説明

パンチ

【課題】ファイル等の多穴リング部に綴じるための多穴の綴じ孔を円滑に且つ正確に穿設することができるパンチを提供する。
【解決手段】この発明にかかるパンチ10は、ベース体12及びプレッシャ体14の対向面に、被穿孔材に穿孔するための穿孔刃52が突設され、プレッシャ体14は、ベース体12又はストリッパ体16に枢支され、ストリッパ体16は、ベース体12とプレッシャ体14との間においてベース体12又はプレッシャ体14に枢支され、ストリッパ体16は、穿孔刃52による穿孔するために被穿孔材Pを固定する位置を明示する位置まで、ベース体12又はプレッシャ体14から離間されて、該明示する位置で停止するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチに関し、特に、例えばファイル等の紙を綴じるための多穴リング部に挿脱自在に挿通可能な多穴綴じ孔を紙に穿設するための簡易パンチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙を綴じるための複数個のリング部を前後方向に所定間隔毎に配設してなるファイルが提供され、綴じ孔が穿設されていない紙の辺縁部に該辺縁部に沿って複数個の綴じ孔を同時に且つ確実に穿設することができるパンチが所望され、特開2002−233993号公報(以下、特許文献1という)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−233993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパンチは、右側パンチ部材と左側パンチ部材とが折り重ね自在に接続されてなるパンチであって、上記右側パンチ部材及び上記左側パンチ部材は、表裏面に亘って貫通したパンチ孔が複数個、一直線状に所定間隔毎に貫設されてなるパンチ基板と、このパンチ基板の上端部に上記パンチ孔列に沿ってその上端し部を回動自在に枢着し且つ裏面に上記パンチ孔の夫々に嵌脱自在に嵌合可能な複数個のパンチ刃を突設してなるパンチ押圧板とからなり、上記左右パンチ部材における一対のパンチ基板の面一状となった表面上にこれらパンチ基板に跨がった状態に一枚の紙を載置した後、上記左右パンチ部材のパンチ押圧板の夫々をその上端部を中心にして上記左右パンチ部材のパンチ基板に近接する方向に回動させる。すると、上記左右パンチ部材のパンチ押圧板の裏面に突設したパンチ刃が上記紙を貫通して上記左右パンチ部材のパンチ基板に貫通したパンチ孔に嵌合され、上記紙の上辺縁部には該上辺縁部に沿って複数個の綴じ孔が穿設される。
ところが、紙に綴じ孔を穿設するために、紙を入れる位置がわかりにくく、パンチ基板の位置決めの部材に嵌め込んで、所定の位置に載置しにくいという問題がある。
それゆえに、本発明の主たる目的は、ファイル等の多穴リング部に綴じるための多穴の綴じ孔を円滑に且つ正確に穿設することができるパンチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかるパンチは、ベース体と、プレッシャ体と、ストリッパ体とを備え、前記ベース体及び前記プレッシャ体のうち、いずれか一方の対向面に、被穿孔材に穿孔するための穿孔刃が突設され、前記プレッシャ体は、前記ベース体又はストリッパ体に枢支され、前記ストリッパ体は、前記ベース体と前記プレッシャ体との間において前記ベース体又はプレッシャ体に枢支され、前記ストリッパ体は、前記穿孔刃を緩挿するための刃通過孔を形成され、刃通過孔の周辺に被穿孔材の表面に当接する領域を有し、ストリッパ体は、穿孔刃による穿孔するために被穿孔材を固定する位置を明示する位置まで、ベース体又はプレッシャ体から離間されて、該明示する位置で停止するように形成された、パンチである。
この発明の請求項2にかかるパンチにおいては、前記プレッシャ体は、前記穿孔刃の間において、枢支部とは反対側の端縁より枢支部に向けて、スリット部を形成され、前記スリット部は、穿孔刃より更に、枢支部に近い位置まで形成された、請求項1に記載のパンチである。
この発明の請求項3にかかるパンチにおいては、前記ベース体は、被穿孔材を穿孔するために、穿孔刃とは離れた位置であって被穿孔材の長手方向及び/又は幅方向において、穿孔するに適する位置に被穿孔材の位置を決めるための位置決め手段を設けられた、請求項1または請求項2に記載のパンチである。
この発明の請求項4にかかるパンチにおいては、前記ベース体は、複数の穿孔穴を形成され、且つ、穿孔穴が並んだ穴列線上に、既に穿孔された綴じ孔に続く綴じ孔を穿孔するために、被穿孔材を位置決めするための位置決め手段を設けられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパンチである。
この発明の請求項5にかかるパンチにおいては、前記ベース体及びプレッシャ体は、ストリッパ体を覆うための凹部が形成された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパンチである。
この発明の請求項6にかかるパンチにおいては、前記プレッシャ体は、前記スリット部で分割された領域の表面に、穿孔する順序を示す表示を形成された、請求項2に記載のパンチである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、ベース体と、プレッシャ体と、ストリッパ体とを備え、前記ベース体及び前記プレッシャ体のうち、いずれか一方の対向面に、被穿孔材に穿孔するための穿孔刃が突設され、前記プレッシャ体は、前記ベース体又はストリッパ体に枢支され、前記ストリッパ体は、前記ベース体と前記プレッシャ体との間において前記ベース体又はプレッシャ体に枢支され、前記ストリッパ体は、前記穿孔刃を緩挿するための刃通過孔を形成され、刃通過孔の周辺に被穿孔材の表面に当接する領域を有し、ストリッパ体は、穿孔刃による穿孔するために被穿孔材を固定する位置を明示する位置まで、ベース体又はプレッシャ体から離間されて、該明示する位置で停止するように形成されているので、ファイル等の多穴リング部に綴じるための多穴の綴じ孔を円滑に且つ正確に穿設することができるパンチを提供することができる。
この発明の請求項2にかかるパンチによれば、前記プレッシャ体は、前記穿孔刃の間において、枢支部とは反対側の端縁より枢支部に向けて、スリット部を形成され、前記スリット部は、穿孔刃より更に、枢支部に近い位置まで形成されているので、最適な押圧力で被穿孔材に美麗に穿孔することができる。
この発明の請求項3にかかるパンチによれば、前記ベース体は、被穿孔材を穿孔するために、穿孔刃とは離れた位置であって被穿孔材の長手方向及び/又は幅方向において、穿孔するに適する位置に被穿孔材の位置を決めるための位置決め手段を設けられているので、被穿孔材に正確に穿孔することができる。
この発明の請求項4にかかるパンチによれば、前記ベース体は、複数の穿孔穴を形成され、且つ、穿孔穴が並んだ穴列線上に、既に穿孔された綴じ孔に続く綴じ孔を穿孔するために、被穿孔材を位置決めするための位置決め手段を設けられているので、被穿孔材に正確に並んだ綴じ孔を穿孔することができる。
この発明の請求項5にかかるパンチによれば、前記ベース体及びプレッシャ体は、ストリッパ体を覆うための凹部が形成されているので、ストリッパ体を保護することができる。
この発明の請求項6にかかるパンチによれば、前記プレッシャ体は、前記スリット部で分割された領域の表面に、穿孔する順序を示す表示を形成されているので、順次表示に沿ってプレッシャ体を押圧して、多穴の綴じ孔を正確に並んで穿孔することができる。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態であるパンチを示した斜視図である。
【図2】図1のパンチを分解した状態の斜視図解図である。
【図3A】図1のパンチのベース体の斜視図解図である。
【図3B】図1のパンチのベース体の背面図解図である。
【図4】図1のパンチのプレッシャ体の斜視図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は背面図解図である。
【図5A】図1のパンチのストリッパ体の斜視図解図である。
【図5B】図1のパンチのストリッパ体の背面斜視図解図である。
【図6】パンチの組み立て方法を示す斜視図解図である。
【図7】図1図示パンチの平面図解図である。
【図8A】図7A−A断面図解図である。
【図8B】図1のパンチの開く方法を示す縦断面図解図である。
【図8C】図1のパンチの開く方法を示す縦断面図解図である。
【図9A】図1図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図9B】図1図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図9C】図1図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図10】図1のパンチの使用状態を示した斜視図解図であり、(A)は第1回目の穿孔のときの図であり、(B)は第2回目の穿孔のときの図である。
【図11】図1のパンチにより穿孔された紙を示した斜視図解図である。
【図12】図1のパンチにより穿孔する方法を示す断面図解図であり、(A)は第1回目の穿孔のときの図であり、(B)は第2回目の穿孔のときの図である。
【図13】本発明の一実施の形態であるパンチを示した斜視図である。
【図14】図13のパンチを分解した状態の斜視図解図である。
【図15A】図13のパンチのベース体の斜視図解図である。
【図15B】図13のパンチのベース体の背面図解図である。
【図16】図13のパンチのプレッシャ体の斜視図解図であり、(A)は平面図解図であり、(B)は背面図解図である。
【図17A】図13のパンチのストリッパ体の斜視図解図である。
【図17B】図13のパンチのストリッパ体の背面斜視図解図である。
【図18】パンチの組み立て方法を示す斜視図解図である。
【図19】図13図示パンチの平面図解図である。
【図20A】図19A−A断面図解図である。
【図20B】図13のパンチの開く方法を示す縦断面図解図である。
【図20C】図13のパンチの開く方法を示す縦断面図解図である。
【図21A】図13図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図21B】図13図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図21C】図13図示パンチによる穿孔方法を示す縦断面図解図である。
【図22】図13のパンチの使用状態を示した斜視図解図である。
【図23】図13のパンチにより穿孔された紙を示した斜視図解図である。
【図24】図13のパンチを折り畳んでファイル等に収納した状態を示した斜視図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の一実施の形態であるパンチ10は、紙Pなどの被穿孔材を穿孔する穿孔器具であって、ベース体12と、プレッシャ体14と、ベース体12とプレッシャ体14との間に設けられたストリッパ体16とを備える。
前記プレッシャ体14は、前記ベース体12に枢支され、前記ストリッパ体16は、前記ベース体12と、前記プレッシャ体14との間において前記ベース体12に枢支されている。
プレッシャ体14とストリッパ体16とは、その自由端を上昇させることにより、ベース体12との間を広げることができ、且つ、その自由端を下降させることにより、プレッシャ体14によりベース体12の防護凹部32に容れられたストリッパ体16の上部全体を覆うことができるように構成されている。
【0010】
ベース体12は、ABS樹脂,ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、プレッシャ体14及びストリッパ体16より大きい平面視横長長方形状板状体の基部20を有している。
基部20は、穿孔穴22を形成された第1領域20Aと、前記第1領域20Aの向こう側に形成され、第1領域20Aより低い位置に形成された第2領域20Bと、前記第2領域20Bより更に低い位置に形成された第3領域20Cと、前記第3領域20Cの向こう側において第3領域20Cと同等又はわずかに高い位置において形成された第4領域20Dとを備える。
【0011】
基部20の第1領域20Aは、長手方向に一列に並んだ10個の平面視方形の穿孔穴22を形成されている。
穿孔穴22は、紙Pに穿孔される綴じ孔Hに対応した形状であって、並んで穿設される綴じ孔Hの間隔に対応した適宜な間隔をおいて、形成されている。
穿孔穴22は、後述するプレッシャ体14の穿孔刃52の刃先の外形よりわずかに大きい平面視方形の穴である。
【0012】
基部20の第3領域20Cは、ベース体12の長手方向中央線を挟んで向こう側に、穿孔穴22の穴列と平行に、枢支構造を構成するための枢軸24を形成されている。複数の枢軸24は、基部20より適宜な間隔をおいて立設された支持部26に、長手方向において一列に直線状に並んで架け渡されている。
支持部26は、第3領域20Cの表面より高い位置において枢軸24を支持するために、基部20の長手方向にのびる断面縦切円柱状(円柱を母線方向に切断された形)であり、基部20の左端から右端に亘って、適宜間隔をおいて間欠的に形成されている。
支持部26は、ベース体12の右側から、第1の支持部261,第2の支持部262,第3の支持部263及び第4の支持部264が適宜な間隔をおいて形成され、第1の支持部261は、ベース体12の右端寄りに形成され、第4の支持部264は、ベース体12の左端寄りに形成されている。
枢軸24は、基部20の長手方向にのびる円柱状であり、基部20の第3領域20Cの表面から適宜な距離が離れた位置において、支持部26の間に架け渡されている。
【0013】
ベース体12の基部20の第2領域20Bは、前記穿孔穴22の向こう側に、ストリッパ体16を係止するためのストリッパ体係止部28を突設されている。
この実施の形態においては、係止部28は、第2領域20Bの表面に突設されて第1領域20Aの表面から更に高く突き出る長さを備え、その立設部28aの先端には向こう側に向けて突き出た鉤部28bを有している。
係止部28の立設部28aは、基部20の長手方向にのびる角柱状である。係止部28は、基部20の長手方向に適宜な間隔をおいて複数形成されており、各係止部28は、同一の高さを備え、ストリッパ体16を均一な力で係止することができるように構成されている。
【0014】
ベース体12は、穿孔穴22が並ぶ穴列線上において適宜な間隔をおいて、緩挿凸部36及び嵌挿凸部37を、上面に突設されている。
緩挿凸部36は、嵌挿凸部37より小さな平面視方形の凸部である。
緩挿凸部36の嵌挿凸部37との対向面と嵌挿凸部37の緩挿凸部36との対向面との間は、紙Pに穿孔される綴じ孔Hの間の間隔に対応した間隔をおいて、形成されている。
緩挿凸部36の長手方向における右側端縁と緩挿凸部36に隣接する穿孔穴22の長手方向における右側の第1の穿孔穴221との間の間隔(L1)は、並列された穿孔穴22の隣接する穿孔穴22の長手方向における右側端縁間の間隔(L2)及び緩挿凸部36の長手方向における右側端縁と嵌挿凸部37の長手方向における右側端縁との間の間隔(L3)と同一に形成されている(図12参照)。
【0015】
緩挿凸部36及び嵌挿凸部37は、紙Pに綴じ孔Hを穿孔するに適する位置に載置するように位置合わせするための位置合わせ手段を構成する。
紙Pの幅方向における位置(長手端縁から内側に入った位置)において、綴じ孔Hを穿孔する位置を決めるための位置合わせ手段を構成する第1の位置合わせ部90は、係止部28の手前側端縁に形成されている。
紙Pの長手方向における位置(短手端縁から内側に入った位置)において、綴じ孔Hを穿孔する位置を決めるための位置合わせ手段を構成する第2の位置合わせ部92は、緩挿凸部36の穿孔穴22側端縁に形成されている。
【0016】
第1の位置合わせ部90及び第2の位置合わせ部92は、紙Pに最初に穿孔するときに紙Pに穿孔するに適する位置に紙Pを載置するための位置合わせ手段を構成する。
緩挿凸部36の嵌挿凸部37との対向する面及び嵌挿凸部37の緩挿凸部36と対向する面は、綴じ孔Hを穿孔された紙Pを、既に形成された綴じ孔Hの孔列の線上で該既設孔に適宜な間隔をおいて、綴じ孔Hを穿孔するに適する位置に紙Pを載置するための第3の位置合わせ部94を構成する。
第2の位置合わせ部92と該第2の位置合わせ部92に隣接する(穿孔穴22のうち)長手方向における左側の第1の穿孔穴221との間隔(L4)は、隣接する穿孔穴22間の間隔より長く形成されている。
【0017】
ベース体12には、基部20の右端において、プレッシャ体14の周囲の少なくとも一部を覆うための幅方向に長く伸びる防護凸部30が形成され、且つ、係止部28の向こう側に、ストリッパ体16を容れるための防護凹部32が形成されている。
この実施の形態においては、防護凸部30は、第2領域20Bの幅方向にのび且つ第1領域20A及び第2領域20Bの表面より高くのびる、垂直壁により構成されている。
この実施の形態においては、防護凹部32は、支持部26の手前側であって係止部28との間及び右手側の防護凸部30と左手側の防護凸部30との間において、第1領域20Aより高く形成された第2領域20Bにより構成されている。防護凹部32の深さは、ストリッパ体16の厚さ相当の深さを有し、ストリッパ体16全体を防護凸部30及び係止部28で囲繞し且つプレッシャ体14で覆うことができるように構成されている。
【0018】
前記プレッシャ体14は、ABS樹脂,ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、ベース体12より小さくストリッパ体16より大きい平面視横長長方形状板状体のプレッシャ体本体50を有している。
プレッシャ体本体50は、自由端寄りにおいて、ストリッパ体16との対向面に被穿孔材たる紙Pに穿孔するための穿孔刃52を突設されている。
穿孔刃52は、角筒状又は円筒状で、その先端に尖鋭な刃を形成されている。
この実施の形態においては、穿孔刃52は、SUS等の金属からなり、プレッシャ体本体50のストリッパ体16との対向面において底面視方形の固定穴に嵌合して固定されている(図5B参照)。
穿孔刃52は、紙Pに穿孔される綴じ孔Hに対応した形状であって、並んで穿設される綴じ孔Hの間隔に対応した適宜な間隔(一定のピッチ)をおいて、形成されている。
穿孔刃52は、ベース体12の穿孔穴22の孔の形状よりわずかに小さい底面視方形の刃先を備える。
【0019】
前記プレッシャ体14は、向こう側端縁にベース体12に枢着するための枢支部54を形成され、前記穿孔刃52の間において、枢支部54とは反対側の端縁より枢支部54に向けて、スリット部56を形成されている。
【0020】
プレッシャ体14の枢支部54は、断面半円弧状の円筒状軸受部54aを有し、該軸受部54aは、弧状面を上向きにして軸挿入開口部54bを上方に位置するように、プレッシャ体14の向こう側端縁に連設されている。
この実施の形態においては、軸受部54aは、プレッシャ体14の穿孔刃52を形成された面より下方に向けて、突設され、軸挿入開口部54bは、プレッシャ体14の穿孔刃52を形成された面と略々同じ位置に位置している。
枢支部54は、プレッシャ体14の右側から、第1の枢支部541,第2の枢支部542及び第3の枢支部543が適宜な間隔をおいて形成され、第1の枢支部541は、プレッシャ体14の右端寄りに形成され、第3の枢支部543は、プレッシャ体14の左端寄りに、長手方向において一列に直線状に並んで枢支構造を構成するように形成されている。
第1の枢支部541がベース体12の第1の支持部261の左側に、第2の枢支部542がベース体12の第2の支持部262の左側に位置し、第3の枢支部543がベース体12の第4の支持部264の右側に位置して、プレッシャ体14の枢支部54は、ベース体12の枢軸24に回動自在に固定される。
【0021】
前記スリット部56は、穿孔刃52より更に枢支部54に近い位置まで形成され、スリット部56の最奥部は、プレッシャ体14の向こう側端縁に達することなく、プレッシャ体本体50は、右端から左端に亘って連続している連続部60を形成されている。
この実施の形態においては、スリット部56により、右から第1プレッシャ領域14A及び第2プレッシャ領域14Bの2つの領域に分割されている。
第1プレッシャ領域14Aと第2プレッシャ領域14Bとは、略々同じ面積を有し、各領域とも略々同じ押圧力で穿孔刃52により紙Pを穿孔できるように構成されている。
【0022】
前記ストリッパ体16は、ABS樹脂,ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、平面視横長長方形状板状体のストリッパ体本体70を有している。
ストリッパ体本体70は、前記穿孔刃52を緩挿するための刃通過孔72を形成され、該刃通過孔72の周辺に被穿孔材たる紙Pの表面に当接して、穿孔刃52より穿孔後の紙Pを取り外すための領域である、当接部74を有している。
【0023】
ストリッパ体16は、ストリッパ体本体70の向こう側にベース体12に枢支するための枢支部78を形成されている。
ストリッパ体16の枢支部78は、断面半円弧状の円筒状軸受部78aを有し、該軸受部78aは、弧状面を上向きにして軸挿入開口部78bを上方に位置するように、ストリッパ体16の向こう側端縁に連設され、長手方向において一列に直線状に並んで枢支構造を構成するように形成されている。
この実施の形態においては、枢支部78は、ストリッパ体16の係止部76を形成された面より下方に向けて、突設され、軸挿入開口部78bは、ストリッパ体16の上面よりやや上方に位置している。
枢支部78は、ストリッパ体16の右側から、第1の枢支部781,第2の枢支部782,第3の枢支部783及び第4の枢支部784を適宜な間隔をおいて形成され、第1の枢支部781は、ストリッパ体本体70の右端と適宜な間隔をおいて形成され、第4の枢支部784は、ストリッパ体本体70の左端と適宜な間隔をおいて形成されている。
第1の枢支部781が、ベース体12の第2の支持部262の右側でプレッシャ体14の第1の枢支部541の左側に、第2の枢支部782が、ベース体12の第2の支持部262の左側でプレッシャ体14の第2の枢支部542の左側に、第3の枢支部783が、ベース体12の第3の支持部263の右側でプレッシャ体14の第2の枢支部542の左側に、第4の枢支部784が、ベース体12の第3の支持部263の左側でプレッシャ体14の第3の枢支部543の右側に、それぞれ位置して、ストリッパ体16の枢支部78は、ベース体12の枢軸24に回動自在に固定される。
【0024】
ストリッパ体16は、被穿孔材たる紙Pを穿孔するために挿入ないしは載置する位置を使用者に明示される位置まで、ベース体12又はプレッシャ体14から離間されて停止するように、形成されている。
【0025】
この発明の実施の形態においては、紙Pの位置の明示は、ベース体12の係止部28に係止されることにより、ストリッパ体16の抑角を調整できるように形成された係止部76により構成されている。
この実施の形態においては、ストリッパ体16の係止部76は、刃通過孔72の近傍において、ストリッパ体本体70の下面から下向きに突設された立設部76aを有する。その立設部76aは、ストリッパ体16の長手方向にのびる角柱状であり、その長さは、紙Pを穿孔刃52により穿孔するために固定する位置を明示する位置まで、ベース体12から離間させることができる長さに形成されている。
係止部76は、立設部76aの先端に、手前側に向けて突き出た鉤部76bを形成されている。
ストリッパ体16の係止部76は、ストリッパ体16の長手方向に適宜な間隔をおいて、複数形成され、ベース体12の長手方向に適宜な間隔をおいて複数形成された係止部28に係止されて、ストリッパ体16を長手方向において、均一な力で係止することができるように構成されている。
【0026】
プレッシャ体14及びストリッパ体16は、ストリッパ体16の離間開始をプレッシャ体14の離間開始より遅くして、紙Pを穿孔刃52より外した後に離間開始するための離間開始機構を備える。
ストリッパ体16は、ストリッパ体16の離間開始をプレッシャ体14の離間開始より遅くして、紙Pを穿孔刃52より外した後に離間開始するための離間開始調整部80を、向こう側端縁に形成されている。
すなわち、プレッシャ体14及びストリッパ体16の離間開始調整機構は、プレッシャ体14の枢支部54に形成された離間開始調整部34とストリッパ体16の向こう側端縁に形成された離間開始調整部80とにより構成されており、プレッシャ体14をベース体12より離間させ始めてもストリッパ体16をベース体12より離間させることなく、プレッシャ体14が適宜な角度回動してベース体12より離間したときに、ストリッパ体16をベース体12より離間させるように形成され、プレッシャ体14を押し下げて紙Pを穿孔刃52により穿孔した後、プレッシャ体14を穿孔刃52から円滑に且つ美麗に抜くことをできるように構成されている。
この実施の形態においては、ストリッパ体16の離間の開始を調整する部位は、図10に示すように、ストリッパ体16の離間開始調整部80を挿入できる間隙を、枢支部54の軸受部54aに穿設して、離間開始調整部34を形成され、該ストリッパ体16の離間開始調整部80をプレッシャ体14の離間開始調整部34に嵌挿されて形成されている。
そして、プレッシャ体14及びストリッパ体16を閉じたとき、ストリッパ体16の離間開始調整部80の先端は、プレッシャ体14の離間開始調整部34のプレッシャ体本体50側に位置し、プレッシャ体14を開き始めて適宜な角度回動したとき、ストリッパ体16の離間開始調整部80の先端は、プレッシャ体14の離間開始調整部34の軸受部54aの離間開始調整部34の側面に当接するように構成されている。
プレッシャ体14及びストリッパ体16をベース体12から離間させるとき、プレッシャ体14をベース体12から適宜な角度を離間したときに、離間開始調整部34の一端は、離間開始調整部34と対向する離間開始調整部80の一端に当接して離間開始調整部80を押し上げて、プレッシャ体14を回動させ始めるように構成されている。
【0027】
ストリッパ体16の自由端は、ストリッパ体16とベース体12との間に紙Pを挿入し易くするために、ベース体12の表面とは離れる方向に向けて曲げられている。
この実施の形態においては、上方に向けてのびて、ベース体12との間隔を拡げられている。
プレッシャ体14は、前記ストリッパ体16の自由端を収容するための凹条64が、長手方向に直線状にのび、ストリッパ体16を保護するように構成されている。プレッシャ体14は、凹条64の手前側にストリッパ体16を保護するための凸条66が、長手方向に直線状に連続して、設けられている。
【0028】
次に、パンチ10の使用方法について、主として、図8ないし図11に基づいて説明する。
まず、パンチ10を、机上等の水平面にベース体12の裏面を接しさせて、安定した状態に載置する。
【0029】
パンチ10のベース体12を、図8A及び図8Bに示すように、その向こう側の枢支部54を中心にしてプレッシャ体14を起立、回動させ、前記プレッシャ体14をベース体12の表面から離間させる。
プレッシャ体14を回動してベース体12から適宜な角度を離間すれば、図8Cに示すように、プレッシャ体14の離間開始調整部34がストリッパ体16の離間開始調整部80に当接して、ストリッパ体16をベース体12から離間させる。
【0030】
次に、図8Cに示すように、ベース体12の表面上に一枚ないし複数枚の紙Pの幅方向の端縁を、その手前側端面が位置合わせ手段として機能する係止部28の手前側面に当接するまで挿入し、ベース体12の第1領域20A上に載置する。更に、図10に示すように、紙Pの長手方向の端縁を緩挿凸部36の穿孔穴22側の端縁(第2の位置合わせ部92を構成する)に合わせる。
しかる後、使用者は、前記プレッシャ体14を、第1プレッシャ領域14A,第2プレッシャ領域14Bの順に前記ベース体12側に押圧することによって、前記プレッシャ体14をその向こう側端部の枢支部54を中心にして前記ベース体12の表面に伏動させる。
すると、前記プレッシャ体14の穿孔刃52は、前記ベース体12上に載置した紙Pを貫通した後、前記ベース体12の穿孔穴22に嵌脱自在に嵌合する。
【0031】
この時、プレッシャ体14は、その第1プレッシャ領域14A,第2プレッシャ領域14Bを順に押圧することにより、前記ベース体12側に押圧されていることから、前記第1プレッシャ領域14A及び第2プレッシャ領域14Bのそれぞれにはその全面に亘って略均等な前記ベース体12側に向かう押圧力が作用している。よって、前記プレッシャ体14の全ての穿孔刃52は、前記ベース体12上の紙Pを確実に貫通し、前記紙Pの側縁部には該側縁に沿って、第1回目穿孔の多数個の綴じ孔H1が表裏面間に亘って貫通した状態に円滑に且つ確実に穿設される。
【0032】
なお、前記プレッシャ体14の穿孔刃52で紙Pの側縁部を打ち抜くことにより生成した打ち抜きカスは、前記ベース体12の穿孔穴22における小径開口部よりも一回り大きく形成された裏面側の開口部から円滑に且つ確実に吐き出される。
【0033】
次に、図8B及び図8Cに示すように、再び前記プレッシャ体14をその手前端部を中心にして起立させ、回動させて前記ベース体12から離間させ、前記ベース体12上の紙Pを抜き取る。
次に、図11及び図12に示すように、ベース体12から抜き取られた紙Pを、穿孔穴22の並ぶ穴列方向に移動させ、紙Pの長手方向において、最も内側の綴じ孔H1を緩挿凸部36に嵌挿させ、且つ最も内側の綴じ孔H1に続く右手側の綴じ孔H1を嵌挿凸部37に嵌挿させるとともに、紙Pの幅方向の端縁を、その手前側端面が位置合わせ手段として機能する係止部28の手前側面に当接する。
先に穿孔された綴じ孔H(H1・・・)に続く第2回目穿孔の綴じ孔Hを穿孔できる位置で穿孔できるように、緩挿凸部36の内側にある最も右側の穿孔穴22の位置に、最も内側の綴じ孔H1に続く紙Pの部位を位置させて紙Pをベース体12の表面に載置する。
しかる後、使用者は、前記プレッシャ体14を、第1プレッシャ領域14A,第2プレッシャ領域14Bの順に前記ベース体12側に押圧することによって、前記プレッシャ体14をその向こう側端部の枢支部54を中心にして前記ベース体12の表面に伏動させる。
而して、第1回目穿孔の綴じ孔Hに続いて、第2回目穿孔の綴じ孔Hが穿設される。
このようにして、順次、紙Pに一定のピッチで一列に並んだ綴じ孔Hを、必要な個数穿孔する。
【0034】
プレッシャ体14をベース体12から離間させ始めたとき、ストリッパ体16はベース体12から離間しないために、紙Pは、前記ストリッパ体16の刃通過孔72の周辺の当接部74に当接することから、前記プレッシャ体14をベース体12及び紙P上から円滑に且つ確実に離間させることができる。
【0035】
次に、この発明の別の実施の形態であるパンチ210について、図13ないし図24に基づいて説明する。
パンチ210は、紙Pなどの被穿孔材を穿孔する穿孔器具であって、ベース体212と、プレッシャ体214と、ベース体212とプレッシャ体214との間に設けられたストリッパ体216とを備える。
前記プレッシャ体214は、前記ベース体212に枢支され、前記ストリッパ体216は、前記ベース体212と、前記プレッシャ体214との間において前記ベース体212に枢支されている。
プレッシャ体214とストリッパ体216とは、その自由端を上昇させることにより、ベース体212との間を広げることができ、且つ、その自由端を下降させることにより、プレッシャ体214によりストリッパ体216の上部全体を覆うことができるように構成されている。
【0036】
ベース体212は、ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、プレッシャ体214及びストリッパ体216より大きい平面視横長長方形状板状体の基部220を有している。
基部220は、穿孔穴222を形成された第1領域220Aと、前記第1領域220Aの向こう側に形成され、第1領域220Aより低い位置に形成された第2領域220Bと、前記第2領域220Bより更に低い位置に形成された第3領域220Cと、前記第3領域220Cの向こう側において第3領域220Cと同等又はわずかに低い位置において形成された第4領域220Dとを備える。
【0037】
基部220の第1領域220Aは、長手方向に一列に並んだ29個の平面視方形の穿孔穴222を形成されている。
穿孔穴222は、紙Pに穿孔される綴じ孔Hに対応した形状であって、並んで穿設される綴じ孔Hの間隔に対応した適宜な間隔をおいて、形成されている。
穿孔穴222は、後述するプレッシャ体214の穿孔刃252の刃先の外形よりわずかに大きい平面視方形の穴である。
【0038】
基部220の第3領域220Cは、ベース体212の長手方向中央線を挟んで向こう側に、穿孔穴222の穴列と平行に、枢支構造を構成するための枢軸224を形成されている。複数の枢軸224は、基部220より適宜な間隔をおいて立設された支持部226に、長手方向において一列に直線状に並んで架け渡されている。
支持部226は、第3領域220Cの表面より高い位置において枢軸224を支持するために、基部220の長手方向にのびる断面縦切円柱状(円柱を母線方向に切断された形)であり、基部220の左端から右端に亘って、適宜間隔をおいて間欠的に形成されている。
支持部226は、ベース体212の右側から、第1の支持部2261,第2の支持部2262,第3の支持部2263,第4の支持部2264,第5の支持部2265,第6の支持部2266,第7の支持部2267及び第8の支持部2268が適宜な間隔をおいて形成され、第1の支持部2261は、ベース体212の右端寄りに形成され、第8の支持部2268は、ベース体212の左端寄りに形成されている。
枢軸224は、基部220の長手方向にのびる円柱状であり、基部220の第3領域220Cの表面から適宜な距離が離れた位置において、支持部226の間に架け渡されている。
【0039】
ベース体212の基部220の第2領域220Bは、前記穿孔穴222の向こう側に、ストリッパ体216を係止するためのストリッパ体係止部228を突設されている。
この実施の形態においては、係止部228は、第2領域220Bの表面に突設されて第1領域220Aの表面から更に高く突き出る長さを備え、その立設部228aの先端には向こう側に向けて突き出た鉤部228bを有している。
係止部228の立設部228aは、基部220の長手方向にのびる角柱状であり、基部220の長手方向に適宜な間隔をおいて複数形成されて、ストリッパ体216を長手方向において均一な力で係止することができるように構成されている。
【0040】
ベース体212には、基部220の右端において、プレッシャ体214の周囲の少なくとも一部を覆うための幅方向に長く伸びる防護凸部230が形成され、且つ、係止部228の向こう側に、ストリッパ体216を容れるための防護凹部232が形成されている。
この実施の形態においては、防護凸部230は、第1領域220A及び第2領域220Bに亘って幅方向にのび且つ第1領域220A及び第2領域220Bの表面より高くのびる、垂直壁により構成されている。
この実施の形態においては、防護凹部232は、第1領域220Aより低く形成された第2領域220Bにより構成されている。
【0041】
第4領域220Dは、長手方向にのびる長孔からなるリング緩挿孔238を形成されている。
リング緩挿孔238は、パンチ210を使用しないとき、図24に示すように、ファイルFのリング綴じ具Rに緩挿して収納するために利用される。
【0042】
前記プレッシャ体214は、ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、ベース体212より小さくストリッパ体216より大きい平面視横長長方形状板状体のプレッシャ体本体250を有している。
プレッシャ体本体250は、自由端寄りにおいて、ストリッパ体216との対向面に被穿孔材たる紙Pに穿孔するための穿孔刃252を突設されている。
穿孔刃252は、角柱状又は円柱状で、その先端に尖鋭な刃を形成されている。
穿孔刃252は、紙Pに穿孔される綴じ孔Hに対応した形状であって、並んで穿設される綴じ孔Hの間隔に対応した適宜な間隔(一定のピッチ)をおいて、形成されている。
穿孔刃252は、ベース体212の穿孔穴222の孔の形状よりわずかに小さい底面視方形の刃先を備える。
【0043】
前記プレッシャ体214は、向こう側端縁にベース体212に枢着するための枢支部254を形成され、前記穿孔刃252の間において、枢支部254とは反対側の端縁より枢支部254に向けて、スリット部256を形成されている。
【0044】
プレッシャ体214の枢支部254は、断面半円弧状の円筒状軸受部254aを有し、該軸受部254aは、弧状面を上向きにして軸挿入開口部254bを上方に位置するように、プレッシャ体214の向こう側端縁に連設されている。
この実施の形態においては、軸受部254aは、プレッシャ体214の穿孔刃252を形成された面より下方に向けて、突設され、軸挿入開口部254bは、プレッシャ体214の穿孔刃252を形成された面と略々同じ位置に位置している。
枢支部254は、プレッシャ体214の右側から、第1の枢支部2541,第2の枢支部2542,第3の枢支部2543,第4の枢支部2544,第5の枢支部2545,第6の枢支部2546及び第7の枢支部2547の7つの枢支部254が適宜な間隔をおいて形成され、第1の枢支部2541は、プレッシャ体214の右端寄りに形成され、第7の枢支部2547は、プレッシャ体214の左端寄りに、長手方向において一列に直線状に並んで枢支構造を構成するように形成されている。
第1の枢支部2541がベース体212の第1の支持部2261の左側に、第2の枢支部2542がベース体212の第2の支持部2262の左側に、第3の枢支部2543がベース体212の第3の支持部2263の左側に、第4の枢支部2544がベース体212の第4の支持部2264の左側に、第5の枢支部2545がベース体212の第5の支持部2265の左側に、第6の枢支部2546がベース体212の第6の支持部2266の左側に位置し、第7の枢支部2547がベース体212の第8の支持部2268の右側に位置して、プレッシャ体214の枢支部254は、ベース体212の枢軸224に回動自在に固定される。
【0045】
前記スリット部256は、穿孔刃252より更に枢支部254に近い位置まで形成され、スリット部256の最奥部は、プレッシャ体214の向こう側端縁に達することなく、プレッシャ体本体250は、右端から左端に亘って連続している連続部260を形成されている。
この実施の形態においては、スリット部256により、右から第1プレッシャ領域214A,第2プレッシャ領域214B,第3プレッシャ領域214C,第4プレッシャ領域214D,第5プレッシャ領域214E及び第6プレッシャ領域214Fの6つの領域に分割されている。
第1プレッシャ領域214Aと第2プレッシャ領域214Bと第3プレッシャ領域214Cと第4プレッシャ領域214Dと第5プレッシャ領域214Eと第6プレッシャ領域214Fとは、略々同じ面積を有し、各領域とも略々同じ押圧力で穿孔刃252により紙Pを穿孔できるように構成されている。
【0046】
前記プレッシャ体214は、前記スリット部256で分割されてなる、右から第1プレッシャ領域214A,第2プレッシャ領域214B,第3プレッシャ領域214C,第4プレッシャ領域214D,第5プレッシャ領域214E及び第6プレッシャ領域214Fの6つの領域の表面に、穿孔する順序を示す表示258、例えばアラビア数字(1,2,3,4,5,6)を形成されている。
この実施の形態においては、表示258は、第1プレッシャ領域214Aに1、第2プレッシャ領域214Bに2、第3プレッシャ領域214Cに3、第4プレッシャ領域214Dに4、第5プレッシャ領域214Eに5、第6プレッシャ領域214Fに6を表示して構成されている。
【0047】
前記ストリッパ体216は、ポリアセタール等の合成樹脂で一体成形されており、平面視横長長方形状板状体のストリッパ体本体270を有している。
ストリッパ体本体270は、前記穿孔刃252を緩挿するための刃通過孔272を形成され、該刃通過孔272の周辺に被穿孔材たる紙Pの表面に当接して、穿孔刃252より穿孔後の紙Pを取り外すための領域である、当接部274を有している。
【0048】
ストリッパ体216は、ストリッパ体本体270の向こう側にベース体212に枢支するための枢支部278を形成されている。
ストリッパ体216の枢支部278は、断面半円弧状の円筒状軸受部278aを有し、該軸受部278aは、弧状面を上向きにして軸挿入開口部278bを上方に位置するように、ストリッパ体216の向こう側端縁に連設され、長手方向において一列に直線状に並んで枢支構造を構成するように形成されている。
この実施の形態においては、枢支部278は、ストリッパ体216の係止部276を形成された面より下方に向けて、突設され、軸挿入開口部278bは、ストリッパ体216の上面よりやや上方に位置している。
枢支部278は、ストリッパ体216の右側から、第1の枢支部2781,第2の枢支部2782,第3の枢支部2783,第4の枢支部2784,第5の枢支部2785及び第6の枢支部2786の6つの枢支部278を適宜な間隔をおいて形成され、第1の枢支部2781は、ストリッパ体本体270の右端と適宜な間隔をおいて形成され、第6の枢支部2786は、ストリッパ体本体270の左端と適宜な間隔をおいて形成されている。
第1の枢支部2781が、ベース体212の第2の支持部2262の右側でプレッシャ体214の第1の枢支部2541の左側に、第2の枢支部2782が、ベース体212の第3の支持部2263の右側でプレッシャ体214の第2の枢支部2542の左側に、第3の枢支部2783が、ベース体212の第4の支持部2264の右側でプレッシャ体214の第3の枢支部2543の左側に、第4の枢支部2784が、ベース体212の第5の支持部2265の右側でプレッシャ体214の第4の枢支部2544の左側に、第5の枢支部2785が、ベース体212の第6の支持部2266の右側でプレッシャ体214の第5の枢支部2545の左側に、第6の枢支部2786は、ベース体212の第7の支持部2267の左側でプレッシャ体214の第7の枢支部2547の右側に、それぞれ位置して、ストリッパ体216の枢支部278は、ベース体212の枢軸224に回動自在に固定される。
【0049】
ストリッパ体216は、被穿孔材たる紙Pを穿孔するために挿入ないしは載置する位置を使用者に明示される位置まで、ベース体212又はプレッシャ体214から離間されて停止するように、形成されている。
【0050】
この発明の実施の形態においては、紙Pの位置の明示は、ベース体212の係止部228に係止されることにより、ストリッパ体216の抑角を調整できるように形成された係止部276により構成されている。
この実施の形態においては、ストリッパ体216の係止部276は、刃通過孔272の近傍において、ストリッパ体本体270の下面から下向きに突設された立設部276aを有する。その立設部276aは、ストリッパ体216の長手方向にのびる角柱状であり、その長さは、紙Pを穿孔刃252により穿孔するために固定する位置を明示する位置まで、ベース体212から離間させることができる長さに形成されている。
係止部276は、立設部276aの先端に、手前側に向けて突き出た鉤部276bを形成されている。
ストリッパ体216の係止部276は、ストリッパ体216の長手方向に適宜な間隔をおいて、複数形成され、ベース体212の長手方向に適宜な間隔をおいて複数形成された係止部228に係止されて、ストリッパ体216を長手方向において、均一な力で係止することができるように構成されている。
【0051】
プレッシャ体214及びストリッパ体216は、ストリッパ体216の離間開始をプレッシャ体214の離間開始より遅くして、紙Pを穿孔刃252より外した後に離間開始するための離間開始機構を備える。
ストリッパ体216は、ストリッパ体216の離間開始をプレッシャ体214の離間開始より遅くして、紙Pを穿孔刃252より外した後に離間開始するための離間開始調整部280を、向こう側端縁に形成されている。
すなわち、プレッシャ体214及びストリッパ体216の離間開始調整機構は、プレッシャ体214の枢支部254に形成された離間開始調整部234とストリッパ体216の向こう側端縁に形成された離間開始調整部280とにより構成されており、プレッシャ体214をベース体212より離間させ始めてもストリッパ体216をベース体212より離間させることなく、プレッシャ体214が適宜な角度回動してベース体212より離間したときに、ストリッパ体216をベース体212より離間させるように形成され、プレッシャ体214を押し下げて紙Pを穿孔刃252により穿孔した後、プレッシャ体214を穿孔刃252から円滑に且つ美麗に抜くことをできるように構成されている。
この実施の形態においては、ストリッパ体216の離間の開始を調整する部位は、図22に示すように、ストリッパ体216の離間開始調整部280を挿入できる間隙を、枢支部254の軸受部254aに穿設して、離間開始調整部234を形成され、該ストリッパ体216の離間開始調整部280をプレッシャ体214の離間開始調整部234に嵌挿されて形成されている。
そして、プレッシャ体214及びストリッパ体216を閉じたとき、ストリッパ体216の離間開始調整部280の先端は、プレッシャ体214の離間開始調整部234のプレッシャ体本体250側に位置し、プレッシャ体214を開き始めて適宜な角度回動したとき、ストリッパ体216の離間開始調整部280の先端は、プレッシャ体214の離間開始調整部234の軸受部254aの離間開始調整部234の側面に当接するように構成されている。
プレッシャ体214及びストリッパ体216をベース体212から離間させるとき、プレッシャ体214をベース体212から適宜な角度を離間したときに、離間開始調整部234の一端は、離間開始調整部234と対向する離間開始調整部280の一端に当接して離間開始調整部280を押し上げて、プレッシャ体214を回動させ始めるように構成されている。
【0052】
プレッシャ体214は、プレッシャ体214を閉じたときに、プレッシャ体214をベース体212に固定するための固定部262が、左側端近傍に突設されている。そして、ベース体212の第2プレッシャ領域214Bの左側端近傍に穿設されたプレッシャ体固定部240に、該固定部262を嵌挿されて、プレッシャ体214は、ベース体212に閉じた状態で固定される。
ストリッパ体216は、ストリッパ体216を閉じたときに、ストリッパ体216をベース体212に固定するための固定部282が、手前側端近傍に突設されている。そして、ベース体212の第2プレッシャ領域214Bの手前側端近傍に穿設されたストリッパ体固定部242に、該固定部282を嵌挿されて、ストリッパ体216は、ベース体212に閉じた状態で固定される。
【0053】
次に、パンチ210の使用方法について、主として、図20ないし図23に基づいて説明する。
まず、パンチ210を、机上等の水平面にベース体212の裏面を接しさせて、安定した状態に載置する。
【0054】
パンチ210のベース体212を、図20A及び図20Bに示すように、その向こう側の枢支部254を中心にしてプレッシャ体214を起立、回動させ、前記プレッシャ体214をベース体212の表面から離間させる。
プレッシャ体214を回動してベース体212から適宜な角度を離間すれば、図20Cに示すように、プレッシャ体214の離間開始調整部234がストリッパ体216の離間開始調整部280に当接して、ストリッパ体216をベース体212から離間させる。
【0055】
次に、図21Aに示すように、ベース体212の表面上に一枚の紙Pをその上端面が位置決め部材として機能する係止部228の手前側面に当接するまで挿入し、ベース体212の第1領域220A上に載置する。
しかる後、使用者は、前記プレッシャ体214を、第1プレッシャ領域214A,第2プレッシャ領域214B,第3プレッシャ領域214C,第4プレッシャ領域214D,第5プレッシャ領域214E,第6プレッシャ領域214Fの順に前記ベース体212側に押圧することによって、前記プレッシャ体214をその向こう側端部の枢支部254を中心にして前記ベース体212の表面に伏動させる。
すると、前記プレッシャ体214の穿孔刃252は、前記ベース体212上に載置した紙Pを貫通した後、前記ベース体212の穿孔穴222に嵌脱自在に嵌合する。
【0056】
この時、プレッシャ体214は、その6つの第1プレッシャ領域214A,第2プレッシャ領域214B,第3プレッシャ領域214C,第4プレッシャ領域214D,第5プレッシャ領域214E及び第6プレッシャ領域214Fを順に押圧することにより、前記ベース体212側に押圧されていることから、前記第1プレッシャ領域214A,第2プレッシャ領域214B,第3プレッシャ領域214C,第4プレッシャ領域214D,第5プレッシャ領域214E及び第6プレッシャ領域214Fのそれぞれにはその全面に亘って略均等な前記ベース体212側に向かう押圧力が作用している。よって、前記プレッシャ体214の全ての穿孔刃252は、前記ベース体212上の紙Pを確実に貫通し、前記紙Pの側縁部には該側縁に沿って多数個の綴じ孔Hが表裏面間に亘って貫通した状態に円滑に且つ確実に穿設される。
【0057】
なお、前記プレッシャ体214の穿孔刃252で紙Pの側縁部を打ち抜くことにより生成した打ち抜きカスは、前記ベース体212の穿孔穴222における小径開口部よりも一回り大きく形成された裏面側の開口部から円滑に且つ確実に吐き出される。
【0058】
次に、図20B及び図20Cに示すように、前記プレッシャ体214をその手前端部を中心にして起立させ、回動させて前記ベース体212から離間させ、前記ベース体212上の紙Pを抜き取るのであるが、プレッシャ体214をベース体212から離間させ始めたとき、ストリッパ体216はベース体212から離間しないために、紙Pは、前記ストリッパ体216の刃通過孔272の周辺の当接部274に当接することから、前記プレッシャ体214をベース体212及び紙P上から円滑に且つ確実に離間させることができる。
【0059】
そして、前記パンチ210は、不使用時には、図24に示すように、パンチ210のベース体212のリング緩挿孔238のそれぞれにファイルFのリング綴じ具Rに着脱自在に緩挿させることによって前記ファイルF内に体裁良く収納しておくことができ、そして、前記パンチ210の使用時には、前記ファイルFのリング綴じ具Rから前記パンチ210を取り外し、このパンチ210によりファイルFに綴じたい紙Pに綴じ孔Hを穿設し、その紙Pを直ちにファイルFに綴じることができる。
【符号の説明】
【0060】
10,210 パンチ
12,212 ベース体
14,214 プレッシャ体
14A,214A 第1プレッシャ領域
14B,214B 第2プレッシャ領域
214C 第3プレッシャ領域
214D 第4プレッシャ領域
214E 第5プレッシャ領域
214F 第6プレッシャ領域
16,216 ストリッパ体
20,220 基部
20A,220A 第1領域
20B,220B 第2領域
20C,220C 第3領域
20D,220D 第4領域
22,222 穿孔穴
221 第1の穿孔穴
24,224 枢軸
26,226 支持部
261,2261 第1の支持部
262,2262 第2の支持部
263,2263 第3の支持部
264,2264 第4の支持部
2265 第5の支持部
2266 第6の支持部
2267 第7の支持部
2268 第8の支持部
28,228 係止部
28a,228a 立設部
28b,228b 鉤部
30,230 防護凸部
32,232 防護凹部
34,234 離間開始調整部
36 緩挿凸部
37 嵌挿凸部
238 リング緩挿孔
240 プレッシャ体固定部
242 ストリッパ体固定部
50,250 プレッシャ体本体
52,252 穿孔刃
54,254 枢支部
541,2541 第1の枢支部
542,2542 第2の枢支部
543,2543 第3の枢支部
2544 第4の枢支部
2545 第5の枢支部
2546 第6の枢支部
2547 第7の枢支部
54a,254a 軸受部
54b,254b 軸挿入開口部
56,256 スリット部
258 表示
60,260 連続部
262 固定部
64 凹条
66 凸条
70,270 ストリッパ体本体
72,272 刃通過孔
74,274 当接部
76,276 係止部
76a,276a 立設部
76b,276b 鉤部
78,278 枢支部
781,2781 第1の枢支部
782,2782 第2の枢支部
783,2783 第3の枢支部
784,2784 第4の枢支部
2785 第5の枢支部
2786 第6の枢支部
78a,278a 軸受部
78b,278b 軸挿入開口部
80,280 離間開始調整部
282 固定部
90 第1の位置合わせ部
92 第2の位置合わせ部
94 第3の位置合わせ部
F ファイル
H,H1 綴じ孔
P 紙
R 綴じ具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体と、プレッシャ体と、ストリッパ体とを備え、
前記ベース体及び前記プレッシャ体のうち、いずれか一方の対向面に、被穿孔材に穿孔するための穿孔刃が突設され、
前記プレッシャ体は、前記ベース体又はストリッパ体に枢支され、
前記ストリッパ体は、前記ベース体と前記プレッシャ体との間において前記ベース体又はプレッシャ体に枢支され、
前記ストリッパ体は、前記穿孔刃を緩挿するための刃通過孔を形成され、刃通過孔の周辺に被穿孔材の表面に当接する領域を有し、
ストリッパ体は、穿孔刃による穿孔するために被穿孔材を固定する位置を明示する位置まで、ベース体又はプレッシャ体から離間されて、該明示する位置で停止するように形成された、パンチ。
【請求項2】
前記プレッシャ体は、前記穿孔刃の間において、枢支部とは反対側の端縁より枢支部に向けて、スリット部を形成され、
前記スリット部は、穿孔刃より更に、枢支部に近い位置まで形成された、請求項1に記載のパンチ。
【請求項3】
前記ベース体は、被穿孔材を穿孔するために、穿孔刃とは離れた位置であって被穿孔材の長手方向及び/又は幅方向において、穿孔するに適する位置に被穿孔材の位置を決めるための位置決め手段を設けられた、請求項1または請求項2に記載のパンチ。
【請求項4】
前記ベース体は、複数の穿孔穴を形成され、且つ、穿孔穴が並んだ穴列線上に、既に穿孔された綴じ孔に続く綴じ孔を穿孔するために、被穿孔材を位置決めするための位置決め手段を設けられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパンチ。
【請求項5】
前記ベース体及びプレッシャ体は、ストリッパ体を覆うための凹部が形成された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパンチ。
【請求項6】
前記プレッシャ体は、前記スリット部で分割された領域の表面に、穿孔する順序を示す表示を形成された、請求項2に記載のパンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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