説明

パレット交換システム及び当該システムを備えたマシニングセンタ

【課題】マシニングセンタにおける機械ヘッドの移動機能自体をパレットの搬送に活用しているパレット交換システム及び当該システムを有するマシニングセンタの構成の提供。
【解決手段】工作物の加工作動を行っている機械ヘッド2を、駆動モータ13によって回転可能である交換アーム11を有しているパレット交換ユニット1と結合したうえで、移動させることによってパレット3を搬送し、パレットクランプ装置4によって把持されているパレット3と交換用のパレット3とを交換アーム11の旋回によって交換することによって前記課題を達成することができるパレット交換システム及び当該システムを備え、かつ機械ヘッド1による工作を行うマシニングセンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械ヘッドの作動先端部の位置にて工作物を支持し、かつパレットクランプ装置によって把持されているパレットと、段取ステーションに載置され、かつ他の工作物を支持している交換用のパレットとを交換するパレット交換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パレットクランプ装置は、把持しているパレットを介して工作物を機械ヘッドにおける先端作動位置に配置しており、交換用のパレットは、段取ステーションに配置されている。
【0003】
従来技術においては、パレットクランプ装置におけるパレットを交換する場合には、外部装置によってパレットをクランプ装置と段取ステーションとの間にて搬送していた。
【0004】
しかも前記搬送が必要であることは、パレットクランプ装置が移動方式又は固定方式の何れの場合においても変わりはない。
【0005】
前記パレットを搬送する代表的な方式としては、アームを複数の段階にて伸縮できる交換アーム装置、又は自ら可動する交換アーム装置が採用されていた。
【0006】
しかしながら、伸縮可能な交換アーム装置の場合には、設置スペースが大きくなるうえ、パレットを一つずつしか交換できないため、パレット交換時間が長くならざるを得ない。
【0007】
他方、可動式交換アーム装置の場合には、移動及び停止を行うための制御装置を不可欠とするが、当該制御装置は伸縮可能な交換アーム装置の場合よりも煩雑な構成を必要不可欠とする。
【0008】
因みに出願人において特許権の取得に至った特許文献1は、機械ヘッドの先端部にて移動する主軸が移動自在であることに着目し、交換アーム(パレット把持アーム)の一方側にて主軸ヘッドによって工作の対象となっているパレットを把持し、他方側にて交換用パレットを把持したうえで主軸ヘッドが下降する際、当該交換アームを上昇させた後に交換アームを回転する構成によって効率的なパレットの交換を行っている。
【0009】
前記構成の場合には、交換アームがパレットクランプ装置機能を兼ねており、しかもパレットの交換を行うために必要な上昇機構は比較的シンプルである。
【0010】
しかしながら上記交換アームの場合には、結局交換アームの移動のために外部の駆動装置を必要としており、しかも主軸ヘッドの作動位置と段取ステーションの間に跨っており、結局前記構成においては、可動式交換アームの場合と同様に、長大なスペースを必要とせざるを得ない。
【0011】
これに対し、特許文献2は、旋回可能な交換アームに段付レールを設け、交換用のパレットを当該レールにて移動させることによって、交換アームの伸縮機構又は移動機構を不要とする構成によって従来技術を改善している。
【0012】
しかしながら前記構成の場合には、交換用のパレットを旋回アームの端部側から旋回中心側へ移動させた場合には、他の既に作動による工作が終了した工作物を支持しているパレットを上昇させ、逆に当該他のパレットを旋回アームの旋回中心位置から端部側に移動させる場合には、前記交換用のパレットを下降させるという他の特別な制御を必要不可欠としている。
【0013】
特許文献3は、交換アームの両側中途部位の先端側を上側垂直領域にて回転自在に軸支し、しかも当該先端側が水平方向に対し所定の角度を以って垂直方向上側の方向にある状態を可能とすることによって、パレットクランプ装置のスペースをコンパクトな状態とする一方、シンプルな構成によってパレットクランプ装置が把持しているパレットとの交換を実現しており、前記従来技術を改善している。
【0014】
しかしながら、前記特許文献1の構成の場合には、パレットクランプ装置に把持されているパレットを取り出した一方側のアームの回転制御を必要不可欠とする点において、従来技術とは別の煩雑性を免れることができない。
【0015】
以上の如き従来技術及び特許文献1、2、3の如き公知技術からも明らかなように、主軸等を作動させる機械ヘッドが移動自在であるにも拘わらず、このような機械ヘッドの移動機能自体をパレットの搬送に活用するようなパレット交換システムはこれまで提唱されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−81528号公報
【特許文献2】特開2000−176782号公報
【特許文献3】特開2000−24867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、マシニングセンタにおける機械ヘッドの移動機能自体をパレットの搬送に活用しているパレット交換システム及び当該システムを有するマシニングセンタの構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)機械ヘッドの作動先端部の位置にて工作物を支持し、かつパレットクランプ装置によって把持されているパレットと、段取ステーションに載置され、かつ他の工作物を支持している交換用のパレットとを交換するパレット交換システムにおいて、交換アームと一体をなして回転する回転支柱及び当該回転支柱に対する駆動モータを設置しているパレット交換ユニットを機械ヘッドに対し結合及び離脱を自在として備え、以下の各プロセスによって機械ヘッドとパレット交換ユニットとを制御する制御部を有している交換システム。
I.機械ヘッドの作動、及び交換用のパレットを保持したパレット交換ユニットに対する待機位置における固定
II.所定単位の作動を終了した機械ヘッドの前記待機位置への移動、及び当該移動の後におけるパレット交換ユニットとの結合
III.パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドのパレットクランプ装置側への移動、及び当該移動の後における交換アームの両側アームのうち交換用のパレットを保持していない一方側のアームのパレットクランプ装置によって把持されているパレットに対する嵌合、更には当該アームの当該パレットを前記把持状態から離脱することによる保持状態の達成
IV.交換アームの旋回
V.交換用のパレットに対するパレットクランプ装置による把持を伴うパレットの交換
VI.パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドの前記待機位置への復帰、及び当該復帰の後における機械ヘッドのパレット交換ユニットからの離脱、
(2)前記(1)のパレット交換システムを備え、かつ機械ヘッドによる工作を行うマシニングセンタ、
からなる。
【発明の効果】
【0019】
前記基本構成(1)、(2)に基づく本発明においては、パレットの搬送のために、従来技術のアーム装置の場合のように、伸縮機構及び移動機構を必要とせず、その結果、伸縮に必要なスペース及び移動に必要な格別の制御装置を省略することができ、製造コストを安価とすることが可能となる。
【0020】
のみならず、機械ヘッドが備えている高速の移動によって、パレットの搬送に要する時間を短縮し、ひいては効率的なパレットの交換を実現することができる。
【0021】
更には後述する各実施例のように、パレット交換ユニット及び機械ヘッド、又はパレットクランプ装置を所定の位置に移動させたうえで交換アームを旋回した場合には、限られたスペースにおいてパレットの交換を実現することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の作動を示す平面図であって、(a)は、プロセスIIIによって、パレットを保持していないパレット交換アームがパレットクランプ装置に把持されているパレットに嵌合した後、当該パレットを保持するに至った段階を示しており、(b)は、パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドがプロセスIIIの位置から移動することによって旋回可能なスペースにてプロセスIVの旋回を行っている状態を示しており、(c)は、プロセスIVの旋回の後に、パレットクランプ装置側に移動した交換アームがプロセスVの交換を行った状態を示している(尚、二重の斜線は、機械ヘッドの作動が終了した段階にあるパレットの平面状態を示しており、斑点は、交換用のパレットの平面状態を示している。)。
【図2】実施例2のパレット交換状態を示す平面図であって、(a)は、プロセスIIIによって、パレットを保持していないパレット交換アームがパレットクランプ装置に把持されているパレットに嵌合した後、当該パレットを保持するに至るまでの段階を示しており、(b)は、パレットクランプ装置及びその支持台がプロセスIIIの位置から移動することによって、パレットを保持している交換アームが旋回可能なスペースにてプロセスIVの旋回を行っている状態を示しており、(c)は、プロセスIVの旋回の後にパレットクランプ装置及びその支持台の前記移動前の位置への復帰によって、プロセスVのパレットの交換を行っている状態を示している(尚、二重の斜線は、機械ヘッドの作動が終了した段階にあるパレットの平面状態を示しており、斑点は、交換用のパレットの平面状態を示している。)。
【図3】本発明の典型的な実施形態に基づくパレット交換システムにおける機構原理を基本構成(1)の各プロセスに即して示しており、(a)は、プロセスIを示しており、(b)は、プロセスIIを示しており、(c)は、プロセスIIIを示しており、(d)は、プロセスIV及びプロセスVを示しており、(e)は、プロセスIVを示している。
【図4】図3の実施形態の制御を行うコンピュータに必要なフローチャートを示す。
【図5】パレット交換ユニットの実施形態を示す見取図であって、(a)は、機械ヘッドと結合するために必要な凸部を有する側を示しており、(b)は、前記凸部を有する側と反対側を示している。
【図6】パレット交換ユニットと機械ヘッドとを結合及び離脱自在とする実施形態を示しており、(a)は、パソコンに関与する凸部及び凹部の突出方向及び突入方向が、機械ヘッドとパレット交換ユニットとが一体をなして移動する方向と交差する方向とする実施形態を示しており(尚、白矢印は機械ヘッドとパレット交換ユニットとの移動方向を示す。)、(b)は、機械ヘッドにおける油圧シリンダピストンによってパレット交換ユニットにおける凸部の周囲を凹部の壁部の隙間を介して押圧する実施形態を示しており、(c)は、パレット交換ユニットが備えている凸部を磁性体とし、機械ヘッドにおける電磁石によってパレット交換ユニットが備えている凸部の周囲を前記凹部の壁部の隙間を介して吸着する実施形態を示している。
【図7】パレットが工作物を支持している状態を示す見取図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前記基本構成(1)、(2)においては、パレット交換ユニット1が機械ヘッド2と結合し、かつ一体となって移動することによって、パレット3を搬送しかつ交換するために必要な制御を行うことに最大の特徴点を有している。
【0024】
即ち、要するに図3に示すように、
I.機械ヘッド2の作動とパレット交換ユニット1の待機(図3(a))、
II.機械ヘッド2の前記待機位置への移動、及びその後のパレット交換ユニット1との結合(図3(b))、
III.パレット交換ユニット1と結合した機械ヘッド2の作動位置への移動、及びその後の交換アーム11によるパレット3に対する嵌合、更には当該パレット3に対する保持(図3(c))、
IV.交換アーム11の旋回(図3(d))、
V.交換アーム11によるパレット3の交換(図3(d))、
VI.パレット交換ユニット1と結合した機械ヘッド2との待機位置への復帰(図3(e))、
というプロセス制御によってパレット3の交換を実現していることを特徴としている。
但し、図3においては、工作物30を支持しているパレット3の占める空間領域(黒色印刷によって表示した領域)が相対的に小さく把握し難いことから、図7によって工作物30に対するパレット3の支持状態を示している。
【0025】
プロセスIIIの交換アーム11による保持が達成された後、プロセスIVの旋回が直ちに可能であるか否かは、パレットクランプ装置4の近傍において、プロセスIVの旋回を可能とするようなスペースが存在するか否かによって左右される。
【0026】
図3は、特に前記スペースが存在する実施形態を示しており、交換アーム11におけるプロセスIIIのパレット3に対する保持達成の位置及びプロセスVのパレット3の交換位置とプロセスIVの交換アーム11の旋回する位置とが同一であることを特徴としている。
尚、前記のようなスペースが存在しない場合の実施形態は、実施例1及び同2において後述するとおりである。
【0027】
前記実施形態の制御に必要なコンピュータの作動に関するフローチャートは、図4に示すとおりである。
尚、図4のフローチャートにおいては、プロセスVIの復帰から更に機械ヘッド2が自らの作動位置に戻るという通常の工程をも示している。
【0028】
本発明において採用するパレット交換ユニット1は、図5に示すように、交換アーム11を支持しかつ一体となって回転する回転柱12及び当該回転に対する駆動モータ13を有している。
尚、図5に示す実施形態においては、後述するような機械ヘッド2の凹部6と嵌合するための凸部5及び駆動モータ13の回転に対する減速機14を設置し、かつ固定部7に載置される突設枠15を備えた状態を示している。
【0029】
パレット交換ユニット1と機械ヘッド2とを結合及び離脱自在とする実施形態としては、色々な構成を採用することができる。
【0030】
尤も選択し易い構成としては、機械ヘッド2において、パレット交換ユニット1を把持及び把持からの離脱を可能とするロボット機構を設けることによって、パレット交換ユニット1と機械ヘッド2との結合及び離脱を実現することができる。
【0031】
しかしながら、ロボット機構を採用するのであれば、ロボット機構自体によってアームの交換を行えば良く、上記結合及び分離にロボット機構を使用することは決して効率的な方法ではない。
【0032】
のみならず、交換アーム11について伸縮機構又は可動機構を必要とするような従来技術に比し、シンプルな構成を採用する本発明の特徴点を考慮するならば、前記ロボット機構の採用は、必ずしも好ましい実施形態ではない。
【0033】
前記結合及び離脱は、パレット交換ユニット1及び機械ヘッド2の何れかの一方に凸部5を設け、何れかの他方に凹部6を設け、相互の嵌合によってプロセスIIの結合を行うことを特徴とする実施形態によって実現することができる。
【0034】
図6(a)は、上記凹部6及び凸部5を採用する実施形態のうち、凸部5の突出方向及び凹部6の突入方向が、パレット交換ユニット1及び機械ヘッド2の移動方向と交差していることを特徴とする実施形態を示す。
【0035】
即ち、相互に嵌合し合う凸部5及び凹部6の突出方向及び突入方向を機械ヘッド2がパレット交換ユニット1と結合した状態にて移動する方向と交差する方向を選択することによって、パレット交換ユニット1と機械ヘッド2とは、双方の何れか一方に設置されている凸部5と凹部6との嵌合によって前記移動による加速度の変化又は衝撃が生じても、相互の嵌合状態が外れることを防止することができる。
【0036】
図6(b)は、パレット交換ユニット1に凸部5を設け、機械ヘッド2に凹部6を設け、前記凹部6が前記凸部5に嵌入した際、機械ヘッド2が備えている油圧シリンダ21機構によって前記凹部6の周囲における隙間を介して前記凸部5を押圧する油圧ピストン22を設けたことを特徴としている。
【0037】
即ち、機械ヘッド2においては、回転主軸等の工作機械の移動のために備えている油圧シリンダ21に基づいて図6(b)に示すように、油圧ピストン22によって、パレット交換ユニット1における凸部5を押圧することによって強固な結合を実現し、相互の嵌合状態が外れることを防止することができる。
【0038】
図6(c)は、パレット交換ユニット1に磁性体による凸部5を設け、機械ヘッド2に凹部6を設け、前記凹部6が前記凸部5に嵌入した際、機械ヘッド2が備えている導電システムによって前記凹部6の周囲における隙間を介して、前記凸部5と吸着し合う電磁石24を設けたことを特徴としている。
【0039】
即ち、機械ヘッド2においては、回転主軸等の工作機械の制御のために備えている導電システムに基づいて、図6(c)に示すように、電磁石24によってパレット交換ユニット1における凸部5を吸着することによって強固な結合を速やかに実現し、相互の嵌合状態が外れることを防止することができる。
【0040】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0041】
実施例1は図1に示すように、パレットクランプ装置4の周囲には、交換アーム11がパレット3を保持した状態にて旋回するスペースが存在しない場合において、プロセスIIIの後に、パレット交換ユニット1と結合した機械ヘッド2の交換アーム11における前記旋回を可能とするスペースが存在する位置への移動によるプロセスを経たうえで、プロセスIVの旋回を行い、更には前記結合した機械ヘッド2がパレットクランプ装置4側に移動した後、プロセスVによるパレット3の交換を行うことを特徴としている。
【0042】
即ち、実施例1においては、図1(b)に示すように、パレット交換ユニット1と結合した機械ヘッド2が、プロセスIIIの位置から更に移動することに基づき、交換アーム11のプロセスIVの旋回によって、パレットクランプ装置4の周辺がコンパクトな空間であっても、結局パレット3の交換を実現している。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、図2に示すように、パレットクランプ装置4の周囲には、交換アーム11がパレット3を保持した状態にて旋回するスペースが存在しない場合において、プロセスIIIの交換アーム11のパレット3に対する保持状態の達成の前後又は当該保持と同時に、パレットクランプ装置4及び当該クランプ装置4に対する支持部41のプロセスIIIの位置からの移動による前記スペースを形成するプロセスを経たうえで、プロセスIVの旋回を行い、更にはパレットクランプ装置4及びその支持部41が前記移動前の位置に復帰した後、プロセスVによるパレット3の交換を行うことを特徴としている。
【0044】
即ち、実施例2においても、図2(b)に示すように、パレットクランプ装置4及びその支持部41の移動に基づき、交換アーム11のプロセスVの旋回によって、パレットクランプ装置4の周辺がコンパクトな空間であっても、結局パレット3の交換を実現している。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、全てのパレット交換システム、及び当該システムを備えかつ機械ヘッドによって工作を行う全マシニングセンタに利用することができ、特に小スペースの状態にて短時間のパレットの交換に適合性を有している。
【符号の説明】
【0046】
1 パレット交換ユニット
11 交換アーム
12 回転柱
13 駆動モータ
14 減速機
15 突設枠
2 機械ヘッド
20 機械ヘッドの作動部
21 油圧シリンダ
22 油圧ピストン
23 コイル
24 電磁石
3 パレット
30 パレットに支持された工作物
4 パレットクランプ装置
41 パレットクランプ装置の支持部
5 凸部
6 凹部
7 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械ヘッドの作動先端部の位置にて工作物を支持し、かつパレットクランプ装置によって把持されているパレットと、段取ステーションに載置され、かつ他の工作物を支持している交換用のパレットとを交換するパレット交換システムにおいて、交換アームと一体をなして回転する回転支柱及び当該回転支柱に対する駆動モータを設置しているパレット交換ユニットを機械ヘッドに対し結合及び離脱を自在として備え、以下の各プロセスによって機械ヘッドとパレット交換ユニットとを制御する制御部を有している交換システム。
I.機械ヘッドの作動、及び交換用のパレットを保持したパレット交換ユニットに対する待機位置における固定
II.所定単位の作動を終了した機械ヘッドの前記待機位置への移動、及び当該移動の後におけるパレット交換ユニットとの結合
III.パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドのパレットクランプ装置側への移動、及び当該移動の後における交換アームの両側アームのうち交換用のパレットを保持していない一方側のアームのパレットクランプ装置によって把持されているパレットに対する嵌合、更には当該アームの当該パレットを前記把持状態から離脱することによる保持状態の達成
IV.交換アームの旋回
V.交換用のパレットに対するパレットクランプ装置による把持を伴うパレットの交換
VI.パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドの前記待機位置への復帰、及び当該復帰の後における機械ヘッドのパレット交換ユニットからの離脱
【請求項2】
交換アームにおけるプロセスIIIのパレットに対する保持達成の位置及びプロセスVのパレットの交換位置とプロセスIVの交換アームの旋回する位置とが同一であることを特徴とする請求項1記載のパレット交換システム。
【請求項3】
パレットクランプ装置の周囲には、交換アームがパレットを保持した状態にて旋回するスペースが存在しない場合において、プロセスIIIの後に、パレット交換ユニットと結合した機械ヘッドの交換アームにおける前記旋回を可能とするスペースが存在する位置への移動によるプロセスを経たうえで、プロセスIVの旋回を行い、更には前記結合した機械ヘッドがパレットクランプ装置側に移動した後、プロセスVによるパレットの交換を行うことを特徴とする請求項1記載のパレット交換システム。
【請求項4】
パレットクランプ装置の周囲には、交換アームがパレットを保持した状態にて旋回するスペースが存在しない場合において、プロセスIIIの交換アームのパレットに対する保持状態の達成の前後又は当該保持と同時に、パレットクランプ装置及び当該クランプ装置に対する支持部のプロセスIIIの位置からの移動による前記スペースを形成するプロセスを経たうえで、プロセスIVの旋回を行い、更にはパレットクランプ装置及びその支持部が前記移動前の位置に復帰した後、プロセスVによるパレットの交換を行うことを特徴とする請求項1記載のパレット交換システム。
【請求項5】
パレット交換ユニット及び機械ヘッドの何れかの一方に凸部を設け、何れかの他方に凹部を設け、相互の嵌合によってプロセスIIの結合を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載に記載のパレット交換システム。
【請求項6】
凸部の突出方向及び凹部の突入方向が、パレット交換ユニット及び機械ヘッドの移動方向と交差していることを特徴とする請求項5記載のパレット交換システム。
【請求項7】
パレット交換ユニットに凸部を設け、機械ヘッドに凹部を設け、前記凹部が前記凸部に嵌入した際、機械ヘッドが備えている油圧シリンダ機構を利用して、前記凹部の周囲における隙間を介して前記凸部を押圧する油圧ピストンを設けたことを特徴とする請求項5記載のパレット交換システム。
【請求項8】
パレット交換ユニットに磁性体による凸部を設け、機械ヘッドに凹部を設け、前記凹部が前記凸部に嵌入した際、機械ヘッドが備えている導電システムを利用して、前記凹部の周囲における隙間を介して前記凸部と吸着し合う電磁石を設けたことを特徴とする請求項5記載のパレット交換システム。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8の何れか一項に記載のパレット交換システムを備え、かつ機械ヘッドによる工作を行うマシニングセンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43223(P2013−43223A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180222(P2011−180222)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000146087)株式会社松浦機械製作所 (40)
【Fターム(参考)】