説明

パーソナルケア装置に対する摩耗表示器

本発明は、パーソナルケア装置に対する摩耗表示器に係る。摩耗表示器は、反射層及び遮断層を有する。遮断層は、反射層の上方に配置され、時間と共に劣化し得る。遮断層は、遮断層が劣化するまでは、光が反射層から反射されることを阻止する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的にパーソナルケア装置に係り、より特にはパーソナルケア装置に対する摩耗表示器に係る。
【背景技術】
【0002】
多くのパーソナルケア装置は、使い捨てであるか、使い捨てである要素を有するかのいずれかである。例えば、手動歯ブラシ及び使い捨て湿式シェーバは、摩耗し、交換されなければならない。更に、電動歯ブラシのブラシヘッド、及び湿式シェーバの切断要素も、摩耗し、交換されなければならない。
【0003】
かかる種類の使い捨て装置の問題は、該装置の交換すべき時期がユーザにとってしばしば明らかではない、ことである。例えば、歯ブラシの毛は、ユーザにとっては完全に機能的であるように見え得る。しかしながら、毛は、歯ブラシがユーザに対して最善の洗浄を与えていない程度に十分摩耗していることがあり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述に関し、本発明は、パーソナルケア装置に対する摩耗表示器に係る。摩耗表示器は、反射層及び遮断層を有する。遮断層は、反射層の上方に配置され、時間と共に劣化する。遮断層は、遮断層が劣化するまでは、光が反射層から反射されることを阻止する。一例では、摩耗表示器はまた、コントラスト層を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
他の例では、反射層は、反射フォイルであり、遮断層は、不透明な材料である。更には、遮断層は、水溶性高分子又は不水溶性高分子を有する群から選択される。
【0006】
他の例では、反射層は、回折フォイルであり、遮断層は、水溶性高分子である。更には、水溶性高分子は、回折フォイルと略同一である屈折率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
参照される図面を通して、同様の参照符号は、対応する部分を示す。
【0008】
本発明に従ったパーソナルケア装置の一例は、図1に示される。この例では、パーソナルケア装置は、電動歯ブラシに対するブラシヘッド2である。ブラシヘッド2は、摩耗表示器6を有することを除いては、従来の方法に従って作られる。摩耗表示器6は、望ましくは、ブラシヘッド2の外側表面内において配置される。しかしながら、摩耗表示器は、代替的に外側表面の上部上に配置される。
【0009】
摩耗表示器6は、反射層及び遮断層を有する2つの層を有する。遮断層は、反射層の上部上に配置され、光がユーザに対して反射し戻されることを防ぐ。遮断層は、時間と共に劣化して反射層を露出させ、光がユーザに対して反射し戻され得るようにする。これは、ブラシヘッド2を交換する時期であることをユーザに知らせる。遮断層の劣化にかかる時間は、選択される材料及び層の厚さによる。使用される材料及び遮断層の厚さは、ブラシヘッド2を交換するよう所定の時間を与えるよう選択される、ことが望ましい。
【0010】
本発明に従った摩耗表示器の一例は、図2中に示される。この例では、摩耗表示器6は、パーソナルケア装置の外側表面の圧痕4内に配置される。摩耗表示器は、反射層8及び遮断層10を有する。見受けられる通り、遮断層10は、反射層8の上方に配置される。前述された通り、遮断層10は、光がユーザに対して反射し戻されることを防ぐ。時間と共に、遮断層10は、反射層8を露出させるよう劣化し、光がユーザに対して反射し戻され得るようにする。これは、ブラシヘッドを交換する時期であることをユーザに知らせる。
【0011】
この例では、反射層8は、反射フォイルである。反射フォイルは、反射特性を有する薄く柔軟なラミネートフィルムである。反射フォイルは、共にラミネートされ、続いて複数回にわたって折り曲げられる材料を有する2つの異なる層を有する。反射フォイルに対して使用される2つの異なる材料の例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリエチレンテレフタレートである。反射フォイルは、層の厚さ及び層の数に依存して、広範囲の色を反射することができる。反射フォイルの一例は、登録商標AURORAとしてEngelhard社によって製造される。金属反射が所望される際、アルミニウムめっきをされたフォイルが使用され得る。本例において、反射フォイル8は、接着又はインサート成形によって圧痕4において適用され得る。
【0012】
この例では、遮断層10は、時間と共に劣化し得る不透明な材料であり得る。適切な材料は、水溶性高分子又は不水溶性高分子を有する。水溶性高分子は、水に露出されることによって時間と共に劣化し、歯ブラシ及び湿式シェーバにおいて使用されるよう十分適切である。水溶性高分子の例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、でんぷん及びポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリヒドロキシ(メタ)クリレート、ビニルメチルエーテル及び無水マレイン酸の共重合体等を有する。かかる水溶性高分子は、マクロ/ミクロドージング、パッドプリント、熱溶解、又は技術的に既知である他の適切で適用可能な技術によって、反射層8にわたって適用され得る。水溶性高分子が透明であり得るため、本例では、充填剤は水溶性高分子を不透明にするよう遮断層の材料において有される。
【0013】
不水溶性高分子は、摩耗により時間と共に劣化し、乾式電気シェーバ等であるパーソナルケア装置が水に対して露出される必要がない適用における使用に対して十分適切である。不水溶性高分子の例は、とりわけ繊維素エステル、一液型ポリアクリレート又は二液型ポリウレタンを有する。更に多くは、Dieter Stoye及びWerner Freitag著、「Resins for Coatings」、ISBN 3−446−18489−9」において見受けられる。この例では、不水溶性高分子はまた、マクロ/ミクロドージング、パッドプリント、熱溶解、又は技術的に既知である他の適切で適用可能な技術によって、反射層8にわたって適用され得る。
【0014】
他の例では、反射層8は、ホログラフィー像を与えるホログラムである。この例では、遮断層10はまた、前述された通り水溶性高分子又は不水溶性高分子であり得る。
【0015】
本発明に従った摩耗表示器の他の例は、図3中に示される。この例では、摩耗表示器6はまた、パーソナルケア装置の外側表面の圧痕4内に配置される。摩耗表示器6はまた、反射層12及び遮断層10を有する。しかしながら、この例では、反射層12は、回折フォイルである。
【0016】
回折フォイルは、回折格子を形成する複数の反射スリットを有する薄い柔軟なフィルムである。光は、建設的及び相殺的干渉により、光の独自のパターンにおいて格子から反射される。光のパターンは、反射される波長及び格子におけるスリットの寸法により異なる。回折フォイルは、基材層(PET等)及び埋め込まれた回折層(ニトロセルロース)を有する。本例では、回折フォイル12は、エンボス加工、紫外線硬化高分子を使用するフォトレプリケーション技術、又は射出成形を有する複数の異なる方途において適用される。使用される技術は、使用される材料に依存する。例えば、ニトロセルロース等である高分子材料は、エンボス加工と十分に連携する。
【0017】
回折フォイルに対して使用される材料には、大変高い反射率を有さないものもある、ことは留意されるべきである。故に、より優れた視覚効果を与えるよう、反射率を高めるためにかかる材料を他の材料を有してコーティングすることは、望まれ得る。例えば、ニトロセルロース材料の屈折フォイルは、その反射率を高めるようアルミニウムを有してコーティングされ得る。アルミニウムは、蒸着技術によって適用され得る。
【0018】
上述された通り、コーティングされた回折フォイルは、反射層12として使用される場合、圧痕4において蒸着され得、屈折層が上部にあり、図3中に示される通りである。あるいは、コーティングされた屈折層は、圧痕4内において上下逆に配置され得、屈折層は下部上にされる。これは、適用に依存してコーティングを摩耗から保護するよう、望ましい。この例では、遮断層は、屈折フォイルの基材層の上方に配置される。
【0019】
更に見受けられる通り、この例はまた、回折フォイル12の上方に配置される遮断層10を有する。前述された通り、遮断層10は、時間と共に劣化する。更には、この例において、遮断層10は、屈折フォイルから生成される光のパターンを抑制することができる。回折フォイル12がコーティングされる場合は、遮断層は、上述された通り、水溶性高分子又は不水溶性高分子等である不透明な材料であり得る。
【0020】
しかしながら、回折フォイル12が他の材料を有してコーティングされない場合、遮断材料10は、遮断層10の屈折率が回折フォイル12と同一である際に、透明であり得る。これは、2つの材料間に屈折率の差異がある差異にのみ回折パターンが可視であるためである。例えば、空気の屈折率が約1である一方、ニトロセルロース材料は、約1.5の屈折率を有する。故に、遮断層10に対する適切な材料は、いずれも約1.5の屈折率を略有するポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン等である、水溶性高分子である。
【0021】
本発明に従った摩耗表示器の他の例は、図4中に示される。この例は、更に1つの層14を有することを除いては、図3中の例と同一である。見受けられる通り、コントラスト層14は、回折フォイル12の下方に配置される。コントラスト層14は、回折フォイル12より暗い材料を有し、更なる回折されない光を吸収する。これは、回折フォイル12から反射されるより明るい光のパターンを与える。コントラスト層14は、回折フォイル事態の基材層であり得るか、あるいは追加的なラミネートフォイルを有し得るが、2K射出成形技術を使用するブラシの一部であり得る。
【0022】
図2−4中の例では、遮断層10の厚さはまた、ブラシヘッドの交換時期をユーザに知らせるために所定の時間を与えるよう選択され得る。例えば、典型的な厚さは、使用される材料に依存して、おおよそ数十分の1ミリメートルである。
【0023】
本発明に従ったパーソナルケア装置の他の例は、図5中に示される。この例では、パーソナルケア装置は、湿式シェーバ16である。湿式シェーバは、摩耗表示器6を有することを除いて、従来の方法に従って作られる。摩耗表示器6はまた、反射層及び遮断層を有する2つの層を有する。図2−4中に示される摩耗表示器の例は、所望される適用に依存して使用され得る。
【0024】
本発明が特定の例に関して上述されてきたが、本発明が本願中に開示された例に制限又は限定されるよう意図されない、ことは理解されるべきである。したがって、本発明は、添付の請求項の趣旨及び範囲内に有される多種の構造及び修正を対象とするよう意図される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従ったパーソナルケア装置の一例である。
【図2】本発明に従った摩耗表示器の一例である。
【図3】本発明に従った摩耗表示器の他の例である。
【図4】本発明に従った摩耗表示器の更に他の例である。
【図5】本発明に従ったパーソナルケア装置の他の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗表示器であって:
反射層と、該反射層の上方に配置され、且つ時間と共に劣化し得る遮断層と、を有し、
前記遮断層は、該遮断層が劣化するまでは、光が前記反射層から反射されることを阻止する、
摩耗表示器。
【請求項2】
前記遮断層は、該遮断層が所定の期間にわたって劣化し得るようにする材料及び厚さを有する、
請求項1記載の摩耗表示器。
【請求項3】
コントラスト層を更に有する、
請求項1記載の摩耗表示器。
【請求項4】
前記反射層は、反射フォイルである、
請求項1記載の摩耗表示器。
【請求項5】
前記遮断層は、不透明な材料である、
請求項4記載の摩耗表示器。
【請求項6】
前記遮断層は、水溶性高分子又は不水溶性高分子を有する群から選択される、
請求項4記載の摩耗表示器。
【請求項7】
前記反射層は、回折フォイルである、
請求項1記載の摩耗表示器。
【請求項8】
前記遮断層は、水溶性高分子である、
請求項7記載の摩耗表示器。
【請求項9】
前記水溶性高分子は、回折フォイルと略同一である屈折率を有する、
請求項8記載の摩耗表示器。
【請求項10】
前記遮断層は、不水溶性高分子である、
請求項7記載の摩耗表示器。
【請求項11】
パーソナルケア装置であって:
外側表面と;
反射層と該反射層の上方に配置され且つ時間と共に劣化し得る遮断層とを有する、前記外側表面上の摩耗表示器と、
を有し、
前記遮断層は、該遮断層が劣化するまでは、光が前記反射層から反射されることを阻止する、
パーソナルケア装置。
【請求項12】
前記遮断層は、該遮断層が所定の期間にわたって劣化し得るようにする材料及び厚さを有する、
請求項11記載の装置。
【請求項13】
コントラスト層を更に有する、
請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記反射層は、反射フォイルである、
請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記遮断層は、不透明な材料である、
請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記遮断層は、水溶性高分子又は不水溶性高分子を有する群から選択される、
請求項14記載の装置。
【請求項17】
前記反射層は、回折フォイルである、
請求項11記載の装置。
【請求項18】
前記遮断層は、水溶性高分子である、
請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記水溶性高分子は、回折フォイルと略同一である屈折率を有する、
請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記遮断層は、不水溶性高分子である、
請求項17記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−546466(P2008−546466A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517685(P2008−517685)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052015
【国際公開番号】WO2006/137028
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】