説明

パーティクル計数装置

【課題】パーティクルの発生数を正確に計測することができるパーティクル計数装置を提供する。
【解決手段】本発明のパーティクル計数装置は、真空装置1の排気ダクト2内の所定の測定領域を通過するパーティクルを計数する装置であり、個体識別情報を有する、測定領域にレーザ光を照射するためのレーザ光源12を備えた本体部10と、測定領域にレーザ光が照射されたときに生じる光を検出する光検出部25、光検出部の検出信号から測定対象領域のパーティクルの大きさや数を算出する算出部26、レーザ光源12の駆動装置21を有する制御器20と、個体識別情報を有する、本体部10と制御器20とを接続するための電線ケーブル31と、制御器20に設けられ、本体部10と制御器20が電線ケーブル31で接続された状態において本体部10の個体識別情報と電線ケーブル31の個体識別情報を参照して本体部10と制御器20と電線ケーブル31が正規の組み合わせであるか否かを判別する判別手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等の真空装置からの排気中に含まれる粉塵等のパーティクルの数を計測するパーティクル計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程で発生する粉塵などのパーティクルは、製品の性能等を低下させる原因となる。そこで、半導体製造装置では、パーティクルの発生を抑えるために製造室内を高真空状態にすると共に、製造室内におけるパーティクルの発生数をリアルタイムで計測するパーティクル計数装置を設置している。一般に、パーティクル計数装置は、製造室の排気ダクト内の所定の測定領域にレーザ光を照射するレーザ光源、測定領域から発せられる光を検出する光検出部、該光検出部の検出信号から測定領域を通過するパーティクルの大きさや発生数を算出する算出部、レーザ光源の駆動装置等を備えている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなパーティクル計数装置においては、レーザ光源は排気ダクトに設置された本体部に収容され、光検出部や算出部、駆動装置等はレーザ光源を制御する制御器に収容されている。制御器は、通常、操作性を考慮して排気ダクトとは別の場所に設置されており、ケーブルを介して本体部と接続される。ケーブルにはレーザ光源用電源ケーブルや制御ケーブルといった電線ケーブルの他、光ケーブルが含まれており、排気ダクト内の測定領域にレーザ光が照射されることにより該測定領域から発せられる光は該光ケーブルを通して光検出部に送られる。
【0004】
ところで、パーティクル計数装置では、レーザ光源から出射されるレーザ光の強度と光検出部の検出信号(電気信号)の大きさを予め調整しておく必要がある。このような調整作業はチューニングと呼ばれ、通常、製品出荷時に行われる。本体部と制御器がケーブルを介して接続されるパーティクル計数装置においては、チューニングが行われた、いわば正規の組み合わせで本体部と制御器がケーブルで接続されていなければ、パーティクルの大きさや発生数を正確に算出することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-060530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、使用者において、製品購入後に、本体部と制御器を正規の組合せではないケーブル(電線ケーブル)で接続して使用する場合がある。このような場合でも、パーティクル計数装置は見かけ上、正常に動作する。しかし、非正規の組合せの電線ケーブルで本体部と制御器が接続された状態では該本体部や該制御器内の抵抗やインダクタンス等の電気部品の電気的特性が変化してしまい、パーティクルの発生数を正確に計測することができないという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、本体部と制御器が分離して設置され、その間の電線ケーブルが交換された場合でも、パーティクルの発生数を常に正確に計測することができるパーティクル計数装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、
真空装置の排気ダクト内の所定の測定領域を通過するパーティクルを計数するパーティクル計数装置において、
a)自身の個体識別情報を有する、前記測定領域にレーザ光を照射するためのレーザ光源を備えた本体部と、
b)前記測定領域にレーザ光が照射されたときに生じる光を検出する光検出部と、前記光検出部の検出信号から前記測定対象領域のパーティクルの大きさや数を算出する算出部と、前記レーザ光源の駆動装置とを有する制御器と、
c)自身の個体識別情報を有する、前記本体部と前記制御器とを接続するための電線ケーブルと、
d)前記制御器に設けられ、前記本体部と前記制御器が前記電線ケーブルで接続された状態において、前記本体部の個体識別情報と前記電線ケーブルの個体識別情報を参照して前記本体部と前記制御器と前記電線ケーブルが正規の組み合わせであるか否かを判別する判別手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体部と電線ケーブルのそれぞれが個体識別情報を有するため、判別手段は、これら個体識別情報を参照して、制御器と本体部、制御器と電線ケーブルが正規の組み合わせであるか否か、つまり、制御器と本体部と電線ケーブルが正規の組み合わせであるか否かを判別することができる。従って、例えば、正規の組み合わせではないと判別された場合に、警報を鳴らしたり、レーザ光源からのレーザ光の出射を停止したりする等、正規の組合せで本体部及び制御器を電線ケーブルで接続するよう、使用者に促すことができる。このため、本体部と制御器が分離して設置され、その間の電線ケーブルが交換された場合でも、パーティクルの発生数を常に正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施例に係るパーティクル計数装置の概略構成図。
【図2】本発明の第2実施例に係るパーティクル計数装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1実施例に係るパーティクル計数装置の概略構成図である。パーティクル計数装置は、真空チャンバ1の排気ダクト2に設けられた本体部10と、前記排気ダクト2から離れた部位に配置された制御器20と、これら本体部10と制御器20を接続するケーブル部30とに大別される。排気ダクト2の吸気口には真空チャンバ1が接続され、該排気ダクト2の排気口にはバックポンプ3が接続されている。排気ダクト2内は真空あるいは真空に近い状態になっており、吸気口から排気口に向かってパーティクルが流れるようになっている。
【0013】
本体部10は、排気ダクト2内の所定の領域(測定領域)にレーザ光を照射するレーザ光源12及び第1機種判別抵抗14を有している。前記制御器20には、レーザドライバ21、インターロック部22、モニタ部23、表示部24、検出部としての光電子倍増管25、算出部26が設けられている。算出部26は、光電子倍増管25の検出結果に基づき測定領域を通過するパーティクルの大きさや発生数を算出する。
【0014】
ケーブル部30は、レーザ光源12とレーザドライバ21を接続する電線ケーブルであるレーザ用ケーブル31、第1機種判別抵抗14とモニタ部23を接続する第1判別用ケーブル32、測定領域にレーザ光が照射されたときに該測定領域から発せられる散乱光等の光を光電子倍増管25に導く光ケーブル33を備えている。また、ケーブル部30は、第2機種判別抵抗34を内蔵しており、この第2機種判別抵抗34とモニタ部23を接続する第2判別用ケーブル35を備えている。第1機種判別抵抗14及び第2機種判別抵抗34の抵抗値は、それぞれ固有の値に設定されており、これら抵抗値が本体部10及びケーブル部30の個体識別情報に該当する。
【0015】
上記パーティクル計数装置は、例えば出荷時にサービスマンによるチューニングが行われる。チューニングは、本体部10と制御器20をケーブル部30で接続した状態で行われ、まず、第1機種判別抵抗14の抵抗値及び第2機種判別抵抗34の抵抗値がそれぞれモニタ部23に与えられ、それら抵抗値に基づき判別回路が設定される。この判別回路は、本体部10、制御器20、ケーブル部30が正規の組合せであるか否かを判別するためのものであり、各機種判別抵抗の値を判別閾値に設定しても良く、各機種判別抵抗の値に所定の幅を持たせた値を判別閾値としても良い。
【0016】
このようにチューニングが行われたパーティクル計数装置を購入した使用者が、本体部10と制御器20をケーブル部30で接続した後、電源を投入すると、制御器20のモニタ部23は本体部10の第1機種判別抵抗14の抵抗値及びケーブル部30の第2機種判別抵抗34の抵抗値を求め、これら抵抗値と判別閾値を比較する。そして、第1及び第2機種判別抵抗14及び34のいずれか或いは両方の抵抗値が判別閾値と異なる値である場合には、モニタ部23はインターロック部22に対して通知信号を出力する。
【0017】
通知信号を受けたインターロック部22は、表示部24にアラーム信号を出力し、アラーム信号を受けた表示部24はメッセージを表示したり、ランプを点灯させたりして、正規の接続状態ではないことを報知する。また、インターロック部22は、レーザドライバ21に対してインターロック信号を出力する。この結果、レーザドライバ21からレーザ光源12への電力供給が停止されたり、レーザドライバ21からレーザ光源12への駆動信号の出力が停止されたりして、レーザ光源12からのレーザ光の出射が禁止される。
【0018】
このように本実施例によれば、本体部10、制御器20及びケーブル部30が正規の組み合わせ状態でないときはそのことを報知するようにしたため、本体部10、制御器20及びケーブル部30の組合せを変更して正規の組み合わせにするか、或いは、チューニングを行わなければならないことを容易に認識することができる。また、本実施例では、正規の接続状態ではないときはレーザ光源12からのレーザ光の出射を停止したため、非正規の接続状態でパーティクルの計数が行われることを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0019】
図2は本発明の第2実施例を示す概略図である。第2実施例では、第1機種判別抵抗14に代えて第1機種判別用ROM141を本体部10に設け、第2機種判別抵抗34に代えて第2機種判別用ROM341をケーブル部30に設けた。
これらROM141及びROM341には、本体部10及びケーブル部30自身の固体識別情報が予め書き込まれている。本体部10と制御器20がケーブル部30で接続されると、モニタ部23はROM141及びROM341に書き込まれている固体識別情報を読み取り、正規の組合せであるか否かを判別する。このような構成でも、第1実施例と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0020】
1…真空チャンバ
2…排気ダクト
3…バックポンプ
10…本体部
12…レーザ光源
14…第1機種判別抵抗
20…制御器
21…レーザドライバ
22…インターロック部
23…モニタ部
24…表示部
25…光電子倍増管
26…算出部
30…ケーブル部
31…レーザ用ケーブル
32…第1判別用ケーブル
33…光ケーブル
34…第2機種判別抵抗
35…第2判別用ケーブル
141…第1機種判別用ROM
341…第2機種判別用ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空装置の排気ダクト内の所定の測定領域を通過するパーティクルを計数するパーティクル計数装置において、
a)自身の個体識別情報を有する、前記測定領域にレーザ光を照射するためのレーザ光源を備えた本体部と、
b)前記測定領域にレーザ光が照射されたときに生じる光を検出する光検出部と、前記光検出部の検出信号から前記測定対象領域のパーティクルの大きさや数を算出する算出部と、前記レーザ光源の駆動装置とを有する制御器と、
c)自身の個体識別情報を有する、前記本体部と前記制御器とを接続するための電線ケーブルと、
d)前記制御器に設けられ、前記本体部と前記制御器が前記電線ケーブルで接続された状態において、前記本体部の個体識別情報と前記電線ケーブルの個体識別情報を参照して前記本体と前記制御器と前記電線ケーブルが正規の組み合わせであるか否かを判別する判別手段と
を有することを特徴とするパーティクル計数装置。
【請求項2】
前記判別手段が前記本体と前記制御器と前記ケーブルが正規の組み合わせでないと判別したことを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のパーティクル計数装置。
【請求項3】
個体識別情報が、それぞれ抵抗値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパーティクル計数装置。
【請求項4】
前記本体部が第1ROMを備えると共に前記電線ケーブルが第2ROMを備え、
前記本体部の個体識別情報が前記第1ROMに書き込まれ、前記電線ケーブルの個体識別情報が前記第2ROMに書き込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパーティクル計数装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−15440(P2013−15440A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149064(P2011−149064)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)