説明

パラペットを有する屋上の改修防水構造

【課題】あご部を有しないパラぺットに対し好適に適用でき、かつ入隅部における煩雑な施工を回避することができる屋上改修防水構造を提供する。
【解決手段】パラペット1を有する屋上の改修防水構造であって、パラペット1の上端面及び内側面から屋上平面部3におけるパラペット付近の部分にかけて既存防水層4が変形可能なシート6で連続的に被覆され、シート6の上に重設防水層7を備える。変形可能なシート6は樹脂発泡体シートからなり、発泡体シートは内在する気泡のアスペクト比Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に平行な最大径)の平均値が1.1〜4.0で、発泡倍率が5〜30倍で、圧縮強度が2kgf/cm2以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられた補強層とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋上やバルコニーなどの周縁部に立ち上がり状に設けられたパラペットに関し、より詳しくは、パラペットを有する屋上の改修防水構造に関するものである。この明細書では、内外方向については屋上の中心方向、すなわち図1における右方向を内方向、その逆方向を外方向とする。
【背景技術】
【0002】
パラペットを有する屋上における従来の一般的な改修防水構造を図3に示す。同図において、パラペット(11)の立ち上がり壁(12)の内側面から屋上平面部(13)の上面に亘って防水層(14)が設けられているが、この既存防水層(14)のうち、立ち上がり壁(12)の内側部分から屋上平面部(13)の立ち上がり壁付近部分に亘る部分が撤去され、この撤去スペースにモルタル等が充填されて埋め戻し部(15)が形成され、立ち上がり壁(12)の上端面から埋め戻し部(15)を経て既存防水層(14)の残存部に亘ってメッシュ(16)(17)を介してウレタン塗膜からなる新たな防水層(18)が上重ね状に設けられている。(19)は笠木、(20)は通気緩衝シートである。
【0003】
しかし、このような改修防水構造では下記のような課題がある。
【0004】
1)既存防水層の撤去には相当の工期と費用が必要であり、これは保護層がある場合さらに増加する。
【0005】
2)防水層撤去工事には騒音や粉塵発生が避けられず、特に住居用建造物の場合看過できない問題となる。
【0006】
3)防水層撤去に伴って生じる廃材の処理は昨今の厳しい規制の下では相当の費用を要する。
【0007】
4)防水層撤去作業中およびその後も降雨対策が十全になされないと漏水を招く虞がある。
【0008】
5)パラペットの高さは約40cmであり、あご部より下の部分は相当低いため、防水層撤去作業は不自然な姿勢での煩雑な作業とならざるを得ず、作業を完全になし得ないケースがある。
【0009】
このような問題を解決することを企図して、特許文献1および2の改修防水構造が提案されている。
【0010】
前者の改修防水構造は、図4に示すように、パラペット(51)のあご部(52)と屋上平面部(53)上の保護コンクリート層(57)との間にボード板(54)が固設されると共に、パラペット(51)の上端面からボード板(54)の内側面を経て保護コンクリート層(57)の上面に亘って重設防水層(56)が被覆されたものである。(55)は既存防水層、(58)はプライマー、(59)は挟持金具である。
【0011】
後者の改修防水構造は、図5に示すように、パラペット(71)のあご部(72)から屋上平面部(73)上の保護コンクリート層(76)までを変形可能なシート体(74)で被覆すると共に、パラペット(71)の上端面からシート体(74)の内側面を経て保護コンクリート層(76)の上面に亘って重設防水層(75)が被覆されたものである。(77)は断熱層、(78)は既存防水層、(79)は差込み支持部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3523176号公報
【特許文献2】特許第4642425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1および2記載の改修防水構造は、いずれもあご部を有するパラペットを対象とするものであり、あご部を有しないパラぺットは考慮されていない。
【0014】
また、特許文献1の改修防水構造におけるボード板(54)または特許文献2の改修防水構造における変形可能なシート体(74)と屋上平面部との間には不連続部分が生じることが避けられず、この部分を連結させる部材を入隅部に取り付ける必要があり、施工が煩雑となる。ウレタン塗膜を形成する場合は、前記ボード板(54)または前記シート体(74)の上にさらに不織布等のシートを敷設する必要があり施工は一層煩雑となる。
【0015】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、あご部を有しないパラぺットに対し好適に適用でき、かつ入隅部における煩雑な施工を回避することができる屋上改修防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成すべく工夫されたものであって、図1に示すように、パラペット(1)を有する屋上の改修防水構造であって、パラペット(1)の上端面及び内側面から屋上平面部(3)におけるパレペット付近の部分にかけて既存防水層(4)が変形可能なシート(6)で連続的に被覆され、該シートの上に重設防水層(7)を備えたことを特長とするパレペットを有する屋上の改修防水構造である。
【0017】
変形可能なシート(6)は樹脂発泡体シートからなり、同発泡体シートは内在する気泡のアスペクト比Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅またはさ長さ方向に平行な最大径)の平均値が1.1〜4.0で、発泡倍率が5〜30倍で、圧縮強度が2kgf/cm2 以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられた補強層とからなる。
【0018】
発泡体シートは、発泡層用の原反の両面に、発泡中の原反の面内方向の発泡力を抑制しうる強度を有する補強シートを積層し、この積層体の原反を、面内の2次元方向の発泡を抑制することで厚み方向にのみ発泡させ、得られた発泡積層体を発泡層にて面内方向にカットして得たものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の屋上改修防水構造は、あご部を有しないパラぺットに対し好適に適用できる。
【0020】
また、パラペット(1)の上端面及び内側面から屋上平面部(3)におけるパレペット付近の部分にかけて既存防水層(4)が変形可能なシート(6)で連続的に被覆されているので、入隅部に不連続部分が生じることがなく、したがって入隅部における煩雑な施工を回避することができる。
【0021】
さらに、既存防水層の撤去を必要としないので撤去に伴う騒音、塵埃あるいは廃材等の発生をなくし、施工現場およびその周辺の環境を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による、パラペットを有する屋上の改修防水構造の垂直断面図である。
【図2】図2(A) は紡錘形気泡の概略斜視図、図2(B) は図1(A) 中のz方向に平行な断面の一部の拡大概略図である。
【図3】従来技術を示すパラペットを有する屋上の改修防水構造の垂直断面図である。
【図4】特許文献1による、パラペットを有する屋上の改修防水構造の垂直断面図である。
【図5】特許文献2による、パラペットを有する屋上の改修防水構造の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による屋上の改修防水構造において、既存防水層(4)は、たとえばアスファルト防水などで構成される。
【0024】
パラペット(1)の内側面から屋上平面部(3)全体にかけて既存防水層(4)が設けられ、既存防水層(4)における屋上平面部分(4a)の上に通気緩衝シート(5)が敷設されている。
【0025】
通気緩衝シート(5)は、たとえば不織布シートや改質アスファルトシートなどで構成される。
【0026】
重設防水層(7)は、合成樹脂製の防水シートや、ウレタンやFRPなどによる塗膜防水により形成される。特に好ましい重設防水層(7)は、変形可能なシート(6)の上全体から通気緩衝シート(5)の上全体に亘ってウレタン塗装を施して形成した防水層である。重設防水層(7)として塩化ビニル製シートを使用することもできる。
【0027】
変形可能なシート(6)は、パラペット(1)の上端面および内側面から屋上平面部(3)におけるパラペット付近の部分にかけて、既存防水層(4)および通気緩衝シート(5)の上に、適宜な固定部材を用いて、固定される。
【0028】
変形可能なシート(6)は樹脂発泡体シートからなり、同発泡体シートとしては、内在する気泡のアスペクト比Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅またはさ長さ方向に平行な最大径)の平均値が1.1〜4.0で、発泡倍率が5〜30倍で、圧縮強度が2kgf/cm2 以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられた補強層とからなるものが好ましい。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられた補強層とからなる発泡体シートは、例えば、発泡層用の原反の両面に、発泡中の原反の面内方向の発泡力を抑制しうる強度を有する補強シートを積層し、この積層体の原反を、面内の2次元方向の発泡を抑制することで厚み方向にのみ発泡させ、得られた発泡積層体を発泡層にて面内方向(図2(A)中の矢印x−y方向)にカットして得たものである。発泡積層体は、例えば積水化学社製の「ゼットロン」のような市販品であってもよい。このような発泡体シートからなる変形可能なシート(6)は、施工後、補強層が発泡層の上下いずれに来ていてもよい。
【0030】
つぎに、本発明に係るパラペットを有する屋上改修防水工法について説明する。
【0031】
まず、パラペット(1)の上端面および内側面から屋上平面部(3)におけるパラペット付近の部分にかけて、既存防水層(4)および通気緩衝シート(5)の上に変形可能なシート(6)を被覆する。変形可能なシート(6)の内端部は通気緩衝シート(5)の外縁部の上に重ねる。
【0032】
ついで、変形可能なシート(6)から通気緩衝シート(5)の上に亘って重設防水層(7)を重ねるように設ける。
【0033】
最後に、パラペット(1)の上端部に笠木(8)を被せる。
【0034】
つぎに、変形可能なシート(6)を構成する発泡体シートについて、説明する。
【0035】
まず、発泡体シートに内在する気泡におけるシート厚み方向の直径Dzと面内方向の直径Dxyとの比Dz/Dxy(すなわちアスペクト比)について、説明をする。
【0036】
図2に示すように、発泡体シート(a) のシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意な断面(b) の10〜20倍の拡大写真(c) をとり、この写真(c) 中で無作為に選ばれる少なくとも50個の気泡における下記の2つの定方向最大径(Dz,Dxy)を測り、個数平均値を算出する。
【0037】
Dz:発泡体シート中の気泡のz方向に平行な最大径
Dxy:発泡体シート中の気泡のシート幅または長さ方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
Dz/Dxyの平均値が1より大きい場合には高い圧縮強度を有した発泡体となる。これは紡錘形の気泡がその長軸方向(即ちz方向)に力を受けるからである。
【0038】
ここで、「面内方向」とは、発泡体シートのシート面内にあるいかなる方向(x−y方向とも呼び)をも意味し、長さ方向、幅方向を含む。
【0039】
発泡体シートの圧縮強度が2kgf/cm2 未満であると、施工時や施工後に踏んだ場合に凹んでしまい水溜りの原因となる。
【0040】
発泡倍率が30倍を越えると、個々の発泡セルの壁が薄くなって充分な圧縮強度が得られない。
【0041】
発泡倍率が5倍未満であると、コストが高くつき実用的でない。
【0042】
内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1未満であると圧縮強度が低下するため、発泡倍率5〜30倍、圧縮強度2kgf/cm2 以上という物性を達成することができない。アスペクト比の平均値が1.1以上であると、紡錘形の気泡はシート厚み方向に圧縮力を受けると、気泡の長軸方向に力がかかることになるので、その方向に高い圧縮強度を示す。よって、アスペクト比の平均値は1.1以上、好ましくは1.3以上である。
【0043】
本発明による防水構造を構成する発泡体には、化学発泡によって得られるものと、物理発泡によって得られるものがある。
【0044】
前者は、加熱により分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予めポリオレフィン系樹脂組成物に分散させておき、得られた発泡性組成物を一旦シート状の発泡原反に賦形した後、加熱して発泡剤より発生するガスにより発泡させることで製造されうる。熱分解型化学発泡剤の代表例としては、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。発泡剤の添加量は樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜20重量部である。
【0045】
後者は、高圧下でポリオレフィン系樹脂組成物中に物理的発泡剤を一旦溶解し、次いで、得られた発泡性組成物を常圧下に置いてガスを発生させ、発泡させることで製造されうる。物理的発泡剤の例としては、水、二酸化炭素、窒素、有機溶剤、等が挙げられる。
【0046】
発泡体シートを得る製造方法は特に限定されないが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂および変性用モノマーを溶融混和して変性ポリオレフィンを得、変性ポリオレフィンにその100重量部に対してアゾジカルボンアミド等の熱分解型化学発泡剤を2〜20重量部を分散させ、得られた発泡性樹脂組成物を一旦シート状の原反に賦形した後、得られた発泡性シートを熱分解型化学発泡剤の分解温度以上に加熱して化学発泡させる方法である。
【0047】
上記のような樹脂変性方法をとることで、成形された発泡性シート原反架橋度が低いにも拘らず、これを常圧で発泡させることが可能となる。
【0048】
ここでいう架橋度が低いとはゲル分率で25%以内の範囲である。
【0049】
一般的にゲル分率の測定は、サンプルの初期重量と120℃熱キシレン中で24時間で溶解させたもののゲル分を乾燥させたサンプルとの重量比で表わす。
【0050】
上記のように変性樹脂を用いて得られた発泡性シートは、電子線で架橋させたシートや熱分解型化学架橋剤で架橋させたシートに比べゲル分率が低く、かつ常圧で加熱発泡するため、発泡体のセルがそれらと比べ大きくなる。従って、得られた発泡体は、セル壁が厚くなり、座掘等の機械物性に強いものとなり、畳の床材に好適である。
【0051】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂の主体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマーの単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体などが例示され、またこれらの2以上の組合わせであってもよい。
【0052】
ポリオレフィン系樹脂の主体をなすポリオレフィンとしては、上述したポリエチレンやポリプロピレンの1種もしくは2種以上の組みあわせが好ましい。
【0053】
ポリオレフィン系樹脂とは上記ポリオレフィンの割合が70〜100重量%である樹脂組成物を指す。ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン以外の樹脂は限定されないが、例えば、ポリスチレン、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィンの割合が70重量%を下回ると、ポリオレフィンの特徴である軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合があるので好ましくない。
【0054】
変性用モノマーは、ラジカル反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物である。上記官能基としてはオキシム基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が例示される。変性用モノマーは、好ましくは、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマーである。また、変性用モノマーはキノン化合物のような、分子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物であってもよい。
【0055】
シート状発泡性原反の賦形方法としては、押出成型の他、プレス成型、ブロー成型、カレンダリング成型、射出成型など、プラスチックの成型加工で一般的に行われる方法が適用可能であるが、スクリュ押出機より吐出する発泡性樹脂組成物を直後賦形する方法が生産性の観点から好ましい。この方法では、一定寸法幅の連続原反シートを得ることができる。
【0056】
シート状原反の発泡は、通常、熱分解型化学発泡剤の分解温度以上、熱可塑性樹脂の熱分解温度以下の温度範囲で行われる。特に連続式発泡装置としては、加熱炉の出口側で発泡体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡機の他、ベルト式発泡機、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽など、あるいは熱浴中で発泡を行うオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどが使用される。
【0057】
上述の紡錘形気泡からなる発泡体シートを得るには、発泡中の原反の面内方向の発泡力を抑制しうる強度を有する補強シートを、発泡前に原反の両面に積層する。これは、発泡時に面内の2次元方向の発泡を抑制することで、原反を厚み方向にのみ発泡させることが可能となるからであり、結果的に、発泡体の気泡はその長軸を厚み方向に配向した紡錘形となるからである。
【0058】
この方法に適用しうる補強シートは、原反の発泡温度、即ち、上記ポリオレフィン系樹脂の融点温度以上、かつ熱分解型発泡剤の分解温度以上の環境に耐え得るものであればよく、補強シートの材料は例えば、紙、布、木材、鉄、非鉄金属、不織布、寒冷紗、ガラス繊維、無機物繊維などから適宜選ぶことができる。
【0059】
こうして得られた発泡積層体を発泡層にて面内方向にカットすることにより変形可能なシート(6)を構成する発泡体シートが得られる。
【0060】
本発明を実施例によってより具体的に説明する。
【0061】
実施例1
パラペット(1)の上端面および内側面から屋上平面部(3)におけるパラペット付近の部分にかけて、アスファルト製の既存防水層(4)および改質アスファルト製の通気緩衝シート(5)の上に発泡体シートからなる変形可能なシート(6)を被覆する。変形可能なシート(6)の内端部は通気緩衝シート(5)の外縁部の上に重ねる。
【0062】
ついで、変形可能なシート(6)から通気緩衝シート(5)の上に亘って重設防水層(7)を重ねるように設ける。
【0063】
最後に、パラペット(1)の上端部に笠木(8)を被せる。
【0064】
変形可能なシート(6)を構成する発泡体シートは、積水化学社製の発泡積層体「ゼットロン」の発泡層を厚み中央にて面内方向にカットして得たものである。発泡積層体「ゼットロン」は、内在する気泡のアスペクト比Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅またはさ長さ方向に平行な最大径)の平均値が1.4で、発泡倍率が15倍で、圧縮強度が4kgf/cm2であるポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられたPET製の補強層とからなる。
【符号の説明】
【0065】
1:パラペット
3:屋上平面部
4:既存防水層
4a:屋上平面部分
5:通気緩衝シート
6:変形可能なシート
7:重設防水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラペット(1)を有する屋上の改修防水構造であって、パラペット(1)の上端面及び内側面から屋上平面部(3)におけるパレペット付近の部分にかけて既存防水層(4)が変形可能なシート(6)で連続的に被覆され、該シートの上に重設防水層(7)を備えたことを特長とするパレペットを有する屋上の改修防水構造。
【請求項2】
変形可能なシート(6)は樹脂発泡体シートからなり、同発泡体シートは内在する気泡のアスペクト比Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅またはさ長さ方向に平行な最大径)の平均値が1.1〜4.0で、発泡倍率が5〜30倍で、圧縮強度が2kgf/cm2 以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体からなる発泡層と、これの片面に設けられた補強層とからなることを特徴とするパラペットを有する屋上の改修防水構造。
【請求項3】
発泡体シートは、発泡層用の原反の両面に、発泡中の原反の面内方向の発泡力を抑制しうる強度を有する補強シートを積層し、この積層体の原反を、面内の2次元方向の発泡を抑制することで厚み方向にのみ発泡させ、得られた発泡積層体を発泡層にて面内方向にカットして得たものである請求項1記載のパラペットを有する屋上の改修防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237098(P2012−237098A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105022(P2011−105022)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)