パルプモールド成形体の製造装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプモールド成形体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パルプモールド成形体の製造装置に関する従来の技術としては、例えば特開平8−232200号公報に記載のものが知られている。この公報に記載の装置は、多層構造のパルプモールド成形体を製造する装置であり、直線上を往復運動する抄紙型と、該抄紙型の移動経路に沿って配列された複数の原料槽とを備えている。そして、この製造装置では、1個の抄紙型によって第1の原料槽から抄紙が開始され、該抄紙型が順次移動して最後の原料槽で抄紙が完了し、該抄紙型の外面に形成された成形体が乾燥工程へ受け渡された後、該抄紙型が第1の原料槽の位置に戻るという往復動作が繰り返される。
【0003】このように、従来の製造装置では、抄紙型が最初の位置に復帰するための移動時間が必要となり、1回の抄紙工程に長時間を要し、成形体の生産効率が高いとはいえなかった。
【0004】一方、複数のパルプモールド成形体を製造する製造装置として、米国特許第3,235,445号の装置が知られている。この装置は、パルプスラリーの抄造、抄造体の圧縮、抄造体の排出の3工程をローテーションとして成形体を連続的に製造するロータリー方式の製造装置である。
【0005】ところで、パルプモールド成形体の抄造工程においては、通常抄造ネット(同製造装置ではシルクスクリーン)用いて抄造が行われるが、抄造ネットは、通常繰り返し使用による損傷を受けやすいものである。このため、この製造装置では、その補修、交換等の度に装置全体を停止しなければならず、高い生産効率によるコストの低減が望まれるパルプモールド成形体の製造装置としては好ましくなかった。
【0006】従って、本発明の目的は、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造し得るパルプモールド成形体の製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の抄紙用のコアユニット、該抄紙ステーション、該脱水ステーション、該乾燥ステーション、該分離ステーション及び該コアユニットを上向きの状態で移送する移送手段を具備し、複数の該コアユニットを、抄紙ステーション、脱水ステーション、乾燥ステーションに順次移送して該コアユニットの個々の表面にパルプモールド成形体を形成するパルプモールド成形体の製造装置であって、前記コアユニットは、内部に流体の流通路を有する凸状の弾性体コアと、該流通路に連通する連通路を有し該弾性体コアを上向きに凸の状態に固定する台座と、該弾性体コアの表面を被覆する抄紙ネットとを備えているパルプモールド成形体の製造装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明のパルプモールド成形体の製造装置における第1実施形態を示したものである。図1において符号1は、パルプモールド成形体の製造装置(以下、単に製造装置ともいう。)、Aは成形体、Tはスラリータンク、Pは圧送ポンプ、Cはコンプレッサー、Vは負圧源を示している。
【0009】製造装置1は、抄紙用のコアユニット2と、抄紙ステーション3、4と、脱水ステーション5と、コアユニット2に装着される乾燥型6と、乾燥型6の装着ステーション7と、乾燥ステーション8と、離型・分離ステーション9と、コアユニット2を上向きの状態で移送する移送手段10と、トリミングステーション11とを具備している。離型・分離ステーション9は、乾燥型の離型及び成形体の分離を行うステーションである。
【0010】図2に示すように、コアユニット2は、内部に流体の流通路200を有する凸状の弾性体コア20、流通路200に連通する連通路210を有し弾性体コア20を固定する台座21及び弾性体コア20の表面を被覆する抄紙ネット22を備えている。
【0011】弾性体コア20は、成形すべき成形体の外形よりもやや小さな外形を有しており、そのフランジ20aより上方における抄紙部20bの高さは、成形する成形体の高さ(深さ)よりも大きく設けられている。弾性体コア20は、押圧により弾性変形可能な材料から構成されている。そのような材料の例としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴム系材料が挙げられる。
【0012】弾性体コア20の内部に形成された前記流通路200は、幹流通路201及び幹流通路201から分岐した複数の分岐流通路202から構成されている。分岐流通路202は、弾性体コア20の外部へ向けて放射状に形成されている。分岐流通路202の一開口端は、弾性体コア20の抄紙部20bの外表面において開口している。抄紙部20bの外表面における該開口端の開口面積の比率は、後述するパルプ繊維を主体とするの積層体からなる成形体の脱水効率、及び該成形体を押圧した場合における弾性体コア20の強度保持の点から5〜30%であることが好ましく、5〜10%であることがより好ましい。また同様に、分岐流通路202の開口端は、抄紙部20bの外表面において1cm2当たり1〜4個、特に1〜2個形成されていることが好ましい。また、分岐流通路202は、弾性体コア20が押圧によって弾性変形しても流体の通過が妨げられない程度の大きさの断面を有している。
【0013】台座21は、前記弾性体コア20が上向きに凸の状態に固定される凹部を有する有底筒状の部材である。台座21の底部の略中央部には弾性体コア20の幹流通路201と外部とを連通する前記連通路210が形成されている。この連通路210は、抄紙・脱水時における流体(スラリーの液体分及び吸排気)の流路となるほか、後述する各ステーション内におけるコアユニット2の位置決め用の孔としても用いられる。また、台座21の外周には、後述する乾燥型6のクランプ61の先端部が係合される係合溝(係合手段)211が形成されている。弾性体コア20は、台座21の底面部に着脱自在なように、例えばネジ止め等により取付られている。
【0014】抄紙ネット22は、弾性体コア20の弾性変形に追従して変形し得る伸縮可能な材料(例えば合成樹脂繊維ネット)から形成されている。抄紙ネット22は、パルプスラリー中の水分は通過させるがパルプ繊維は通過させない程度の網目を有する。この網目の大きさは10〜80メッシュ、特に30〜50メッシュであることが、抄紙性及びパルプ繊維の目詰まり防止等の点から好ましい。また、抄紙ネット22は、これを弾性体コア20の外表面に密着被覆させた状態での平均開孔面積率が10〜80%、特に20〜40%であることが吸水性、通気性及び強度の点から好ましい。抄紙ネット22は、その周縁部を弾性体コア20と台座21の隙間に狭持させることで固定されている。
【0015】コアユニット2が組み立てられた状態においては、流通路200、連通路210及び抄紙ネット22が連通して、コアユニット2の外部より内部へ通じる流路が形成される。
【0016】抄紙ステーション3は、図3に示すように、抄紙ネット22へのパルプスラリーの供給管路(供給路)30、コアユニット2における流通路200及び連通路210を通じたパルプスラリー中の液体分の排出管路(排出路)31、及びコアユニット2を垂直軸周りに周回させながら抄紙を行わせるコアユニット2の回動手段32を備えており、コアユニット2における抄紙ネット22の表面にパルプ繊維の成形体A’を抄紙するように設けられたロータリー方式の抄紙設備である。
【0017】供給管路30の先端には、抄紙シリンダー33が接続されており、この抄紙シリンダー33内にパルプスラリーを供給することで、所定量のパルプスラリーが蓄えられ、抄紙ネット22へ万遍なくスラリーの供給を行えるようになっている。抄紙シリンダー33には、当該抄紙シリンダー33内への圧縮空気の供給管路(供給路)34の一端部が接続されている。抄紙シリンダー33は、クランプ330を備えており、このクランプ330の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、パッキン331を介して抄紙シリンダー33をコアユニット2に密着させ、抄紙時のスラリーの漏れを確実に防止できるようになっている。シリンダー33は、モーター駆動の上下動機構332により上下動自在に設けられている。
【0018】回動手段32は、ベースBに設置された駆動ユニット35と、駆動ユニット35によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト36と、回転シャフト36の下方部に固定されて回転シャフト36と共に回転するターンテーブル37とから構成されている。ターンテーブル37の下方には、コアユニット2をターンテーブル37から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター38が配設されている。リフター38は、回転シャフト36の下方部に固定されたモーター駆動の上下動機構380によって上下動自在に設けられている。
【0019】回転シャフト36の上方部には、分岐ユニット361を備えたロータリージョイント360が取り付けられており、分岐ユニット361に、前記供給管路30,34及び排出管路31の他端部が接続されている。ロータリージョイント360には、前記スラリータンクT、負圧源V及びコンプレッサーCに通じる管路300,310,340が接続されている。
【0020】ターンテーブル37には、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部37aが設けられている。凹部37aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔37bが設けられており、この貫通孔37bに前記排出路31の一端が接続されている。また貫通孔37bの周りには、リフター38のピン38aが挿通できるように挿通孔37cが設けられている。
【0021】図1に示すように、製造装置1は、抄紙ステーション3で抄紙された成形体A’に続けて別のパルプ繊維をさらに抄紙した成形体Aを形成するための抄紙ステーション4を備えている。抄紙ステーション4は、抄紙ステーション3と同様の構成を有しているので、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0022】図4に示すように、脱水ステーション5は、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながら成形体の脱水を行わせるコアユニット2の回動手段50と、前記弾性体コア20における流通路200に通じる複数の排出路510を有し且つ弾性体コア20に対応する凹部511を有する脱水型51と、前記抄紙ネット22の表面に抄紙された湿潤状態の成形体Aを弾性体コア20と脱水型51との間で押圧する押圧手段52と、抄紙した成形体Aへの圧縮空気の供給管路53と、脱水型51を通じて排出される水分の吸引排出路54とを備えたロータリー方式の抄紙設備である。
【0023】前記回動手段50は、ベースBに設置された駆動ユニット55と、駆動ユニット55によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト56と、回転シャフト56の下方部に固定されて回転シャフト56と共に回転するターンテーブル57とを備えている。ターンテーブル57の下方には、コアユニット2をターンテーブル57から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター58が配設されている。リフター58は、回転シャフト56の下方部に固定されたモーター駆動の上下動機構580によって上下動自在に設けられている。
【0024】前記回転シャフト56の上方部には、分岐ユニット561を備えたロータリージョイント560が取り付けられており、この分岐ユニット561に、前記供給管路53及び排出管路54の他端部が接続されている。また、ロータリージョイント560には、前記負圧源V及びコンプレッサーCに通じる管路530,540が接続されている。
【0025】ターンテーブル57には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部57aが設けられている。凹部57aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔57bが設けられており、この貫通孔57bに前記供給管路53の一端が接続されている。また貫通孔57bの周りには、リフター58のピン58aが挿通できるように挿通孔57cが設けられている。
【0026】前記脱水型51における排出路510は、凹部511から略放射状に形成されている。また、凹部511は、コアユニット2における弾性体コア20の形状よりも大きく設けられている。このように脱水型51の凹部511の形状を弾性体コア20の形状よりも大きくすることで、弾性体コア20を凹部511に押圧させて弾性変形させたときに、凹部511の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに脱水型51との離型がスムーズに行えるようになっている。脱水型51は、回転シャフト56に取り付けられたモーター駆動の上下動機構512により上下動自在に設けられている。
【0027】前記押圧手段52は、回転シャフト56に固定されたフランジ562に固定されたシリンダーユニットで構成されており、当該ユニットのロッド520の先端部で、脱水型51の上下動機構512への固定部材513を押圧することによって、当該脱水型51を上方より押圧できるようになっている。
【0028】前記乾燥型6は、図5に示すように、成形する成形体の外形形状に対応した内面形状の凹部60を有する金属製の金型である。凹部60の形状は、前記脱水型51と同様に、弾性体コア20の形状よりも大きく形成されており、凹部60の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに乾燥型6との離型がスムーズに行えるようになっている。乾燥型6は、クランプ(係合手段)61を備えており、このクランプ61の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、弾性体コア20の押圧状態を保ったまま当該乾燥型6とコアユニット2とを一体化できるようになっている。そして、両者をこのように押圧状態を保ったまま一体化させることで、後述の乾燥ステーション8内を移動する際に乾燥型6を通じた熱伝達が効率良く行え前記成形体Aを早く乾燥できるようになっている。また、乾燥型6の上部の外周面には、係合溝62が設けられており、後述する装着ステーション7のハンドリングユニット71の先端部をこの係合溝62に係合させて当該乾燥型6をハンドリングできるようになっている。
【0029】図5に示すように、前記装着ステーション7は、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながらコアユニット2に乾燥型6を装着させる回動手段70と、乾燥型6のハンドリングユニット(ハンドリング手段)71とを備えたロータリー方式の設備である。
【0030】回動手段70は、ベースBに設置された駆動ユニット72と、駆動ユニット72によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト73と、回転シャフト73の下方部に固定されて回転シャフト73と共に回転するターンテーブル74とを備えている。ターンテーブル74の下方には、コアユニット2をターンテーブル74から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター75が配設されている。リフター75は、回転シャフト73に取り付けられたモーター駆動の上下動機構750により昇降自在に設けられている。
【0031】ターンテーブル74には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部74aが設けられている。凹部74aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔74bが設けられており、貫通孔74bの周りには、リフター75のピン75aが挿通できるように挿通孔74cが設けられている。
【0032】ハンドリングユニット71は、シリンダーユニット710により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム711を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。ハンドリングユニット71は、モーター駆動の上下動機構712の固定部材713に固定されており、この上下動機構712によりハンドリングユニット71を上下動させて乾燥型6を昇降できるようになっている。
【0033】また、装着ステーション7には、図1に示すように、後述の返送コンベア101で返送されてきた乾燥型6を再び当該装着ステーション7に導入するローター108が付設されている。
【0034】前記乾燥ステーション8は、図1に示すように、乾燥型6を装着したコアユニット2を加熱する加熱手段(図示せず)を備えたトンネル型の乾燥機である。乾燥ステーション8内には、一体化された乾燥型6とコアユニット2とを蛇行させながら搬送する搬送コンベア80が配設されている。搬送コンベア80には、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0035】離型・分離ステーション9は、図6に示すように、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながら、コアユニット2から乾燥型6を分離させた後に成形体Aをコアユニット2から離型させるコアユニット2の回動手段90と、コアユニット2に装着された乾燥型6をコアユニット2から離型する乾燥型のハンドリングユニット(乾燥型の離型手段)91と、成形体Aをコアユニット2から分離する分離手段92とを備えている。
【0036】前記回動手段90は、ベースに設置された駆動ユニット93と、駆動ユニット93によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト94と、回転シャフト94の下方部に固定されて回転シャフト94と共に回転するターンテーブル95とを備えている。ターンテーブル95の下方には、コアユニット2をターンテーブル95から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター96が配設されている。リフター96は、回転シャフト94に取り付けられたモーター駆動の上下動機構960により昇降自在に設けられている。
【0037】ターンテーブル94には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部94aが設けられている。また、凹部94aには、リフター96のピン96aが挿通できるように挿通孔94cが設けられている。
【0038】ハンドリングユニット91は、シリンダーユニット910により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム911を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。ハンドリングユニット91は、モーター駆動の上下動機構912の固定部材913に固定されており、この上下動機構912により乾燥型6を昇降できるようになっている。
【0039】分離手段92は、回転シャフト94の下方部に固定された直交する2軸への駆動が可能なシリンダーユニット920と、このシリンダーユニット920によって昇降及び水平移動が可能な分離プレート921とを備えている。分離プレート921の先端部は、成形体Aのフランジ部に対応した半円弧状で先薄に形成されている。そして、この分離プレート921の先端部を成形体Aのフランジ部とコアユニット2との隙間に挿入し、当該分離プレート921を上昇させることで、両者を分離できるようになっている。
【0040】離型・分離ステーション9には、コアユニット2から分離された成形体Aのハンドリングユニット97が付設されている。このハンドリングユニット97は、成形体Aの外周面に当接して当該成形体Aを負圧吸着する吸着盤970と、吸着盤970を水平移動させるシリンダーユニット971と、シリンダーユニット971を水平軸周りに回転させるロータリーアクチュエータ972と、ロータリーアクチュエータ972を上下動させるシリンダーユニット973と、シリンダーユニット973を鉛直軸周りに回転させるロータリーユニット974とを備えており、吸着した成形体Aを上下に反転させた後に、当該成形体Aを後述するトリミングステーション11の支持アーム114に移載できるようになっている。
【0041】前記移送手段10は、前記弾性体コア20を上向きに凸の状態でユニット2を移送するコンベア100,301,401,501,701と、これらのコンベアから前記抄紙、脱水、装着、離型の各ステーションへの導入及び各ステーション3〜9から前記各コンベアへの排出を行う一対のローター103〜109とを備えている。前記各コンベアには、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0042】製造装置1は、前記離型ステーション9で離型した乾燥型6を前記装着ステーション7に返送する乾燥型の返送コンベア(返送手段)101と、前記離型・分離ステーション9で成形体Aと分離された前記コアユニット2をコンベア100における前記抄紙ステーション3の手前まで返送するコアユニット2の返送コンベア(返送手段)102とを具備している。これら返送コンベア101,102は、前記コンベア同様に通常のコンベアを用いることができる。
【0043】図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、乾燥した成形体Aのトリミングを行うトリミングステーション11を備えている。このトリミングステーション11は、図7に示すように、乾燥工程を経て移送されてきた成形体Aを垂直軸周りに周回させる間にトリミングを行う設備であり、成形体Aを垂直軸周りに周回させる回動手段110と、成形体Aのフランジの周縁部をトリミングするカッター111とを備えている。
【0044】前記回動手段110は、ベースBに設置された駆動ユニット112と、駆動ユニット112によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト113と、回転シャフト113の下方部に固定されて回転シャフト113と共に回転する支持アーム114とを備えている。また、支持アーム114の下方には、成形体Aを支持アーム114から離脱させる際に当該成形体Aを上昇させるリフター115が配設されている。リフター115は、シリンダーユニットで構成されており、当該シリンダーユニットは、回転シャフト113の下方部に固定された支持部材116に垂直に支持されている。
【0045】カッター111は、シリンダーユニット117のロッドの先端部に取り付けられており、シリンダーユニット117は、回転シャフト113の上方部に固定された支持部材118に垂直に支持されている。そして、カッター111が、支持アーム114に支持された成形体Aの上方において上下動できるように設けられている。
【0046】トリミングステーション11には、図1に示すように、前記ハンドリングユニット97と同様のハンドリングユニット119が付設されており、トリミングを行った成形体Aを梱包ステーション(図示せず)に搬送するコンベア120に移載できるようになっている。
【0047】製造装置1は、所定のシーケンスプログラムを保持した制御部(図示せず)及び制御信号等の送受信回路(図示せず)を備えており、前記各ステーション、各コンベア、及びローター等の間の同期をとり、同シーケンスプログラムに従ってこれらを正しく作動させるようになっている。
【0048】次に、本実施形態のパルプモールド成形体の製造装置1によるパルプモールド成形体の製造工程について説明する。
【0049】先ず、図1に示すように、コアユニット2をコンベア100によって抄紙ステーション3に搬送する。そして、導入側のローター103で当該コアユニット2をターンテーブル37上に導く。
【0050】次に、図3に示すように、ターンテーブル37上に載置されて周回するコアユニット2上から抄紙シリンダー33を降下させ、さらにクランプ330をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。そして、前記供給管路30を通じてタンクTに貯留されたパルプスラリーをシリンダー33内に圧入する一方で、排出管路31を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体A’を抄紙する。所定量のパルプスラリーの注入による抄紙が終了すると、クランプ330の係合を解除し、抄紙シリンダー33を上昇させてコアユニット2から離脱させる。
【0051】そして、前記リフター38を作動させてコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル37の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター103でコアユニット2をコンベア301上に排出し、コンベア301でコアユニット2を隣の抄紙ステーション4へ搬送する。そして、導入側のローター104で当該コアユニット2をターンテーブル上に導く。
【0052】抄紙ステーション4では、抄紙ステーション3におけると同様に抄紙を行い、前記成形体A’の上にさらに別の繊維層を抄紙した成形体A形成する。そして、図1に示すように、コアユニット2を排出側のローター104でコンベア401に排出し、コンベア401で隣の脱水ステーション5側に搬送する。そして、導入側のローター105でコアユニット2を脱水ステーション5に導入する。
【0053】脱水ステーション5では、図4に示すように、ターンテーブル57上に載置されて周回するコアユニット2上から脱水型51を降下させ、当該コアユニット2と一体化させるとともに、脱水型51を押圧手段52で上方から押圧する。そして、この状態で、前記供給管路53を通じて前記コンプレッサーCからの圧縮空気を成形体Aに供給する一方で、前記排出管路54を通じてスラリーの液体分を負圧吸引して排出し、湿潤状態の成形体Aを所定の含水率まで脱水する。所定時間の脱水が終了すると、押圧手段52による押圧を解除し、さらに、脱水型51を上昇させてコアユニット2から離脱させる。
【0054】そして、前記リフター58を作動させてコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル57の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター105でコアユニット2をコンベア501上に排出し、コンベア501でコアユニット2を隣の乾燥型の装着ステーション7側へ搬送する。そして、導入側のローター107でコアユニット2を装着ステーション7に導入する。
【0055】乾燥型の装着テーション7では、図5に示すように、ターンテーブル74上に載置されて周回するコアユニット2上からハンドリングユニット71を降下させ、乾燥型6を降下させる。そして、クランプ61をコアユニット2の係合溝211に係合させて両者を一体化させた後、ハンドリングユニット71を上昇させる。
【0056】そして、前記リフター75を作動させて乾燥型6を装着したコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル74の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター107でコアユニット2をコンベア701上に排出し、コンベア701でコアユニット2を隣の所定温度の乾燥ステーション8側へ搬送する。
【0057】乾燥ステーション8では、乾燥型6を装着したコアユニット2をコンベア80で蛇行するように搬送し、所定の含水率まで乾燥させる。そして、コンベア901上に排出し、コンベア901で乾燥型6を装着したコアユニット2を隣の離型・分離ステーション9側へ搬送し、導入側のローター109でコアユニット2を離型・分離ステーション9に導入する。
【0058】離型・分離ステーション9では、図6に示すように、ターンテーブル95上に載置されて周回するコアユニット2上からハンドリングユニット91を降下させ、係合溝62にアーム911を係合させる。そして、乾燥型6のクランプ61のコアユニット2との係合を解除し、ハンドリングユニット91を上昇させて乾燥型6を離型する。さらに、シリンダーユニット920を作動させて分離手段92の分離プレート921の先端部を成形体Aのフランジとコアユニット2との間に挿入し、さらにシリンダーユニット920で分離プレート921を上昇させてコアユニット2から成形体Aを分離する。
【0059】そして、前記ハンドリングユニット97の吸着盤970を成形体Aの外表面に吸着させ、成形体Aをコアユニット2から完全に分離させた後、成形体Aを上下反転させて、前記トリミングステーション11の支持アーム114に移載する。
【0060】その一方で、前記リフター96を作動させてコアユニット2のみをその台座21の底面がターンテーブル95の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、図1に示すように、排出側のローター109でコアユニット2のみを返送コンベア102上に排出し、コアユニット2を再びコンベア100における抄紙ステーション3の手前まで返送する。
【0061】さらに、ハンドリングユニット91を降下させてコアユニット2から離型した乾燥型6をローター106で返送コンベア101に排出し、前記装着ステーション7に返送し、前記ローター108で再びターンテーブル74上に導く。そして、前記ハンドリングユニット71で返送された乾燥型6を把持し、新たに導入されたコアユニットに装着する。
【0062】このように本実施形態の製造装置1では、繰り返し使用による損傷を受けやすい抄紙ネットを含むコアユニット2を循環させて使用するため、仮にネットが損傷を受けても装置全体を停止せずに製造を続け、損傷を受けたネットを具備するコアユニット2を交換することができ、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【0063】次に、本発明の第2の実施形態について図8R>8〜13を参照しながら説明する。尚、図において前記第1実施形態と共通する部分については、同一符号を付し、その説明は省略する。従って、特に説明のない部分については、前記第1実施形態に関し詳述した説明が適宜適用される。
【0064】図8に示すように、製造装置1’は、抄紙用のコアユニット2と、抄紙ステーション3’と、脱水ステーション5’と、コアユニット2に装着される乾燥型6と、乾燥型6の装着ステーション7’と、乾燥ステーション8’と、乾燥型の離型・分離ステーション9’と、コアユニット2を上向きの状態で移送する移送手段10’とを具備している。離型・分離ステーション9’は、乾燥型6の離型及び成形体Aの分離を行うステーションである。なお、前記第1実施形態同様に成形体のトリミングステーションを付設することもできる。
【0065】抄紙ステーション3’は、図9に示すように、2基の抄紙シリンダー33’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット320’が並列に固定された水平トラバース32’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えており、2列(1列に6基)のコアユニット2における各抄紙ネット22の表面にパルプ繊維を抄紙した成形体Aを各列毎に抄紙するリニア方式の抄紙設備である。
【0066】図9に示すように、抄紙ステーション3’は、抄紙ネット22へのパルプスラリーの供給管路(供給路)30’、及び前記コアユニット2における流通路200及び連通路210を通じたパルプスラリー中の液体分の排出管路(排出路)31’を備えている。供給管路30’の一端部は、各抄紙シリンダー33’に接続されており、これら各抄紙シリンダー33’内にパルプスラリーを供給することで、所定量のパルプスラリーが蓄えられ、抄紙ネット22へ万遍なくスラリーの供給を行えるようになっている。抄紙シリンダー33’には、当該抄紙シリンダー33’内への圧縮空気の供給管路(供給路)34’の一端部が接続されている。抄紙シリンダー33’は、クランプ330’を備えており、このクランプ330’の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、パッキン331’を介して抄紙シリンダー33’をコアユニット2に密着させ、抄紙時のスラリーの漏れを確実に防止できるようになっている。
【0067】図10に示すように、脱水ステーション5’は、前記抄紙ステーション3’から搬送されてくるコアユニット2の表面に抄紙された湿潤状態の成形体Aの脱水を各列毎に行うリニア方式の脱水設備であり、脱水型51’を上下動自在に支持するシリンダーユニット500’が固定された水平トラバース50’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えているとともに、脱水用の圧縮空気の供給管路53’と、脱水型51’を通じて排出される水分の排出路54’とを備えている。
【0068】脱水型51’は、前記弾性体コア20における前記流通路200に通じる複数の排出路510’を有し且つ弾性体コア20に対応する凹部511’を有している。前記脱水型51’における排出路510’は、凹部511’から略放射状に形成されている。また、凹部511’は、弾性体コア20の形状よりも大きく設けられている。このように脱水型51’の凹部511’の形状を弾性体コア20の形状よりも大きくすることで、弾性体コア20を凹部511’に押圧させて弾性変形させたときに、凹部511’の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに脱水型51’との離型がスムーズに行えるようになっている。
【0069】前記シリンダーユニット500’は、脱水型51’を昇降させるとともに、脱水時における成形体を弾性体コア20’と脱水型51’との間で押圧する押圧手段を兼ねている。
【0070】図11に示すように、乾燥型の装着ステーション7’は、2基のハンドリングユニット(ハンドリング手段)71’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット700’が並列に固定された水平トラバース70’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えており、前記脱水ステーション3’から搬送されてくる一列毎のコアユニット2に乾燥型6を装着するリニア方式の設備である。
【0071】ハンドリングユニット71’は、シリンダーユニット710’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム711’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0072】前記乾燥ステーション8’は、図8に示すように、乾燥型6を装着したコアユニット2を加熱する加熱手段(図示せず)を備えたトンネル型の乾燥機である。乾燥ステーション8’内には、一体化された乾燥型6とコアユニット2とを蛇行させながら搬送する搬送コンベア80’が配設されている。搬送コンベア80’には、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0073】離型・分離ステーション9’は、図8に示すように、乾燥型の離型ステーション90’と、成形体の分離ステーション95’とから構成されている。
【0074】離型ステーション90’は、図12に示すように、2基のハンドリングユニット(ハンドリング手段)91’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット920’が並列に固定された水平トラバース92’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて3機(同図には1機のみ図示)備えており、前記乾燥ステーション8’から搬送されてくる乾燥型6が装着されたコアユニット2から当該乾燥型6のみを離型させるリニア方式の設備である。
【0075】ハンドリングユニット91’は、前記装着ステーション7’と同様に、シリンダーユニット910’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム911’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0076】分離ステーション95’は、図13に示すように、2基のハンドリングユニット96’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット970’が並列に固定された水平トラバース97’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて3機(同図には1機のみ図示)備えているとともに、前記離型ステーション90’から搬送されてくるコアユニット2を下方より把持するハンドリングユニット98’を備えた、成形体をコアユニットから分離させるリニア方式の設備である。
【0077】ハンドリングユニット96’は、シリンダーユニット960’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム961’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0078】ハンドリングユニット98’は、シリンダーユニット980’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に上方に垂立するアーム981’を有しており、その上端部には前記コアユニット2の係合溝211に係合する爪を有している。
【0079】前記移送手段10’は、前記弾性体コア20が上向きに凸の状態のコアユニット2を移送するコンベア100’と、抄紙ネット22上に湿潤状態の成形体Aが抄紙されたコアユニット2を脱水ステーション5’に搬送するコンベア301’,302’と、成形体Aの脱水を終えたコアユニット2を乾燥型の装着ステーション7’に搬送するコンベア501’,502’と、乾燥型6が装着されたコアユニット2を乾燥ステーション8’に搬送するコンベア701’,702’と、成形体Aの乾燥を終えたコアユニット2を離型ステーション90’に搬送するコンベア901’,902’と、乾燥型6の離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送するコンベア951’,952’とを備えている。
【0080】また、移送手段10’は、コンベア701’,702’間に乾燥型6を搬送するコンベア703’と、コアユニット2から離型された乾燥型6を後述の返送コンベア101’に搬送するコンベア903’と、成形体Aと分離したコアユニット2を後述の返送コンベア102’に搬送するコンベア953’と、トリミングステーション11’に成形体Aを搬送するコンベアとを備えている。これらの各コンベアには、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0081】製造装置1’は、前記離型ステーション90’で離型した乾燥型6を前記装着ステーション7’に返送する乾燥型の返送コンベア(返送手段)101’と、分離ステーション95’で成形体Aと分離された前記コアユニット2をコンベア100’における前記抄紙ステーション3’の手前まで返送するコアユニット2の返送コンベア(返送手段)102’とを具備している。これら返送コンベア101’,102’は、前記コンベア同様に通常のコンベアを用いることができる。
【0082】製造装置1’は、所定のシーケンスプログラムを保持した制御部(図示せず)及び制御信号等の送受信回路(図示せず)を備えており、前記各ステーション及び各コンベア等の間の同期をとり、同シーケンスプログラムに従ってこれらを正しく作動させるようになっている。
【0083】次に、本実施形態のパルプモールド成形体の製造装置1’によるパルプモールド成形体の製造工程について、図8〜図13を参照しながら説明する。
【0084】先ず、図8に示すように、コアユニット2の第1列(6基)をコンベア100’によって抄紙ステーション3’内のコンベア301’,302’間の所定位置に搬送する。
【0085】次に、コアユニット2上から抄紙シリンダー33’(図9における右側列のシリンダー)を降下させ、さらにクランプ330’をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。そして、抄紙シリンダー33’をコアユニット2と共に上昇させた後、水平トラバース32’を作動させてこれらをコンベア301’上に水平(図9における右側に)移動し、さらに抄紙シリンダー33’及びコアユニット2を降下させてコンベア301’上に移載する。
【0086】そして、図9に示すように、供給管路30’を通じて前記タンクTに貯留されたパルプスラリーを抄紙シリンダー33’内に圧入する一方で、排出管路31’を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体を抄紙する。
【0087】また、その間にシリンダーユニット320’を作動させ、同図に示すように、コンベアー100’で搬送されてきたコアユニット2の第2列上から抄紙シリンダー33’を降下させる。そして、クランプ330’をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。
【0088】第1列のコアユニット2と一体化した抄紙シリンダー33’内への所定量のパルプスラリーの加圧注入が終了し、さらに抄紙が終了すると、クランプ330’による係合を解除し、抄紙シリンダー33’を上昇させて第1列のコアユニット2から離脱させる。そして、コンベア301’を作動させて湿潤状態の成形体Aが抄紙された第1列のコアユニット2を脱水ステーション5’に搬送する。
【0089】また、この間に第2列のコアユニット2と一体化させた抄紙シリンダー33’も上昇させ、さらに水平トラバース32’を作動させてこれらをコンベア302’の上方に水平(図9の左側に)移動する。そして、第2列のコアユニット2をコンベア302’上に載置し、供給管路30’を通じてパルプスラリーを抄紙シリンダー33’内に圧入する一方で、排出管路31’を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体Aを抄紙する。
【0090】この抄紙の間に、シリンダーユニットを作動させて前記第1列のコアユニットの抄紙を終えた抄紙シリンダー33’をコンベア100’で新たに搬送されてきた第3列のコアユニット2と一体化させて抄紙準備を行う。抄紙ステーション3’では、このようにして、抄紙シリンダー及びコアユニットの列による抄紙を繰り返し行う。
【0091】脱水ステーション5’では、先ず、コンベア501’を作動させて、抄紙を終えた第1列のコアユニット2を所定位置に停止させる。次に、図10に示すように、シリンダーユニット500’を作動させてコアユニット2上から脱水型51’を降下させ、成形体Aを脱水型51’の凹部511’に収容する。そして、供給管路53’を通じて圧縮空気を成形体Aに供給するとともに、水分を排出管路54’を通じて排出して脱水する。
【0092】所定時間の脱水を終えた後、シリンダーユニット500’を作動させて脱水型51’を上昇させ、コアユニット2から分離させる。そして、コンベア501’を作動させ、乾燥型の装着ステーション7’に搬送する。また、その一方において、水平トラバース50’を作動させて脱水型51’をコンベア502’の上方に水平(図10の左側に)移動し、次に搬送されてきた第2列のコアユニット2における成形体Aの脱水をコンベア502’側において行う。抄紙ステーションでは、このようにして、搬送されてくる抄紙工程を経た成形体の脱水を繰り返し行う。
【0093】装着ステーション7’では、先ず、コンベア701’を作動させて、脱水を終えた第1列のコアユニット2を所定位置に停止させる。次に、図11に示すように、コンベア703’上でシリンダーユニット700’を作動させて当該コンベア703’上に配列された乾燥型6の上からハンドリングユニット71’を降下させ、さらにシリンダーユニット710’を作動させてアーム711’の先端部の爪を当該乾燥型6の係合溝62に係合させる。そして、ハンドリングユニット711’を上昇させ、水平トラバース70’を作動させて乾燥型6をコンベア702’の上方に水平(図11の右側に)移動する。さらにハンドリングユニット711’を降下させてコンベア701’上の第1列のコアユニット2に乾燥型6を装着し、さクランプ61をコアユニット2の係合溝211に係合させて両者を一体化させる。
【0094】その間、コンベア703’上の一方のシリンダーユニット700’を作動させ、当該コンベア703’上に新たに配列された乾燥型6の上からハンドリングユニット71’を降下させる。そして、シリンダーユニット710’を作動させ、アーム711’の先端部の爪を乾燥型6の係合溝62に係合させて乾燥型6を把持する。
【0095】第1列のコアユニット2への乾燥型6の装着が完了した後、アーム711’による係合を解除し、ハンドリングユニット71’を上昇させる。そして、コンベア701’を作動させて乾燥型6を装着した第1列のコアユニット2を乾燥ステーション8’に搬送する。また、その一方で、コンベア703’上で乾燥型6を把持したハンドリングユニット711’を上昇させ、さらに水平トラバース70’を作動させて乾燥型6をコンベア702’の上方に水平(図11の左側に)移動し、シリンダーユニット700’を作動させてコンベア702’上に配設された第2列のコアユニット2の上から乾燥型6を降下させる。そして、第2列のコアユニット2に乾燥型6を装着させる。
【0096】この第2列のコアユニット2への乾燥型6の装着の間に、コンベア703’上のシリンダーユニット700’を作動させて前記第1列のコアユニット2への乾燥型6の装着を終えたハンドリングユニット71’でコンベア703’上に新たに配列された乾燥型6の把持を行い、第3列のコアユニット2への乾燥型の装着準備を行う。装着ステーション7’では、このようにして、各列のコアユニットへの乾燥型6の装着を繰り返し行う。
【0097】乾燥ステーション8’では、乾燥型6を装着したコアユニット2を搬送コンベア80’で蛇行するように搬送し、所定の含水率まで乾燥させる。そして、コンベア901’、902’上に2列に排出し、乾燥型6を装着したコアユニット2を離型ステーション90’へ搬送する。
【0098】離型ステーション90’では、先ず、図12に示すように、シリンダー920’を作動させてコンベア901’上に配列されたコアユニット2上からハンドリングユニット91’を降下させる。そして、シリンダーユニット910’を作動させて乾燥型6の係合溝62にアーム911’の先端部を係合させ、乾燥型を把持する。次に、乾燥型6のクランプ61のコアユニット2との係合を解除し、ハンドリングユニット91’を上昇させて乾燥型6を離型する。そして、コンベア901’を作動させて離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送する。
【0099】次に、水平トラバース92’を作動させて離型した乾燥型6をコンベア903’の上方に水平(図1212の左側に)に移動する。そして、シリンダーユニット910’を作動させて乾燥型6をコンベア903’上に載置し、アーム911’の係合を解除した後にハンドリングユニット91’を上昇させる。そして、コンベア903’を作動させて返送コンベア101’に搬送し、図8に示すように、当該返送コンベア101’で乾燥型6を装着ステーション7’に返送する。その一方で、もう一方のハンドリングユニット91’で、コンベア902’上に配列されたコアユニット2に装着された乾燥型6を離型する。そして、離型した乾燥型6をコンベア903’上に載置する一方で、コンベア902’を作動させて離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送する。さらに、この間にコンベア901’に配列された乾燥を終えた新たなコアユニット2から乾燥型6を離型する。離型ステーション90’ではこのようにして乾燥型6の離型を繰り返し行う。
【0100】分離ステーション95’では、先ず、コンベア951’を作動させて乾燥型6の離型を終えたコアユニット2を所定位置に配設する。次に、図13に示すように、シリンダーユニット980’を作動させてアーム981’の先端部をコンベア951’上のコアユニット2の係合溝211に係合させて把持する。その一方で、シリンダーユニット970’を作動させてコアユニット2上からハンドリングユニット96’を降下させ、さらにシリンダーユニット960’を作動させてアーム961’の先端部を成形体Aのフランジとコアユニット2の隙間に挿入する。そして、シリンダーユニット970’を作動させてハンドリングユニット96’を上昇させ、コアユニット2から成形体Aを分離する。この間にコンベア951’を作動させて成形体Aとの分離を終えたコアユニット2を、返送コンベア102’に搬送する。そして、図8に示すように、返送コンベア102’でコアユニット2を再びコンベア100’における抄紙ステーション3’の手前まで返送する。
【0101】次に、水平トラバース97’を作動させてコアユニット2から分離した成形体Aをコンベア953’上に移動し、さらにシリンダーユニット970’を作動させて成形体Aをコンベア953’上に載置する。そして、アーム961’を開いてハンドリングユニット96’を上昇させる間にコンベア953’を作動させて成形体Aをトリミングステーション(図示せず)に搬送する。その一方でコンベア952’上のシリンダーユニット970’を作動させ、ハンドリングユニット960’を降下させてコンベア952’上に搬送されたコアユニット2から成形体Aを分離する。分離ステーション95’ではこのようにしてコアユニット2からの成形体Aの分離を繰り返し行う。
【0102】このように本実施形態の製造装置1’では、繰り返し使用による損傷を受けやすい抄紙ネット22を含むコアユニット2を循環させて使用するため、仮にネットが損傷を受けても装置全体を停止せずに製造を続け、損傷を受けたネットを具備するコアユニットを交換することができ、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【0103】本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
【0104】例えば、前記実施形態では、それぞれ抄紙ステーションを2基又は1基備えたものとして説明したが、本発明は、抄紙ステーションを3基以上備えたものとすることもでき、得られる成形体を各抄紙ステーションで配合組成の異なる層を逐次抄紙した3層以上の多層構造とすることもできる。
【0105】また、前記実施形態の製造装置1におけるように、コアユニット2に対応する乾燥型6を用い、当該乾燥型6をコアユニット2に装着し、乾燥ステーションで乾燥させることが好ましいが、コアユニット2に乾燥型に装着せずに乾燥ステーションで乾燥した後、所望のトリミング等を施すようにすることもできる。また、前記実施形態では、台座21側に係合溝211を設けるとともに、乾燥型6側に係合溝211に係合する爪を有するクランプ61を備えたものとしたが、台座側にクランプを備え、脱水型又は乾燥型側に該クランプの爪が係合する係合溝を設けることもできる。また、成形体の用途に応じて、これらの係合手段を省略することもできる。
【0106】また、前記実施形態の製造装置1では、各ステーションにおけるロータリー方式の設備は、コアユニット2を4基ずつ取り扱えるようにしたが、4基未満、4基を超える数のコアユニット2を取り扱えるようにすることもできる。同様に、前記実施形態の製造装置1’では、抄紙、脱水、装着の各ステーションにおいて6基のコアユニット2を2列で、離型、分離の各ステーションにおいて3基のコアユニットを2列で取り扱えるようにしたが、6基未満又は6基を超える数のコアユニットを取り扱えるようにすることもできる。
【0107】また、成形体の用途によってトリミングが不要な場合には、前記第2実施形態におけるように、トリミングステーションを省略することもできる。
【0108】また、前記実施形態では、本発明をカップ状のパルプモールド成形体の製造装置に適用したが、本発明は、他の形状の成形体の製造装置にも適用でき、製造する成形体の形状に合わせて、コアユニット、脱水型、乾燥型の形状、成形体のトリミング箇所等を適宜変更することができることは言うまでもない。
【0109】
【発明の効果】本発明のパルプモールド成形体の製造装置によれば、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形体の製造装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】同実施形態において用いられるコアユニットの概略を示す断面図である。
【図3】同実施形態において用いられる抄紙ステーションの概略を示す要部を断面視した断面図である。
【図4】同実施形態において用いられる脱水ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図5】同実施形態において用いられる乾燥型の装着ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図6】同実施形態において用いられる乾燥型の分離ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図7】同実施形態において用いられるトリミングステーションのトリミングステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図8】本発明の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図9】同実施形態において用いられる抄紙ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図10】同実施形態において用いられる脱水ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図11】同実施形態において用いられる乾燥型の装着ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図12】同実施形態において用いられる乾燥型の離型ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図13】同実施形態において用いられる成形体の分離ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【符号の説明】
1,1’ パルプモールド成形体の製造装置
2 抄紙用のコアユニット
3,3’,4 抄紙ステーション
5,5’ 脱水ステーション
51 脱水型
6,6’ 乾燥型
7,7’ 装着ステーション
8,8’ 乾燥ステーション
9、9’ 離型・分離ステーション
10,10’ 移送手段
11,11’ トリミングステーション
A,A’ 成形体
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプモールド成形体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】パルプモールド成形体の製造装置に関する従来の技術としては、例えば特開平8−232200号公報に記載のものが知られている。この公報に記載の装置は、多層構造のパルプモールド成形体を製造する装置であり、直線上を往復運動する抄紙型と、該抄紙型の移動経路に沿って配列された複数の原料槽とを備えている。そして、この製造装置では、1個の抄紙型によって第1の原料槽から抄紙が開始され、該抄紙型が順次移動して最後の原料槽で抄紙が完了し、該抄紙型の外面に形成された成形体が乾燥工程へ受け渡された後、該抄紙型が第1の原料槽の位置に戻るという往復動作が繰り返される。
【0003】このように、従来の製造装置では、抄紙型が最初の位置に復帰するための移動時間が必要となり、1回の抄紙工程に長時間を要し、成形体の生産効率が高いとはいえなかった。
【0004】一方、複数のパルプモールド成形体を製造する製造装置として、米国特許第3,235,445号の装置が知られている。この装置は、パルプスラリーの抄造、抄造体の圧縮、抄造体の排出の3工程をローテーションとして成形体を連続的に製造するロータリー方式の製造装置である。
【0005】ところで、パルプモールド成形体の抄造工程においては、通常抄造ネット(同製造装置ではシルクスクリーン)用いて抄造が行われるが、抄造ネットは、通常繰り返し使用による損傷を受けやすいものである。このため、この製造装置では、その補修、交換等の度に装置全体を停止しなければならず、高い生産効率によるコストの低減が望まれるパルプモールド成形体の製造装置としては好ましくなかった。
【0006】従って、本発明の目的は、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造し得るパルプモールド成形体の製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の抄紙用のコアユニット、該抄紙ステーション、該脱水ステーション、該乾燥ステーション、該分離ステーション及び該コアユニットを上向きの状態で移送する移送手段を具備し、複数の該コアユニットを、抄紙ステーション、脱水ステーション、乾燥ステーションに順次移送して該コアユニットの個々の表面にパルプモールド成形体を形成するパルプモールド成形体の製造装置であって、前記コアユニットは、内部に流体の流通路を有する凸状の弾性体コアと、該流通路に連通する連通路を有し該弾性体コアを上向きに凸の状態に固定する台座と、該弾性体コアの表面を被覆する抄紙ネットとを備えているパルプモールド成形体の製造装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明のパルプモールド成形体の製造装置における第1実施形態を示したものである。図1において符号1は、パルプモールド成形体の製造装置(以下、単に製造装置ともいう。)、Aは成形体、Tはスラリータンク、Pは圧送ポンプ、Cはコンプレッサー、Vは負圧源を示している。
【0009】製造装置1は、抄紙用のコアユニット2と、抄紙ステーション3、4と、脱水ステーション5と、コアユニット2に装着される乾燥型6と、乾燥型6の装着ステーション7と、乾燥ステーション8と、離型・分離ステーション9と、コアユニット2を上向きの状態で移送する移送手段10と、トリミングステーション11とを具備している。離型・分離ステーション9は、乾燥型の離型及び成形体の分離を行うステーションである。
【0010】図2に示すように、コアユニット2は、内部に流体の流通路200を有する凸状の弾性体コア20、流通路200に連通する連通路210を有し弾性体コア20を固定する台座21及び弾性体コア20の表面を被覆する抄紙ネット22を備えている。
【0011】弾性体コア20は、成形すべき成形体の外形よりもやや小さな外形を有しており、そのフランジ20aより上方における抄紙部20bの高さは、成形する成形体の高さ(深さ)よりも大きく設けられている。弾性体コア20は、押圧により弾性変形可能な材料から構成されている。そのような材料の例としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴム系材料が挙げられる。
【0012】弾性体コア20の内部に形成された前記流通路200は、幹流通路201及び幹流通路201から分岐した複数の分岐流通路202から構成されている。分岐流通路202は、弾性体コア20の外部へ向けて放射状に形成されている。分岐流通路202の一開口端は、弾性体コア20の抄紙部20bの外表面において開口している。抄紙部20bの外表面における該開口端の開口面積の比率は、後述するパルプ繊維を主体とするの積層体からなる成形体の脱水効率、及び該成形体を押圧した場合における弾性体コア20の強度保持の点から5〜30%であることが好ましく、5〜10%であることがより好ましい。また同様に、分岐流通路202の開口端は、抄紙部20bの外表面において1cm2当たり1〜4個、特に1〜2個形成されていることが好ましい。また、分岐流通路202は、弾性体コア20が押圧によって弾性変形しても流体の通過が妨げられない程度の大きさの断面を有している。
【0013】台座21は、前記弾性体コア20が上向きに凸の状態に固定される凹部を有する有底筒状の部材である。台座21の底部の略中央部には弾性体コア20の幹流通路201と外部とを連通する前記連通路210が形成されている。この連通路210は、抄紙・脱水時における流体(スラリーの液体分及び吸排気)の流路となるほか、後述する各ステーション内におけるコアユニット2の位置決め用の孔としても用いられる。また、台座21の外周には、後述する乾燥型6のクランプ61の先端部が係合される係合溝(係合手段)211が形成されている。弾性体コア20は、台座21の底面部に着脱自在なように、例えばネジ止め等により取付られている。
【0014】抄紙ネット22は、弾性体コア20の弾性変形に追従して変形し得る伸縮可能な材料(例えば合成樹脂繊維ネット)から形成されている。抄紙ネット22は、パルプスラリー中の水分は通過させるがパルプ繊維は通過させない程度の網目を有する。この網目の大きさは10〜80メッシュ、特に30〜50メッシュであることが、抄紙性及びパルプ繊維の目詰まり防止等の点から好ましい。また、抄紙ネット22は、これを弾性体コア20の外表面に密着被覆させた状態での平均開孔面積率が10〜80%、特に20〜40%であることが吸水性、通気性及び強度の点から好ましい。抄紙ネット22は、その周縁部を弾性体コア20と台座21の隙間に狭持させることで固定されている。
【0015】コアユニット2が組み立てられた状態においては、流通路200、連通路210及び抄紙ネット22が連通して、コアユニット2の外部より内部へ通じる流路が形成される。
【0016】抄紙ステーション3は、図3に示すように、抄紙ネット22へのパルプスラリーの供給管路(供給路)30、コアユニット2における流通路200及び連通路210を通じたパルプスラリー中の液体分の排出管路(排出路)31、及びコアユニット2を垂直軸周りに周回させながら抄紙を行わせるコアユニット2の回動手段32を備えており、コアユニット2における抄紙ネット22の表面にパルプ繊維の成形体A’を抄紙するように設けられたロータリー方式の抄紙設備である。
【0017】供給管路30の先端には、抄紙シリンダー33が接続されており、この抄紙シリンダー33内にパルプスラリーを供給することで、所定量のパルプスラリーが蓄えられ、抄紙ネット22へ万遍なくスラリーの供給を行えるようになっている。抄紙シリンダー33には、当該抄紙シリンダー33内への圧縮空気の供給管路(供給路)34の一端部が接続されている。抄紙シリンダー33は、クランプ330を備えており、このクランプ330の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、パッキン331を介して抄紙シリンダー33をコアユニット2に密着させ、抄紙時のスラリーの漏れを確実に防止できるようになっている。シリンダー33は、モーター駆動の上下動機構332により上下動自在に設けられている。
【0018】回動手段32は、ベースBに設置された駆動ユニット35と、駆動ユニット35によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト36と、回転シャフト36の下方部に固定されて回転シャフト36と共に回転するターンテーブル37とから構成されている。ターンテーブル37の下方には、コアユニット2をターンテーブル37から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター38が配設されている。リフター38は、回転シャフト36の下方部に固定されたモーター駆動の上下動機構380によって上下動自在に設けられている。
【0019】回転シャフト36の上方部には、分岐ユニット361を備えたロータリージョイント360が取り付けられており、分岐ユニット361に、前記供給管路30,34及び排出管路31の他端部が接続されている。ロータリージョイント360には、前記スラリータンクT、負圧源V及びコンプレッサーCに通じる管路300,310,340が接続されている。
【0020】ターンテーブル37には、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部37aが設けられている。凹部37aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔37bが設けられており、この貫通孔37bに前記排出路31の一端が接続されている。また貫通孔37bの周りには、リフター38のピン38aが挿通できるように挿通孔37cが設けられている。
【0021】図1に示すように、製造装置1は、抄紙ステーション3で抄紙された成形体A’に続けて別のパルプ繊維をさらに抄紙した成形体Aを形成するための抄紙ステーション4を備えている。抄紙ステーション4は、抄紙ステーション3と同様の構成を有しているので、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0022】図4に示すように、脱水ステーション5は、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながら成形体の脱水を行わせるコアユニット2の回動手段50と、前記弾性体コア20における流通路200に通じる複数の排出路510を有し且つ弾性体コア20に対応する凹部511を有する脱水型51と、前記抄紙ネット22の表面に抄紙された湿潤状態の成形体Aを弾性体コア20と脱水型51との間で押圧する押圧手段52と、抄紙した成形体Aへの圧縮空気の供給管路53と、脱水型51を通じて排出される水分の吸引排出路54とを備えたロータリー方式の抄紙設備である。
【0023】前記回動手段50は、ベースBに設置された駆動ユニット55と、駆動ユニット55によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト56と、回転シャフト56の下方部に固定されて回転シャフト56と共に回転するターンテーブル57とを備えている。ターンテーブル57の下方には、コアユニット2をターンテーブル57から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター58が配設されている。リフター58は、回転シャフト56の下方部に固定されたモーター駆動の上下動機構580によって上下動自在に設けられている。
【0024】前記回転シャフト56の上方部には、分岐ユニット561を備えたロータリージョイント560が取り付けられており、この分岐ユニット561に、前記供給管路53及び排出管路54の他端部が接続されている。また、ロータリージョイント560には、前記負圧源V及びコンプレッサーCに通じる管路530,540が接続されている。
【0025】ターンテーブル57には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部57aが設けられている。凹部57aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔57bが設けられており、この貫通孔57bに前記供給管路53の一端が接続されている。また貫通孔57bの周りには、リフター58のピン58aが挿通できるように挿通孔57cが設けられている。
【0026】前記脱水型51における排出路510は、凹部511から略放射状に形成されている。また、凹部511は、コアユニット2における弾性体コア20の形状よりも大きく設けられている。このように脱水型51の凹部511の形状を弾性体コア20の形状よりも大きくすることで、弾性体コア20を凹部511に押圧させて弾性変形させたときに、凹部511の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに脱水型51との離型がスムーズに行えるようになっている。脱水型51は、回転シャフト56に取り付けられたモーター駆動の上下動機構512により上下動自在に設けられている。
【0027】前記押圧手段52は、回転シャフト56に固定されたフランジ562に固定されたシリンダーユニットで構成されており、当該ユニットのロッド520の先端部で、脱水型51の上下動機構512への固定部材513を押圧することによって、当該脱水型51を上方より押圧できるようになっている。
【0028】前記乾燥型6は、図5に示すように、成形する成形体の外形形状に対応した内面形状の凹部60を有する金属製の金型である。凹部60の形状は、前記脱水型51と同様に、弾性体コア20の形状よりも大きく形成されており、凹部60の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに乾燥型6との離型がスムーズに行えるようになっている。乾燥型6は、クランプ(係合手段)61を備えており、このクランプ61の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、弾性体コア20の押圧状態を保ったまま当該乾燥型6とコアユニット2とを一体化できるようになっている。そして、両者をこのように押圧状態を保ったまま一体化させることで、後述の乾燥ステーション8内を移動する際に乾燥型6を通じた熱伝達が効率良く行え前記成形体Aを早く乾燥できるようになっている。また、乾燥型6の上部の外周面には、係合溝62が設けられており、後述する装着ステーション7のハンドリングユニット71の先端部をこの係合溝62に係合させて当該乾燥型6をハンドリングできるようになっている。
【0029】図5に示すように、前記装着ステーション7は、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながらコアユニット2に乾燥型6を装着させる回動手段70と、乾燥型6のハンドリングユニット(ハンドリング手段)71とを備えたロータリー方式の設備である。
【0030】回動手段70は、ベースBに設置された駆動ユニット72と、駆動ユニット72によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト73と、回転シャフト73の下方部に固定されて回転シャフト73と共に回転するターンテーブル74とを備えている。ターンテーブル74の下方には、コアユニット2をターンテーブル74から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター75が配設されている。リフター75は、回転シャフト73に取り付けられたモーター駆動の上下動機構750により昇降自在に設けられている。
【0031】ターンテーブル74には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部74aが設けられている。凹部74aには、前記台座21の連通路210に通じる貫通孔74bが設けられており、貫通孔74bの周りには、リフター75のピン75aが挿通できるように挿通孔74cが設けられている。
【0032】ハンドリングユニット71は、シリンダーユニット710により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム711を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。ハンドリングユニット71は、モーター駆動の上下動機構712の固定部材713に固定されており、この上下動機構712によりハンドリングユニット71を上下動させて乾燥型6を昇降できるようになっている。
【0033】また、装着ステーション7には、図1に示すように、後述の返送コンベア101で返送されてきた乾燥型6を再び当該装着ステーション7に導入するローター108が付設されている。
【0034】前記乾燥ステーション8は、図1に示すように、乾燥型6を装着したコアユニット2を加熱する加熱手段(図示せず)を備えたトンネル型の乾燥機である。乾燥ステーション8内には、一体化された乾燥型6とコアユニット2とを蛇行させながら搬送する搬送コンベア80が配設されている。搬送コンベア80には、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0035】離型・分離ステーション9は、図6に示すように、コアユニット2を垂直軸周りに周回させながら、コアユニット2から乾燥型6を分離させた後に成形体Aをコアユニット2から離型させるコアユニット2の回動手段90と、コアユニット2に装着された乾燥型6をコアユニット2から離型する乾燥型のハンドリングユニット(乾燥型の離型手段)91と、成形体Aをコアユニット2から分離する分離手段92とを備えている。
【0036】前記回動手段90は、ベースに設置された駆動ユニット93と、駆動ユニット93によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト94と、回転シャフト94の下方部に固定されて回転シャフト94と共に回転するターンテーブル95とを備えている。ターンテーブル95の下方には、コアユニット2をターンテーブル95から離脱させる際に当該コアユニット2を上昇させるリフター96が配設されている。リフター96は、回転シャフト94に取り付けられたモーター駆動の上下動機構960により昇降自在に設けられている。
【0037】ターンテーブル94には、前記抄紙ステーション3と同様に、前記コアユニット2が所定位置に位置決めされて載置されるように凹部94aが設けられている。また、凹部94aには、リフター96のピン96aが挿通できるように挿通孔94cが設けられている。
【0038】ハンドリングユニット91は、シリンダーユニット910により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム911を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。ハンドリングユニット91は、モーター駆動の上下動機構912の固定部材913に固定されており、この上下動機構912により乾燥型6を昇降できるようになっている。
【0039】分離手段92は、回転シャフト94の下方部に固定された直交する2軸への駆動が可能なシリンダーユニット920と、このシリンダーユニット920によって昇降及び水平移動が可能な分離プレート921とを備えている。分離プレート921の先端部は、成形体Aのフランジ部に対応した半円弧状で先薄に形成されている。そして、この分離プレート921の先端部を成形体Aのフランジ部とコアユニット2との隙間に挿入し、当該分離プレート921を上昇させることで、両者を分離できるようになっている。
【0040】離型・分離ステーション9には、コアユニット2から分離された成形体Aのハンドリングユニット97が付設されている。このハンドリングユニット97は、成形体Aの外周面に当接して当該成形体Aを負圧吸着する吸着盤970と、吸着盤970を水平移動させるシリンダーユニット971と、シリンダーユニット971を水平軸周りに回転させるロータリーアクチュエータ972と、ロータリーアクチュエータ972を上下動させるシリンダーユニット973と、シリンダーユニット973を鉛直軸周りに回転させるロータリーユニット974とを備えており、吸着した成形体Aを上下に反転させた後に、当該成形体Aを後述するトリミングステーション11の支持アーム114に移載できるようになっている。
【0041】前記移送手段10は、前記弾性体コア20を上向きに凸の状態でユニット2を移送するコンベア100,301,401,501,701と、これらのコンベアから前記抄紙、脱水、装着、離型の各ステーションへの導入及び各ステーション3〜9から前記各コンベアへの排出を行う一対のローター103〜109とを備えている。前記各コンベアには、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0042】製造装置1は、前記離型ステーション9で離型した乾燥型6を前記装着ステーション7に返送する乾燥型の返送コンベア(返送手段)101と、前記離型・分離ステーション9で成形体Aと分離された前記コアユニット2をコンベア100における前記抄紙ステーション3の手前まで返送するコアユニット2の返送コンベア(返送手段)102とを具備している。これら返送コンベア101,102は、前記コンベア同様に通常のコンベアを用いることができる。
【0043】図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、乾燥した成形体Aのトリミングを行うトリミングステーション11を備えている。このトリミングステーション11は、図7に示すように、乾燥工程を経て移送されてきた成形体Aを垂直軸周りに周回させる間にトリミングを行う設備であり、成形体Aを垂直軸周りに周回させる回動手段110と、成形体Aのフランジの周縁部をトリミングするカッター111とを備えている。
【0044】前記回動手段110は、ベースBに設置された駆動ユニット112と、駆動ユニット112によって垂直に且つ軸周りに回転自在に支持された回転シャフト113と、回転シャフト113の下方部に固定されて回転シャフト113と共に回転する支持アーム114とを備えている。また、支持アーム114の下方には、成形体Aを支持アーム114から離脱させる際に当該成形体Aを上昇させるリフター115が配設されている。リフター115は、シリンダーユニットで構成されており、当該シリンダーユニットは、回転シャフト113の下方部に固定された支持部材116に垂直に支持されている。
【0045】カッター111は、シリンダーユニット117のロッドの先端部に取り付けられており、シリンダーユニット117は、回転シャフト113の上方部に固定された支持部材118に垂直に支持されている。そして、カッター111が、支持アーム114に支持された成形体Aの上方において上下動できるように設けられている。
【0046】トリミングステーション11には、図1に示すように、前記ハンドリングユニット97と同様のハンドリングユニット119が付設されており、トリミングを行った成形体Aを梱包ステーション(図示せず)に搬送するコンベア120に移載できるようになっている。
【0047】製造装置1は、所定のシーケンスプログラムを保持した制御部(図示せず)及び制御信号等の送受信回路(図示せず)を備えており、前記各ステーション、各コンベア、及びローター等の間の同期をとり、同シーケンスプログラムに従ってこれらを正しく作動させるようになっている。
【0048】次に、本実施形態のパルプモールド成形体の製造装置1によるパルプモールド成形体の製造工程について説明する。
【0049】先ず、図1に示すように、コアユニット2をコンベア100によって抄紙ステーション3に搬送する。そして、導入側のローター103で当該コアユニット2をターンテーブル37上に導く。
【0050】次に、図3に示すように、ターンテーブル37上に載置されて周回するコアユニット2上から抄紙シリンダー33を降下させ、さらにクランプ330をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。そして、前記供給管路30を通じてタンクTに貯留されたパルプスラリーをシリンダー33内に圧入する一方で、排出管路31を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体A’を抄紙する。所定量のパルプスラリーの注入による抄紙が終了すると、クランプ330の係合を解除し、抄紙シリンダー33を上昇させてコアユニット2から離脱させる。
【0051】そして、前記リフター38を作動させてコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル37の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター103でコアユニット2をコンベア301上に排出し、コンベア301でコアユニット2を隣の抄紙ステーション4へ搬送する。そして、導入側のローター104で当該コアユニット2をターンテーブル上に導く。
【0052】抄紙ステーション4では、抄紙ステーション3におけると同様に抄紙を行い、前記成形体A’の上にさらに別の繊維層を抄紙した成形体A形成する。そして、図1に示すように、コアユニット2を排出側のローター104でコンベア401に排出し、コンベア401で隣の脱水ステーション5側に搬送する。そして、導入側のローター105でコアユニット2を脱水ステーション5に導入する。
【0053】脱水ステーション5では、図4に示すように、ターンテーブル57上に載置されて周回するコアユニット2上から脱水型51を降下させ、当該コアユニット2と一体化させるとともに、脱水型51を押圧手段52で上方から押圧する。そして、この状態で、前記供給管路53を通じて前記コンプレッサーCからの圧縮空気を成形体Aに供給する一方で、前記排出管路54を通じてスラリーの液体分を負圧吸引して排出し、湿潤状態の成形体Aを所定の含水率まで脱水する。所定時間の脱水が終了すると、押圧手段52による押圧を解除し、さらに、脱水型51を上昇させてコアユニット2から離脱させる。
【0054】そして、前記リフター58を作動させてコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル57の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター105でコアユニット2をコンベア501上に排出し、コンベア501でコアユニット2を隣の乾燥型の装着ステーション7側へ搬送する。そして、導入側のローター107でコアユニット2を装着ステーション7に導入する。
【0055】乾燥型の装着テーション7では、図5に示すように、ターンテーブル74上に載置されて周回するコアユニット2上からハンドリングユニット71を降下させ、乾燥型6を降下させる。そして、クランプ61をコアユニット2の係合溝211に係合させて両者を一体化させた後、ハンドリングユニット71を上昇させる。
【0056】そして、前記リフター75を作動させて乾燥型6を装着したコアユニット2をその台座21の底面がターンテーブル74の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、排出側のローター107でコアユニット2をコンベア701上に排出し、コンベア701でコアユニット2を隣の所定温度の乾燥ステーション8側へ搬送する。
【0057】乾燥ステーション8では、乾燥型6を装着したコアユニット2をコンベア80で蛇行するように搬送し、所定の含水率まで乾燥させる。そして、コンベア901上に排出し、コンベア901で乾燥型6を装着したコアユニット2を隣の離型・分離ステーション9側へ搬送し、導入側のローター109でコアユニット2を離型・分離ステーション9に導入する。
【0058】離型・分離ステーション9では、図6に示すように、ターンテーブル95上に載置されて周回するコアユニット2上からハンドリングユニット91を降下させ、係合溝62にアーム911を係合させる。そして、乾燥型6のクランプ61のコアユニット2との係合を解除し、ハンドリングユニット91を上昇させて乾燥型6を離型する。さらに、シリンダーユニット920を作動させて分離手段92の分離プレート921の先端部を成形体Aのフランジとコアユニット2との間に挿入し、さらにシリンダーユニット920で分離プレート921を上昇させてコアユニット2から成形体Aを分離する。
【0059】そして、前記ハンドリングユニット97の吸着盤970を成形体Aの外表面に吸着させ、成形体Aをコアユニット2から完全に分離させた後、成形体Aを上下反転させて、前記トリミングステーション11の支持アーム114に移載する。
【0060】その一方で、前記リフター96を作動させてコアユニット2のみをその台座21の底面がターンテーブル95の上面と面一となるまでリフトアップする。この状態で、図1に示すように、排出側のローター109でコアユニット2のみを返送コンベア102上に排出し、コアユニット2を再びコンベア100における抄紙ステーション3の手前まで返送する。
【0061】さらに、ハンドリングユニット91を降下させてコアユニット2から離型した乾燥型6をローター106で返送コンベア101に排出し、前記装着ステーション7に返送し、前記ローター108で再びターンテーブル74上に導く。そして、前記ハンドリングユニット71で返送された乾燥型6を把持し、新たに導入されたコアユニットに装着する。
【0062】このように本実施形態の製造装置1では、繰り返し使用による損傷を受けやすい抄紙ネットを含むコアユニット2を循環させて使用するため、仮にネットが損傷を受けても装置全体を停止せずに製造を続け、損傷を受けたネットを具備するコアユニット2を交換することができ、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【0063】次に、本発明の第2の実施形態について図8R>8〜13を参照しながら説明する。尚、図において前記第1実施形態と共通する部分については、同一符号を付し、その説明は省略する。従って、特に説明のない部分については、前記第1実施形態に関し詳述した説明が適宜適用される。
【0064】図8に示すように、製造装置1’は、抄紙用のコアユニット2と、抄紙ステーション3’と、脱水ステーション5’と、コアユニット2に装着される乾燥型6と、乾燥型6の装着ステーション7’と、乾燥ステーション8’と、乾燥型の離型・分離ステーション9’と、コアユニット2を上向きの状態で移送する移送手段10’とを具備している。離型・分離ステーション9’は、乾燥型6の離型及び成形体Aの分離を行うステーションである。なお、前記第1実施形態同様に成形体のトリミングステーションを付設することもできる。
【0065】抄紙ステーション3’は、図9に示すように、2基の抄紙シリンダー33’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット320’が並列に固定された水平トラバース32’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えており、2列(1列に6基)のコアユニット2における各抄紙ネット22の表面にパルプ繊維を抄紙した成形体Aを各列毎に抄紙するリニア方式の抄紙設備である。
【0066】図9に示すように、抄紙ステーション3’は、抄紙ネット22へのパルプスラリーの供給管路(供給路)30’、及び前記コアユニット2における流通路200及び連通路210を通じたパルプスラリー中の液体分の排出管路(排出路)31’を備えている。供給管路30’の一端部は、各抄紙シリンダー33’に接続されており、これら各抄紙シリンダー33’内にパルプスラリーを供給することで、所定量のパルプスラリーが蓄えられ、抄紙ネット22へ万遍なくスラリーの供給を行えるようになっている。抄紙シリンダー33’には、当該抄紙シリンダー33’内への圧縮空気の供給管路(供給路)34’の一端部が接続されている。抄紙シリンダー33’は、クランプ330’を備えており、このクランプ330’の先端部を前記台座21の係合溝211に係合させることで、パッキン331’を介して抄紙シリンダー33’をコアユニット2に密着させ、抄紙時のスラリーの漏れを確実に防止できるようになっている。
【0067】図10に示すように、脱水ステーション5’は、前記抄紙ステーション3’から搬送されてくるコアユニット2の表面に抄紙された湿潤状態の成形体Aの脱水を各列毎に行うリニア方式の脱水設備であり、脱水型51’を上下動自在に支持するシリンダーユニット500’が固定された水平トラバース50’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えているとともに、脱水用の圧縮空気の供給管路53’と、脱水型51’を通じて排出される水分の排出路54’とを備えている。
【0068】脱水型51’は、前記弾性体コア20における前記流通路200に通じる複数の排出路510’を有し且つ弾性体コア20に対応する凹部511’を有している。前記脱水型51’における排出路510’は、凹部511’から略放射状に形成されている。また、凹部511’は、弾性体コア20の形状よりも大きく設けられている。このように脱水型51’の凹部511’の形状を弾性体コア20の形状よりも大きくすることで、弾性体コア20を凹部511’に押圧させて弾性変形させたときに、凹部511’の内面形状を成形体Aに精度良く転写できるとともに、押圧力が緩められて弾性体コア20が弾性復元したときに脱水型51’との離型がスムーズに行えるようになっている。
【0069】前記シリンダーユニット500’は、脱水型51’を昇降させるとともに、脱水時における成形体を弾性体コア20’と脱水型51’との間で押圧する押圧手段を兼ねている。
【0070】図11に示すように、乾燥型の装着ステーション7’は、2基のハンドリングユニット(ハンドリング手段)71’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット700’が並列に固定された水平トラバース70’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて6機(同図には1機のみ図示)備えており、前記脱水ステーション3’から搬送されてくる一列毎のコアユニット2に乾燥型6を装着するリニア方式の設備である。
【0071】ハンドリングユニット71’は、シリンダーユニット710’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム711’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0072】前記乾燥ステーション8’は、図8に示すように、乾燥型6を装着したコアユニット2を加熱する加熱手段(図示せず)を備えたトンネル型の乾燥機である。乾燥ステーション8’内には、一体化された乾燥型6とコアユニット2とを蛇行させながら搬送する搬送コンベア80’が配設されている。搬送コンベア80’には、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0073】離型・分離ステーション9’は、図8に示すように、乾燥型の離型ステーション90’と、成形体の分離ステーション95’とから構成されている。
【0074】離型ステーション90’は、図12に示すように、2基のハンドリングユニット(ハンドリング手段)91’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット920’が並列に固定された水平トラバース92’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて3機(同図には1機のみ図示)備えており、前記乾燥ステーション8’から搬送されてくる乾燥型6が装着されたコアユニット2から当該乾燥型6のみを離型させるリニア方式の設備である。
【0075】ハンドリングユニット91’は、前記装着ステーション7’と同様に、シリンダーユニット910’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム911’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0076】分離ステーション95’は、図13に示すように、2基のハンドリングユニット96’を上下動自在に支持する2本のシリンダーユニット970’が並列に固定された水平トラバース97’を、コアユニット2の搬送方向に所定間隔をおいて3機(同図には1機のみ図示)備えているとともに、前記離型ステーション90’から搬送されてくるコアユニット2を下方より把持するハンドリングユニット98’を備えた、成形体をコアユニットから分離させるリニア方式の設備である。
【0077】ハンドリングユニット96’は、シリンダーユニット960’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に下方に垂下するアーム961’を有しており、その下端部には前記乾燥型6の係合溝62に係合する爪を有している。
【0078】ハンドリングユニット98’は、シリンダーユニット980’により水平方向に伸縮する2本のロッドの先端部に上方に垂立するアーム981’を有しており、その上端部には前記コアユニット2の係合溝211に係合する爪を有している。
【0079】前記移送手段10’は、前記弾性体コア20が上向きに凸の状態のコアユニット2を移送するコンベア100’と、抄紙ネット22上に湿潤状態の成形体Aが抄紙されたコアユニット2を脱水ステーション5’に搬送するコンベア301’,302’と、成形体Aの脱水を終えたコアユニット2を乾燥型の装着ステーション7’に搬送するコンベア501’,502’と、乾燥型6が装着されたコアユニット2を乾燥ステーション8’に搬送するコンベア701’,702’と、成形体Aの乾燥を終えたコアユニット2を離型ステーション90’に搬送するコンベア901’,902’と、乾燥型6の離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送するコンベア951’,952’とを備えている。
【0080】また、移送手段10’は、コンベア701’,702’間に乾燥型6を搬送するコンベア703’と、コアユニット2から離型された乾燥型6を後述の返送コンベア101’に搬送するコンベア903’と、成形体Aと分離したコアユニット2を後述の返送コンベア102’に搬送するコンベア953’と、トリミングステーション11’に成形体Aを搬送するコンベアとを備えている。これらの各コンベアには、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の通常のコンベアを用いることができる。
【0081】製造装置1’は、前記離型ステーション90’で離型した乾燥型6を前記装着ステーション7’に返送する乾燥型の返送コンベア(返送手段)101’と、分離ステーション95’で成形体Aと分離された前記コアユニット2をコンベア100’における前記抄紙ステーション3’の手前まで返送するコアユニット2の返送コンベア(返送手段)102’とを具備している。これら返送コンベア101’,102’は、前記コンベア同様に通常のコンベアを用いることができる。
【0082】製造装置1’は、所定のシーケンスプログラムを保持した制御部(図示せず)及び制御信号等の送受信回路(図示せず)を備えており、前記各ステーション及び各コンベア等の間の同期をとり、同シーケンスプログラムに従ってこれらを正しく作動させるようになっている。
【0083】次に、本実施形態のパルプモールド成形体の製造装置1’によるパルプモールド成形体の製造工程について、図8〜図13を参照しながら説明する。
【0084】先ず、図8に示すように、コアユニット2の第1列(6基)をコンベア100’によって抄紙ステーション3’内のコンベア301’,302’間の所定位置に搬送する。
【0085】次に、コアユニット2上から抄紙シリンダー33’(図9における右側列のシリンダー)を降下させ、さらにクランプ330’をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。そして、抄紙シリンダー33’をコアユニット2と共に上昇させた後、水平トラバース32’を作動させてこれらをコンベア301’上に水平(図9における右側に)移動し、さらに抄紙シリンダー33’及びコアユニット2を降下させてコンベア301’上に移載する。
【0086】そして、図9に示すように、供給管路30’を通じて前記タンクTに貯留されたパルプスラリーを抄紙シリンダー33’内に圧入する一方で、排出管路31’を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体を抄紙する。
【0087】また、その間にシリンダーユニット320’を作動させ、同図に示すように、コンベアー100’で搬送されてきたコアユニット2の第2列上から抄紙シリンダー33’を降下させる。そして、クランプ330’をコアユニット2の係合溝211に係合させて当該コアユニット2と一体化させる。
【0088】第1列のコアユニット2と一体化した抄紙シリンダー33’内への所定量のパルプスラリーの加圧注入が終了し、さらに抄紙が終了すると、クランプ330’による係合を解除し、抄紙シリンダー33’を上昇させて第1列のコアユニット2から離脱させる。そして、コンベア301’を作動させて湿潤状態の成形体Aが抄紙された第1列のコアユニット2を脱水ステーション5’に搬送する。
【0089】また、この間に第2列のコアユニット2と一体化させた抄紙シリンダー33’も上昇させ、さらに水平トラバース32’を作動させてこれらをコンベア302’の上方に水平(図9の左側に)移動する。そして、第2列のコアユニット2をコンベア302’上に載置し、供給管路30’を通じてパルプスラリーを抄紙シリンダー33’内に圧入する一方で、排出管路31’を通じてスラリーの液体分を排出し、抄紙ネット22の表面に成形体Aを抄紙する。
【0090】この抄紙の間に、シリンダーユニットを作動させて前記第1列のコアユニットの抄紙を終えた抄紙シリンダー33’をコンベア100’で新たに搬送されてきた第3列のコアユニット2と一体化させて抄紙準備を行う。抄紙ステーション3’では、このようにして、抄紙シリンダー及びコアユニットの列による抄紙を繰り返し行う。
【0091】脱水ステーション5’では、先ず、コンベア501’を作動させて、抄紙を終えた第1列のコアユニット2を所定位置に停止させる。次に、図10に示すように、シリンダーユニット500’を作動させてコアユニット2上から脱水型51’を降下させ、成形体Aを脱水型51’の凹部511’に収容する。そして、供給管路53’を通じて圧縮空気を成形体Aに供給するとともに、水分を排出管路54’を通じて排出して脱水する。
【0092】所定時間の脱水を終えた後、シリンダーユニット500’を作動させて脱水型51’を上昇させ、コアユニット2から分離させる。そして、コンベア501’を作動させ、乾燥型の装着ステーション7’に搬送する。また、その一方において、水平トラバース50’を作動させて脱水型51’をコンベア502’の上方に水平(図10の左側に)移動し、次に搬送されてきた第2列のコアユニット2における成形体Aの脱水をコンベア502’側において行う。抄紙ステーションでは、このようにして、搬送されてくる抄紙工程を経た成形体の脱水を繰り返し行う。
【0093】装着ステーション7’では、先ず、コンベア701’を作動させて、脱水を終えた第1列のコアユニット2を所定位置に停止させる。次に、図11に示すように、コンベア703’上でシリンダーユニット700’を作動させて当該コンベア703’上に配列された乾燥型6の上からハンドリングユニット71’を降下させ、さらにシリンダーユニット710’を作動させてアーム711’の先端部の爪を当該乾燥型6の係合溝62に係合させる。そして、ハンドリングユニット711’を上昇させ、水平トラバース70’を作動させて乾燥型6をコンベア702’の上方に水平(図11の右側に)移動する。さらにハンドリングユニット711’を降下させてコンベア701’上の第1列のコアユニット2に乾燥型6を装着し、さクランプ61をコアユニット2の係合溝211に係合させて両者を一体化させる。
【0094】その間、コンベア703’上の一方のシリンダーユニット700’を作動させ、当該コンベア703’上に新たに配列された乾燥型6の上からハンドリングユニット71’を降下させる。そして、シリンダーユニット710’を作動させ、アーム711’の先端部の爪を乾燥型6の係合溝62に係合させて乾燥型6を把持する。
【0095】第1列のコアユニット2への乾燥型6の装着が完了した後、アーム711’による係合を解除し、ハンドリングユニット71’を上昇させる。そして、コンベア701’を作動させて乾燥型6を装着した第1列のコアユニット2を乾燥ステーション8’に搬送する。また、その一方で、コンベア703’上で乾燥型6を把持したハンドリングユニット711’を上昇させ、さらに水平トラバース70’を作動させて乾燥型6をコンベア702’の上方に水平(図11の左側に)移動し、シリンダーユニット700’を作動させてコンベア702’上に配設された第2列のコアユニット2の上から乾燥型6を降下させる。そして、第2列のコアユニット2に乾燥型6を装着させる。
【0096】この第2列のコアユニット2への乾燥型6の装着の間に、コンベア703’上のシリンダーユニット700’を作動させて前記第1列のコアユニット2への乾燥型6の装着を終えたハンドリングユニット71’でコンベア703’上に新たに配列された乾燥型6の把持を行い、第3列のコアユニット2への乾燥型の装着準備を行う。装着ステーション7’では、このようにして、各列のコアユニットへの乾燥型6の装着を繰り返し行う。
【0097】乾燥ステーション8’では、乾燥型6を装着したコアユニット2を搬送コンベア80’で蛇行するように搬送し、所定の含水率まで乾燥させる。そして、コンベア901’、902’上に2列に排出し、乾燥型6を装着したコアユニット2を離型ステーション90’へ搬送する。
【0098】離型ステーション90’では、先ず、図12に示すように、シリンダー920’を作動させてコンベア901’上に配列されたコアユニット2上からハンドリングユニット91’を降下させる。そして、シリンダーユニット910’を作動させて乾燥型6の係合溝62にアーム911’の先端部を係合させ、乾燥型を把持する。次に、乾燥型6のクランプ61のコアユニット2との係合を解除し、ハンドリングユニット91’を上昇させて乾燥型6を離型する。そして、コンベア901’を作動させて離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送する。
【0099】次に、水平トラバース92’を作動させて離型した乾燥型6をコンベア903’の上方に水平(図1212の左側に)に移動する。そして、シリンダーユニット910’を作動させて乾燥型6をコンベア903’上に載置し、アーム911’の係合を解除した後にハンドリングユニット91’を上昇させる。そして、コンベア903’を作動させて返送コンベア101’に搬送し、図8に示すように、当該返送コンベア101’で乾燥型6を装着ステーション7’に返送する。その一方で、もう一方のハンドリングユニット91’で、コンベア902’上に配列されたコアユニット2に装着された乾燥型6を離型する。そして、離型した乾燥型6をコンベア903’上に載置する一方で、コンベア902’を作動させて離型を終えたコアユニット2を分離ステーション95’に搬送する。さらに、この間にコンベア901’に配列された乾燥を終えた新たなコアユニット2から乾燥型6を離型する。離型ステーション90’ではこのようにして乾燥型6の離型を繰り返し行う。
【0100】分離ステーション95’では、先ず、コンベア951’を作動させて乾燥型6の離型を終えたコアユニット2を所定位置に配設する。次に、図13に示すように、シリンダーユニット980’を作動させてアーム981’の先端部をコンベア951’上のコアユニット2の係合溝211に係合させて把持する。その一方で、シリンダーユニット970’を作動させてコアユニット2上からハンドリングユニット96’を降下させ、さらにシリンダーユニット960’を作動させてアーム961’の先端部を成形体Aのフランジとコアユニット2の隙間に挿入する。そして、シリンダーユニット970’を作動させてハンドリングユニット96’を上昇させ、コアユニット2から成形体Aを分離する。この間にコンベア951’を作動させて成形体Aとの分離を終えたコアユニット2を、返送コンベア102’に搬送する。そして、図8に示すように、返送コンベア102’でコアユニット2を再びコンベア100’における抄紙ステーション3’の手前まで返送する。
【0101】次に、水平トラバース97’を作動させてコアユニット2から分離した成形体Aをコンベア953’上に移動し、さらにシリンダーユニット970’を作動させて成形体Aをコンベア953’上に載置する。そして、アーム961’を開いてハンドリングユニット96’を上昇させる間にコンベア953’を作動させて成形体Aをトリミングステーション(図示せず)に搬送する。その一方でコンベア952’上のシリンダーユニット970’を作動させ、ハンドリングユニット960’を降下させてコンベア952’上に搬送されたコアユニット2から成形体Aを分離する。分離ステーション95’ではこのようにしてコアユニット2からの成形体Aの分離を繰り返し行う。
【0102】このように本実施形態の製造装置1’では、繰り返し使用による損傷を受けやすい抄紙ネット22を含むコアユニット2を循環させて使用するため、仮にネットが損傷を受けても装置全体を停止せずに製造を続け、損傷を受けたネットを具備するコアユニットを交換することができ、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【0103】本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
【0104】例えば、前記実施形態では、それぞれ抄紙ステーションを2基又は1基備えたものとして説明したが、本発明は、抄紙ステーションを3基以上備えたものとすることもでき、得られる成形体を各抄紙ステーションで配合組成の異なる層を逐次抄紙した3層以上の多層構造とすることもできる。
【0105】また、前記実施形態の製造装置1におけるように、コアユニット2に対応する乾燥型6を用い、当該乾燥型6をコアユニット2に装着し、乾燥ステーションで乾燥させることが好ましいが、コアユニット2に乾燥型に装着せずに乾燥ステーションで乾燥した後、所望のトリミング等を施すようにすることもできる。また、前記実施形態では、台座21側に係合溝211を設けるとともに、乾燥型6側に係合溝211に係合する爪を有するクランプ61を備えたものとしたが、台座側にクランプを備え、脱水型又は乾燥型側に該クランプの爪が係合する係合溝を設けることもできる。また、成形体の用途に応じて、これらの係合手段を省略することもできる。
【0106】また、前記実施形態の製造装置1では、各ステーションにおけるロータリー方式の設備は、コアユニット2を4基ずつ取り扱えるようにしたが、4基未満、4基を超える数のコアユニット2を取り扱えるようにすることもできる。同様に、前記実施形態の製造装置1’では、抄紙、脱水、装着の各ステーションにおいて6基のコアユニット2を2列で、離型、分離の各ステーションにおいて3基のコアユニットを2列で取り扱えるようにしたが、6基未満又は6基を超える数のコアユニットを取り扱えるようにすることもできる。
【0107】また、成形体の用途によってトリミングが不要な場合には、前記第2実施形態におけるように、トリミングステーションを省略することもできる。
【0108】また、前記実施形態では、本発明をカップ状のパルプモールド成形体の製造装置に適用したが、本発明は、他の形状の成形体の製造装置にも適用でき、製造する成形体の形状に合わせて、コアユニット、脱水型、乾燥型の形状、成形体のトリミング箇所等を適宜変更することができることは言うまでもない。
【0109】
【発明の効果】本発明のパルプモールド成形体の製造装置によれば、高い生産効率でパルプモールド成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形体の製造装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】同実施形態において用いられるコアユニットの概略を示す断面図である。
【図3】同実施形態において用いられる抄紙ステーションの概略を示す要部を断面視した断面図である。
【図4】同実施形態において用いられる脱水ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図5】同実施形態において用いられる乾燥型の装着ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図6】同実施形態において用いられる乾燥型の分離ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図7】同実施形態において用いられるトリミングステーションのトリミングステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図8】本発明の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図9】同実施形態において用いられる抄紙ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図10】同実施形態において用いられる脱水ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図11】同実施形態において用いられる乾燥型の装着ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図12】同実施形態において用いられる乾燥型の離型ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【図13】同実施形態において用いられる成形体の分離ステーションの概略を示す要部を断面視した図である。
【符号の説明】
1,1’ パルプモールド成形体の製造装置
2 抄紙用のコアユニット
3,3’,4 抄紙ステーション
5,5’ 脱水ステーション
51 脱水型
6,6’ 乾燥型
7,7’ 装着ステーション
8,8’ 乾燥ステーション
9、9’ 離型・分離ステーション
10,10’ 移送手段
11,11’ トリミングステーション
A,A’ 成形体
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の抄紙用のコアユニット、抄紙ステーション、脱水ステーション、乾燥ステーション、分離ステーション及び該コアユニットを上向きの状態で移送する移送手段を具備し、複数の該コアユニットを、該抄紙ステーション、該脱水ステーション、該乾燥ステーションに順次移送して該コアユニットの個々の表面にパルプモールド成形体を形成するパルプモールド成形体の製造装置であって、前記コアユニットは、内部に流体の流通路を有する凸状の弾性体コアと、該流通路に連通する連通路を有し該弾性体コアを上向きに凸の状態に固定する台座と、該弾性体コアの表面を被覆する抄紙ネットとを備えているパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項2】 前記コアユニットに着脱自在の乾燥型と、該コアユニットに該乾燥型を装着する乾燥型の装着ステーションと、該コアユニットから該乾燥型を離型させる乾燥型の離型ステーションとを具備している請求項1記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項3】 前記抄紙ステーションは、前記抄紙ネットへのパルプスラリーの供給路と、前記各流通路に通じる該パルプスラリー中の液体分の排出路とを備え、前記脱水ステーションは、前記弾性体コアにおける前記流通路に通じる排出路及び該弾性体コアに対応する凹部を有する脱水型と、前記抄紙ネットの表面に抄紙される湿潤状態の成形体を該弾性体コアと該脱水型との間で押圧する押圧手段とを備え、前記装着ステーションは、前記乾燥型のハンドリング手段を備え、前記乾燥ステーションは、前記乾燥型を装着した前記コアユニットを加熱する加熱手段を備え、前記乾燥型の離型ステーションは、前記コアユニットから前記乾燥型を離型する乾燥型の離型手段を備え、前記分離ステーションは、前記コアユニットから成形体を分離する分離手段を備えている請求項2記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項4】 前記離型ステーションで離型された前記乾燥型を前記装着ステーションに返送する乾燥型の返送手段と、前記成形体と分離された前記コアユニットを前記移送手段における前記抄紙ステーションの手前まで返送するコアユニットの返送手段とを具備している請求項2又は3記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項5】 前記脱水ステーションは、前記コアユニットにおける前記各流通路を通じる流体の吸引・吐出路又は前記脱水型における前記排出路を通じる流体の吸引排出路を備えている請求項1〜4の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項6】 前記抄紙ステーション、前記脱水ステーション、前記装着ステーション又は前記離型ステーションは、前記コアユニットを垂直軸周りに周回させながら抄紙若しくは脱水又は前記乾燥型の装着若しくは離型を行わせるコアユニットの回動手段を備えている請求項2〜5の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項7】 前記台座及び前記乾燥型に、これらを互いに係合させる係合手段を備えている請求項2〜6の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項8】 乾燥した前記成形体のトリミングを行うトリミングステーションを具備している請求項1〜7の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項9】 複数の抄紙ステーションを具備している請求項1〜8の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項1】 複数の抄紙用のコアユニット、抄紙ステーション、脱水ステーション、乾燥ステーション、分離ステーション及び該コアユニットを上向きの状態で移送する移送手段を具備し、複数の該コアユニットを、該抄紙ステーション、該脱水ステーション、該乾燥ステーションに順次移送して該コアユニットの個々の表面にパルプモールド成形体を形成するパルプモールド成形体の製造装置であって、前記コアユニットは、内部に流体の流通路を有する凸状の弾性体コアと、該流通路に連通する連通路を有し該弾性体コアを上向きに凸の状態に固定する台座と、該弾性体コアの表面を被覆する抄紙ネットとを備えているパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項2】 前記コアユニットに着脱自在の乾燥型と、該コアユニットに該乾燥型を装着する乾燥型の装着ステーションと、該コアユニットから該乾燥型を離型させる乾燥型の離型ステーションとを具備している請求項1記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項3】 前記抄紙ステーションは、前記抄紙ネットへのパルプスラリーの供給路と、前記各流通路に通じる該パルプスラリー中の液体分の排出路とを備え、前記脱水ステーションは、前記弾性体コアにおける前記流通路に通じる排出路及び該弾性体コアに対応する凹部を有する脱水型と、前記抄紙ネットの表面に抄紙される湿潤状態の成形体を該弾性体コアと該脱水型との間で押圧する押圧手段とを備え、前記装着ステーションは、前記乾燥型のハンドリング手段を備え、前記乾燥ステーションは、前記乾燥型を装着した前記コアユニットを加熱する加熱手段を備え、前記乾燥型の離型ステーションは、前記コアユニットから前記乾燥型を離型する乾燥型の離型手段を備え、前記分離ステーションは、前記コアユニットから成形体を分離する分離手段を備えている請求項2記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項4】 前記離型ステーションで離型された前記乾燥型を前記装着ステーションに返送する乾燥型の返送手段と、前記成形体と分離された前記コアユニットを前記移送手段における前記抄紙ステーションの手前まで返送するコアユニットの返送手段とを具備している請求項2又は3記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項5】 前記脱水ステーションは、前記コアユニットにおける前記各流通路を通じる流体の吸引・吐出路又は前記脱水型における前記排出路を通じる流体の吸引排出路を備えている請求項1〜4の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項6】 前記抄紙ステーション、前記脱水ステーション、前記装着ステーション又は前記離型ステーションは、前記コアユニットを垂直軸周りに周回させながら抄紙若しくは脱水又は前記乾燥型の装着若しくは離型を行わせるコアユニットの回動手段を備えている請求項2〜5の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項7】 前記台座及び前記乾燥型に、これらを互いに係合させる係合手段を備えている請求項2〜6の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項8】 乾燥した前記成形体のトリミングを行うトリミングステーションを具備している請求項1〜7の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【請求項9】 複数の抄紙ステーションを具備している請求項1〜8の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造装置。
【図1】
【図2】
【図6】
【図8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図6】
【図8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【特許番号】特許第3415584号(P3415584)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−376584(P2000−376584)
【出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【公開番号】特開2002−180400(P2002−180400A)
【公開日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【審査請求日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【参考文献】
【文献】特開2000−34700(JP,A)
【文献】特開 平4−327291(JP,A)
【文献】特開 平9−188987(JP,A)
【文献】特開 平8−226099(JP,A)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【公開番号】特開2002−180400(P2002−180400A)
【公開日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【審査請求日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【参考文献】
【文献】特開2000−34700(JP,A)
【文献】特開 平4−327291(JP,A)
【文献】特開 平9−188987(JP,A)
【文献】特開 平8−226099(JP,A)
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