説明

パンツ型の着用物品

【課題】連結部材が折り畳まれた状態で仮止めされているパンツ型の着用物品の提供。
【解決手段】パンツ型の着用物品における前後胴回り域の側縁部が連結部材6を介して連結される。連結部材6は、折り畳まれた状態にあって山折り部41,42と谷折り部51,52とを有し、着用物品の横方向Cに互いに離間して形成される第1圧搾部位31と第2圧搾部位32とにおいて仮止めされている。折り畳まれている連結部材6には、第1圧搾部位31と第2圧搾部位32との間にあって、仮止めされた状態にはない山折り部および谷折り部のいずれかが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンツ型の着用物品に関し、より詳しくは、前後胴回り域が連結部材を介して連結されている前記着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型の着用物品における前後胴回り域がこれら両域とは別体の連結部材を介して連結されている前記着用物品は公知である。
【0003】
例えば、特開2004−121389号公報(特許文献1)に開示された使い捨ておむつは、腹側部と背側部との間にこれら両部とは別体の連結部材である連結シートが介在している。連結シートには胴回り方向に展開可能な折り畳み部が形成され、その折り畳み部は、折り畳み部を一時的に閉じておくことのできる再使用可能な止着部を有している。おむつを着用させるときには、折り畳み部を広げておき、おむつに脚を通してから折り畳み部を閉じ、止着部を使って折り畳み部の閉じた状態を維持することができる。おむつを脱がせるときには、折り畳み部を広げることによって、おむつを引き下げることが容易になる。連結シートは、その内面が前後胴回り域それぞれの内面に接合している。おむつの前後方向において、連結シートは二つに折り重ねられている場合と、蛇腹折りにされている場合とがある。
【0004】
特開2008−12115号公報(特許文献2)に開示されたパンツ型着用物品は、連結部材として前後胴回り域の側部どうしを剥離可能かつ再結合可能につなぐ連結手段を有する。連結手段には、胴回り方向においてZ字形に折り重ねられたものと逆Z字形に折り重ねられたものとがあり、Z字形に折り重ねられたものはZ字形における頂辺が前後胴回り域の一方の内面に剥離不能に取り付けられており、Z字形における中間辺と底辺とは互いに接合して一体になっているとともに底辺における外面が前後胴回り域のもう一方の内面に対してファスナ部材を介して剥離可能かつ再結合可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−121389号公報
【特許文献2】特開2008−12115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術の連結部材は、それが蛇腹折りの状態に折り重ねられていたり、Z字形に折り重ねられていたりすることによって、着用物品の連続生産工程では連結部材の折り重ねられている状態を安定させることが難しく、そのことが着用物品の生産速度を向上させようとするときの障害になることがある。また、この連結部材が取り付けられた着用物品を購入した家庭にあっては、包装用の袋から着用物品を一つずつ取り出して使用している間に袋の中では着用物品の折り畳んである状態が崩れて、着用物品が取り出しにくくなるとか、袋の形状を体裁よく整えておくことが難しくなるとかということがある。
【0007】
この発明では、連結部材に起因するこのような問題を解消することが可能な着用物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し前記横方向の両側に側縁部が形成されていて前記前後方向で対向している前胴回り域と後胴回り域とが、互いの前記側縁部において連結されているパンツ型の着用物品である。
【0009】
かかる着用物品において、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。すなわち、前記横方向の両側の少なくとも一方において前記前胴回り域の前記側縁部と前記後胴回り域の前記側縁部とがシート片で形成された連結部材を介して連結されている。前記連結部材は、前記横方向において前記着用物品の外側に向かって凸となるように折曲されていて前記上下方向へ延びる山折り部と、前記横方向において前記着用物品の内側に向かって凸となるように折曲されていて前記上下方向へ延びる谷折り部とが前記前後方向において交互に並ぶように折り畳まれていて、折り畳まれることによって重なり合う前記連結部材どうしは、前記連結部材の厚さ方向に形成されていて前記横方向において互いに離間する第1圧搾部位と第2圧搾部位とによって仮止めされた状態にあって、前記前後胴回り域が前記前後方向へ離間するように前記連結部材が前記前後方向へ引張られると前記仮止めされた状態が解けて前記折り畳まれた状態から前記前後方向へ伸展可能である。前記折り畳まれた状態の前記連結部材には、前記第1圧搾部位と前記第2圧搾部位との間にあって、前記仮止めされた状態にはない前記山折り部および前記谷折り部のいずれかが位置している。
【0010】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記第1圧搾部位が前記谷折り部の近傍に形成されている。
【0011】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記第2圧搾部位が前記山折り部の近傍に形成されている。
【0012】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記谷折り部が複数形成されていて、前記複数の谷折り部には、前記第1圧搾部位による前記仮止めされた状態にあるものと、前記第1圧搾部位による前記仮止めされた状態にはないものとが位置している。
【0013】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記山折り部が複数形成されていて、前記複数の山折り部には、前記第2圧搾部位による前記仮止めされた状態にあるものと、前記第2圧搾部位による前記仮止めされた状態にはないものとが位置している。
【0014】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材は、前記着用物品の外側に向けられる外面を有し、前記外面が前記前後胴回り域それぞれにおける内面に接合している。
【0015】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材は、前記外面と、前記外面の反対面である内面とを有し、前記連結部材の前記外面が前記前後胴回り域の一方の内面に接合し、前記連結部材の前記内面が前記前後胴回り域のもう一方の内面または外面に接合している。
【0016】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材は、前記前後胴回り域の少なくとも一方に対して分離と再結合との繰り返しが可能な状態で取り付けられている。
【0017】
この発明の実施態様の一つにおいて、前記連結部材は、前記前後方向へ弾性的に伸長可能である。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係るパンツ型の着用物品は、前胴回り域の側縁部と後胴回り域の側縁部とがシート片で形成された連結部材を介して連結され、その連結部材は、山折り部と谷折り部とが交互に並ぶように折り畳まれていて、重なり合う連結部材どうしが第1圧搾部位と第2圧搾部位とにおいて仮止めされた状態にあるから、着用物品の生産工程においても、着用物品が包装用の袋に入れられているときにおいても、連結部材の折り畳まれている状態は崩れることがない。第1圧搾部位と第2圧搾部位との間に形成されていて仮止めされていない山折り部や谷折り部を有する連結部材は、第1、第2圧搾部位による肌への刺激を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】パンツ型の着用物品(パンツ型のおむつ)とその連続体との斜視図。
【図2】図1のII−II線切断面を示す図。ただし、一部を模式的に示す。
【図3】連結部材が伸展する過程にある図1のIII−III線切断面を示す図。
【図4】連結部材が伸展した状態にある図1のIII−III線切断面を示す図。
【図5】実施形態の他の一例を示す図3と同様な図。
【図6】連結部材の製造手順の一例を示す図。ただし、一部を模式的に示す。
【図7】実施態様の一例を示す図2と同様な図。ただし、一部を模式的に示す。
【図8】(a)は実施態様の一例を示す図2と同様な図、(b)はウエブの断面を示す図。ただし、一部を模式的に示す。
【図9】実施態様の一例を示す図8と同様な図。ただし、一部を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係るパンツ型の着用物品の一例としてパンツ型のおむつを例にとり、添付の図面を参照してこの発明の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0021】
図1は、パンツ型のおむつ1と、おむつ1を連続的に製造する際の中間体であるおむつ連続体10の一部分とを示す図であって、おむつ1は一部分が破断された状態で示されている。図1のおむつ1は、前後方向Aと上下方向Bと横方向Cを有し、前後方向Aにおいて対向する前胴回り域2と後胴回り域3と、これら両域2,3に対して後記する上下方向Bにおいてつながる股下域4とを含み、前胴回り域2と後胴回り域3との間の前後方向Aには連結部材6が介在している。図1のおむつ1は、平坦な状態となるように折り畳まれていて、前胴回り域2と後胴回り域3とが重なり合っており、連結部材6が前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9との間において折り畳まれている。前胴回り域2と後胴回り域3とには、胴回り弾性部材11が伸長・収縮可能な状態で含まれており、股下域4には脚回り弾性部材12が伸長・収縮可能な状態で含まれている。股下域4には、透液性内面シート5aと不透液性外面シート5bとの間に体液吸収性の芯材5cが介在している。
【0022】
図1に仮想線で示されたおむつ1は、折り畳まれていたおむつ1が広げられて着用状態になったときの形状を示しているが、そのおむつ1の着用者の図示は省略されている。着用状態にあるおむつ1では、前胴回り域2と後胴回り域3とが着用者の胴回りにフィットするように湾曲している(図4を併せて参照)。重なり合っていた前胴回り域2の側縁部8と後胴回り域3の側縁部9とは離間して、折り畳まれていた連結部材6が側縁部8と側縁部9との間において胴回り方向Dへ伸展した状態にある。
【0023】
図1にはまた、おむつ連続体10に対して、おむつ連続体10の流れ方向である機械方向と、機械方向に対しての交差方向とが矢印MDと双頭矢印CDとで示されている。図示例のおむつ1は、機械方向MDの寸法を二等分する中心線CLに関して対称に形成されていて、側縁部8は横方向Cの両側それぞれに側縁部8と側縁部8とのそれぞれを含み、側縁部9は横方向Dの両側それぞれに側縁部9と側縁部9とのそれぞれを含み、連結部材6は連結部材6,6を含んでいる。ここで、参照符号に付けられているの記号は、おむつ着用者にとっての左側と右側とを意味している。また、例えば側縁部9,9ではなくて、またはの記号を付けられていない側縁部9とあるときの参照符号9は、とを区別することなく側縁部の一方または両方を意味している。
【0024】
図1のおむつ連続体10は、個々のおむつ1となることが予定されている中間体10a,10b等が機械方向MDにおいて連続しているもので、中間体10aにおける側縁部8と側縁部9とのそれぞれが中間体10bにおける側縁部8と側縁部9とのそれぞれにつながっている。また、機械方向MDにおいて、中間体10aにおける連結部材6が中間体10bにおける連結部材6につながっていて、これら両者で連結部材複合体6Aが形成されている。
【0025】
中間体10aと中間体10bとは、仮想線Pで切断されて、つながっていた側縁部8と側縁部8とが分離され、つながっていた側縁部9と側縁部9も分離され、連結部材複合体6Aは連結部材6と連結部材6とに分離され、中間体10aからは個別のおむつ1が得られる。以下では、仮想線Pを切断線Pと呼ぶことがある。
【0026】
図2は、図1におけるII−II線切断面を示す図である。図2において、中間体10a,10bの側縁部8,8,9,9は、不織布や織布、プラスチックフィルム、不織布どうしの積層体、不織布や織布とプラスチックフィルムとの積層体等のシート材料で形成されている。例えば図1においては、内面シート5aを形成する不織布と外面シート5bを形成するプラスチックフィルムとが芯材5cの周縁の外側において接合することにより、側縁部8,8,9,9の形成が可能である。連結部材複合体6Aもまた不織布や織布、プラスチックフィルム、不織布どうしの積層体、不織布または織布とプラスチックフィルムとの積層体等からなるシート片13で形成されていて、好ましくはそれらの不織布や織布に熱可塑性合成樹脂で形成された繊維が含まれている。連結部材複合体6Aは仮想線Pに関して対称であって、以下では連結部材複合体6Aの断面構造について、中間体10aに含まれる部分の連結部材複合体6A、すなわち連結部材6、の構造について説明する。連結部材6についての説明は、実質的な意味において連結部材6にも当てはまるものである。
【0027】
連結部材6の構造は、次のとおりである。すなわち、中間体10aにおいて、シート片13から形成される連結部材6は、縁部20がおむつ1の中心線CL(図1参照)へ向くようにして、ジグザグ状に折り畳まれ、第1〜第5層21〜25と、第1、第2谷折り部51,52と、第1、第2山折り部41,42とが形成されている。第1層21は第1接着剤30aを介して側縁部9の内面に剥離不能に接合している。また、第5層25は第2接着剤30bを介して側縁部8に剥離不能に接合している。第4層24と第5層25とは、第3接着剤30cを介して剥離不能に接合している。第1層21と第4層24とは、谷折り部の近傍に、具体的にいえば、好ましくは谷折り部の折り目から10mm以内の範囲に、より好ましくはその折り目から5mm以内の範囲に形成される第1圧搾部位31において剥離可能に接合し、第1層21〜第3層23は、山折り部の近傍に、具体的にいえば、好ましくは山折り部の折り目から10mm以内の範囲に、より好ましくはその折り目から5mm以内の範囲に形成される第2圧搾部位32において剥離可能に接合している。第1、第2圧搾部位31,32は、おむつ1が着用されるまでの間、連結部材6がその折り畳まれて重なり合う状態を維持するための連結部材6、換言すると連結部材6に対する仮止めの手段として機能する部位を示している。第1、第2圧搾部位31,32において連結部材6どうしを剥離可能に接合するには、連結部材6を図2の如く折り畳んで連結部材複合体6Aを製造する後記図6の工程において、第1層21と第4層24とに対して、および第1層21〜第3層23に対して先端にフックが付いていて室温または加熱状態にある圧搾用ピン(図示せず)を突き刺した後に引き抜いて圧搾痕を形成し、各層を形成している繊維やフィルムをその圧搾痕において互いに密着させ、より好ましくは互いに機械的に交絡させることによって、重なり合っている連結部材6どうしを局部的に接合すればよい。また、そのようなピンに代えて、フックのない加熱したピンを押圧するかまたは突き刺した後に引き抜くことによって圧搾痕を形成し、その圧搾痕においてそれらの繊維やフィルムを互いに溶着させて、連結部材6どうしを局部的に接合してもよい。図示の第1、第2圧搾部位31,32は、このようなピンが突き刺された後に引き抜かれた部位またはピンに押圧された部位を示している。第1、第2圧搾部位31,32のそれぞれは、おむつ1の上下方向Bに間欠的に複数形成されることが好ましい。
【0028】
図2から明らかなように、連結部材6は、第1層21と第2層22との間におむつ1の外側に向かって凸となる第1山折り部41を有し、第2層22と第3層23との間におむつ1の内側に向かって凸となる第1谷折り部51を有し、第3層23と第4層24との間におむつ1の外側に向かって凸となる第2山折り部42を有する。第4層24と第5層25との間には第2谷折り部52が形成されているが、第3接着剤30cの存在によって第4層24と第5層25とが閉じた状態にある。なお、中間体10Aの横方向Cにおいて、第1谷折り部51は、第1圧搾部31と第2圧搾部32との間にあって、第1圧搾部位31よりも外側に位置しているから、第2、第3層22,23が第1圧搾部位31による圧搾の対象から外れている。第1、第2山折り部41,42は、第2圧搾部位32よりも外側にある。
【0029】
図3,4は、連結部材6を含むおむつ1を着用させるために、重なり合っていた前胴回り域2と後胴回り域3とを前後方向Aに移動させておむつ1における胴回り開口11を広げる過程を示す図1のIII−III線切断面を示す図である。ただし、図3は、連結部材6が伸展する過程にあって、胴回り開口11が広がり始めるときの状態を示し、図4は、連結部材6が伸展して胴回り開口11が広がり終わったときの状態を示している。
【0030】
おむつ1において、重なり合う前胴回り域2と後胴回り域3との間に手を入れて、前胴回り域2を矢印Aで示される前方へ移動させ、後胴回り域を矢印Aで示される後方へ移動させると、図1において閉じていた胴回り開口11が次第に広がり始める。その時の側縁部8と側縁部9とによって連結部材6が前後方向Aに引っ張られ、その連結部材6は第1圧搾部位31と第2圧搾部位32とにおける仮止めが解けて、前後方向Aへ伸展する。図示してはいないが、おむつ1の側縁部8と側縁部9との間においても、連結部材6はそれに形成されていた仮止めが解けて、前後方向Aへ伸展する。かようにして、前後胴回り域2,3と連結部材6,6とが図1に仮想線で示されるほぼ円形の胴回り開口11を画成する。第1、第2山折り部41,42は側縁部8の縦方向Bへ延びる縁81と側縁部9の上下方向Bへ延びる縁91よりもおむつ1の内側寄りにあるので、図1の如く折り畳まれたおむつ1の幅方向の寸法は、連結部材6の存在によって大きくなる、ということがない。
【0031】
図4においては、図1に仮想線で示されたおむつ1と同様に、伸展した状態の連結部材6によって側縁部8と側縁部9とが連結されている。連結部材6のうちの第1層21の大部分は、その外面である連結部材6の外面13bが第1接着剤30aを介して側縁部9の内面49に接合している。第2層22と第3層23とは伸展した状態で側縁部9と側縁部8との間に位置している。第4層24は連結部材6の外面13bが第3接着剤30cを介して第5層25における連結部材6の外面13bに接合している。第5層25は、第4層24における連結部材6の内面13aにつながる面が第2接着剤30bを介して側縁部8の内面48に接合している。第2接着剤30bと第3接着剤30cとは、仮想線で囲まれた部位47において、第5層25を介して重なり合うようにシート片13に塗布されている。ちなみに、第2接着剤30bと第3接着剤30cとは、図4においては、前後方向Aと交差する方向で重なり合うように示されており、図2においては、前後方向Aで重なり合うように示されている。このように側縁部8,9が連結部材6と接合している態様では、連結部材6における第2層22および/または第3層23の図4における前後方向Aの寸法を変化させることによって、側縁部8と側縁部9との前後方向A、換言すると胴回り方向Dにおける離間寸法を変化させることができる。したがって、おむつ1は、それを製造するときに前胴回り域2や後胴回り域3の形状や寸法を変化させずに、連結部材6の図4における前後方向Aの寸法を変化させることで、おむつ1の胴回り方向Dの寸法を調整することができる。連結部材6(図2参照)についても、その寸法を連結部材6の寸法と同じように変化させておむつ1の胴回りの寸法を調整することができる。ただし、この発明では、連結部材6,6のうちの一方の寸法を固定しておいて、もう一方の寸法だけを変化させておむつ1の寸法を調整することもできる。この発明ではまた、前後方向Aへ伸展したときの寸法の異なる複数種類の連結部材6および/または連結部材6を用意しておいて、それらの連結部材6および/または連結部材6を、大きさの同じ前胴回り域2および/または大きさの同じ後胴回り域3に対して使い分けることによって、胴回り方向Dの寸法の異なるおむつ1の一群を作ることができる。
【0032】
図4においてはまた、側縁部8,9が前後方向Aまたは胴回り方向Dへ引っ張られると、側縁部8と連結部材6との間、および側縁部9と連結部材6との間には、剥離力ではなくて剪断力が作用するので、おむつ1を着用させるときや、おむつ1を着用しているときに、連結部材6が、側縁部8や9から剥離するという問題の発生を防ぎ易い。
【0033】
さらに図4において、連結部材6の第4層24と第5層25とは、連結部材6の外面13bが第2接着剤30bと第3接着剤30cとを介して側縁部8の内面48に接合しているから、第5層25における連結部材6の内面13aが側縁部8の内面48に接合しているといっても、実質的な意味において、連結部材6は連結部材6の外面13bが側縁部8の内面48に接合していることになる。このように接合している連結部材6と側縁部8と側縁部9とは、おむつ1を着用したときに、これらがいずれも胴回り方向Dへ延びていて、胴回り開口部11の径方向の外側に向かって突出するということがない。連結部材6には、胴回り方向Dへの弾性的な伸長性を有するシート材料を使用することもできる。そのシート片13で作られる連結部材6(同様に連結部材6も)は、折り畳まれた状態から伸展した状態へと変化した後に胴回り方向Dへ弾性的に伸長することによって、おむつ1は胴回り寸法の異なる様々な着用者が着用できるものになる。
【0034】
さらに図3,4において連結部材6に示されている部位131a,131bと部位132a,132b,132cとは、図2における第1圧搾部位31と第2圧搾部位32に対応する部位である。連結部材6における第1、第2圧搾部位31,32は、連結部材6にピンを突き刺すとか押圧するとかという処理を施すことによって形成された圧搾痕であるから、これらの部位では連結部材6が押圧された方向へ突出する突起(図示せず)を形成するように変形している。その突起は、それがおむつ1の内側に向かって、すなわちおむつ着用者に向かって突出しているものであると、その着用者の肌を刺激するということがある。しかし、図2の態様にある連結部材6では、第2層22と第3層23との間に形成される第1谷折り部51(図3参照)はおむつ1の外側から内側に向かう方向の深さが浅いので、接合のための第1圧搾部位31に届いておらず、第2谷折り部52のみが第1圧搾部位31に届いている。この状態を第1圧搾部位31を基準にしてみると、第1谷折り部51はおむつ1の外側に位置しており、第2谷折り部52はおむつ1の内側に位置している。第1谷折り部51は仮止めされた状態にはない部位である。
【0035】
第1谷折り部51と第1圧搾部位31とがこのような位置関係にあると、連結部材6には第1層21と第4層24とに第1圧搾部位31に対応する部位131a,131bが形成されるが、第2層22と第3層23とには第1圧搾部位31に対応する部位は形成されることがない。それゆえ、おむつ1は第1谷折り部51の近傍においておむつ着用者の肌を刺激するということがない。もとより、第1谷折り部51は、それが第1圧搾部位31に届くように深く形成されていてもよいのであるが、それが図示例の如く浅く形成されていることによって連結部材6による肌の刺激を軽減することができる。なお、図示例において、第1、第2、第3層21,22,23には、第2圧搾部位32において使用されたピンによる押圧の痕跡である部位132a,132b,132cが形成されている。
【0036】
図5もまた、この発明の実施形態の一例を示す図3と同様な図である。図5の連結部材6は、図3の連結部材6とほぼ同じ断面形状を有するものであるが、図5の連結部材6では、第1層21が側縁部9に対して分離と再結合との繰り返しが可能なテープファスナ60を介して取り付けられている。ファスナ60の一例は、フック部材61とループ部材62とによって形成されるメカニカルファスナである。図5においては、フック部材61が接着剤63を介して第1層21を形成している連結部材6の外面13bに取り付けられている。フック部材61の相手方となるループ部材62は、接着剤64を介して側縁部9の内面49に接合している。連結部材6と側縁部9とは、フック部材61とループ部材62との分離と再結合とを繰り返すことによって開閉を繰り返すことができる。側縁部9と側縁部8とは、図3,4に例示の場合と同様に、連結部材6の第2層22を介して大きく離間しているから、ループ部材62のどの部位に対してフック部材61を結合させても、結合させる前に側縁部9と側縁部8とが接触したり重なり合ったりしてループ部材62のフック部材61への速やかな結合の妨げになるということは生じない。図示例の連結部材6は、第1層21と側縁部9とが分離と再結合とを可能に形成されているが、おむつ1は、一体になった第4層24と第5層25とが側縁部8に対して分離と再結合とを可能にする態様のものに変更することもできる。また、図1のおむつ1は、側縁部8と側縁部9とに対して中心線CL(図1参照)に関して連結部材6と対称な形状の連結部材6を有するものであるが、おむつ1は、連結部材6と連結部材6とのうちの一方のみを有するものであって、側縁部9と側縁部9とのうちのいずれか一方のみを分離と再結合とが可能な部位にすることもできる。図5のおむつ1においても、図1のおむつ1においても連結部材6には胴回り方向Dへ弾性的に伸長、収縮するものを使用して、連結部材6を胴回り方向Dへ弾性的に変形可能なものにすることができる。
【0037】
図5のおむつ1においてもまた、第1谷折り部51は第2谷折り部52よりも浅く形成されていて、図2の第1圧搾部位31に対応する部位131a,131bが連結部材6の第1層21と第4層24とに形成されている。図2の第2圧搾部位32に対応する部位132a,132b,132cが第1、第2、第3層21,22,23に形成されている。
【0038】
図6は、図2に例示の連結部材複合体6Aをシート片13の連続体であるウエブ13aから得る工程(a)〜(d)を示す図である。例示のウエブ13aは熱可塑性合成繊維の不織布で形成されているもので、工程(a)は連結部材複合体6Aを製造する工程の機械方向(図示せず)へ走行しているウエブ13aの交差方向CDにおける連続体6Aの断面を示している。交差方向CDは、機械方向に直交する方向であり、ウエブ13aの幅方向でもある。中心線Yは、ウエブ13aの幅を二等分する線である。
【0039】
工程(b)では、ウエブ13aの両側部分が、第1山折り部41と第1谷折り部51とにおいて折曲されて、中心線Yに関して対称なZ字形と逆Z字形とを画くように、第1層21,21、第2層22,22、第3層23,23が形成される。第1層21と第4層24、第1層21と第4層24には加熱されたピン(図示せず)が矢印F方向から突き刺された後に引き抜かれて、仮止めのための第2圧搾部位32,32が形成される。ただし、逆Z字形や第1層21〜第4層24等は工程(d)に図示されていて、工程(b)では図示されていない。
【0040】
工程(c)では、ウエブ13aが第2山折り部42において、図示の如く折曲されて第4層24,24が形成される。続いて、第1層21と第4層24、第1層21と第4層24に加熱されたピンが矢印G方向から突き刺された後に引き抜かれて、仮止めのための第1圧搾部位31,31が形成される。第4層24,24には、第3接着剤30cが塗布される。ただし、工程(c)では、第1層21〜第4層24、第1、第2圧搾部位31,32等の図示が省略されている。
【0041】
工程(d)では、ウエブ13aが第2谷折り部52において図示の如く折曲されて第5層25,25が形成されるとともに、第4層24,24と第5層25,25とが第3接着剤30cを介して接合される。
【0042】
工程(a)〜(d)を経て折り畳まれたウエブ13aは、機械方向に連続しているものであるから、その機械方向において所要の寸法となるように切断されることによって図2における連結部材複合体6Aとなる。この連結部材複合体6Aは、図1におけるおむつ連続体10における中間体10a,10b等の側縁部8,8,9,9の内面に第1接着剤30aと第2接着剤30bとによって接合される。
【0043】
図7は、実施態様の一例を示す図2と同様な図である。連結部材6には、第1、第2山折り部41,42と、第1、第2谷折り部51,52とが形成されていて、第1圧搾部位31は連結部材6の第1、第4層21,24に対して形成され、第2圧搾部位32連結部材6の第1、第2、第5層21,22,25に対して形成されている。第1谷折り部51は、第1圧搾部位31と第2圧搾部位32との間にあって第1圧搾部位31による仮止めの対象から外れている。第2山折り部42は、第1圧搾部位31と第2圧搾部位32との間にあって、第2圧搾部位32による仮止めの対象から外れている。連結部材6がこの態様にあるおむつ1であれば、第2山折り部42と第1谷折り部51との近傍には仮止めのための圧搾痕が形成されない。このように、図7の例では、複数の山折り部のうちに、第1圧搾部位31によって仮止めされている状態にあるものとその状態にはないものとがある。また、複数の谷折り部のうちには、第2圧搾部位32によって仮止めされている状態にあるものとその状態にはないものとがる。
【0044】
図8の(a)、(b)において、(a)は実施態様の一例を示す図2と同様な図であり、(b)は図6(d)と同様な図であって、連結部材6,6を得るためのウエブ13aの断面を示している。ただし、図8には、図1のおむつ1の中間体10aにおけるVIII−VIII線切断面での側縁部8,8,9,9と、実施態様の一例としてこれら側縁部に取り付けられる連結部材6,6とが示されている。連結部材6と6とは、中心線CLに関して対称なものであるから、ここでは、連結部材6を例にとって説明する。この連結部材6には、第1、第2山折り部41,42と、第1谷折り部51とが形成されている。第1圧搾部位31は、シート片13の第1層21と第4層24に対して形成されていて、第2層22と第3層23とには形成されていない。図示例の第2圧搾部位32は、第1〜第3層21〜23に形成されているが、第1〜第4層21〜24に形成されることもある。この態様の連結部材6を有するおむつ1では、側縁部8と連結部材6とが内面どうしを合掌状に対向させ、第2接着剤30bを介して接合している。おむつ1の横方向Cにおいて、第2山折り部42は第2圧搾部位32よりもおむつ1の内側に形成されているが、第1山折り部41は第2圧搾部位32よりもおむつ1の外側に形成されている。
【0045】
図8(b)において、ウエブ13aは図6におけるウエブ13aと同様なもので、連結部材6を形成するシート片13の連続体である。図8(b)には、そのウエブ13aがそれの幅方向において折曲された状態で示されている。ウエブ13aには、第1山折り部411,41や第2山折り部42,42、第1谷折り部51,51、第2谷折り部52,52、第1圧搾部位31,31、第2圧搾部位32,32等が形成されている。ウエブ13aが中心線Yにおいて切断されると、図8(a)における中間体10aに使用されている連結部材6,6となる。
【0046】
図9もまた、実施態様の一例を示す図8と同様な図である。連結部材6には、第1〜第4山折り部41〜44と、第1〜第3谷折り部51〜53とが形成されている。第1圧搾部位31は、第1〜第3谷折り部51〜53と対比したときに、中間体10a換言するとおむつ1の内側にあって、シート片13の第1層21と第8層28とに対して形成されている。第2圧搾部位32は、第2、第3山折り部42,43と対比したときに、中間体10aの外側にあって、連結部材6の第1、第2、第7、第8層21,22,27,28に対して形成されている。第1層21は、その外面が第1接着剤30aを介して側縁部9の内面に接合し、第8層28は、その外面が第2接着剤30bを介して側縁部8の内面に接合している。このような連結部材6を有するおむつ1では、シート片13のうちで第2、第3山折り部41,43の近傍と、第1、第2、第3谷折り部51,52,53の近傍とに圧搾痕が形成されず、連結部材6の圧搾痕に起因する肌の刺激を著しく軽減することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 着用物品(おむつ)
2 前胴回り域
3 後胴回り域
6,6,6 連結部材
8,8,8 側縁部
9,9,9 側縁部
13b 外面
41 山折り部
42 山折り部
43 山折り部
48 内面
49 内面
51 谷折り部
52 谷折り部
53 谷折り部
81 縁
91 縁
A 前後方向
B 上下方向
C 胴回り方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向と横方向と上下方向とを有し前記横方向の両側に側縁部が形成されていて前記前後方向で対向している前胴回り域と後胴回り域とが、互いの前記側縁部において連結されているパンツ型の着用物品であって、
前記横方向の両側の少なくとも一方において前記前胴回り域の前記側縁部と前記後胴回り域の前記側縁部とがシート片で形成された連結部材を介して連結されており、
前記連結部材は、前記横方向において前記着用物品の外側に向かって凸となるように折曲されていて前記上下方向へ延びる山折り部と、前記横方向において前記着用物品の内側に向かって凸となるように折曲されていて前記上下方向へ延びる谷折り部とが前記前後方向において交互に並ぶように折り畳まれていて、折り畳まれることによって重なり合う前記連結部材どうしは、前記連結部材の厚さ方向に形成されていて前記横方向において互いに離間する第1圧搾部位と第2圧搾部位とによって仮止めされた状態にあって、前記前後胴回り域が前記前後方向へ離間するように前記連結部材が前記前後方向へ引張られると前記仮止めされた状態が解けて前記折り畳まれた状態から前記前後方向へ伸展可能であり、
前記折り畳まれた状態の前記連結部材には、前記第1圧搾部位と前記第2圧搾部位との間にあって、前記仮止めされた状態にはない前記山折り部および前記谷折り部のいずれかが位置していることを特徴とする前記着用物品。
【請求項2】
前記第1圧搾部位が前記谷折り部の近傍に形成されている請求項1記載の着用物品。
【請求項3】
前記第2圧搾部位が前記山折り部の近傍に形成されている請求項1または2記載の着用物品。
【請求項4】
前記谷折り部が複数形成されていて、前記複数の谷折り部には、前記第1圧搾部位による前記仮止めされた状態にあるものと、前記第1圧搾部位による前記仮止めされた状態にはないものとが位置している請求項2または3記載の着用物品。
【請求項5】
前記山折り部が複数形成されていて、前記複数の山折り部には、前記第2圧搾部位による前記仮止めされた状態にあるものと、前記第2圧搾部位による前記仮止めされた状態にはないものとが位置している請求項2〜4のいずれかに記載の着用物品。
【請求項6】
前記連結部材は、前記着用物品の外側に向けられる外面を有し、前記外面が前記前後胴回り域それぞれにおける内面に接合している請求項1〜5のいずれかに記載の着用物品。
【請求項7】
前記連結部材は、前記外面と、前記外面の反対面である内面とを有し、前記連結部材の前記外面が前記前後胴回り域の一方の内面に接合し、前記連結部材の前記内面が前記前後胴回り域のもう一方の内面または外面に接合している請求項1〜6のいずれかに記載の着用物品。
【請求項8】
前記連結部材は、前記前後胴回り域の少なくとも一方に対して分離と再結合との繰り返しが可能な状態で取り付けられている請求項1〜7のいずれかに記載の着用物品。
【請求項9】
前記連結部材は、前記前後方向へ弾性的に伸長可能である請求項1〜8のいずれかに記載の着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157522(P2012−157522A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19083(P2011−19083)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】