説明

ヒドラジン含有ゲル化物及びこれを用いたヒドラジンの生成方法

【課題】ポリマーを多量に使用する必要がなく、従って小さな容量でヒドラジンを固定化可能で、固定化したヒドラジンの遊離のスピードが速く耐久性にも優れ、しかも、簡便に固定化したヒドラジンの遊離が可能であるため装置を簡便にできるヒドラジン固定化物、及び、該固定化物からヒドラジンを遊離して遊離のヒドラジンを生成する方法を提供する。
【解決手段】(A)アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の基又は結合を有するポリマー及び(B)ヒドラジンを含むゲル化物であって、成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比)が0.001〜1.5であることを特徴とするヒドラジン含有ゲル化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドラジンを含むゲル化物及び該ゲル化物からヒドラジンを遊離する方法に関する。更に詳しくは、ポリマーに固定化されたヒドラジンを含むゲル化物及び該ゲル化物からヒドラジンを遊離してヒドラジンを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドラジンは、プラスチック発泡剤製造原料、清缶剤、還元剤、重合触媒および各種誘導体、試薬、農薬、水処理剤、ロケット燃料など、広範な産業分野で有用な物質である。近年は、ヒドラジンを、貴金属を使用しない燃料電池の燃料として使用することも提案されている。しかしながら、ヒドラジンは加熱や火えんとの接触により、あるいは、酸化剤、金属、金属酸化物または多孔性物質と激しく反応して、火災や爆発のおそれがある。又、ヒドラジンは強アルカリ性であり、皮膚・粘膜に対する刺激性がある。そのため、ヒドラジンの取り扱いには、常に慎重が要求される。
【0003】
かかる問題に対して、ヒドラジンを脱離可能なヒドラジン脱離基を有する樹脂で固定化したヒドラジン貯蔵樹脂が提案されている(WO2008/007650号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/007650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ヒドラジン貯蔵樹脂は、ヒドラジンを脱離可能なヒドラジン固定基にヒドラジンが固定化されることにより、具体的には、例えばケトン基にヒドラジンが反応することにより共有結合となり、ヒドラジンが固定化されているものである。上記ヒドラジン貯蔵樹脂は、確かにヒドラジンを固定化する点で有用な技術であるが、本発明者等の検討によると、共有結合によるヒドラジンの固定化のため、ヒドラジンに対してポリマーを多量に使用する必要があり(具体的には、ヒドラジンに対してポリマーを約2.7倍程度使用している)経済的でない、ポリマーを多量に使用することにより容量が大きくなる、固定化したヒドラジンの遊離する割合が極めて低い、乃至は遊離するスピードが極めて遅い、ヒドラジンの固定化と遊離の繰り返しに対する耐久性に劣る、等の問題があることが判明した。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、ポリマーを多量に使用する必要がなく、従って小さな容量でヒドラジンを固定化可能で、固定化したヒドラジンの遊離のスピードが速く耐久性にも優れ、しかも、簡便に固定化したヒドラジンの遊離が可能であるため装置を簡便にできるヒドラジン固定化物を提供することを目的とするものである。又、本発明は、固定化ヒドラジンを簡便に遊離して遊離のヒドラジンを生成する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水素結合によりヒドラジンの流動性を抑制するある種の基又は結合を有するポリマー及びヒドラジンを含むゲル化物が、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、(A)アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の基又は結合を有するポリマー及び(B)ヒドラジンを含むゲル化物であって、成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比)が0.001〜1.5であることを特徴とするヒドラジン含有ゲル化物、に存する。
【0008】
他の要旨は、上記ヒドラジン含有ゲル化物からヒドラジンを遊離して遊離のヒドラジンを生成する方法であって、ヒドラジンの遊離を、(1)加熱する、(2)加圧する、及び(3)水を加える、の少なくとも何れかの方法により行なうことを特徴とするヒドラジンの生成方法、に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゲル化物は、ポリマー含有量が少なく、従って小さな容量でヒドラジンが固定化されており、固定化したヒドラジンの遊離のスピードが速く耐久性にも優れ、しかも、簡便に固定化したヒドラジンの遊離が可能であるため装置を簡便にできるとの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1.6%重量のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含む35重量%ヒドラジン水溶液の温度による透過率変化を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
本発明のヒドラジン含有ゲル化物におけるポリマーは、(A)アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の基又は結合を有するポリマーである。アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合は、水素結合によりヒドラジンの流動性を抑制することが可能であり、これらの基は1種のみを含んでいても、複数を含んでいてもよい。なかでも、ヒドラジンに対する安定性とヒドラジンとの親和性の点から、アミド基とカルボキシル基又はその塩が好ましい。上記アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合の少なくとも何れかを有するポリマーとしては、これらの基又は結合を有していれば特に限定されず、ポリアクリルアミド、ポリ(N-メチルアクリルアミド)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)、ポリ(N-ビニルホルムアミド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)等の鎖状又は環状アミド基を有するポリマー(好ましくは、窒素原子上にアルキル置換基を有していてもよいポリアクリルアミド又はポリビニルアミド);ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸カリウム等のカルボキシル基又はその塩を有するポリマー(好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸及びそれらのアルカリ金属塩);ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリアリルメチルエーテル、ポリ(ポリエチレングリコール)モノビニルエーテル等のエーテル結合を有するポリマー;及びこれらとポリ(メチレンビスアクリルアミド)、ポリジビニルベンゼン、ポリジビニルエーテル、ポリ(ポリエチレングリコールジビニルエーテル)等の二官能モノマーとの架橋体であるポリマーを挙げることができる。尚、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルを意味する。
【0012】
上記の中でも、窒素原子上にアルキル置換基を有していてもよいポリアクリルアミド並びにポリ(メタ)アクリル酸及びそれらのアルカリ金属塩、又はこれらの架橋重合体が好ましい。ここで、架橋成分としては、ポリN,N’-メチレンビスアクリルアミド及びポリジビニルベンゼンが好ましい。尚、窒素原子上にアルキル置換基は、モノ置換でも、ジ置換でもよく、アルキル基の炭素数は、通常、1〜6、好ましくは1〜4である。
【0013】
尚、架橋成分に由来する単位のポリマー中の含有量は、通常、0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%が好ましい。この含有量が小さすぎるとヒドラジン含有ゲル化物の安定性が不十分となる場合があり、大きすぎるとゲル中にヒドラジンが浸透しにくい場合がある。
尚、本発明のポリマーは、通常、これを構成する(モノマーに由来する)繰り返し単位の全てがアミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合を含むが、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の基及び結合を含まないモノマーに由来する繰り返し単位を含んでいてもよく、その割合は、通常、20モル%以下、好ましくは10モル%以下程度である。ここで、上記の基及び結合を含まないモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、スチレンスルホン酸、ジビニルベンゼン、アリルアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリマーの分子量は特に限定されないが、可溶性ポリマーの場合は通常重量平均分子量が、1000〜500万、好ましくは、1万〜200万程度である。
本発明のヒドラジン含有ゲル化物におけるポリマー(A)とヒドラジン(B)の割合は、ポリマーの種類によって一概には言えないが、成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比)が、0.001〜1.5である。
好ましくは、0.01以上、更に好ましくは0.02以上であり、一方、1以下が好ましく、更に好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.1以下である。この値が小さすぎると、ポリマー量が少なくなり過ぎることによりゲル化が不十分となり、従って、ヒドラジンの固定化が十分に行なわれないこととなる。一方、この割合が大きすぎると、ゲル化に対する効果に変わりはない一方使用するポリマーが多いことにより経済的に不利となり、又、ゲル化物の容量が大きくなる。
【0015】
本発明のゲル化物には、基本的にポリマーとヒドラジンを含み、水は含んでいても含んでいなくてもよいが、安全性、ヒドラジンの取り扱い性及びヒドラジンのポリマーへの固定を効率的に行なう(ヒドラジンのゲルへの浸透率)観点からは、水を含むのが好ましい。この場合、ゲル化物中の水の割合は、通常、1重量%以上、好ましくは10重量%以上である。但し、水の量が多すぎると経済的に不利となる傾向があるため、通常、90重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
【0016】
本発明のゲル化物は、ポリマーとヒドラジンないしはヒドラジン水溶液を混合することにより得られる。この際、必要に応じて、―10℃程度の低温で攪拌を行うこともある。また、ゲル化物に取り込まれなかったヒドラジンは水洗や吸引ろ過などにより、除くことができる。
本発明のゲル化物は、ヒドラジン利用の際にpHを調整するなどの点から塩を加えた方が望ましい場合においては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等の無機塩を含んでいてもよい。これらの化合物は、通常、ゲル調製の際に、水溶液として用いられ、ゲル中に取り込まれる。
【0017】
本発明では、上記ヒドラジン含有ゲル化物を(1)加熱する、(2)加圧する、及び(3)水を加える、の少なくとも何れかの方法を採用することにより、上記ゲル化物からヒドラジンを遊離し、遊離のヒドラジンを生成することができる。
加熱する場合の温度は、通常、30℃以上、好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、一方、通常、130℃以下、好ましくは100℃以下である。この温度が低すぎるとゲルからのヒドラジンの遊離が十分に行なわれない場合があり、この温度が高すぎると、ポリマーが劣化する場合がある。加熱する場合の圧力は特に限定されず、常圧でよいが、加熱と併せて下記の加圧を行ってもよい。
【0018】
加圧する場合の圧力は、通常、0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上であり、通常、100MPa以下、好ましくは、10MPa以下である。この圧力が大きすぎるとゲルが力学的に崩壊する場合があり、小さすぎるとヒドラジンの生成率が低下する場合がある。
水を加える場合の加える水の量は、通常、ゲル化物の重量に対して、0.1倍以上、好ましくは0.5倍以上、更に好ましくは1倍以上であり、一方、通常、10000倍以下であり、好ましくは1000倍以下、更に好ましくは500倍以下である。この割合が大きすぎると生成するヒドラジン濃度の低下により経済的に不利となる場合があり、小さすぎるとヒドラジンの生成が遅くなる場合がある。尚、水を加える場合には、ゲルに加水後、必要により攪拌し、吸引濾過等により、ゲルを分離することができる。
【0019】
尚、上記(1)加熱、(2)加圧、及び(3)水を加える、の処理は、単独で行なっても併せて行なってもよいが、併せて行なう場合、(1)と(3)の組み合わせ、及び、(2)と(3)の組み合わせが好ましい。
本発明によるヒドラジンの固定化を具体例で示すと、例えばポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は35%ヒドラジン水溶液中で温度に応答して、ゲル、均一な溶液、ヒドラジン水溶液とポリマーの相分離状態と形体が変化するが、約0℃以下では均一な溶液、約0〜60℃では流動性を持たないゲル、60℃以上ではヒドラジン水溶液とポリマーに分離する。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
合成例1
50mlナスフラスコにN-イソプロピルアクリルアミド(0.57g、5mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(5mg、0.03mmol)を測りとり、マグネチックスターラーバーを投入し三方コックをとりつけた。系内を十分に窒素置換し、 蒸留精製したジオキサン(5ml、59mmol)を加えた。60℃の油浴で加熱しながらマグネチックスターラーで4時間撹拌した。4時間後、室温まで冷却し、200ml 三角フラスコに貧溶媒としてジエチルエーテル150mlをとり、再沈殿精製を行った。沈殿物を吸引ろ過により回収し、これを一日減圧乾燥しポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を0.54g(収率95.6%)で得た。
【0021】
合成例2
シャーレにアクリルアミド(1.00g、14.1mol)と架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド(0.05g、0.3mmol、又は0.1g、0.6mmol)を測りとり、これを蒸留水 20mlに溶かした。5mlサンプル瓶に過硫酸カリウム(0.1g0.37mmol)を測りとり、これを蒸留水10mlに溶かした。これを先ほどのシャーレに加え、撹拌しながらN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを約20滴添加した。これを室温で1日静置しゲルを得た。これを蒸留水で洗浄した後、メタノールで洗浄し不溶部を減圧乾燥し架橋ポリアクリルアミドを得た。ここで、N,N’-メチレンビスアクリルアミドを0.05g用いた場合の架橋率は2.1%、0.1g用いた場合の架橋率は4.2%であり、それぞれの収量(収率)は0.868g(82.6%)および0.81g(73.6%)である。
【0022】
実施例1
(ヒドラジンの固定化/ゲルの生成)
5mlサンプル瓶に35wt%ヒドラジン水溶液2.5mlを加え、そこに合成例1で合成したポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)0.04gを測りとり、冷凍庫内で−20℃に冷却し溶解させた。これを室温で放置すると、溶液がゲル化物に変化した。この際、ヒドラジンに対するポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の重量比(本発明で規定する成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比))は0.046である。
【0023】
(ヒドラジンの遊離)
上記で得られたゲル化物を、90℃油浴中で加熱するとポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)が凝集し、ヒドラジン水溶液と分離した。この溶液を−20℃まで冷却すると、再び均一な溶液に戻った。先のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)とヒドラジン水溶液が分離した状態では、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)とヒドラジンはろ過などで分離できた。
尚、溶液とゲルの変化(昇温速度:1℃、降温速度:3℃)は、昇温及び降温時の透過率の変化で確認した。結果を図1に示す。図から、昇温により透過率が90%から0%に低下し(ゲル状態に相当)、ゲルを降温することにより透過率が100%に回復(溶液状態に相当)し、ゲル化によるヒドラジンの固定化が行なわれていることがわかる。
【0024】
実施例2〜3
(ヒドラジンの固定化/ゲルの生成)
5mlのサンプルビンに、合成例2で得た架橋度の異なる架橋ポリアクリルアミド(表−1に記載)10mgをとり、無水ヒドラジン(202mg)を加えた。室温で6時間整置すると、ヒドラジン含有ゲル化物を得た。ヒドラジン吸収量(ゲル中のヒドラジン量)は、添加したヒドラジン量と吸光光度計を用いて測定した洗浄液中のヒドラジン量の差として求めた。ヒドラジン量の測定は、ASTM Manual of Industrial Water, D1385-78,376 (1979年)の手法に従って、過剰のパラジメチルアミノベンズアルデヒドをもちいた呈色反応を行ったあとの、455nmの吸光度を基準に求めた。
【0025】
(ヒドラジンの遊離)
得られたゲルを100mlの蒸留水で洗浄し、吸引ろ過した。ろ液中のヒドラジン量を定量し、放出されたヒドラジン量を求めた。
結果を表−1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例4〜5
(ヒドラジンの固定化/ゲルの生成)
架橋アクリル酸ナトリウム10mgを水で膨潤させてから無水ヒドラジン101mg(100μl)を加え、室温で12時間放置した。ゲルを100mlの水で洗浄し、洗浄液のヒドラジン濃度を吸光光度計で測定し、ゲルに含まれたヒドラジン量を求めた。ヒドラジン量の測定は、実施例2,3と同じ手法により求めた。
結果を表−2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例6
5mlサンプル瓶に、架橋ポリアクリル酸ナトリウム50mgを測りとり、これに無水ヒドラジン50.5mgを加えた。室温で8日間静置した後、約200mlの蒸留水で洗浄し、吸引ろ過によりヒドラジンを含むゲル化物を得た。ヒドラジン吸収量(ゲル中のヒドラジン量)は、43mgであった。又、本発明で規定する成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比)は、1.16であった。尚、ヒドラジン吸収量(ゲル中のヒドラジン量)は添加したヒドラジン量と吸光光度計を用いて測定した洗浄液中のヒドラジン量の差として求めた。ヒドラジン量の測定は、ASTM Manual of Industrial Water, D1385-78,376 (1979年)の手法に従って、過剰のパラジメチルアミノベンズアルデヒドをもちいた呈色反応を行ったあとの、455nmの吸光度を基準に求めた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のゲル化物は、ヒドラジンが固定化されているため、ヒドラジンの取り扱いを容易にし、ヒドラジンを使用する各種分野での応用が可能であり、具体的には、例えば、貴金属を使用しない燃料電池の燃料としても適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アミド基、カルボキシル基及びその塩、並びにエーテル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の基又は結合を有するポリマー及び(B)ヒドラジンを含むゲル化物であって、成分(B)に対する成分(A)の割合(重量比)が0.001〜1.5であることを特徴とするヒドラジン含有ゲル化物。
【請求項2】
ポリマーが、窒素原子上にアルキル置換基を有していてもよいポリアクリルアミド並びにポリ(メタ)アクリル酸及びそれらのアルカリ金属塩、又はこれらの架橋重合体であることを特徴とする請求項1に記載のヒドラジン含有ゲル化物。
【請求項3】
更に水を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒドラジン含有ゲル化物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のヒドラジン含有ゲル化物からヒドラジンを遊離して遊離のヒドラジンを生成する方法であって、ヒドラジンの遊離を、(1)加熱する、(2)加圧する、及び(3)水を加える、の少なくとも何れかの方法により行なうことを特徴とするヒドラジンの生成方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−7108(P2012−7108A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145530(P2010−145530)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】