説明

パンツ型吸収性物品

【課題】サイドシール部を引き裂く際に横方向の破断位置がばらつかず、サイドシール部を容易に縦方向に引き裂くことができるパンツ型吸収性物品を提供すること。
【解決手段】パンツ型使い捨ておむつ1は、腹側部A及び背側部Bを有し、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部Sを有している。サイドシール部Sは、おむつ1の長手方向に間欠的に形成された複数のシールパターン5を有している。複数のシールパターン5それぞれは、おむつ長手方向に延びる一辺51を有しており、隣接するシールパターン5の前記一辺51同士を最短距離で結んだ線分P’,P’どうしを結ぶと一本の直線Pを形成する。シールパターン5は、直線Pの左右両側に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンツ型使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品におけるサイドシール部の接合パターンについて、様々な形状のものが知られている。
例えば、特許文献1の使い捨てパンツのサイドシール部は、基本接合部と追加接合部とで構成され、基本接合部は、上下方向に所定間隔を隔てて形成された横長直線状であり、追加接合部は、上記間隔の間の少なくとも一方の端側部分に、基本接合部と非接触な状態で付加されている。また、特許文献2のおむつのサイドシール部は、腰周り弾性部材と脚周り弾性部材との間に、おむつ横方向に向かってほぼ円弧をなした溶着部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3069885号公報
【特許文献2】実開平10−80号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、パンツ型使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品は、廃棄する目的で脱がす際に、サイドシール部を縦方向(おむつ長手方向)に引き裂く。その際、サイドシール部を構成するシートが破断する横方向(おむつ幅方向)の位置がばらつくと、シートの裂け目が横方向に進んで、該シートの裂け目が、サイドシール部よりもおむつの内側部分に及んだり、おむつの側縁に達する場合がある。
このような横裂けが生じると、サイドシール部をおむつ縦方向にスムーズに引き裂くことが難しくなり、例えば、使用者は、再び縦方向にサイドシール部を引き裂くように力を入れ直さなければならず、サイドシール部を破断するのに手間が掛かってしまう。
特許文献1の図3(a)及び図3(b)には、基本接合部と追加接合部が、それぞれの一端部が略一直線上に並ぶように配された図が示されているが、それらの接合部は、幅が狭い線状であり、おむつ長手方向に延びる辺を有していない。そのため、サイドシール部を引き裂く際に、シートの破断がサイドシール部の縦方向に対して斜めに進行して、横裂けが起こる懸念がある。
また、特許文献2の円弧状の溶着部は、引き裂くときに円弧形状に沿って斜め方向へ裂けやすく、スムーズに縦方向に裂くことができない恐れがある。
【0005】
従って、本発明の課題は、サイドシール部を引き裂く際に横方向の破断位置がばらつきにくく、サイドシール部を容易に縦方向に引き裂くことができるパンツ型吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、腹側部及び背側部を有し、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、前記サイドシール部は、吸収性物品の長手方向に間欠的に形成された複数のシールパターンを有しており、前記シールパターンそれぞれは、前記長手方向に延びる一辺を有しており、隣接する前記シールパターンの前記一辺同士を最短距離で結んだ複数の線分を結ぶと一本の直線を形成し、前記シールパターンが前記直線の左右両側に存在する、パンツ型吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイドシール部を引き裂く際にシートの破断位置が横方向にばらつきにくく、サイドシール部を縦方向に容易に引き裂くことができるパンツ型吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつのサイドシール部のシールパターンを示す平面図である。
【図3】図3は、図1のI−I線断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態におけるサイドシール部を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態におけるサイドシール部を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態におけるサイドシール部を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明の第5実施形態におけるサイドシール部を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の第4実施形態におけるサイドシール部を引き裂いた様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明のパンツ型吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1に示すように、おむつ1は、腹側部A及び背側部Bを有し、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部Sを有する。また、図3に示すように、サイドシール部Sは、おむつ1の長手方向Xに間欠的に形成された複数のシールパターン5を有しており、複数のシールパターン5それぞれは、おむつ長手方向Xに延びる一辺51を有している。そして、隣接するシールパターン5の前記一辺51同士を最短距離で結んだ複数の線分P’,P’・・を結ぶと一本の直線Pを形成する。シールパターン5は、直線Pの左右両側に存在する。
【0010】
おむつ1は、図1に示すように、腹側部A、背側部B及び股下部Cを有する。腹側部Aは、着用時に着用者の腹側に配される部位であり、背側部Bは、着用時に着用者の背側に配される部位である。股下部Cは、腹側部Aと背側部Bとの間に位置して、着用時に着用者の股間部に配される。
【0011】
また、おむつ長手方向Xは、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向であり、おむつ幅方向Yは、おむつ長手方向Xと交差する方向である。なお、おむつ長手方向Xは、腹側部A及び背側部Bにおいて着用時の上下方向であるため、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるウエスト開口縁部We側を上側、股下部C側を下側ともいう。
【0012】
図1に示すように、おむつ1は、外装体2と、外装体2の肌面側に固定された吸収性本体3とを有している。腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とは合掌状に接合されており、その接合によって、おむつ1に、一対のサイドシール部S,Sが形成されている。より具体的には、外装体2は、腹側部Aにおける両側縁部と背側部Bにおける両側縁部とが合掌状に接合されており、それによって、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。
サイドシール部S,Sは、おむつ長手方向Xに延びており、ウエスト開口部WOの周縁部Weからレッグ開口部LOの周縁部Leに亘っている。
【0013】
おむつ1のサイドシール部Sは、図2に示すように、複数のシールパターン5を有しており、該シールパターン5は、おむつ長手方向Xに間隔を置いて配されている。本実施形態において、シールパターン5は、サイドシール部Sの長手方向Xの略全長に亘って等間隔に配されている。
また、シールパターン5は、腹側部Aと背側部Bの側縁部どうしを重ねて熱融着させる際に、加熱された凸部に加圧されて形成されており、該凸部に対応する形状の凹部として、おむつ1の外観に現れている。第1実施形態においては、図2に示す形態のシールパターン5が、腹側部A及び背側部Bの両方に現れている。サイドシール部Sは、シールパターン5を生じさせる加工によって、重ね合わせた背側部B及び腹側部Aの側縁部の所定幅の領域が接合されて形成されている。
本実施形態のおむつ1において、背側部Bから見たシールパターン5の平面視形状及び配置は、腹側部Aから見たシールパターン5の平面視形状及び配置と左右対称になっている。
【0014】
複数のシールパターン5それぞれは、図2に示すように、おむつ長手方向Xに延びる一辺51を有している。
そして、長手方向Xに隣接するシールパターン5の辺51同士を最短距離で結んだ線分P’,P’・どうしを結ぶと一本の直線Pを形成する。直線Pは、おむつ1の長手方向Xに一直線状に延びており、複数のシールパターンそれぞれの辺51は直線P上に位置している。
サイドシール部に形成されている複数のシールパターン5は、長手方向Xに隣接するシールパターン5どうしを最短距離で結ぶ線分も前記直線P上に位置することが好ましい。
【0015】
また、図2に示すように、シールパターン5は、直線Pの左右両側に存在している。即ち、直線Pに対しておむつ幅方向内側に位置するシールパターン5nと、直線Pに対しておむつ幅方向外側に位置するシールパターン5mとを有している。本実施形態においては、内側のシールパターン5nと外側のシールパターン5mとが、おむつ1の長手方向Xに交互に配されている。
【0016】
図2に示すように、おむつ1におけるシールパターン5は、直線Pと平行な方向の幅La’(図2参照)が、直線Pから離れるにつれて減少している。即ち、直線Pに対しておむつ幅方向内側に位置するシールパターン5nは、直線Pと平行な方向の幅La’(図2参照)が、該直線Pからおむつ幅方向の内方に向かって漸減しており、直線Pに対しておむつ幅方向外側に位置するシールパターン5mは、直線Pと平行な方向の幅が、該直線Pからおむつ幅方向の外方に向かって漸減している。
図2に示すように、おむつ1におけるシールパターン5は、略二等辺三角形の平面視形状をしている。
【0017】
おむつ1におけるサイドシール部Sの積層構造について図3に基づき説明する。図3には、サイドシール部Sの近傍における腹側部A及び背側部Bそれぞれのシートの積層構造が示されているが、サイドシール部Sにおける腹側部A及び背側部Bそれぞれのシートの積層構造も、図3に示す積層構造と同じである。
図3に示すように、外装体2は、おむつ1の外表面を形成する外層シート22と、外層シート22に隣接させて外層シート22の肌面側に配された内層シート23と、内層シート23及び外層シート22の肌面側に配された補助シート25a,25bとを有している。外層シート22及び内層シート23は、それぞれ股下部Cを通って腹側部Aから背側部Bに亘るように配されている。補助シート25a,25bは、腹側部A及び背側部Bにそれぞれ1枚ずつ配されており、いずれも吸収性本体3の長手方向の端部の肌面側及び該端部の上方及び側方を覆っている。
【0018】
第1実施形態においては、腹側部A及び背側部Bの側縁部は、図3に示すように、それぞれ外層シート22、内層シート23及び補助シート25a(又は25b)が積層された積層シート20a(又は20b)から構成されており、サイドシール部Sは、腹側部Aを構成する積層シート20aと背側部Bを構成する積層シート20bとを熱融着することにより形成されている。
【0019】
おむつ1の形成材料について説明する。
腹側部A及び背側部Bを構成する外層シート22、内層シート23、補助シート25a,25bは、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のシート材を特に制限なく用いることができるが、不織布を用いることが好ましく、不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等が好ましい。また、外層シート22,内層シート23,補助シート25a,25bとして、不織布とフィルムとを一体化したシート等を用いることもできる。
また、サイドシール部Sを構成する外層シート22、内層シート23、及び2枚の補助シート25a,25bのうち、少なくとも一枚のシートは、ポリプロピレン単繊維のみから形成された不織布であることが好ましい。
【0020】
第1実施形態のおむつ1は、通常のパンツ型使い捨ておむつと同様に着用することができる。そして、使用後におむつ1を脱ぐため(又は脱がせるため)に、サイドシール部Sを引き裂くと、サイドシール部Sを構成するシートの破断が、サイドシール部の縦方向(おむつ1の長手方向)に進行し、その際、サイドシール部の破断位置が直線P付近に集中して、破断位置のばらつきが生じにくい。そのため、シートの横裂けが起こりにくく、サイドシール部Sをスムーズに縦方向に引き裂くことができる。
【0021】
例えば、図8は、後述する第4実施形態におけるサイドシール部を引き裂いた後の状態を示す写真であるが、本発明におけるサイドシール部は、図8のように、シートMの破断位置が直線Pに集中し易く、直線Pに沿って引き裂け易い。図8に示す例では、サイドシール部Sにおいて、腹側部Aを構成するシートMが、直線P上で引き裂かれている。なお、シートMには、直線Pよりもおむつの内側で破断する部分も存在するが、直線Pよりもおむつの外側の位置では裂けが起きていない。また横方向へ延びる裂けがない。
【0022】
また、おむつ1においては、サイドシール部Sを構成する外層シート22、内層シート23及び補助シート25a,25bの何れもが、ポリプロピレン単繊維からなる不織布から構成されている。ポリプロピレン単繊維からなる不織布は、不織布の界面の剥離ではなく、不織布の破断がおきやすい。そのため、サイドシール部Sが縦方向に更に裂け易く、サイドシール部Sの横方向Yの破断位置が更にばらつきにくくなる。なお、サイドシール部Sを構成するシート(本実施形態では外層シート22、内層シート23及び補助シート25a,25b)のうちの少なくとも一枚のシートがポリプロピレン単繊維からなる不織布である場合も、同様の効果が奏される。但し、サイドシール部に位置する、腹側部A又は背側部Bの総てのシートがポリプロピレン単繊維からなる不織布であることが好ましく、サイドシール部に位置する腹側部A及び背側部Bの総てのシートが、ポリプロピレン単繊維からなる不織布であることが好ましい。ポリプロピレン単繊維からなる不織布は、ポリプロピレン単繊維100%からなるスパンボンド不織布であることがより好ましい。
【0023】
また、直線Pに対しておむつ幅方向内側に位置するシールパターン5nは、前述したように、直線Pと平行な方向の幅La’が、直線Pからおむつ幅方向内方に向かって漸減しているため、サイドシール部Sの引き裂き時に、直線P上に引き裂く力が更に集中しやすく、破断位置のばらつきが一層起こりにくくなる。
【0024】
また、おむつ1におけるシールパターン5は、辺51の長さLa(図2参照)が、直線Pと直交する方向の最長の長さLz(図2参照)よりも大きい。そのため、サイドシール部Sは、シールパターン5の縦長な形状に沿って、更にスムーズに縦方向に裂けやすくなる。
このような観点から、シールパターンの辺51の長さLaは、前記長さLz(図2参照)に対する比(La/Lz)が、好ましくは1.1〜5であり、より好ましくは3〜5である。
【0025】
本発明においては、腹側部A側と背側部B側とで、サイドシール部Sを構成する積層シート20a,20bの強度が異なることが好ましい。第1実施形態においては、補助シート25a,25bとして使用した不織布の強度を異ならせることにより、腹側部A側と背側部B側とでサイドシール部Sを構成するシート20a,20bの強度を異ならせている。
腹側部A側と背側部B側とでサイドシール部Sを構成する積層シート20a,20b、特に最も内側に位置する補助シート25a,補助シート25bの強度が異なるため、サイドシール部Sを引き裂く際に、背側部B又は腹側部Aの強度が弱い方が安定して破断される。そのため、腹側部A側のシートと背側部B側のシートとが同時に破断したり、破断するシートが入れ替わったりすることが生じにくく、シート破断時に引っ掛かりが生じたり、シートに横裂けが生じたりすることを防止することができる。
【0026】
サイドシール部Sを構成する積層シート20a,20b、特に最も内側に位置する補助シート25a,補助シート25bは、腹側部A側のシートよりも背側部B側のシートの強度が高いことが好ましい。パンツ型の使い捨ておむつには、使用後のおむつを丸めた状態に維持する手段として廃棄テープが設けられることが多いが、斯かる廃棄テープは、一般的に背側部に設けられる。そのため、使用後のおむつを丸める際には、サイドシール部を破断したおむつを、腹側部側からある程度まで丸めた後、それまでに丸めた部分を背側部側で包むようにして丸めることが多い。そのため、サイドシール部の破断の際に、腹側部A側のシート20a,25aが優先的に破断されるようにして、破断後に、腹側のシート幅よりも背側のシート幅が広くなるようにすることが、より包み易くなることや、あしまわり部の隙間が低減され、臭いを漏らしにくくなるため、好ましい。
【0027】
シートの強度の大小は、サイドシール部Sが延びる方向と平行な方向(パンツ型吸収性物品の長手方向X)にシートを引き裂いたときの破断強度を比較することが好ましい。
【0028】
サイドシール部Sの全長L(図2参照)は50〜200mmであることが好ましく、100〜150mmであることがより好ましい。図2に示すように、サイドシール部Sの全長Lは、ウエスト開口部WOの周縁部Weとレッグ開口部LOの周縁部Leとの間の距離を、直線Pに沿って測定する。
また、サイドシール部Sの幅Wは、1〜10mmであることが好ましく、3〜5mmであることがより好ましい。図2に示すように、サイドシール部Sの幅Wは、おむつ幅方向(Y方向)における、シールパターン5n,5mが存在する部分の幅を測定する。
【0029】
また、サイドシール部Sの長手方向において、隣接するシールパターン5同士の間隔Lq(図2参照)は1〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることがより好ましい。また、隣接するシールパターン5同士の間隔Lqは、個々のシールパターン5の前記長さLaに対して10〜200%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。
また、シールパターン5は、サイドシール部Sの長手方向に5〜20個配されていることが好ましい。
【0030】
また、第1実施形態において、サイドシール部Sの上端部と、複数のシールパターンのうち最も上側のシールパターン5wとは離間していてもよく、その間隔Lwは、前記全長Lに対して10%以下であることが好ましい。また、サイドシール部の下端部と、複数のシールパターンのうち最も下側のシールパターン5rとは離間していてもよく、その間隔Lrは、前記全長Lに対して20%以下であることが好ましい。
【0031】
次に、本発明の第2〜第5実施形態のパンツ型使い捨ておむつについて図4〜図7に基づき説明する。第2〜第5実施形態については、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した使い捨ておむつ1に関する説明が適宜適用される。
【0032】
第2〜5実施形態のパンツ型使い捨ておむつは、第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおいて、サイドシール部Sにおけるシールパターン5を、図4〜図7に示すシールパターンに置き換えたものである。
第2実施形態におけるシールパターン5Aの形状を図4に示す。シールパターン5Aは、一の角が略直角となる三角形状をしている。そして、隣接する略直角三角形状のシールパターン5Aの一の側辺51aが、直線P上に位置するおむつ長手方向Xに延びる辺となっている。
【0033】
複数のシールパターン5Aは、ウエスト開口部WO側に位置するシールパターン5wが、上方に向かって横幅(直線Pと直交する方向の幅)が広くなる形状をしており、レッグ開口部LO側に位置するシールパターン5rは、下方に向かって横幅が広くなる形状をしている。このため、ウエスト開口部WO側に位置するサイドシール部Sの上端部の強度と、レッグ開口部LO側に位置するサイドシール部Sの下端部の強度を高く維持できる。
【0034】
図4に示すように、第2実施形態において、ウエスト開口部WO側に位置するシールパターン5wは、複数のシールパターン5Aのうち、最も上側のシールパターン5wであり、レッグ開口部LO側に位置するシールパターン5rは、複数のシールパターン5Aのうち、最も下側のシールパターン5rである。
図4に示すシールパターン5w、5rは略直角三角形状であるが、略直角の角を有する台形状とすることで、上方又は下方に幅広となってもよい。
【0035】
図5に第3実施形態におけるシールパターン5Bの形状を示す。図5に示す半円形状のシールパターン5Bにおいては、直径にあたる線分が、長手方向Xに延びる辺51bである。
【0036】
図6に第4実施形態におけるシールパターン5Cの形状を示し、図7に第5実施形態におけるシールパターン5Dの形状を示す。図6に示すように、シールパターン5Cは、横方向(おむつ幅方向)Yに長い矩形状をしており、各シールパターン5Cの一の短辺51c同士を最短距離で結んだ複数の線分P’,P’・・を結ぶと一直線Pを形成する。
【0037】
なお、図6に示すシールパターン5Cのように、直線Pに対して直交方向を向いている形状は、図7に示すシールパターン5Dのように、直線Pに対して斜め向きの形状よりも好ましい。換言すると、シールパターン5C,5Dにおいて辺51c,51dの長さをLaとし、直線Pの方向におけるシールパターン5C,5Dの最大長さをLbとした場合、シールパターン5CのようにLa=Lbの関係を満たすことが、シールパターン5DのようにLa<Lbとなるよりも好ましい。傾め向きの場合、シールパターン5Dのように直線Pから斜め下向きであればサイドシール部Sを上方から引き裂きやすく、逆に直線Pから傾め上向きであれば下方から引き裂きやすいが、シールパターン5Cのように直線Pに対して直交方向を向いている場合、上下両方からサイドシール部Sをスムーズに引き裂き可能となる。
また、図7に示すように、シールパターン5Dは、平行な対辺が横方向(幅方向Y)に対して下方に傾斜した台形状をしており、各台形状シールパターン5Dの斜辺51dが直線P上に位置している。
【0038】
なお、上記第1〜第5実施形態におけるシールパターン又はシールパターンとしての凹部を生じさせる融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等のエンボス加工等を用いることができる。例えばヒートエンボス加工の場合は、周面に複数の凸部を有するエンボスロールとそれに対向配置されたアンビルロールを備えたヒートシール加工装置を用いることができる。その場合、複数の凸部は、複数の凸部それぞれによって加圧された部分が、おむつ長手方向に延びる一辺を有し、隣接する該加圧された部分の該一辺同士を最短距離で結んだ複数の線分を結ぶと、一直線を形成し、該部分が該直線の左右両側に存在するように配置すればよい。
また、サイドシール部Sの長手方向Xに隣り合うシールパターン5間には、シールパターン5に比して弱く接合された弱接合部が形成されていてもよいし、非接合部となっていても良い。
【0039】
以上、本発明のパンツ型吸収性物品について好ましい実施形態を複数説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0040】
例えば、直線Pに対しておむつ1の幅方向内方に位置するシールパターン5nと、直線Pに対しておむつ1の幅方向外方に位置するシールパターン5mとは、必ずしも長手方向Xに交互に配されていなくてもよい。例えば長手方向Xにおいて、内側のシールパターン同士の間に、外側のシールパターンが2個以上配されている、もしくはその逆であってもよい。ただし、内側のシールパターンと外側のシールパターンが長手方向Xにおいて交互に配されていることにより、直線P上に確実に力が集中しやすく、直線P上でスムーズにサイドシール部Sを引き裂けるため、好ましい。また、複数のシールパターンは、長手方向Xに等間隔に配されていなくてもよい。
【0041】
また、シールパターンの形状は、図示したものに限られない。例えば、台形にしてもよいし、平行四辺形でもよい。また、多角形の一部の角に丸みを帯びさせたものであってもよい。また複数のシールパターンは、同形状でなくてもよい。例えば、複数のシールパターンのうち一部のシールパターンの大きさを他のシールパターンと異ならせてもよい。また上述したように、複数の形状のシールパターンを組み合わせてもよい。
【0042】
また、腹側部及び背側部の積層構造は、図3に示すものに限られない。例えば、おむつは補助シートや外層シートの折り返し部を有しなくてもよい。図3に示す例では、補助シート25a,25bそれぞれは、一部が外層シート22の肌面側に配されており、その他の部分が内層シート23の肌面側に配されている。しかしながら、補助シート25a,25bは、外層シート22又は内層シート23の一方の肌面側に配されていてもよい。
【0043】
また、パンツ型吸収性物品は、外装体が、着用時に着用者の腹側に配される腹側シート部材と、着用時に着用者の背側に配される背側シート部材とに分割されており、腹側シート部材と背側シート部材とが筒状に連結されていると共に吸収性本体を腹側シート部材と背側シート部材との間に架け渡して固定したものであってもよい。このような外装体分割タイプのおむつにおいては、腹側シート部材と背側シート部材とで、それぞれを構成する不織布の一枚又は複数枚の強度を容易に異ならせることができる。
また、パンツ型吸収性物品は、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型の生理用ナプキン等であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型吸収性物品)
2 外装体
20a,20b 積層シート
22 外層シート
23 内層シート
25a,25b 補助シート
3 吸収性本体
5,5A,5B,5C,5D シールパターン
51,51a,51b,51c,51d シールパターンの一辺
S サイドシール部
P 直線
WO ウエスト開口部
LO レッグ開口部
La おむつ長手方向に延びるシールパターンの辺の長さ
Lz シールパターンにおける、直線と直交する方向の最長の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側部及び背側部を有し、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
前記サイドシール部は、吸収性物品の長手方向に間欠的に形成された複数のシールパターンを有しており、
前記シールパターンそれぞれは、前記長手方向に延びる一辺を有しており、
隣接する前記シールパターンの前記一辺同士を最短距離で結んだ線分どうしを結ぶと一本の直線を形成し、
前記シールパターンが前記直線の左右両側に存在する、パンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記サイドシール部を構成するシートのうち少なくとも何れか一枚が、ポリプロピレン単繊維からなる不織布である、請求項1記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記直線に対して物品幅方向内側に位置する前記シールパターンは、該直線と平行な方向の幅が、該直線から前記幅方向の内方に向かって漸減する、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記シールパターンは、前記直線上に位置する前記辺の長さが、該直線と直交する方向の最長の長さよりも長い、請求項1〜3の何れか1項記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
複数の前記シールパターンは、ウエスト開口部側に位置するシールパターンが、上方に向かって横幅が広くなる形状を有しており、レッグ開口部側に位置するシールパターンが、下方に向かって横幅が広くなる形状を有している、請求項1〜4の何れか1項記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
前記腹側部側と前記背側部側とで、前記サイドシール部を構成するシートの強度が異なる、請求項1〜5の何れか1項記載のパンツ型吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−42861(P2013−42861A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181669(P2011−181669)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】