いに対して摺動するように配置されることができる。そのような実施形態では、限定されるものではないが、ベース部及び爪は、摺動体を収容するために異なって構成されることができ、2つ以上のベース部に1若しくは複数の爪を設けてもよい。プレートの互いに対する相対的な変位を制限するために、2つ以上の変位止めを設けることができる。遠位プレートは、2列以上の歯を有してもよい。遠位及び/または近位プレートは、フィンガ、歯、溝、レール、リブなどを1若しくは複数有することができる。すなわち、遠位及び/または近位プレートは、互いに対する噛み合いを可能にする構造特性を有し得る。この代替実施形態及び他の代替実施形態を実施するために必要とされるであろう変更箇所については、当業者が熟知しているであろう。
【0051】
さらに、当然のことながら、爪を、棒材、ブロック、または当分野で既知の任意の装置などで代用してもよい。そのような装置を用いる場合、少なくとも一方のプレートの互いに対する相対的な変位を防止するために、装置は、プレート壁の一部に接して摩擦により配置され得るように、変位可能な装置である。そのようなプレート壁はそれ自体が、粗面または摩擦要素、例えば歯、棒状物などを含むことができる。あるいは、プレート壁は、上記装置が少なくとも一方のプレートの変位を防止するように摩擦により接して配置されることになる摩擦部品、例えばOリング、リブ、歯などの少なくとも一部を含むことができる。
【0052】
アセンブリ10は、遠位ディスクまたはプレート上に2つ以上のポート及びカフ部を含み、近位ディスクまたはプレート上に3つ以上のポート及びカフ部(図示せず)を含むことができる。さらに、アセンブリ10は、マニホルド120または当分野で既知の任意の他のマニホルドを含むことができる。さらに、アセンブリ10は、吸引カテーテルアセンブリ130または当分野で既知の任意の他の吸引カテーテルアセンブリを含むことができる。さらなる代替形態では、アセンブリ10は、マニホルド及び吸引カテーテルアセンブリをともに含むことができる。
【0053】
「機能的連通(operable communication)」なる句は、望ましくは、特定の目的のための2つの点及び/または2つの構造間での伝達または通過を指すが、これに限定されるものではない。この例では、機能的連通は、ガス及び/または液体を通過させることができる通路であり、物体を通過させることができるように構成することもできる。
【0054】
「含む」「含んでいる」なる語及び語根「含む」からの他の派生語は、望ましくは、限定されるものではないが、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。同様に、「含む」「含んでいる」なる語及び「有する」「有している」なる語及びそれらの派生語は、「含む」なる語として解釈されることを意図しており、任意の記載されている特徴部、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴部、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【0055】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、本発明に含まれる対象はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、本発明の対象は、本発明の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが、前記近位プレートに対向して重合され、各プレートが、相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが、前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容するようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときにのみ、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動し、それによってパッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記アクチュエータの少なくとも一部が、一方のプレートに結合され、歯を複数備えた爪を含んでおり、前記爪の一部を少なくとも一方のポートに隣接して配置することにより、前記ポートを貫通して物体が配置されているときには、該物体が、前記爪の前記一部を、前記爪の前記歯の少なくとも一部が別のプレート上の歯の少なくとも一部と係合するように変位させ、それによって、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を、前記物体が引き抜かれて前記爪の前記一部が前記ポートに隣接する初期位置に戻りかつ前記爪の前記歯が前記プレートの前記歯から係合解除されるまで、実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記アクチュエータが、一方のプレートに結合されたベース部上に設けられた変位止めを含み、該変位止めが、対向するプレート上に形成された凹部の領域内で変位するように構成され、両者が協働して、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが第1の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記アセンブリが前記第1の位置に配置されたときに、前記近位プレートの前記第2のポートが前記遠位プレートの一部によって閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第2の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリが前記第2の第1の位置に配置されるときに、前記近位プレートの前記第1のポートが閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置されるときに、ポート同士が互いに整合されず、前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるように第3の閉鎖位置に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記遠位プレートが、複数の傾斜のついた凹部を含み、前記近位プレートが、少なくとも1つのタブを有するベース部を含み、
前記アセンブリが複数の所定位置のうちの1つに配置されたときに、前記各プレートを前記複数の所定位置のうちの1つにおいて解除可能に保持するために、前記タブが、前記複数の傾斜のついた凹部のうちの1つに配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項11】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートとを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに対向して重合され、各プレートが互いに対して相対的に変位するように構成され、
前記呼吸器アクセスアセンブリがさらに、
一方のプレートのポートが別のプレートのポートと整合されて互いに軸線方向に整合されたポートが提供され、かつ該両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記両プレートを共にロックし、前記両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び前記ポート同士が互いに軸線方向に整合されていないときには、前記両プレートのロックを解除するための手段を含むことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記手段が、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容するようにしたことを特徴とする請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときにのみ、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動し、それによってパッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項14】
前記アクチュエータの少なくとも一部が、一方のプレートに結合され、歯を複数備えた爪を含んでおり、前記爪の一部を少なくとも一方のポートに隣接して配置することにより、前記ポートを貫通して物体が配置されているときには、該物体が、前記爪の前記一部に接して、前記爪上の前記歯の少なくとも一部が別のプレート上の歯の少なくとも一部と係合するように変位する場合、それによって、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を、前記物体が引き抜かれて前記爪の前記一部が前記ポートに隣接する初期位置に戻りかつ前記爪の前記歯が前記プレートの前記歯から係合解除されるまで、実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記アクチュエータが、一方のプレートに結合されたベース部上に設けられた変位止めを含み、該変位止めが、別のプレート上に形成された凹部の領域内で変位するように構成され、両者が協働して、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項16】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第1の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートに物体を通過させたときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第2の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置されたときに、ポート同士が互いに整合されず、前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるように第3の閉鎖位置に配置されるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項19】
呼吸器アクセスアセンブリの使用方法であって、
呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含み、該呼吸器アクセスアセンブリが、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが、前記近位プレートに対向して重合され、前記遠位プレート及び前記近位プレートが、互いに対して相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容し、
前記方法がさらに、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの1つのポートと整合されるように少なくとも一方のプレートを変位させ、開放アセンブリを提供するステップと、
前記開放アセンブリに物体を通過させることによって、前記アクチュエータの一部に前記物体を接触させ、前記アクチュエータの少なくとも前記一部を作動させて、前記アクチュエータに前記両プレートを或る位置にロックさせることによって該両プレートの相対的な変位を実質的に防止するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記互いに整合された両ポートから前記物体を引き抜くことによって、前に作動させた前記アクチュエータの少なくとも前記一部をこの時点で作動しないようにし、それによって各プレートの互いに対する少なくとも一方向への相対的な変位を許容するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが、前記近位プレートに対向して重合され、各プレートが、相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが、前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容するようにしたことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときにのみ、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動し、それによってパッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記アクチュエータの少なくとも一部が、一方のプレートに結合され、歯を複数備えた爪を含んでおり、前記爪の一部を少なくとも一方のポートに隣接して配置することにより、前記ポートを貫通して物体が配置されているときには、該物体が、前記爪の前記一部を、前記爪の前記歯の少なくとも一部が別のプレート上の歯の少なくとも一部と係合するように変位させ、それによって、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を、前記物体が引き抜かれて前記爪の前記一部が前記ポートに隣接する初期位置に戻りかつ前記爪の前記歯が前記プレートの前記歯から係合解除されるまで、実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記アクチュエータが、一方のプレートに結合されたベース部上に設けられた変位止めを含み、該変位止めが、対向するプレート上に形成された凹部の領域内で変位するように構成され、両者が協働して、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが第1の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記アセンブリが前記第1の位置に配置されたときに、前記近位プレートの前記第2のポートが前記遠位プレートの一部によって閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第2の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリが前記第2の第1の位置に配置されるときに、前記近位プレートの前記第1のポートが閉塞されるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置されるときに、ポート同士が互いに整合されず、前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるように第3の閉鎖位置に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記遠位プレートが、複数の傾斜のついた凹部を含み、前記近位プレートが、少なくとも1つのタブを有するベース部を含み、
前記アセンブリが複数の所定位置のうちの1つに配置されたときに、前記各プレートを前記複数の所定位置のうちの1つにおいて解除可能に保持するために、前記タブが、前記複数の傾斜のついた凹部のうちの1つに配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項11】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートとを含み、
前記遠位プレートが前記近位プレートに対向して重合され、各プレートが互いに対して相対的に変位するように構成され、
前記呼吸器アクセスアセンブリがさらに、
一方のプレートのポートが別のプレートのポートと整合されて互いに軸線方向に整合されたポートが提供され、かつ該両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記両プレートを共にロックし、前記両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び前記ポート同士が互いに軸線方向に整合されていないときには、前記両プレートのロックを解除するための手段を含むことを特徴とする呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記手段が、少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容するようにしたことを特徴とする請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項13】
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときにのみ、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動し、それによってパッシブ型ロックを提供するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項14】
前記アクチュエータの少なくとも一部が、一方のプレートに結合され、歯を複数備えた爪を含んでおり、前記爪の一部を少なくとも一方のポートに隣接して配置することにより、前記ポートを貫通して物体が配置されているときには、該物体が、前記爪の前記一部に接して、前記爪上の前記歯の少なくとも一部が別のプレート上の歯の少なくとも一部と係合するように変位する場合、それによって、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を、前記物体が引き抜かれて前記爪の前記一部が前記ポートに隣接する初期位置に戻りかつ前記爪の前記歯が前記プレートの前記歯から係合解除されるまで、実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記アクチュエータが、一方のプレートに結合されたベース部上に設けられた変位止めを含み、該変位止めが、別のプレート上に形成された凹部の領域内で変位するように構成され、両者が協働して、少なくとも一方向への前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するようにしたことを特徴とする請求項14に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項16】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第1のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第1の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートに物体を通過させたときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記遠位プレートの前記ポートと前記近位プレートの前記第2のポートとが互いに整合されているときには、前記アセンブリが前記第2の開放位置に配置され、
前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記両プレートの相対的な変位を実質的に防止するように前記アクチュエータが作動するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置されたときに、ポート同士が互いに整合されず、前記アセンブリが、各ポートが閉塞されるように第3の閉鎖位置に配置されるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリ。
【請求項19】
呼吸器アクセスアセンブリの使用方法であって、
呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含み、該呼吸器アクセスアセンブリが、
患者の人工気道と機能的に連通するように適合されているポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを含む近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレートが、前記近位プレートに対向して重合され、前記遠位プレート及び前記近位プレートが、互いに対して相対的に変位するように構成され、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの少なくとも一方のポートと整合されて配置され、かつ前記両プレートの前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されているときには、前記アクチュエータが、前記両プレートと協働して、該両プレートの相対的な変位を実質的に防止し、
(a)前記互いに整合された両ポートを貫通して物体が配置されていないとき及び(b)ポート同士が互いに整合されていないときには、前記アクチュエータが、少なくとも一方のプレートと協働して、少なくとも一方のプレートの変位を許容し、
前記方法がさらに、
前記遠位プレートの前記ポートが前記近位プレートの1つのポートと整合されるように少なくとも一方のプレートを変位させ、開放アセンブリを提供するステップと、
前記開放アセンブリに物体を通過させることによって、前記アクチュエータの一部に前記物体を接触させ、前記アクチュエータの少なくとも前記一部を作動させて、前記アクチュエータに前記両プレートを或る位置にロックさせることによって該両プレートの相対的な変位を実質的に防止するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記互いに整合された両ポートから前記物体を引き抜くことによって、前に作動させた前記アクチュエータの少なくとも前記一部をこの時点で作動しないようにし、それによって各プレートの互いに対する少なくとも一方向への相対的な変位を許容するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−526585(P2012−526585A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510393(P2012−510393)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051836
【国際公開番号】WO2010/131141
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051836
【国際公開番号】WO2010/131141
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
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