説明

パッド、及び、カップ部を有する衣類

【課題】着用者に圧迫感及び締付感を与えることなく、バストの造形性を高めることが可能なパッドを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態のパッド25は、バストを覆うためのカップ部12を有する衣類1における当該カップ部12に装着されるパッドにおいて、バストの造形性を補助するための造形補助部20を有する。この造形補助部20は、バストに対して湾曲状の面を有するプレート状をなし、造形補助部20の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態のカップ部12の曲率よりも大きく、造形補助部20は、弾性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バストの造形性を高めるためのパッド、及び、バストを覆うためのカップ部を有し、当該カップ部にパッドが装着された衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バストを覆うためのカップ部を有する衣類として、例えばブラジャーが知られている。この種のブラジャーでは、バストの造形性を高めるために、カップ部の下部に柔らかい素材からなるパッドが配置されることがある。しかしながら、この種のパッドでは、バストを十分に押し上げることができず、カップ部の上部に十分な膨らみを出すことができないことがある。特に、加齢変化によって、柔らかさが増したバストに対して、この傾向が強い。
【0003】
バストの造形性を更に高めるために、パッドを厚くすることが考えられるが、この場合、着用者に圧迫感を与えてしまうことがある。また、この場合、バストの重みに負けて、パッドがバストを押し上げられず、カップ部が下がってしまうことがある。カップ部が下がると、バストを上側や内側に移動する十分な造形力が得られない。この場合、バストをしっかりと支えていないため、着用者の動きに起因して、バストのボリュームが脇側へ逃げてしまう。
【0004】
カップ部が下がらないようにするために、カップ部の下辺縁にしっかりしたカップワイヤーを設けたり、カップ部の下部の土台部やバック部をしっかりさせたりすることが考えられるが、この場合、着用者に締付感を与えてしまう。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、カップワイヤーの代わりに、カップ部の下端側の周縁にバストサポート部材を設けることが記載されている。このバストサポート部材は、ポリカーボネイトまたはポリエチレンテレフタレートの硬質弾性プレートを芯材とし、該芯材の表裏にポリエステル繊維の織物生地又は編物生地を重合した高剛性の硬質プレートからなっている。これらの芯材及び表裏の生地は、熱溶着積層体にモールド熱成型して、カップ部のバストサイドあるいはアンダーバストの形状に硬化されている。これによれば、バストの重みに耐えることができ容易に形状のだれないバスト補正性に優れ、かつ、身体に平面状に接して肌に優しいとしている。
【0006】
また、特許文献2には、カップ部の代わりに、下垂変形を招き易く、支持・補正を要する乳頭を頂点とし、前中心近傍からアンダーバストを経て脇部近傍に至る扇状部を設けることが記載されている。この扇状部は、伸縮素材からなっている。これによれば、着用時に伸縮素材の原型復帰性によって、要部に面圧力が加わるようにしたとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−288604号公報
【特許文献2】再公表WO99/58007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示のバストサポート部材のように、バスト形状のプレートをカップ部の下端側の周縁に添えるだけでは、バストが下がることを抑制できるだけである。更に言えば、特許文献1に開示のバストサポート部材では、バストを上側や内側に移動する造形力(寄せ、上げ)を十分に得ることができない。また、特許文献2に開示の扇状部でも、伸縮性を利用してバストを抑えるだけであり、バストを上側や内側に移動する造形力(寄せ、上げ)を十分に得ることができない。
【0009】
そこで、本発明は、着用者に圧迫感及び締付感を与えることなく、バストの造形性を高めることが可能なパッド、及び、カップ部を有する衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパッドは、バストを覆うためのカップ部を有する衣類における当該カップ部に装着されるパッドにおいて、バストの造形性を補助するための造形補助部を有する。この造形補助部は、バストに対して湾曲状の面を有するプレート状をなし、造形補助部の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態のカップ部の曲率よりも大きく、造形補助部は、弾性を有する。
【0011】
また、本発明のカップ部を有する衣類は、バストを覆うためのカップ部と、当該カップ部に装着されるパッドとを有する衣類において、パッドは、バストの造形性を補助するための造形補助部であって、カップ部の少なくとも下部に配置される当該造形補助部を有する。この造形補助部は、バストに対して湾曲状の面を有するプレート状をなし、造形補助部の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態のカップ部の曲率よりも大きく、造形補助部は、弾性を有する。
【0012】
このパッド及びカップ部を有する衣類によれば、着用時に、造形補助部が、バストによって広げられ、弾性作用による戻る力でバストを挟むように作用する。また、造形補助部が、バージスラインより内側のバスト下部(又は、バストの脇側部等)の膨らんだ部分を押すことにより、バストのボリュームが上側や内側に移動しやすい。これにより、バストのボリュームを上方向に移動させることができ、バストの脇側もすっきりさせることができる。このように、このパッド及びカップ部を有する衣類によれば、カップ部によりバストを抑えると共に、造形補助部によってバストを挟むことにより、バストの造形性を高めることが可能となる。
【0013】
また、バストの造形性を高めるために、分厚いパッドとする必要がない。その結果、着用者に圧迫感を与えることなく、バストの造形性を高めることが可能となる。また、バストの造形性を高めるために、土台部、カップワイヤー、バック部をしっかりさせたり、肩紐部の引き上げを強くしたりする必要がない。その結果、楽な着用感で、バストの造形性を高めることが可能となる。
【0014】
また、このパッド及びカップ部を有する衣類によれば、造形補助部が、バスト下部(又は、バストの脇側部等)をしっかりと挟むので、カップ部が下がることを抑制することができる。
【0015】
また、このパッド及びカップ部を有する衣類によれば、着用者の動きに起因してバストが変形しても、造形補助部が弾性特性によって変形してバストの変形に追従するので、バストの高い造形性を維持することができる。
【0016】
また、このパッド及びカップ部を有する衣類によれば、カップワイヤーによる造形力が必要ないため、ノンワイヤータイプでもバストの造形性を高めることができる。
【0017】
上記した造形補助部の少なくとも脇側部分の下辺は、バージスラインよりバスト側を通る形態であってもよい。この構成によれば、バージスラインより内側のバスト下部(又は、バストの脇側部等)の膨らんだ部分を効率的に押すことができ、バストのボリュームが効率的に上側や内側に移動しやすい。また、造形補助部は、バージスラインを硬いもので絞り込むものではない。バストのふくらみ部分を、バネ性のある素材で優しく挟むので痛感を与えることなく、バストの造形性を高めることができる。
【0018】
また、上記したパッドは、左右方向の中央部において前記カップ部に固定され、パッドの左右端部は、カップ部に対して遊離していてもよい。この構成によれば、バック部によるカップ部の下辺部脇側を横に引く力がパッドの造形補助部の脇側端部に作用して、造形補助部によるバスト下部(又は、バストの脇側部等)を挟む作用を阻害することを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、着用者に圧迫感及び締付感を与えることなく、バストの造形性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るブラジャー及びパッドを裏側から示す斜視図である。
【図2】図1に示すブラジャー及びパッドを分解して示す分解図である。
【図3】図1に示す造形補助部材を示す斜視図である。
【図4】バストに対する造形補助部材の配置の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る造形補助部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るブラジャーを裏側から示す斜視図であり、図2は、図1に示すブラジャーを分解して示す分解図である。このブラジャー1は、本体部10と、当該本体部10に着脱自在に配置されるパッド25とを備えている。なお、ブラジャー1は左右略対称であるので、以下では左右の一方のみによって説明する。
【0023】
本体部10は、カップ部12と、土台部14と、バック部16と、肩紐部18とを有している。
【0024】
カップ部12は、バストを覆うためのものであり、土台部14に支持されている。土台部14は、非伸縮性の布からなっており、カップ部12の下辺部と縫着されている。土台部14の脇辺部には、バック部16が縫着されている。なお、土台部14は必ずしも備えなくてもよい。その場合、バック部16は、カップ部12の下辺部脇側に縫着される。バック部16は、伸縮性の布からなっており、背中において連結することによって、土台部14の脇辺部、すなわちカップ部12の下辺部脇側を横に引っ張る力を生じさせ、カップ部を安定させる。また、カップ部12の上辺部脇側には、肩紐部18が連結されている。肩紐部18の他端もまた、バック部16に連結されている。肩紐部18は、伸縮性の布又は紐等からなっている。
【0025】
また、カップ部12と土台部14との境界には、すなわち、バージスラインに沿ってカップワイヤー50が装着されている。なお、カップワイヤー50は必ずしも備えなくてもよい。
【0026】
カップ部12の裏側における左右方向の中央部には、パッド25を係止するための係止部40が形成されている。係止部40は、上端及び下端がカップ部12に縫着されて、略環状をなしている。これにより、係止部40は、パッド25の中央部25cのみを係止する。すなわち、パッド25の前中心側部分25f(前中心側端部25ft)及び脇側部分25s(脇側端部25st)は、カップ部12に対して遊離している。
【0027】
次に、パッド25について説明する。パッド25は、バストの造形性を高めるためのものであり、カップ部12の裏側に、係止部40によって着脱自在に係止される。パッド25は、造形補助部材20と、造形補助部材20を被覆する被覆部材22とを有する。例えば、被覆部材22を造形補助部材20より一回り大きくして、周縁をパイピングする。被覆部材22には、クッション性のある素材、例えば、発泡素材(ウレタン、ポリエチレン等)、不織布、ダブルラッセル等を用いるとよい。これにより、肌辺りが良くなる。
【0028】
次に、造形補助部材20について説明する。図3は、図1に示す造形補助部材を示す斜視図であり、図4は、バストに対する造形補助部材の配置の一例を示す図である。
【0029】
造形補助部材20は、カップ部12の下部に設けられ、バージスラインの最下点A付近から左右斜め上方向に湾曲状に延びる帯状(プレート状)をなしている。換言すれば、造形補助部材20は、バスト側の面として湾曲状の面を有する帯状をなしている。造形補助部材20は、弾性を有する樹脂からなり、造形補助部材20の素材には、66ナイロン樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネイト、エラストマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート等が適用可能である。
【0030】
造形補助部材20の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態のカップ部12の曲率よりも大きく形成されている。すなわち、造形補助部材20は、バスト形状よりも急なカーブで形成されている。これにより、着用時に、造形補助部材20は、バストによって広げられ、弾性作用による戻る力でバストを挟むように作用することとなる。
【0031】
造形補助部材20の下辺20lは、バージスラインBLよりバスト側のライン(膨らみのあるところ)を通る。このように、バージスラインの内側のバストの膨らんでいる部分を押すことにより、バストのボリュームが移動しやすくなる。
【0032】
例えば、造形補助部材20の最下点部分20b、前中心側部分20f、及び、脇側部分20s全ての下辺20lが、バージスラインBLよりバスト側のラインを通ってもよい。また、例えば、図4に例示するように、造形補助部材20の最下点部分20bの下辺20lはバージスラインBLを通り、造形補助部材20の前中心側部分20f及び脇側部分20sの下辺20lが、バージスラインBLよりバスト側のラインを通ってもよい。これらの場合、最下点部分20bを支点として、前中心側部分20f及び脇側部分20sによって、バストを左右から挟むように作用する。
【0033】
また、例えば、造形補助部材20の最下点部分20bから前中心側部分20fまでの下辺20lはバージスラインBLを通り、造形補助部材20の脇側部分20sの下辺20lが、バージスラインBLよりバスト側のラインを通ってもよい。この場合、最下点部分20bから前中心側部分20fまでを支点として、脇側部分20sによって、バストを脇側から挟むように作用する。
【0034】
また、例えば、造形補助部材20の最下点部分20bの下辺20lが、バージスラインBLの最下点A付近より脇側のバージスラインBLを通り、造形補助部材20の前中心側部分20f及び脇側部分20sの下辺20lが、バージスラインBLよりバスト側のラインを通ってもよい。この場合、バスト脇側の膨らみを中心に挟むため、更にバストのボリュームを前中心側に移動させることができる。
【0035】
このように、少なくとも造形補助部材20の脇側部分20sの下辺20lがバージスラインBLよりバスト側のラインを通るように配置されればよい。
【0036】
このようにして、バストボリュームを移動させたい部分や、カップの形状等によって、造形補助部材20の配置を変更することができる。
【0037】
造形補助部材20の前中心側端部20ftは、バストトップの高さTより低い位置に位置してもよい。これによれば、バストの前中心側を必要以上におさえて、膨らみをつぶしてしまうことを抑制することができる。例えば、造形補助部材20は、バージスラインの最下点A付近から脇側上方に延在する形態、すなわち、最下点部分20b及び脇側部分20sからなる形態であってもよい。この場合、最下点部分20bを支点として、脇側部分20sによって、バストを脇側から挟むように作用する。
【0038】
また、造形補助部材20の脇側端部20stは、バストトップの高さTより高い位置に位置してもよい。これによれば、脇に流れやすいバストをせき止めることができ、また、バスト脇側のボリュームを前中心側及び上部に移動させて、バストの脇側をすっきりさせることができる。
【0039】
造形補助部材20の幅は、バストに食い込んで着用者に痛感を与えることがない程度に設定される。また、造形補助部材20の最下点の幅は、弾性作用が効率的に作用するように、左右端部の幅より広くてもよい。また、造形補助部材20の最下点から左右端部に延びるに従って幅を細くすると、カップの表側から造形補助部材の形がわかりにくくなるため良い。一例を示すと、造形補助部材20の最下点の幅が約1〜2cmに、左右端部の幅が約5mmに設定される。また、造形補助部材20の厚みは、素材によって調整して設定される。一例を示すと、造形補助部材20の厚みは、柔らかめの66ナイロン樹脂では約1.5mmに、硬めのポリアセタールでは約1mmに設定される。
【0040】
本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、着用時に、造形補助部材20が、バストによって広げられ、弾性作用による戻る力でバストを挟むように(手で摘むように)作用する。また、造形補助部材20が、バージスラインより内側のバスト下部の膨らんだ部分を押すことにより、バストのボリュームが上側や内側に移動しやすい。これにより、バストのボリュームを上方向に移動させることができ、バストの脇側もすっきりさせることができる。このように、本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、カップ部12によりバストを抑えると共に、造形補助部材20によってバストを挟むことにより、バストの造形性を高めることが可能となる。
【0041】
また、造形補助部材20は、バージスラインを硬いもので絞り込むものではない。バストのふくらみ部分を、バネ性のある素材で優しく挟むので痛感を与えることなく、造形性を高めることができる。
【0042】
また、バストの造形性を高めるために、分厚いパッドとする必要がない。その結果、着用者に圧迫感を与えることなく、バストの造形性を高めることが可能となる。また、バストの造形性を高めるために、土台部、カップワイヤー、バック部をしっかりさせたり、肩紐部の引き上げを強くしたりする必要がない。その結果、楽な着用感で、バストの造形性を高めることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、造形補助部材20が、バスト下部をしっかりと挟むので、カップ部12が下がることを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、着用者の動きに起因してバストが変形しても、造形補助部材20が弾性特性によって変形してバストの変形に追従するので、バストの高い造形性を維持することができる。例えば、腕を上げた場合、バストの形状は縦長となり、幅が細くなる。従来のカップやワイヤーはその形状の変化に追従できず、幅が広いままであるため、カップが下に下がってしまうが、造形補助部材20は、弾性特性によってバストの幅が細くなってもバストを挟み続けることができる。そのため、バストの高い造形性を維持することができる。
【0045】
また、本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、カップワイヤーによる造形力が必要ないため、ノンワイヤータイプでもバストの造形性を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態のパッド25及びブラジャー1によれば、造形補助部材20の前中心側部分20f(前中心側端部20ft)及び脇側部分20s(脇側端部20st)は、カップ部12に対して遊離しているので、バック部16によるカップ部12の下辺部脇側を横に引く力が造形補助部材20の脇側部分20s(脇側端部20st)に作用して、造形補助部材20によるバスト下部を挟む作用を阻害することを防止することができる。
【0047】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、バージスラインの最下点A付近から左右斜め上方向に湾曲状に延びる帯状の造形補助部材を例示したが、造形補助部材の形状はこれに限定されない。図5に、造形補助部材の他のいくつかの形状を例示する。なお、図5では、小判型のパッドを例示する。
【0048】
図5(a)に示すように、造形補助部材20は、前側から見た平面視において、左右方向に略直線的に延びる帯状をなしていてもよい。このような帯状の造形補助部材によれば、バストの形状に沿いやすく、フィット性がよい。
【0049】
また、図5(b)に示すように、造形補助部材20は、前側から見た平面視において、略楕円形状をなしていてもよい。このような面状の造形補助部材によれば、面積が広いことにより弾性力(バネ応力)が強く、すなわち、バストを挟む力が強く、また、バストを広い面積で押さえることができる。その結果、造形力が高い。
【0050】
なお、面状の造形補助部材としては、図5(c)に示すように、前側から見た平面視において略半円形状のものや、図5(d)に示すように、前側から見た平面視において略三角形状のものなども考えられる。図5(d)に示すように、特に脇側を面状にすることにより、バスト脇側の造形力を高めることができる。
【0051】
また、図5(e)に示すように、造形補助部材20は、前側から見た平面視において、左右非対称な略三日月形状をなしていてもよい。このように、左右非対称として、バストを挟むための支点Pから前中心端部までの長さLcに対して、支点Pから脇側端部までの長さLsを長くすることにより、脇側を挟む力を強くすることができ、バスト脇側の造形力を高めることができる。
【0052】
なお、図5における何れの形状であっても、
・縦方向よりも横方向の長さが長く、
・バストトップを覆わず、すなわち、造形補助部材の上辺縁はバストトップとバージス最下点との間を通り、
・湾曲状の面の曲率がカップ部の曲率よりも大きく、
・造形補助部材の下辺の湾曲状の面の曲率よりも上辺の湾曲状の面の曲率が大きい
形態であればよい。
【0053】
また、本実施形態では、造形補助部材の素材として樹脂を例示したが、樹脂以外にも弾性を有する素材であれば全て適用可能である。
【0054】
また、本実施形態では、造形補助部材がクッション部材で被覆されたパッドを例示したが、造形補助部材は、クッション部材の外側または内側に固着されていてもよい。例えば、造形補助部とクッション部とを同形状とし、周縁をパイピングして固着すればよい。
【0055】
なお、造形補助部材が樹脂の場合、表側と肌側のクッション部材の間に造形補助部の樹脂を挟み、一緒にプレスして成型してもよい。
【0056】
また、クッション部材としては、全体的に、又は、部分的に厚みを変えて、造形性やフィット性を更に高めてもよい。例えば、前中心側を分厚くすると、バストアップ効果を高めることができる。一方、下辺付近を薄くすると、バストが入り込みやすくなる。
【0057】
また、本実施形態では、造形補助部材をパッドに別部材として内蔵する形態を例示したが、本発明の造形補助部は、パッドの下部に一体的に形成されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、カップ部に対して着脱可能なパッドを例示したが、パッドは、最下点付近や中央部付近等において部分的にカップ部に直接固着していてもよいし、前中心側においてカップ部に直接固着していてもよい。パッドの前中心側が固着されている場合、パッドの脇側部分によってバストを効率的に挟むことが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、バック部の後端をホック等で掛け留めするタイプのブラジャーを例示したが、本実施形態の特徴は、前中心において土台部の左右を分離してホック等で掛け留めするフロントホックタイプのブラジャーにも適用可能である。
【0060】
また、本実施形態の特徴は、ブラジャー以外でも、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ付きテディ、水着等のようにカップ部を備える衣類であればすべてに適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…ブラジャー(カップ部を有する衣類)、10…本体部、12…カップ部、14…土台部、16…バック部、18…肩紐部、20…造形補助部材、20f…造形補助部材の前中心側部分、20b…造形補助部材の最下点部分、20s…造形補助部材の脇側部分、20ft…造形補助部材の前中心側端部、20st…造形補助部材の脇側端部、20l…造形補助部材の下辺、22…被覆部材、25…パッド、25f…パッドの前中心側部分、25c…パッドの中央部、25s…パッドの脇側部分、25ft…パッドの前中心側端部、25st…パッドの脇側端部、40…係止部、50…カップワイヤー、BL…バージスライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バストを覆うためのカップ部を有する衣類における当該カップ部に装着されるパッドにおいて、
バストの造形性を補助するための造形補助部を有し、
前記造形補助部は、バストに対して湾曲状の面を有するプレート状をなし、
前記造形補助部の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態の前記カップ部の曲率よりも大きく、
前記造形補助部は、弾性を有する、
パッド。
【請求項2】
前記造形補助部の少なくとも脇側部分の下辺は、バージスラインよりバスト側を通る、請求項1に記載のパッド。
【請求項3】
バストを覆うためのカップ部と、当該カップ部に装着されるパッドとを有する衣類において、
前記パッドは、バストの造形性を補助するための造形補助部であって、前記カップ部の少なくとも下部に配置される当該造形補助部を有し、
前記造形補助部は、バストに対して湾曲状の面を有するプレート状をなし、
前記造形補助部の湾曲状の面の曲率は、当該造形補助部を配置していない状態の前記カップ部の曲率よりも大きく、
前記造形補助部は、弾性を有する、
カップ部を有する衣類。
【請求項4】
前記造形補助部の少なくとも脇側部分の下辺は、バージスラインよりバスト側を通る、請求項3に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
前記パッドは、左右方向の中央部において前記カップ部に固定され、
前記パッドの左右端部は、前記カップ部に対して遊離している、
請求項2に記載のカップ部を有する衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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