説明

パネル貫通の配管部材のホルダ

【課題】手の届かないようなパネルの取付穴に対しても配管部材を貫通状態に且つ容易に固定することのできるホルダを提供する。
【解決手段】パネルに形成した取付穴を貫通させる状態に配管部材(10B,12B,14B)をパネルに固定するパネル貫通の配管部材のホルダ24を、配管部材を挿通させ且つ挿通状態で配管部材を軸直角方向に位置決状態に拘束する、取付穴を軸方向に通過可能な配管拘束部としての第1分割体24-1と、第1分割体24-1に結合され、結合状態で取付穴に軸方向に差し込まれた第1分割体24-1をパネルに対して軸方向に位置決状態に拘束する、鍔部58が一体に構成してある第2分割体24-2との分割構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車のフレームその他のパネルに対して燃料輸送用その他の配管部材を固定するためのホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のパネルに対して燃料輸送用その他の配管部材を固定するものとして、図18に示すようなものが用いられていた。
図18において、200はゴム等の弾性体から成るグロメットで、中心部にホース等の配管部材202を挿通する挿通孔204を有し、また外周部に沿って環状溝206を有している。
この図18に示す固定構造では、グロメット200の中心部の挿通孔204に配管部材202を挿通するとともに、外周部の環状溝206をパネル208の取付穴210の周縁部に弾性的に嵌め合せ、かかるグロメット200を介して配管部材202をパネル208に貫通状態に固定する。
【0003】
一方他の固定構造として図19に示すようなものが下記特許文献1に開示されている。
この図19に示すものは、金属パイプから成る配管部材202Aを複数本同時に、相手側の可撓性のホース202B-1を主体とする配管部材202Bに接続するためのもので、211はそれら複数本の配管部材202Aを挿通孔204に挿通状態に保持するグロメットである。
【0004】
この例では、グロメット211の複数の挿通孔204に配管部材202Aを挿通させてこれらを保持し、その状態でグロメット211を、パネル208の取付穴210に弾性的に嵌め合せて固定する。
そしてパネル208の反対側(裏面側)にクランプ部材214を配置して、そのクランプ部材214の複数の位置決孔212に各配管部材202Aの先端側の部分を嵌め入れてクランプ部材214により各配管部材202Aを並列状態に位置決めし、またクランプ部材214の起立柱216を、パネル208の裏面に当接させて配管部材202Aの抜け防止も併せて行う。
【0005】
配管部材202Aを接続すべき相手側の配管部材202Bは、可撓性のホース202B-1と、その端部に装着された継手管202B-2とから成っており、そしてそれら継手管202B-2が端部部材220にて保持されている。
この端部部材220とクランプ部材214とには雌ねじ孔222,224が設けられており、それら雌ねじ孔222,224において端部部材220とクランプ部材214とが、ねじ部材226にてねじ締結されて互いに固定される。
パネル208の取付穴210を図中下向きに貫通した配管部材202Aは、端部部材220にて保持されている継手管202B-2に対して図中下向きに差し込まれ、これら継手管202B-2を介して複数本の配管部材202Aと202Bとが互いに接続される。
【0006】
しかしながらこれらこれら図18,図19に示す固定構造の場合、パネル208の取付穴210に対して手の届かない位置から配管部材202,202Aを貫通させ且つその貫通状態に配管部材202,202Aを固定するといったことが困難である。
【0007】
【特許文献1】特開2001−200976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情を背景とし、手の届かないようなパネルの取付穴に対しても配管部材を貫通状態に且つ容易に固定することのできるホルダを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、パネルに形成した取付穴を貫通させる状態に配管部材を該パネルに固定するパネル貫通の配管部材のホルダであって、(a)前記配管部材を挿通させ且つ挿通状態で該配管部材を軸直角方向に位置決状態に拘束する、前記取付穴を軸方向に通過可能な配管拘束部と、(b)該配管拘束部に結合され、結合状態で前記取付穴に軸方向に差し込まれた該配管拘束部を前記パネルに対して軸方向に位置決状態に拘束する鍔部と、に分割されており、前記取付穴に軸方向に差し込まれて該取付穴に対し軸直角方向に位置決嵌合する嵌合突部を有していて、該嵌合突部の大部分を含む第1分割体と、小部分を含む第2分割体とに軸直角方向に分割され、該第1分割体にて前記配管拘束部が構成され、該第2分割体に前記鍔部が一体に構成してあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記配管拘束部が前記配管部材を複数本且つそれぞれを軸直角方向に位置決状態に拘束するものとなしてあることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記取付穴への軸方向の差込みにより前記鍔部と共働して前記パネルを内外両面から挟み込む弾性爪が設けられていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0012】
請求項1では、配管部材に配管拘束部を取り付けた状態で、手の届かない位置からでもパネルの取付穴に対し配管部材を配管拘束部ごと通すことができる。
そしてその後、配管拘束部を配管部材とともに取付穴への挿入側とは反対側に一定量引き出した状態でそこに鍔部を結合した上、配管拘束部を取付穴に押し戻すことで、配管拘束部と鍔部とに分割された形態のホルダを配管部材とともにパネルに固定することができる。
この請求項1によれば、配管部材を単独でパネルの取付穴に通した後、挿入側とは反対側において配管部材にホルダ全体を取り付け、かかるホルダにて配管部材をパネルに固定する場合に比べて、配管部材を取付穴に通した後の作業工数が少なく、簡単に配管部材をパネルに固定できる。
【0013】
ここで上記ホルダは、取付穴に差し込まれて軸直角方向に位置決嵌合する嵌合突部を具備させ、その嵌合突部の大部分を含む第1分割体と小部分を含む第2分割体とに分割して、その第1分割体にて上記の配管拘束部を構成し、また第2分割体に鍔部を一体に構成しておくことができる。
【0014】
また請求項2によれば、複数本の配管部材を配管拘束部にて拘束した状態で、その配管拘束部ごと複数本の配管部材をパネルの取付穴に対し、例えば手の届かない位置からでも通すことができ、その後鍔部を結合した上で配管拘束部を取付穴に反対側から押し戻すことで、パネルへのホルダの固定及び配管部材の固定をなすことができる。
この請求項2によれば、複数本の配管部材と配管拘束部とを予め配管組付体として小組みした状態で取付穴に通すこと、即ち複数本の配管部材を位置決状態に引き揃えた状態で取付穴に通すことができ、各配管部材が各々バラバラの状態で通す場合に比べて取付穴への配管部材の挿通作業をまとめて容易に行うことができる。
従って配管部材の挿通作業の際にバラバラとなっている配管部材を上手く取付穴に通せなかったり、またこれに起因して配管部材を傷付けてしまうといった問題を生じない。
【0015】
一方複数の配管部材を単独で取付穴に通した後、挿入側とは反対側で各配管部材に対してホルダ全体を組み付けるとなると、組付けのための作業工数が多くなってしまうが、本発明では予め各配管部材に対し配管拘束部を取り付けた状態で取付穴に通すため、その後の作業工数も少なくて済む。
尚配管部材にホルダ全体を予め組んだ状態にあると配管部材及びホルダを取付穴に通すことができない。
【0016】
本発明ではまた、取付穴への軸方向の差込みにより、鍔部と共働してパネルを内外両面から挟み込む弾性爪を設けておくことができる(請求項3)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において10,12,14は配管部材であって、これら3本の配管部材10,12,14はそれぞれ可撓性のホース10A,12A,14Aと、それらの端部に装着された硬質の樹脂パイプから成る継手管10B,12B,14Bとから成っている。
16,18はこれら配管部材10,12,14を貫通状態に取付固定する一対の金属製のパネル(ここでは自動車のパネル)で、図2に示しているように互いに離隔して配置されており、それぞれに配管部材10,12,14を貫通させる取付穴20,21が設けられている。
【0018】
本実施形態において、各配管部材10,12,14は図1に示しているように樹脂製の第1ホルダ22にてパネル16の取付穴20に取付固定され、また樹脂製の第2ホルダ24にて他方のパネル18の取付穴21に取付固定されている。
【0019】
第1ホルダ22は、図3に示しているように平面形状がパネル16の取付穴20に対応した長円形状をなしている。
この第1ホルダ22は、軸方向に突出し、パネル16の取付穴20に軸方向に差し込まれて軸直角方向に位置決嵌合する嵌合突部26と、その外周面に沿って略環状に形成されたフランジ部(鍔部)28とを有している。
【0020】
この嵌合突部26には、各配管部材10,12,14に対応して3つの挿通孔32,34,36が設けられている。
これら挿通孔32,34,36は、配管部材10,12,14におけるホース10A,12A,14Aを挿通させて、その挿通状態でそれらを軸直角方向に位置決状態に拘束する。
尚これら挿通孔32,34,36のそれぞれには、図5,図6,図7,図8(B)に示しているように、各内周面に弾性押え44が設けられており、それら弾性押え44によって、各挿通孔32,34,36に挿通されたホース10A,12A,14Aが弾性的に押えられ、以って挿通孔32,34,36内においてがたつき防止されるようになっている。
【0021】
第1ホルダ22にはまた、一対の弾性爪38が図中上,下に互いに対向して設けられている。
これら弾性爪38は軸直角方向に弾性変形可能であって、それぞれに先端が鋭角をなす爪部40が一体に形成されている。
ここで各爪部40は、フランジ部28に対して軸方向の異なった位置に形成されている。
【0022】
これら弾性爪38は次のように働く。
即ち第1ホルダ22、詳しくはその嵌合突部26をパネル16の取付穴20に対し図1及び図2の外面23側から軸方向に差し込むと、その過程で一対の弾性爪38が互いに接近する方向に弾性変形する。
そしてフランジ部28がパネル16の外面23に当接し、また爪部40がパネル16を内側に通過したところで、弾性変形状態の弾性爪38が復元力で拡開して爪部40がパネル16の内面に当り、外面23に当接状態のフランジ部28と弾性爪38の爪部40とがパネル16を内外両面から共働して挟み込み、ここに第1ホルダ22が取付穴20に軸方向及び軸直角方向に位置決状態に固定される。
【0023】
尚、第1ホルダ22の嵌合突部26には外周面に沿って適宜間隔でリブ状の突起42が形成されている。
これらリブ状の突起42は、多少の変形を伴って取付穴20に嵌合することで、嵌合突部26と取付穴20との公差に起因する隙間を吸収し、第1ホルダ22を取付穴20にがたつき無く固定状態とする働きをなす。
【0024】
図3,図4,図5及び図6に示しているように、第1ホルダ22は挿通孔32,34,36を通る、図中上下の中央の分割面Pで互いに半体を成す分割体22-1と22-2とに軸直角方向に2分割されるようになっている。
而して一方の分割体(第2分割体)22-2には、分割体22-1と22-2とを互いに結合するための一対の弾性爪46が設けられている。また他方の分割体(第1分割体)22-1には対応する掛止突起48が設けられている。
【0025】
弾性爪46には、先端が鋭角をなす爪部50が一体に形成されており、これら一対の分割体22-1,22-2を軸直角方向に合せると、図7に示しているように一方の分割体22-2の一対の弾性爪46の爪部50が、他方の分割体22-1の掛止突起48に弾性掛止して、それら分割体22-1,22-2が軸直角方向に互いに結合される。
【0026】
尚、分割体22-2には一対の位置決突起52が設けられている。
他方、分割体22-1には対応する位置決孔54が設けられており、分割体22-1,22-2を合せたとき、それら位置決突起52と位置決孔54との嵌合に基づいて、一対の分割体22-1,22-2が互いに位置決めされる。
【0027】
本実施形態では、図5及び図6に示しているように一対の分割体22-1と22-2とを軸直角方向に合せて結合する際に、同時にホース10A,12A,14Aを各挿通孔32,34,36に挿通状態とし、これら各ホース10A,12A,14Aを軸直角方向に位置決状態に拘束保持する。
【0028】
上記第2ホルダ24は、配管部材10,12,14の端部の樹脂製且つ硬質のパイプ状の継手管10B,12B,14Bを保持すべく構成されている。
ここで各継手管10B,12B,14Bは、図11及び図14に示しているように端部にニップル部68,70,72を有しており、それらを対応する可撓性のホース10A,12A,14Aに圧入することによって、それら各ホース10A,12A,14Aにそれぞれ接続される。
ここで各ニップル部68,70,72には先端が断面鋸歯状をなす複数の環状突起が軸方向に間隔を隔てて設けられており、圧入後においてそれら環状突起が各ホース10A,12A,14Aの内面に食い込んで抜け防止する。
【0029】
各継手管10B,12B,14Bには、それぞれ一対のフランジ部74,76,78が軸方向の被係合部として一体に形成されている。
これらフランジ部74,76,78は、後述する第2ホルダ24の係合部106,108,110,112,114,116を軸方向に係合させることによって、各継手管10B,12B,14Bを第2ホルダ24に対して軸方向に固定状態とするためのものである。
【0030】
図9に上記第2ホルダ24の全体構成が示してある。
これらの図に示しているように第2ホルダ24は、軸方向に突出し、パネル18の取付穴21に軸方向に差し込まれて軸直角方向に位置決嵌合する嵌合突部56と、その外周面に沿って形成されたフランジ部(鍔部)58とを有している。
この第2ホルダ24にもまた3つの挿通孔62,64,66が嵌合突部56に設けられており、それら挿通孔62,64,66において3本の継手管10B,12B,14Bをそれぞれ挿通状態で且つ軸直角方向に位置決状態に拘束保持するようになっている。
【0031】
この第2ホルダ24にも上,下一対の弾性爪38が設けられており、それら弾性爪38の爪部40とフランジ部58とによってパネル18を内外両面から共働して挟み込むようになっている。
即ちこの第2ホルダ24もまた、弾性爪38とフランジ部58とによってパネル18を挟持する状態に、かかるパネル18の取付穴21に固定される。
【0032】
但し第2ホルダ24は、第1ホルダ22とは逆方向の向きでパネル18の取付穴21に差し込まれてそこに固定される。詳しくは、第2ホルダ24はパネル18の外面25側から取付穴21に差し込まれる。
このとき、一対の弾性爪38が互いに接近する方向に弾性変形し、そしてフランジ部58がパネル18の外面25に当接し、また弾性爪38の爪部40がパネル18を通過したところで、弾性変形状態の弾性爪38が拡開方向に形状復帰して、弾性爪38の爪部40がフランジ部58とともにパネル18を内外両面から共働して挟み込み、ここに第2ホルダ24がパネル18の取付穴21に固定状態となる。
この第2ホルダ24もまた、嵌合突部56と取付穴21との嵌合に基づいて軸直角方向に位置決めされ、その状態で強固にパネル18の取付穴21に固定される。
【0033】
この第2ホルダ24にもまた、嵌合突部56の外周面に沿って適宜間隔でリブ状の突起42が形成されている。
これらリブ状の突起42の働きは、第1ホルダ22におけるリブ状の突起42と同様である。
【0034】
図10,図11及び図12に示しているように、第2ホルダ24もまた第1ホルダ22と同じく軸直角方向の2分割構造とされている。
但し第1ホルダ22は図3,図4に示しているように平坦面から成る分割面Pで軸直角方向に丁度半分に2分割されているが、第2ホルダ24は各挿通孔62,64,66を通る分割面Pが図9,図10中、上下方向に凹凸状をなしている。
【0035】
図10〜図12において24-1,24-2は各分割体を表している。
これらの図に示しているようにこの第2ホルダ24においては、嵌合突部56及び挿通孔62,64,66の大部分が配管拘束部としての分割体(第1分割体)24-1側に形成され、残りの一部(小部分)が分割体(第2分割体)24-2側に形成されている。
この結果、第2ホルダ24はその大部分を成す一方の分割体24-1自体で配管部材、具体的には継手管10B,12B,14Bを軸直角方向に拘束する機能を有する。
ここで分割体24-1は、図2のパネル18の取付穴21を通過可能である。
【0036】
これらの図に示しているように、分割体24-1には挿通孔62,64,66に続いて図中下面で開口するガイド部80,82,84が形成されている。
これらガイド部80,82,84は、継手管10B,12B,14Bを挿通孔62,64,66に軸直角方向に嵌め入れる際のガイド作用をなす。
これらガイド部80,82,84を形成する空間は、分割体24-1,24-2を合せたとき、分割体24-2側の挿通孔62,64,66の一部を構成する部分円筒部86,88,90によって閉鎖され、ここにおいてそれぞれ円形の挿通孔62,64,66全体が構成される。
【0037】
図10に示しているように、一方の分割体24-2には鋭角の爪部50を有する弾性爪46が一体に形成されている。また他方の分割体24-1には対応する掛止突起48が形成されている。
そして一対の分割体24-1,24-2を軸直角方向に合せると、図13に示しているように掛止突起48に対する弾性爪46の弾性掛止によって、一対の分割体24-1,24-2が軸直角方向に互いに結合された状態となる。
この点は第1ホルダ22と同様である。
【0038】
上記第1ホルダ22においてはフランジ部28が分割体22-1側と22-2側とに2分割される構成となっているが、この第2ホルダ24においては、フランジ部58全体が一方の分割体24-2側に一体に形成されている。
【0039】
このフランジ部58は、軸直角方向に突出する舌片状の突出片92,94,96,98を一体に有している。
そしてこれら突出片92,94,96,98の間の部分がU字状の切欠部100,102,104とされている。
これら切欠部100,102,104は継手管10B,12B,14Bを軸直角方向に嵌め入れるためのものである。
【0040】
本実施形態において第2ホルダ24は、嵌合突部56における挿通孔62,64,66の周縁部が、継手管10B,12B,14Bにおける各一対のフランジ部74,76,78の一方に対して軸方向に係合する係合部106,108,110とされている。
またフランジ部58における切欠部100,102,104の周縁部が、図14に示しているように各一対のフランジ部74,76,78における他方に対して軸方向に係合する係合部112,114,116とされている。
第2ホルダ24は継手管10B,12B,14Bを挿通状態で、これら係合部106,108,110と112,114,116とを、継手管10B,12B,14Bにおける各一対のフランジ部74,76,78に対して軸方向且つ互いに逆向きに係合させ、以って各継手管10B,12B,14Bを軸方向に固定状態とする。
【0041】
この第2ホルダ24もまた、図11及び図12に示しているように一対の分割体24-1,24-2を軸直角方向に合せて結合する際に、継手管10B,12B,14Bを挟み込むようにする。
ここにおいて継手管10B,12B,14Bが第2ホルダ24の挿通孔62,64,66に挿通状態となる。
【0042】
尚このとき、実際には図14に示しているように先ず継手管10B,12B,14Bを分割体24-1に軸直角方向に差し込んで嵌め入れておき、その後にその分割体24-1に対して分割体24-2を軸直角方向に合せて結合する。
その際、分割体24-2側に一体に形成された突出片92,94,96,98を、各継手管10B,12B,14Bにおける図中左側のフランジ部74,76,78と分割体24-1との間の隙間に差し込むようにする。
ここにおいて各継手管10B,12B,14Bが第2ホルダ24により軸直角方向にも、また軸方向にも拘束された状態となる。
図15はこのようにして継手管10B,12B,14Bを第2ホルダ24にて保持した状態を表している。
【0043】
次に本実施形態における配管部材10,12,14のパネル16,18への固定の手順、詳しくはそれらパネル16,18の取付穴20,21に配管部材10,12,14を貫通状態にそれぞれ固定するための手順を図16及び図17に基づいて説明する。
先ず配管部材10,12,14における各端部の継手管10B,12B,14Bを、図14に示す状態に第2ホルダ24における分割体24-1に軸直角方向に差し込んで嵌め入れておく。
このようにすることで配管部材10,12,14の端部を各配管部材10,12,14の軸方向にも、また軸直角方向にも揃えた状態としておくことができる。
【0044】
これと併せて第1ホルダ22の一対の分割体22-1,22-2を軸直角方向に合せてそれらを互いに結合するとともに、このとき同時に配管部材10,12,14におけるホース10A,12A,14Aをその第1ホルダ22の各挿通孔32,34,36に挿通させた状態とする。
即ちそれら挿通孔32,34,36において、各ホース10A,12A,14Aを軸直角方向に位置決状態に拘束保持した状態とする。
但しこのとき各ホース10A,12A,14Aは、第1ホルダ22に対し各挿通孔32,34,36において軸方向に相対移動可能である。図16(I)はこのときの状態を表している。
【0045】
次いで配管部材10,12,14を、それらの端部に第2ホルダ24の分割体24-1を付けた状態で、図16(II)に示しているようにパネル16の外面23側から一対のパネル16,18の各取付穴20,21に貫通させた状態とする。
そして図16(II)に示しているように、その状態で第1ホルダ22をパネル16の取付穴20に対し、その外面23側から軸方向に差し込んで、弾性爪38とフランジ部28とによるパネル16の挟持作用に基づいてこれをパネル16、詳しくはその取付穴20に固定する。
【0046】
このとき、第1ホルダ22は嵌合突部26が取付穴20に嵌合した状態となって、第1ホルダ22が軸直角方向に位置決め且つ固定状態となる。
即ちホース10A,12A,14Aが取付穴20を貫通する状態で且つ軸直角方向に位置決めされた状態で、パネル16の取付穴20に固定された状態となる。
【0047】
次に図17(III)に示しているように、配管部材10,12,14をパネル18の外面25側に第2ホルダ24の分割体24-1とともに一定量引き出した状態の下で、第2ホルダ24における分割体24-2を分割体24-1に軸直角方向に合せてそれらを互いに結合するとともに、配管部材10,12,14の各端部の継手管10B,12B,14Bを第2ホルダ24の各挿通孔62,64,66に挿通状態とする。
このとき各継手管10B,12B,14Bは各挿通孔62,64,66によって軸直角方向に位置決状態に拘束保持されるとともに、第2ホルダ24の係合部106,108,110及び112,114,116と、各継手管10B,12B,14Bにおける各一対のフランジ部74,76,78との係合に基づいて軸方向にも固定状態となる。
【0048】
この状態で配管部材10,12,14を押し戻すようにして第2ホルダ24をパネル18の取付穴21に対し、その外面25側から軸方向に差し込ませる。
その差込みによって、第2ホルダ24はパネル18に対して、詳しくはその取付穴21に対してワンタッチで、即ち弾性爪38とフランジ部58とによるパネル18の挟持作用に基づいて取付固定される。
【0049】
第2ホルダ24は、上記差込状態で嵌合突部56が取付穴21に嵌合した状態となり、これにより第2ホルダ24が軸直角方向に位置決め且つ固定状態となる。
即ち継手管10B,12B,14Bが取付穴21を貫通する状態でパネル18の取付穴21に軸直角方向及び軸方向に固定された状態となる。図17(IV)はこのときの状態を示している。
【0050】
ここで既にパネル16に取付固定してある第1ホルダ22は、配管部材10,12,14を軸方向に相対移動可能に保持しているため、配管部材10,12,14を押し戻すようにして容易に第2ホルダ24をパネル18の取付穴21に差込固定することができる。
【0051】
第1ホルダ22がホース10A,12A,14Aを軸方向に固定状態に保持していると、第2ホルダ24を用いて継手管10B,12B,14Bをパネル18の取付穴21に取付固定する際に、継手管10B,12B,14B即ち配管部材10,12,14をパネル18の取付穴21から外面25側に一定量引き出すことができず、また第2ホルダ24を取付穴21にパネル18の外面25側から押し戻す際に、配管部材10,12,14を押し戻すことができず、従って第2ホルダ24による継手管10B,12B,14Bのパネル18への固定を良好に行うことができないが、本実施形態では第1ホルダ22がホース10A,12A,14Aを軸方向に相対移動可能に保持しているため、一対のパネル16,18の間の空間が作業空間として使えない場合であっても、ワンタッチで簡単に支障なく配管部材10,12,14を一対の第1及び第2ホルダ22,24を用いて、一対のパネル16,18の各取付穴20,21のそれぞれに取付固定することができる。
【0052】
以上では第1ホルダ22を先ずパネル16の取付穴20に固定した後、第2ホルダ24をパネル18の取付穴21に固定するものとして説明したが、それらの固定の順序を逆にすること、即ち先ず第2ホルダ24にて配管部材10,12,14をパネル18の取付穴21に固定し、次に第1ホルダ22にてこれら配管部材10,12,14をパネル16の取付穴20に固定するようになしても良い。
この場合においても、ホース10A,12A,14A即ち配管部材10,12,14は第1ホルダ22に対して軸方向に相対移動可能であるため、第2ホルダ24にて配管部材10,12,14が軸方向に相対移動不能に保持された状態であっても、第1ホルダ22を支障なくパネル16の取付穴20に押し戻して固定することができる。
【0053】
以上のような本実施形態によれば、手の届かない位置からでもパネル18の取付穴21に対し配管部材10,12,14を分割体24-1ごと通すことができる。
そしてその後、分割体24-1を配管部材10,12,14とともにその挿入側とは反対側に一定量引き出した状態で、そこにフランジ部58を含む分割体24-2を結合した上、分割体24-1の嵌合突部56を取付穴21に外面25側から押し戻すことで、第2ホルダ24及び配管部材10,12,14をパネル18に対し固定することができる。
この実施形態によれば、分割体24-1を各配管部材10,12,14とともに組んだ状態でパネル18の取付穴21に通すようにしていることから、配管部材10,12,14を取付穴21に通した後の作業工数が少なく、簡単に配管部材10,12,14をパネル18に固定できる。
【0054】
また本実施形態によれば、各配管部材10,12,14を互いにバラバラの状態で取付穴21に通す場合に比べて、取付穴21への配管部材10,12,14の挿通作業を容易に行うことができるとともに、その際にバラバラとなっている配管部材10,12,14を上手く取付穴21に通せずにこれらを傷付けてしまうといった問題を生じない。
【0055】
更に配管部材10,12,14を単独で取付穴21に通した後、挿入側とは反対側で各配管部材10,12,14に対して第2ホルダ24全体を組み付けるとなると、取付穴21に配管部材10,12,14を通した後の作業工数が多くなってしまうが、本実施形態では後に分割体24-2を結合するだけで良く、作業が簡単である。
【0056】
本実施形態ではまた、分割体22-1,22-2及び24-1,24-2を、それらに設けた弾性爪46と掛止突起48とによって軸直角方向に結合するものとしていることから、分割体22-1,22-2及び24-1,24-2を合せるだけで自動的にそれらを軸直角方向に結合状態とすることができる。
【0057】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態である第2ホルダを第1ホルダ,配管部材及びパネルとともに示す斜視図である。
【図2】同実施形態におけるパネルを単体で示す斜視図である。
【図3】図1の第1ホルダを単体状態で示す斜視図である。
【図4】図3の第1ホルダを分解状態で示す斜視図である。
【図5】同第1ホルダを配管部材における可撓性のホースとともに分解状態で示す斜視図である。
【図6】同第1ホルダを分解状態で示す正面断面図である。
【図7】同第1ホルダを分割体を合せた状態で且つ要部を拡大した状態で示す正面断面図である。
【図8】図7のア−ア断面図及びイ−イ断面図である。
【図9】図1の第2ホルダを単体状態で示す斜視図である。
【図10】図9の第2ホルダを分解状態で示す斜視図である。
【図11】同第2ホルダを配管部材における継手管とともに分解状態で示す斜視図である。
【図12】同第2ホルダを分解状態で示す正面断面図である。
【図13】同第2ホルダを分割体を合せた状態で且つ要部を拡大した状態で示す正面断面図である。
【図14】同実施形態において継手管を第2ホルダにより保持させる手順の説明図である。
【図15】同実施形態において継手管を第2ホルダにより保持させた状態を示す図である。
【図16】同実施形態における配管部材のパネルへの固定手順の説明図である。
【図17】図16に続く手順の説明図である。
【図18】従来の固定構造の一例を示す図である。
【図19】従来の図18とは異なる固定構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10,12,14 配管部材
18 パネル
21 取付穴
24 第2ホルダ
24-1 分割体(配管拘束部)(第1分割体)
24-2 分割体(第2分割体)
38 弾性爪
56 嵌合突部
58 フランジ部(鍔部)
P 分割面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに形成した取付穴を貫通させる状態に配管部材を該パネルに固定するパネル貫通の配管部材のホルダであって
(a)前記配管部材を挿通させ且つ挿通状態で該配管部材を軸直角方向に位置決状態に拘束する、前記取付穴を軸方向に通過可能な配管拘束部と、
(b)該配管拘束部に結合され、結合状態で前記取付穴に軸方向に差し込まれた該配管拘束部を前記パネルに対して軸方向に位置決状態に拘束する鍔部と、に分割されており、
前記取付穴に軸方向に差し込まれて該取付穴に対し軸直角方向に位置決嵌合する嵌合突部を有していて、該嵌合突部の大部分を含む第1分割体と、小部分を含む第2分割体とに軸直角方向に分割され、該第1分割体にて前記配管拘束部が構成され、該第2分割体に前記鍔部が一体に構成してあることを特徴とするパネル貫通の配管部材のホルダ。
【請求項2】
前記配管拘束部が前記配管部材を複数本且つそれぞれを軸直角方向に位置決状態に拘束するものとなしてあることを特徴とする請求項1に記載のパネル貫通の配管部材のホルダ。
【請求項3】
前記取付穴への軸方向の差込みにより前記鍔部と共働して前記パネルを内外両面から挟み込む弾性爪が設けられていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載のパネル貫通の配管部材のホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−17296(P2006−17296A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28966(P2005−28966)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【分割の表示】特願2004−195027(P2004−195027)の分割
【原出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)