説明

パピローマウイルスワクチン組成物

本発明は、HPVのウイルス様粒子(VLP)(該VLPはアルミニウムアジュバントに吸着されている。)、ならびにサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含むISCOM型アジュバントを含む医薬組成物に関する。好ましい実施形態においては、該アルミニウムアジュバントは無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファートを含む。本発明のもう1つの態様は、HPV VLPと、m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤とを含む多用量HPVワクチン製剤を提供する。また、ヒト患者においてHPVに対する免疫応答を誘導するための及びHPV感染を予防するための、開示されている医薬組成物および製剤の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の予防に関する。より詳しくは、本発明は、HPVのウイルス様粒子(VLP)を含む医薬組成物および製剤に関する。該VLPはアルミニウムアジュバント上に吸着されており、第2アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含む。本発明はまた、HPV VLPと抗微生物保存剤とを含む医薬組成物および製剤に関する。さらに、開示されている医薬組成物および製剤の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
80を超える型のヒトパピローマウイルス(HPV)が存在し、それらの多くは良性増殖性疣贅から子宮頸部の悪性癌に及ぶ多種多様な病理に関連づけられている(概説としては、McMurrayら,Int.J.Exp.Pathol.82(1):15−33(2001)を参照されたい。)。HPV6型およびHPV11型は「低リスク型」と称され、性器粘膜または呼吸器粘膜の良性疣贅、非悪性尖形コンジローマおよび/または低悪性度異形成に最も一般的に関連しているHPV型である。性器疣贅の約90%はこれらの2つのHPV型により引き起こされる。これとは対照的に、HPV16およびHPV18は「高リスク」HPV型と称される。なぜなら、それらは子宮頸部、膣、外陰部および肛門管の発生部位内(in situ)癌および浸潤性癌に最も頻繁に関連しているからである。子宮頸癌の70%以上はHPV16およびHPV18の感染により引き起こされる。より稀な発癌型HPV31、33、45、52および58と合わせると、これらの型は子宮頸癌の90%以上の原因となる(Schiffmanら,J.Natl.Cancer Inst.85(12):958−64(1993))。子宮頸癌は全世界の女性における第2位の癌死亡原因である。
【0003】
パピローマウイルスは、8個までの初期遺伝子(E1からE7)および2個の後期遺伝子(L1からL2)をコードする小型(50から60nm)非外包性二十面体DNAウイルスである。L1タンパク質は主要カプシドタンパク質であり、55から60kDaの分子量を有する。酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞または細菌におけるL1タンパク質またはL1およびL2タンパク質の組合せ体の発現はウイルス様粒子(VLP)の自己集合を引き起こす(概説としては、SchillerおよびRoden,Papillomavirus Reviews:Current Research on Papillomaviruses;Lacey編,Leeds,UK:Leeds Medical Information,pp 101−12(1996)を参照されたい。)。VLPは真正ビリオンに形態学的に類似しており、動物またはヒトに投与されると高力価の中和抗体を誘導しうる。VLPは潜在的発癌性ウイルスゲノムを含有しないため、それは、HPVワクチン開発における生ウイルスの使用に代わる安全な手段となる(概説としては、SchillerおよびHidesheim,J.Clin.Virol.19:67−74(2000)を参照されたい。)。この理由により、L1およびL2遺伝子はHPV感染および疾患に対する予防用および治療用ワクチンの開発のための免疫学的標的と目されている。
【0004】
VLPに基づくワクチンは、2価HPV16および18(Harperら,Lancet 364(9447):1757−65(2004))ならびにHPV6、11、16および18 VLPに基づく4価ワクチン(Villaら,Vaccine 24:5571−5583(2006))でワクチン接種されたヒト患者における免疫応答の誘導において有効であることが判明している。しかし、長期持続性防御免疫を誘導するために所望の抗原に対する免疫応答を増強することはワクチン開発の共通の目標である。
【0005】
関心のある抗原に対する免疫応答を増強しうる化合物(アジュバントとして公知である。)とのワクチンの共投与が詳細に研究されている。関心のある抗原に対する免疫応答を増強することに加えて、いくつかのアジュバントは、所望の免疫応答を誘発するのに必要な抗原の量を減少させるために、または持続性免疫応答を誘導し疾患に対する防御をもたらすための臨床治療計画において必要な注射の回数を減少させるために使用されうる。
【0006】
アルミニウムに基づく化合物がアジュバント活性を有することは60年以上前に確認された(概説としては、Lindblad,E.B.Immunol,and Cell Biol.82:497−505(2004);Baylorら,Vaccine 20:S18−S23(2002)を参照されたい。)。アルミニウムアジュバントは、一般に、適当な投与量で使用された場合には安全であるとみなされている。ヒトへの投与に関して世界中の規制機関により多数が承認されている。
【0007】
アルミニウムアジュバントの作用メカニズムは完全には理解されていないが、最適な免疫刺激効果のためには、標的化抗原がワクチン製剤中のアルミニウム上に吸着されるべきであると一般に考えられている(Lindblad,前掲を参照されたい。)。このようにして製剤化された場合、アルミニウムアジュバントは多数の抗原に対する強力な抗体(T2)応答を誘導しうるが、細胞性(T1)免疫応答はめったに刺激しない。HPVに関しては、VLPがアルミニウムアジュバントに吸着された、HPV6、11、16および18 L1 VLPに基づくワクチンは、アルミニウムを欠く対応L1 VLPワクチンから生じた応答より有意に強力な免疫応答をアカゲザルにおいて生成したことが示されている(Ruizら,Journal of Immune Based Therapies and Vaccines 3(1):2(2005))。アルミニウムアジュバント化ワクチンからはVLP単独体より有意に高い抗体価が得られたが、アジュバント化ワクチンおよび非アジュバント化ワクチンの両方は類似したイソタイププロファイルを示したため、該免疫応答は定性的には異ならなかったことに注目することが重要である。
【0008】
長期効力を有する予防用HPVワクチンを開発するためには、強力な体液性免疫応答および細胞性免疫応答を含む、より高い規模の免疫応答を得ることが好都合であろう。現在の予防臨床計画と比べてワクチン注射回数を減少させるのに十分な程度に増強されたHPV L1に対する免疫応答を生成する、VLPに基づくワクチンを開発することも有益であろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Int.J.Exp.Pathol.82(1):15−33(2001)
【非特許文献2】J.Natl.Cancer Inst.85(12):958−64(1993)
【非特許文献3】Papillomavirus Reviews:Current Research on Papillomaviruses;Lacey編,Leeds,UK:Leeds Medical Information,pp 101−12(1996)
【非特許文献4】J.Clin.Virol.19:67−74(2000)
【非特許文献5】Lancet 364(9447):1757−65(2004)
【非特許文献6】Vaccine 24:5571−5583(2006)
【非特許文献7】Immunol,and Cell Biol.82:497−505(2004)
【非特許文献8】Vaccine 20:S18−S23(2002)
【非特許文献9】Journal of Immune Based Therapies and Vaccines 3(1):2(2005)
【発明の概要】
【0010】
発明の要旨
本発明は、HPVに関連した罹患および死亡をなくす最も有効な方法である、患者におけるHPVに対する免疫応答の誘導および患者におけるHPVの感染の予防をもたらしうる医薬組成物および製剤を提供する。本発明は、本発明で提供する組成物および製剤の使用方法も提供する。
【0011】
1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの型のHPVのVLP(該VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、アルミニウムアジュバント(該VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)、ISCOM型アジュバントおよび医薬上許容される担体、例えば賦形剤、希釈剤、安定剤、バッファーまたは患者への所望の量の医薬組成物の投与を促進するよう意図された代替物質を含む医薬組成物に関する。本発明で提供する組成物は、追加的な生理的に許容される成分、例えばバッファー、正常食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水、スクロース、他の塩および/またはポリソルベートをも含有しうる。
【0012】
本発明は更に、(a)少なくとも1つのHPV型(該HPV型は、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。)のHPV VLP約10μgから約100μg(該HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、(b)約150μgから約600μgのアルミニウムアジュバント(該HPV VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)、および(c)約10μgから約200μgのISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含む。)を含むHPVワクチン製剤を提供する。
【0013】
本発明のこの態様の特定の実施形態においては、該HPVワクチン製剤は、(a)少なくとも1つのHPV型のVLP約20μgから約60μg、(b)約200μgから約300μgの該アルミニウムアジュバント、および(c)約15μgから約120μgの該ISCOM型アジュバントを含む。
【0014】
さらに他の特定の実施形態においては、本発明は、(a)HPV型6、11、16、18、31、45、52および58のそれぞれのVLP約20μgから約60μg(該HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、(b)約200μgから約300μgのアルミニウムアジュバント(該HPV VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、ならびに(c)約30μgから約120μgのISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含む。)を含むHPVワクチン製剤を提供する。
【0015】
本発明のもう1つの態様においては、HPV VLPと、m−クレゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤と、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。該抗微生物保存剤含有HPVワクチン組成物は、場合によっては、前記のとおりのアルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバントを含みうるが、アジュバントの非存在下に抗微生物保存剤を含むHPV VLP組成物も想定される。
【0016】
本発明はまた、ヒト患者においてHPVに対する免疫応答を誘導する方法であって、HPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含み、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)を含む医薬組成物を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本発明は更に、組換えHPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバント、ここで、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、HPVによるヒト患者の感染を予防する方法に関する。
【0018】
本明細書および添付されている特許請求の範囲の全体にわたって用いる単数形は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形の指示対象を含む。
【0019】
本明細書および添付されている特許請求の範囲の全体においては、以下の定義および用語が適用される。
【0020】
「HPV」および「PV」なる語は、それぞれ、ヒトパピローマウイルスおよびパピローマウイルスを意味する。
【0021】
「有効量」なる語は、患者におけるHPVに対する免疫応答の誘導またはHPV感染の予防のような所望の効果を得るのに十分なVLPワクチン組成物が患者の体内に導入されることを意味する。当業者は、このレベルが変動しうると認識する。
【0022】
「患者」なる語は、本明細書に記載されているHPVワクチンまたは医薬組成物が投与される任意のヒトを意味する。本明細書中で定義される「患者」は、HPVに既に感染している者、およびHPV感染が予防されるべき者を含む。
【0023】
「障害」は、本発明の組成物での治療から利益を受ける任意の状態である。HPVによる感染に関連している任意の障害または病状が、「障害」なる語に含まれる。本発明の組成物は、性器粘膜または呼吸器粘膜の良性疣贅、非悪性尖形コンジローマおよび/または低悪性度異形成ならびに子宮頸部、膣、外陰部および肛門管の発生部位内(in situ)および浸潤性癌を含む(これらに限定されるものではない。)HPV感染により特徴づけられる障害または状態の治療としての又はそれらの予防のための使用を意図したものである。
【0024】
「製剤」は、注射に適した任意の体積中に含まれうるワクチンの単一用量を意味する。特定の実施形態においては、製剤は0.5mLの総体積中で製造される。特に示さない限り、「製剤」なる語の使用は、それを要する単一の患者に運搬されうる、ワクチンの単一用量に適用される。「多用量」なる語は、2以上の患者に投与されうる、2用量以上のワクチンを含有するHPV製剤を意味する。
【0025】
「VLP」はウイルス様粒子を意味する。
【0026】
「MAA」はMerckアルミニウムアジュバントを意味する。MAAは、無定形(アモルファス)アルミニウムヒドロキシホスファートスルファートアジュバントである。「MAA」なる語は、本明細書においては、「AAHS」なる語と互換的に用いられる。
【0027】
「cLIA」は競合的Luminex(Luminex Corp.,Austin TX)イムノアッセイを意味し、その一例は米国特許第7,067,258号およびOpalkaら,Clin Diagn Lab Immunol.10(1):108−15(2003)に記載されている。
【0028】
「GMT」は相乗平均力価を意味する。
【0029】
「ISCOM型アジュバント」は、その機能に寄与する特有の球状籠様構造を有する特徴的な籠様粒子を一緒になって形成するサポニン、コレステロールおよびリン脂質から構成される免疫刺激性複合体(ISCOM)を含むアジュバントである(概説としては、BarrおよびMitchell,Immunology and Cell Biology 74:8−25(1996)を参照されたい。)。この用語は、抗原の存在下で産生されISCOM粒子内に抗原を含むISCOMアジュバントと、抗原の非存在下で産生される中空型のISCOM型アジュバントであるISCOMマトリックスアジュバントとの両方を含む。本発明で提供する組成物および方法の好ましい実施形態においては、ISCOM型アジュバントは、抗原の非存在下で製造されるISCOMマトリックス粒子アジュバント、例えばISCOMATRIX(登録商標)である(ISCOM(登録商標)およびISCOMATRIX(登録商標)はCSL Limited,Parkville,Australiaの登録商標である。)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、実験用8価HPV VLPワクチンで免疫化されたアカゲザルにおけるワクチン接種群ごとの経時的な抗HPV16相乗平均力価(GMT)を示す。該ワクチンは、示されている免疫化計画に従い及び実施例1に記載されているとおりに、MAAまたはMAA+IMXでアジュバント化された。
【図2】図2は、実験用8価HPV VLPワクチンで免疫化されたアカゲザルにおけるワクチン接種群ごとの経時的な抗HPV31相乗平均力価(GMT)を示す。該ワクチンは、示されている免疫化計画に従い及び実施例1に記載されているとおりに、MAAまたはMAA+IMXでアジュバント化された。
【図3】図3は、第1日に関連HPV型に対して血清陰性であったヒト被験者におけるワクチン接種群ごとの抗HPV6、11、16または18 cLIA相乗平均力価(GMT)の要約を示す(第A相の結果)。臨床プロトコールの簡潔な説明が実施例3に記載されている。
【図4】図4は、第1日に関連HPV型に対して血清陰性であったヒト被験者におけるワクチン接種群ごとの抗HPV6、11、16または18 cLIA相乗平均力価(GMT)の要約を示す(第B相の結果)。臨床プロトコールの簡潔な説明が実施例3に記載されている。
【図5】図5は、37℃で保存された8価HPV VLPワクチンサンプルの無傷単量体の経時的な比率(%)を示す。8価ワクチン製剤±ISCOMATRIXおよび±MAAアジュバントのSDS−PAGE分析からの結果が示されている(実施例4および5を参照されたい。)。データは、時間=0(点付きの棒グラフ)、1ヶ月(縞付きの棒グラフ)、3ヶ月(無地の棒グラフ)および6ヶ月(線影付きの棒グラフ)におけるものが示されている。
【図6】図6は、IVRP分析により測定された、IMXの存在下および非存在下の8価HPV溶液およびMAAサンプルのインビトロ抗原性(単位/mL)を示す(実施例4および6を参照されたい。)。
【図7A】図7Aは、IMXの非存在下の8価HPVワクチン製剤の安定性に対する保存剤の影響を示す(実施例12を参照されたい。)。
【図7B】図7Bは、IMXの非存在下の8価HPVワクチン製剤の安定性に対する保存剤の影響を示す(実施例12を参照されたい。)。
【図8A】図8Aは、IMXの存在下の8価HPVワクチン製剤の安定性に対する保存剤の影響を示す(実施例12を参照されたい。)。
【図8B】図8Bは、IMXの存在下の8価HPVワクチン製剤の安定性に対する保存剤の影響を示す(実施例12を参照されたい。)。
【図9A】図9パネルAは、IMXの非存在下のHPVワクチン製剤における保存剤の安定性を示す(実施例13を参照されたい。)。
【図9B】図9パネルBは、IMXを含むHPVワクチン製剤における保存剤の安定性を示す(実施例13を参照されたい。)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本発明において、少なくとも1つのHPV型のHPV VLP、ISCOM型アジュバントおよびアルミニウムアジュバントを含むHPVワクチン製剤が、アルミニウムアジュバントのみを含むVLPワクチンと比較して、該標的化HPV型に対する、より高いAb力価を、動物モデルおよびヒト患者において惹起しうることが示されている。この目的のために、後記で詳細に説明するとおり、ISCOM型アジュバントと組合されたアルミニウムアジュバントに吸着されたHPV VLPを含むHPV VLPワクチン製剤および医薬組成物を本発明において提供する。
【0032】
本明細書に記載されている本発明のもう1つの態様において、HPV VLPを含む医薬組成物および製剤へのm−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物性保存剤の添加が微生物の減少または排除に有効であり、2から8℃における該VLPの構造的および熱的安定性に負の影響を及ぼさないことが示されている。したがって、本発明はまた、HPV VLPと、m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤とを含むHPVワクチン製剤および医薬組成物に関する。本発明のこの態様におけるワクチン組成物は、前記のとおり、ISCOM型アジュバントおよびアルミニウムアジュバントをも含みうる。
【0033】
ウイルス様粒子に基づくワクチンはヒト患者における多数のHPV型に対する免疫応答の誘導において安全かつ有効であることが判明している。ヒトおよび動物パピローマウイルスの主要カプシドタンパク質であるL1が酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞または細菌内で発現される場合、VLPは自己集合しうる(概説としては、SchillerおよびRoden,in Papillomavirus Reviews:Current Research on Papillomaviruses;Lacey編,Leeds,UK:Leeds Medical Information,pp 101−12(1996))。L1およびL2カプシドタンパク質の組合せを発現させることにより、形態学的に不明瞭なHPV VLPも製造されうる。VLPは、T=7二十面体構造のL1の72個の五量体から構成される(Bakerら,Biophys.J.60(6):1445−56(1991))。
【0034】
VLPは真正ビリオンと形態学的に類似しており、動物に投与されると高力価の中和抗体を誘導しうる。VLPでのウサギ(Breitburdら,J.Virol.69(6):3959−63(1995))およびイヌ(Suzichら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92(25):11553−57(1995))の免疫化は中和抗体の誘導および実験パピローマウイルス感染に対する防御の両方をもたらすことが示された。また、HPV16 VLPでの成人女性の免疫化はHPV16感染およびHPV16頸部上皮内新生物を防御することが示された(Koutskyら,N.Engl.J.Med.347:1645−51(2002))。VLPは、潜在的に発癌性のウイルスゲノムを含有せず、単一遺伝子から発現されると自己集合しうるため、それは、HPVワクチン開発における生ウイルスの使用に代わる安全な手段となる(概説としては、SchillerおよびHidesheim,J.Clin.Virol.19:67−74(2000)を参照されたい。)。
【0035】
前記のとおり、VLPに基づくワクチンは多数の動物モデルおよびヒト患者における免疫応答の誘導において有効であることが判明している。しかし、ワクチン開発の目的は、長く持続する防御免疫をもたらす、より高い抗体価を誘導することであることが多い。この目的のために、本明細書に開示されているとおり、少なくとも1つのHPV型のHPV VLP、ISCOM型アジュバントおよびアルミニウムアジュバントを含む医薬組成物およびワクチンを開発した。該医薬組成物およびワクチンは、アルミニウムアジュバントのみを含むVLPワクチンより高い、標的化HPV型に対するIgG Ab力価を惹起しうる。この組合せは、HPV感染に対する長く持続する有効な免疫予防の誘導、抗原投与量の低減、および経時的な注射回数の減少を含む免疫化計画をもたらしうる。
【0036】
したがって、本発明は、HPVウイルス様粒子(該VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、アルミニウムアジュバント(該VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)、ISCOM型アジュバントおよび医薬上許容される担体を含む医薬組成物および製剤に関する。
【0037】
任意のHPV VLPに基づくワクチンが本発明の医薬組成物および方法における使用に適している。アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバントの両方を含むよう、公知HPV VLPワクチンが修飾されうる。また、本明細書に記載されている本発明に従い、ISCOM型アジュバントと組合されたアルミニウムアジュバントに吸着されたHPV VLPの形態の少なくとも1つのHPV型を含む新規ワクチンが開発されうる。
【0038】
典型的なHPV VLPワクチンは4価ヒトパピローマウイルス(6、11、16、18型)組換えワクチンであり、これは、本明細書においては、その商標名であるGARDASIL(登録商標)(Bryan,J.T.Vaccine 25(16):3001−6(2007);Shiら,Clinical Pharmacology and Therapeutics 81(2):259−64(2007))と称される。GARDASIL(登録商標)は、HPV6、11、16および18型の主要カプシド(L1)タンパク質の高精製VLPから製造された非感染性組換え4価ワクチンである。L1タンパク質は組換えサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において別々の発酵から製造され、VLPへと自己集合する。各GARDASIL(登録商標)ワクチン用量は、VLPに加えて、(無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファートとしての)アルミニウムアジュバント、塩化ナトリウム、L−ヒスチジン、ポリソルベート80、ホウ酸ナトリウムおよび水を含有する。したがって、本発明は、ISCOMATRIX(登録商標)(CSL Ltd.,Parkville,Australia)のようなISCOM型アジュバントとのGARDASIL(登録商標)の組合せを含む。
【0039】
本発明の他の実施形態においては、該医薬組成物および製剤は、1価、2価または3価である、HPV VLPに基づくワクチンを含む。例えば、HPV16および/またはHPV18のVLPを他のHPV VLP型の含有を伴うことなく含む医薬組成物が本発明の範囲内に含まれる。GARDASIL(登録商標)に含まれるHPV型とは異なるHPV VLPを含む4価ワクチンも本発明において想定される。例えば、HPV31、45、52および58型のVLPを含む医薬組成物が本発明の範囲内である。
【0040】
他の実施形態においては、該医薬組成物は、5つ以上の異なる型のVLPを含有する、VLPに基づくワクチンを含む。1つの好ましい実施形態においては、該医薬組成物は8つの異なるHPV VLP型を含む。特に好ましい8価ワクチンは実施例1および2に記載されており、HPV6、11、16、18、31、45、52および58型を含む。本発明のもう1つの8価組成物は、HPV6、11、16、18、31、35、45および58型を含む。他の8価HPV VLPワクチンも本発明において想定され、例えば、HPV31の代わりにHPV33が使用されうる。本明細書に記載されているワクチン製剤に追加的なHPV VLPを加えて、9価、10価などのHPVワクチンを得ることも可能である。
【0041】
前記のとおり、本発明の医薬組成物および製剤は少なくとも1つのHPV VLP型、例えばHPV16または18を含む。本明細書に開示されている組成物の好ましい実施形態においては、該ワクチンは更に、少なくとも1つの追加的なHPV型のVLPを含む。特に好ましい実施形態においては、その少なくとも1つの追加的なHPV型は、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。
【0042】
本発明の医薬組成物は、HPVの組換えL1または組換えL1+L2から構成されるHPV VLPを含む。HPV L1またはL1+L2タンパク質は、適当なプロモーターおよび他の適当な転写調節要素を含有する発現ベクター内へのL1またはL1+L2 DNAの分子クローニングにより組換え的に発現されることが可能であり、それは、組換えタンパク質の産生のために原核または真核宿主細胞内に導入されうる。そのような操作のための技術はSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,(1989)(これを参照により本明細書に組み入れることとする。)に十分に記載されている。L1タンパク質が宿主細胞内で組換え的に発現される場合、VLPは自己集合しうる。
【0043】
本発明の組換えHPV L1タンパク質は、天然で見出されうる任意の完全長L1タンパク質配列であることが可能であり、あるいはVLPへ自己集合しうる任意の突然変異した又はトランケート化されたL1タンパク質であることが可能である。選択されたHPV型を含有する1以上の臨床サンプルからDNAを単離し、HPV L1 DNA配列の配列を決定し、遺伝暗号を用いてDNA配列をアミノ酸配列に翻訳することにより、本発明において使用するL1タンパク質配列が決定されうる。本発明での使用に適した多数の典型的なL1配列が文献中に見出されうる。例えば、米国特許第5,820,870号、第7,250,170号、第7,276,243号および第5,437,951号、Kiriiら,Virology 185(1):424−427(1991)を参照されたい。本発明の組成物および製剤において有用な他のL1タンパク質には、アミノ酸置換、欠失、付加、アミノ末端トランケート化およびカルボキシ末端トランケート化(必ずしもこれらに限定されるわけではなく、これらの突然変異は、VLPを形成しうるL1タンパク質またはタンパク質断片を与える。)を含む、HPV L1配列の生物学的に活性な断片および/または突然変異体が含まれる。例えば、国際公開WO 2006/114312および米国特許第6,599,508号を参照されたい。
【0044】
組換えHPV L1または組換えL1+L2の発現、およびそれに続く、VLPの自己集合のための適当な宿主細胞には、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞または真菌が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の典型的な実施形態においては、該VLPは、酵母細胞、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、クリーベルミセス・フラジリス(Kluyvermyces fragilis)、クルベロミセス・ラクチス(Kluveromyces lactis)およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)よりなる群から選ばれる酵母において産生される。酵母細胞におけるHPV VLPの発現は、費用効果的であり発酵における大規模増殖に容易に適合化されるという利点をもたらす。
【0045】
本発明はまた、アミノ酸置換、欠失、付加、アミノ末端トランケート化およびカルボキシ末端トランケート化(必ずしもこれらに限定されるわけではなく、これらの突然変異は治療用または予防用のタンパク質またはタンパク質断片を与え、HPV VLPワクチンの開発に有用であろう。)を含む、HPV L1またはL2タンパク質の生物学的に活性な断片および/または突然変異体を含むHPV VLPのようなHPV VLPの突然変異形態を含む医薬組成物を含む。HPV L1タンパク質のそのような突然変異形態はいずれも、VLPを形成し、ヒトに投与された場合に所望のHPV型に対する免疫応答を惹起しうるべきである。
【0046】
また、本明細書に開示されている組成物中に含有させるVLPを自己集合させるために使用されるL1またはL1+L2タンパク質は完全長野生型HPV L1またはL2ポリヌクレオチドによりコードされうる、あるいは公知野生型配列の断片または突然変異体によりコードされうる、と当業者は認識するであろう。HPV L1またはL2タンパク質を発現するmRNAをコードする野生型ポリヌクレオチド配列は当技術分野において入手可能である。突然変異体ポリヌクレオチドはいずれも、HPV L1またはL2タンパク質の薬理学的特性(ヒトに投与された場合に、関心のあるHPV型に対する免疫応答を惹起しうるVLPを形成する能力を含む。)を少なくとも実質的に模擬するタンパク質またはタンパク質断片のいずれかをコードする。そのようなポリヌクレオチドはいずれも、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端トランケート化およびカルボキシ末端トランケート化(必ずしもこれらに限定されるわけではない。)を含む。
【0047】
本発明の製剤および組成物中に含有させる各HPV型のウイルス様粒子の量は、発現される遺伝子産物の免疫原性に左右される。一般に、免疫学的または予防的に有効な用量は約10μgから約100μg、好ましくは、約20μgから80μgのVLPを含む。
【0048】
アルミニウムは、主としてT2応答を刺激することにより、共投与された抗原に対する免疫応答を刺激することが、古くから示されている。HPV VLPおよびISCOM型アジュバントに加えて、本発明のこの態様の製剤はアルミニウムアジュバント上に吸着されている。本発明で提供する組成物のアルミニウムアジュバントはアルミニウム沈降物の形態ではないことが好ましい。アルミニウム沈降ワクチンは標的抗原に対する免疫応答を増強するが、非常に不均一な製剤であることが示されており、一貫しない結果を示している(Lindblad E.B.Immunology and Cell Biology 82:497−505(2004)を参照されたい。)。これとは対照的に、アルミニウム吸着ワクチンは、標準化された様態で予備調製されることが可能であり、これは、ヒトへの投与のためのワクチン製剤の必須の特性である。さらに、アルミニウムアジュバント上への所望の抗原の物理的吸着は、おそらく1つには注射部位からのより遅い消失を可能にすることにより又は抗原提示細胞による抗原のより効率的な取り込みを可能にすることにより、アジュバント機能における重要な役割を担うと考えられている。
【0049】
本発明のアルミニウムアジュバントは、水酸化アルミニウム(Al(OH))、リン酸アルミニウム(AlPO)、アルミニウムヒドロキシホスファート、無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファート(AAHS)、またはいわゆる「ミョウバン」(KAl(SO)・12HO)の形態でありうる(Kleinら,Analysis of aluminum hydroxyphosphate vaccine adjuvants by(27)Al MAS NMR.,J.Pharm.Sci.89(3):311−21(2000)を参照されたい。)。本発明で提供する本発明の典型的な実施形態においては、アルミニウムアジュバントはアルミニウムヒドロキシホスファートまたはAAHSである。アルミニウムアジュバントにおけるアルミニウムに対するホスファートの比は0から1.3の範囲でありうる。本発明のこの態様の好ましい実施形態においては、アルミニウムに対するホスファートの比は0.1から0.70の範囲内である。特に好ましい実施形態においては、アルミニウムに対するホスファートの比は0.2から0.50の範囲内である。
【0050】
本発明の幾つかの実施形態においては、アルミニウムアジュバントはAAHS(本明細書においては互換的にMerckアルミニウムアジュバント(MAA)とも称される。)の形態である。MAAは中性pHで無電荷を含有し、一方、AlOHは正の実効電荷を含有し、AlPOは典型的には中性pHで負の実効電荷を含有する。MAAは、AlOHより高い、HPV VLPへの結合能を有する。また、MAAに吸着されたVLPは、マウスにおいて、AlOHに吸着されたVLPより大きな体液性免疫応答を誘導しうる(Caulfieldら,Human Vaccines 3:139−146(2007))。理論により束縛されることを望むものではないが、アルミニウムアジュバントの実効電荷はVLP抗原へのその結合能に影響を及ぼしうる可能性があり、強く荷電したアジュバントは、中性荷電アジュバントと同じくらい強く抗原に結合することはできない。この理由により、本発明の医薬組成物のアルミニウムアジュバントは中性pHにおいてゼロ点表面電荷を有することが好ましい。当業者は、中性pHにおけるゼロ点表面電荷を可能にするためにバッファー、塩濃度および/または遊離ホスファートの比率を変更しうるであろう。
【0051】
当業者は、標的化HPV型に対する免疫応答の増強において有効であり且つ安全であるアルミニウムアジュバントの最適な投与量を決定しうるであろう。アルミニウムの安全性プロファイル、およびFDA認可ワクチンにおけるアルミニウムの量の考察は、Baylorら,Vaccine 20:S18−S23(2002)を参照されたい。一般に、アルミニウムアジュバントの有効かつ安全な用量は150から600μg/用量(300から1200μg/mLの濃度)と様々である。本発明の製剤および組成物の特定の実施形態においては、ワクチンの1用量当たり200から300μgのアルミニウムアジュバントが存在する。本発明の製剤および組成物の他の実施形態においては、ワクチンの1用量当たり300から500μgのアルミニウムアジュバントが存在する。
【0052】
前記のとおり、本発明の1つの態様は、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバントと組合されたHPV VLPを含むワクチンおよび製剤を提供する。本発明で提供する製剤および方法においては、ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含み、免疫刺激性複合体、すなわちISCOMを形成する。典型的にはキライア・サポナリア(Quillaia saponaria)樹木の樹皮から単離されるサポニンの強力なアジュバント活性は80年以上前に最初に実証された(概説としては、BarrおよびMitchell,Immunology and Cell Biology 74:8−25(1996);ならびにSkeneおよびSutton,Methods 40:53−59(2006)を参照されたい。)。アルミニウムアジュバントと比べて、ISCOM型アジュバントまたはISCOMは、T細胞応答および抗体応答の両方を含む、共投与された抗原に対する、より広範な免疫応答を惹起しうる。しかし、毒性および溶血活性の可能性が見出され、当時のヒトまたは動物への使用の見込みは限定的なものであった。
【0053】
その後、サポニンは、コレステロールおよびリン脂質と組み合わされると、20個以上のサブユニットから構成される籠様構造を有する特徴的な粒子を形成することが見出された。この特有の構造はISCOMのアジュバント活性に寄与する。また、コレステロールおよびリン脂質と共にサポニンがISCOM内に取り込まれるとサポニンの溶血活性が排除されることが示された。また、ISCOMをアジュバントとして使用した場合、遊離サポニンと比較して、免疫応答を誘導するのにアジュバントが少量で済むことも示された(SkeneおよびSutton,前掲を参照されたい。)。これらの理由により、ISCOMは潜在的ワクチンアジュバントとして精力的に研究されている。
【0054】
本発明において、VLPに基づくワクチンにおけるアルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバントの組合せは、アルミニウムアジュバントのみで製剤化された同じワクチンより強力な抗体価を惹起しうることが判明した。また、アルミニウムおよびIMXの両方を含むHPV VLPワクチン製剤は、ISCOMATRIX(登録商標)の存在下または非存在下でアルミニウムアジュバントの非存在下で製剤化されたVLPワクチンより安定であることが判明した。
【0055】
この目的において、本発明は、少なくとも1つの型のHPVのVLP(該VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、アルミニウムアジュバント(該VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、ISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含む。)および医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0056】
本発明のこの態様の特定の実施形態においては、少なくとも1つの型のHPVのVLPは、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれるHPV型を含む。しかし、病態または障害に関連した任意のHPV型が、本発明で提供する医薬組成物に含有させるのに適している。本発明の幾つかの実施形態においては、該医薬組成物はHPV6、11、16および18型のVLPを含む。他の実施形態においては、該組成物はHPV6、11、16、18、31、45、52および58のVLPを含む。他の実施形態においては、該組成物は、HPV6、11、16、18、31、35、45および58型のVLPを含む。さらに他の実施形態においては、前記の4価および8価組成物を包含する本発明の組成物は更に、少なくとも1つの追加的なHPV型のVLPを含み、ここで、その少なくとも1つの追加的なHPV型は、HPV26、HPV33、HPV35、HPV39、HPV51、HPV53、HPV55、HPV56、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。
【0057】
本発明のこの態様の医薬組成物はアルミニウムアジュバントを含み、VLPが該アルミニウムアジュバントに吸着されており患者に投与された場合、該アルミニウムアジュバントは、関心のあるHPV型に対する体液性免疫応答を有効に増強する。本発明の特定の実施形態においては、該アルミニウムアジュバントはアルミニウムヒドロキシホスファート(AH)または無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファート(AAHS)である。これらの特定の実施形態においては、該アルミニウムアジュバントは、アルミニウム(Al)に対するホスファート(PO)のモル比約0.1から約1.1で存在するホスファートおよびアルミニウムを含むことが好ましい。該アルミニウムアジュバントは、PO/Alのモル比約0.2から約0.5で存在するホスファートおよびアルミニウムを含むことが、より好ましい。本発明のこの態様の他の実施形態においては、該アルミニウムアジュバントは水酸化アルミニウムである。
【0058】
本発明で提供する組成物のISCOM型アジュバントは、当技術分野で公知のISCOMを製造するための幾つかの公知方法のいずれかにより製造されうる(概説としては、BarrおよびMitchell,Immunology and Cell Biology 74:8−25(1996)を参照されたい。)。よく知られた製造方法は、Barr,前掲に記載されているとおり、遠心分離法および透析法を含む。ISCOMアジュバントは商業的入手源からも入手可能である。ほとんど全てのリン脂質がISCOM粒子の製剤化において有用であることが判明しているが(BarrおよびMitchell,前掲を参照されたい。)、ISCOM型ワクチンは、キラヤ(Quillaja)サポニン、コレステロールおよびリン脂質、例えばホスファチジルコリンで製剤化される。
【0059】
本発明の好ましい実施形態においては、ISCOM型アジュバントは、いわゆるISCOM−マトリックスアジュバント、例えばISCOMATRIX(登録商標)(CSL Ltd.,Parkville,Australia)であり、これは、ISCOPREP(登録商標)サポニン(CSL Ltd.,Parkville,Australia)コレステロールおよびジパルミトイルホスファチジルコリンを含む。
【0060】
本発明の組成物は、最適には、VLPワクチンの0.5mLの用量当たり10から200μg(20から400μg/mL)のISCOM−マトリックスアジュバントを含む。本発明のこの態様の典型的な実施形態においては、該ISCOM型アジュバントはISCOMATRIX(登録商標)である。
【0061】
本発明はまた、(a)少なくとも1つのHPV型(該HPV型は、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。)のHPVウイルス様粒子(VLP)(該HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含み、いずれか1つのHPV型のVLPは約10μgから約100μgの濃度で存在し、合計VLP濃度は10μgから600μgである。)、(b)約150μgから約600μgのアルミニウムアジュバント(該HPV VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、および(c)約10μgから約200μgのISCOM型アジュバントを含むヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン製剤を含むHPVワクチン製剤に関する。
【0062】
本発明のこの態様の特定の実施形態においては、該HPVワクチン製剤は、(a)少なくとも1つのHPV型のVLP約20μgから約80μg、(b)約200μgから約300μgの該アルミニウムアジュバント、および(c)約15μgから約120μgの該ISCOM型アジュバントを含む。他の実施形態においては、該製剤は更に、少なくとも1つの追加的なHPV型のVLP約20μgから約60μgを含む。
【0063】
本発明は、1つの実施形態においては、HPV6、11、16および18型のVLPを含むHPVワクチン製剤に関する。本発明はまた、HPV31、45、52および58型のVLPを更に含むHPVワクチン製剤を提供する。本発明は更に、HPV31、35、45および58型を更に含む前記のHPVワクチン製剤を提供する。
【0064】
本発明で提供する本発明の或る態様においては、ISCOM型アジュバントがISCOMATRIX(登録商標)である、ISCOM型アジュバントを含むHPVワクチン製剤を提供する。
【0065】
また、(a)HPV型6、11、16、18、31、45、52および58のそれぞれのVLP約20μgから約40μg(該HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、(b)約200μgから約300μgのアルミニウムアジュバント(該HPV VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、ならびに(c)約30μgから約120μgのISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含む。)を含むHPVワクチン製剤も本発明で提供する。
【0066】
前記のワクチン製剤において使用されるHPV型の代わりに、他のHPV型またはそれらの組合せ(例えば、HPV6、11、16、18、31、35、45および58型を含む8価ワクチン製剤)が使用されうる。
【0067】
本発明の医薬組成物および製剤は、患者においてHPVに対する持続性かつ有効な免疫応答を誘導するために、およびHPV感染を予防するために使用されうる。その目的において、本発明は、ヒト患者においてHPVに対する免疫応答を誘導する方法であって、HPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、コレステロールおよびリン脂質を含み、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)を含む医薬組成物を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0068】
本発明はまた、組換えHPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、ステロールおよびリン脂質を含み、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、HPVによるヒト患者の感染を予防する方法を提供する。
【0069】
本発明で提供する方法の特定の実施形態においては、患者に投与される医薬組成物はHPV6、11、16および18型のVLPを含む。他の実施形態においては、該組成物は更に、HPV31、45、52および58のVLPを含む。他の実施形態においては、該組成物は更に、HPV31、35、45および58型のVLPを含む。他の実施形態においては、該組成物は更に、HPV26、HPV33、HPV35、HPV39、HPV51、HPV53、HPV55、HPV56、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる少なくとも1つの追加的なHPV型のVLPを含む。
【0070】
本発明のワクチン組成物は、最小の潜在的毒性でHPV感染の最適抑制を可能にする適当な投与量で単独で使用されうる。また、他の物質の共投与または連続的投与が望ましいかもしれない。
【0071】
本発明の製剤および組成物は、筋肉内注射、皮下注射、皮内導入、皮膚を介した圧入(impression)により患者に投与されうる。他の投与方法、たとえば、腹腔内、静脈内または吸入運搬も想定される。本発明の好ましい実施形態においては、該ワクチンおよび医薬組成物は筋肉内投与により投与される。
【0072】
本発明の幾つかの実施形態においては、本明細書に開示されているHPV医薬組成物および製剤は、増強された持続的な免疫応答を誘導するために種々の初回免疫/追加免疫の組合せで患者に投与される。この場合、2つの医薬組成物が「初回免疫および追加免疫」計画において投与される。例えば、第1組成物が1回以上投与され、ついで、所定の長さの時間、例えば2週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月または他の適当な間隔の後、第2組成物が1回以上投与される。
【0073】
好ましくは、臨床計画において使用される2以上のHPV医薬組成物は、同じHPV型またはHPV型の組合せのVLPを含む。しかし、2つのワクチン投与を隔てる適当な時間間隔で2つの異なるHPV医薬組成物が患者に投与される臨床計画に従うことも望ましいかもしれない。例えば、HPV16および18 VLPを含むワクチン組成物が1つの時点で投与され、ついで所定の長さの時間が経過した後、HPV31、45、52および58 VLPを含むHPVワクチン組成物が第2の時点で投与されうる。そのような場合、それらの2つの異なるHPVワクチン組成物のそれぞれは患者に一度に、または適当な長さの時間を隔てて2回以上で投与されうる。
【0074】
本発明の1つの態様においては、AAHSおよびISCOMATRIX(登録商標)の両方でアジュバント化されたHPV VLPワクチンを使用する2用量臨床計画は、AAHSのみでアジュバント化されたVLPワクチンを使用する3用量計画に匹敵する大きさの免疫応答を誘導しうることが示された(実施例1を参照されたい。)。
【0075】
その点において、本発明は、ヒト患者におけるHPV感染を予防する方法であって、(a)組換えHPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、ステロールおよびリン脂質を含み、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)を含む第1医薬組成物を該患者に導入し、(b)所定の長さの時間を経過させ、(c)組換えHPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該ISCOM型アジュバントはサポニン、ステロールおよびリン脂質を含み、該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、該VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)を含む第2医薬組成物を該患者に導入することを含む方法を提供する。
【0076】
前記方法の特定の実施形態においては、第1および第2組成物は同一であり、該臨床計画は、HPVに対する免疫応答を「感作(初回免疫)」するための該組成物の少なくとも1回の注射、および該免疫応答を「増強(追加免疫)」するための少なくとも1回の注射を含む。しかし、本明細書に記載されている本発明においては、該免疫応答を感作(初回免疫)および/または増強(追加免疫)するために複数の注射を行う他の方法も想定される。
【0077】
いくつかの場合には、同一バイアル内に2用量以上のワクチンを含む多用量HPVワクチン製剤を提供することが望ましいかもしれない。多用量製剤が望まれる場合には、例えば細菌および真菌のような微生物の殺し、その成長を妨げるために、抗微生物保存剤を使用すべきである。抗微生物保存剤を含有する多用量ワクチン製剤は、単一用量製剤と比べて幾つかの利点をもたらす。例えば、1回目の抜き取りが不注意にも微生物汚染を招いたという懸念を伴うことなく、複数用量のワクチンが或る時間にわたってバイアルから抜き取られることが可能となる(Meyerら,J.Pharm.Sci.96(12):3155−3167(2007))。HPVに無関係な多数の市販ワクチン製品は抗微生物保存剤としてフェノキシエタノール(DAPTACEL(登録商標)(Sanofi Pasteur,Lyon,France)、PEDIARIX(登録商標)、INFANRIX(登録商標)、HAVRIX(登録商標)およびTWINRIX(登録商標)(GlaxoSmithKline(GSK),Brentford,Middlesex,United Kingdom)またはチメロサール(PEDIARIX(登録商標)およびENGERTX−B(登録商標)(GSK))を含む(Meyerら,前掲を参照されたい。)。また、PNEUMOVAX(登録商標)23(Merck & Co.,Inc.,Whitehouse Station,NJ)製剤は抗微生物保存剤としてフェノールを含有する。しかし、HPV VLP含有ワクチン製剤の、抗微生物保存剤との適合性は、これまでに検討されていない。
【0078】
したがって、本発明の1つの態様において、HPV VLPを含むワクチン製剤へのm−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物性保存剤の添加は微生物の減少または排除に有効であり、2から8℃における該VLPの構造的および熱的安定性に負の影響を及ぼさないことが示された。また、m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤は、ISCOM型アジュバントと共にHPV VLPを含むHPVワクチン製剤における有効な保存剤であることが、本明細書中に示されている。したがって、本発明はまた、HPV VLPと、m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤とを含むHPVワクチン製剤に関する。本発明のこの態様におけるワクチン組成物は、前記のとおり、ISCOM型アジュバントおよびアルミニウムアジュバントをも含みうる。
【0079】
本発明のこの態様の幾つかの好ましい実施形態においては、m−クレーゾルは約0.15から約0.31%の濃度で該多用量HPVワクチン製剤中に含まれる。より好ましい実施形態においては、該多用量ワクチン製剤はm−クレーゾールを約0.25から約0.31%の濃度で含む。1つの好ましい実施形態においては、m−クレーゾールは約0.3%の濃度で該多用量製剤中に含まれる。
【0080】
本発明の他の実施形態においては、該多用量HPV VLPワクチン製剤中にフェノールが約0.25から約0.55%の濃度で含まれる。より好ましい実施形態においては、フェノールは約0.4から約0.55%の濃度で含まれる。1つの特に好ましい実施形態においては、フェノールを約0.15%の濃度で含む多用量HPV VLPワクチン製剤を提供する。
【0081】
さらに他の実施形態においては、該多用量HPVワクチン製剤はベンジルアルコールを約0.75から約1.2%の濃度で含む。より好ましい実施形態においては、ベンジルアルコールは約0.8から約1.0%の濃度で該多用量ワクチン製剤中に含まれる。本発明のこの態様の特に好ましい実施形態においては、ベンジルアルコールの濃度は0.9%である。
【0082】
したがって、本発明の1つの態様は、(a)少なくとも1つのHPV型(該HPV型は、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。)のHPVウイルス様粒子(VLP)(該HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、(b)アルミニウムアジュバント(該HPV VLPは該アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、ならびに(c)m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤を含む多用量HPVワクチン製剤に関する。
【0083】
前記の多用量HPVワクチン製剤は、場合によっては、ISCOM型アジュバントを含みうる。
【0084】
本発明に関連して用いられうる方法および材料を記載し開示する目的で、本明細書に記載のすべての刊行物を、参照により本明細書に組み入れることとする。ここで、本発明が先行発明としてそのような開示に先行するものではないと自認するものと解釈されるべきではない。
【0085】
添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態が記載されているが、本発明はそれらの実施形態そのものに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲において定められる本発明の範囲または精神から逸脱することなく本発明には種々の変更および修飾が当業者によって施されうると理解されるべきである。
【0086】
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【0087】
アジュバントを含むHPV製剤の開発
【実施例1】
【0088】
アカゲザルへのIscomatrixアジュバントを含有するHPV 8価ワクチンの投与
HPV VLPに基づくワクチンに対する免疫応答が、アルミニウムアジュバントのみで得られる力価より増大しうるかどうかを判定するために、8価HPV VLPワクチンを、無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファート(AAHS)+ISCOMATRIX(登録商標)アジュバントと共に、アカゲザルに投与した。
【0089】
該ワクチンは、8つの異なるHPV L1ウイルス様粒子よりなるものであった。該VLPを、450mcg/mLの濃度で存在するアルミニウムヒドロキシドホスファートアジュバント(MAA)上に吸着させた。該MAA吸着ワクチンを、200mcg/mLで存在するISCOMATRIX(登録商標)(CSL Limited ABN,Parkville,Australia)の更なる添加の存在下または非存在下で試験した。該ワクチンは、0.32M NaCl、10mM ヒスチジン(pH6.2)および0.01% ポリソルベート80よりなるバッファー中に存在していた。0.5mLの容量の該ワクチンの1回の注射を各インドアカゲザルの右三角筋に行った。
【0090】
【表1】

【0091】
以下の免疫化計画を試験した(各群に関してn=4)。群IにはMAAアジュバント化8価ワクチンで第0週および第8週に免疫化を行った。群IIにはMAA/IMXアジュバント化ワクチンで第0週および第8週に免疫化を行った。群IIIにはMAA/IMXアジュバント化ワクチンで第0週、第8週および第24週に免疫化を行った。群IVにはMAA/IMXアジュバント化ワクチンで第0週および第24週に免疫化を行った。血清サンプルを4週間隔で各動物から集めた。
【0092】
結果は、MAAアジュバント化またはMAA/IMXアジュバント化ワクチンで免疫化された全ての動物がそれらの8つのHPV型のそれぞれにセロコンバージョンしたことを示している。群IおよびIIを比較した場合、MAA/IMXアジュバント化ワクチン投与動物(群II)においては、MAAアジュバント化ワクチン投与動物(群I)と比べて、該HPV型のそれぞれに対する相乗平均力価が一貫して上昇した。該改善は第52週においても依然として明白であり、このことは、該効果が長く持続することを示唆している。
【0093】
群IおよびIVを比較した場合、単一用量の投与の後、MAA/IMXアジュバント化ワクチンコホート(群IV)のピーク力価は、MAAワクチン(群I)の単一用量により惹起されるものより高いだけでなく、MAAワクチンの2用量により惹起されるピーク力価に匹敵するものであったことを、結果は示している(HPV16および31の代表的な結果に関しては、図1および2を参照されたい。)。MAA−IMXアジュバント化ワクチンでの0、24投与計画(群IV)に関する第52週における力価は、同じワクチンでの0、8、24投与計画(群III)の場合より若干低いに過ぎなかった。これは、MAA/IMXアジュバント化ワクチンを使用する2用量計画が、MAAアジュバント化ワクチンでの3用量計画に匹敵するレベルの免疫応答を誘導する可能性を有することを示唆している。
【実施例2】
【0094】
HPV競合Luminexアッセイ
免疫応答を示すために、免疫化されたサルからの血清抽出物を競合Luminexイムノアッセイ(cLIA)により分析した。該HPV cLIAは、HPV 8価ワクチンでの免疫化に対する免疫応答をモニターするために8つの型特異的コンホメーション依存性mAbを使用する。試験サンプル中の複数のHPV型に対する抗体の存在を同時に測定するために粒子に基づくフローサイトメトリー分析を利用する競合Luminexイムノアッセイの、より詳細な説明は、米国特許第7,067,258号およびOpalkaら,Clin Diagn Lab Immunol.10(1):108−15(2003)に記載されている。抗体除去ヒト血清(Antibody Depleted Human Serum)(ADHS)を含有する前スクリーニングアッセイマトリックスにおいて、各HPV型に関して8価参照標準溶液を調製した。該参照標準は、HPV 1価L1 VLP 6、11、16、18、31、45、52、58型で過免疫化されたアカゲザルからの血清サンプルのプールであった。すべての標準、対照およびサンプルを2回重複して試験した。血清サンプルの試験は、1:4、1:40、1:400または1:4000の希釈度で行った。蛍光単位を読取り、2回重複試験のウェルを平均した。各アッセイプレートに関する標準曲線の4パラメータロジスティックフィットに基づいて、希釈度補正mMu/mL血清値を計算した。標準曲線に関する定量の限界を超えたサンプルは、より高い希釈度で再試験した。過剰変動性(extra variability)を満たさなかった重複試験物は表示されておらず、ついで該サンプルは、それらが重複パラメーターを満足するまで再試験した。該アッセイに関する対照仕様を開発し、定量の限界を各HPV型に関して確定した。
【実施例3】
【0095】
MAAおよびIscomatrix(登録商標)アジュバントと組合されたHPV VLPワクチンの免疫原性
ヒト患者においてHPVに対する免疫応答を増強するISCOMATRIX(登録商標)(IMX)の能力を臨床治験において評価した。無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファート(MAA)でアジュバント化された8価HPV VLPワクチンを試験する2相無作為化二重盲検多施設IMX用量増加対照研究を開始した。被験者を2つの別々の研究相に無作為化した。MAA(281mcg)で製剤化された一定濃度のHPV VLPを含有する実験用8価ワクチンの場合において、各0.5mL用量当たり15または30mcg(相A)および60または120mcg(相B)のIMX濃度を評価し、GARDASIL(登録商標)と比較した。該8価ワクチンは、6型(20mcg)、11型(40mcg)、16型(40mcg)、18型(20mcg)、31型(20mcg)、45型(20mcg)、5型(20mcg)および58型(20mcg)のHPV VLPを含有していた。GARDASIL(登録商標)は、高精製L1 VLPから製造された4価HPV(6、11、16、18型)組換えワクチンである。VLPに加えて、各ワクチン用量はMAA(225mcg)、塩化ナトリウム、L−ヒスチジン、ポリソルベート80、ホウ酸ナトリウムおよび水を含有していた。
【0096】
該研究の各部門において、GARDASIL(登録商標)または前記のMAA/IMXを伴う8価HPV L1 VLPの4つの製剤のいずれか1つの0.5mLの筋肉内注射として第1日、第2月および第6月にワクチンを投与した。該研究は登録時点で18から24歳のから150人の健常女性を含むものであった。第1日、第2月、第3月(第2投与の1ヶ月後)、第6月、第7月(第3投与の1ヶ月後)および第12月に採取した血液サンプルを、実施例2に記載されているとおり、競合Luminexイムノアッセイ(cLIA)を用いる関連HPV型に対する免疫応答の評価のために使用した。
【0097】
GARDASIL(登録商標)の場合と比較して、該ワクチン製剤に対する免疫応答の分析を行った。該分析においては、相Aおよび相Bにおける145人の被験者(97%)において、第3月(第2投与後)の免疫原性データが入手可能であり、相Aにおける73人の被験者(97%)において、第7月(第3投与後)の免疫原性データが入手可能であった。相Aにおける被験者が、(i)適当な日範囲において全3回のワクチン接種を受け、(ii)適当な日範囲において集められた血清学サンプルを有し、(iii)第1日において関連HPV型に対して血清陰性であり、(iv)適当な日範囲において集められた妥当な第7月の血清学的結果を有していた場合に、該被験者は該分析に含められた。相Bにおける被験者が、(i)適当な日範囲において最初の2回のワクチン接種を受け、(ii)適当な日範囲において集められた血清学サンプルを有し、(iii)第1日において関連HPV型に対して血清陰性であった場合に、該被験者は該分析に含められた。
【0098】
相A(15および30mcgのIMX,+MAA)の被験者に関する治療群ごとの第3月(第2投与後)および第7月(第3投与後)の両方の時点における結果、ならびに相B(60および120mcgのIMX,+MAA)の被験者に関する第3月の時点における結果を、それぞれ、図3および4に示す。該結果は、MAAのみでアジュバント化されたGARDASIL(登録商標)の場合と比較して、関連HPV型に対する免疫応答のIMX用量関連増強を示している。
【実施例4】
【0099】
ISCOMATRIX(登録商標)(IMX)の存在下および非存在下の8価HPV MAAおよび溶液製剤の安定性
4つの異なる8価HPVサンプル、±MAAおよび±IMXを製剤化した。すべての製剤はHPV VLPを以下の量で含有していた:40μg/mL HPV6、80μg/mL HPV11、80μg/mL HPV16、ならびにHPV18、31、45、52および58 VLPのそれぞれ40μg/mL。また、0.32M NaCl、10mM ヒスチジン(pH6.2)および0.01% ポリソルベート80(PS80)が該製剤のそれぞれに含まれていた。第1製剤はIMXアジュバントもMAAアジュバントも含有していたなかった。第2製剤は240μg/mLのIMXを含有し、MAAを含有していなかった。試験した第3製剤はIMXを含有せず、562.5μg/mL(1.25×)のMAAを含有していた。試験した第4製剤は240μg/mLのIMXおよび562.5μg/mL(1.25×)MAAの両方を含有していた。
【0100】
これらの4つの製剤を、4℃および37℃で6ヶ月保存された後、HPV VLPの完全性に関してSDS−PAGEにより、そしてインビトロ抗原性に関してインビトロ相対効力アッセイ(IVRP)により分析した。SDS−PAGE分析(実施例5)およびIVRPアッセイ(実施例6)からの結果は、MAAの非存在下ではHPV VLPが安定ではなく、MAAの存在下ではIMXがHPV VLPの安定性に影響を及ぼさないことを示した。結果は、IMX含有HPVワクチン製剤中にMAAが含められるべきであることを示している。
【実施例5】
【0101】
SDS−PAGEによるHPV VLPの完全性の評価
サンプルを、Invitrogen 4から20%または14%、1.5mm、10ウェルTris−グリシンゲルを使用するSDS−PAGEにより分析した。サンプルを還元性サンプルバッファー(0.25M Tris PH6.8、8% SDS、40% グリセロール、0.008% ブロモフェノールブルー、ジチオトレイトール)中で調製し、70℃で10分間加熱する。アルミニウムアジュバントを含有するサンプルをサンプル調製前に762μg/mLまで濃縮し、該アルミニウムを溶解するために0.5M EDTA(pH8.0)を加えた。
【0102】
該高負荷を1×還元性サンプルバッファー(4×還元性サンプルバッファー:MilliQ水(1:3)の部分)に加えて低負荷(2.5μg)を調製した。各サンプルごとに12mcg(高)および2.5mcg(低)の負荷を泳動させた。
【0103】
電気泳動後、ゲルを、12%(w/v)トリクロロ酢酸溶液を使用して固定し、Pro−Blue Colloidal Coomassie Blue Stainで染色した。バンドパターンを、デンシトメーターを使用して得、ImageQuantソフトウェア(GE Healthcare Biosciences;Piscataway,NJ)を使用して分析した。分解産物の相対量を決定するために該高負荷を用い、無傷HPVの相対量を決定するために該低負荷を用いた。
【0104】
結果は、6ヵ月後に、37℃で保存された+(プラス)MAAサンプル(±IMX)の両方に関する無傷単量体の比率(%)における小さな減少(10%未満)が存在することを示した(図5)。しかし、同じ時点および保存における−(マイナス)MAAサンプルの両方に関する無傷単量体の比率(%)における、−(マイナス)IMXサンプルに関しては69%まで、そして+(プラス)IMXサンプルに関しては39%までの、遥かに大きな減少が存在した。IMXの存在下、HPV VLPは、溶液製剤中よりMAA製剤中のほうが安定であることを、該データは示している。
【実施例6】
【0105】
IVRPアッセイによるHPV VLPのインビトロ抗原性の評価
インビトロ相対効力(IVRP)試験により、参照標準と比較して、HPV6、11、16、18、31、45および52型VLPサンプルの効力を定量した。IVRPアッセイは、捕捉および検出のために別々のモノクローナル抗体を使用するサンドイッチ型イムノアッセイである。
【0106】
8つの血清型特異的アッセイのそれぞれにおいて使用した抗体はStrategic BioSolutions(Newark,DE)により製造された。以下の血清型特異的捕捉抗体を該IVRPアッセイにおいて使用した:HPV6に対してはH6.M48 mAb(IgG)、HPV11に対してはK11.B2 mAb(IgG)、HPV16に対してはH16.J4 mAb(IgG2a)、HPV18に対してはH18.J4 mAb(IgG2a)、HPV31に対してはH31.5F12.D4 mAb(IgG)、HPV45に対してはH45.6G6.A8 mAb(IgG2b)、HPV52に対してはH52.8D11.C4 mAb(IgG2b)、およびHPV58に対してはH58.2C3.F7 mAb(IgG)。以下の血清型特異的検出抗体を該アッセイにおいて使用した:HPV6に対してはH6.B10.5 mAb(IgG2b)、HPV11に対してはH11.B2 mAb(IgG2b)、HPV16に対してはH16.V5 mAb(IgG2b)、HPV18に対してはH18.R5 mAb(IgG2b)、HPV31に対してはM31.5D10.E4 mAb(IgG2b)、HPV45に対してはH45.10B4.H4 mAb(IgG)、HPV52に対してはH52.9F7.E10 mAb(IgG23)、およびHPV58に対してはH58.6E11.F4 mAb(IgG2b)。
【0107】
白色FluoroNunc MaxiSorp 96ウェルマイクロタイタープレート(Fisher Scientific;Pittsburgh,PA)を使用して、Tecan Freedom EVOワークステーション(Tecan USA;Research Triangle,NC)上で該アッセイを行った。まず、アッセイプレートを、10mM Tris(pH8)で緩衝化された1M 硫酸アンモニウム中、捕捉抗体(100μL/ウェル)でコートし、ついで2から8℃で16から24時間インキュベートした。該インキュベーション後、該プレートを、0.05% Tween20を含有するTris緩衝食塩水(TBS)で洗浄し、ついで200μL/ウェルのアッセイ希釈剤(0.05% Tween20および1% ウシ血清アルブミンを含有するTBS)で1時間ブロッキングした。サンプル添加前に、アジュバント吸着サンプルおよび標準を、1M NaClおよび0.04% Tween80を含有する6% クエン酸リン酸バッファー(pH6.7から6.8)中で5倍希釈し、アジュバントの溶解のためにニューテーター(nutator)上で外界温度で2±0.5時間インキュベートした。アジュバントに吸着されなかったサンプルをも該溶解バッファー中で希釈したが、インキュベートしなかった。ついで各サンプルおよび参照標準を、Fisher Scientific(Pittsburgh,PA)のNunc 96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート内でアッセイ希釈剤で血清型特異的目標濃度に希釈した。この初期希釈のために、該アッセイプレート内で各サンプルごと及び該参照標準に関して11個の2倍系列希釈液を調製した。振とうしながら室温で12から20時間インキュベートした後、該プレートを洗浄し、ついで100μLの該検出抗体を各ウェルに加えた。該プレートを室温で1時間インキュベートし、再び洗浄した。
【0108】
つぎに、Southern Biotechnology(Birmingham,AL)またはBD Pharmingen(BD Biosciences;San Jose,CA)から供給された、アルカリホスファターゼに結合した100μLのラット抗マウスモノクローナル抗体(IgG、IgG2aまたはIgG2b)を各ウェルに加えた。室温で1時間のインキュベーションの後、該プレートを洗浄して未結合コンジュゲートを除去した。つぎに、ViroLabs(SuperPhos;Chantilly,VA)の100μLの4−メチルウンベリフェリルホスファート(4−MUP)基質溶液を加え、1時間反応させた。
【0109】
励起波長360nmおよび発光波長450nmでTecan Ultra Evolution 384プレートリーダー(Tecan USA;Research Triangle,NC)において該プレートを読取ることにより、各ウェルの蛍光を測定した。得られた蛍光強度を希釈ファクターに対してプロットし、4パラメータロジスティックモデルを用いて該データを分析した。
【0110】
【数1】

ここで、Xはサンプル希釈度であり、yは、測定された蛍光応答であり、Aは漸近的最大値であり、Bは傾きであり、CはED50(すなわち、最大応答の50%に等しい応答を与える理論的希釈度)であり、Dは漸近的最小値である。同じ漸近的最大値および最小値を該標準および該サンプルの両方に適用し、根二乗平均誤差が最小になるまで各サンプルおよび標準に関するED50および傾きを反復的に調整した。各サンプルおよび標準に関する最適なED50および傾きが特定されたら、平行に関する試験を該サンプルに適用した。該サンプル傾きが該参照標準傾きの20%以内であれば、該試験サンプルは該標準に平行であるとみなし、共通の傾きモデルを用いて該データを再分析した。共通の傾き、漸近的最大値および最小値を該サンプルおよび該標準の両方に適用し、該サンプルおよび標準ED50を別々に、根二乗平均誤差が最小になるよう最適化した。以下の式:
IVRP=(ED50サンプル/ED50標準)×参照標準効力
を用いて、最終IVRPを計算した。ついで該結果を、タンパク質濃度で割り算してIVRP対タンパク質比を得ることにより正規化した。該IVRP対タンパク質比は単位質量当たりの機能性エピトープの尺度となる。
【0111】
IMXの存在および非存在には無関係に、プラスおよびマイナスMAAサンプルの両方において、8個全ての型のHPV抗原が、4℃で6ヶ月間保存された後では100%の抗原性を保有していたことを、該結果は示している(図6を参照されたい。)。37℃で6ヶ月後には、マイナスMAA製剤(±IMX)の両方における全HPV型の抗原性は僅か10%保有されているに過ぎなかった。しかし、プラスMAA製剤(±IMX)の両方における各HPV型は尚も75%以上活性であり、このことは、MAAの非存在下のHPV VLPが安定ではなかったことを示唆している。該IVRP結果は該SDS−PAGEデータに匹敵するものであり、これは、IMXに基づくHPV製剤においてはMAAが必要であることを示している。
【0112】
保存剤を含むHPV製剤の開発
【実施例7】
【0113】
抗微生物保存剤の有効性の評価
抗微生物試験(抗微生物有効性(AME)試験)を用いて、候補HPVワクチン製剤における種々の保存剤の有効性を評価した。産物の取り出し後にバイアル内に導入されうる微生物を減少させ又は排除する保存剤の能力を決定するために、AME試験を用いた。該アッセイの説明は、米国薬局方(USP)<51>、欧州薬局方5.1.3およびMeyerら,J.Pharm.Sci.96(12):3155−3167(2007)(これを参照により本明細書に組み入れることとする。)を参照されたい。簡潔に説明すると、AME試験はEPA、EPBおよびUSP基準を含み、それらは、時間0の時点で容器当たり10から10 CFU/mLの微生物(例えば、細菌および真菌)を接種し、経時的な対数減少を評価することよりなる(Meyerら,前掲)。
【0114】
以下の7種の保存剤を使用して、初期保存剤スクリーニングを行った:種々の用量および組合せのベンジルアルコール、クロロブタノール(+EtOH)、m−クレーゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノールおよび2−フェノキシエタノール。これらの保存剤は市販非経口製品において抗微生物保存剤として使用されている。チメロサールも参照体として含めた。
【0115】
該保存剤の初期用量および組合せを、これまでの研究結果および入手可能な文献に基づいて選択した。より詳しくは、以下の範囲の濃度を試験した:0.5から1.2% ベンジルアルコール、0.25から0.5% クロロブタノール(0.5% EtOHまたは3.0% EtOH)、0.15から0.3% m−クレーゾール、0.045から0.18% メチルパラベン、0.005から0.02% プロピルパラベン、0.25から0.5% フェノール、0.25から0.5% 2−フェノキシエタノール、および0.002から0.01% チメロサール。全てのサンプルは562.5mcg/mL MAA、0.32M NaCl、10mM His、0.01% ポリソルベート80(PS−80)(pH6.2)を含有していた。120mcg/mL ISCOMATRIX(登録商標)の添加の存在下または非存在下、クロロブタノールおよびプロピルパラベンを含有する製剤を試験した。
【0116】
ベンジルアルコール、フェノール、2−フェノキシエタノールおよびm−クレーゾールは溶液として提供され、それらを該HPV製剤に直接的に加えた。クロロブタノールは粉末で提供され、これを100% エタノールに溶解してストック溶液を調製した。チメロサールをUSP水に溶解してストック溶液を調製した。メチルパラベンおよびプロピルパラベンの組合せを、各粉末を秤量し100%エタノール中のストック溶液を調製することにより調製した。該溶液のpHを6.2の目標pHに調節した。
【0117】
実施例1に記載されているとおりの8つの型のHPV VLPを含む8価HPV製剤に保存剤を加え、AME試験の前に2から8℃で1週間保存した。1.2% ベンジルアルコール、0.5% クロロブタノールおよび0.3% m−クレーゾールを含有する製剤はAME試験のUSP、EP−BおよびEP−A基準を満たした(Meyerら,前掲を参照されたい。)。0.4%および0.5% フェノールを含有する製剤はUSPおよびEP−Bを満たしたが、EP−A試験に合格しなかった。USP試験のみに合格した、他の保存剤を含有する製剤を試験した。したがって、1.2% ベンジルアルコール、0.5% クロロブタノール、0.3% m−クレーゾールおよび濃度0.4%または0.5%のフェノールを含有する製剤を更なる評価のために選択した。
【実施例8】
【0118】
HPV VLP抗原の構造的安定性に対する保存剤の影響の評価
示差走査熱量測定法(DSC)を用いて、タンパク質の構造的および熱的安定性に対する保存剤の影響を評価した。VP−Capillary DSC Platform(MicroCal,LLC,Northampton,MA)を用いて、抗原熱安定性の分析を行った。用いた条件の詳細な説明はIonescuら(2007)(J.Pharm.Sci 97(4):1414−1426(2008))に開示されている。
【0119】
DSC分析のためのモデルHPV抗原として、HPV18 VLPを選択した。なぜなら、この型のVLPは最も確固たるDSCシグナルを与え、試験される他の型と比べて低い安定性を有する型のVLPを代表するからである。種々の濃度の種々の保存剤の存在下でDSC評価を行った。結果は、0.5% クロロブタノール、0.15% m−クレーゾール、0.25% フェノール、0.5% エタノール(クロロブタノール用の溶媒)および0.25% 2−フェノキシエタノールが、HPV18型の熱安定性に対して最も小さい影響を及ぼしたことを示している(データ非表示)。熱安定性に対する最大の影響がチメロサール、1.2% ベンジルアルコールおよび0.045/0.005メチルパラベンで観察された。しかし、1.2% ベンジルアルコール製剤はEP−Aを満たし(実施例7)、また、高いビアコア(biacore)応答を示したため(実施例9)、それを尚も更なる安定性試験のために選択した(実施例11から12)。また、より高い濃度のm−クレーゾール(0.3%)およびフェノール(0.5%)は、より低い濃度のこれらの保存剤と比較して、熱安定性に対して比較的大きな影響を及ぼしたが、EP−A(0.3% m−クレーゾール)およびEP−B(0.5% フェノール)に適合していることに基づいて、高いほうの濃度を更なる評価のために選択した(実施例7を参照されたい。)。保存剤2−フェノキシエタノールは、EP−BまたはEP−Aを満たさなかったため(実施例7を参照されたい。)、更なる評価の対象外となった。
【実施例9】
【0120】
HPV VLP抗原の活性に対する保存剤の影響
HPV18 VLPおよび種々の保存剤を含むHPVワクチン製剤のインビトロ抗原性を、中和抗体結合アッセイ(Biacore,表面プラズモン共鳴)を用いて評価した。Biacore 2000(VPR 332)およびBiacore 3000(VPR 696)(Biacore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いて、抗原生物活性の分析を行った。用いた条件は、Machら(J.Pharm.Sci.95: 2195−2206 (2006))に記載されているものに修飾を施したものであった。
【0121】
サンプルを2から8℃で2ヶ月間インキュベートした後、アルミニウム溶解によるサンプル処理を行い、ついで最終的なBiacore分析を行った。該Biacore結果は、試験した保存剤がHPV18型 VLPの生物活性に対して有意な影響を及ぼさないことを示した(データ非表示)。全ての結果は、メチルパラベン/プロピルパラベン(77%の平均相対インビトロ抗原性,n=2)およびチメロサール(80%の平均相対インビトロ抗原性,n=2)を除き、該アッセイの変動性の範囲(最大の+/−15%)内であった。
【実施例10】
【0122】
アルミニウムおよびIMX、ガラスバイアルおよび栓との保存剤の相互作用
Dunnら(J.Pharm Sci 72:277−80(1983))に記載されているとおりに逆相(RP)−高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、保存剤安定性の分析を行った。この方法を用いて、アルミニウムアジュバント、ガラス容器および栓との保存剤の可能な相互作用を評価した。
【0123】
結果は、アルミニウムアジュバントとの接触後に保存剤の検出可能な喪失は存在しないことを示した(データ非表示)。これらの結果は、試験した保存剤がMAAに結合しないことを示した本発明者らのこれまでの研究に一致していた。これらの研究は、IMXが保存剤濃度またはHPV安定性に影響を及ぼさないことも示した。
【0124】
同様の研究をガラスバイアル(データ非表示)および栓で行った。テフロン(登録商標)被覆栓(FluroTec(登録商標),West Pharmaceutical Services,Inc.,Lionville,PA)との該保存剤の適合性をHPV製剤バッファー中の4つの異なる保存剤で評価した。試験した製剤は最終濃度で1.2% ベンジアルアルコール、0.5% フェノール、0.5% クロロブタノールまたは0.3% m−クレーゾールを含むものであった。FluroTec(登録商標)被覆栓を伴う2個の3mL ガラスバイアル内に各サンプルを0.75mLの容量で充填した。一方のバイアルは倒立させ、もう一方は直立させて、該バイアルを室温で6ヶ月間保存した。前記のRP−HPLC法を用いて、該保存剤の濃度を測定した。
【0125】
該栓と接触したサンプルに関して、室温で6ヶ月間の保存の後に保存的喪失は検出されなかったことを、結果は示している。これらの結果は、該保存剤がHPV製剤バッファー中でFluroTec(登録商標)被覆栓と相互作用せず、また、それに吸着しないことを示している。
【0126】
また、HPVワクチン製剤中の保存剤安定性を評価するために、該RP−HPLC法を用いた。短期予備研究は、該HPVワクチンを2から8℃で保存した場合、選択された保存剤が非常に安定であることを示した(データ非表示)。長期安定性研究による、より詳細な評価を実施例11から12に記載する。
【実施例11】
【0127】
HPVワクチン製剤の安定性の評価:材料および方法
AME、DSCおよびBiacore分析から得られた初期データ(実施例7から9)に基づいて、5つの保存剤含有製剤(1.2%および0.9% ベンジルアルコール、0.5% クロロブタノール、0.3% m−クレーゾールおよび0.5% フェノール)を、長期安定性研究における更なる分析のために選択した。IMXアジュバントの存在下または非存在下に種々の用量および組合せの保存剤を含有する幾つかのHPVワクチン製剤を試験した。
【0128】
各型のHPV VLP水性バルクを0.71のタンパク質対アジュバント比でMAA上に別々に吸収させて、0.32M NaCl、10mM ヒスチジン(pH6.2)、0.01%(w/v)PS−80中の1価ワクチンを形成させた。ついで8つの個々の1価ワクチンを一緒に混合して、HPV6、11、16、18、31、45、52および58型に関してそれぞれ40、80、80、40、40、40、40および40mcg/mLのタンパク質濃度を得た。この組合せは該8価ワクチンを形成した。
【0129】
また、いくつかの製剤はIsocomatrix(登録商標)(IMX,CSL Ltd.,Parkville,Australia)アジュバントを含有していた。HPVワクチンバッファー(前記)中でストックIMXを調製した。ついで沈降−デカント法を用いて、IMXを240mcg/mLの最終濃度まで該8価ワクチンに加えて、IMXアジュバントを含有する8価ワクチンを形成させた。該製剤を穏やかに混合し、4℃で一晩保存した。初期保存剤スクリーニング(実施例7)はクロロブタノール製剤中で120mcg/mL IMXを使用した。なぜなら、これらの実験を行った際には、最終IMX濃度が決定されていなかったからである。
【0130】
該製剤を0.75mLの容量で、FluroTec(登録商標)被覆栓(FluroTec(登録商標),West Pharmaceuticals,Lionville,PA)を伴う3mL ガラスバイアル内に充填し、試験前に制御熱ユニット内で2から8、25、30および37℃で保存した。該製剤化および充填操作は無菌条件下で行った。2から8℃で保存した製剤に関しては、保存剤、HPV VLPおよびIMXアジュバントの試験のために第0、8、12、24および36月の時点で測定されることが予定されている。
【実施例12】
【0131】
HPVワクチン製剤の安定性の評価:AME試験による保存剤の有効性
まず、即時研究(2から8℃)からの製剤を、AME試験を用いて、保存剤有効性に関して時間0の時点で評価した。IMXの存在下または非存在下に0.5% クロロブタノールおよび0.3% m−クレーゾールを含有する製剤はUSP、EP−BおよびEP−A試験に合格した。1.2% ベンジルアルコールを含有する製剤はIMXの非存在下ではUSP、EP−BおよびEP−Aに合格したが、IMX含有製剤においてはEP−Aに合格しなかった。IMXの存在下または非存在下でEP−Aに合格しなかった製剤は0.9% ベンジルアルコールおよび0.5% フェノールをも含んでいた。
【0132】
3.3.3 2から8℃で8ヶ月ならびに30および37℃で3ヶ月の保存に関する安定性データ
多用量保存剤含有サンプルの安定性を、HPV VLPに関してはインビトロ抗原性(Biacore)を用いて、そして保存剤およびIMXの安定性に関してはRP−HPLCを用いて評価した。
【0133】
加速安定性研究からのデータ(図7および8)は、全ての保存剤が30および/または37℃における8価HPVワクチンの安定性に負の影響を及ぼすことを示した。しかし、該製剤を2から8℃で保存した場合には、該保存剤は8ヶ月の保存の後でもHPVワクチンの安定性に有意な影響を示さなかった(図7および8)。該データはまた、HPVワクチンに対する保存剤の効果が保存剤のタイプによって異なることを示している。30℃での該加速安定性研究の結果は、試験した全ての保存剤の比較において、0.3% m−クレーゾールが、多用量HPVワクチンの安定性に対する最小の影響を伴う最も最適な保存剤であり、一方、1.2% ベンジルアルコールおよび0.5% クロロブタノール保存剤がHPVワクチン安定性に最も影響を及ぼすことを示した。総合すると、3つの保存剤(0.9% ベンジルアルコール、0.5% フェノールおよび0.3% m−クレーゾール)のみがHPVワクチン安定性に対して比較的小さい影響を及ぼした。
【実施例13】
【0134】
RP−HPLCアッセイによるHPVワクチン製剤中の保存剤の安定性の評価
多用量HPVワクチンにおける保存剤の安定性を、既に記載されているとおりに(実施例10)、RP−HPLC分析によりモニターした。結果は、全5種の保存剤が、IMXの存在下または非存在下、多用量ワクチン製剤中で安定であったことを示している(図9)。保存温度または期間にかかわらず、この研究中に試験した全ての製剤に関して、保存剤の喪失は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの型のヒトパピローマウイルス(HPV)のウイルス様粒子(VLP)(前記VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、アルミニウムアジュバント(前記VLPは前記アルミニウムアジュバントに吸着されている。)、ISCOM型アジュバントおよび医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの型のHPV VLPが、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
HPV6、11、16および18型のVLPを含む、請求項1または2の医薬組成物。
【請求項4】
HPV31、45、52および58型のVLPを含む、請求項1または2の医薬組成物。
【請求項5】
HPV26、HPV33、HPV35、HPV39、HPV51、HPV53、HPV55、HPV56、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる追加的HPV型のVLPを更に含む、請求項2から4のいずれか一項の医薬組成物。
【請求項6】
アルミニウムアジュバントが、アルミニウムヒドロキシホスファート(AlPO)、無定形アルミニウムヒドロキシホスファートスルファート(AAHS)および水酸化アルミニウム(Al(OH))よりなる群から選ばれる、請求項1から5のいずれか一項の医薬組成物。
【請求項7】
アルミニウムアジュバントがAlPOまたはAAHSを含み、該アジュバントが、アルミニウム(Al)に対するホスファート(PO)のモル比約0.1から約1.1で存在するホスファートおよびアルミニウムを含む、請求項6の医薬組成物。
【請求項8】
アルミニウムアジュバントが、PO/Alのモル比約0.2から約0.5で存在するホスファートおよびアルミニウムを含む、請求項6または7の医薬組成物。
【請求項9】
ISCOM型アジュバントがISCOMATRIX(登録商標)である、請求項1から8のいずれか一項の医薬組成物。
【請求項10】
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン製剤であって、
(a)少なくとも1つのHPV型(該HPV型は、HPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV26、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV53、HPV55、HPV56、HPV58、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる。)のHPVウイルス様粒子(VLP)(前記HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含み、いずれか1つのHPV型のVLPは約10μgから約100μgの濃度で存在し、合計VLP濃度は10μgから600μgである。)、
(b)約150μgから約600μgのアルミニウムアジュバント(前記HPV VLPは前記アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、および
(c)約10μgから約200μgのISCOM型アジュバント
を含んでなるHPVワクチン製剤。
【請求項11】
m−クレゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤を更に含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項12】
該抗微生物保存剤が、約0.15から約0.31%の濃度のm−クレーゾール、約0.25から約0.55%の濃度のフェノールまたは約0.75から約1.2%の濃度のベンジルアルコールよりなる、請求項11のHPVワクチン製剤。
【請求項13】
(a)約20μgから約80μgのいずれか1つのHPV型のVLP、
(b)約200μgから約300μgの該アルミニウムアジュバント、および
(c)約15μgから約120μgの該ISCOM型アジュバント
を含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項14】
(a)約20μgから約80μgのいずれか1つのHPV型のVLP、
(b)約300μgから約500μgの該アルミニウムアジュバント、および
(c)約15μgから約120μgの該ISCOM型アジュバント
を含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項15】
HPV6、11、16および18型のVLPを含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項16】
HPV31、45、52および58型のVLPを更に含む、請求項15のHPVワクチン製剤。
【請求項17】
HPV31、45、52および58型のVLPを含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項18】
HPV26、HPV33、HPV35、HPV39、HPV51、HPV53、HPV55、HPV56、HPV59、HPV66、HPV68、HPV73およびHPV82よりなる群から選ばれる追加的HPV型のVLPを更に含む、請求項16または17のHPVワクチン製剤。
【請求項19】
ISCOM型アジュバントがISCOMATRIX(登録商標)である、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項20】
(a)HPV6、11、16、18、31、45、52および58型のそれぞれのVLP約20μgから約80μg(前記HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、
(b)約200μgから約500μgのアルミニウムアジュバント(前記HPV VLPは前記アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、および
(c)約30μgから約120μgのISCOM型アジュバント
を含む、請求項10のHPVワクチン製剤。
【請求項21】
ヒト患者においてヒトパピローマウイルス(HPV)に対する免疫応答を誘導する方法であって、請求項1から9のいずれか一項の医薬組成物を該患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項22】
ヒトパピローマウイルス(HPV)によるヒト患者の感染を予防する方法であって、請求項1から9のいずれか一項の医薬組成物を該患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項23】
ヒト患者におけるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防する方法であって、
(a)組換えHPVウイルス様粒子(VLP)、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、前記VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)を含む第1医薬組成物を該患者に導入し、
(b)所定の長さの時間を経過させ、
(c)組換えHPV VLP、アルミニウムアジュバントおよびISCOM型アジュバント(該HPV VLPはHPVの組換えL1タンパク質または組換えL1+L2タンパク質を含み、前記VLPは該アルミニウムアジュバントに吸着されている。)を含む第2医薬組成物を該患者に導入することを含んでなる方法。
【請求項24】
第2医薬組成物が、第1医薬組成物中に存在しないHPV型のHPV VLPを含む、請求項23の方法。
【請求項25】
多用量HPVワクチン製剤であって、
(a)少なくとも1つのHPV型のHPVウイルス様粒子(VLP)(前記HPV VLPはHPVの組換えL1または組換えL1+L2タンパク質を含む。)、
(b)アルミニウムアジュバント(前記HPV VLPは前記アルミニウムアジュバント上に吸着されている。)、ならびに
(c)m−クレーゾール、フェノールおよびベンジルアルコールよりなる群から選ばれる抗微生物保存剤
を含んでなる多用量HPVワクチン製剤。
【請求項26】
抗微生物保存剤が約0.15から約0.31%の濃度のm−クレーゾル、約0.25から約0.55%の濃度のフェノールまたは約0.75から約1.2%の濃度のベンジルアルコールよりなる、請求項25の多用量HPVワクチン製剤。
【請求項27】
抗微生物保存剤が約0.3%の濃度のm−クレーゾル、約0.5%の濃度のフェノールまたは約0.9%の濃度のベンジルアルコールよりなる、請求項26の多用量ワクチン製剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate


【公表番号】特表2010−520874(P2010−520874A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552733(P2009−552733)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/002990
【国際公開番号】WO2008/112125
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】