説明

パレット作業台循環搬送装置

【課題】 一基の駆動装置による通常作業送り速度と高速早戻り速度を可能にすることによって、長尺の搬送装置の節動作業範囲に供給されるパレット作業台の使用個数を効率的に供給する循環式の搬送装置の提供を図る。
【解決手段】 パレット作業台の循環搬送を行う搬送装置であって、水平送り昇降装置20の両側に垂直昇降装置30を配置し、かつ、該水平送り昇降装置20の下方部に水平早戻り装置40を配置し、該水平送り昇降装置20と垂直昇降装置30と水平早戻り装置40とを動力伝達チェーン17と無端ローラーチェーン体23,32で連動させることで、一基の駆動装置11でパレット作業台70の循環搬送並びに水平早戻り装置40による高速搬送を可能とした。また、水平送り昇降装置20の上方中間位置に、該水平送り昇降装置20と送り高さを同じくした水平早送り装置60を配置する構成も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に組み立てラインで使用される被組み立て品を積載するパレット作業台の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に普及しているパレット作業台を利用した組み立てラインは、組み立て作業者が組み立てラインに沿って一列に並び、パレット作業台に載せられた被組み立て品を搬送コンベアの流れに合わせて所定領域の組み立て作業を行うものであった。
【0003】
上記の作業システムは、作業一工程が終わるごとに製品が一タクト移動する節動作業(タクト・システム)方式とも呼ばれ、一定時間ごとに製品が各タクト(拍節)を担当する作業領域に規則的に移動し、加工されるものであるが、作業領域に流れるパレット作業台と回収されて供給されるパレット作業台が同タクトで搬送されるため、作業工程の数に合わせたパレット作業台を必要とするもので、特に長いラインになる程、多くのパレット作業台を必要とするものであった。
【0004】
また、搬送コンベアの搬送速度とパレット作業台の回収速度を変えてパレット作業台を効率よく回収する構造とすると、搬送コンベアの搬送速度とパレット作業台の回収速度を別々に設定する必要があることから、それを駆動する駆動手段も別個に設けなければならず、搬送装置の製造コストが大となるものであった。
【0005】
また、本出願人は、作業者が組立作業をするパレット作業台を搬送コンベア上で安定的に流す「水平昇降パレットコンベア装置」(特許文献1参照)を既に提案しているが、該技術は、一基の駆動モータと無端搬送チェーンによるパレット作業台を安定的に供給するものであって、組立作業の作業時間に即してパレット作業台を効率よく供給するものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平8―58944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑み、一基の駆動装置による通常の作業送り速度と高速による早戻り速度を可能にすることによって、長尺の搬送装置の節動作業毎に使用されるパレット作業台の個数を効率的に供給することができるパレット作業台の循環搬送装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、パレット作業台の循環搬送を行う搬送装置であって、水平送り昇降装置の両側に垂直昇降装置を配置し、かつ、該水平送り昇降装置の下方部に水平早戻り装置を配置し、それらを一基の駆動装置よって動力伝達チェーンと無端ローラーチェーン体で連動させることで、一基の駆動装置でパレット作業台の循環搬送と水平早戻り装置の高速搬送とを可能とした構造となっている。
【0009】
また、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、水平送り昇降装置の上方中間位置に、該水平送り昇降装置と送り高さを同じくした水平早送り装置を配置し、該水平送り昇降装置と垂直昇降装置と水平早戻り装置と水平早送り装置とを動力伝達チェーンと無端ローラーチェーン体で連動させることで、一基の駆動装置でパレット作業台の循環搬送並びに水平早送り装置と水平早戻り装置による高速搬送を可能とした構造を採用し得る。
【0010】
さらに、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、前記水平送り昇降装置が、前記パレット作業台を水平方向に送る水平搬送機能と、垂直方向に送る昇降機能と、水平早戻り装置に送り込む機能と、前記水平早戻り装置との接触を回避する機能とを備え、複数のスプロケットギアと該スプロケットギア間に連架された無端ローラーチェーン体で構成される左右一対の搬送スプロケット体と、前記パレット作業台をスライド移動させるための左右一対の搬送レールと、を本体搬送方向に並設した構造となっている。
【0011】
そして、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、前記垂直昇降装置が、垂直昇降機能を備え、少なくとも二以上のスプロケットギアと該スプロケットギア間に連架された無端ローラーチェーン体で構成される左右一対の搬送スプロケット体と、前記パレット作業台を受け渡しする左右一対の搬送レールと、を本体搬送方向に並設した構造となっている。
【0012】
またさらに、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、前記水平早戻り装置および水平早送り装置が、少なくとも二以上のスプロケット回転軸体と高速搬送コンベアと搬送レールとで構成され、スプロケット回転軸体は、連結軸に少なくとも一以上のコンベア回転ギアを備え、高速搬送コンベアは、高速送りチェーンに小径の回転ローラを回動自在に複数個軸支してなり、該スプロケット回転軸体を少なくとも搬送方向の前後二箇所に配置してできるコンベア回転ギア間を高速送りチェーンにより連架するとともに、該高速送りチェーンの下方位置に回転ローラと接触するよう搬送レールが設けられている構成となっている。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、前記パレット作業台が、搬送方向と直交する側面の対角線上に対向して設けられる搬送ローラ体と、搬送突起付ローラ体と、を備えたWローラ体で形成されている。
【0014】
そしてまた、本発明は、前記パレット作業台循環搬送装置において、前記水平送り昇降装置ならびに垂直昇降装置における無端ローラーチェーンに、パレット作業台を牽引するための搬送フック体を設けることで、無端ローラーチェーン体が構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるパレット作業台循環搬送装置によれば、搬送方向に対して平行に並設されている無端ローラーチェーンに突設したV字型搬送フック体が、パレット作業台の移動方向と直交する側面の対角線上に対向して設けられる搬送突起付ローラ体を搬送フック体のV字型の谷の辺にガタを解消する位置で係止して牽引するため、移動方向のガタ(ガタが生じた場合、ガタの分だけパレット作業台が移動方向に対して対角線状に微妙にひねられる)を吸収することができると共に、垂直方向のガタも移動方向と直交する側面の両対角線上に対向して設けられる二基の搬送ローラ体が、並行して設けられる搬送レール上をスライドして移動するためパレット作業台が極めて安定的に搬送される優れた効果が得られるものである。
【0016】
また、パレット作業台循環搬送装置内に設けられている一連の装置が無端ローラーチェーンによって連動されているため、各装置のタイミングのズレが発生しにくい構造であると共に、一基の駆動装置によってパレット作業台循環搬送装置全体が駆動する構成であるため、装置の軽量化、製造コストの低廉化、メンテナンスの簡素化が図れる優れた効果が得られるものである。
【0017】
また、節動作業方式(タクト・システム)を採用しているにも係らず、通常搬送と高速搬送を同時に行うことができるため、パレット作業台を必要最小限度の個数で供給することができる優れた効果が得られるものである。
【0018】
また、組立ラインが長くなったり、建物の関係で途中工程を高速で搬送しなければならない場合でも、組み立て領域のライン速度を変更することなく効率よく稼動できる優れた効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の構成を示す分解模式図である。(実施例1)
【図2】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の伝達状態を模式的に示す側面図である。(実施例2)
【図3】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置のパレット作業台の移動状態を示す説明図である。(実施例3)
【図4】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の高速搬送コンベアを示す模式的説明図である。(実施例4)
【図5】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の送り状態を示す模式的部分側面図である。(実施例5)
【図6】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の戻り状態を示す模式的部分側面図である。(実施例6)
【図7】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の構成を示す別の実施形態の分解模式図である。(実施例7)
【図8】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の伝達順序を示す別の実施形態の模式的部分側面図である。(実施例8)
【図9】本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の作動状態を示す別の実施形態の模式的部分側面図である。(実施例9)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、一基の駆動装置によって通常の作業送り速度と高速による早送り速度を可能にすることによって、長尺の搬送装置の節動作業(タクトシステム)毎に使用されるパレット作業台を効率的に供給することができることを最大の特徴とする。以下、本発明にかかるパレット作業台循環搬送装置の実施形態を、図面に基き説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の構成を示す分解模式図である。
本パレット作業台循環搬送装置10は、横型の直方体の筐体内において、パレット作業台70を水平に搬送する水平送り昇降装置20と、その両側に垂直に搬送する垂直昇降装置30と、該下方部に高速搬送コンベア44で早戻りさせる水平早戻り装置40とを配置し、それらの各装置を動力伝達チェーン17ならびに無端ローラーチェーン体23.32で連動させ、一基の駆動装置11で駆動する構造を有するものである。
【0022】
図2は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の駆動力の伝達状態を模式的に示す側面図である。
水平送り昇降装置20は、スプロケットギア(D、E)による送り方向の水平搬送機能と、スプロケットギア(D,KならびにE,F)による垂直方向の昇降機能と、スプロケットギア(F,GならびにJ,K)による水平早戻り装置40と垂直昇降装置30に送り込む機能と、スプロケットギア(H,I)によるパレット作業台70が水平早戻り装置40で搬送される際の接触を回避する機能とを備え、それら複数のスプロケットギア12と該スプロケットギア12間に連架された無端ローラーチェーン体23で構成される左右一対の搬送スプロケット体22と、前記パレット作業台70をスライド移動させるための左右一対の搬送レール14と、を本体搬送方向中央上部に並設する構造を有する。
【0023】
前記スプロケットギア12の個数については、機械設計上決定されればよく、複数であれば特に限定するものではない。なお、図面においては、該スプロケットギア12を片側に8個設けた場合について示している。
このとき、スプロケットギア12の少なくとも一つをテンション調整ギア化して配置を変更可能とする構造を採用することで、無端ローラーチェーン体23の緊張状態を維持することが可能である。例えば、使用により無端ローラーチェーン体23の緊張が弛んだ際に、スプロケットギア(H)を図面における左方向へ配置変更することで、再度無端ローラーチェーン体23の緊張状態を維持することが可能となる。
【0024】
水平送り昇降装置20内に設けられる搬送スプロケット体22は、上記の各機能を有して配置されると共に、上部左右に設けられるスプロケットギア(D、E)は、駆動側の動力伝達チェーン17と水平送り昇降装置20内の無端ローラーチェーン体23を伝達する必要があるためスプロケットギア12は二連式となる構造を有する。
【0025】
水平送り昇降装置20内に設けられる無端ローラーチェーン体23は、ローラーチェーンの内側プレート83の内側側面にパレット作業台70の搬送突起付ローラ体を73受ける搬送フック体15を設けて連架される。
【0026】
また、水平送り昇降装置20内の下方部(水平早戻り装置40の上方部)に設けられる無端ローラーチェーン体23は、パレット作業台70を水平早戻り装置40の高速搬送コンベア44と垂直昇降装置30に確実に送り込む機能を有するスプロケットギア(F,GならびにJ,K)の配置構造を備える。
【0027】
水平送り昇降装置20内に設けられる搬送レール14は、パレット作業台70を安定的にスライドさせる目的で搬送方向と並行して本体上方部に設けられる。
【0028】
垂直昇降装置30は、垂直昇降機能を備え、少なくとも二以上のスプロケットギア(B、CまたはL、M)間に連架された無端ローラーチェーン体32で構成される左右一対の搬送スプロケット体31と、パレット作業台70を受け渡しする上下一対の受け渡し搬送レール33とを、本体搬送方向に並設する構造を有する。
【0029】
垂直昇降装置30内に設けられる搬送スプロケット体31は、パレット作業台70の寸法に合わせた長さ位置と垂直送り距離に合わせた高さ寸法位置を確保し、スプロケットギア(B、CまたはL、M)による垂直送り機能を有する位置に取り付けられる。また、上部左右に設けられるスプロケットギア(B、L)は、駆動力を無端ローラーチェーン17で伝達する必要があるため、二連式となる構造を有する。
【0030】
垂直昇降装置30内に設けられる受け渡し搬送レール33は、パレット作業台70を安定的に受け渡しさせる目的で搬送方向と並行して垂直昇降装置30の上部と下部にパレット作業台70の幅を回避して並設される。上部はパレット作業台70の搬送ローラ体72と搬送突起付ローラ体73の間より短く、下部はパレット作業台70の搬送ローラ体72と搬送突起付ローラ体73を受けて次工程にスライド移動できる長さを有して本体に取り付けられる。
【0031】
水平早戻り装置40は、少なくとも二以上のスプロケット回転軸体41と、パレット作業台70を高速搬送させる高速搬送コンベア44とそれを支える搬送レール45とで構成され、本体中央下部に設けられる。スプロケット回転軸体41は、連結軸41aに少なくとも一以上のコンベア回転ギア41bを備えてなり、少なくとも搬送方向の前後二箇所に、水平戻り距離に合わせた長さ位置を確保しつつ夫々配置される。そして、かかる前後のコンベア回転ギア41b間が、高速送りチェーン81により連架されることで、水平早戻り装置40は水平戻り機能と高速送り機能を有することとなる。なお、水平早戻り装置40は、水平送り昇降装置20に対して逆回転する構造で運転される。このとき、コンベア回転ギア41bに駆動力を動力伝達チェーン17で伝達する必要があるため、該コンベア回転ギア41bの一つは二連式となる構造を有する。
【0032】
水平早戻り装置40内に設けられる高速搬送コンベア44は、図4(a)で示すように、小径の回転ローラ85を回動自在に複数個軸支してなる高速送りチェーン81が、少なくとも前後二箇所のスプロケット回転軸体41におけるコンベア回転ギア41bに連架された構造となっており、高速送り機能を有して構成されている。
【0033】
また、水平早戻り装置40に設けられる搬送レール45は、図4(b)で示すように、高速送りチェーン81の回転ローラ85と接触させることで、該回転ローラ85を回動させて高速搬送させる目的で、搬送方向と並行して高速送りチェーン81の数だけ設けられている。
【0034】
各装置を連結する動力伝達チェーン17や、水平送り昇降装置20ならびに垂直昇降装置30に設けられる無端ローラーチェーン体23.32は、ローラ、ブッシュ、内側プレート、外側プレート、ピンで構成される通常のローラーチェーンである。
なお、無端ローラーチェーン体23.32には、内側プレートの内側側面に、パレット作業台70の搬送突起付ローラ体73を受ける搬送フック体15が設けられている。
【0035】
駆動装置11は、本体外端部に電気式駆動モータが設けられてなり、該駆動装置11の駆動力は、本体側面に設けられる減速機能を有するスプロケット回転軸体16に動力伝達チェーン17によって伝達される。
【0036】
搬送フック体15は、図3(a)で示すように、水平送り昇降装置20ならびに垂直昇降装置30における無端ローラーチェーン体23,32の内側プレート83の内側側面に、パレット作業台70の搬送突起付ローラ体73の取り付け寸法ピッチに合わせて連続して添設されている。受け部は、V字型の形状を有して、パレット作業台70の搬送突起付ローラ体73の外周面を接線状に受けて牽引する構造を有している。
【実施例2】
【0037】
図2は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置の駆動力の伝達状態を、模式的に示す側面図である。
各装置のローラーチェーンによる伝達順序を駆動装置11から順に説明すると、まず最初に、駆動装置11によって発生する回転駆動力は、動力伝達チェーン17によって減速機能を有するスプロケット回転軸体16に伝達され、使用される回転速度に合わせた適当な回転数に減速される。次に、減速機能を有するスプロケット回転軸体16から動力伝達チェーン17によって伝達された駆動力は、水平送り昇降装置20と両側に位置する垂直昇降装置30の搬送スプロケット体22,31に伝達され、パレット作業台70が水平ならびに垂直搬送される構造となる。
【0038】
一方、水平早戻り装置40への駆動力の伝達は、高速搬送コンベア44のスプロケット回転軸体41におけるコンベア回転ギア41bに逆回転となって伝達され、該コンベア回転ギア41b間に連架されている高速送りチェーン81が駆動する。このとき、該高速送りチェーン81に回転自在に軸支されている複数の小径の回転ローラ85が、搬送レール45と接触することで回動することとなり、これにより水平早戻り装置40は、パレット作業台70を高速でスライド移動させる早送り機能を有する仕組みとなっている。
【実施例3】
【0039】
図3は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10のパレット作業台70の移動状態を示す説明図である。図3(a)は全体斜視図を示し、図3(b)は水平送り昇降装置20上にある平面図を示し、図3(c)は水平早戻り装置40上にある平面図を示す。
図3(a)のパレット作業台70は、作業面が平坦な略矩形の厚みのある平面体で、移動方向と平行する側面の対角線上に対向して設けられる搬送ローラ体72と搬送突起付ローラ体73とを備えたWローラ体71で形成される。
【0040】
図3(b)のパレット作業台70は、移動方向と平行する側面の対角線上に対向して設けられる搬送ローラ体72が、本体上方部に設けられている搬送レール14上をスライド移動すると共に移動方向と平行する側面の対角線上に対向して設けられる搬送突起付ローラ体73がパレット作業台70の幅を回避して両側に設けられた無端ローラーチェーン体23の搬送フック15に引っ掛けられ搬送される。
【0041】
図3(c)のパレット作業台70は、水平早戻り装置内40に設けられる高速搬送コンベア44で搬送されるもので、該パレット作業台70における搬送突起付ローラ体73が搬送フック15から解放された状態で、高速送りチェーン81に軸支された複数の回転ローラ85の回転力を受け、水平早戻り装置40のストッパ92の位置まで送られる。
【0042】
搬送ローラ体72は、水平移動時は、本体上部に設けられた本体上方部の搬送レール14上をスライド移動し、垂直移動時は、垂直昇降装置30のガイドレール34に沿ってスライド移動する。
【0043】
搬送突起付ローラ体73は、基部に回転ローラを有して搬送レール14上をスライドすると共に、水平送り昇降装置20と垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体23.32に設けられる搬送フック体15に受けられるもので、パレット作業台70が水平早戻り装置40の高速搬送コンベア44を移動中は、解放されて高速搬送を可能にする構造を有する。
【実施例4】
【0044】
図4は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の高速搬送コンベア44を示す模式的説明図である。図4(a)は斜視図を示し、図4(b)は側断面図を示す。
高速搬送コンベア44は、小径の回転ローラ85を回動自在に複数個軸支してなる高速送りチェーン81が、少なくとも前後二箇所のスプロケット回転軸体41におけるコンベア回転ギア41bに連架された構造となっている。
また、水平早戻り装置40に設けられる搬送レール45は、図4(b)で示すように、高速送りチェーン81の回転ローラ85と接触させることで、該回転ローラ85を回動させて高速搬送させる目的で、搬送方向と並行して高速送りチェーン81の数だけ設けられている。
そして、コンベア回転ギア41bへの回転駆動力の伝達に際し、逆回転機構43により水平早送り装置20に対して逆回転させることで、パレット作業台70は、その底面が回転ローラ85と接触することで、高速搬送コンベア44上を早戻りする構造を採っている。
【実施例5】
【0045】
図5は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の作動状態(送り)を示す模式的部分側面図である。流れ作業方式において、一連の作業工程が終わるまでのパレット作業台70の移動状態を順次説明する。
(a)水平送り昇降装置20上部の無端ローラーチェーン体23上に載ったパレット作業台70は、搬送突起付ローラ体73が該無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15に牽引され、流れ作業にしたがって移動する。
(b)全作業工程を終了し、パレット作業台70は、水平送り昇降装置20の上部最終地点に到達する。
(c)パレット作業台70の左前方(図で左側)に位置する搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15から一旦外れるとともに、パレット作業台70の右後方(図で右側)に位置する搬送突起付ローラ体73は同搬送フック体15に引っ掛かかった状態で、該右後方の搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20に連動することで、パレット作業台70は前方へ押し出される。そして、左前方の搬送突起付ローラ体73が、今度は垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15に引っ掛けられる。
(d)パレット作業台70の左前方(図で左側)に位置する搬送突起付ローラ体73が垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15に、右後方(図で右側)に位置する搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15に引っ掛かった状態で、水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23と垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の垂直下方送りによってパレット作業台70は下方に搬送される。
(e)パレット作業台70が、垂直昇降装置30の最下端位置で受け渡し搬送レール33上に載せられ、パレット作業台70の左前方(図で左側)に位置する搬送突起付ローラ体73が垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15から外れる。このとき、右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73は水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15に引っ掛かった状態のまま、該水平送り昇降装置20に連動することにより、パレット作業台70は水平早戻り装置40に送り込まれる。
【0046】
図6は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の作動状態(戻り)を示す模式的部分側面図である。
(f)パレット作業台70は、水平早戻り装置40の高速搬送コンベア44の送りと、回転ローラ85と搬送レール45の接触による該回転ローラ85の回転によって、水平早戻り装置40のストッパ92の位置まで送られる。
なお、パレット作業台70は、その進行をストッパ92で止められた状態にて該ストッパ92の開放まで待機する。そのとき、回転ローラ85は回転し続け、パレット作業台70との接面にて滑りが生じている。
(g)水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15がリミットスイッチ91を操作することで、ストッパ92が開放されて、該ストッパ92で進行を止められたパレット作業台70が前方へ送られて、左前方(図で左側)の搬送突起付ローラ体73が、水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15にタイミングよく引っ掛かることで、パレット作業台70は水平送り昇降装置20に連動して押し出され、垂直昇降装置30の受け渡し搬送レール33上に送られる
(h)パレット作業台70の左前方(図で左側)の搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15に引っ掛かった状態で、右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73は垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15に引っ掛けられる。
(i)パレット作業台70の左前方(図で左側)の搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15に、右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73が垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15に引っ掛かった状態で、水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23と垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の垂直上方送りによってパレット作業台70は上方に搬送される。
(j)垂直昇降装置30の最上端位置において、パレット作業台70の左前方(図で左側)の搬送突起付ローラ体73水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15に引っ掛かった状態のまま、右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73が垂直昇降装置30の搬送フック体15を外れ、水平送り昇降装置20に連動して左前方の搬送突起付ローラ体73が牽引されることで、右後方の搬送突起付ローラ体73は受け渡し搬送レール33上に載せられる。そして、その後に右後方の搬送突起付ローラ体73も水平送り昇降装置20の搬送フック体15に引っ掛けられ、上記(a)の状態に戻る。
【実施例6】
【0047】
図7は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の別の実施形態の構成を示す分解模式図である。
すなわち、本実施形態は、上述した実施形態における水平送り昇降装置20の上方中間位置に、該水平送り昇降装置20と送り高さを同じくする水平早送り装置60を配置し、垂直昇降装置30、水平早戻り装置40も含め、それらを一基の駆動装置11よって動力伝達チェーン17と無端ローラーチェーン体23,32を介して連動させる構造となっている。
【0048】
水平早送り装置60の基本構造は、上述した水平早戻り装置40と同様であって、図4に示されている。すなわち、少なくとも二以上のスプロケット回転軸体61と、パレット作業台70を高速搬送させる高速搬送コンベア64とそれを支える搬送レール65とで構成され、本体中央上部に設けられる。スプロケット回転軸体61は、連結軸61aに少なくとも一以上のコンベア回転ギア61bを備えてなり、少なくとも搬送方向の前後二箇所に、水平送り距離に合わせた長さ位置を確保しつつ夫々配置される。そして、かかる前後のコンベア回転ギア61b間が、高速送りチェーン81により連架されることで、水平早送り装置60は水平送り機能と高速送り機能を有することとなる。なお、水平早送り装置60は、水平送り昇降装置20に対して同回転する構造で運転される。このとき、コンベア回転ギア61bに駆動力を動力伝達チェーン17で伝達する必要があるため、該コンベア回転ギア61bの一つは二連式となる構造を有する。
【0049】
なお、水平早送り装置60内に設けられる高速搬送コンベア64および搬送レール65についても、上述した水平早戻り装置40と同様の構造であるため、説明は省略する
【実施例7】
【0050】
図8は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の駆動力の伝達状態を模式的に示す側面図である。
各装置のローラーチェーンによる伝達順序を駆動装置11から順に説明すると、まず最初に、駆動装置11によって発生する回転駆動力は、動力伝達チェーン17によって減速機能を有するスプロケット回転軸体16に伝達され、使用される回転速度に合わせた適当な回転数に減速される。次に、減速機能を有するスプロケット回転軸体16から動力伝達チェーン17によって伝達された駆動力は、水平送り昇降装置20と両側に位置する垂直昇降装置30の搬送スプロケット体22,31に伝達され、パレット作業台70が水平ならびに垂直搬送される構造となる。
【0051】
一方、水平早戻り装置40への駆動力の伝達は、高速搬送コンベア44のスプロケット回転軸体41におけるコンベア回転ギア41bに逆回転となって伝達され、該コンベア回転ギア41b間に連架されている高速送りチェーン81が駆動する。このとき、該高速送りチェーン81に回転自在に軸支されている複数の小径の回転ローラ85が、搬送レール45と接触することで回動することとなり、これにより水平早戻り装置40は、パレット作業台70を高速でスライド移動させる早送り機能を有する仕組みとなっている。
【0052】
また、水平早送り装置60への駆動力の伝達は、高速搬送コンベア64のスプロケット回転軸体61におけるコンベア回転ギア61bに正回転となって伝達され、該コンベア回転ギア61b間に連架されている高速送りチェーン81が駆動する。このとき、該高速送りチェーン81に回転自在に軸支されている複数の小径の回転ローラ85が、搬送レール65と接触することで回動することとなり、これにより水平早送り装置60は、パレット作業台70を高速でスライド移動させる早送り機能を有する仕組みとなっている。
【実施例8】
【0053】
図9は、本発明におけるパレット作業台循環搬送装置10の作動状態(送り)を示す模式的部分側面図である。流れ作業方式において、一連の作業工程が終わるまでのパレット作業台70の移動状態を説明する。
(a)水平送り昇降装置20上部の無端ローラーチェーン体23上に載ったパレット作業台70は、搬送突起付ローラ体73が該無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15に牽引され、流れ作業にしたがって移動する。
(b)パレット作業台70の左前方(図で左側)に位置する搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23の搬送フック体15から外れるとともに、パレット作業台70の右後方(図で右側)に位置する搬送突起付ローラ体73は同搬送フック体15に引っ掛かった状態で、該右後方の搬送突起付ローラ体73が水平送り昇降装置20に連動することで、パレット作業台70は前方へ押し出され、水平早送り装置60に送り込まれる。
(c)その後、パレット作業台70の右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73も搬送フック体15から外れ、水平早送り装置60の高速搬送コンベア64の送りと、回転ローラ85と搬送レール65の接触による該回転ローラ85の回転によって、パレット作業台70は水平早送り装置60のストッパ92の位置まで送られる。
なお、パレット作業台70は、その進行をストッパ92で止められた状態にて該ストッパ92の開放まで待機する。そのとき、回転ローラ85は回転し続け、パレット作業台70との接面にて滑りが生じている。
(d)水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15がリミットスイッチ91を操作することで、ストッパ92が開放されて、該ストッパ92で進行を止められたパレット作業台70が前方へ送られて、右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73が、水平送り昇降装置20の無端ローラーチェーン体23に設けられた搬送フック体15にタイミングよく引っ掛かることで、パレット作業台70は水平送り昇降装置20に連動して押し出され、垂直昇降装置30の受け渡し搬送レール33上に送られる。
(e)そのまま水平送り昇降装置20にパレット作業台70の右後方(図で右側)の搬送突起付ローラ体73が連動することで、左前方(図で左側)の搬送突起付ローラ体73が垂直昇降装置30の位置まで押し出され、該垂直昇降装置30の無端ローラーチェーン体32の搬送フック体15に左前方の搬送突起付ローラ体73が引っ掛かる。
以降の作動状態(戻り)に関しては、上述した実施例5における作動状態(戻り)の説明と重複するため、説明ならびに図示は省略する。
【0054】
以上、本発明にかかるパレット作業台循環搬送装置10の実施形態について種々説明したが、これらはあくまで例示であって、本発明が上記した実施例や図示した構造に限定されるものではない。
例えば、本発明にかかる水平早送り装置60について、水平送り昇降装置20の上方中間位置に複数配置することも考え得る。
【符号の説明】
【0055】
10 パレット作業台循環搬送装置
11 駆動装置
12 スプロケットギア
14 搬送レール
15 搬送フック体
16 スプロケット回転軸体
17 動力伝達チェーン
18 テンション調節ギア
20 水平送り昇降装置
22 搬送スプロケット体
23 無端ローラーチェーン体
30 垂直昇降装置
31 搬送スプロケット体
32 無端ローラーチェーン体
33 受け渡し搬送レール
34 ガイドレール
40 水平早戻り装置
41 スプロケット回転軸体
42 無端ローラーチェーン
43 逆回転機構
44 高速搬送コンベア
45 搬送レール
50 減速回転装置
51 搬送スプロケット体
52 無端ローラーチェーン体
53 搬送レール
60 水平早送り装置
61 スプロケット回転軸体
62 無端ローラーチェーン
63 逆回転機構
64 高速搬送コンベア
65 搬送レール
70 パレット作業台
71 Wローラ体
72 搬送ローラ体
73 搬送突起付ローラ体
81 高速送りチェーン
82 無端ローラーチェーン
83 内側プレート
84 外側プレート
85 回転ローラ
91 リミットスイッチ
92 ストッパ
S 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット作業台の循環搬送を行う搬送装置であって、
水平送り昇降装置の両側に垂直昇降装置を配置し、かつ、該水平送り昇降装置の下方部に水平早戻り装置を配置し、該水平送り昇降装置と垂直昇降装置と水平早戻り装置とを動力伝達チェーンと無端ローラーチェーン体で連動させることで、一基の駆動装置でパレット作業台の循環搬送並びに水平早戻り装置による高速搬送を可能としたことを特徴とするパレット作業台循環搬送装置。
【請求項2】
前記パレット作業台循環搬送装置において、水平送り昇降装置の上方中間位置に、該水平送り昇降装置と送り高さを同じくした水平早送り装置を配置し、該水平送り昇降装置と垂直昇降装置と水平早戻り装置と水平早送り装置とを動力伝達チェーンと無端ローラーチェーン体で連動させることで、一基の駆動装置でパレット作業台の循環搬送並びに水平早送り装置と水平早戻り装置による高速搬送を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のパレット作業台循環搬送装置。
【請求項3】
前記水平送り昇降装置が、前記パレット作業台を水平方向に送る水平搬送機能と、垂直方向に送る昇降機能と、水平早戻り装置に送り込む機能と、前記水平早戻り装置との接触を回避する機能とを備え、複数のスプロケットギアと該スプロケットギア間に連架された無端ローラーチェーン体で構成される左右一対の搬送スプロケット体と、前記パレット作業台をスライド移動させるための左右一対の搬送レールと、を本体搬送方向に並設した構造であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパレット作業台循環搬送装置。
【請求項4】
前記垂直昇降装置が、垂直昇降機能を備え、少なくとも二以上のスプロケットギアと該スプロケットギア間に連架された無端ローラーチェーン体で構成される左右一対の搬送スプロケット体と、前記パレット作業台を受け渡しする左右一対の搬送レールと、を本体搬送方向に並設した構造であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパレット作業台循環搬送装置。
【請求項5】
前記水平早戻り装置および水平早送り装置が、少なくとも二以上のスプロケット回転軸体と高速搬送コンベアと搬送レールとで構成され、スプロケット回転軸体は、連結軸に少なくとも一以上のコンベア回転ギアを備え、高速搬送コンベアは、高速送りチェーンに小径の回転ローラを回動自在に複数個軸支してなり、該スプロケット回転軸体を少なくとも搬送方向の前後二箇所に配置してできるコンベア回転ギア間を高速送りチェーンにより連架するとともに、該高速送りチェーンの下方位置に回転ローラと接触するよう搬送レールが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4記載のいずれかに記載のパレット作業台循環搬送装置。
【請求項6】
前記パレット作業台が、搬送方向と直交する側面の対角線上に対向して設けられる搬送ローラ体と、搬送突起付ローラ体と、を備えたWローラ体で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のパレット作業台循環搬送装置。
【請求項7】
前記水平送り昇降装置ならびに垂直昇降装置における無端ローラーチェーンに、パレット作業台を牽引するための搬送フック体を設けることで、無端ローラーチェーン体が構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のパレット作業台循環搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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