説明

パンツ型おむつのはき易さの評価方法

【課題】パンツ型おむつのはき易さを客観的に評価することが可能な方法を提供すること。
【解決手段】本発明のパンツ型おむつのはき易さの評価方法は、パンツ型おむつの引き上げ動作中における着用者の重心動揺の程度に基づき、該おむつのはき易さを評価する。重心動揺の測定で得られた総軌跡長又は外周面積の大小に基づき、はき易さを評価することが好ましい。更に、パンツ型おむつの引き上げ動作の間における着用者の腕の筋負担の程度に基づき、おむつのはき易さを評価することも好ましい。腕の筋として三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋を選択し、それらの筋負担の程度に基づき、はき易さを評価することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型おむつのはき易さの評価方法に関する。本発明の評価方法は、はき易いパンツ型おむつの設計支援に有用である。
【背景技術】
【0002】
大人用のパンツ型おむつは、主として介護を要する高齢者を着用の対象としている。高齢者は、若年者にくらべ平衡機能や筋力等が衰えており、また場合によっては手指の麻痺等を有していることから、自身でのパンツ型おむつの着用は予想以上に時間がかかり重作業であり、高齢者には負担となる。したがって、例えば着用者がおむつの着用を完了したと自覚しても、実際にはおむつの後ろ側が十分に引き上げられていないといったことがしばしばある。また、引き上げ動作中にバランスを崩すおそれもある。
【0003】
特許文献1には、着用者の排泄時における自立支援を目的として、おむつの胴回りの外側に、指に引っかける袋状又は帯状の引っかかりを数カ所設け、おむつをはくときにその引っかかりに指をかけて、おむつをはき易くすることが提案されている。しかし、おむつの引き上げ易さは、おむつ全体の形状や、ウエスト開口部、胴回り部、レッグ開口部等に配置されている弾性部材の引き伸ばし易さなどの種々の要因が複合的に組み合わされて決定されるので、上述の引っかかりを設けることは、おむつを引き上げやすくするための一助とはなるものの、根本的な解決手段とはならない。
【0004】
非特許文献1においては、高齢者がパンツ型おむつを着用するとき、パンツの後ろ側がきちんと上がらない問題に対し、その原因を加齢による筋力低下及びおむつの後ろ側を引き上げる動作の筋負担が大きいことと推測し、筋電図の測定を行っている。その結果、上腕二頭筋、尺側手根屈筋及び三角筋において、おむつの後ろ側の引き上げる動作の筋負担が大きいと報告されている。このことが、おむつの後ろ側がきちんと上がらない原因の一つであると結論付けられている。しかし、この文献には、おむつのはき易さについては具体的な検討はなされていない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−136050号公報
【非特許文献1】易強他、「連続動作の筋負担評価−若年者及び高齢者のアンダーウエアのはき上げ動作について−」、日本生理人類学会誌、2004年、Vol.9、特別号(1)、p46−47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るパンツ型おむつのはき易さの評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パンツ型おむつの引き上げ動作中における着用者の重心動揺の程度に基づき、該おむつのはき易さを評価するパンツ型おむつのはき易さの評価方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の評価方法では、パンツ型おむつのはき易さと、該おむつの引き上げ動作中における着用者の重心動揺との間に高い相関関係が得られるので、重心動揺の測定結果からおむつのはき易さを客観的に評価することが可能となる。したがって本発明で得られた評価結果をパンツ型おむつの設計にフィードバックすることで、はき易いパンツ型おむつの設計が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の評価方法の対象となるパンツ型おむつは、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ形状のおむつを広く包含する。ここで言うパンツには、ブリーフ、ショーツ、トランクス等の種々の形状が含まれる。パンツ型おむつは、一般にウエスト開口部に沿っておむつの幅方向に配されたウエスト部の弾性部材や、レッグ開口部に沿って配されたレッグ部弾性部材を有している。更にパンツ型おむつは、ウエスト開口部とレッグ開口部との間に位置する胴回り部に、おむつの幅方向に配された胴回り部弾性部材を有していることもある。
【0010】
パンツ型おむつは、着用者の肌に対向する表面シートと、衣類に対向する裏面シートと、両シート間に介在配置された液保持性の吸収性コアとを有している。表面シートは液透過性のシートから構成されている。そのようなシートとしては、例えば不織布や、フィルムを穿孔して多数の開孔を設けたもの等が用いられる。裏面シートは不液透過性又は撥水性のシートから構成されている。そのようなシートとしては、例えばフィルムや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布などが用いられる。このフィルムは透湿性を有していてもよい。吸収性コアは、パルプ等の吸水性の繊維材料又は該繊維材料と高吸収性ポリマーとの混合物などからなる。パンツ型おむつは、以上の部材に加え必要に応じ、おむつの各種性能を向上させるための部材を有していてもよい。そのような部材としては、例えばおむつの肌対向面における左右両側部に設けられた一対の防漏カフなどが挙げられる。
【0011】
本発明の評価方法においては、パンツ型おむつの引き上げ動作の間における着用者の重心動揺を測定する。重心動揺の測定には重心動揺計が用いられる。重心動揺計とは、足底圧の垂直作用力を変換器で検出し、足圧中心の動揺を電気信号変化として出力し、平衡機能を検査する足圧検出装置である。重心動揺計は、主に耳鼻科などでめまい・平衡障害の客観評価及び病巣診断に用いられている。重心動揺計は基本的に、静止状態にある被験者の重心動揺を測定するものである。これに対して本発明においては、以下に説明するように、パンツ型おむつの引き上げ動作の間における着用者の重心動揺を測定している。つまり本発明では、動的状態にある被験者の重心動揺を測定している。このように、重心動揺計の本来の測定状態(つまり静止状態)とは異なる測定状態(つまり動的状態)で重心動揺を測定することで、パンツ型おむつのはき易さを客観的に評価できるということは、極めて意外な知見であった。
【0012】
重心動揺計による測定で得られる重心動揺に関するパラメータ(測定値)には様々なものがある。代表的なパラメータとしては図1に示すように、総軌跡長(cm)、外周面積(cm2)、前後方向軌跡長(cm)、左右方向軌跡長(cm)などが挙げられる。これ以外にも、単位時間当たりの軌跡長(cm/s)、実効値面積(cm2)、前後方向動揺平均中心変位(cm)、左右方向動揺中心変位(cm)などのパラメータが得られる。本発明においては、これらのうちの何れか一つ、又は二つ以上を組み合わせたパラメータに基づきデータの解析をすることで、パンツ型おむつのはき易さを評価する。
【0013】
重心動揺計は、種々のタイプのものが市販されており容易に入手可能である。以下に説明する評価においては、重心動揺計としてシステムグラビコーダG−5500(アニマ株式会社)を用いた。これ以外の重心動揺計を用いることもできる。
【0014】
次に、重心動揺がパンツ型おむつのはき易さと相関関係を有することを説明する。被験者は、若年者群11名(男性6名、女性5名)と、高齢者群10名(男性5名、女性5名)とに分けた。各群の属性は以下の表1のとおりである。
【0015】
【表1】

【0016】
使用したパンツ型おむつは、布パンツ並びに本出願人の製品に係るパンツ型使い捨ておむつであるリリーフ(登録商標)及びそれのウエスト開口部の伸長応力の異なるサンプルである。その詳細は以下の表2に示すとおりである。ここで、伸長応力は次の条件で測定した値である。
【0017】
〔伸長応力測定方法〕
図2に示すように、パンツ型おむつの左右の両側縁部を、一対のU字状の治具間に架け渡すようにして、引張試験機(例えば、オリエンテック社製の「RTA−100」等)のチャック間に固定する。そして、チャック間に固定した製品を、300mm/minの速度でチャック間が47.5cm(製品周長95cm相当)になるまで引っ張り、その時の応力を伸長応力(N/170mm)とする。
【0018】
【表2】

【0019】
各被験者には、以下の(1)〜(6)の順序でパンツ型おむつを着脱させ、またおむつのはき易さを主観評価させた。
(1)椅子に座り、おむつの両脇を持っておむつを広げる。次いで広げた状態のおむつに片足ずつ足を入れる。足の左右の順序は問わない。両足をおむつに入れたら、おむつの両脇を持って、おむつを膝の位置まで引き上げる。
(2)椅子に座ったまま60秒間休憩し、次いでゆっくり立ち上がる。
(3)利き手を使っておむつを引き上げる。
(4)立った状態で20秒間休憩し呼吸を整える。次いで、両手でおむつの両脇を持って膝までおむつを引き下げる。
(5)椅子に座る。
(6)おむつのはき易さを評価させる。
【0020】
前記の(1)〜(6)の動作のうち、(3)のおむつの引き上げ動作の間に、重心動揺を測定した。また(6)の評価は、VAS(visual Analogue Scale)によって行った。VASにおいては、「おむつをはきにくい」と0とし、「おむつをはき易い」を10として、その間を1刻みにして、被験者が感じたおむつのはき易さを数値で選択させた。
【0021】
前記の(1)〜(6)の動作を、前記の表2に示す6種類のおむつを対象として行わせた。このとき各被験者にはどのおむつを着用させているかは知らせていない。また6種類のおむつを着用させる順序はランダムとした。
【0022】
図3及び図4は、このようにして得られた重心動揺と主観的評価の関係を示すグラフである。これらのグラフには、若年者群と高齢者群とでデータが分けられている。図3は重心動揺計から得られるパラメータのうち、総軌跡長に着目したものである。図3に示す結果から明らかなように、若年者群及び高齢者群の何れにおいても、はきにくいおむつほど、総軌跡長が大きくなる傾向にある。一方、図4は、重心揺動計から得られるパラメータのうち、外周面積に着目したものである。図4に示す結果から明らかなように、若年者群及び高齢者群の何れにおいても、はきにくいおむつほど、外周面積が大きくなる傾向にある。以上の図3及び図4の結果は、はきにくいおむつを引き上げるときには、重心動揺が増加し、体のバランスが崩れ、転倒の危険性が増加することを示唆している。重心動揺の増加は、上肢の動作による全身姿勢バランスの崩れ及び膝関節の衰えが、足底での重心動揺に大きな影響を与えるためと考えられる。
【0023】
図3及び図4に示す結果の共通点として、若年者群よりも高齢者群の方が、重心動揺と主観的評価の相関が高いことが判る。このことは、高齢者は、パンツ型おむつのウエスト開口部における伸長応力の変化に対する許容範囲が小さいことを意味している。この結果から、被験者として高齢者を選択することで、重心動揺と主観的評価の相関を一層高めることができることが判明した。
【0024】
図3と図4とを比較すると、若年者群及び高齢者群の何れにおいても、重心動揺における総軌跡長の方が外周面積よりも相関係数が大きいことが判る。つまり、重心動揺計から得られるパラメータのうち、総軌跡長に基づきおむつのはき易さを評価すること信頼性の高い評価結果が得られることが判明した。なお、図3及び図4には重心動揺における総軌跡長及び外周面積と主観的評価との相関のみが示されている。このことは、重心動揺におけるその他のパラメータと主観的評価との間に相関がないことを意味するものではく、その他のパラメータと主観的評価との間には程度の差はあるものの相関関係がある。図3及び図4は、重心動揺計から得られるパラメータのうち、主観的評価と強い相関を示す総軌跡長及び外周面積を代表例として挙げたものである。
【0025】
以上の説明から明らかなように、おむつのはき易さに関し、重心動揺、特に総軌跡長や外周面積の大小は、主観的評価と相関関係を有することが判る。特に総軌跡長は主観的評価と強い相関を示すので、総軌跡長の大小に基づきパンツ型おむつのはき易さを評価することで信頼性の高い結果を得ることができる。本発明者らの検討の結果、このことに加え、着用者の腕の筋負担の程度に基づいてパンツ型おむつのはき易さを評価することで、一層信頼性の高い評価が可能であることが判明した。その具体的な内容を以下に説明する。
【0026】
筋負担は、心電図と同原理で筋線維が収縮時に発する電気信号を皮膚表面から測定することで(筋電図測定)、定量的に評価することができる。筋電位は筋力に比例するからである。筋電図の測定から得られるパラメータには、RMSと呼ばれる筋電振幅と、IEMGと呼ばれる筋電積分とがある。筋負担の評価にはRMS及びIEMGの何れをも用いることができる。
【0027】
おむつを引き上げる動作においては腕全体を動かすことになるので、上腕及び前腕双方の筋肉について筋負担を測定することが望ましいと考えられる。そこで本発明においては、上腕の代表的な筋肉として三角筋及び上腕二頭筋の筋負担を測定し、また前腕の代表的な筋肉として腕撓骨筋及び尺側手根筋の筋負担を測定することとした。筋電図は、上述した重心動揺の測定におけるパンツ型おむつの着脱動作(1)〜(6)のうち、(3)のおむつの引き上げ動作の間及び(4)のおむつの引き下げ動作の間に測定した。また筋電図の測定は、上述した重心動揺の測定と同様に若年者群及び高齢者群の二群に分けて行った。なお、上述の測定では、引き上げ動作に加えて、さらに引き続いておむつの引き下げ動作をも行った。
【0028】
先ず、RMSとIEMGのどちらが評価の信頼性が高いかを検証した。上述の重心動揺の測定の場合と同様に、筋電図の測定から得られたRMS及びIEMGのデータと、被験者の主観的評価との相関係数を算出した。その結果を以下の表3に示す。なお表3の結果は、若年者群及び高齢者群の双方を合わせたものである。
【0029】
【表3】

【0030】
表3に示す結果から明らかなように相関係数は、すべての筋においてIEMGの方が高くなっている。このことは、筋負担をIEMGで評価する方が、RMSで評価するよりも、評価の信頼性が高くなることを意味している。そこで以下の検討においては、筋負担をIEMGで評価することとする。なお表3の結果は、筋負担をRMSで評価することを否定するものではなく、相対的に見てIEMGの方が評価の信頼性が高まるということを意味するものであり、IEMGに代えてRMSで筋負担を評価しても差し支えはない。
【0031】
筋負担をIEMGで評価することが決定したので、次に若年者群と高齢者群とで、筋負担と主観的評価の相関に差異が生じるか否かを検証した。上述の重心動揺の測定の場合と同様に、筋電図の測定から得られたIEMGのデータと、若年者群及び高齢者群それぞれの被験者の主観的評価との相関係数を算出した。その結果を以下の表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
表4に示す結果から明らかなように、若年者群よりも高齢者群の方が、すべての筋で相関係数が高いことが判る。この結果は、上述した重心動揺と被験者の主観的評価との相関係数が、若年者群よりも高齢者群の方が高かったことと軌を一にしている。したがって、被験者として高齢者を選択することで、IEMGと主観的評価の相関を一層高めることができることが判明した。
【0034】
次に、各筋の結果を総合することで、評価の信頼性が一層高まるか否かを検証した。高齢者群について、四つの筋を重み付け1:1:1:1で足し合わせ、平均値を算出し、各被検者の筋負担として、主観的評価との相関係数を算出したところ、相関係数は0.681となり、表4に示す高齢者群の各筋の相関係数よりも高い相関が得られることが判明した。したがって各筋の結果を総合することが信頼性の高い評価につながることが判る。
【0035】
表4に示す高齢者群の各筋の相関係数は、尺側手根筋を除く三つの筋において−0.6台という高い値になっている。そこで、尺側手根筋を除く三つの筋、即ち三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋を重み付け1:1:1で足し合わせ、平均値を算出し、各被検者の筋負担として、主観的評価との相関係数の算出を試みた。その結果、図5に示すように、相関係数は−0.70となり、これら三つの筋の結果を総合することが、四つの筋の結果を総合するよりも評価の信頼性が一層高くなることが判明した。
【0036】
最後に、このようにして得られた筋負担の程度と被験者の主観的評価との関係を、先に説明した重心動揺と主観的評価との関係と共に総合的に評価することにより、一層信頼性の高い評価が可能であることを説明する。
【0037】
重心動揺と主観的評価の結果に関して先に述べたとおり、重心動揺のパラメータのうち総軌跡長が主観的評価と最も相関が高い(図3参照)。総軌跡長をパラメータとすると、相関係数は図3に示すように−0.614となる。この総軌跡長を、三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋を対象とした筋電図測定におけるIEMGの総合評価とを、重み付け1で足し合わせ、主観的評価との相関を見たところ、図6に示すように−0.778という極めて高い相関係数が得られた。なお図6に示す結果は、重心動揺の総軌跡長と三つの筋の筋電図測定におけるIEMGの総合評価とを重み付け1で足し合わせたものであるが、このようなデータ処理に代えて、重み付け1で掛け合わせると相関係数が−0.709となり、足し合わせた場合には及ばないものの、重心動揺及び筋電図測定それぞれを単独で評価した場合よりも信頼性の高い結果が得られることも判った。以上のとおり、重心動揺に加えて腕の筋負担を複合的に評価することで、おむつのはき易さの評価の信頼性を一層高め得ることが判る。
【0038】
以上の評価方法に基づき、ウエスト開口部の伸長応力をある値に設計したパンツ型使い捨ておむつのはき易さを客観的に求めるには、例えば次の手順を行えばよい。なおこの手順は代表的な一例であり、本発明はこの手順に限定されるものではない。先ず、評価の基準となる検量線を予め作成しておく。この検量線は例えば図6に示す直線となる。次に、評価の対象となるパンツ型おむつについて、これを着用者にはかせたときの重心動揺及び必要に応じ腕の筋負担を測定する。測定された重心動揺等の値と、予め作成された検量線とから、おむつのはき易さが客観的に評価される。したがって本発明の評価方法を用いれば、はき易いパンツ型使い捨ておむつを設計する場合に、どのような方針に基づきおむつを設計すればよいかを判断することが可能となる。その結果、はきやすいパンツ型おむつを効率的に設計することが可能となる。
【0039】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の評価の対象となったパンツ型おむつにおいては、ウエスト開口部の伸長応力を種々に変えたが、これに代えて、レッグ開口部や胴回り部の伸長応力を種々に変えたパンツ型おむつを評価の対象としてもよい。
【0040】
また前記実施形態には、パンツ型おむつの引き上げ動作の間における着用者の重心動揺及び必要に応じ腕の筋負担の程度に基づき、おむつのはき易さを評価したが、これに加えて他のパラメータを用いて複合的に評価を行ってもよい。そのようなパラメータとしては、例えばおむつを引き上げてから着用が完了するまでの時間等が挙げられる。特に高齢者の場合、おむつの着用に時間を要することが多いので、時間をパラメータとすることで、更に一層信頼性の高い評価結果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】重心動揺の測定で得られるパラメータの説明図である。
【図2】パンツ型おむつにおけるウエスト開口部の伸長応力の測定方法を示す模式図である。
【図3】重心動揺の測定で得られる総軌跡長と主観的評価との相関を示すグラフである。
【図4】重心動揺の測定で得られる外周面積と主観的評価との相関を示すグラフである。
【図5】三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋の筋電図測定で得られるIEMGと主観的評価との相関を示すグラフである。
【図6】重心動揺の測定で得られる総軌跡長並びに三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋の筋電図測定で得られるIEMGと、主観的評価との相関を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ型おむつの引き上げ動作中における着用者の重心動揺の程度に基づき、該おむつのはき易さを評価するパンツ型おむつのはき易さの評価方法。
【請求項2】
重心動揺の測定で得られた総軌跡長又は外周面積の大小に基づき、はき易さを評価する請求項1記載の評価方法。
【請求項3】
更に、パンツ型おむつの引き上げ動作中における着用者の腕の筋負担の程度に基づき、該おむつのはき易さを評価する請求項1又は2記載の評価方法。
【請求項4】
三角筋、上腕二頭筋及び腕撓骨筋の筋負担の程度に基づき、はき易さを評価する請求項3記載の評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−200237(P2008−200237A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38966(P2007−38966)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】