説明

パンツ型使い捨ておむつの製造方法

【課題】溶着部の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつに用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れるパンツ型使い捨ておむつを、製造工程の簡略化を図りつつ製造できるパンツ型使い捨ておむつの製造方法を提供する。
【解決手段】外装材13の外側シート21及び内側シート22をそれぞれ形成するための帯状シート材43,44を接合するための接着剤を利用し、補強シート6,7が帯状シート材43に仮止めされる。そして、その状態で、補強シート6,7が、帯状シート材43,44の間に挟み込まれるようにして付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパンツ型使い捨ておむつとして、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部において、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部同士が加熱溶着又は超音波溶着によって溶着されたものがある。一方、使い捨ておむつの構成に関し、通気性を向上させるため、又は材料コスト削減ため、おつむに用いられる不織布シート(例えば、おむつの外側に用いられる不織布シート)の目付を下げる必要がある場合がある。しかし、従来のパンツ型使い捨ておむつでは、不織布シートの目付を下げると、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部に設けられる溶着部が溶着時に切れてしまう、又は薄くなりすぎて強度が確保できない等の問題が生じる。
【0003】
特許文献1には、左右両側の縁部に溶着部に被覆シートを付与するパンツ型使い捨ておむつが開示されている。しかし、この使い捨ておむつに用いられる被覆シートは、溶着時に溶着部の表面がホーンに溶着し、表面の状態が劣化するのを防止することを主眼したものであり、本願発明に係る製造方法が適用されるおむつの補強シートとは課題、効果等が異なるものである。また、特許文献1に記載の使い捨ておむつと本願発明に係る製造方法が適用される使い捨ておむつとは、被覆シート又は補強シートの付与手順も相違している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−327713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の解決すべき課題は、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部に設けられる溶着部の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつに用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れるパンツ型使い捨ておむつを、製造工程の簡略化を図りつつ製造できるパンツ型使い捨ておむつの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、パンツ型使い捨ておむつであって、股下部で繋がった前身頃及び後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の左右両側の縁部において、前記前身頃及び前記後身頃の前記左右両側の縁部同士を溶着する左右の溶着部と、不織布からなり、前記左右の溶着部のみ、又は前記左右の溶着部及びその溶着部の近傍を含む領域のみに、それぞれ少なくとも左右1枚ずつ付与され、前記前身頃及び前記後身頃を構成する不織布製のシートと溶着され、前記溶着部を補強する補強シートとを備え、前記前身頃及び前記後身頃は、重ね合わされた不織布製の外側シート及び内側シートを有し、前記前身頃及び前記後身頃の外面に配置されるシート体を備え、前記補強シートは、前記左右の溶着部が形成される前記前身頃及び前記後身頃のいずれか一方又は両方の部分において、前記シート体の外側シートと前記内側シートとの間に位置しているパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、(i)前記外側シートが当該パンツ型使い捨ておむつの横方向に連続的に連なってなる第3の連続体の肌面側、及び、前記内側シートが前記横方向に連続的に連なってなる第4の連続体の外面側における前記左右両側の縁部に対応する部分を含む領域のうちの少なくともいずれか一方に、接着剤を付与する段階と、(j)前記第3の連続体の肌面側、又は、前記第4の連続体の外面側における前記左右両側の縁部に対応する部分に、前記接着剤により前記補強シートを仮止めする段階と、(k)前記第3の連続体と前記第4の連続体とを、それらの間に前記補強シートを挟み込むようにして前記接着剤により接合する段階と、(l)互いに接合された前記第3の連続体及び前記第4の連続体を含む第5の連続体を、前記股下部に対応する位置で二つ折りにする段階と、(m)二つ折りにされた前記第5の連続体の前記左右の溶着部を形成すべき部分を溶着する段階と、(n)前記第5の連続体を製品単位に切り離す段階とを備える。
【0007】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法において、(o)前記段階(k)の後のいずれかの時点において、前記第5の連続体の脚孔に対応する部分を切除する段階をさらに備える。
【0008】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法において、前記段階(j)にて、前記補強シートは、前記横方向に連続する前記第3の連続体又は前記第4の連続体における前記段階(n)での切離し位置を前記横方向に跨るように付与される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、シート体の外側シートを形成するための第3の連続体と内側シートを形成するための第4の連続体とを接合するための接着剤を利用し、補強シートを第3の連続体又は第4の連続体に仮止めしてから、補強シートを、第3の連続体と第4の連続体との間に挟み込むようにして付与する。それ故、補強シートの仮止めのための接着剤の塗布工程を省略でき、製造工程の簡略化が図れるとともに、左右の溶着部の溶着強度を低下させる接着剤の使用量を抑制でき、溶着部の溶着強度が向上する。
【0010】
また、このように製造された使い捨ておむつでは、不織布からなる補強シートが、左右の溶着部のみ、又は左右の溶着部及びその溶着部の近傍を含む領域のみに、それぞれ少なくとも左右1枚ずつ付与され、前身頃及び後身頃を構成する不織布製のシートと溶着され、溶着部を補強する。このため、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部に設けられる溶着部の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつに用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れる。
【0011】
また、補強シートも、その補強シートが溶着される前身頃及び後身頃を構成するシートも共に不織布によって形成されているため、補強シートによっておむつの質感を損なうことがないとともに、補強シートとそれが溶着される前身頃及び後身頃を構成するシートとを容易に溶着させることができ、溶着部の強度も向上する。
【0012】
また、補強シートが使い捨ておむつの最外面に配置されるシート(ここでは、シート体の外側シート)よりも内側に配置されているため、着用時に衣服等と擦れ合うこと等により、補強シートに外力が作用し、補強シートが剥がれ落ちるのを回避できる。
【0013】
その結果、前身頃及び後身頃の左右両側の縁部に設けられる溶着部の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつに用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れるパンツ型使い捨ておむつを、製造工程の簡略化を図りつつ製造できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、シート体の外側シートを形成するための第3の連続体と内側シートを形成するための第4の連続体とを、それらの間に補強シートを挟み込むように接合した後で、第3及び第4の連続体によって形成される第5の連続体に対する脚孔の形成が行われる。このため、補強シートが脚孔の内方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右の溶着部が設けられる前身頃及び後身頃の左右両側の縁部における脚孔の際まで補強シートを付与でき、左右の溶着部をより確実に補強できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、補強シートが、横方向に連続する第3の連続体又は第4の連続体における段階(n)での切離し位置を横方向に跨るように付与されるため、補強シートが前身頃及び後身頃の前後の腰周りの部分の左右の縁部の横方向外方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右の溶着部が設けられる前身頃及び後身頃の前後の腰周りの部分の左右の縁部における横方向外方の際まで補強シートを付与でき、左右の溶着部をより確実に補強できる。
【0016】
また、横方向に連なって製造される使い捨ておむつの隣接する左右の縁部に補強シートを一度に付与できるため、補強シートを付与する工程の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に関連する関連技術に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法が適用されるパンツ型使い捨ておむつを、左右のサイド溶着部を切り離して略平面状に展開したときの平面図である。
【図2】図1のパンツ型使い捨ておむつの展開される前の状態を示す斜視図である。
【図3】図1のA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】図1のB1−B1線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図1のパンツ型使い捨ておむつの右側のサイド溶着部の外観図である。
【図6】図1のB2−B2線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】図1のB3−B3線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図5のA2−A2線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に関連する関連技術に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に関連する関連技術に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法が適用されるパンツ型使い捨ておむつにおける図1のB2−B2線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図12】図11のパンツ型使い捨ておむつにおける図1のB3−B3線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図13】図11のパンツ型使い捨ておむつにおける図5のA2−A2線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[関連技術]
[おむつの構成]
本発明の実施形態に関連する関連技術に係るパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の製造方法について説明する前に、その製造方法が適用されるおむつの構成について説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態に関連する関連技術に係るおむつの製造方法が適用されるおむつを、左右のサイド溶着部を切り離して略平面状に展開したときの平面図であり、図2は図1のおむつの展開される前の状態を示す斜視図であり、図3は図1のA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図であり、図4は図1のB1−B1線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。なお、図1から図4及び後述する他の図において、縦方向Yは着用者の前後又は上下方向に対応しており、横方向Xは着用者の左右方向に対応している。
【0020】
本関連技術に係るおむつの製造方法が適用されるおむつ1は、図1から図4に示すように、パンツ型の使い捨ておむつであって、股下部2で繋がった前身頃3及び後身頃4と、左右の溶着部としての左右のサイド溶着部5と、左右2枚ずつ付与された補強シート6,7とを備えている。左右のサイド溶着部5は、前身頃3及び後身頃4における着用者の腰周りに位置する部分の左右両側の縁部3a,4aにおいて、前身頃3及び後身頃4の左右両側の縁部3a,4a同士を溶着する。これによって、おむつ1にウエスト孔11、及び左右の脚孔12が形成され、おむつ1がパンツ型の構成を有することとなる。補強シート6,7は、不織布からなり、前身頃3及び後身頃4における左右のサイド溶着部5及びそのサイド溶着部5の近傍を含む領域のみに付与されて、前身頃3及び後身頃4を構成する不織布製のシートと溶着され、サイド溶着部5を補強する。なお、変形例として、補強シート6,7を、前身頃3及び後身頃4における左右のサイド溶着部5のみに付与してもよい。
【0021】
また、前身頃3及び後身頃4は、外装材13と、内装材14と、前後の押さえシート15,16とを備えている。外装材13は、前身頃3及び後身頃4の外面に配置される。内装材14は、着用者が排泄した体液を吸収する吸収コア17を有し、外装材13の肌面側における着用者の股部にあてがわれる領域に配置され、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により外装材13に接合される。
【0022】
また、外装材13は、重ね合わされて貼り合わされた外側シート21及び内側シート22を備えている。外側シート21は外装材13及びおむつ1の最外面に配置され、内側シート22は外側シート21の肌面側に配置される。外側シート21と内側シート22とは、それらの間に後述する弾性部材31〜36を挟み込んだ状態で接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって互いに接合される。
【0023】
外側シート21及び内側シート22は、不織布によって形成される。その不織布の樹脂材料としては、例えば、強度、柔軟性及び材料コスト等の点で優れたポリプロピレンが用いられる。外側シート21及び内側シート22の他の素材例として、例えばポリエチレンとポリプロピレンとの混合樹脂によって形成された不織布、又は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとの混合樹脂によって形成された不織布が挙げられる。また、外側シート21及び内側シート22を形成する不織布の構成又は製法については、例えば、スパンボンド、SMS、SMMS、又はポイントボンドが挙げられる。また、外側シート21及び内側シート22の目付は、例えばシート21,22の目付の合計が約35g/m2以下になるように設定される。
【0024】
内装材14は、前記した吸収コア17、バックシート23、トップシート24、及び左右のサイドシート25等を備えている。吸収コア17は、着用者が排泄した尿等の体液を吸収するためのものであり、外面側のバックシート23と、肌面側のトップシート24及びサイドシート25との間に挟み込まれるようにして配置される。バックシート23は、液不透過性の素材が好ましく、撥水性を有する合成繊維製不織布、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルム(液不透過性でかつ通気性を有するフィルムが好ましい)が好ましい。
【0025】
トップシート24は、吸収コア17の肌面側における横方向Xの中央部に、縦方向Yに沿って配置されている。左右のサイドシート25は、トップシート24の左右の縁部に肌面側から重なるように、縦方向Yに沿って配置されている。このサイドシート25の横方向Xの内方側の端部には糸状の弾性部材26が伸張された状態で付与されている。この弾性部材26の収縮によってサイドシート25の一部が肌面側に向かって立ち上がり、立体ギャザーとして機能する。この立体ギャザーにより排泄物の横漏れが防止される。
【0026】
吸収コア17は、集合された繊維を少なくとも有する集合体によって構成されている。この吸収コア17は、液透過性の不織布等からなる図示しないシートによって覆われている場合がある(このおむつ1では、吸収コア17は液透過性のシートによって覆われている)。吸収コア17を構成する集合体は、主に集合された繊維により形成されている。その繊維としては主に解繊パルプ繊維又はセルロース繊維が用いられ、必要に応じて熱融着性繊維等を混合してもよい。また、集合体には、高吸水性樹脂粉末が含まれていることが好ましい。吸収コア17である集合体の平面形状としては、砂時計型、略長方形型、略楕円型等の種々の形状が採用可能である。このおむつ1では、吸収コア17(集合体)の平面形状が砂時計型とされている。
【0027】
トップシート24は、液透過性の合成繊維製不織布又は織布で形成される。その不織布又は織布としては、絹、レーヨン、パルプ等の親水性繊維、又は、前述の外装材13のシート21,22と同様な素材からなる不織布が挙げられる。また、液透過性を高めるためにトップシート24を形成する不織布又は織布に親水化処理を施してもよい。サイドシート25は、撥水性不織布等により形成される。
【0028】
外装材13には、外装材13を含むおむつ1の各部を引き締めて着用者の身体にフィットさせるために、前側ウエスト弾性部材31、後側ウエスト弾性部材32、前側ボディ弾性部材33、後側ボディ弾性部材34、前側脚周り弾性部材35、及び後側脚周り弾性部材36が付与されている。
【0029】
前側ウエスト弾性部材31及び後側ウエスト弾性部材32は、外装材13の前後の腰周りに位置する部分の上縁部に沿って伸張された状態で付与されている。前側ボディ弾性部材33及び後側ボディ弾性部材34は、外装材13における前後の腰周りに位置する部分の縦方向Yの中間部に、横方向Xに沿って伸張された状態で付与されている。前側脚周り弾性部材35は、外装材13の左右の脚周り部2aの一方の前側の部分から股下部2を横断して他方の前側の部分に至る経路に沿って伸張された状態で付与されている。後側脚周り弾性部材36は、外装材13の左右の脚周り部2aの一方の後側の部分から股下部2を横断して他方の後側の部分に至る経路に沿って伸張された状態で付与されている。
【0030】
弾性部材31〜36を構成する弾性材(例えば、弾性糸)には、例えば使い捨て吸収性物品に多用される弾性伸縮材料(ポリウレタン糸、天然ゴム等)が用いられる。弾性材の他の例として、帯状のポリウレタンフィルムを用いてもよい。
【0031】
前後の押さえシート15,16は、外装材13の前後の腰周りに位置する部分において、内装材14の前側縁部及び後側縁部を肌面側から覆うように配置され、外装材13(あるいは、外装材13及び内装材14)と接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合される。このおむつ1では、押さえシート15,16の横方向Xの長さは、外装材13の前後の腰周りに位置する部分の横方向Xの長さと等しい。この押さえシート15,16によって、内装材14の前側及び後側縁部の外装材13からの剥がれ防止、内装材14の前側及び後側縁部の着用者の肌への肌当たりを和らげる、及び、内装材14の吸収コア17に吸収された体液の前側及び後側縁部からの漏れ防止等が図られる。押さえシート15,16は、前述の外装材13の外側シート21及び内側シート22と同様な不織布によって構成される。
【0032】
また、このおむつ1では、図4に示すように、外装材13の外側シート21の縦方向Yの長さが、内側シート22の縦方向Yの長さより大きい。そして、外側シート21の前後の縁部21a,21bが、前後の押さえシート15,16の前側及び後側の縁部を肌面側から覆うように、内側に折り返されている。
【0033】
次に、左右のサイド溶着部5及び補強シート6について、図5から図8を参照してさらに詳細に説明する。図5は図1のおむつの右側のサイド溶着部の外観図であり、図6は図1のB2−B2線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図であり、図7は図1のB3−B3線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図であり、図8は図5のA2−A2線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。なお、図5から図8では、代表例として右側のサイド溶着部5について図示しているが、左右のサイド溶着部5は左右対称な構成であるため、便宜上、図示を省略している。
【0034】
左右のサイド溶着部5は、図1、図2及び図5に示すように、外装材13の前後の腰周りに位置する部分及び前後の押さえシート15,16の左右両側の縁部(3a,4a)において、左右両側の縁部(3a,4a)同士を加熱溶着により接合している。サイド溶着部5には、横方向X(あるいは、横方向Xに対して傾斜する方向)に細長い複数のシール部5aが縦方向Yに間隔をあけて形成されている。この複数のシール部5aにて、その部分に位置するシート材が加圧されつつ加熱溶着されている。なお、このおむつ1では、図5に示すように、加熱溶着によりサイド溶着部5の溶着を行っているが、加熱溶着の代わりに超音波溶着を用いてもよい。
【0035】
左右のサイド溶着部5には、図6から図8に示すように、補強のための補強シート6,7が2枚ずつ付与されている。より詳細には、補強シート6は、前身頃3における左右のサイド溶着部5及びその近傍を含む領域において、押さえシート15と外装材13の内側シート22との間に位置している。また、補強シート7は、後身頃4における左右のサイド溶着部5及びその近傍を含む領域において、押さえシート16と外装材13の内側シート22との間に位置している。補強シート6,7の縦方向Yの寸法は、外装材13の内側シート22の前側及び後側における左右のサイド溶着部5に位置する部分の縦方向Yの寸法とほぼ等しい。補強シート6,7の横方向Xの寸法は、補強シート6,7が付与されるサイド溶着部5を覆うようにサイド溶着部5の横方向Xの寸法よりも若干大きい。
【0036】
また、補強シート6,7は、押さえシート15,16と外装材13の内側シート22とを接合するための接着剤を利用して押さえシート15,16又は内側シート22に仮止めされ、その仮止めされたた状態で、サイド溶着部5に対する溶着処理に供される。その溶着処理によって、補強シート6,7は部分的に溶融又は軟化し、外装材13の内側シート22及び押さえシート15,16と接合(溶着)される。その結果、補強シート6,7によって左右のサイド溶着部5が補強される。
【0037】
なお、補強シート6,7が付与された部分では、内側シート22と押さえシート15,16との接着剤による接合が行われない。しかし、内側シート22と押さえシート15,16とは他の十分に広い面積で接着剤により接合されているため、補強シート6,7の存在による内側シート22と押さえシート15,16との接合強度への影響が問題になることはない。
【0038】
また、本関連技術では、左右の溶着部5における前身頃3側に配置される補強シート6の前側を向いた面の色と、後身頃4側に配置される補強シート7の後側を向いた面の色とが互いに異なっている。より具体的には、補強シート6,7は表裏の色が異なっており、前身頃3側に配置される補強シート6の前側を向いた面の色と、後身頃4側に配置される補強シート7の後側を向いた面の色とが異なるように、左右のサイド溶着部5に補強シート6,7が付与される。なお、左右の溶着部5における前身頃3側に配置される補強シート6の前側を向いた面の色、後身頃4側に配置される補強シート7の後側を向いた面の色は、おむつ1に用いられる他のシート材の色(例えば、白色)と異なっている。
【0039】
これによって、補強シート6,7よりも外面側に配置されたシート21,22を通して補強シート6,7の色が透けて見えるため、補強シート6,7の前側及び後側から視認される各面の色の違いにより、おむつ1の前側、後側を容易に判別できる。なお、後述する図12に示す構成のように、補強シート6,7がおむつ1の外面に露出している場合は、補強シート6,7の前側及び後側から視認される各面の色をより容易に視認できる。また、後述する変形例のように、左右の溶着部5に補強シート6を1枚ずつ付与する構成では、補強シート6の表裏の色を異ならせることにより、上記の構成と同様な効果が得られる。
【0040】
このような構成を有するおむつ1によれば、不織布からなる補強シート6,7が、左右のサイド溶着部5及びそのサイド溶着部5の近傍を含む領域のみに、左右2枚ずつ付与され、前身頃3及び後身頃4を構成する不織布製のシート(このおむつ1では、シート15,16,22)と溶着され、サイド溶着部5を補強する。このため、前身頃3及び後身頃4の左右両側の縁部3a,4aに設けられるサイド溶着部5の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつ1に用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れる。この点に関し、サイド溶着部5の強度及び材料コスト等の観点から、外装材13の外側シート21の目付値、内側シート22の目付値、及び補強シート6又は7の目付値の総和を、例えば約40g/m2以上に設定するのが好ましい。
【0041】
また、補強シート6,7も、その補強シート6,7がサイド溶着部5において溶着される外装材13のシート21,22及び押さえシート15,16も共に不織布によって形成されているため、補強シート6,7によっておむつ1の質感を損なうことがないとともに、補強シート6,7とそれが溶着される前身頃3及び後身頃4を構成するシート15,16,22とを容易に溶着させることができ、サイド溶着部5の強度も向上する。
【0042】
また、左右のサイド溶着部5について2枚ずつの補強シート6,7を付与しているため、サイド溶着部5をより確実に補強できる。
【0043】
また、補強シート6,7が、左右のサイド溶着部5が形成される前身頃3及び後身頃4の両方の部分において、押さえシート15,16と外装材13の内側シート22との間に位置している。これによって後述の製造方法に関連した効果が得られる。この点については後に詳述する。
【0044】
また、補強シート6,7がおむつ1の最外面に配置されるシート(ここでは、外装材13の外側シート21)よりも内側に配置されているため、着用時に衣服等と擦れ合うこと等により、補強シート6,7に外力が作用し、補強シート6,7が剥がれ落ちるのを回避できる。
【0045】
また、補強シート6,7と、その補強シート6,7が重ね合わされて接合される前身頃3及び後身頃4を構成する不織布製のシート(本関連技術では、外装材13の内側シート22及び押さえシート15,16)とは、同じ種類の樹脂(例えば、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合樹脂)によって形成されている。それ故、補強シート6,7と不織布製のシート(内側シート22及び押さえシート15,16)とを容易かつ確実に溶着することができる。
【0046】
また、このおむつ1では、前述の如く、補強シート6,7の前側及び後側から視認される各面の色の違いにより、おむつ1の前側、後側を容易に判別できるという利点もある。
【0047】
なお、前述のおむつ1では、補強シート6,7を左右のサイド溶着部5における前身頃3側及び後身頃4側に1枚ずつ付与したが、前身頃3側のみに1枚だけ付与する、あるいは、後身頃4側にのみ1枚だけ付与するようにしてもよい。このように、補強シート6又は7を左右のサイド溶着部5に1枚ずつ付与してサイド溶着部5を補強することにより、補強シート6又は7の材料コスト、及び補強シート6又は7を付与するために要する工数等を抑制できる。
【0048】
また、前述のおむつ1では、補強シート6,7を左右のサイド溶着部5における前身頃3側及び後身頃4側に1枚ずつ付与したが、補強シート6,7の枚数を2枚以上に増やしてもよい。
【0049】
[おむつの製造方法]
次に、図9及び図10を参照して、本関連技術に係るおむつの製造方法について説明する。図9及び図10は、本発明の実施形態に関連する関連技術に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。
【0050】
本関連技術に係るおむつの製造方法は、図9及び図10に示すように、
(S1) 連続シート体形成工程
(S2) 補強シート仮止め工程
(S3) 内装材付与工程
(S4) 押さえシート付与工程
(S5) 縁部折り込み工程
(S6) 脚孔形成工程
(S7) 二つ折り工程
(S8) サイド溶着工程
(S9) 製品分離工程
を備えている。この製造方法は、前記のおむつ1の製造に適用される。なお、前記工程S1〜S9はおおよそその記載順序に従って処理されてゆくが、脚孔形成工程S6については、押さえシート付与工程S4の後であればいずれの段階で行われてもよい。また、連続シート体形成工程S1と補強シート仮止め工程S2とは、いずれが先に行われてもよいし、同時並行で行われてもよい。また、本発明に係る第1の連続体には後述の押さえシート連続体41a,41bが相当し、第2の連続体及び第6の連続体には後述の連続シート体42が相当する。
【0051】
工程S1〜S9では、図9及び図10に示すように、外装材13を構成するための連続シート体42等をその長手方向に沿った搬送方向B1(図10参照)に搬送しつつ、加工処理が行われる。連続シート体形成工程S1では、外装材13を形成するための連続シート体42が形成される。この連続シート体42は、外装材13を形成するための素材がおむつ11の横方向Xに連続的に連なってなるものである。
【0052】
より詳細には、前記の外側シート21及び内側シート22を形成するための素材が帯状に連なってなる連続体である帯状シート材43,44が接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により連続的に貼り合わされる。その貼り合わせ用の接着剤は、接着剤塗布装置51(例えば、カーテン塗布装置)により外側シート21に対応する帯状シート材43の肌面側表面に塗布される。なお、変形例として、内側シート22に対応する帯状シート材44の外面側表面に貼り合わせ用の接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0053】
この貼り合わせの際に、帯状シート材43,44の間に弾性部材31〜66を形成するための複数の連続弾性部材45が伸張された状態で所定の部分に挟み込まれる。これによって、連続シート体42が形成される。なお、帯状シート材43,44は、ガイドローラ52〜56等によって案内されて、貼り合わせ用の圧接ローラ等を備えた貼り合わせ装置57に通され、貼り合わされる。連続弾性部材45は、伸張された状態でガイドローラ58等によって案内されて貼り合わせ装置57に導入される。形成された連続シート体42は、回転ドラム58を経て後述する内装材付与工程S3に送られる。
【0054】
一方、補強シート仮止め工程S2では、前後の押さえシート15,16を形成するための素材がそれぞれ横方向Xに連なってなる押さえシート連続体41a,41bに対する補強シート6,7の仮止めが行われる。より詳細には、まず、押さえシート連続体41a,41bの外面側表面(例えば、連続体41a,41bの長手方向に沿って連続的に)に接着剤塗布装置61(例えば、カーテン塗布装置)により、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。この接着剤の第一の役割は、主に押させシート連続体41a,41bと連続シート体42との接合であるが、本関連技術では、この接着剤を利用して補強シート6,7と押さえシート連続体41a,41bとの仮止めが行われる。
【0055】
補強シート6,7の仮止めは、次のようにして行われる。すなわち、補強シート6,7を形成するための素材がそれぞれ横方向Xに連なってなる補強シート連続体46a,46bが、図示しない切断機構を有する転写機構62に導入され、切断機構によって所定長さに切断されつつ転写ローラ62aによって押さえシート連続体41a,41bの外面側表面における所定位置にそれぞれ付与され、接着剤により仮止めされる。このとき、補強シート6,7は、押さえシート連続体41a,41bにおける後述する製品分離工程S9での切離し位置を横方向Xに跨るように付与される。これによって、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍において、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与されることとなる。このように補強シート6,7が付与された押さえシート連続体41a,41bは、ガイドローラ63等によって案内されて、後述する押さえシート付与工程S4に導入される。
【0056】
内装材付与工程S3では、長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における股部に対応する各部分に対し、搬送機構64によって送られてきた内装材14が付与される。より具体的には、まず長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における内装材14が付与される領域に対して、図示しない接着剤塗布装置(例えば、接触式の接着剤塗布装置)によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。続いて、搬送機構64によって搬送されてきた内装材14が、長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における股部に対応する各部分に付与されて接合される。内装材14が付与された連続シート体42は、後述する押さえシート付与工程S4に送られる。
【0057】
押さえシート付与工程S4では、押さえシート連続体41a,41bが、長手方向に搬送される連続シート体42の長手方向(搬送方向B1)に垂直な幅方向の両側(すなわち、前後の腰周りに対応する部分)に、案内ローラ65に案内されながら接着剤によりそれぞれ接合される。このとき、押さえシート連続体41a,41bが、先に接合されている内装材14の前後の縁部を覆うように、かつ、補強シート6,7が押さえシート連続体41a,41bと連続シート体42との間に挟み込まれるようにして連続シート体42に接合される。押さえシート連続体41a,41bが接合された連続シート体42は、後述する縁部折り込み工程S5に送られる。
【0058】
縁部折り込み工程S5では、連続シート体42の帯状シート材43の幅方向の両縁部43a,43b(前述の外側シート21の前後の縁部21a,21bに対応する部分)が、肌面側に折り込まれる。
【0059】
脚孔形成工程S6では、連続シート体42の左右の脚孔12に対応する各部分が図示しない切断機構により切り取られ、これによって連続シート体42に左右の脚孔12が形成される。
【0060】
二つ折り工程S7では、長手方向に搬送される連続シート体42が、図示しない折り板によって案内されて、長手方向(横方向X)に沿った折り位置(幅方向の中心位置)で連続的に二つ折りにされていく。
【0061】
サイド溶着工程S8では、二つ折りにされて長手方向に搬送される連続シート体42における前身頃3及び後身頃4の左右の縁部3a,4aに対応する各部分が、図示しない加熱溶着装置によって加熱溶着される。これによって、左右のサイド溶着部5が形成される。なお、変形例として超音波溶着により溶着を行ってもよい。
【0062】
製品分離工程S9では、二つ折りにされ左右のサイド溶着部5が形成された連続シート体42が、図示しない切断機構によって、製品単位に切り離される。これによって、おむつ1が得られる。このとき、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍には、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与されており、隣接する左右のサイド溶着部5の間の中間位置でおむつ1が切り離されるのに伴って、補強シート6,7も各おむつ1に対応する2つの部分に切り離される。
【0063】
以上のように、本関連技術に係る製造方法によれば、押さえシート6,7を形成するための押さえシート連続体41a,41bと外装材13を形成するための連続シート体42とを接合するための接着剤を利用し、補強シート6,7が押さえシート連続体41a,41bに仮止めされる。そして、その状態で、補強シート6,7が、押さえシート連続体41a,41bと連続シート体42との間に挟み込まれるようにして付与される。それ故、補強シート6,7の仮止めのための接着剤の塗布工程を省略でき、製造工程の簡略化が図れるとともに、左右のサイド溶着部5の溶着強度を低下させる接着剤の使用量を抑制でき、サイド溶着部5の溶着強度が向上する。
【0064】
また、押さえシート連続体41a,41bと連続シート体42とを、それらの間に補強シート6,7を挟み込むように接合した後で、連続シート体42の対応する各部分に脚孔12が形成される。このため、補強シート6,7が脚孔12の内方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右のサイド溶着部5が設けられる外装材13の左右のサイド溶着部5における脚孔12の際まで補強シート6,7を付与でき、左右のサイド溶着部5をより確実に補強できる。
【0065】
また、前記の如く、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍において、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与され、そして、隣接する左右のサイド溶着部5の間の中間位置でおむつ1が切り離されるのに伴って、補強シート6,7も各おむつ1に対応する2つの部分に切り離される。これによって、補強シート6,7が前身頃3及び後身頃4の左右の縁部3a,4aの横方向X外方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右のサイド溶着部5が設けられる前身頃3及び後身頃4の前後の腰周りの部分の左右の縁部3a,4aにおける横方向X外方の際まで補強シート6,7を付与でき、左右のサイド溶着部5をより確実に補強できる。
【0066】
また、横方向Xに連なって製造されるおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5に補強シート6,7を一度に付与できるため、補強シート6,7を付与する工程の効率化が図れる。
【0067】
また、前記のようにして製造されたおむつ1では、前述の如く、前身頃3及び後身頃4の左右両側の縁部3a,4aに設けられるサイド溶着部5の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつ1に用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れる等の効果が得られる。その結果、本関連技術に係る製造方法によれば、そのような有利な効果を有するおむつ1を製造工程の簡略化を図りつつ製造できる。
【0068】
なお、前述の関連技術に係る製造方法の変形例として、左右のサイド溶着部5が設けられるおむつ1の左右両側における前身頃3側及び後身頃4側の一方のみに、補強シート6又は7を付与する構成が挙げられる。この場合には、前述の製造工程において、付与されない補強シート6又は7に対応する製造工程が省略される。この変形例は後述の実施形態にも適用できる。
【0069】
また、前述の製造方法の他の変形例として、補強シート6,7を押さえシート連続体41a,41bの代わりに連続シート体42の肌面側の所定位置に仮止めしてから、補強シート6,7を挟み込むようにして、連続シート体42と押さえシート連続体41a,41bとを貼り合わさせるようにしてもよい。この場合、連続シート体42と押さえシート連続体41a,41bとを貼り合わせるための接着剤は、連続シート体42の肌面側における前後の腰周りに対応する部分に塗布される。その貼り合わせ用の接着剤を利用して補強シート6,7の連続シート体42への仮止めが行われる。
【0070】
さらに他の変形例として、貼り合わせ用の接着剤を、押さえシート連続体41a,41bと、連続シート体42の肌面側における前後の腰周りに対応する部分との両方に塗布してもよい。この場合、補強シート6,7を押さえシート連続体41a,41b側に仮止めしてもよいし、連続シート体42側に仮止めしてもよい。
【0071】
[実施形態]
[おむつの構成]
本発明の一実施形態に係るおむつの製造方法について説明する前に、その製造方法が適用されるおむつの構成について説明する。
【0072】
図11は本発明の一実施形態に係るおむつの製造方法が適用されるおむつにおける図1のB2−B2線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図であり、図12は図11のおむつにおける図1のB3−B3線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図であり、図13は図11のパンツ型使い捨ておむつにおける図5のA2−A2線に対応する部分の断面の構成を模式的に示す断面図である。この図11に示すおむつ1が前述の図1に示すおむつ1と実質的に異なる点は、補強シート6,7の配置位置のみであり、互いに対応する部分には同一の参照符号を付し、重複説明を回避する。なお、本実施形態では、外装材13が本発明に係るシート体に相当している。
【0073】
この図11のおむつ1では、図11から図13に示すように、補強シート6は、前身頃3における左右のサイド溶着部5及びその近傍を含む領域において、外装材13の外側シート21と内側シート22との間に位置している。また、補強シート7は、後身頃4における左右のサイド溶着部5及びその近傍を含む領域において、外装材13の外側シート21と内側シート22との間に位置している。
【0074】
また、補強シート6,7は、外装材13の外側シート21と内側シート22とを接合するための接着剤を利用して外側シート21又は内側シート22に仮止めされ、その仮止めされたた状態で、サイド溶着部5に対する溶着処理に供される。その溶着処理によって、補強シート6,7は部分的に溶融又は軟化し、外装材13の外側シート21及び内側シート22と接合(溶着)される。その結果、補強シート6,7によって左右のサイド溶着部5が補強される。
【0075】
なお、補強シート6,7が付与された部分では、外側シート21と内側シート22との接着剤による接合が行われない。しかし、外側シート21と内側シート22とは他の十分に広い面積で接着剤により接合されているため、補強シート6,7の存在による外側シート21と内側シート22との接合強度への影響が問題になることはない。
【0076】
この図11のおむつ1では、前述の図1のおむつ1の構成と共通する部分については図1のおむつ1とほぼ同様な効果が得られる。
【0077】
また、図11のおむつ1に係る特有の構成(すなわち、補強シート6,7が、左右のサイド溶着部5が形成される前身頃3及び後身頃4の両方の部分において、外装材13の外側シート21と内側シート22との間に位置している構成)により、後述の製造方法に関連した効果が得られる。この点については後に詳述する。
【0078】
また、補強シート6,7と、その補強シート6,7が重ね合わされて接合される前身頃3及び後身頃4を構成する不織布製のシート(本実施形態では、外装材13の外側シート21及び内側シート22)とは、同じ種類の樹脂(例えば、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合樹脂)によって形成されている。それ故、補強シート6,7と不織布製のシート(外側シート21及び内側シート22)とを容易かつ確実に溶着することができる。
【0079】
なお、この図11のおむつ1においては、押さえシート15,16を省略してもよい。
【0080】
[おむつの製造方法]
次に、図14及び図15を参照して、本実施形態に係るおむつの製造方法について説明する。図14及び図15は、本発明の一実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつの製造方法による製造手順を示す図である。なお、図14及び図15に示す構成において、前述の図9及び図10に示す構成と共通する部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係るおむつの製造方法は、図9及び図10に示すように、
(S11) 連続シート体形成工程
(S12) 内装材付与工程
(S13) 押さえシート付与工程
(S14) 縁部折り込み工程
(S15) 脚孔形成工程
(S16) 二つ折り工程
(S17) サイド溶着工程
(S18) 製品分離工程
を備え、前記の図11のおむつ1の製造に適用される。なお、前記工程S11〜S18はおおよそその記載順序に従って処理されてゆくが、脚孔形成工程S15については、連続シート体形成工程S11の後であればいずれの段階で行われてもよい。なお、本発明に係る第3の連続体には帯状シート材43が相当し、第4の連続体には帯状シート材44が相当し、第5の連続体には連続シート体42が相当する。
【0082】
連続シート体形成工程S11は、
(S11a) 接着剤塗布工程
(S11b) 補強シート仮止め工程
(S11c) 貼り合わせ工程
を備えており、この工程S11では、外装材13を形成するための連続シート体42が形成される。
【0083】
接着剤塗布工程S11aでは、外装材13の外側シート21に対応する帯状シート材43の肌面側表面に対し、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。接着剤の塗布は、接着剤塗布装置51(例えば、カーテン塗布装置)により行われる。帯状シート材43は、ガイドローラ52〜55等によって案内されて、接着剤塗布工程S11a及び後述の補強シート仮止め工程S11bを経て、後述の貼り合わせ工程S11cに送られる。
【0084】
補強シート仮止め工程S11bでは、接着剤が塗布された帯状シート材43に対する補強シート6,7の仮止めが行われる。より詳細には、補強シート連続体46a,46bが、図示しない切断機構を有する転写機構71に導入され、切断機構によって所定長さに切断されつつ転写ローラ71aによって帯状シート材43の肌面側表面の前後の腰周りに対応する部分の左右の縁部に対応する各部分にそれぞれ付与され、接着剤により仮止めされる。このとき、補強シート6,7は、帯状シート材43における後述する製品分離工程S18での切離し位置を横方向Xに跨るように付与される。これによって、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍において、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与されることとなる。
【0085】
貼り合わせ工程S11cでは、帯状シート材43,44が貼り合わせ用の圧接ローラ等を備えた貼り合わせ装置57に通され、帯状シート材43,44の間に補強シート6,7が挟み込まれるようにして接着剤により貼り合わされる。この貼り合わせの際に、帯状シート材43,44の間に弾性部材31〜66を形成するための複数の連続弾性部材45が伸張された状態で所定の部分に挟み込まれる。これによって、連続シート体42が形成される。なお、帯状シート材44は、ガイドローラ56等によって案内されて貼り合わせ装置57に導入される。連続弾性部材45は、伸張された状態でガイドローラ58等によって案内されて貼り合わせ装置57に導入される。形成された連続シート体42は、回転ドラム58を経て後述する内装材付与工程S12に送られる。
【0086】
内装材付与工程S12では、長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における股部に対応する各部分に対し、搬送機構64によって送られてきた内装材14が付与される。より具体的には、まず長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における内装材14が付与される領域に対して、図示しない接着剤塗布装置(例えば、接触式の接着剤塗布装置)によって接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗布される。続いて、搬送機構64によって搬送されてきた内装材14が、長手方向に搬送される連続シート体42の肌面側における股部に対応する各部分に付与されて接合される。内装材14が付与された連続シート体42は、次の押さえシート付与工程S13に送られる。
【0087】
押さえシート付与工程S13では、押さえシート連続体41a,41bが、長手方向に搬送される連続シート体42の長手方向(搬送方向B1)に垂直な幅方向の両側(すなわち、前後の腰周りに対応する部分)に、案内ローラ65に案内されながら接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によりそれぞれ接合される。接合のための接着剤は、押させシート連続体41a,41bと連続シート体42との接合の前に、接着剤塗布装置61(例えば、カーテン塗布装置)により、押させシート連続体41a,41bの外面側表面に塗布される。この点に関する変形例として、貼り合わせ用の接着剤を、押さえシート連続体41a,41b側ではなく、連続シート体42の肌面側における前後の腰周りに対応する部分に塗布してもよい。
【0088】
この接合のときに、押さえシート連続体41a,41bが、先に接合されている内装材14の前後の縁部を覆うようにして連続シート体42に接合される。押さえシート連続体41a,41bが接合された連続シート体42は、次の縁部折り込み工程S14に送られる。
【0089】
縁部折り込み工程S14では、連続シート体42の帯状シート材43の幅方向の両縁部43a,43b(前述の外側シート21の前後の縁部21a,21bに対応する部分)が、肌面側に折り込まれる。
【0090】
脚孔形成工程S15では、連続シート体42の左右の脚孔12に対応する各部分が図示しない切断機構により切り取られ、これによって連続シート体42に左右の脚孔12が形成される。
【0091】
二つ折り工程S16では、長手方向に搬送される連続シート体42が、図示しない折り板によって案内されて、長手方向(横方向X)に沿った折り位置(幅方向の中心位置)で連続的に二つ折りにされていく。
【0092】
サイド溶着工程S17では、二つ折りにされて長手方向に搬送される連続シート体42における前身頃3及び後身頃4の左右の縁部3a,4aに対応する各部分が、図示しない加熱溶着装置によって加熱溶着される。これによって、左右のサイド溶着部5が形成される。なお、変形例として超音波溶着により溶着を行ってもよい。
【0093】
製品分離工程S18では、二つ折りにされ左右のサイド溶着部5が形成された連続シート体42が、図示しない切断機構によって、製品単位に切り離される。これによって、おむつ1が得られる。このとき、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍には、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与されており、隣接する左右のサイド溶着部5の間の中間位置でおむつ1が切り離されるのに伴って、補強シート6,7も各おむつ1に対応する2つの部分に切り離される。
【0094】
本実施形態に係る製造方法によれば、外装材13の外側シート21及び内側シート22をそれぞれ形成するための帯状シート材43,44を接合するための接着剤を利用し、補強シート6,7が帯状シート材43に仮止めされる。そして、その状態で、補強シート6,7が、帯状シート材43,44の間に挟み込まれるようにして付与される。それ故、補強シート6,7の仮止めのための接着剤の塗布工程を省略でき、製造工程の簡略化が図れるとともに、左右のサイド溶着部5の溶着強度を低下させる接着剤の使用量を抑制でき、サイド溶着部5の溶着強度が向上する。
【0095】
また、補強シート6,7を挟み込むようにして帯状シート材43,44を接合して連続シート体42を形成した後で、連続シート体42の対応する各部分に脚孔12が形成される。このため、補強シート6,7が脚孔12の内方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右のサイド溶着部5が設けられる外装材13の左右のサイド溶着部5における脚孔12の際まで補強シート6,7を付与でき、左右のサイド溶着部5をより確実に補強できる。
【0096】
また、前記の如く、横方向Xに連なったおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5及びその近傍において、隣接する左右のサイド溶着部5を跨るように補強シート6,7が付与され、そして、隣接する左右のサイド溶着部5の間の中間位置でおむつ1が切り離されるのに伴って、補強シート6,7も各おむつ1に対応する2つの部分に切り離される。これによって、補強シート6,7が前身頃3及び後身頃4の左右の縁部3a,4aの横方向X外方にはみ出す等の不都合が生じるのを回避しながら、左右のサイド溶着部5が設けられる前身頃3及び後身頃4の前後の腰周りの部分の左右の縁部3a,4aにおける横方向X外方の際まで補強シート6,7を付与でき、左右のサイド溶着部5をより確実に補強できる。
【0097】
また、横方向Xに連なって製造されるおむつ1の隣接する左右のサイド溶着部5に補強シート6,7を一度に付与できるため、補強シート6,7を付与する工程の効率化が図れる。
【0098】
また、前記のようにして製造されたおむつ1では、前述の如く、前身頃3及び後身頃4の左右両側の縁部3a,4aに設けられるサイド溶着部5の溶断又は強度不足を防止しつつ、おむつ1に用いられる不織布の目付を下げて通気性の向上、材料コストの削減等が図れる等の効果が得られる。その結果、本実施形態に係る製造方法によれば、そのような有利な効果を有するおむつ1を製造工程の簡略化を図りつつ製造できる。
【0099】
なお、前述の第2実施形態に係る製造方法の変形例として、補強シート6,7を帯状シート材43の代わりに帯状シート材44の外面側の所定位置に仮止めしてから、補強シート6,7を挟み込むようにして、帯状シート材43,44を貼り合わさせるようにしてもよい。この場合、帯状シート材43,44を貼り合わせるための接着剤は、帯状シート材44の外面側表面に塗布される。
【0100】
また、さらなる変形例として、貼り合わせ用の接着剤を帯状シート材43,44の両方に塗布してもよい。この場合、補強シート6,7は帯状シート材43,44のいずれに仮止めされてもよい。
【0101】
また、前述の実施形態に係る製造方法の変形例として、押さえシート15,16が省略された場合には、それに対応して押さえシート15,16の付与のための製造工程を省略してもよい。
【0102】
また、上述の関連技術及び実施形態に係る製造方法が適用されるおむつ1では、前身頃3側を構成する部分と後身頃4側を構成する部分とが股下部を介して連続的に繋がったシート部材によって形成されている。この点に関する変形例として、関連技術及び実施形態に係る製造方法を、おむつ1における前側の腰周り位置する部分と、後側の腰周りに位置する部分と、股部とがそれぞれ独立したシート部材によって形成されたおむつに対して、適用してもよい。このような構成のおむつでは、股部は前側及び後側の腰周り位置する部分に前後方向に跨るようにして接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって接着される。
【符号の説明】
【0103】
1 パンツ型使い捨ておむつ、2 股下部、3 前身頃、3a 縁部、4 後身頃、4a 縁部、5 サイド溶着部、5a シール部、6,7 補強シート、11 ウエスト孔、12 脚孔、13 外装材、14 内装材、15,16 押さえシート、17 吸収コア、21 外側シート、22 内側シート、23 バックシート、24 トップシート、25 サイドシート、26,31〜36 弾性部材、41a,41b 押さえシート連続体、42 連続シート体、43,44 帯状シート材、45 連続弾性部材、46a,46b 補強シート連続体、51 接着剤塗布装置、57 貼り合わせ装置、61 接着剤塗布装置、62,71 転写機構、S1,S11
連続シート体形成工程、S11a 接着剤塗布工程、S11b 補強シート仮止め工程、S11c 貼り合わせ工程、S2 補強シート仮止め工程、S3,S12 内装材付与工程、S4 押さえシート付与工程、S5,S14 縁部折り込み工程、S6,15 脚孔形成工程、S7,S16 二つ折り工程、S8,S17 サイド溶着工程、S9,S18 製品分離工程、X 横方向、Y 縦方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンツ型使い捨ておむつであって、
股下部で繋がった前身頃及び後身頃と、
前記前身頃及び前記後身頃の左右両側の縁部において、前記前身頃及び前記後身頃の前記左右両側の縁部同士を溶着する左右の溶着部と、
不織布からなり、前記左右の溶着部のみ、又は前記左右の溶着部及びその溶着部の近傍を含む領域のみに、それぞれ少なくとも左右1枚ずつ付与され、前記前身頃及び前記後身頃を構成する不織布製のシートと溶着され、前記溶着部を補強する補強シートと、
を備え、
前記前身頃及び前記後身頃は、
重ね合わされた不織布製の外側シート及び内側シートを有し、前記前身頃及び前記後身頃の外面に配置されるシート体を備え、
前記補強シートは、前記左右の溶着部が形成される前記前身頃及び前記後身頃のいずれか一方又は両方の部分において、前記シート体の外側シートと前記内側シートとの間に位置しているパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
(i)前記外側シートが当該パンツ型使い捨ておむつの横方向に連続的に連なってなる第3の連続体の肌面側、及び、前記内側シートが前記横方向に連続的に連なってなる第4の連続体の外面側における前記左右両側の縁部に対応する部分を含む領域のうちの少なくともいずれか一方に、接着剤を付与する段階と、
(j)前記第3の連続体の肌面側、又は、前記第4の連続体の外面側における前記左右両側の縁部に対応する部分に、前記接着剤により前記補強シートを仮止めする段階と、
(k)前記第3の連続体と前記第4の連続体とを、それらの間に前記補強シートを挟み込むようにして前記接着剤により接合する段階と、
(l)互いに接合された前記第3の連続体及び前記第4の連続体を含む第5の連続体を、
前記股下部に対応する位置で二つ折りにする段階と、
(m)二つ折りにされた前記第5の連続体の前記左右の溶着部を形成すべき部分を溶着する段階と、
(n)前記第5の連続体を製品単位に切り離す段階と、
を備えることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつの製造方法において、
(o)前記段階(k)の後のいずれかの時点において、前記第5の連続体の脚孔に対応する部分を切除する段階をさらに備えることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のパンツ型使い捨ておむつの製造方法において、
前記段階(j)にて、前記補強シートは、前記横方向に連続する前記第3の連続体又は前記第4の連続体における前記段階(n)での切離し位置を前記横方向に跨るように付与されることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−31763(P2013−31763A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253275(P2012−253275)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2008−155836(P2008−155836)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】