パルス列分析装置
【目的】 精度の向上と処理時間の短縮とを同時に実現する、パルス列分析装置を提供する。
【構成】 複数の放射源から発生されたパルス信号が受信され、受信されたパルス信号の属性が検出されると、属性を示す属性値がメモリー1に記憶される。この属性値に基づきパルスは放射源毎に分類され、メモリー10に放射源毎にパルスのメモリー1のアドレスが格納される。放射源の特徴の分析に際して、プロセッサ8は、この放射源に属するパルスの属性値をメモリー1から読みだし、少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を回路11で計算する。パルスの属性値、または、属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により回路30によりパルスをクラスタ分けし、クラスタの統計的な値を統計値補正回路15で補正しながら、統計値メモリー14に格納する。
【構成】 複数の放射源から発生されたパルス信号が受信され、受信されたパルス信号の属性が検出されると、属性を示す属性値がメモリー1に記憶される。この属性値に基づきパルスは放射源毎に分類され、メモリー10に放射源毎にパルスのメモリー1のアドレスが格納される。放射源の特徴の分析に際して、プロセッサ8は、この放射源に属するパルスの属性値をメモリー1から読みだし、少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を回路11で計算する。パルスの属性値、または、属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により回路30によりパルスをクラスタ分けし、クラスタの統計的な値を統計値補正回路15で補正しながら、統計値メモリー14に格納する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数種類のパルス放射源から放射されたパルス列を受信し、受信されたパルス列を放射源毎に分類し、分類されたパルス列の特徴を抽出して放射源の種類を特定するパルス列分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなパルス列分析装置においては、まず、複数種類のパルス放射源から放射されたパルス列を受信し、受信されたパルス列を放射源毎に分類する。このために、各パルス毎の特性(属性)を示すパラメータ(特性パラメータ)である、パルス到来方位(AOA)、周波数(F)、振幅(PA)、パルス幅(PW)等を用いて、受信されたパルス列を、同一特性を有するパルス毎にグループ分けする。
【0003】次に、各グループのパルスを発生する放射源の種類を特定する。このために、各グループ内のパルスのパラメータの変化量等を用いて、パルスの頻度分布(ヒストグラム)を作成し、ヒストグラムのパターンの特徴(ピークの位置、数、間隔等)を調べ、パルス列の特徴(放射源の特性)を分析する。
【0004】図1は、従来のパルス列分析装置の構成を示すブロック図である。
【0005】このパルス列分析装置は、入力パルスデータメモリー1、パルス分類回路2、パルス分類メモリー3、アドレス発生回路4、ヒストグラムメモリー5、インクリメンター6、特徴抽出回路7、プロセッサ8から構成される。
【0006】入力パルスデータメモリー1は、ディジタル変換されたパルス毎の特性パラメータを記憶する。パルス分類回路2は、AOA等のパラメータで、同一特性条件を満たしたパルスのグループ分けを行なう。パルス分類メモリー3は、グループ分けされたパルスの相対アドレスを記憶する。
【0007】アドレス発生回路4は、入力データの階級に対応するヒストグラムメモリーのアドレスを発生させる。ヒストグラムメモリー5は、ヒストグラムデータを記憶する。インクリメンター6は、ヒストグラムデータに“1”を加算する。特徴抽出回路7は、ヒストグラムパターンのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等を検出する。プロセッサ8は、装置全体を制御する。
【0008】次に、従来のパルス列分析装置の動作について説明する。
【0009】パルス列分析装置に入力されたパルス列は、アナログデータからディジタルデータに変換され、変換された各パルスの特性パラメータは、入力パルスデータメモリー1に記憶される。この特性パラメータを用いて、パルス分類回路2により、同一の特性条件を満たしたパルス毎にグループ分けが行なわれ、グループ分けされたパルスの相対アドレスが、パルス分類メモリー3に記憶される(このようにして、同一特性を有するパルス毎、すなわち、各パルス放射源にパルスのグループ分けが行なわれる)。
【0010】次に、メモリー3に記憶された各グループ毎に、グループ内のパルスのパラメータの変化量等を用いて、アドレス発生回路4により入力データ(当該パルス)の階級に対応するヒストグラムメモリー5のアドレスを発生させる。このメモリー5のアドレスに記憶されているヒストグラムデータに、インクリメンター6により“1”を加算し、これを全パルスに対して繰り返すことにより、該当する階級に対応するパルスの頻度が記憶される。このグループ毎に作成されたヒストグラムのパターンのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等を、特徴抽出回路7により検出し、パルス列の特徴(放射源の特性)を分析する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のパルス列分析装置にあっては、ヒストグラムメモリーに格納された、特性パラメータに対するパルスの頻度分布を表わすヒストグラムデータを読み出して、そのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等の特徴データを抽出し、パルス列の特徴を分析している。このため、位置や間隔等の分析の精度を上げるためには、ヒストグラムの階級分けを細かくする必要があり、このためには、ヒストグラムメモリーの容量を増やさなければならない。
【0012】しかしながら、メモリーの容量を増やすと、ヒストグラムのピーク位置等の特徴を抽出する際の、ヒストグラムメモリーの走査に時間が掛かってしまう。このため、精度の向上と処理時間の短縮とを同時に実現することが困難であるという欠点があった。
【0013】この発明は、上記従来技術の欠点を考慮して、精度の向上と処理時間の短縮とを同時に実現するパルス列分析装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、ヒストグラムメモリーを無くして、替わりにパラメータが似た値のもの同士を集めるクラスタ生成回路を設け、各クラスタの統計値である平均値、標準偏差値およびクラスタに属するパルス数(ヒットカウント値)を記憶するメモリーを設ける。
【0015】すなわち、複数の放射源から発生されたパルス信号を受信し、受信されたパルス信号の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づきパルスを放射源毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に放射源毎に分類されたパルスの特徴を分析して、放射源の種類を特定するパルス列分析装置において、パルスの特徴の分析に際して、分類記憶手段に格納された属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされたパルスの属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、パルスをクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明によるパルス列分析装置は、放射源毎に分類されたパルス列を、特性パラメータ、または、パラメータの変化量によっていくつかの群(クラスタ)に分けながら、各クラスタの統計値を連続的に補正することにより、ピーク位置(平均値)、分布状態(標準偏差値)、ピーク数(クラスタ数)等の、パルス列を分析するための特徴量を高速に高精度で検出する。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0018】図2は、本発明の一実施例に係るパルス列分析装置の構成を示すブロック図である。
【0019】図2のパルス列分析装置における構成を説明すると、1はディジタル変換されたパルス毎の特性パラメータを記憶する入力パルスデータメモリー、8は装置全体を制御するプロセッサ、10は各クラスタに分類されたパルスのアドレスをクラスタ別に記憶するパルスアドレス分類メモリーである。11は注目しているパルスと近傍のパルスとの間でのパラメータの変化量を計算する回路、12は入力パラメータがいずれの既存クラスタにも属しない場合に新たにクラスタを生成する回路、13は入力されたパラメータがどのクラスタに属するかを決定する回路である。この12と13とで、クラスタ分け回路30を構成している。14はクラスタの統計値(平均値、標準偏差、所属パルス数)を記憶するメモリー、15は統計値を補正する回路、16はクラスタを指定するカウンターであり、17は入力パルスデータメモリーからのパラメータをそのまま使うか、変化量計算回路で求めた変化量を使うかを選択するマルチプレクサ、18は所属クラスタを示すカウンタの出力とプロセッサが指定するクラスタを示すレジスタ22の出力を選択するマルチプレクサである。19は入力パルスデータメモリーのどの特性パラメータを選択するかを指定するレジスタ、20は入力パルスデータのパルスアドレスを指定するパルスアドレス発生回路、21はプロセッサからの初期設定データとパルス分類メモリーからのデータを選択するマルチプレクサ、23はパルス分類メモリーのクラスタ毎のパルス順番を指定するカウンターである。
【0020】次に、上記の実施例に係る分析装置の動作について、図10を参照しつつ説明する。この動作は、受信された各パルスのパラメータ値のデータメモリー1への読み込み(ステップS200)、パルスの放射源毎の分類(ステップS300)、分類されたパルスの特徴による放射源の特性の分析(ステップS400)に大きく分けることができる。
【0021】まず、パルス列の分類手順を、図11,12を参照しつつ説明する。
【0022】受信されたパルスの各パラメータは、アドレスライン1a、データライン1bを介して入力パルスデータメモリー1に、各パルス毎に記憶される。プロセッサ8により、各パラメータのうちの処理の対象とするパラメータがパラメータ指定レジスタ19に、入力パルスデータメモリー1のスタートアドレスがパルスアドレス発生回路20に設定される。入力パルスデータメモリー1から、設定されたアドレスに格納されたパルスのパラメータが出力され、マルチプレクサ17を介してクラスタ生成回路12および所属クラスタ決定回路13に入力される(ステップS301)。
【0023】初期状態においてはクラスタが存在しないので、クラスタ生成回路12は、カウンタ16(初期値を“0”とする)が指定するクラスタ番号0に対応する統計値メモリー14のアドレスに、入力データを平均値E0 として書込む。また、プロセッサ8からの標準偏差σの初期値を標準偏差σ0として書込み、所属パルス数に1を書込む(ステップS302)。
【0024】パルスアドレス分類メモリー10には、カウンタ16の出力がマルチプレクサ18を介して指定するクラスタ番号0、カウンタ23(初期値を“0”とする)が指定するパルス順番0、に対応するアドレスに、パルスアドレス発生回路20の出力であるパルスアドレスを書込み、クラスタ生成を完了する(ステップS303)。
【0025】次に、プロセッサ8によりパルスアドレス発生回路20のアドレスカウンタがインクリメントされると、所属クラスタ決定回路13には次のパラメータ(これをxiとする)が、メモリー1から入力される(ステップS304)。所属クラスタ決定回路13では、既に存在するクラスタの統計値を使って、|xi−En|≦kσn …(式1)
の条件を満足するか否かを判定する(ステップS305)。ここで、Enとσnとはクラスタ番号nの平均値と標準偏差であり、kはプロセッサが指定する定数である。
【0026】上記(式1)の条件を満足するクラスタが存在(マッチング条件が成立)している場合は、統計値補正回路15により、関数ROMを用いて、平均値Eと標準偏差σとを図6に示す(式2)に基づき補正する。
【0027】ここでErとσrは補正された平均値と標準偏差であり、hはクラスタに属するパルス数である。このように補正されたEr,σr及びインクリメントされた所属パルス数h+1は、統計値メモリー14に書込まれる(ステップS306)。
【0028】所属パルス数はカウンタ23にもロードされ、メモリー10上のカウンタ16が指定する所属クラスタの、カウンタ23が指定するパルス順番の位置に、パルスアドレス発生回路20の出力であるパルスアドレスを書込む(ステップS308)。
【0029】上記(式1)の条件を満足するクラスタが存在しない(マッチング条件が不成立)場合は、最初のシーケンスと同様に新たにクラスタを生成する(ステップS307)。
【0030】これらのシーケンスを全パルスについて繰り返すことによって(ステップS309)、パラメータの値が似たもの同士を集めたクラスタを生成し、クラスタ別に分類されたパルスのアドレスをパルス分類メモリーにクラスタ別に作成することが出来る。このようにして、パルス列を放射源毎に分類することができる。
【0031】上記(式1)の条件を満足するクラスタが複数存在している場合は、入力パルスのパラメータPiがどのクラスタにもっとも近いかを計算するための距離計算アルゴリズムを定義しておき、このアルゴリズムにより、最適なクラスタを一つだけ選ぶ。このアルゴリズムによる計算結果も等しい場合には、たとえば、nの大きい方を選ぶというように決めておく。
【0032】以下、この距離計算の実施例について説明する。
【0033】入力パルスのパラメータPi(xi,yi)と各クラスタCnとの近さの尺度として、距離dinを図7(a)に示す(式3)で定義する。
【0034】このアルゴリズムの計算方法は、高速処理及びハードウェアによる実現を意図して、(式3)の各項は関数ROMを使って計算する。関数ROMの容量を減らすため、Wxn(クラスタnのx方向の許容値),Δx,Wyn(クラスタnのy方向の許容値),Δyをそれぞれ7bitに制限したWxn′,Δx′,Wyn′,Δy′を使用する。マッチング条件が成立している(パラメータPi(xi,yi)が、クラスタnに属している)場合には、Δx≦Wxn,Δy≦Wynとなっているので、各項の大きさは0〜1の範囲にある。ハードウェアで取扱う場合、8bit(0〜255)で表現するため各項を254倍し、図7R>7(b)に示す(式4)とし、この式で表わされるDinの値が小さいほど入力パラメータPi がクラスタCn に近いと判断する。ここで、Dinは、0〜508(9bit)の大きさの範囲をとる。
【0035】上記のように距離を計算する回路の一例を、図8に示す。
【0036】図8のバレルシフタ100,101,110,111においてビット数を削減する方法について、図9を参照しつつ説明する。
【0037】(1) Wxn,Wyn(12bit)を Wxn′, Wyn′(7bit)に削減する方法(図9(a))
Wxnのbit7〜bit11が0の場合はbit0〜bit6をそのまま出力する。もしWxnのbit7〜bit11に1が存在する場合は、MSB側(最上位)の1がWxn′のbit6の位置にくるように右シフトして出力する。
【0038】(2) Δx,Δy(12bit)をΔx′,Δy′(7bit)に削減する方法(図9(b))
(1) 項で決定したシフト量をΔx(Δy)にも適用し、同様に右シフトして7bit に削減する。
【0039】次に、上記のように分類されたパルス列を分析するための手順について説明する。
【0040】この分析は、生成された1つのクラスタ(単一放射源のパルスの集合)のパルス列のパラメータを使って、パルス列を分析するためのクラスタを作成することにより行なう。以下の実施例では入力パルスのパルス到来時刻(TOA)の時間差、すなわちパルスの繰り返し間隔(PRI)を使用したパルス列の分析方法について、図13,図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。周波数の変化(ΔF)、パルス幅の変化(ΔPW)等を使った場合も同様に適用することが出来る。
【0041】プロセッサ8により、パラメータ指定レジスタ19にTOAパラメータを、レジスタ22に分析対象クラスタを指定し、カウンタ23をクリアー(“0”を設定)する。次に、プロセッサ8は、パルス分類メモリー10から分析対象のクラスタの最初のパルスアドレスを読み出し、マルチプレクサ21を介してパルスアドレス発生回路20にロードする(図13のステップS401)。
【0042】入力パルスデータメモリー1中の、パルスアドレス発生回路20により指定されたアドレスの、レジスタ19により指定されたパラメータの値が読み出され(読み出される最初の値をt0とする)、変化量計算回路11に入力されて内部のレジスタに値t0が保持される(ステップS402)。次に、プロセッサ8は、カウンタ23をインクリメントし、次のパルスアドレスを読み出してパルスアドレス発生回路20にロードする(ステップS403)。入力パルスデータメモリー1からは、次のパルスのTOAデータt1が読み出され(ステップS404)、変化計算回路11でt1−t0の計算を行ない、結果をマルチプレクサ17を介してクラスタ生成回路12に入力する(ステップS405)。初期状態ではクラスタが存在しないので、クラスタ生成回路はカウンタ16が指定するクラスタ番号0に対応する統計値メモリー14に、入力データt1−t0を平均値E0として書込む。また、プロセッサ8からの標準偏差σの初期値を標準偏差σ0、所属パルス数を1として書込み、サブクラスタ生成を完了する(ステップS406)。
【0043】次にプロセッサ8は、カウンタ23をインクリメントし、次のパルスアドレスをパルス分類メモリーから読み出してパルスアドレス発生回路20にロードする(ステップS407)。入力パルスデータメモリー1からは、パルスアドレス発生回路20にロードされたアドレスに格納された次のパルスのTOAデータt2が読み出され(ステップS408)、変化量計算回路11でt2−t1の計算が行なわれて、この計算結果xiをマルチプレクサ17を介して所属クラスタ決定回路13に入力する(ステップS409)。
【0044】所属クラスタ決定回路では、既に存在するサブクラスタの統計値を使って、前記(式1)の条件を満足するか否かを判定する(ステップS410)。条件を満足する場合には、所属するサブクラスタの統計値を補正して格納する(ステップS411)。条件を満足しない場合には、新たなサブクラスタを生成し、このサブクラスタの統計値を格納する(ステップS412)。クラスタ内の全パルスに対してステップS407からステップS411、または、ステップS407からステップS412の処理を行なう(ステップS413)。(式1)は、パルス列分類手順で説明したものと同じであり、統計値補正回路15による補正方法も同一である。パルス列分析手順において分類手順と異なる部分は、(a)パルスアドレスの発生は、パルスアドレス分類メモリー10から読み出したパルスアドレスにより行なう。
(b)パルスアドレス分類メモリー10へのデータ書込みは行なわない。
(c)変化量計算回路11からの差分データを、クラスタ生成回路12と所属クラスタ決定回路13に入力する。
以上の3点である。他の処理手順は、パルス列分類手順と同じ方法によってパルス列を分析するためのサブクラスタを作成する。
【0045】次に作成されたサブクラスタの統計値を使ってパルス列を分析する方法を図4を使って説明する。
【0046】分析する対象となるクラスタのパルス列が、図4(a)で示すような各々2μS,3μS,4μS,5μSのパルス繰り返し間隔を持つ、バーストスタガの繰り返しパターンである場合には、平均値として例えばE0=2.01μS,E1=3.03μS,E2=3.92μS,E3=5.04μS、標準偏差としては例えばσ0=0.11μS,σ1=0.09μS,σ2=0.13μS,σ3=0.12μSの様な比較的小さな値を持ち、所属パルス数は例えばh0=51,h1=40,h2=28,h3=21の様な比較的大きな値を持ったクラスタが4個生成される。ノイズやパルス抜けによって生じたクラスタは、所属パルス数の値が小さいので、所属パルス数の値が小さいクラスタをノイズとして削除する。残ったクラスタの統計値を分析することによってパルス列が2.01μS,3.03μS,3.92μS,5.04μSのパルスの繰り返し間隔を持つ4ポジションバーストスタガであることを知ることができる。
【0047】次に、本発明に係るパルス列分析装置の第2の実施例を図3に示す。
【0048】このパルス列分析装置は、第1実施例で説明した入力パルスデータメモリー1、変化量計算回路11、クラスタ生成回路12、所属クラスタ決定回路13、統計値メモリー14、統計値補正回路15、マルチプレクサ17、パラメータ指定レジスタ19をそれぞれ2組ずつ用意することによって、2つの異なるパラメータ又はパラメータの変化量について並列に処理を行なう。
【0049】この場合、所属クラスタの判定条件は、入力パラメータをxi,yi各クラスタの平均値をExn,Eyn、標準偏差をσxn,σyn、プロセッサ8より指定する定数をkx,kyとしたとき、下記のように、|xi−Exn|≦kx・σxn …(式5)
|yi−Eyn|≦ky・σyn …(式6)
として、(式5),(式6)の条件式を同時に満足した場合に、そのクラスタに所属するものと判定する。他の処理は、第1実施例と同じ方法で動作させることによって、2つのパラメータx,yについて2次元平面上での統計的クラスタリング処理によってパルス列を分析するものである。
【0050】次に、作成された2次元クラスタの統計値を使ってパルス列を分析する方法を図5を使って説明する。
【0051】パルス列を分析する対象となるクラスタのパルス列が図5(a)で示すようにパルス間隔が鋸歯状に、4μS,5μS,6μS,7μS,8μS,4μS,5μS,…と変調されているパルス列であったとする。
【0052】2つのパラメータとして、パルス間隔をx、パルス間隔の変化量をyとしてクラスタリング処理を行なうと、図5(b)で示すようなクラスタが作成される。
【0053】y方向の平均値が約1μSの位置に平行してクラスタが存在しているので、パルス間隔が鋸歯状に変調されているパルス列であることを知ることができる。
【0054】第5図(c)は、同じパルス列でパルス幅(Pw)が5ステップの繰返しパターン(1μS、2μS、1.5μS、0.5μS、1μS)でパルス毎に変化している場合に、パルス間隔をx、パルス幅の変化量をyとしてクラスタリング処理した場合のクラスタの一例である。各クラスタの統計値を調べることによってパルス幅が5ステップの繰返しパターンで変調されていることを知ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、以下に列挙する効果が得られる。
【0056】複数のパルス放射源から到来する混在した状態のパルス列の中から放射源別にパルス列を分類し、次に分類された単一放射源のパルス列をパラメータやその変化量を使ってクラスタリング処理を行なうことにより、パルス列を分析するための特徴をクラスタの分布状態によって表わすことが出来るので、各クラスタの統計値を調べることによりパルス列のパラメータ変化モード、変調タイプ等を効率よく高精度に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパルス列分析装置のブロック図。
【図2】本発明の1実施例に係るパルス列分析装置のブロック図。
【図3】本発明の他の実施例に係るパルス列分析装置のブロック図。
【図4】クラスタ分けの1例を示す図。
【図5】クラスタ分けの他の例を示す図。
【図6】(式2)を示す図。
【図7】(式3),(式4)を示す図。
【図8】距離計算回路の1例を示す図。
【図9】距離計算回路においてビット数を削減する方法を示す図。
【図10】本発明に係るパルス列分析装置の動作を示すフローチャートの図。
【図11】本発明に係るパルス列分析装置の分類動作を示すフローチャートの図。
【図12】本発明に係るパルス列分析装置の分類動作を示すフローチャートの図。
【図13】本発明に係るパルス列分析装置の分析動作を示すフローチャートの図。
【図14】本発明に係るパルス列分析装置の分析動作を示すフローチャートの図。
【符号の説明】
1…入力パルスデータメモリー、8…プロセッサ、10…パルスアドレス分類メモリー、11…変化量計算回路、12…クラスタ生成回路、13…所属クラスタ決定回路、14…統計値メモリー、15…統計値補正回路、16…カウンタ、17,18,21…マルチプレクサ、19…パラメータ指定レジスタ、20…パルスアドレス発生回路、22…レジスタ、23…カウンタ、30…クラスタ分け回路。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数種類のパルス放射源から放射されたパルス列を受信し、受信されたパルス列を放射源毎に分類し、分類されたパルス列の特徴を抽出して放射源の種類を特定するパルス列分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなパルス列分析装置においては、まず、複数種類のパルス放射源から放射されたパルス列を受信し、受信されたパルス列を放射源毎に分類する。このために、各パルス毎の特性(属性)を示すパラメータ(特性パラメータ)である、パルス到来方位(AOA)、周波数(F)、振幅(PA)、パルス幅(PW)等を用いて、受信されたパルス列を、同一特性を有するパルス毎にグループ分けする。
【0003】次に、各グループのパルスを発生する放射源の種類を特定する。このために、各グループ内のパルスのパラメータの変化量等を用いて、パルスの頻度分布(ヒストグラム)を作成し、ヒストグラムのパターンの特徴(ピークの位置、数、間隔等)を調べ、パルス列の特徴(放射源の特性)を分析する。
【0004】図1は、従来のパルス列分析装置の構成を示すブロック図である。
【0005】このパルス列分析装置は、入力パルスデータメモリー1、パルス分類回路2、パルス分類メモリー3、アドレス発生回路4、ヒストグラムメモリー5、インクリメンター6、特徴抽出回路7、プロセッサ8から構成される。
【0006】入力パルスデータメモリー1は、ディジタル変換されたパルス毎の特性パラメータを記憶する。パルス分類回路2は、AOA等のパラメータで、同一特性条件を満たしたパルスのグループ分けを行なう。パルス分類メモリー3は、グループ分けされたパルスの相対アドレスを記憶する。
【0007】アドレス発生回路4は、入力データの階級に対応するヒストグラムメモリーのアドレスを発生させる。ヒストグラムメモリー5は、ヒストグラムデータを記憶する。インクリメンター6は、ヒストグラムデータに“1”を加算する。特徴抽出回路7は、ヒストグラムパターンのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等を検出する。プロセッサ8は、装置全体を制御する。
【0008】次に、従来のパルス列分析装置の動作について説明する。
【0009】パルス列分析装置に入力されたパルス列は、アナログデータからディジタルデータに変換され、変換された各パルスの特性パラメータは、入力パルスデータメモリー1に記憶される。この特性パラメータを用いて、パルス分類回路2により、同一の特性条件を満たしたパルス毎にグループ分けが行なわれ、グループ分けされたパルスの相対アドレスが、パルス分類メモリー3に記憶される(このようにして、同一特性を有するパルス毎、すなわち、各パルス放射源にパルスのグループ分けが行なわれる)。
【0010】次に、メモリー3に記憶された各グループ毎に、グループ内のパルスのパラメータの変化量等を用いて、アドレス発生回路4により入力データ(当該パルス)の階級に対応するヒストグラムメモリー5のアドレスを発生させる。このメモリー5のアドレスに記憶されているヒストグラムデータに、インクリメンター6により“1”を加算し、これを全パルスに対して繰り返すことにより、該当する階級に対応するパルスの頻度が記憶される。このグループ毎に作成されたヒストグラムのパターンのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等を、特徴抽出回路7により検出し、パルス列の特徴(放射源の特性)を分析する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のパルス列分析装置にあっては、ヒストグラムメモリーに格納された、特性パラメータに対するパルスの頻度分布を表わすヒストグラムデータを読み出して、そのピーク位置、ピーク数、ピーク間隔等の特徴データを抽出し、パルス列の特徴を分析している。このため、位置や間隔等の分析の精度を上げるためには、ヒストグラムの階級分けを細かくする必要があり、このためには、ヒストグラムメモリーの容量を増やさなければならない。
【0012】しかしながら、メモリーの容量を増やすと、ヒストグラムのピーク位置等の特徴を抽出する際の、ヒストグラムメモリーの走査に時間が掛かってしまう。このため、精度の向上と処理時間の短縮とを同時に実現することが困難であるという欠点があった。
【0013】この発明は、上記従来技術の欠点を考慮して、精度の向上と処理時間の短縮とを同時に実現するパルス列分析装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、ヒストグラムメモリーを無くして、替わりにパラメータが似た値のもの同士を集めるクラスタ生成回路を設け、各クラスタの統計値である平均値、標準偏差値およびクラスタに属するパルス数(ヒットカウント値)を記憶するメモリーを設ける。
【0015】すなわち、複数の放射源から発生されたパルス信号を受信し、受信されたパルス信号の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づきパルスを放射源毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に放射源毎に分類されたパルスの特徴を分析して、放射源の種類を特定するパルス列分析装置において、パルスの特徴の分析に際して、分類記憶手段に格納された属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされたパルスの属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、パルスをクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明によるパルス列分析装置は、放射源毎に分類されたパルス列を、特性パラメータ、または、パラメータの変化量によっていくつかの群(クラスタ)に分けながら、各クラスタの統計値を連続的に補正することにより、ピーク位置(平均値)、分布状態(標準偏差値)、ピーク数(クラスタ数)等の、パルス列を分析するための特徴量を高速に高精度で検出する。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0018】図2は、本発明の一実施例に係るパルス列分析装置の構成を示すブロック図である。
【0019】図2のパルス列分析装置における構成を説明すると、1はディジタル変換されたパルス毎の特性パラメータを記憶する入力パルスデータメモリー、8は装置全体を制御するプロセッサ、10は各クラスタに分類されたパルスのアドレスをクラスタ別に記憶するパルスアドレス分類メモリーである。11は注目しているパルスと近傍のパルスとの間でのパラメータの変化量を計算する回路、12は入力パラメータがいずれの既存クラスタにも属しない場合に新たにクラスタを生成する回路、13は入力されたパラメータがどのクラスタに属するかを決定する回路である。この12と13とで、クラスタ分け回路30を構成している。14はクラスタの統計値(平均値、標準偏差、所属パルス数)を記憶するメモリー、15は統計値を補正する回路、16はクラスタを指定するカウンターであり、17は入力パルスデータメモリーからのパラメータをそのまま使うか、変化量計算回路で求めた変化量を使うかを選択するマルチプレクサ、18は所属クラスタを示すカウンタの出力とプロセッサが指定するクラスタを示すレジスタ22の出力を選択するマルチプレクサである。19は入力パルスデータメモリーのどの特性パラメータを選択するかを指定するレジスタ、20は入力パルスデータのパルスアドレスを指定するパルスアドレス発生回路、21はプロセッサからの初期設定データとパルス分類メモリーからのデータを選択するマルチプレクサ、23はパルス分類メモリーのクラスタ毎のパルス順番を指定するカウンターである。
【0020】次に、上記の実施例に係る分析装置の動作について、図10を参照しつつ説明する。この動作は、受信された各パルスのパラメータ値のデータメモリー1への読み込み(ステップS200)、パルスの放射源毎の分類(ステップS300)、分類されたパルスの特徴による放射源の特性の分析(ステップS400)に大きく分けることができる。
【0021】まず、パルス列の分類手順を、図11,12を参照しつつ説明する。
【0022】受信されたパルスの各パラメータは、アドレスライン1a、データライン1bを介して入力パルスデータメモリー1に、各パルス毎に記憶される。プロセッサ8により、各パラメータのうちの処理の対象とするパラメータがパラメータ指定レジスタ19に、入力パルスデータメモリー1のスタートアドレスがパルスアドレス発生回路20に設定される。入力パルスデータメモリー1から、設定されたアドレスに格納されたパルスのパラメータが出力され、マルチプレクサ17を介してクラスタ生成回路12および所属クラスタ決定回路13に入力される(ステップS301)。
【0023】初期状態においてはクラスタが存在しないので、クラスタ生成回路12は、カウンタ16(初期値を“0”とする)が指定するクラスタ番号0に対応する統計値メモリー14のアドレスに、入力データを平均値E0 として書込む。また、プロセッサ8からの標準偏差σの初期値を標準偏差σ0として書込み、所属パルス数に1を書込む(ステップS302)。
【0024】パルスアドレス分類メモリー10には、カウンタ16の出力がマルチプレクサ18を介して指定するクラスタ番号0、カウンタ23(初期値を“0”とする)が指定するパルス順番0、に対応するアドレスに、パルスアドレス発生回路20の出力であるパルスアドレスを書込み、クラスタ生成を完了する(ステップS303)。
【0025】次に、プロセッサ8によりパルスアドレス発生回路20のアドレスカウンタがインクリメントされると、所属クラスタ決定回路13には次のパラメータ(これをxiとする)が、メモリー1から入力される(ステップS304)。所属クラスタ決定回路13では、既に存在するクラスタの統計値を使って、|xi−En|≦kσn …(式1)
の条件を満足するか否かを判定する(ステップS305)。ここで、Enとσnとはクラスタ番号nの平均値と標準偏差であり、kはプロセッサが指定する定数である。
【0026】上記(式1)の条件を満足するクラスタが存在(マッチング条件が成立)している場合は、統計値補正回路15により、関数ROMを用いて、平均値Eと標準偏差σとを図6に示す(式2)に基づき補正する。
【0027】ここでErとσrは補正された平均値と標準偏差であり、hはクラスタに属するパルス数である。このように補正されたEr,σr及びインクリメントされた所属パルス数h+1は、統計値メモリー14に書込まれる(ステップS306)。
【0028】所属パルス数はカウンタ23にもロードされ、メモリー10上のカウンタ16が指定する所属クラスタの、カウンタ23が指定するパルス順番の位置に、パルスアドレス発生回路20の出力であるパルスアドレスを書込む(ステップS308)。
【0029】上記(式1)の条件を満足するクラスタが存在しない(マッチング条件が不成立)場合は、最初のシーケンスと同様に新たにクラスタを生成する(ステップS307)。
【0030】これらのシーケンスを全パルスについて繰り返すことによって(ステップS309)、パラメータの値が似たもの同士を集めたクラスタを生成し、クラスタ別に分類されたパルスのアドレスをパルス分類メモリーにクラスタ別に作成することが出来る。このようにして、パルス列を放射源毎に分類することができる。
【0031】上記(式1)の条件を満足するクラスタが複数存在している場合は、入力パルスのパラメータPiがどのクラスタにもっとも近いかを計算するための距離計算アルゴリズムを定義しておき、このアルゴリズムにより、最適なクラスタを一つだけ選ぶ。このアルゴリズムによる計算結果も等しい場合には、たとえば、nの大きい方を選ぶというように決めておく。
【0032】以下、この距離計算の実施例について説明する。
【0033】入力パルスのパラメータPi(xi,yi)と各クラスタCnとの近さの尺度として、距離dinを図7(a)に示す(式3)で定義する。
【0034】このアルゴリズムの計算方法は、高速処理及びハードウェアによる実現を意図して、(式3)の各項は関数ROMを使って計算する。関数ROMの容量を減らすため、Wxn(クラスタnのx方向の許容値),Δx,Wyn(クラスタnのy方向の許容値),Δyをそれぞれ7bitに制限したWxn′,Δx′,Wyn′,Δy′を使用する。マッチング条件が成立している(パラメータPi(xi,yi)が、クラスタnに属している)場合には、Δx≦Wxn,Δy≦Wynとなっているので、各項の大きさは0〜1の範囲にある。ハードウェアで取扱う場合、8bit(0〜255)で表現するため各項を254倍し、図7R>7(b)に示す(式4)とし、この式で表わされるDinの値が小さいほど入力パラメータPi がクラスタCn に近いと判断する。ここで、Dinは、0〜508(9bit)の大きさの範囲をとる。
【0035】上記のように距離を計算する回路の一例を、図8に示す。
【0036】図8のバレルシフタ100,101,110,111においてビット数を削減する方法について、図9を参照しつつ説明する。
【0037】(1) Wxn,Wyn(12bit)を Wxn′, Wyn′(7bit)に削減する方法(図9(a))
Wxnのbit7〜bit11が0の場合はbit0〜bit6をそのまま出力する。もしWxnのbit7〜bit11に1が存在する場合は、MSB側(最上位)の1がWxn′のbit6の位置にくるように右シフトして出力する。
【0038】(2) Δx,Δy(12bit)をΔx′,Δy′(7bit)に削減する方法(図9(b))
(1) 項で決定したシフト量をΔx(Δy)にも適用し、同様に右シフトして7bit に削減する。
【0039】次に、上記のように分類されたパルス列を分析するための手順について説明する。
【0040】この分析は、生成された1つのクラスタ(単一放射源のパルスの集合)のパルス列のパラメータを使って、パルス列を分析するためのクラスタを作成することにより行なう。以下の実施例では入力パルスのパルス到来時刻(TOA)の時間差、すなわちパルスの繰り返し間隔(PRI)を使用したパルス列の分析方法について、図13,図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。周波数の変化(ΔF)、パルス幅の変化(ΔPW)等を使った場合も同様に適用することが出来る。
【0041】プロセッサ8により、パラメータ指定レジスタ19にTOAパラメータを、レジスタ22に分析対象クラスタを指定し、カウンタ23をクリアー(“0”を設定)する。次に、プロセッサ8は、パルス分類メモリー10から分析対象のクラスタの最初のパルスアドレスを読み出し、マルチプレクサ21を介してパルスアドレス発生回路20にロードする(図13のステップS401)。
【0042】入力パルスデータメモリー1中の、パルスアドレス発生回路20により指定されたアドレスの、レジスタ19により指定されたパラメータの値が読み出され(読み出される最初の値をt0とする)、変化量計算回路11に入力されて内部のレジスタに値t0が保持される(ステップS402)。次に、プロセッサ8は、カウンタ23をインクリメントし、次のパルスアドレスを読み出してパルスアドレス発生回路20にロードする(ステップS403)。入力パルスデータメモリー1からは、次のパルスのTOAデータt1が読み出され(ステップS404)、変化計算回路11でt1−t0の計算を行ない、結果をマルチプレクサ17を介してクラスタ生成回路12に入力する(ステップS405)。初期状態ではクラスタが存在しないので、クラスタ生成回路はカウンタ16が指定するクラスタ番号0に対応する統計値メモリー14に、入力データt1−t0を平均値E0として書込む。また、プロセッサ8からの標準偏差σの初期値を標準偏差σ0、所属パルス数を1として書込み、サブクラスタ生成を完了する(ステップS406)。
【0043】次にプロセッサ8は、カウンタ23をインクリメントし、次のパルスアドレスをパルス分類メモリーから読み出してパルスアドレス発生回路20にロードする(ステップS407)。入力パルスデータメモリー1からは、パルスアドレス発生回路20にロードされたアドレスに格納された次のパルスのTOAデータt2が読み出され(ステップS408)、変化量計算回路11でt2−t1の計算が行なわれて、この計算結果xiをマルチプレクサ17を介して所属クラスタ決定回路13に入力する(ステップS409)。
【0044】所属クラスタ決定回路では、既に存在するサブクラスタの統計値を使って、前記(式1)の条件を満足するか否かを判定する(ステップS410)。条件を満足する場合には、所属するサブクラスタの統計値を補正して格納する(ステップS411)。条件を満足しない場合には、新たなサブクラスタを生成し、このサブクラスタの統計値を格納する(ステップS412)。クラスタ内の全パルスに対してステップS407からステップS411、または、ステップS407からステップS412の処理を行なう(ステップS413)。(式1)は、パルス列分類手順で説明したものと同じであり、統計値補正回路15による補正方法も同一である。パルス列分析手順において分類手順と異なる部分は、(a)パルスアドレスの発生は、パルスアドレス分類メモリー10から読み出したパルスアドレスにより行なう。
(b)パルスアドレス分類メモリー10へのデータ書込みは行なわない。
(c)変化量計算回路11からの差分データを、クラスタ生成回路12と所属クラスタ決定回路13に入力する。
以上の3点である。他の処理手順は、パルス列分類手順と同じ方法によってパルス列を分析するためのサブクラスタを作成する。
【0045】次に作成されたサブクラスタの統計値を使ってパルス列を分析する方法を図4を使って説明する。
【0046】分析する対象となるクラスタのパルス列が、図4(a)で示すような各々2μS,3μS,4μS,5μSのパルス繰り返し間隔を持つ、バーストスタガの繰り返しパターンである場合には、平均値として例えばE0=2.01μS,E1=3.03μS,E2=3.92μS,E3=5.04μS、標準偏差としては例えばσ0=0.11μS,σ1=0.09μS,σ2=0.13μS,σ3=0.12μSの様な比較的小さな値を持ち、所属パルス数は例えばh0=51,h1=40,h2=28,h3=21の様な比較的大きな値を持ったクラスタが4個生成される。ノイズやパルス抜けによって生じたクラスタは、所属パルス数の値が小さいので、所属パルス数の値が小さいクラスタをノイズとして削除する。残ったクラスタの統計値を分析することによってパルス列が2.01μS,3.03μS,3.92μS,5.04μSのパルスの繰り返し間隔を持つ4ポジションバーストスタガであることを知ることができる。
【0047】次に、本発明に係るパルス列分析装置の第2の実施例を図3に示す。
【0048】このパルス列分析装置は、第1実施例で説明した入力パルスデータメモリー1、変化量計算回路11、クラスタ生成回路12、所属クラスタ決定回路13、統計値メモリー14、統計値補正回路15、マルチプレクサ17、パラメータ指定レジスタ19をそれぞれ2組ずつ用意することによって、2つの異なるパラメータ又はパラメータの変化量について並列に処理を行なう。
【0049】この場合、所属クラスタの判定条件は、入力パラメータをxi,yi各クラスタの平均値をExn,Eyn、標準偏差をσxn,σyn、プロセッサ8より指定する定数をkx,kyとしたとき、下記のように、|xi−Exn|≦kx・σxn …(式5)
|yi−Eyn|≦ky・σyn …(式6)
として、(式5),(式6)の条件式を同時に満足した場合に、そのクラスタに所属するものと判定する。他の処理は、第1実施例と同じ方法で動作させることによって、2つのパラメータx,yについて2次元平面上での統計的クラスタリング処理によってパルス列を分析するものである。
【0050】次に、作成された2次元クラスタの統計値を使ってパルス列を分析する方法を図5を使って説明する。
【0051】パルス列を分析する対象となるクラスタのパルス列が図5(a)で示すようにパルス間隔が鋸歯状に、4μS,5μS,6μS,7μS,8μS,4μS,5μS,…と変調されているパルス列であったとする。
【0052】2つのパラメータとして、パルス間隔をx、パルス間隔の変化量をyとしてクラスタリング処理を行なうと、図5(b)で示すようなクラスタが作成される。
【0053】y方向の平均値が約1μSの位置に平行してクラスタが存在しているので、パルス間隔が鋸歯状に変調されているパルス列であることを知ることができる。
【0054】第5図(c)は、同じパルス列でパルス幅(Pw)が5ステップの繰返しパターン(1μS、2μS、1.5μS、0.5μS、1μS)でパルス毎に変化している場合に、パルス間隔をx、パルス幅の変化量をyとしてクラスタリング処理した場合のクラスタの一例である。各クラスタの統計値を調べることによってパルス幅が5ステップの繰返しパターンで変調されていることを知ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、以下に列挙する効果が得られる。
【0056】複数のパルス放射源から到来する混在した状態のパルス列の中から放射源別にパルス列を分類し、次に分類された単一放射源のパルス列をパラメータやその変化量を使ってクラスタリング処理を行なうことにより、パルス列を分析するための特徴をクラスタの分布状態によって表わすことが出来るので、各クラスタの統計値を調べることによりパルス列のパラメータ変化モード、変調タイプ等を効率よく高精度に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパルス列分析装置のブロック図。
【図2】本発明の1実施例に係るパルス列分析装置のブロック図。
【図3】本発明の他の実施例に係るパルス列分析装置のブロック図。
【図4】クラスタ分けの1例を示す図。
【図5】クラスタ分けの他の例を示す図。
【図6】(式2)を示す図。
【図7】(式3),(式4)を示す図。
【図8】距離計算回路の1例を示す図。
【図9】距離計算回路においてビット数を削減する方法を示す図。
【図10】本発明に係るパルス列分析装置の動作を示すフローチャートの図。
【図11】本発明に係るパルス列分析装置の分類動作を示すフローチャートの図。
【図12】本発明に係るパルス列分析装置の分類動作を示すフローチャートの図。
【図13】本発明に係るパルス列分析装置の分析動作を示すフローチャートの図。
【図14】本発明に係るパルス列分析装置の分析動作を示すフローチャートの図。
【符号の説明】
1…入力パルスデータメモリー、8…プロセッサ、10…パルスアドレス分類メモリー、11…変化量計算回路、12…クラスタ生成回路、13…所属クラスタ決定回路、14…統計値メモリー、15…統計値補正回路、16…カウンタ、17,18,21…マルチプレクサ、19…パラメータ指定レジスタ、20…パルスアドレス発生回路、22…レジスタ、23…カウンタ、30…クラスタ分け回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の放射源から発生されたパルス信号を受信し、受信されたパルス信号の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づき前記パルスを放射源毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に放射源毎に分類されたパルスの特徴を分析して、前記放射源の種類を特定するパルス列分析装置において、パルスの特徴の分析に際して、前記分類記憶手段に格納された前記属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされたパルスの属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、パルスをクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、前記クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段と、を備えることを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項2】請求項1において、前記クラスタ分け手段は、前記パルスの属性値、および、計算された属性値の変化量のうち少なくとも一方に基づいてクラスタを生成するためのクラスタ生成手段と、前記パルスの属性値、および、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、生成されたクラスタに属するか否かを決定する所属クラスタ決定手段と、を備え、前記所属クラスタ決定手段により属するクラスタが無いと判定された場合に、前記クラスタ生成手段によりクラスタを生成することを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項3】請求項2において、前記所属クラスタ決定手段により属するクラスタが有ると判定された場合に、このパルスの属性値、または、属性値の変化量を加味して、前記統計値記憶手段に記憶された統計的な値を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項4】複数の母集団の要素を入力し、入力された要素の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づき前記要素を母集団毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に母集団毎に分類された要素の特徴を分析して、前記母集団の種類を特定する分析装置において、要素の特徴の分析に際して、前記分類記憶手段に格納された前記属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つの要素間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされた要素の属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、要素をクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、前記クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段と、を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項1】複数の放射源から発生されたパルス信号を受信し、受信されたパルス信号の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づき前記パルスを放射源毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に放射源毎に分類されたパルスの特徴を分析して、前記放射源の種類を特定するパルス列分析装置において、パルスの特徴の分析に際して、前記分類記憶手段に格納された前記属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つのパルス間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされたパルスの属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、パルスをクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、前記クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段と、を備えることを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項2】請求項1において、前記クラスタ分け手段は、前記パルスの属性値、および、計算された属性値の変化量のうち少なくとも一方に基づいてクラスタを生成するためのクラスタ生成手段と、前記パルスの属性値、および、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、生成されたクラスタに属するか否かを決定する所属クラスタ決定手段と、を備え、前記所属クラスタ決定手段により属するクラスタが無いと判定された場合に、前記クラスタ生成手段によりクラスタを生成することを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項3】請求項2において、前記所属クラスタ決定手段により属するクラスタが有ると判定された場合に、このパルスの属性値、または、属性値の変化量を加味して、前記統計値記憶手段に記憶された統計的な値を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とするパルス列分析装置。
【請求項4】複数の母集団の要素を入力し、入力された要素の属性を検出し、検出された属性を示す属性値を属性値記憶手段に記憶し、この属性値に基づき前記要素を母集団毎に分類して分類記憶手段に格納し、この分類記憶手段に母集団毎に分類された要素の特徴を分析して、前記母集団の種類を特定する分析装置において、要素の特徴の分析に際して、前記分類記憶手段に格納された前記属性値記憶手段のアドレスから、このアドレスに格納された属性値を読み出すための読みだし手段と、読みだされた少なくとも2つの要素間での属性値の変化量を計算する計算手段と、読みだされた要素の属性値、または、計算された属性値の変化量に基づき、予め定められた条件により、要素をクラスタ分けするためのクラスタ分け手段と、前記クラスタの統計的な値を記憶するための統計値記憶手段と、を備えることを特徴とする分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開平6−160532
【公開日】平成6年(1994)6月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−305522
【出願日】平成4年(1992)11月16日
【出願人】(000003388)株式会社トキメック (103)
【公開日】平成6年(1994)6月7日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)11月16日
【出願人】(000003388)株式会社トキメック (103)
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