説明

パンタグラフ式リフタ

【課題】偏荷重や振動等によっても支持ローラが昇降台レール上を蛇行したり上下にバウンドしたりせず昇降台が安定して昇降移動するとともに、昇降台を補強しつつ最下限位置を確保し、かつ、パンタグラフ機構の間隔を確保して昇降台を安定して昇降移動するパンタグラフ式リフタを提供すること。
【解決手段】パンタグラフ機構により昇降移動するパンタグラフ式リフタ100において、昇降台102が、昇降アーム112の支持ローラ121が走行するレール面と走行方向側方を規制する段部を設けた昇降台レール122と、支持ローラ121の下側から微少間隙で対向する昇降台ガイド125を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構によって昇降台を平行に昇降移動するパンタグラフ式リフタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構によって昇降台を平行に昇降移動するパンタグラフ式リフタとして、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構と、パンタグラフ機構を駆動する駆動手段と、複数の昇降アームの内の少なくとも一つの昇降アームにピン結合され他の少なくとも一つの昇降アームに直線動自在に支持されて昇降移動する昇降台とを有するパンタグラフ式リフタは周知である。
【0003】
これらのパンタグラフ式リフタ500は、図5に示すように、交差する複数の昇降アーム510で構成されるパンタグラフ機構により昇降台501を基台502と平行に昇降移動されるよう構成されている。
一方の昇降アーム511は、一端が昇降台501に昇降台支軸503により回動自在に連結され、他端は移動端504とされて、基台502に水平移動自在に設置されている。
この移動端504の移動自在な支持は、移動端504に設けられたローラ505を基台502に設けられた基台レール506に移動自在に設置することで行われる。
【0004】
他方の昇降アーム512は、一端が基台502に基台支軸507により回動自在に連結され、他端は移動端508とされて、昇降台501に水平移動自在に設置されている。
この移動端508の移動自在な支持は、移動端508に設けられた支持ローラ521を昇降台501に設けられた昇降台レール522に移動自在に設置することで行われる。
これら昇降アーム511、512からなるパンタグラフ機構は、互いに平行(図の表裏方向)に2組設けられている。
駆動手段550は、昇降駆動アーム513を移動させる第1の昇降駆動部550Aと、一方の昇降アーム511を移動させる第2の昇降駆動部550Bとで構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−211895号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの周知のパンタグラフ式リフタは、昇降台レールが単なる平面部材であったり、あるいは、昇降台の下面をそのまま使用しているため、偏荷重や振動等により支持ローラが昇降台レール上を蛇行したり、昇降台下降時に干渉物との接触があった場合に支持ローラが昇降レールから離れて昇降台が傾斜したりして、昇降台の安定した昇降移動に支障をきたすという問題があった。
【0007】
また、昇降台の補強のため下面外周に補強部材を配置した場合、補強部材の下部にパンタグラフ機構を配置すると、昇降台の最下限位置が高くなるという問題があり、補強部材を避けた位置にパンタグラフ機構を配置すると、平行な2組のパンタグラフ機構の間隔が狭くなり、さらに安定性が減少するという問題があった。
【0008】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、偏荷重や振動等によっても支持ローラが昇降台レール上を蛇行したり干渉物との接触によって昇降台が傾斜したりせず昇降台が安定して昇降移動するとともに、昇降台を補強しつつ最下限位置を確保し、かつ、パンタグラフ機構の間隔を確保して昇降台を安定して昇降移動するパンタグラフ式リフタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構と、前記パンタグラフ機構を駆動する駆動手段と、前記複数の昇降アームの内の少なくとも一つの昇降アームにピン結合され他の少なくとも一つの昇降アームに直線動自在に支持されて昇降移動する昇降台とを有するパンタグラフ式リフタにおいて、前記他の昇降アームが、前記昇降台側端部に支持ローラを有し、前記昇降台が、前記支持ローラが走行するレール面と前記支持ローラの走行方向側方を規制する段部を設けた昇降台レールと、前記支持ローラの下側から微少間隙で対向する昇降台ガイドを有することにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたパンタグラフ式リフタの構成に加えて、前記昇降台が、その下面に下方向が開放された断面コ字状の支持チャネルと横方向が開放された断面コ字状のガイドチャネルを有し、前記昇降台レールが、前記支持チャネルの内部に設けられるとともに、前記昇降台ガイドが、前記ガイドチャネルの下方に昇降台ガイド取付ベースを介して固定されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたパンタグラフ式リフタの構成に加えて、前記複数の昇降アームが、前記昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、前記昇降台レールと昇降台ガイドが、前記昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、前記他の昇降アームが、それぞれの支持ローラを前記昇降台の幅方向内側に対向するように設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたパンタグラフ式リフタの構成に加えて、前記ガイドチャネルが、前記支持チャネルに固定して設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明のパンタグラフ式リフタは、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構と、パンタグラフ機構を駆動する駆動手段と、複数の昇降アームの内の少なくとも一つの昇降アームにピン結合され他の少なくとも一つの昇降アームに直線動自在に支持されて昇降移動する昇降台とを有するパンタグラフ式リフタにおいて、他の昇降アームが、昇降台側端部に支持ローラを有し、昇降台が、支持ローラが走行するレール面と支持ローラの走行方向側方を規制する段部を設けた昇降台レールと、支持ローラの下側から微少間隙で対向する昇降台ガイドを有することにより、支持ローラの蛇行が昇降台レールの段部によって防止され、支持ローラのレール面から離れることが昇降台ガイドによって防止されるため、偏荷重や振動等によって蛇行したり、干渉物との接触によって昇降台が傾斜したりせず、昇降台を安定して昇降移動させることができる。
【0014】
そして、本請求項2に係る発明のパンタグラフ式リフタは、請求項1に係るパンタグラフ式リフタが奏する効果に加えて、昇降台が、その下面に下方向が開放された断面コ字状の支持チャネルと横方向が開放された断面コ字状のガイドチャネルを有し、昇降台レールが、前記支持チャネルの内部に設けられるとともに、昇降台ガイドが、ガイドチャネルの下方に昇降台ガイド取付ベースを介して固定されていることにより、支持チャネルおよびガイドチャネルが昇降台の補強部材として機能するとともに、昇降台レールの位置が支持チャネル内に位置するため、昇降台の最下限位置を高くすることなく昇降台を補強することができ、さらに昇降台を安定して昇降移動させることができる。
【0015】
そして、本請求項3に係る発明のパンタグラフ式リフタは、請求項1または請求項2に係るパンタグラフ式リフタが奏する効果に加えて、複数の昇降アームが、昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、昇降台レールと昇降台ガイドが、昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、他の昇降アームが、それぞれの支持ローラを昇降台の幅方向内側に対向するように設けられていることにより、昇降台の最下限位置を高くすることなく平行な2組のパンタグラフ機構の間隔を昇降台の全幅に近い間隔で配置することができるため、さらに昇降台を安定して昇降移動させることができる。
【0016】
また、本請求項4に係る発明のパンタグラフ式リフタは、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るパンタグラフ式リフタが奏する効果に加えて、ガイドチャネルが、支持チャネルに固定して設けられていることにより、支持チャネルおよびガイドチャネルの補強機能がより高まるため、昇降台の最下限位置を高くすることなく昇降台を補強することができ、さらに昇降台を安定して昇降移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のパンタグラフ式リフタは、複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構と、パンタグラフ機構を駆動する駆動手段と、複数の昇降アームの内の少なくとも一つの昇降アームにピン結合され他の少なくとも一つの昇降アームに直線動自在に支持されて昇降移動する昇降台とを有するパンタグラフ式リフタにおいて、他の昇降アームが、昇降台側端部に支持ローラを有し、昇降台が、支持ローラが走行するレール面と支持ローラの走行方向側方を規制する段部を設けた昇降台レールと、支持ローラの下側から微少間隙で対向する昇降台ガイドを有し、偏荷重や振動等によっても支持ローラが昇降台レール上を蛇行したり干渉物との接触によって昇降台が傾斜したりせず昇降台を安定して昇降移動させることができるとともに、昇降台を補強しつつ最下限位置を確保し、かつ、パンタグラフ機構の間隔を確保して昇降台を安定して昇降移動させることができるという効果を発揮するものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0018】
すなわち、本発明のパンタグラフ式リフタの駆動手段は、油圧や空気圧により駆動されても良く、モータにより駆動されても良い。
また、本発明のパンタグラフ式リフタの駆動手段は、昇降アームを直接駆動しても良く、他のレバー、アーム等を介して駆動しても良い。
また、本発明のパンタグラフ式リフタは、基台と昇降台の間に一組の交差する昇降アームを用いたパンタグラフ式リフタでも良く、基台と昇降台の間に複数組の交差する昇降アームを上下に連結して昇降距離を大きくしたパンタグラフ式リフタであっても良い。
【実施例】
【0019】
以下に、本発明のパンタグラフ式リフタの実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの側面図であり、図2は、本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの一部切り取った平面図であり、図3は、本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの正面図であり、図4は、図3の一部拡大図である。
【0020】
本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタ100は、図1乃至図3に示すように、交差する一対の昇降アーム110で構成されるパンタグラフ機構により昇降台101を基台102と平行に昇降移動されるよう構成されている。
一方の昇降アーム111は、一端が昇降台101に昇降台支軸103により回動自在に連結され、他端は移動端104とされて、基台102に水平移動自在に設置されている。
この移動端104の移動自在な支持は、移動端104に設けられたローラ105を基台102に設けられた基台レール106に移動自在に設置することで行われる。
【0021】
他方の昇降アーム112は、一端が基台102に基台支軸107により回動自在に連結され、他端は移動端108とされて、昇降台101に水平移動自在に設置されている。
この移動端108の移動自在な支持は、移動端108に設けられた支持ローラ121を昇降台101に設けられた昇降台レール122に移動自在に設置することで行われる。
これら昇降アーム111、112からなるパンタグラフ機構は、互いに平行(図1の表裏、図2の上下、図3の左右方向)に2組が対をなし、それぞれの支持ローラ121が昇降台101の幅方向内側に対向するように設けられるとともに、一対の昇降アーム111、112のそれぞれの交差部は交差部連結軸114によって回動可能に連結されている。
【0022】
駆動手段150は、ギヤードモータ151、駆動ネジ軸153および駆動ナット154からなり、一対の昇降アーム111の移動端104を連結する駆動連結軸155に設けられた駆動ナット154を駆動ネジ軸153により進退させることにより、昇降アーム111の移動端104に設けられたローラ105を基台102に設けられた基台レール106上を進退させることで、昇降台101を昇降させる。
ギヤードモータ151は2軸の駆動ネジ軸153を幅方向平行に同期回転させるように出力し、駆動ナット154が駆動連結軸155に2組設けられることにより、一対の昇降アーム111の移動端104を進退方向に誤差なく移動させることができる。
【0023】
昇降台101の両側部の下面には、図3に示すように、下方向が開放された断面コ字状の一対の支持チャネル123と横方向が開放された断面コ字状の一対のガイドチャネル124が、支持チャネル123を幅方向外側、ガイドチャネル124を幅方向内側にして固定され昇降台101を補強している。
そして、それぞれの支持チャネル123の内部には支持ローラ121が走行する昇降台レール122が設けられ、それぞれのガイドチャネル124の下方には昇降台ガイド取付ベース126を介して昇降台ガイド125が設けられている。
【0024】
昇降台レール122には、図4に示すように、支持ローラ121が走行するレール面127と支持ローラ121の走行方向側方を規制する段部128が設けられており、支持ローラ121が蛇行するのを防止している。
また、昇降台ガイド125のガイド面129が支持ローラ121の下側から微少間隙で対向しており、昇降台101の下降時に干渉物との接触があった場合等、支持ローラ121がレール面127から離れて昇降台101が傾斜することを防止しており、昇降台101上に載置したワークなどが脱落するのを防止している。
【0025】
さらに、図3に示すように、基台102に設けられた基台レール106も昇降台レール122と同様にローラ105が走行するレール面とローラ105の走行方向側方を規制する段部が設けられており、ローラ105が蛇行するのを防止しており、基台102に設けられた基台ガイド109のガイド面がローラ105の上側から微少間隙で対向しており、昇降台101の下降時に干渉物との接触があった場合等、ローラ105がレール面から離れて昇降台101が傾斜することを防止しており、昇降台101上に載置したワークなどが脱落するのを防止している。
【0026】
昇降台ガイド125は、昇降台ガイド取付ベース126を介してガイドチャネル124に着脱可能に固定されているため、容易に組立や保守作業を行うことができる。
また、基台ガイド109も基台102に着脱可能に固定されているため容易に組立や保守作業を行うことができる。
【0027】
以上のように、本発明のパンタグラフ式リフタによれば、偏荷重や振動等によっても支持ローラが昇降台レール上を蛇行したり上下にバウンドしたりせず昇降台を安定して昇降移動させることができるとともに、昇降台を補強しつつ最下限位置を確保し、かつ、パンタグラフ機構の間隔を確保して昇降台を安定して昇降移動させることができるなど、その効果は甚大である。
【0028】
なお、上記実施例では基台レール106に段部を設け、基台102に基台ガイド109が設けられており、昇降アーム111の移動端104に設けられたローラ105は駆動連結軸155で連結されて駆動手段150により駆動される際の蛇行やレール面からの離脱が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの側面図。
【図2】本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの一部切り取った平面図。
【図3】本発明の一実施例であるパンタグラフ式リフタの正面図。
【図4】図3の一部拡大図。
【図5】従来のパンタグラフ式リフタの側面図。
【符号の説明】
【0030】
100、500 ・・・パンタグラフ式リフタ
101、501 ・・・昇降台
102、502 ・・・基台
103、503 ・・・昇降台支軸
104、504 ・・・移動端
105、505 ・・・ローラ
106、506 ・・・基台レール
107、507 ・・・基台支軸
108、508 ・・・移動端
109 ・・・基台ガイド
110、510 ・・・昇降アーム
111、511 ・・・昇降アーム
112、512 ・・・昇降アーム
513 ・・・昇降駆動アーム
114 ・・・連結バー
121、521 ・・・支持ローラ
122、522 ・・・昇降台レール
123 ・・・支持チャネル
124 ・・・ガイドチャネル
125 ・・・昇降台ガイド
126 ・・・昇降台ガイド取付ベース
127 ・・・レール面
128 ・・・段部
129 ・・・ガイド面
150、550 ・・・駆動手段
151 ・・・ギヤードモータ
152 ・・・支持金具
153 ・・・駆動ネジ軸
154 ・・・駆動ナット
155 ・・・駆動連結軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降アームからなるパンタグラフ機構と、前記パンタグラフ機構を駆動する駆動手段と、前記複数の昇降アームの内の少なくとも一つの昇降アームにピン結合され他の少なくとも一つの昇降アームに直線動自在に支持されて昇降移動する昇降台とを有するパンタグラフ式リフタにおいて、
前記他の昇降アームが、前記昇降台側端部に支持ローラを有し、
前記昇降台が、前記支持ローラが走行するレール面と前記支持ローラの走行方向側方を規制する段部を設けた昇降台レールと、前記支持ローラの下側から微少間隙で対向する昇降台ガイドを有することを特徴とするパンタグラフ式リフタ。
【請求項2】
前記昇降台が、その下面に下方向が開放された断面コ字状の支持チャネルと横方向が開放された断面コ字状のガイドチャネルを有し、
前記昇降台レールが、前記支持チャネルの内部に設けられるとともに、
前記昇降台ガイドが、前記ガイドチャネルの下方に昇降台ガイド取付ベースを介して固定されていることを特徴とする請求項1に記載のパンタグラフ式リフタ。
【請求項3】
前記複数の昇降アームが、前記昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、
前記昇降台レールと昇降台ガイドが、前記昇降台の幅方向両端部に対称に設けられ、
前記他の昇降アームが、それぞれの支持ローラを前記昇降台の幅方向内側に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパンタグラフ式リフタ。
【請求項4】
前記ガイドチャネルが、前記支持チャネルに固定して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパンタグラフ式リフタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−247941(P2010−247941A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98700(P2009−98700)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000150800)株式会社ツバキエマソン (102)