説明

パン類の搬送案内装置

【課題】スライス食パンなどのパン類をコンベアなどで搬送する場合に、搬送されるパン類と接触しても小さい抵抗でパン類を案内することができる案内装置を提供する。
【解決手段】搬送されるパン類の搬送方向に互いに平行に伸びて設けられた複数本の突状体7を有しているパン類の搬送案内装置である。この複数個の突状部7は、案内装置を構成する板材を曲げ加工して形成されており、断面が半円形状のなだらかな面を有するものとされている。本発明によるパン類の案内装置においては、搬送されるパン類がこの案内装置に接触してもパン類は搬送方向に伸びて互いに平行に設けられている突状体7と部分的に接触するだけで、案内装置との接触によって受ける抵抗が少なく、パン類は搬送方向に伸びて設けられている突状体7により円滑に案内される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライス食パンや菓子パンなどのパン類を搬送する場合に、パン類が摺動される底板や、搬送されるパン類が所定の姿勢を保って搬送されるよう設置される側板など、搬送されるパン類がその面に沿って摺動する搬送案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スライス食パンや菓子パンなどのパン類を包装するために搬送コンベアに載せて搬送することが行われるが、その場合、搬送されるパン類が搬送コンベア上で倒れたり搬送コンベアから脱落したりするのを防ぐために搬送コンベアの側部に、搬送されるパン類と接触してそれを案内する働きをする案内板などの搬送案内装置が設けられることが多い。或いは、搬送するパン類を底板の上を摺動させて推し進めることも行われる。搬送されるスライス食パンや菓子パンなどのパン類は焼き上げ直後で温度が高い場合もあり、スライス食パンにおけるスライス面において顕著に見られるように粘着性をもつ場合が多い。そのような粘着性を有している状態で搬送されるパン類を案内する案内装置は、搬送途中のパン類と接触するとパン類に対して抵抗を与えて搬送されるパン類に変形を与えたり、並べられて搬送されているスライス食パンのスライス面に対して抵抗を与えてスライス食パンの整列状態を乱したりしてパン類の円滑な搬送に障害を与えて包装ラインに影響を与えることも生ずる。
【0003】
そのため、コンベアで搬送されるパン類を側部で案内する案内装置としてコンベアと同期した速度で走行されるエンドレスベルトを採用することが行われるが、走行されるエンドレスベルトを採用するのは設備費と動力費を要することとなる。また、搬送されるパン類と接触する案内板などがパン類に与える抵抗を少なくするよう、案内面にディンプルを形成した案内板を使用することも行われているが、食パンのスライス面などに見られるように、極めて柔らかい表面をもつパン類に対してディンプルが接触すると、そのディンプルによってパン類の表面が変形されてディンプルが入り込んでしまい、搬送されるパン類に対する抵抗が大きくなってしまうことも起こる。また、パン類を摺動させて搬送する底板を抵抗の小さい樹脂製とすることも行われるが、パン類が摺動される樹脂の寿命が比較的短いという欠点をもっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、スライス食パンや菓子パンなどのパン類を搬送する場合に、搬送されるパン類が摺動しても搬送されるパン類に対し与える抵抗が小さく、また、動力などを必要とせずにパン類を案内することができるパン類の搬送案内装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記した課題を解決するため、搬送されるパン類と接触して案内する静置された案内装置として、搬送されるパン類の搬送方向に互いに平行に伸びて設けられた複数本の突状部を有しているパン類の搬送案内装置を提供する。
本発明による案内装置における前記した複数個の突状部は、前記案内装置を構成する板材の曲げ加工によって形成されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるパン類の搬送案内装置においては、搬送されるパン類の搬送方向に互いに平行に伸びて設けられた複数本の突状部を有する構成としてあるので、搬送されるパン類がこの搬送案内装置に接触してもパン類は搬送方向に伸びて互いに平行に設けられている突状体と接触するだけで、搬送案内装置との接触によって受ける抵抗が少なく、しかも、突状体はパン類が搬送される方向に伸びて設けられているので、パン類はその突状体に沿って円滑に案内される。
本発明による搬送案内装置における突状体は、案内板を構成する板材を曲げ加工により形成させることによって容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明によるパン類の搬送案内装置を図示した実施例により具体的に説明する。図1において、1はスライスされた食パンで、スライスによって生じたスライス面2を左右方向にして、矢印3の方向に走行するベルトコンベア4に載せて搬送されるように構成されている。ベルトコンベア4の両側部には、側部案内板5、6が配設されている。側部案内板5、6は、面をベルトコンベア4の面と直角に立ててあり、図1の例では、ベルトコンベア4によって搬送される食パン1のスライス面2と接触して側部で案内するように構成されている。
【0008】
側部案内板5、6は、同じ構造となっており、ベルトコンベア4によって搬送されるスライス食パン1のスライス面2と対向する内側の面上には、図2に示してあるように、スライス食パン1が搬送される矢印3の方向に伸びる複数本の突状体7が互いに平行して設けられている。突状体7は、垂直断面が図3に示すようになだらかな半円状の曲面をもつ山形をなしており、搬送されるパン類から落ちる滓などが蓄積する隅部などが生じない形状とする。その突状体7は、案内板5、6を構成している板材を曲げ加工して形成されている。突状体7の本数、その高さ、幅、突状体5、6間のピッチなどの寸法は、搬送されるパン類の形状、軟らかさや粘着性などの性状などに応じて最適のものを適宜選定する。搬送されるパン類の種類などがほぼ決まっていれば、その種類に応じて取り替えられるように、容易に着脱できるように構成した数種類の案内板を準備しておいてもよい。
【0009】
図1に示したパン類の搬送案内装置は以上説明した構成を有しており、この搬送案内装置において、ベルトコンベア4に載せられたスライス食パン1は、左右のスライス面2が側部案内板5、6の内面と接触しつつ案内されて矢印3の方向に搬送される。側部案内板5、6の内面には、スライス食パン1の搬送方向に互いに平行に伸びる複数本の突状体7が設けられていて、スライス食パン1はその突状体7に接触して案内されるので、スライス面2と側部案内板5、6の内面との接触は部分的であり、スライス食パン1が側部案内板5、6側から受ける抵抗は小さいものとなっている。こうして、スライス食パン1は、側部案内板5、6の内面の突状体7を摺動して案内されつつベルトコンベア4に載って整列された状態を保持して円滑に搬送される。
【0010】
次に、図4に示す実施例について説明する。図4において、10は搬送されるスライス食パンを示しており、この場合のスライス食パン10は、スライス面12を上下方向に向けて底板14に載せられている。図4の搬送装置は、スライス食パン10が矢印13の方向に図示していない適宜の搬送部材によって押されて、底板14の上面を摺動して搬送されるように構成されている。底板14の上面には、図2に示された側部案内板5、6の内面と同様にスライス食パン10が搬送される矢印13の方向に伸びる複数本の突状体7が互いに平行に形成されている。この突状体7も、底板14を構成する板材を曲げ加工して形成されている。
【0011】
図4に示したスライス食パンの搬送案内装置では、搬送されるスライス食パン10を載置する底板14の上面に、スライス食パンの搬送方向である矢印13方向に伸びる、互いに平行な突状体7が形成されているので、底板14に載せられたスライス食パン10の下方のスライス面12は、その底板14上面の突状体7と接触するだけであり、底板14上を摺動して搬送されるスライス食パン10の下面になっているスライス面12は、底板14から小さい抵抗を受けるだけである。
【0012】
以上、本発明によるパン類の搬送案内装置を図示した実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は、以上説明した実施例の構成に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変形、変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0013】
例えば、図示した実施例では、スライス食パンを搬送する場合の例について説明したが、蒸しパン、その他各種の菓子パンなどのパン類一般の搬送に対して本発明による搬送案内装置は有効に機能するものである。また、図4に示した実施例では、底板14の側部に案内板が設けられていないが、図1の場合と同様、底板14の側部に、搬送されるスライス食パンを両側部で案内する案内板を設けた構成としてよい。
【0014】
また、図示した実施例における側部案内板5、6、底板14に形成された突状体は半円状のものとしているが、半楕円形、多角形状のものなど、円形以外の適宜のなだらかな形状をもつものを採用することができる。更にまた、突状体は連続して伸びるもの以外、搬送されるパン類の搬送方向に伸びる適宜の長さの突状体を千鳥状に配置したものなど、適宜の配置で設けた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例によるパン類の搬送案内装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1に示された搬送案内装置を構成する側部案内板の内面形状を示す斜視図。
【図3】図2の3−3線に沿う断面図。
【図4】本発明の他の実施例によるパン類の搬送案内装置の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0016】
1 スライス食パン
2 スライス食パンのスライス面
3 食パンの搬送方向を示す矢印
4 コンベアベルト
5 側部案内板
6 側部案内板
7 突状体
10 スライス食パン
12 スライス食パンのスライス面
13 食パンの搬送方向を示す矢印
14 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるパン類と接触して案内する静置された案内装置であって、同案内装置は搬送されるパン類の搬送方向に互いに平行に伸びて設けられた複数本の突状部を有することを特徴とするパン類の搬送案内装置。
【請求項2】
前記複数個の突状部が、前記案内装置を構成する板材の曲げ加工によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパン類の搬送案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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