説明

パネル体における天井用固定具

【課題】間仕切りを構成するパネル体において、パネル体を天井面に固定する天井用固定具を、組み込みやすく、かつ、意匠性の優れたものに構成する。
【解決手段】床面と天井面との間に配される筒状の縦枠材2に、縦枠材2の表裏方向厚より薄い板厚のパネル材4を嵌合してなるパネル体1において、天井用固定具5を、パネル材4の上端部に嵌着するレール体6と、縦枠材2の上端部に嵌着する縦枠材支持体7とで構成し、前記縦枠材支持体7に、天井面に固定される天井固定片7aと、該天井固定片7aから下方に延出し、縦枠材2の上端部に外嵌する縦枠材外嵌片7eと、縦枠材2の筒内に嵌入し、筒内面に圧接支持される一対の弾圧片7gとが形成される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の広い空間を区画したり、仕切ったりするとき等に用いられるパネル体における天井用固定具の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、広い空間を区画したり、仕切ったりする間仕切りとしてパネル体を用いることがあり、このようなパネル体のなかには、床面と天井面との間に設けた一対の縦枠材の間にパネル材を嵌合させて構成したものがある。このようなものにおいて、縦枠材は床面と天井面とにそれぞれ固定されるが、特に天井面との固定作業は高所作業になるため、面倒、かつ、困難になって作業性に劣るという問題があった。
【0003】
この改善策として、縦枠材の上端部に弾性変形可能な連結部材を組み込む一方、天井部に断面コ字形状の上レールを設けて、前記連結部材を弾性変形させながら連結部材を上レールに内嵌させることで縦枠材を天井面に固定するようにしたものが提唱されている(特許文献1)。
ところで、金属製の縦枠材にパネル材を組み込む場合、縦枠材を角筒形状とするとともに縦枠材の側面に嵌合溝を形成し、該嵌合溝にパネル材の端部を嵌合させるようにしたものがある。この場合に、パネル材の表裏方向厚さ(板厚)を嵌合溝の溝幅に設定すると、パネル材と縦枠材との表裏方向厚さが異なりパネル体の表裏面に段差が形成される。このため、このようなパネル体の上端縁部を、前記特許文献1のような上レールに組み込む場合では、上レールとパネル材との間に隙間が形成されてしまうという問題が生じる。
そこで、パネル材の表裏方向厚さが縦枠材の表裏方向厚さと同寸法となるように形成して、上レールとパネル材との間に隙間が形成されないようにしたものが提唱されている(特許文献2)。
【特許文献1】実開昭59−150812号公報
【特許文献2】実用新案登録公報第2508716号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献2のものは、パネル材と縦枠材との表裏方向厚さを同様にするために、パネル材の幅方向両側面にパネル材の板厚よりも表裏方向厚さの薄い連結部材を取り付けし、該連結部材を縦枠材の嵌合溝に組み込むようにしている。このため、部品点数が増加して、作業工程数が増えて組み込み作業(取付作業)が煩雑になり、作業時間が長期化してコスト高になってしまうという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、床面と天井面との間に配される筒状の縦枠材に、縦枠材の表裏方向厚より薄い板厚のパネル材を嵌合してなるパネル体において、パネル体を天井面に固定する天井用固定具を、パネル材の上端部に嵌着するレール体と、縦枠材の上端部に嵌着する縦枠材支持体とで構成したパネル体における天井用固定具である。
請求項2の発明は、縦枠材支持体は、天井面に固定される天井固定部と、該天井固定部から下方に延出し、縦枠材の上端部に外嵌する縦枠材外嵌部と、縦枠材の筒内に嵌入し、筒内面に圧接支持される少なくとも一対の弾圧片部とを備えて構成されている請求項1に記載のパネル体における天井用固定具である。
請求項3の発明は、レール体は、断面コ字形に形成され、天井面に至るパネル材の上端縁部に外嵌状に配されるものとし、縦枠材支持体には、縦枠材に隣接して設けられるレール体の端部を内嵌するレール体内嵌部が切り欠き形成されている請求項1または2に記載のパネル体における天井用固定具である。
請求項4の発明は、弾圧片部は、縦枠材外嵌部よりも下方に長く形成され、縦枠材の筒内に嵌入長さ調整自在に圧接支持されるように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のパネル体における天井用固定具である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、天井用固定具を複数に分割することができて、組み込み作業における扱いが容易になって、組み込み作業の作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、作業工程数が削減されるばかりでなく、組み込み作業が簡略になり作業時間の短縮が図れてコスト低下する。
請求項3の発明とすることにより、天井用固定具の外観が優れてパネル体の意匠性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、現場での調整幅が広くなって、組み込み作業が一層容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は室内を二つに仕切る間仕切りを構成するパネル体であって、該パネル体1は、床面に立設される左右方向複数の縦枠材2と、これら隣接する一対の縦枠材2の間に固定支持される上下方向複数の横枠材3と、これら縦、横枠材2、3により仕切られた空間に固定支持されるパネル材4とを備えて構成されている。そして、パネル体1の上縁部となる縦枠材2とパネル材4との上端部は天井面に近接対向するよう配設されており、これら縦枠材2とパネル材4との上端部が、本発明が実施された天井用固定具5により天井面に一体的に固定されるように設定されている。
【0008】
前記縦枠材2は、金属製材料を用いた押出し型材で構成されており、四方を向く四つの側面2aを備えた四角筒形状に形成されている。そして、縦枠材2の各コーナー部には、筒中心を基準として対角方向に延出する突片2bがそれぞれ形成されており、これら各突片2bには、それぞれのコーナー部を外方から積層するようR形状に形成された第一、第二位置決め片2c、2dが両側に延出する状態で形成されている。これによって、縦枠材2の各側片2aには、各側片2aを溝底片とし、前記側片2aの両側部に位置する一対のコーナー部にそれぞれ形成された突片2bを溝側片とする嵌合溝2eが形成するように設定されている。そして、これら各嵌合溝2eは、溝奥側に位置する第一位置決め片2cの先端縁部同士により設定される幅狭な第一溝幅S1と、開口側の第二位置決め片2dの先端縁部同士により設定される幅広な第二溝幅S2とからなる溝幅の異なる内外二つの開口が形成されるように構成されている。
【0009】
一方、横枠材3は、金属製材料を用いた押出し型材で構成されており、断面I字状に形成されている。そして、横枠材3は、水平面となる仕切り枠部3aと、該仕切り枠部3aの表裏方向両端部に一体形成された垂直面となる支持片部3bとを備えて形成されている。そして、横枠材3の表裏方向厚は、縦枠材2に形成される第二溝幅S2と略同長さとなるように設定されており、これによって、横枠材3は、縦枠材2の任意の側片2aに形成される嵌合溝2eの外側の開口に嵌入し、第二位置決め片2dに嵌入支持される状態で縦枠材2に組み込まれるように設定されている。
また、パネル材4の表裏方向厚(板厚)は、縦枠材2に形成される第一溝幅S1と略同長さに設定されており、縦枠材2の表裏方向厚さよりも短い長さ寸法に設定されている。そして、パネル材4は、縦枠材2の任意の側片2aに形成される嵌合溝2eの内側の開口に嵌入し、第一位置決め片2cにより嵌入支持される状態で縦枠材2に組み込まれるように設定されている。
【0010】
そして、本発明が実施される天井用固定具5であるが、該天井用固定具5は、パネル材4の上端部に嵌着されるレール体6と縦枠材2の上端部に嵌着される縦枠材支持体7とにより構成されている。
前記レール体6は、金属製板材を用い、天井面に当接する上片6aと、該上片6aの表裏方向両端縁部から下方に延出する一対の脚片6bとを備えた断面コ字形に形成されている。そして、レール体6は、表裏方向幅が前記縦枠材2の第二溝幅S2と同長さに寸法設定されているとともに、パネル材4の上端部を嵌着深さ(挿し込み長さ)の調整が自在な状態で嵌着組み込みできるように設定されている。
【0011】
一方、縦枠材支持体7は、金属製板材を用いて構成されており、縦枠材2の上端部を覆蓋し、かつ、天井面に固定される天井固定片(本発明の天井固定部に相当する)7aを備えており、該天井固定片7aには、天井面に螺合する螺子が貫通する貫通孔7bが複数開設されている。ここで、天井固定片7aは、縦枠材2の第二位置決め片2dを覆うことができる外形状に形成され、縦枠材2のパネル材4が嵌入組み込みされる嵌合溝2eに対向する部位には、レール体6の端部を内嵌可能な凹溝形状のレール体内嵌部7cが形成されている。尚、本実施の形態では、パネル材4は縦枠材2の左右に組み込まれる構成であるため、前記レール体内嵌部7cは、図3(B)に示すように、天井固定片7aの左右の側辺をそれぞれ内方に向けて切り欠くことで形成されている。そして、これら凹溝形状のレール体内嵌部7cは、溝開口部位は縦枠材2の第二溝幅S2に相当する溝幅を備えて構成されるが、溝側部にそれぞれ段差部7dが形成されていて、溝奥側の溝幅が縦枠材2の第一溝幅S1よりも幅狭となる段差形状となっている。
【0012】
さらに、天井固定片7aの外周からは下方に延出する縦枠材外嵌片(本発明の縦枠材外嵌部に相当する)7eが形成されており、これによって、縦枠材支持体7がキャップ状に形成されている。前記縦枠材外嵌片7eは、縦枠材2のパネル材4が組み込まれない側片2aに外嵌する構成となっており、本実施の形態では、縦枠材2の表裏の側片2aを覆うべく表裏一対の縦枠材外嵌片7eが形成されている。尚、縦枠材外嵌片7eは、天井固定片7aのレール体内嵌部7c形成部位を除く全ての外周から延出形成されており、縦枠材2の前記表裏の側片2aに連続する一対のコーナー部の第一、第二位置決め片2c、2dを含めて覆うことができるように端部にR状部7fが形成されている。因みに、縦枠材外嵌片7eの上下方向長さは、レール体6の脚片6bの上下方向長さと同長さに設定されている。
【0013】
また、天井固定片7aに形成されるレール体内嵌部7cの溝底位置は、縦枠材支持体7を縦枠材2に外嵌させたとき、縦枠材側片2aの内側、つまり、縦枠材2の筒内側に位置するように設定されている。そして、天井固定片7aの前記一対の溝底部位には、下方に向けて延出する一対の弾圧片(本発明の弾圧片部に相当する)7gが一体的に形成されている。これら一対の弾圧片7gは、上下方向長さが縦枠材外嵌片7eよりも長く形成されて弾性がより大きくなるように形成されるとともに、縦枠材外嵌片7eの下端縁位置よりも下方に位置して折曲部7hが形成されている。このとき、弾圧片7gは、折曲部7h同士が互いに離間する方向に突出し、折曲部7hを基準として上方部位は下方に向けて拡開状に傾斜する形状に形成され、下方部位は下端側ほど近接するよう傾斜形状に形成されている。
【0014】
そして、空間にパネル体1による間仕切りを設ける場合では、まず、パネル体1の立設位置を予め設定し、床面の対応箇所に図示しない床側固定具を設ける一方、天井面の対応箇所に天井用固定具5を設ける。この場合に、前記天井用固定具5は、縦枠材2の立設部に対向して縦枠材支持体7を固定するとともに、隣接する縦枠材支持体7の間に組み込まれるレール体6を固定するが、各縦枠材支持体7は、天井固定片7aを天井面に突き当てて貫通孔7bを介して螺子止めし、縦枠材外嵌片7eが下方に延出する状態で固定される。また、各レール体6は、端部が縦枠材支持体7のレール体内嵌部7cに嵌入する状態で組み込まれていて、レール体6端部が外部から臨めないように設定されている。ここで、レール体6は、端部がレール体内嵌部7cに形成される段差部7dに突き当たることで位置決めされ、この状態において、上片6aに開設される図示しない貫通孔を用いて螺子止めすることで天井面に固定されている。
【0015】
そして、パネル体1の一端側に位置する第一の縦枠材2を立設するが、該第一の縦枠材2は、四側片2aで構成される筒内の上端部に、縦枠材支持体7の弾圧片7gを嵌入する状態で、下側から挿し込むようにすることで立設できるように構成されている。つまり、縦枠材支持体7の弾圧片7gは折曲部7hを基準とする上方部位が拡開していて、縦枠材2の筒内に挿し込まれた折曲部7hが側片2aを弾圧する状態となって縦枠材2が縦枠材支持体7による固定支持を受けるように設定されており、これによって、縦枠材2の天井面への固定がなされるように設定されている。このとき、縦枠材支持体7の弾圧片7gは縦枠材外嵌片7eよりも下方に延出し、折曲部7hは、縦枠材外嵌片7eの下端縁よりも下方に形成されている。これによって、折曲部7hによる縦枠材2の固定支持位置を、縦枠材外嵌片7eよりも下方位置にすることができるので、縦枠材2は、縦枠材支持体7に嵌入する長さ(嵌入深さ)調整が自在で、外嵌片7eの上下長さに相当する長さにおいて上下方向長さの微調整(高さ調整)を行うことができるように設定されている。また、弾圧片7gにおける折曲部7hよりも下方部位は下端ほど近接する傾斜形状になっているので、該傾斜形状が縦枠材2の筒内への案内面となって、縦枠材2に弾圧片7gを嵌入させる作業が簡単にできるように構成されている。
因みに、本実施の形態では、縦枠材2として四角筒状に形成されたものが用いられており、このため、縦枠材支持体7の弾圧片7gは、縦枠材2の互いに対向する側面に弾圧して固定支持を受けるべく、互いに対向する一対のものが形成されているが、弾圧片7gは必ずしも一対に限定されることはなく、三つ、四つの弾圧片を形成する構成としてもよい。さらには、縦枠材の形状を六角筒形状や円筒形状にした場合では、縦枠材支持体の弾圧片として、縦枠材の内側面に対して確実な弾圧固定がなされる形状に形成すればよく、この場合に、弾圧片は必ずしも対向方向に位置して形成する必要はなく、弾圧片の数も一対に限定されることはない。
【0016】
続いて、このように立設された第一の縦枠材2に対し、他方の側片2aに形成される嵌合溝2eに、予め所定の大きさに切断されたパネル材4の一方の端部、そして、横枠材3の一方の端部を下側から順次組み込んで、パネル体1の一端側部位を形成する。このとき、パネル材4は、一方の端部を嵌合溝2eの内側の開口であり第一溝幅S1を有した第一位置決め片2cの間に嵌入させ、嵌合溝2eの溝底片となる他方の側片2aに突き当てるように組み込むことで、位置決め状、かつ、仮保持状に組み込むことができるように設定されている。また、該パネル材4の上端部に嵌着して組み込まれる横枠材3は、一方の端部を嵌合溝2eの外側の開口であり第二溝幅S2を有した第二位置決め片2dの間に嵌入させ、第一位置決め片2cに突き当てるように組み込むことで、位置決め状、かつ、仮保持状に組み込むことができるように設定されている。
そして、第一の縦枠材2に組み込まれる最上位のパネル材4は、一方の端部を第一の縦枠材2の他方の側片2aに突き当て、上端部をレール体6の下側から脚片6b間に挿し込むようにすることで組み込まれるが、このとき、パネル材4は、レール体脚片6bへの挿し込み深さ(長さ)に基づいて、パネル材4の上下方向長さの微調整(高さ調整)を行うことができるように設定されている。
【0017】
つぎに、このように第一の縦枠材2に組み込まれたパネル材4、横枠材3の他方の端部に第二の縦枠材2を組み込むが、第二の縦枠材2は、一方の側片2aに形成される嵌合溝2eに前記パネル材4、横枠材3の他方の端部に嵌合させた状態とするとともに、前記第一の縦枠材2と同様に上端部の四側片2aからなる筒内に、該第二の縦枠材2に対向して予め固定されている縦枠材支持体7の弾圧片7gを挿し込むようにすることで、第二の縦枠材2が組み込まれる。そして、第二の縦枠材2に対しパネル材4、横枠材3を下から順次組み込み、続いて第三の縦枠材を組み込み、という手順を繰り返すことで、パネル体1の組み込みがなされるように設定されている。
【0018】
叙述の如く構成された本形態において、パネル体1は、縦枠材2の上端部と、縦枠材2の嵌合溝2eに嵌め込まれるパネル材4の上端部とが天井用固定具5を介して天井面に固定されている。この場合に、パネル体1は、パネル材4と縦枠材2との表裏方向厚さが異なり、パネル材4と縦枠材2との間に段差が形成されるものであるが、天井用固定具5は、レール体6と縦枠材支持体7とがそれぞれ個別に形成され、それぞれがパネル材4、縦枠材2の表裏方向厚さに合わせた形状として上端部に嵌着する構成としたので、従来のもののように、パネル材を縦枠材の表裏方向厚さに合わせるために、パネル材に別途部材を取り付ける必要がないものでありながら、パネル材4とレール体6との間に隙間ができるような不具合がなく、作業工程数の削減を果すことができる。さらには、このものでは、従来のもののように、レール体の長さをパネル体の長尺方向の長さと同じにする必要がなく、パネル材4の長さに合わせた複数の短いレール体6と、複数の縦枠材支持体7とに分割することができて、組み込み作業において取り扱いが容易となって、作業性を向上できる。
【0019】
しかも、このものにおいては、予め天井面に固定された天井用固定具5(レール体6と縦枠材支持体7)に、パネル材4と縦枠材2とをそれぞれ下側から挿し込むだけの作業でパネル体1を天井面に固定することができるので、パネル体1の組み込み作業を簡略に行えて、作業時間の短縮が図れて、コスト低下に寄与できる。
【0020】
さらに、このものにあっては、レール体6の端部が縦枠材支持体7のレール体内嵌部7cに内嵌されるので、表裏方向から天井用固定具5を臨んだとき、レール体6と縦枠材支持体7との間の繋ぎ目に隙間が形成されることがなく、天井用固定具5として一体的な外観とすることができて、意匠性に優れる。そして、第一の実施の形態のように、パネル体1の幅方向両端部に縦枠材2を設けた場合では、レール体6の長尺方向の端部が縦枠材支持体7のレール体内嵌部7cにより覆われて外部から臨むことができない構成となるので、意匠性を一層向上させることができる。
【0021】
そのうえ、このものにおいて、縦枠材支持体7は、弾圧片7gの折曲部7hが縦枠材外嵌片7eよりも下方部位で縦枠材2の筒内に弾圧する構成となっているので、縦枠材外嵌片7eの上下方向長さに相当する長さにおいて縦枠材2の上下方向の長さ調整を行うことができて、現場での調整幅が広くなって、組み込み作業を一層容易に行うことができる。
【0022】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、前記第一の実施の形態に示した縦枠材支持体(I字型縦枠材支持体)の他に、図5(A)〜(D)に示すような形状のものを予め用意しておくことで、空間に形成される間仕切りの形状を種々の形状に組み込んで、多様な形状の空間を簡単、かつ、容易に形成することができるように構成されている。
【0023】
図5(A)の縦枠材支持体(L型縦枠材支持体)8は、図6(A)に示すように、縦枠材2の右側と表側の側片2aにパネル材4が組み込まれて、L字形のパネル体を形成する場合に適用される形状であり、この場合に、天井固定片8aは、左右側辺に前記第一の実施の形態と同様で、段差状の凹溝形状となったレール体内嵌部8bがそれぞれ形成されているとともに、該レール体内嵌部8bの溝底から一対の弾圧片8cが形成されている。さらに、天井固定片8aの表側辺には、段差部のない凹溝形状のレール体内嵌部8dが形成されている。また、天井固定片8a外周から下方に延出する縦枠材外嵌片8eは、天井固定片8aの裏側辺、および、前記左側辺に連続する状態で形成されていて、左側辺に形成されたレール体内嵌部8bは、溝開口部が縦枠材外嵌片8eにより覆われることでダミーとなるように設定されている。そして、縦枠材2の表側、および、右側に組み込まれるパネル材4は、何れのものも該当する側片2aに突き当て状に組み込まれ、また、縦枠材2の表側、右側に組み込まれるレール体6は、何れのものもレール体内嵌部8b、8dに組み込まれ、レール体内嵌部8b、8dの段差部8f、または、溝底8gに突き当たることで位置決めされるように設定されている。
【0024】
また、図5(B)に示す縦枠材支持体(欄間型縦枠材支持体)9は、縦枠材2の上部にパネル材を外嵌することなく、空隙部を形成するようにした場合に用いるものであり、このものでは、天井固定片9a、四周回りの縦枠材外嵌片9b、天井固定片9aの左右辺に形成されるダミーのレール体内嵌部9c、該レール体内嵌部9cの溝底部から下方に延出する弾圧片9dを備えて構成されている。そして、この場合では、天井面にレール体が配されることはなく、縦枠材支持体9のみでパネル体の上部を天井面に固定することができる。
さらに、図5(C)に示す縦枠材支持体(端部用縦枠材支持体)10は、パネル体の左側端部を構成する縦枠材2のためのものであり、天井固定片10a、右側部位を除いて連続的に形成される縦枠材外嵌片10b、天井固定片10aの左側辺に形成されるダミーのレール体内嵌部10c、天井固定片10aの右側辺に形成されるレール体内嵌部10c、これらレール体内嵌部10cの溝底部から下方に延出する弾圧片10dを備えて構成されている。因みに、前記第一の実施の形態において、第一の縦枠材支持体7に換えてこのもの(端部用縦枠材支持体10)を用いることで、一方側の端部の外観を向上させることができる。
【0025】
また、図5(D)に示す縦枠材支持体(T字型縦枠材支持体)11は、図6(B)に示すように、縦枠材2の左右側と表側の三側片2aにパネル材4が組み込まれて、T字形のパネル体を形成する場合に適用される形状であり、天井固定片11a、裏側部位にのみ形成される縦枠材外嵌片11b、天井固定片11aの左右辺に形成されるレール体内嵌部11c、天井固定片11aの表側辺に形成されるレール体内嵌部11d、左右のレール体内嵌部11cの溝底部から下方に延出する弾圧片11eを備えて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】パネル体の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】図2(A)、(B)はそれぞれパネル体の要部の平面図、正面図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれ縦枠材の縦枠材支持体への組込みを説明する斜視図、平面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ縦枠材支持体の平面図、正面図、側面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれL型縦枠材支持体の平面図、欄間型縦枠材支持体の平面図、端部用縦枠材支持体の平面図、T字型縦枠材支持体の平面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれL型縦枠材支持体を用いたパネル体の平面図、T字型縦枠材支持体を用いたパネル体の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 パネル体
2 縦枠材
2a 側辺
2c 第一位置決め片
2e 嵌合溝
3 横枠材
4 パネル材
5 天井用固定具
6 レール体
7 縦枠材支持体
7a 天井固定片
7c レール体内嵌部
7e 縦枠材外嵌片
7g 弾圧片
7h 折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と天井面との間に配される筒状の縦枠材に、縦枠材の表裏方向厚より薄い板厚のパネル材を嵌合してなるパネル体において、パネル体を天井面に固定する天井用固定具を、パネル材の上端部に嵌着するレール体と、縦枠材の上端部に嵌着する縦枠材支持体とで構成したパネル体における天井用固定具。
【請求項2】
縦枠材支持体は、天井面に固定される天井固定部と、該天井固定部から下方に延出し、縦枠材の上端部に外嵌する縦枠材外嵌部と、縦枠材の筒内に嵌入し、筒内面に圧接支持される少なくとも一対の弾圧片部とを備えて構成されている請求項1に記載のパネル体における天井用固定具。
【請求項3】
レール体は、断面コ字形に形成され、天井面に至るパネル材の上端縁部に外嵌状に配されるものとし、縦枠材支持体には、縦枠材に隣接して設けられるレール体の端部を内嵌するレール体内嵌部が切り欠き形成されている請求項1または2に記載のパネル体における天井用固定具。
【請求項4】
弾圧片部は、縦枠材外嵌部よりも下方に長く形成され、縦枠材の筒内に嵌入長さ調整自在に圧接支持されるように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のパネル体における天井用固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−174974(P2008−174974A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9697(P2007−9697)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(593022342)ベニックス株式会社 (13)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)