説明

パネル止め部品とそれを備えたサッシ及びパネル体の取付方法

【課題】施工性がよく、また部品管理も容易なパネル止め部品とそれを備えたサッシ及びパネル体の取付方法を提供する。
【解決手段】金属枠2の室内側露出部分を樹脂枠3で覆ってなる枠体1内にパネル体4を納めてなり、パネル体4は、室内側面を金属枠2で、室内側面を樹脂製の押縁部材5で、それぞれ押圧されるサッシの、金属枠2の内周面に取付けられてパネル体4の脱落を防止するものであって、金属枠2の内周面に固定される基部材31と、基部材31に対して回転自在な掛部材32とからなり、掛部材32は基部材31に対して回転することで、パネル体4の室内側面と押縁部材5との間に出没自在とされてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属枠の室内側を樹脂枠で覆ってなるサッシにおいてガラス体等のパネル体周縁部を保持可能とするパネル止め部品とそれを備えたサッシ及びサッシの取付方法に関し、特にパネル体を取付ける際に容易にパネル止めをなすことができるパネル止め部品とそれを備えたサッシ及びパネル体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設置されるサッシにおいて、金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内に、ガラス体等のパネル体を納めてなる複合サッシが知られている。複合サッシは、断熱性を高めることができると共に、室内側の意匠性も高めることのできるものである。このような複合サッシにおいて、パネル体は、室外側面を金属枠によって保持され、室内側面は樹脂枠に取付けられる押縁部材によって保持される。
【0003】
パネル体の室内側面を樹脂枠に取付けられる押縁部材によって保持する場合、火災が発生した際には、パネル体の室内側面を保持する部材が脱落すると、そのままパネル体も枠体から脱落する恐れがあるので、これを防止するために、パネル体の周縁部室内側面を保持するパネル止め部品を金属枠に固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8には、従来のサッシにおけるパネル止め部品の構成を表した拡大縦断面図を示している。この図では、パネル止め部品56は枠体50を構成する上枠51に取付けられている。パネル体55は、室外側面を金属上枠52の室外保持部52aに保持され、室内側面を樹脂上枠53に嵌合固定された押縁部材54に保持される。金属上枠52の内周面には、金属製のパネル止め部品56がネジ止め固定されている。
【0005】
パネル止め部品56は、金属上枠52に固定される基部材56aと、この基部材56aに対して係合固定される掛部材56bとの二部材で構成されている。基部材56aは、予め金属上枠52に固定されており、その状態でパネル体55が室外保持部52aに保持されるように金属枠に嵌め込まれ、その後に基部材56aに対して別部品である掛部材56bを係合させ、掛部材56bがパネル体55の周縁部室内側面と対向するようにする。そして、樹脂上枠53に対して押縁部材54を取付け、パネル体55の室内側面を保持する。このようにして、パネル体55が枠体50に取付けられ、パネル止め部品56の掛部材56bがパネル体55の室内側面と押縁部材54の間に配置されることとなる。
【0006】
しかし、従来のサッシでは、このようにパネル止め部品が二つの独立した部品で構成されており、また、枠体とパネルの間の僅かな隙間で掛部材を基部材に対して取付ける必要があり、施工性がよいとは言えなかった。また、パネル止め部品が二つの独立した部品であることにより、部品管理が煩雑となるという問題もあった。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、施工性がよく、また部品管理も容易なパネル止め部品とそれを備えたサッシ及びパネル体の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るパネル止め部品は、金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室外側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシの、前記金属枠の内周面に取付けられて前記パネル体の脱落を防止するパネル止め部品において、
前記金属枠の内周面に固定される基部材と、該基部材に対して回転自在な掛部材とからなり、該掛部材は前記基部材に対して回転することで、前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在であることを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係るパネル止め部品は、前記基部材は前記金属枠の内周面に当接し固着される固定面部と、該固定面部から立ち上がる連係面部とを有し、前記掛部材は前記基部材の連係面部と回転自在に連係される回動部と、該回動部から延出されて前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在な対向面部とを有することを特徴として構成されている。
【0010】
さらに、本発明に係るパネル止め部品は、前記基部材の連係面部と前記掛部材の回動部との、いずれか一方には支軸部が形成され、他方には前記支軸部と嵌合して回転自在となる軸孔部が形成されることを特徴として構成されている。
【0011】
さらにまた、本発明に係るパネル止め部品は、前記基部材は前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に配置された前記掛部材に当接して、該掛部材のそれ以上の回転を防止するストッパ部を備えることを特徴として構成されている。
【0012】
そして、本発明に係るパネル止め部品は、前記掛部材は先端部につまみ状の操作部を備えることを特徴として構成されている。
【0013】
また、本発明に係るサッシは、金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室内側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシにおいて、
前記金属枠の内周面に請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル止め部品を取付け、前記掛部材を前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在としてなることを特徴として構成されている。
【0014】
さらに、本発明に係るサッシは、前記パネル止め部品は、前記掛部材の回転範囲のいずれにおいても、前記掛部材と押縁部材との間が離隔することを特徴として構成されている。
【0015】
さらにまた、本発明に係るパネル体の取付方法は、金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室内側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシの、前記パネル体の取付方法において、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル止め部品を内周面に取付けてなる前記金属枠を設け、前記パネル止め部品の掛部材は収納された状態とされ、前記パネル体の室外側面を前記金属枠に保持させ、前記パネル止め部品の掛部材を回転させて前記パネル体の室内側面と対向させた状態とし、前記押縁部材を取付けて前記パネル体の室内側面を保持させることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るパネル止め部品によれば、金属枠の内周面に固定される基部材と、基部材に対して回転自在な掛部材とからなり、掛部材は基部材に対して回転することで、パネル体の室内側面と押縁部材との間に出没自在であることにより、掛部材を基部材に対して、回転自在に一体化しており、該一体化された状態で輸送・施工がなされるから、施工現場で基部材に掛部材を取付ける必要がなく、部品の管理を容易にすることができる。また、パネル止め部品の組み立て作業の手間をなくし、部品同士の固定が不完全となることを防止できると共に、掛部材を回転させるだけで、パネル止め部品を機能させることができるから、施工性も向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係るパネル止め部品によれば、基部材は金属枠の内周面に当接し固着される固定面部と、固定面部から立ち上がる連係面部とを有し、掛部材は基部材の連係面部と回転自在に連係される回動部と、回動部から延出されてパネル体の室内側面と押縁部材との間に出没自在な対向面部とを有することにより、簡易な構造で基部材と掛部材を構成し、安価にパネル止め部品を形成することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るパネル止め部品によれば、基部材の連係面部と掛部材の回動部との、いずれか一方には支軸部が形成され、他方には支軸部と嵌合して回転自在となる軸孔部が形成されることにより、簡易な構造で掛部材を基部材に対して回転自在とすることができる。
【0019】
さらにまた、本発明に係るパネル止め部品によれば、基部材はパネル体の室内側面と押縁部材との間に配置された掛部材に当接して、掛部材のそれ以上の回転を防止するストッパ部を備えることにより、掛部材を所定位置に容易に位置決めでき、また枠体の四周各辺に設けた際に、重力により掛部材が必要以上に回転することを防止できる。
【0020】
そして、本発明に係るパネル止め部品によれば、掛部材は先端部につまみ状の操作部を備えることにより、掛部材を容易に回転させることができ、施工性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図3】サッシ設置状態におけるパネル止め部品の正面図と平面図及び側面図である。
【図4】パネル止め部品の斜視図である。
【図5】上枠におけるパネル体の取付時の断面図である。
【図6】パネル止め部品を表したサッシの正面図である。
【図7】第2の実施形態のパネル止め部品の正面図である。
【図8】従来のサッシにおけるパネル止め部品の構成を表した拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2には本実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態におけるサッシは、建物開口部に設けられる枠体1内に複層ガラス板からなるパネル体4を納めてなるものであり、枠体1を構成する金属枠2の室内側露出部分を樹脂枠3で覆ってなる複合サッシである。パネル体4は、周縁部室外側面を金属枠2で保持され、周縁部室内側面を樹脂製の押縁部材5または樹脂枠3で保持される。
【0023】
枠体1は、上枠10と下枠13及び左右の縦枠16、16を方形状に枠組みしてなり、上枠10は室外側の金属上枠11と室内側の樹脂上枠12とからなり、下枠13は室外側の金属下枠14と室内側の樹脂下枠15とからなり、縦枠16は室外側の金属縦枠17と室内側の樹脂縦枠18とからなる。
【0024】
金属枠2を構成する金属上枠11と金属下枠14及び金属縦枠17には、外周面に四周に渡るフィン部20が形成されている。フィン部20は、建物開口部の室外面に当接し、ビス止めによって枠体1を建物駆体に固着するために設けられる。また、金属上枠11と金属下枠14及び金属縦枠17の内周面22には、見付方向内側に向かって突出する室外保持部21が形成される。室外保持部21は、パネル体4の周縁部室外面を、四周に渡って保持する。
【0025】
金属上枠11と金属下枠14及び金属縦枠17の室内側には、樹脂枠保持部23が形成され、この樹脂枠保持部23に樹脂枠3が係合される。樹脂枠3を構成する樹脂上枠12と樹脂下枠15及び樹脂縦枠18は、それぞれ金属上枠11と金属下枠14及び金属縦枠17の樹脂枠保持部23に係合して固定され、樹脂上枠12と樹脂縦枠18の内周側には押縁部材5を係合させる押縁係合部24がそれぞれ形成されている。樹脂下枠15は、押縁部材5を介さず、直接パネル体4を保持する。また、樹脂枠3の室内側には、室内側に向かって延出されるアングル部25が四周に渡って形成されている。
【0026】
押縁部材5は、前述のように樹脂材からなり、外周側に樹脂枠3と係合する係合部5aを備えると共に、室外側端部にパネル体4の室内側面を保持する保持部5bが形成されている。枠体1の上辺と縦辺においては、金属枠2の内周面22と室外保持部21、及び押縁部材5によって、凹状の領域が形成され、パネル体4の周縁部が納められると共に保持される。枠体1の下辺においては、金属枠2のみで凹状の領域が形成されており、この凹状の領域にパネル体4の周縁部が納められると共に、金属枠2の室外保持部21と樹脂下枠15とによってパネル体4の室外面と室内面がそれぞれ保持される。
【0027】
押縁部材5は樹脂枠3に固定されており、これらはいずれも樹脂材で構成されているから、火災の際、高温になると脱落する可能性がある。その場合であってもパネル体4が枠体1から脱落しないように、金属枠2の内周面22にはパネル止め部品30が設けられる。図1と図2に示すように、本実施形態においてパネル止め部品30は、金属枠2の上辺と縦辺にそれぞれ設けられている。金属枠2の下辺については、前述のように金属枠2だけでパネル体4の周縁部を納める凹状の領域が形成されているから、パネル止め部品30を設ける必要はない。ただし、枠体1の下辺においても他の辺と同様、金属枠2と押縁部材5によって凹状の領域を形成する場合には、金属枠2の下辺にもパネル止め部品30が必要となる。
【0028】
パネル止め部品30は、金属材からなり、金属枠2の内周面22に固定される基部材31と、基部材31から見付方向内側に突出する掛部材32とで構成されている。掛部材32は、基部材31に対して回転自在となるように連係し、二部材で一体的な部品を構成している。パネル止め部品30は、サッシが設置された状態においては、図1及び図2に示されているように、掛部材32がパネル体4の室内側面と押縁部材5の間に配置される。これにより、掛部材32はパネル体4の室内側面と対向するので、樹脂枠3及び押縁部材5が脱落した場合であっても、パネル体4の室内側面を保持することができ、パネル体4の枠体1からの脱落を防止することができる。
【0029】
図3にはサッシの設置状態におけるパネル止め部品30の正面図と平面図及び側面図を示している。図3(a)は、図2中左側に設けられるパネル止め部品30を室内側から見た正面図、図3(b)は、図2中左側に設けられるパネル止め部品30を上方から見た平面図、図3(c)は、図2中左側に設けられるパネル止め部品30を枠体1の内周側から見た側面図である。
【0030】
パネル止め部品30を構成する基部材31は、金属枠2の内周面22に当接して固着される固定面部31aと、固定面部31aから見付方向内側に向かって突出する連係面部31bとを有しており、断面略L字状をなしている。固定面部31aには、金属枠2に対して固定するためのネジを挿通させるネジ孔31cが形成されている。連係面部31bには、掛部材32を回転自在に保持する支軸部31dが形成されている。
【0031】
図3(a)に示されているように、支軸部31dは、基部材31の上下方向における中央線を挟んで対称な2箇所にそれぞれ形成されている。そのうち1箇所の支軸部31dに掛部材32が設けられる。支軸部31dが上下対称位置の2箇所に設けられていることにより、上下及び左右に反転させることで、反対側の縦枠16に設けられるパネル止め部品30にも、同じ基部材31を共用することができる。なお、掛部材32は、左右それぞれに対応して形成する必要がある。
【0032】
2つの支軸部31d間には、突起状のストッパ部31eが形成されている。ストッパ部31eは、掛部材32が図3に示されている状態において、掛部材32の側面に当接して、それ以上回転しないようにするために設けられる。これによって、掛部材32を所定位置で確実に位置決めすることができ、また、掛部材32が重力により所定位置に定まらないことを防止することができるので、パネル止め部品30を枠体1の上下左右のいずれの辺にも設けることができる。
【0033】
2つの支軸部31dの外側位置には、それぞれ突部31fが形成されている。図3(c)に示すように、突部31fは、ストッパ部31eより低い凸状に形成されており、掛部材32の側面に当接はしないが、回転に伴って掛部材32が乗り上げることができるようになっている。掛部材32を図3(a)の状態から支軸部31dを中心とし左回りに90度回転させた状態において、掛部材32は上側の突部31fに乗り上げ、重力や小さい力によっては回転しない。これにより、掛部材32が不必要に回転することがなく、輸送や施工時においてパネル止め部品30の仮止めをなすことができる。
【0034】
掛部材32は、基部材31の連係面部31bに対して回転自在に連係される回動部32aと、回動部32aから延出される対向面部32bとを有して構成されている。回動部32aには、連係面部31bの支軸部31dを挿通させる軸孔部32cが形成されている。また、対向面部32bの先端部には、つまみ状の操作部32dが形成されている。操作部32dに指を引っかけることで、掛部材32を容易に回転させることができる。
【0035】
図4には、パネル止め部品30の斜視図を示している。図4(a)は、パネル体4を枠体1に取付ける前の状態のパネル止め部品30の斜視図である。この図に示すように、パネル体4を取付ける前においては、掛部材32を基部材31の連係面部31bの長手方向に沿う方向に配置している。この際、前述のように、掛部材32は突部31fに乗り上げた状態となっており、重力や小さい力により不必要に回転することがないようにされている。
【0036】
基部材31の支軸部31dは、連係面部31bからリング状に突出するように形成されている。これは、連係面部31bの裏側から押圧加工することで、支軸部31dを突出形成したものである。押圧加工で形成された支軸部31dを、掛部材32の軸孔部32cに挿通させ、その上で、支軸部31dの縁部分を圧潰させることで、掛部材32が支軸部31dから抜けないようにする。これにより、掛部材32が基部材31により回転自在に保持される。なお、本実施形態では基部材31に支軸部31dを設け、掛部材32に軸孔部32cを設けているが、逆に掛部材32に支軸部を設け、基部材31に軸孔部を設けるようにしてもよい。また、掛部材32を基部材31に対して回転自在とするための構成は、支軸部と軸孔部の組み合わせには限られず、例えばビス止め等の締結手段により掛部材32が基部材31に対して回転自在となるようにしてもよい。
【0037】
このようにして、基部材31と掛部材32が一体化されてパネル止め部品30が形成され、枠体1を構成する金属枠2に対して取付けられる。ここまでは、工場内で作業が行われてもよい。掛部材32を基部材31に対し、回転自在に一体化したことにより、該一体化された状態で輸送・施工がなされるから、施工現場で基部材31に掛部材32を取付ける必要がなく、部品の管理を容易にすることができる。また、パネル止め部品30の組み立て作業の手間をなくし、部品同士の固定が不完全となることを防止できると共に、掛部材32を回転させるだけで、パネル止め部品30を機能させることができるから、施工性も向上させることができる。
【0038】
図4(b)に示すように、掛部材32は、その先端を連係面部31bの先端側に傾倒させるように、回転させることができる。掛部材32をある程度回転させると、掛部材32が突部31fに乗り上げた状態を解除でき、小さい力で掛部材32をさらに回転させることができる。この際、掛部材32の操作部32dが室内側に向かって屈曲しているので、室内側からの操作を容易になすことができる。
【0039】
図4(c)に示すように、掛部材32の側面がストッパ部31eに当接した状態で、掛部材32はそれ以上回転しないこととなる。この状態において、掛部材32はパネル体4の室内側面と対向した状態となる。
【0040】
図5には、上枠10におけるパネル体4の取付時の断面図を示している。図5(a)は、金属枠2にパネル体4を保持させた状態を示している。パネル体4は、建物開口部に金属枠2が取付けられた後に、室内側から取付けられ、室外側面が金属枠2の室外保持部21により保持される。このとき、パネル止め部品30の掛部材32は、図4(a)に示すような長手方向が連係面部31bの長手方向に沿うように配置されており、掛部材32が収納された状態となっている。このため、パネル体4を金属枠2に保持させる際に、掛部材32が干渉することがなく、円滑にパネル体4を取付けることができる。
【0041】
パネル体4を金属枠2に保持させたら、パネル止め部品30の掛部材32を室内側から回転させ、図5(b)に示すように、対向面部32bをパネル体4の室内側面と対向させる。この際、掛部材32の操作部32dに指を引っかけて回転させることで、掛部材32を容易に回転動作させることができる。その上で、樹脂枠3の押縁係合部24に対して押縁部材5を係合させることで、押縁部材5が樹脂枠3に取付けられると共に、押縁部材5によりパネル体4の室内側面を保持させる。これによって、パネル体4の取付作業が完了する。
【0042】
図6には、パネル止め部品30を表したサッシの正面図を示している。この図に示すように、パネル止め部品30は、枠体1の上辺と縦辺の、それぞれ長手方向両端付近に2箇所ずつ設けられる。また、枠体1の下辺については、前述の通り、下枠13には金属枠2だけでパネル体4の周縁部を納める凹状の領域が形成されているから、パネル止め部品30は設けられない。これらにより、四周に渡ってパネル体4が確実に保持され、十分な防火性能を達成することができる。
【0043】
図7には、第2の実施形態におけるパネル止め部品30の正面図を示している。第2の実施形態のパネル止め部品30は、基部材31に対して掛部材32が回転自在に支持されている点では、第1の実施形態と同様である。ただし、基部材31の支軸部31dが1箇所のみに形成され、突部31fは有していない。一方で、ストッパ部31eは形成されている。このような構成であっても、図1等に示したサッシにパネル止め部品30として使用することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、パネル止め部品30の基部材31には、ストッパ部31eや突部31fが必ずしも形成されていなくてもよいし、また、支軸部31dが上下2箇所に形成されていなくてもよく、少なくとも1箇所で掛部材32を回転自在に支持できればよい。さらには、図3(b)に示されているように、基部材31はクランク状に折れ曲がって形成されているが、単なるL字状に形成されていてもよいことは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 枠体
2 金属枠
3 樹脂枠
4 パネル体
5 押縁部材
10 上枠
11 金属上枠
12 樹脂上枠
13 下枠
14 金属下枠
15 樹脂下枠
16 縦枠
17 金属縦枠
18 樹脂縦枠
30 パネル止め部品
31 基部材
31a 固定面部
31b 連係面部
31d 支軸部
31e ストッパ部
32 掛部材
32a 回動部
32b 対向面部
32c 軸孔部
32d 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室外側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシの、前記金属枠の内周面に取付けられて前記パネル体の脱落を防止するパネル止め部品において、
前記金属枠の内周面に固定される基部材と、該基部材に対して回転自在な掛部材とからなり、該掛部材は前記基部材に対して回転することで、前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在であることを特徴とするパネル止め部品。
【請求項2】
前記基部材は前記金属枠の内周面に当接し固着される固定面部と、該固定面部から立ち上がる連係面部とを有し、前記掛部材は前記基部材の連係面部と回転自在に連係される回動部と、該回動部から延出されて前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在な対向面部とを有することを特徴とする請求項1記載のパネル止め部品。
【請求項3】
前記基部材の連係面部と前記掛部材の回動部との、いずれか一方には支軸部が形成され、他方には前記支軸部と嵌合して回転自在となる軸孔部が形成されることを特徴とする請求項2記載のパネル止め部品。
【請求項4】
前記基部材は前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に配置された前記掛部材に当接して、該掛部材のそれ以上の回転を防止するストッパ部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル止め部品。
【請求項5】
前記掛部材は先端部につまみ状の操作部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパネル止め部品。
【請求項6】
金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室内側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシにおいて、
前記金属枠の内周面に請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル止め部品を取付け、前記掛部材を前記パネル体の室内側面と前記押縁部材との間に出没自在としてなることを特徴とするサッシ。
【請求項7】
前記パネル止め部品は、前記掛部材の回転範囲のいずれにおいても、前記掛部材と押縁部材との間が離隔することを特徴とする請求項6記載のサッシ。
【請求項8】
金属枠の室内側露出部分を樹脂枠で覆ってなる枠体内にパネル体を納めてなり、該パネル体は、室内側面を前記金属枠で、室内側面を樹脂製の押縁部材で、それぞれ押圧されるサッシの、前記パネル体の取付方法において、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル止め部品を内周面に取付けてなる前記金属枠を設け、前記パネル止め部品の掛部材は収納された状態とされ、前記パネル体の室外側面を前記金属枠に保持させ、前記パネル止め部品の掛部材を回転させて前記パネル体の室内側面と対向させた状態とし、前記押縁部材を取付けて前記パネル体の室内側面を保持させることを特徴とするパネル体の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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