説明

パワーコンディショナ検査装置

【課題】太陽電池発電量と系統電源電力状況の変動に対する動作安定性が高いパワーコンディショナの性能検査について、高い信頼性および効率性が得られるようにする。
【解決手段】入力側にPV模擬電源装置1が接続され、出力側に系統模擬電源装置3が接続されたパワーコンディショナ2を検査対象とする。出力条件設定手段4a,4bはPV模擬電源装置1と系統模擬電源装置3に対して通信回線5,7を介してそれぞれの出力条件を送信し設定および更新し、運転指令手段4cは双方向通信回線6を介してパワーコンディショナ2に各種の運転指令信号を送信し、運転状態受信手段4dはパワーコンディショナ2で生成されるエラー信号を含む運転状態信号を双方向通信回線6を介して受信し、ログファイル記録手段4eは送信した運転指令信号の情報と受信した運転状態信号の情報からログファイルを生成して記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側に太陽電池、出力側に系統電源(商用電源)がそれぞれ接続されるパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)の性能を検査するパワーコンディショナ検査装置にかかわり、詳しくは、パワーコンディショナに対する性能検査の信頼性および効率性を向上するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力需要家の太陽電池による電力と電気事業者の系統電源による電力とを組み合わせて需要家における電力消費を賄えるようにした分散型電源システムにおいては、通常、太陽電池を系統電力に連系させて使用することから、周波数や電圧を電力系統に適合させるためのパワーコンディショナを必要としている。パワーコンディショナは、直流電力を交流電力に変換する電力変換器である。太陽電池が日射量に応じて発生した直流電力はパワーコンディショナに供給され、交流電力に変換され、さらに配電盤に供給される。配電盤には配電線を介して系統電源からの交流電力が供給されており、配電盤から負荷に交流電力が配電される。負荷側から見ると、パワーコンディショナの交流出力と系統電源とが並列に接続されており、パワーコンディショナからの交流電力が負荷の需要を満たさない場合には、その不足分が系統電源から補充される。
【0003】
パワーコンディショナは、太陽電池からの直流電力を所定の電圧まで昇圧するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータが出力する直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータと、太陽電池からの直流電力の電圧および電流を計測するセンサと、パワーコンディショナから出力される交流電力の電圧および電流を計測するセンサと、これらのセンサでの測定値に基づきパワーコンディショナの動作を制御するコントローラとを備えている。コントローラは、DC/DCコンバータに対し直流電力の昇圧動作を制御するための昇圧信号を出力し、DC/ACインバータに対し直流/交流変換動作を制御するための変換信号を出力する。
【0004】
資源エネルギー庁の系統連系ガイドラインによると、パワーコンディショナには、その交流出力が系統電源の配電線に直接供給されることから電力系統に悪影響を及ぼさないことが求められている(連系保護機能)。太陽電池による電力が電力消費を上回り、系統電力に対する逆潮流が起きる状況では厳しい管理が必要とされ、系統電源の停電時には分散型電源システムが系統につながったままの運転は禁止されている。系統電源の停電時に分散型電源システムが単独運転すると、停電中ゆえ本来は充電されない配電線が充電されてしまい、停電復旧作業における感電事故や、系統復帰時に系統電源側位相と配電線側位相の不一致による故障発生のおそれがある。また、故障発生位置の探索を難しくする。その連系保護機能によると、系統電源側からの電力供給が途絶えて単独運転状態になったことを検出したときは、DC/ACインバータ内のパワー半導体素子を遮断して分散型電源システムの動作を停止させ、必要に応じて分散型電源システムを配電線から切り離す。単独運転状態の検出方法として、電圧や周波数を監視し、異常があれば系統電源側の停電と判定する受動方式と、有効電力、無効電力を変化させたときに系統異常となるかを監視することにより単独運転状態を検出する能動方式とがある。受動方式では、太陽電池から供給される電力と負荷が使用する電力とが均衡している場合には単独運転を検出できないことがある。また、受動方式だけでは単独運転を検出できない場合がある。これらのことから、系統連系ガイドラインでは、受動方式と能動方式とを組み合わせて単独運転を検出するように推奨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−93176号公報
【特許文献2】特開2006−320149号公報
【特許文献3】特開2007−288842号公報
【特許文献4】特開2008−125290号公報
【特許文献5】特開2008−209247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池の発電量は、日射量、温度、風速、日陰など様々な気象条件の変動によって大きく変動する。日射量は、晴れ、曇り、雨などの天気や設置場所に左右される。また、商用電源での電力状況も、負荷変動のために大きく変動する。したがって、太陽電池発電量と系統電源電力状況がどのように変動しても、動作が安定していることが肝要である。
【0007】
パワーコンディショナに対する性能検査として、すべての季節にわたり実時間で検査を行うとなると、膨大な時間と経費がかかる。そこで、模擬的に試験を行う。従来にあっては、様々な気候条件をPV模擬電源装置に入力して、太陽電池の性能を模擬的に検査する装置がある。一方、系統模擬電源装置に条件を入力して、パワーコンディショナの性能を模擬的に検査する装置がある。
【0008】
しかし、これまでのところ、PV模擬電源装置、パワーコンディショナおよび系統模擬電源装置を一括的にした模擬的な系統連系のパワーコンディショナシステムに対する検査装置は知られていない。
【0009】
本発明は、太陽電池発電量と系統電源電力状況の変動に対する動作安定性が高いパワーコンディショナの性能検査について、高い信頼性および効率性が得られるパワーコンディショナ検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパワーコンディショナ検査装置は、入力側にPV(太陽光発電)模擬電源装置が接続され、出力側に系統模擬電源装置が接続されたパワーコンディショナを検査対象とする。
【0011】
ここで、PV模擬電源装置とは、直流電圧を出力する電源装置であり、分散型電源である太陽電池を模擬した電源のことである(PV:Photovoltaic)。また、系統模擬電源装置とは、電気事業者等から送電線を介して送られてくる系統電源(商用電源)を模擬した電源のことである。
【0012】
本発明のパワーコンディショナ検査装置は、PV模擬電源装置と系統模擬電源装置のそれぞれに対して通信回線を介してそれぞれの出力条件を送信して設定および更新する出力条件設定手段を備えている。それぞれの出力条件については、任意のものが設定可能であり、自由に更新することも可能である。
【0013】
また、本発明のパワーコンディショナ検査装置は、パワーコンディショナに対する双方向通信回線を介して、パワーコンディショナに各種の運転指令信号を送信する運転指令手段を備えているともに、パワーコンディショナで生成される運転状態信号を前記の双方向通信回線を介して受信する運転状態受信手段を備えている。パワーコンディショナにエラーが発生したときには、その運転状態信号にエラー信号が含まれる。さらに、この検査装置は、前記の双方向通信回線を介して送信した前記の運転指令信号の情報と受信した前記の運転状態信号(エラー信号を含む)の情報からログ(記録)ファイルを生成して記録するログファイル記録手段を備えている。得られたログファイルにおける運転内容やエラーの情報は、運転不良の分析や故障の修復などに利用される。
【0014】
本発明の上記構成による作用は次のとおりである。太陽電池からの直流電力を交流電力に変換し、余剰電力を系統電源に逆潮流する系統連系方式のパワーコンディショナについて、その設計段階、研究開発段階での性能検査を行うものにおいて、実際の太陽電池(モジュール)に代えてPV模擬電源装置を用いるとともに、実際の系統電源に代えて系統模擬電源装置を用いるようにしている。さらに、検査装置からPV模擬電源装置と系統模擬電源装置に対して様々な出力条件を設定した上で、検査装置からの運転指令をもってパワーコンディショナを運転しながら、運転指令信号の情報と運転状態信号(エラー信号を含む)の情報とを関連付けたログファイルを生成し記録する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、検査対象のパワーコンディショナの実際的な使用環境にできるだけ近似した動作環境を再現するためのシミュレーションデータをPV模擬電源装置および系統模擬電源装置に与え、かつ、その動作環境のもとでパワーコンディショナに様々な運転指令信号を与えることによりパワーコンディショナの性能をシミュレートするので、未再現不良(原因解明が不可能な不良)の低減を図りつつ、設計段階、研究開発段階にあるパワーコンディショナに対する性能検査の信頼性および効率性を向上することが可能となる。さらに、エラー情報を含むログファイルから不具合となるときの条件出しを容易に行うことができ、ソフトのデバッグ対策が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の基本的な実施の形態におけるパワーコンディショナ検査装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の応用的な実施の形態におけるパワーコンディショナ検査装置の構成を示すブロック図
【図3】日射量、発電量の時刻変化のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかわるパワーコンディショナ検査装置の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明の基本的な実施の形態におけるパワーコンディショナ検査装置の構成を示すブロック図において、1は直流電圧を出力する電源装置であって、分散型電源である太陽電池を模擬したPV(太陽光発電)模擬電源装置である。2は太陽電池(図示せず)からの直流電力を交流電力に変換し、余剰電力を系統電源(図示せず)に逆潮流するもので、設計段階、研究開発段階で性能検査の対象となっている系統連系方式のパワーコンディショナ(PCS)、3は電気事業者等から送電線を介して送られてくる系統電源(商用電源)を模擬した系統模擬電源装置、4はパワーコンディショナ検査装置、5はパワーコンディショナ検査装置4をPV模擬電源装置1につなぐ通信回線、6はパワーコンディショナ検査装置4とパワーコンディショナ2とをつなぐ双方向通信回線、7はパワーコンディショナ検査装置4を系統模擬電源装置3につなぐ通信回線である。パワーコンディショナ2は、ここでは、その入力側が実際の太陽電池に代えてPV模擬電源装置1に接続され、その出力側が実際の系統電源に代えて系統模擬電源装置3に接続されている。
【0018】
パワーコンディショナ検査装置4は、通信回線5を介してPV模擬電源装置1に対して各種の出力条件を送信して設定および更新する出力条件設定手段4aと、通信回線7を介して系統模擬電源装置3に対して各種の出力条件を送信して設定および更新する出力条件設定手段4bと、双方向通信回線6を介してパワーコンディショナ2に対して各種の運転指令信号を送信する運転指令手段4cと、パワーコンディショナ2で生成される運転状態信号(エラー信号を含む)を双方向通信回線6を介して受信する運転状態受信手段4dと、運転指令手段4cから送信した運転指令信号の情報と運転状態受信手段4dで受信した運転状態信号の情報からログファイルを生成して記録するログファイル記録手段4eとを備えている。
【0019】
パワーコンディショナ検査装置4は、パーソナルコンピュータやマイクロコンピュータ(またはマイクロコントローラ)で構成することができる。パソコンで構成する場合には、高度な汎用性、柔軟性を持たせることができる。
【0020】
PV模擬電源装置1に対して出力条件設定手段4aから与える出力条件としては、その基本は日射量データであるが、それ以外に、太陽電池周辺の温度データ、湿度データ、風速データ、晴れ、曇り、雨などの天気状態を表す天気データ、日陰の有無のデータ、太陽電池設置場所のその他の環境データのうちから任意のいくつかを選択したデータがある。検査目的に応じて適宜に選択すればよい。
【0021】
日射量データについては、日の出から日没まで連続的に採取したデータでもよいが、効率化を考えて、例えば、日射の立ち上がりの時間帯、日中の時間帯、立ち下がりの時間帯に分けてデータを採取すればよい。この場合の一例として、立ち上がりの時間帯2時間、日中の時間帯4時間、立ち下がりの時間帯2時間のデータの合計8時間の日射量データを用いる例がある。日中の時間帯を長くとるのは、日射量の急変が起こる可能性が高いので、より詳しいデータをとる意味である。PV模擬電源装置1に与える出力条件については、任意のものが設定可能であり、自由に更新することも可能である。
【0022】
また、系統模擬電源装置3に対して出力条件設定手段4bから与える条件としては、配電の電圧、周波数、位相などがある。これらについても、任意のものが設定可能であり、自由に更新することも可能である。
【0023】
運転指令手段4cは、パワーコンディショナ2に対して、起動指令、終了指令、出力電流指令値、出力電力指令値、低電圧指令、有効電力・力率指令、出力抑制指令、系統解列指令、系統連系運転指令、自立運転指令、単独運転指令、省エネ運転指令、異常解消後の再連系指令、EMC(電磁環境適合性)指令などのうちから任意のものを選択して、双方向通信回線6を介して送信することができる。
【0024】
パワーコンディショナ2は運転指令手段4cからの指令に従って動作して、PV模擬電源装置1からの直流電力を受けて交流電力に変換する。系統模擬電源装置3に給電する過程において、パワーコンディショナ2の内部の運転状態が、PV模擬電源装置1の状態変化、系統模擬電源装置3の状態変化に応じて刻々変化するが、この運転状態信号を双方向通信回線6を介してパワーコンディショナ検査装置4の運転状態受信手段4dに送信するように構成されている。パワーコンディショナ2は、何らかのエラーが発生したときには、そのエラーの種類を表すエラー信号を運転状態信号として出力するようになっている。
【0025】
そして、運転状態受信手段4dは、パワーコンディショナ2から双方向通信回線6を介して送られてくる運転状態信号(エラー信号を含む)を受信できるようになっている。
【0026】
ログファイル記録手段4eは、運転指令手段4cがパワーコンディショナ2に与える運転指令信号の情報と運転状態受信手段4dがパワーコンディショナ2から受け取る運転状態信号(エラー信号を含む)の情報とを関連付けたログファイルを生成し記録する。
【0027】
以上のように本実施の形態のパワーコンディショナ検査装置4によれば、太陽電池を模擬したPV模擬電源装置1に対して出力条件設定手段4aから様々な出力条件(シミュレーションデータ)を与えるとともに、系統電源を模擬した系統模擬電源装置3に対しても出力条件設定手段4bから様々な出力条件(シミュレーションデータ)を与えることにより、検査対象のパワーコンディショナ2の動作環境として、実際的な使用環境に充分に近似した動作環境を再現することができる。さらに、そのような動作環境のもとで、運転指令手段4cからパワーコンディショナ2に対して様々な運転指令信号を与えつつ、パワーコンディショナ2の性能をシミュレートし、運転状態受信手段4dによってエラー信号を含めて運転状態信号を受信し、ログファイル記録手段4eにおいて運転指令信号の情報と運転状態信号(エラー信号を含む)の情報とを関連付けたログファイルを生成し記録するので、未再現不良の低減を図りつつ、パワーコンディショナ2の設計段階、研究開発段階における性能検査の信頼性および効率性を向上させることができる。また、そのログファイルからパワーコンディショナ2に不具合が発生するときの条件出しも容易に行え、ソフトのデバッグと対策が容易になる。
【0028】
上記の構成のパワーコンディショナ検査装置をより具体的レベルで考察すると、好ましい態様として、次のような構成を挙げることができる。これを図2を用いて説明する。図2において、4fは条件データ蓄積手段、4gは条件データ加工手段、4hはサンプリング圧縮手段、4iはノイズ信号注入手段である。
【0029】
〈1〉外部のパソコンや記憶媒体から日射量データを取り込んで蓄積する機能(ロギング)や、蓄積した日射量のログデータを加工しさらに蓄積する機能を持たせる。これらの機能を担当するのが条件データ蓄積手段4fと条件データ加工手段4gである。日射量データとしては、時間経過と各時刻での日射量との関係性を表す発電曲線の形式とすることも可能である。図3は、発電曲線の一例を示す。なお、図3では午前10時の時間帯で日射量の急変が起こった場合も示している。
【0030】
条件データ蓄積手段4fは、パソコンから日射量データを取り込んで蓄積する。条件データ蓄積手段4fは出力条件設定手段4aにつながっており、蓄積した日射量データをPV模擬電源装置1に渡し、その日射量データのもとでパワーコンディショナ2をシミュレートすることができる。
【0031】
条件データ加工手段4gは、条件データ蓄積手段4fから日射量データを読み出した上で、所望の加工を行い、加工後の日射量データを再び条件データ蓄積手段4fに戻す。この加工後の条件データを出力条件設定手段4aからPV模擬電源装置1に渡せば、PV模擬電源装置1に対する所望の条件下でパワーコンディショナ2をシミュレートすることが可能となり、パワーコンディショナ2の性能検査がより高精度に行える。
【0032】
〈2〉上記の発電曲線のデータについては、これをサンプリング圧縮することができるように構成する。この機能を担当するのがサンプリング圧縮手段4hである。サンプリング圧縮手段4hは、条件データ蓄積手段4fに蓄積されている日射量データを読み出し、サンプリング圧縮した発電曲線のデータを生成し、さらに出力条件設定手段4aを介してPV模擬電源装置1に渡す。用いる発電曲線のデータがサンプリング圧縮されたものであるので、検査時間を短縮することが可能になる。
【0033】
なお、上記では、PV模擬電源装置1につながる出力条件設定手段4aとの関係で説明したが、系統模擬電源装置3につながる出力条件設定手段4bに対しても条件データ蓄積手段4fをつなげて、パソコンから入力したデータやそれを加工したデータを出力条件設定手段4bを介して系統模擬電源装置3に渡すようにしてもよい。また、サンプリング圧縮の対象は、日射量データに限るものではなく、他の任意の条件データに適用してもよい。
【0034】
〈3〉取得した多数の日射量データを総合的に解析した上で、いくつかのパターンにパターン化し、そのパターン化された日射量データをシミュレーションに使うように構成するのも有効である。日射量データをパターン化することにより、パワーコンディショナ2の検査を合理的に効率良く展開することができる。
【0035】
〈4〉系統模擬電源装置3に対しては、その装置の系統電圧や、系統電圧の周波数・位相を任意に設定可能に構成する。その設定は、パワーコンディショナ2に対する運転指令信号の送信と同期または非同期で行えるものとする。これにより、系統電源に対する所望の条件下でパワーコンディショナ2をシミュレートすることが可能となり、パワーコンディショナ2の性能検査がより高精度に行える。
【0036】
〈5〉パワーコンディショナ検査装置4は、さらに、PV模擬電源装置1で生成されパワーコンディショナ2へ出力される直流電力の出力信号や、パワーコンディショナ2で生成され系統模擬電源装置3へ出力される交流電力の出力信号に対して種々様々なノイズ信号を重畳できるように構成されていることが好ましい。この機能を担当するのがノイズ信号注入手段4iである。ノイズ信号注入手段4iは、様々なノイズ信号を生成して、PV模擬電源装置1からパワーコンディショナ2への伝送路やパワーコンディショナ2から系統模擬電源装置3への伝送路にノイズ信号を注入する。系統連系方式のパワーコンディショナの実使用に際しては電力の伝送路にノイズが乗ってくることは不可避である。この実使用の不可避のノイズがパワーコンディショナの運転状態に与える影響を様々な角度からシミュレートすることが可能となり、検査精度がさらに向上する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、入力側に太陽電池、出力側に系統電源が接続されるパワーコンディショナの性能を検査するパワーコンディショナ検査装置において、太陽電池発電量と系統電源電力状況がどのように変動しても、安定した動作状態が得られるようにする技術として有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 PV模擬電源装置
2 パワーコンディショナ
3 系統模擬電源装置
4 パワーコンディショナ検査装置
4a 出力条件設定手段
4b 出力条件設定手段
4c 運転指令手段
4d 運転状態受信手段
4e ログファイル記録手段
4f 条件データ蓄積手段
4g 条件データ加工手段
4h サンプリング圧縮手段
4i ノイズ信号注入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側にPV(太陽光発電)模擬電源装置が接続され、出力側に系統模擬電源装置が接続されたパワーコンディショナを検査対象として、
前記PV模擬電源装置と前記系統模擬電源装置のそれぞれに対して通信回線を介してそれぞれの出力条件を送信して設定および更新する出力条件設定手段と、
前記パワーコンディショナに対する双方向通信回線を介して、前記パワーコンディショナに各種の運転指令信号を送信する運転指令手段と、
前記パワーコンディショナで生成されるエラー信号を含む運転状態信号を前記双方向通信回線を介して受信する運転状態受信手段と、
送信した前記運転指令信号の情報と受信した前記運転状態信号の情報からログファイルを生成して記録するログファイル記録手段とを備えたパワーコンディショナ検査装置。
【請求項2】
さらに、外部から条件データを取り込んで蓄積し、蓄積した条件データを前記出力条件設定手段に渡す条件データ蓄積手段を備えている請求項1に記載のパワーコンディショナ検査装置。
【請求項3】
さらに、前記条件データ蓄積手段から読み出した条件データを加工した上で前記条件データ蓄積手段に戻す条件データ加工手段を備えている請求項2に記載のパワーコンディショナ検査装置。
【請求項4】
さらに、前記条件データ蓄積手段から読み出した条件データをサンプリング圧縮して前記出力条件設定手段に渡すサンプリング圧縮手段を備えている請求項2または請求項3に記載のパワーコンディショナ検査装置。
【請求項5】
さらに、前記パワーコンディショナの入力または出力にノイズ信号を注入するノイズ信号注入手段を備えている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のパワーコンディショナ検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−38143(P2013−38143A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171373(P2011−171373)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000217491)田淵電機株式会社 (67)
【Fターム(参考)】