説明

パンツ型吸収性物品

【課題】サイドシール部による違和感や肌への刺激が生じにくく、装着感に優れたパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明のパンツ型使い捨ておむつ1は、腹側部の両側縁部6aと背側部の両側縁部6bとを互いに重ね合わせた重合部7を融着して形成された一対のサイドシール部8を有している。サイドシール部8は、腹側部側の面から押圧されて形成された腹側シールパターン8aと、背側部側の面から押圧されて形成された背側シールパターン8bとが異なっている。腹側又は背側シールパターン8aは、サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域81におけるシールパターンが、該サイドシール部の他の領域82と異なり、サイドシール部8は、端部領域81における融着強度が、前記他の領域82における融着強度よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面シート、裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型の吸収性物品が知られている。
また、種々の目的から、サイドシール部に形成する融着部の形成パターンを工夫したものが種々提案されている。
【0003】
例えば、本出願人は、接合部の強度が十分であり、風合いに優れ、引き剥がし性にも優れたパンツ型の吸収性物品として、サイドシール部が、実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の両面から押圧されて接合されている強接合部、実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の何れか片面から押圧されて接合されている弱接合部、及び実質的に腹側部側の面及び背側部側の面の何れの面からも押圧されていない非接合部を含むものを提案した(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、前部のシームパネルと背部のシームパネルとを接合することにより、ウエスト開口部と2つのレッグ開口部とを形成した、例えばおむつである衣類が記載されており、特許文献2には、そのような衣類のシームパネル同士を、多数の接合部の集合からなるクラスターを、複数設けて接合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−120595号公報
【特許文献2】特開2002−369842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、着用者のウエスト周りは、周長が長く、またその周長が姿勢の変化や呼吸により変動するため、ウエスト周りに当接する部分の柔らかさや感触は、装着感に大きく影響する。
しかし、特許文献1の使い捨ておむつにおいては、おむつを履いたり履かせる際、あるいは着用中に、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方(肌に対して垂直な方向)から押圧するような力が加わった際に、強接合部が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激する恐れがある。
特許文献2の衣類も、ウエスト周りの柔らかさや感触に対する配慮が不充分であり、また、前部のシームパネルのシームパネルの外(内)面に背部のシームパネルの内(外)面を重ねて両パネルを接合しているため、製造設備が複雑化する。
【0007】
従って、本発明は、サイドシール部による違和感や肌への刺激が生じにくく、装着感に優れたパンツ型吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、前記サイドシール部は、腹側部側の面から押圧されて形成された腹側シールパターンと、背側部側の面から押圧されて形成された背側シールパターンとが異なり、前記腹側又は背側シールパターンは、前記サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域におけるシールパターンが、該サイドシール部の他の領域と異なり、前記サイドシール部は、前記端部領域における融着強度が、前記他の領域における融着強度よりも低いパンツ型吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型吸収性物品は、サイドシール部による違和感や肌への刺激が生じにくく、装着感に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸張状態を示す図である。展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、パンツ型吸収性物品を展開状態とし、その展開状態の吸収性物品を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【図3】図3(a)は、図2のY1−Y1線拡大断面図であり、図3(b)は、図2のY2−Y2線拡大断面図である。
【図4】図4(a)は、図1のパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部における腹側シールパターンを示す図であり、図4(b)は、図4(a)に示す腹側シールパターンを形成するシールロールの凸部を示す模式図であり、図4(c)は、図1のパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部における背側シールパターンを示す図であり、図4(d)は、図4(c)に示す背側シールパターンを形成するシールロールの凸部を示す模式図であり、図4(e)は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部及び弱接合部の分布を示す図である。
【図5】図5は、図4(e)のD−D線断面図である。
【図6】図6は、サイドシール部を形成するシールロールの加圧部付近の拡大断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の他の実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおける腹側又は背側シールパターンを示す図であり、図7(b)は、そのパンツ型使い捨ておむつにおける背側又は腹側シールパターンを示す図であり、図7(c)は、そのパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部の分布を示す図である。
【図8】図8(a)は、本発明の他の実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおける腹側又は背側シールパターンを示す図であり、図8(b)は、そのパンツ型使い捨ておむつにおける背側又は背側シールパターンを示す図であり、図8(c)は、そのパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部に形成される強接合部の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のパンツ型吸収性物品をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、腹側部Aの両側縁部6a,6aと背側部Bの両側縁部6b,6bとを互いに重ね合わせた重合部7,7を融着して形成された一対のサイドシール部8,8を有している。重合部7,7は、それぞれ、腹側部Aの肌当接面側の面と背側部Bの肌当接面側の面とを合掌状に重ね合わせてなり、それぞれ、着用状態におけるおむつ1の縦方向(上下方向)と同方向に長い形状を有している。腹側部Aは、おむつ1の装着時に、装着者の腹側に配される部位であり、背側部Bは、装着者の背側に配される部位であり、股下部Cは、装着者の股間部に配される部位である。
【0012】
使い捨ておむつ1は、図1,図2に示すように、その長手方向(腹側部Aから股下部Cを通って背側部Bに向かう方向)に延びる中心線CLに対して左右対称である。従って、以下の説明では、主に、図1及び図2における左側の構成について説明するが、右側の構成も左右対称である以外は同様である。以下、おむつ1の長手方向(おむつ1を図2に示すように展開して伸長した状態において、前記中心線CLと平行な方向)を「Y方向」ともいう。
【0013】
本実施形態のおむつ1について、更に詳述する。
本実施形態のおむつ1は、図2に示すように、液透過性の表面シート2と、液不透過性又は撥水性の裏面シート3と、両シート2,3間に介在する吸収体4とを有する実質的に縦長の吸収性本体5、及び吸収性本体5の裏面シート側(非肌当接面側)に位置して該吸収性本体5を固定している外包材6を備えている。
【0014】
おむつ1は、腹側部Aの両側縁6a,6aと背側部Bの両側縁部6b,6bとを互いに重ね合わせた重合部7,7を融着して、一対のサイドシール部8,8を形成することにより、図1に示す、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOを有するパンツ型の形態に形成されている。
【0015】
外包材6は、吸収性本体5の周縁部の外方全域に亘って延出しており、おむつの外面をなす外層シート61と、外層シート61の内面側に配されている内層シート62と、外層シート61及び内層シート62が、それぞれ吸収性本体5より長手方向(Y方向)の端部より外方部分において内層シート62側に折り返されて生じた折り返し部61a,61b及び62a,62bを有している。
【0016】
おむつ1においては、外包材6は、図2に示すように、その両側縁が、長手方向(Y方向)中央部において、それぞれ内方に向かって凸の円弧状に湾曲しており、長手方向中央部が括れた形状を有している。また、外包材6は、図1〜図3に示すように、おむつの外面をなす外層シート61と、外層シート61の内面側に配されている内層シート62と、両シート61,62間に配設固定された、複数本のウエスト弾性部材63、複数本のレッグ弾性部材64及び複数本の胴回り部弾性部材65とから形成されている。
【0017】
複数本のウエスト弾性部材63は、腹側部A及び背側部Bそれぞれのウエスト開口部WOの周縁部に設けられている。各胴回り部弾性部材63は、伸長状態で、おむつ1の幅方向に沿って配設固定されている。おむつ1の幅方向は、着用時における着用者のウエスト周りないし胴回りの周方向と同方向である。以下、おむつ1の幅方向(おむつ1を図2に示すように展開して伸長した状態において、前記中心線CLと垂直な方向)を「X方向」ともいう。
複数本のレッグ弾性部材64は、図2に示すように、レッグ開口部LOの周縁部に設けられており、各レッグ弾性部材64は、伸長状態で、レッグ開口部LOの周方向に沿って配設固定されている。
複数本の胴回り部弾性部材65は、図2に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおいて、ウエスト弾性部材63の配置部位と股下部Cの端部との間に配されている。胴回り部弾性部材65は、前記中心線CLの左右両側に分割された状態で、それぞれおむつ1の幅方向に沿って配設固定されている。
【0018】
おむつ1における外層シート61を構成するシート材は、腹側部A及び背側部Bにおいて、図2,図3(a)、図3(b)に示すように、外層シート61と内層シート62とによってウエスト弾性部材63を挟持固定した部位よりも更に長手方向(Y方向)外方に延出する長さを有し、その延出した部分が、ウエスト開口部WOの周縁端Weにおいて、内層シート62側に折り返されて折り返し部61a,61bを形成している。
折り返し部61aは、図3(a)に示すように、その長手方向(Y方向)の端縁61a1が、吸収性本体5の長手方向(Y方向)の腹側部A側の端縁よりも股下部C寄りの位置まで延びている。同様に折り返し部61bも、図3(b)に示すように、その長手方向(Y方向)の端縁61b1が、吸収性本体5の長手方向(Y方向)の背側部B側の端縁よりも股下部C寄りの位置まで延びている。
【0019】
おむつ1における内層シート62を構成するシート材は、腹側部A及び背側部Bにおいて、図2,図3(a)、図3(b)に示すように、外層シート61と内層シート62とによってウエスト弾性部材63を挟持固定した部位よりも更に長手方向(Y方向)外方に延出する長さを有し、その延出した部分が、ウエスト開口部WOの周縁端Weにおいて、外層シート61と一体的に、内層シート62側に折り返されて折り返し部62a,62bを形成している。
折り返し部62aは、図3(a)に示すように、その長手方向(Y方向)の端縁62a1が、ウエスト開口部WOの周縁端Weと、吸収性本体5の腹側部A側の端縁との間の中央部付近まで延びている。同様に折り返し部62bも、図3(b)に示すように、その長手方向(Y方向)の端縁62b1が、ウエスト開口部WOの周縁端Weと、吸収性本体5の背側部B側の端縁との間の中央部付近まで延びている。
このように、折り返し部62a,62bの長手方向(Y方向)の長さは、折り返し部61a,61bの長手方向(Y方向)の長さよりも短く形成されている。
【0020】
腹側部A及び背側部Bそれぞれの幅方向の中央部においては、図2に示すように、内層シート62と、外層シート61の折り返し部61aとの間に、吸収性本体5の長手方向(Y方向)の端部が挟持固定されている。また、腹側部A及び背側部Bそれぞれの幅方向の全幅に亘って折り返し部62a,62bの長手方向(Y方向)の長さは同じ(実質的に同じ)である。
【0021】
おむつ1においては、図3(a)に示すように、腹側部Aの側縁部6aは、長手方向(Y方向)に、外層シート61、内層シート62、折り返し部61a及び折り返し部62aが積層されたシートの積層枚数が4枚の領域6a1と、外層シート61、内層シート62及び折り返し部61aが積層されたシートの積層枚数が3枚の領域6a2と、外層シート61及び内層シート62が積層されたシートの積層枚数が2枚の領域6a3とを有している。腹側部Bの側縁部6bも同様であり、図3(b)に示すように、長手方向(Y方向)に、外層シート61、内層シート62、折り返し部61b及び折り返し部62bが積層されたシートの積層枚数が4枚の領域6b1と、外層シート61、内層シート62及び折り返し部61bが積層されたシートの積層枚数が3枚の領域6b2と、外層シート61及び内層シート62が積層されたシートの積層枚数が2枚の領域6b3とを有している。
【0022】
そして、側縁部6aと側縁部6bとを重ね合わせた重合部7は、領域6a1と領域6b1とを重ね合わせたシートの積層枚数が8枚の領域71と、領域6a2と領域6b2とを重ね合わせたシートの積層枚数が6枚の領域72と、領域6a3と領域6b3とを重ね合わせたシートの積層枚数が4枚の領域73を有している。
おむつ1のサイドシール部8は、このような構成を有する重合部7を融着することにより形成されている。
【0023】
重合部7の融着は、何れも凸部を有する2つのシールロール間で、該重合部7を加圧することにより行われる。
おむつ1におけるサイドシール部8は、腹側部A側の面に、図4(a)に示す腹側シールパターン8aを有し、腹側部B側の面に、図4(c)に示す背側シールパターン8bを有している。図4(a)と図4(c)との対比から明らかなように、腹側シールパターン8aと背側シールパターン8bとは異なっている。
【0024】
腹側シールパターン8aは、図4(a)及び図5に示すように、サイドシール部8の幅方向(X方向)に延びる多数の横長凹部83,84からなる。多数の横長凹部81’は、サイドシール部8の長手方向(Y方向)に間欠的に多数形成されている。
他方、背側シールパターン8bは、図4(c)及び図5に示すように、サイドシール部8の長手方向(Y方向)に延びる2本の縦長凹部85からなる。2本の縦長凹部85は、幅方向(X方向)に相互に離間して配置されていると共に、何れもサイドシール部8の幅方向の両端部、特に肌側端部8eから離間して配置されている。
ここで、サイドシール部の肌側端部8eとは、サイドシール部8の幅方向(おむつ1においては該おむつ1の幅方向と同じ,X方向)における該サイドシール部8の両端部のうち、着用時に着用者の肌に近い側に位置する端部である。より具体的に言えば、サイドシール部8のX方向の両端部のうち、前記中心線CLに近い方の端部である。
【0025】
また、おむつ1における腹側シールパターン8aは、図4(a)に示すように、サイドシール部8のウエスト開口部側の端部領域81におけるシールパターンが、該サイドシール部8のそれより下方に位置する他の領域82とは異なっている。端部領域81におけるシールパターンが、サイドシール部8の他の領域82とは異なっているという表現には、端部領域81における横長凹部83,84の配置ピッチや長手方向の長さが他の領域82とは異なる場合の他、該他の領域82には、横長凹部84が形成されている一方、端部領域81には、腹側部A側からの加圧により形成された凹部が一つも形成されていない場合も含まれる。
【0026】
他方、おむつ1における背側シールパターン8bは、図4(c)に示すように、ウエスト開口部WO側の端部領域81におけるシールパターンと、該サイドシール部8の他の領域82におけるシールパターンが同じである。より具体的には、2本の縦長凹部85が、端部領域81から他の領域82に亘って連続して形成されている。
【0027】
サイドシール部8の融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等が用いることができるが、おむつ1においては、サイドシール部8の形成に、図6に示す、一対の超音波エンボスロール(シールロール)80a,80bが用いられている。
図6に示すように、エンボスロール80aの周面に設けられたブロックの先端部には、2本の凸部80a’が、それぞれロールの軸長方向に延びて形成されている。個々の凸部80a’の先端部には、前述した横長凹部83,84に対応する形状の小凸部83’,84’〔図4(b)参照〕が、図4(a)に示す腹側シールパターン8aに対応するパターンで多数形成されている。小凸部83’,84’は、それぞれ、ロールの周方向に延びている。エンボスロール80a,80bそれぞれの軸長方向は、サイドシール部8の長手方向〔図4(a),図4(c)及び図4(d)それぞれの上下方向)に対応している。
【0028】
エンボスロール80bの周面に設けられたブロックの先端部にも、2本の凸部80b’が、それぞれロールの軸長方向に延びて形成されている。個々の凸部80b’の先端部には、前述した縦長凹部85に対応する形状の小凸部85’〔図4(d)参照〕が、図4(c)に示す背側シールパターン8bに対応するパターンで、ロールの周方向に間隔を開けて2条形成されている。
なお、エンボスロール80aの2本の凸部80a’と、エンボスロール80bの2本の凸部80b’は、帯状のおむつ1の連続体における相隣接する2つのおむつの側縁部を同時にエンボス加工するものであり、2つのおむつの相近接する側縁部にサイドシール部が形成された後に、おむつの連続体は、その2つのサイドシール部間で切断されて個々のおむつに分離される。
【0029】
おむつの連続体における、腹側部の側縁部6aと背側部の側縁部6bとを重ね合わせた重合部7に対応する部分を、両エンボスロール80a,80b間で加圧すると、エンボスロール80aの小凸部83’,84’によって加圧された部分は、前述した横長凹部83及び84となると共に、サイドシール部8には、実質的に腹側部A側の面側からのみ加圧されて側縁部6aと側縁部6bとの間が弱く接合された弱接合部91が形成される〔図4(e)及び図5参照〕。
また、エンボスロール80bの小凸部85’によって加圧された部分は、前述した縦長凹部85となると共に、サイドシール部8には、実質的に背側部B側の面側からのみ加圧されて側縁部6aと側縁部6bとの間が弱く接合された弱接合部92が形成される〔図4(e)及び図5参照〕。
他方、エンボスロール80aの小凸部83’又は84’と、エンボスロール80bの小凸部85’によって、腹側部A側の面及び背側部B側の面の両面側から加圧された部分は、側縁部6aと側縁部6bとの間が強く接合された強接合部93となる。強接合部93は、通常、エンボス処理により、シートの樹脂成分が溶融固化してフィルム化している。他方、弱接合部91,92は、弱い融着や、繊維同士の絡み合い等により弱く接合していることが好ましい。
なお、腹側部A側の面及び背側部B側の面の両面側から加圧された部分(強接合部93)は、腹側シールパターンの一部を構成すると同時に、腹側シールパターンの一部を構成するものとする。なお、重合部7における、小凸部83〜85の何れによっても加圧されない部分は、実質的に接合されていないか、弱接合部より弱く接合されている。
【0030】
本実施形態のおむつ1においては、サイドシール部8における腹側シールパターン8aと腹側シールパターン8bとを異ならせてあるため、両シールパターンの重なり部に生じる強接合部93が、サイドシール部8の面方向に分散した状態に生じる。そのため、サイドシール部8が意図せずに剥離しないような接合強度を強接合部93で確保しつつ、サイドシール部8の全体が硬くなることを防止することができる。
しかも、本実施形態のおむつ1においては、腹側シールパターン8aにおけるウエスト開口部側の端部領域81におけるシールパターンを、該サイドシール部8の他の領域82とは異ならせてあるため、おむつ1を履いたり履かせる際、あるいは着用中に、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方(肌に対して垂直な方向)から押圧するような力が加わったときでも、サイドシール部の融着部(特に強接合部93)が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激したりすることが効果的に防止される。
【0031】
また、本実施形態のおむつ1においては、ウエスト開口部WO側の端部領域81に形成される横長凹部83のピッチP1を、他の領域82に形成される横長凹部84のピッチP2よりも大きくしてあり、それによって、端部領域81における融着強度を、他の領域82における融着強度よりも低くしてある。
【0032】
サイドシール部8の融着強度は、高い程、着用者の肌に硬さを感じさせ易くなる傾向がある。
ウエスト開口部WO側の端部に位置する端部領域81における融着強度を、それより下方に位置する領域82における融着強度よりも低くすることにより、おむつ1を履いたり履かせる際、あるいは着用中に、サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激したりすることが一層効果的に防止される。
【0033】
ウエスト開口部側の端部領域81における融着強度は、0.3〜3N/5mm、特に0.3〜4.0N/5mmであることが好ましく、それより下方に位置する他の領域82の融着強度は2〜6N/5mm、特に2.5〜5.0N/5mmであることが好ましい。端部領域81の融着強度と他の領域82の融着強度との比(前者/後者)は、0.2〜0.9、、特に0.3〜0.6であることが好ましい。
【0034】
<融着強度の測定方法>
おむつ1からサイドシール部8をおむつ1の長手方向(Y方向)に沿って切り取る。この切り取りの際には、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける、サイドシール部8より中心線CL側に位置する部分が30mm程度含まれるようにする。
次に、切り取ったサイドシール部8を、端部領域81及び他の領域82の部分で幅方向(X方向)にカットし、長手方向(Y方向)のシール部8の長さがそれぞれ5mmの、シール領域81のサンプル及びシール領域82のサンプルを得る。
各領域のシール強度を引張試験機〔商品名 オートグラフAGS50A (株)島津製作所製〕にて測定する。この測定の際には、各サンプルにおける、サイドシール部8より中心線CL側に位置していた腹側部に由来する部分と背側部に由来する部分とを、それぞれチャックに挟んで、180度反対方向に引っ張る(T字剥離)。
その際、引張速度(チャック間距離の拡大速度)300mm/minで測定を行い、最大強度を求める。測定はn=5回行い、その平均値にてその領域の融着強度とする。尚、各領域のシール部の長さが5mm取れない場合には、5mmに近い最大の幅にて測定を行い、5mmの幅に換算することにより融着強度を求める。サンプルのサイドシール部8を剥離させる際の剥離の進行方向は、サイドシール部8の幅方向と同方向(X方向)である。
【0035】
また、おむつ1においては、腹側シールパターン8aと背側シールパターン8bとの重なり部をサイドシール部8の肌側端部8eに存在させないことによって、上述した強接合部93が肌側端部8eに存在しないようにしてある。そのため、サイドシール部8の硬くなった強接合部93が着用者の肌に触れることを効果的に防止することができる。そのため、装着の際や装着中に、サイドシール部が着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者の肌へ悪影響を与えることを一層効果的に防止することができる。
【0036】
おむつ1における腹側シールパターン8aにおいては、端部領域81における横長凹部83は、サイドシール部8の長手方向(X方向)の長さd(以下、長さdという)が一定であり、それらの横長凹部83が、同長手方向(Y方向)に一定のピッチP1で配置されている。他の領域82における横長凹部84も、サイドシール部8の長手方向(X方向)の長さdが一定であり、それらの横長凹部84が、同長手方向(Y方向)に一定のピッチP2で配置されている。
【0037】
横長凹部83,84の長さdは、0.3〜3.5mm、特に0.5〜3.0mmであることが好ましい。横長凹部83の長さdと横長凹部84の長さdの比(前者/後者)は、0.2〜0.8、特に0.3〜0.5であることが好ましい。
横長凹部83の配置ピッチP1は、0.5〜3.0mm、特に1.0〜2.5mmであることが好ましく、横長凹部84の配置ピッチP2は、1.0〜5.0mm、特に2.0〜4.0mmであることが好ましい。配置ピッチP1と配置ピッチP2との比(P1/P2)は、0.1〜3.0、特に0.5〜2.0であることが好ましい。
また、腹側シールパターン8bの縦長凹部85は、サイドシール部の幅方向の両端(横長凹部83,84のX方向の両端に同じ)からの離間距離が、1.0mm以上、特に2.0〜5.0mmであることが好ましい。
【0038】
また、腹側シールパターン8aにおける、前記他の領域82とはシールパターンが異なる領域(端部領域81に位置する部分)は、サイドシール部8のウエスト開口部WO側の端部に、柔軟な領域を形成して、ウエスト開口部の周縁部を上方から、もしくは側方(肌に対して垂直な方向)から押圧するような力が加わった際に、強接合部が、着用者に違和感を与えたり、着用者や介護者等の肌を刺激することを防止する観点から、サイドシール部8の長手方向に沿う方向(Y方向)の長さL1が、3〜30mmであることが好ましく、より好ましくは5〜25mm、更に好ましくは10〜20mmである。
【0039】
また、腹側シールパターン8aにおける、前記他の領域82とはシールパターンが異なる領域(端部領域81に位置する部分)は、領域6a1と領域6b1とを重ね合わせたシートの積層枚数が最大の領域71に形成されている。
一般的に重合部7を形成する部材数が多くなると、融着樹脂量がそれに伴い増加するため、その部分を強固に融着して熱による樹脂化がなされると、その部分における硬さが増大する。
本実施形態のおむつ1においては、シートの積層枚数が最大の部分のサイドシール部8における、腹側シールパターン8aのシールパターンを、それより下方に位置する部分のシールパターンとは異ならせてシールしてあるため、シートの積層枚数が多いことによるウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好にしつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。
【0040】
シートの積層枚数が最大の部分71は、ウエスト開口部WO側の端縁Weから下端(62a1,62b1の位置)までの距離L1’が、3〜30mmであることが好ましく、より好ましくは5〜25mm、更に好ましくは10〜20mmである。
着用時において、特に乳幼児のウエスト端部領域に相当する部位は、おむつが当接される他の部位と比較して周長が大きく、また立ち/座りといった動作および食事の前後でその周長の変化も大きいため、おむつ自体の柔らかさの影響を最も受けやすい領域であり、その領域が柔らかいことがとても重要である。また、ウエスト端部領域は介護者(母親等)がおむつをはかせる際、手を入れて広げる部位でもあるため、その領域が柔らかいことは、着用者のみならず、介護者の肌への影響(触感)をも向上できるといった利点を有する。

更に、端部領域においてはその良好な風合い、クッション性の観点から極力接着剤を使用しないことが望ましく、その領域に存在する接着剤の量は0〜10g/m2であることが好ましい。接着剤を用いない方法としては、外層シート、内層シートを弾性体の存在しない部位においてヒートシール、超音波シール等、熱によって部分的に融着させること等が挙げられる。
【0041】
吸収性本体5は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及び両シート2、3間に介在された液保持性の吸収体4を有しており、実質的に縦長である。吸収性本体5は、図2に示すように、外包材6の背側部Bから腹側部Aに亘って配設されており、吸収性本体5の長手方向(Y方向)両端部は、外包材6の長手方向(Y方向)両端部よりも長手方向(Y方向)内方に後退した位置にある。吸収性本体5は、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材6の内層シート62に接合されている。
【0042】
吸収性本体5の長手方向(Y方向)両側部には、図2に示すように、液抵抗性又は撥水性の素材で且つ通気性の素材から構成された側方カフス51,51が設けられている。各側方カフス51の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材52が長手方向(Y方向)に伸長した状態で配設固定されている。側方カフス51は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体5の幅方向(X方向)への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス51形成用シートは、吸収性本体5の幅方向(X方向)外方側の所定幅の部分が、非肌当接面側に巻き込まれて、固定されている。
【0043】
上述したおむつ1の形成材料について説明する。
重合部7を構成するシート状の部材の融着成分は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステル等の汎用の樹脂からなることがコスト的にも好ましいが、重合部7を構成する部材の融着成分同士が同系列の成分であることが好ましい。おむつ1においては、重合部7を構成する部材は、外層シート61(折り返し部61aを含む)及び内層シート62(折り返し部62aを含む)である。従って、外層シート61及び内層シート62が、互いに同系列の成分であることが好ましい。外層シート61及び内層シート62を構成する融着成分がポリプロピレンの同系列の成分であるとは、例えば、ポリプロピレン単体のホモPP繊維のみから形成された不織布シート、少量のエチレン等がプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれたランダムPP繊維のみから形成された不織布シート、ホモPP樹脂又はランダムPP樹脂を50%以上含むが、ホモPP樹脂又はランダムPP樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等)を混合した芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維から形成された不織布シート、ホモPP繊維又はランダムPP繊維を50%以上含むが、ホモPP繊維又はランダムPP繊維以外の繊維(例えばレーヨン繊維、コットン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維等)を混綿した繊維から形成された不織布シート等が挙げられる。
【0044】
外層シート61及び内層シート62を構成する融着成分がポリエチレン又はポリエステルと同系列の成分であるとは、ポリプロピレンの同系列の成分と同様に解することができる。特に、ポリエチレンと同系列の成分であるとは、芯部がポリエステル樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維、芯部がポリプロピレン樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を混綿した繊維から形成された不織布シート等が好ましい。また、特に、ポリエステルと同系列の成分であるとは、芯部がポリエステル樹脂で鞘部が低融点ポリエステル樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を混綿した繊維から形成された不織布シート等が好ましい。重合部7を構成する部材の融着成分が、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルと同系列の成分であると、融着成分の相溶性が良く、融着強度が良好であるため、より低温で融着することができる。従って、高温でエンボス処理をする必要がないため、エンボス処理された部分以外の部分が硬化することがなく、サイドシール部全体が柔らかくなり、肌触りが向上する。
【0045】
おむつ1においては、外層シート61(折り返し部61aを含む)及び内層シート62(折り返し部62aを含む)は、その総てが不織布であることが、柔らかさ、およびコストの観点から好ましい。
また、サイドシール8の端部領域81を構成するシートの合計坪量、即ち、おむつ1においては、外層シート61及びその折り返し部61aの合計坪量(外層シート61の坪量×2)と、内層シート62及びその折り返し部62aの合計坪量(内層シート62の坪量×2)との合計は、クッション性ないし感触の向上の観点から120g/m2以上であること、特に130g/m2以上であることが好ましい。前記合計坪量の上限値は、特に制限されないが、コストの観点からは、200g/m2以下、特に180g/m2以下であることが好ましい。
【0046】
<坪量の測定方法>
内層シート62、外層シート61を各30mm×30mmの大きさに裁断し、一つのおむつから合計面積が各900mm2の測定片を採取し、この測定片の重量を最小表示1mgの電子天秤を用いて測定し坪量に換算することで求める。坪量の値は、n=5のおむつより測定片を採取した平均値である。尚、内層シート62及び外層シート61の各測定片は、サイドシール部8以外の部分から採取する。30mm×30mmの大きさの測定片をとることが出来ない場合は、なるべく大きな面積になるようサンプリングを行い、その面積から坪量を換算する。内層シートおよび外層シートがホットメルト等の接着剤にて接合されている場合はクロロホルム等の有機溶媒にて接着剤を洗い流した後、十分に乾燥を行い、重量の測定を行うこととする。
【0047】
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、側方カフス51形成用シートとしては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。側方カフス51形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【0048】
側方カフス形成用の弾性部材52、ウエスト弾性部材63、レッグ弾性部材64、胴回り部弾性部材65としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態であるおむつ1について主として説明したが、本発明のパンツ型吸収性物品は、上述のおむつ1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0050】
例えば、上述したおむつ1においては、腹側部A側の面に形成される腹側シールパターンが、図4(a)に示す横長凹部からなるシールパターンであり、背側部B側の面に形成される背側シールパターンが、図4(c)に示す縦長凹部からなるシールパターンであったが、背側部B側の面に形成される背側シールパターンを、図4(a)に示すパターンとし、腹側部A側の面に形成される腹側シールパターンを、図4(c)に示すパターンとしても同様の効果が得られる。
【0051】
また、腹側シールパターン及び背側シールパターンの一方を、図7(a)に示す横長凹部83,84からなるシールパターンとし、腹側シールパターン及び背側シールパターンの他方を、図7(b)に示す溝状傾斜凹部86からなるシールパターンとすることもできる。これらのシールパターンの組み合わせによれば、図7(c)に示すサイドシール部8が形成されるが、該サイドシール部8においても、強接合部93がサイドシール部の面方向に分散していると共に、ウエスト開口部側の端部領域81における強接合部93の個数や面積が他の領域82より少なく、端部領域81の融着強度が他の領域82の融着強度よりも低い。図7(c)に示すサイドシール部によっても、ウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好に維持しつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。
【0052】
また、腹側シールパターン及び背側シールパターンの一方を、図8(a)に示す溝状傾斜凹部87からなるシールパターンとし、腹側シールパターン及び背側シールパターンの他方を、図8(b)に示す溝状傾斜凹部88からなるシールパターンとすることもできる。これらのシールパターンの組み合わせによれば、図8(c)に示すサイドシール部8が形成されるが、該サイドシール部8においても、強接合部93がサイドシール部の面方向に分散していると共に、ウエスト開口部側の端部領域81における強接合部93の個数や面積が他の領域82より少なく、端部領域81の融着強度が他の領域82の融着強度よりも低い。図8(c)に示すサイドシール部によっても、ウエスト開口部の周縁部のクッション性や感触を良好に維持しつつ、サイドシール部による違和感や肌への刺激を効果的に防止することができる。
【0053】
なお、図8(a)に示すように、ウエスト開口部側の端部領域81に形成する溝状傾斜凹部や横長凹部の幅W1と、他の領域82に形成する溝状傾斜凹部や横長凹部の幅W2を異ならせる場合、幅W1と幅W2との比(W1/W2)は、例えば、0.2〜0.8とすることができ、0.3〜0.5とすることが好ましい。また、図7(b)、図8(a)及び図8(b)中の幅W1は、それぞれ、上述したおむつ1の横長凹部83の前記長さdの好ましい寸法と同様の寸法とすることが好ましい。
【0054】
また、上述したおむつ1においては、腹側部A及び背側部Bそれぞれのウエスト開口部WOの周縁端Weにおいて、外層シート61及び内層シート62の両者が折り返されていたが、外層シート61及び内層シート62の何れか一方のみが折り返されていても良い。
また、端部領域81の下方に、端部領域81とはシールパターンが異なる一つの領域82を設けるのに代えて、端部領域81の下方に、端部領域81とはシールパターンが異なる2以上の領域82を設けても良い。この場合においても、端部領域81の融着強度を最大とする。
また、上述したおむつ1においては、図2及び図3に示すように、外層シート61及び内層シート62は、腹側部Aと背側部Bとにおいて対称的に折り返して折り返し部61a,61b又は62a,62bを形成しているが、腹側部A及び背側部Bにおいて、折り返すシートが異なっていても良く、折り返し部の長さが異なっていても良い。
【0055】
本発明のパンツ型吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型(ショーツ型も含む)の生理用ナプキン等の他のパンツ型吸収性物品であっても良い。
【0056】
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
51 側方カフス
52 側方カフス形成用の弾性部材
6 外包材
6a 腹側部の側縁部
6b 背側部の側縁部
61 外層シート
61a,61b 折り返し部
611,61b1 端縁
62 内層シート
62a,62b 折り返し部
62a1,62b1 端縁
63 ウエスト弾性部材
64 レッグ弾性部材
65 胴回り部弾性部材
7 重合部
71 ウエスト端部領域
72,73 ウエスト端部領域より下方の領域
8 サイドシール部
8a 腹側シールパターン
83,84 横長凹部
8b 背側シールパターン
85 縦長凹部
86〜88 溝状傾斜凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせた重合部を融着して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
前記サイドシール部は、腹側部側の面から押圧されて形成された腹側シールパターンと、背側部側の面から押圧されて形成された背側シールパターンとが異なり、
前記腹側又は背側シールパターンは、前記サイドシール部のウエスト開口部側の端部領域におけるシールパターンが、該サイドシール部の他の領域と異なり、
前記サイドシール部は、前記端部領域における融着強度が、前記他の領域における融着強度よりも低いパンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記腹側シールパターンと前記背側シールパターンとの重なり部が、前記サイドシール部の肌側端部に存在しない、請求項1記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記端部領域における融着強度が0.3〜3N/5mmであり、前記他のシール領域における融着強度が2〜6N/5mmである、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記腹側又は背側シールパターンにおける、前記他の領域とはシールパターンが異なる領域は、前記サイドシール部の長手方向に沿う方向の長さが3〜30mmである、請求項1〜3の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記腹側又は背側シールパターンにおける、前記他の領域とはシールパターンが異なる領域は、前記重合部の中で最もシートの積層枚数が多い部分に形成されている、請求項1〜4の何れかに記載のパンツ型吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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