説明

ヒューズプラー

【課題】ヒューズボックスや電気接続箱内に収納しても収納スペースを削減することができ、且つ、ヒューズボックスや電気接続箱等のボックスの設計効率をも良好にすることができるヒューズプラーを提供する。
【解決手段】ヒューズプラー3は、先端部20にヒューズ若しくはヒュージブルリンク1の側面に形成されるリブ部12と係合可能な係合爪部22を設けている。この係合爪部22に連続するとともにヒューズ若しくはヒュージブルリンク1の側面及び上面1aに沿って形成され、且つ、係合爪部22と同じ若しくは広い幅を有して上面1aと接触可能なヒュージブルリンク上面接触部24を設けている。さらに、ヒュージブルリンク上面接触部24に連続するとともに係合爪部22から離れる方向に伸びる持ち手部21を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズやヒュージブルリンクの取り外し時に用いられるヒューズプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車に搭載されるヒューズボックスや電気接続箱には、一般的なヒューズに加えて、カセットタイプのヒュージブルリンクが装着されている。上記ヒューズ及びヒュージブルリンクは、装着部に対して強い挟着力によって装着されている。このため、ヒューズ及びヒュージブルリンクを素手で装着部から取り外すことは、極めて困難である。
【0003】
下記特許文献1には、ヒューズ及びヒュージブルリンクの取り外しを容易に行うことができるヒューズプラーが開示されている。ヒューズプラーは、一対の把持片を備えている。ヒューズプラーは、これらの把持片が左右対称形状をなし、互いに向かい合うように並列に配置されている。ヒューズプラーは、各把持片のほぼ中間部分が連結部材によって連結されている。ヒューズプラーには、各把持片の外側面に、第1のテーパ部及び第2のテーパ部が設けられている。ヒューズプラーは、それらテーパ面が設けられた箇所に滑り止め部が形成されている。ヒューズプラーは、各把持片の内側面における第1の端部に、第1の係合部としての爪部がそれぞれ形成されている。また、ヒューズプラーは、各把持片の内側面における第2の端部に、第2の係合部としての爪部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−317858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術にあっては、ヒューズ及びヒュージブルリンクの取り外し作業を容易にすることができるものの、次のような問題点を有している。すなわち、係るヒューズプラーは、通常、不使用時にはヒューズボックスや電気接続箱等のボックス内に収納されることになるが、この場合、収納スペースをかなりとってしまうという問題点を有している。係る問題点は、ヒューズボックスや電気接続箱等のボックスが所定の規格で設計されるところ、ヒューズプラーを収納するボックスをヒューズプラーの大きさに合わせて変更しなければならない場合があり、ボックスの設計にも影響を来すこととなる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ヒューズボックスや電気接続箱内に収納しても収納スペースを削減することができ、且つ、ヒューズボックスや電気接続箱等のボックスの設計効率をも良好にすることができるヒューズプラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のヒューズプラーは、先端部にヒューズ若しくはヒュージブルリンクの側面に形成されるリブ部と係合可能な係合爪部を設け、該係合爪部に連続するとともに前記ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの前記側面及び上面に沿って形成され、且つ、前記係合爪部と同じ若しくは広い幅を有して前記上面と接触可能な上面接触部を設け、さらに、該上面接触部に連続するとともに前記係合爪部から離れる方向に伸びる持ち手部を設けることを特徴とする。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、ヒューズプラーは、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの側面に形成されるリブ部に係合可能な係合爪部と、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面と接触可能な上面接触部と、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、手で持つ持ち手部とを備えることにより、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの側面に係合爪部を係合させ、持ち手部を手で持って引き上げると上面接触部がヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面に接触し、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクが引き抜かれる。上面接触部は、係合爪部と同じ若しくは広い幅に形成されることから、引き抜きの際のヒューズ又はヒュージブルリンクの状態は安定するようになる。
【0009】
請求項2記載の本発明のヒューズプラーは、請求項1に記載のヒューズプラーにおいて、前記上面接触部を、前記ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの前記上面の中央まで伸ばすことを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、ヒューズプラーによるヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、上面接触部がヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面の中央までの範囲で接触するようになる。
【0011】
請求項3記載の本発明のヒューズプラーは、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のヒューズプラーにおいて、前記係合爪部を、前記上面接触部に対して平行に突設することを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、ヒューズプラーの係合爪部をヒューズ若しくはヒュージブルリンクの側面に形成されるリブ部に係合させると、係合爪部は上面接触部と平行に突設することから、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、確実にヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面に上面接触部が接触するようになる。
【0013】
請求項4記載の本発明のヒューズプラーは、請求項1、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のヒューズプラーにおいて、前記持ち手部の中央を湾曲して形成し、且つ、前記持ち手部の表面に複数の滑り止め用凸部を設けることを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、持ち手部には、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、手で持つことを考慮して中央を湾曲して形成し、且つ、持ち手部の表面に複数の滑り止め用凸部が設けられる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、従来のようにヒューズ若しくはヒュージブルリンクをそれらの両側面から挟持して引き抜く必要が無く、ヒューズプラーの構成を簡素化できることから、ヒューズプラーの収納スペースを削減できるという効果を奏する。また、ヒューズプラーの大きさに合わせてヒューズボックスや電気接続箱等のボックスの大きさを変更する必要がなく、ボックスの設計効率を良好にすることができるという効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、ヒューズプラーの上面接触部がヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面の中央までの範囲で接触するようになることから、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜き作業が安定するという効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜きの際に、確実にヒューズ若しくはヒュージブルリンクの上面にヒューズプラーの上面接触部が接触するようになることから、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜き作業がより安定するという効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載された本発明によれば、持ち手部を手で持つ際に手が滑ることが抑えられ、また、持ち易くなることから、ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの引き抜き作業がより安定するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明をヒューズプラーに具体化した一実施形態と該ヒューズプラーを用いて引き抜かれるヒュージブルリンク及び該ヒュージブルリンクが装着されるキャビティの斜視図。
【図2】ヒュージブルリンクの斜視図と、右側面図と、正面図と、左側面図。
【図3】キャビティの斜視図。
【図4】ヒューズプラーの正面の斜視図。
【図5】ヒューズプラーの平面図と、正面図と、側面図と、背面図と、底面図。
【図6】ヒュージブルリンクがキャビティに装着された状態を示す斜視図及びキャビティからヒュージブルリンクを引き抜く直前の状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1の(a)は、本発明のヒューズプラーを用いてヒュージブルリンクの引き抜きを行う状態を示した正面からの斜視図である。(b)は、ヒューズプラーを用いてヒュージブルリンクの引き抜きを行う状態を示した背面からの斜視図である。また、図2の(a)は、ヒュージブルリンクの正面からの斜視図である。(b)は、ヒュージブルリンクの背面からの斜視図である。(c)は、ヒュージブルリンクの右側面図である。(d)は、ヒュージブルリンクの正面図である。(e)は、ヒュージブルリンクの左側面図である。図3の(a)は、キャビティの正面からの斜視図である。(b)は、キャビティの背面からの斜視図である。図4の(a)は、ヒューズプラーの正面からの斜視図である。(b)は、ヒューズプラーの背面からの斜視図である。図5の(a)は、ヒューズプラーの平面図である。(b)は、ヒューズプラーの正面図である。(c)は、ヒューズプラーの側面図である。(d)は、ヒューズプラーの背面図である。(e)は、ヒューズプラーの底面図である。図6の(a)は、ヒュージブルリンクがキャビティに装着された状態を示す斜視図である。(b)はキャビティからヒュージブルリンクを引き抜く直前の状態を示す平面図である。
【0021】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0022】
図1において、引用符号1は、ヒュージブルリンク(例示であるものとする。本実施例では、カートリッジ型ヒュージブルリンクを用いているが、これに限定されるものではなく、ヒューズであってもよいものとする)を示している。このヒュージブルリンク1はキャビティ2に装着されている。ヒュージブルリンク1は、例えばメンテナンス等の際、本発明のヒューズプラー3により引き抜くことができるようになっている。以下、ヒュージブルリンク1、キャビティ2及びヒューズプラー3の各構成について説明する。
【0023】
ヒュージブルリンク1は、図2に示す如く、略直方体形状を有し、上面1aと、正面1bと、背面1cと、左側面1dと、右側面1eと、底面(図示せず)とからなる。上面1aは、平坦な面を有する。ヒュージブルリンク1は、ハウジング4と、このハウジング4に係合されるカバー部材5とからなる。ハウジング4内には、ヒューズエレメント(図示せず)が収納される。
【0024】
ハウジング4は、ハウジング本体6を有し、このハウジング本体6は、開口部7と、フランジ部8と、係止凸部9と、ヒュージブルリンク側ガイド凸部10及びヒュージブルリンク側ガイド凹部11と、リブ部12とからなる。ハウジング本体6の上部は、開口部7として開口形成される。
【0025】
フランジ部8は、ヒュージブルリンク1の左側面1d及び右側面1eの上端部に設けられる。また、これらのフランジ部8に連続して正面1b及び背面1cの上端部にもフランジ部8が設けられる。正面1b及び背面1cの上端部におけるフランジ部8は中央において切り欠かれる。この切り欠かれた部分の中央には、図2(a),(b)に示す如く、後述するカバー部材5の係止凹部14に係止する係止凸部9が設けられる。
【0026】
ヒュージブルリンク側ガイド凸部10及びヒュージブルリンク側ガイド凹部11は、図2(c),(e)に示す如く、フランジ部8の中央からヒュージブルリンク1の左側面1d及び右側面1eの各下端部にかけて形成される。ヒュージブルリンク側ガイド凸部10は、二本形成され、フランジ部8より若干高く突設される。ヒュージブルリンク側ガイド凹部11は、二本のヒュージブルリンク側ガイド凸部10を並列に突設させることにより形成される。ヒュージブルリンク側ガイド凸部10の下端には、テーパ部13が設けられる。このようにテーパ部13が形成されることによって、後述するヒュージブルリンク1のキャビティ2に対する装着の際、装着がスムーズに行われる。
【0027】
リブ部12は、図2に示す如く、ヒュージブルリンク1の左側面1d及び右側面1eの上端部に設けられたフランジ部8において、二本のヒュージブルリンク側ガイド凸部10の上端に連続して形成される。リブ部12は、ヒュージブルリンク側ガイド凸部10と同等の高さでフランジ部8から突設される。リブ部12は、リブ部上端12aと、リブ部側面12bと、リブ部下端12cとを有する。リブ部上端12aは、フランジ部8の上端と連続して形成されており、リブ部上端12aとフランジ部8の上端とは、平坦に形成されている。リブ部下端12cは、リブ部上端12a及びフランジ部8の上端と平行に形成される。リブ部下端12cは、後述するヒューズプラー3の係合爪部23に形成されるリブ部下端係合部23aが係合される部分となっている。
【0028】
カバー部材5は、図2(a),(b)に示す如く、ハウジング6の開口部7に対して着脱自在に成形される。カバー部材5は、メンテナンス等の際に、ハウジング6内のヒューズエレメントの溶融の有無等の確認を可能とするため、透明な素材で成形される。カバー部材5には、係止凸部9に係止される係止凹部14が形成される。
【0029】
係止凹部14は、上記フランジ部8の中央において切り欠かれた部分と係合する大きさで、且つ、舌状の形状に形成される。係止凹部14は、上記フランジ部の中央において切り欠かれた部分に収まる大きさに形成される。係止凹部14には係止凸部9が係合される。
【0030】
キャビティ2は、図3に示す如く、略直方体に形成された略箱体の形状を有し、正面2aと、背面2bと、左側面2cと、右側面2dとからなる。キャビティ2の上面及び底面(図示せず)は、それぞれ、上面開口部15及び底面開口部(図示せず)として開口形成される。上面開口部15は、フランジ部8が嵌合する大きさに形成される。また、底面開口部はハウジング本体6が嵌合する大きさに形成される。キャビティ2の内側は、上面開口部15から底面開口部まで貫通され、ヒュージブルリンク1の挿抜を可能とするヒュージブルリンク装着部16として形成される。
【0031】
キャビティ2は、図3に示す如く、左側面2c及び右側面2dの上端部の中央に、略コ字状の切り欠き部17が形成される。切り欠き部17の幅は、リブ部12(図2参照)の幅と同等若しくはこれより若干広く形成される。
【0032】
ヒュージブルリンク装着部16は、フランジ部嵌合部16aと、ハウジング本体嵌合部16bとからなる。フランジ部嵌合部16aは、上部開口部15から切り欠き部17の中間の位置までの高さに形成される。フランジ部嵌合部16aは、フランジ部8の側面及び下端と接触する部分が形成される。ハウジング本体嵌合部16bは、切り欠き部17の中間の位置から底面開口部までの高さに形成される。
【0033】
ハウジング本体嵌合部16bにおける左側面2c及び右側面2dの内側には、切り欠き部17の下端からキャビティ2の下端の中央にかけて、キャビティ側ガイド凸部18及び二本のキャビティ側ガイド凹部19が形成される。キャビティ側ガイド凸部18は二本のキャビティ側ガイド凹部19に挟まれて形成される。キャビティ側ガイド凸部18は、ヒュージブルリンク側ガイド凹部11が係合されるように形成される。二本のキャビティ側ガイド凹部19は、ヒュージブルリンク側ガイド凸部10が係合されるように形成される。
【0034】
ヒュージブルリンク1のキャビティ2に対する装着は、先ず、二つのヒュージブルリンク側ガイド凸部10と二つのキャビティ側ガイド凹部19とが係合され、且つ、ヒュージブルリンク側ガイド凹部11とキャビティ側ガイド凸部18とが係合されることにより、ヒュージブルリンク1のキャビティ2に対する挿入の向きが規制され、挿入が開始される。
【0035】
そして、ヒュージブルリンク1を上部からキャビティ2のヒュージブルリンク装着部16に押し込み、ヒュージブルリンク1の上面1aがキャビティ2の上面開口部15の上端部と同じ位置に来るまで挿入することで、ヒュージブルリンク1のキャビティ2に対する装着は完了する。
【0036】
ヒュージブルリンク1がキャビティ2に装着されると、図6(a)に示す如く、キャビティ2に形成される切り欠き部17から、ヒュージブルリンク1のリブ部12及びヒュージブルリンク側ガイド凸部10と、ヒュージブルリンク側ガイド凹部11のそれぞれの上端の一部が露出される。
【0037】
ヒューズプラー3は、合成樹脂を射出成形することによって形成されており、図1、図4及び図5に示す如く、先端部20と、持ち手部21と、把持部25とからなる。
【0038】
先端部20は、ヒュージブルリンク1の側面及び上面1aに沿って略鉤状に形成される。先端部20は、係合爪部22と、リブ部側面接触部23と、ヒュージブルリンク上面接触部24とを有する。
【0039】
係合爪部22は、先端部20のヒュージブルリンク1の側面に沿って形成される部分の下端に突設され、リブ部下端係合部22aと、ヒュージブルリンク側面接触部22bと、テーパ部22cとを有する。
【0040】
リブ部下端係合部22aは、後述するヒュージブルリンク上面接触部24と平行に設けられる。リブ部下端係合部22aは、リブ部12のリブ部下端12c(図2参照)と同等の幅をもって形成される。このように形成することにより、ヒューズプラー3によってヒュージブルリンク1をキャビティ2から引き抜く際に、安定して引き抜くことができる。
【0041】
ヒュージブルリンク側面接触部22bは、リブ部下端係合部22aに連続し、且つ、ヒュージブルリンク1の側面に沿って形成される。ヒュージブルリンク側面接触部22bは、リブ部下端係合部22aがリブ部下端12cに係合する際、ヒュージブルリンク1の側面に接触するように形成される。このように形成することにより、係合爪部22のリブ部12に対する係合を確実に行うことができる。
【0042】
テーパ部22cは、先端部20の端末に連続して設けられ、ヒュージブルリンク側面接触部22bに行くにしたがって狭くなるように形成される。このように形成することにより、ヒューズプラー3をヒューズプラー収納部(図示せず)にスムーズに収納することができる。
【0043】
リブ部側面接触部23は、係合爪部22に連続して形成される。リブ部側面接触部23は、係合爪部22の幅と同等若しくはこれより広い幅をもって形成される。リブ部側面接触部23の高さは、リブ部12の高さと同等若しくはこれより若干広い間隔をもって形成される。
【0044】
ヒュージブルリンク上面接触部24は、図5(d)に示す如く、係合爪部22に連続するリブ部側面接触部23に連続して形成されるとともに、ヒュージブルリンク1の上面1aに沿って形成される。ヒュージブルリンク上面接触部24は、図5(e)に示す如く、係合爪部22の幅と同等若しくはこれより広い幅をもって形成される。ヒュージブルリンク上面接触部24の係合爪部22が突設される方向に対する距離は、図6(b)に示す如く、ヒュージブルリンク1の上面1aの中央までの範囲に伸ばすものとする。ヒュージブルリンク上面接触部24は、係合爪部22のリブ部下端係合部22aに対して平行に形成される。
【0045】
持ち手部21は、図5(c)に示す如く、ヒュージブルリンク上面接触部24に連続するとともに、係合爪部22から離れる方向に伸びて形成される。持ち手部21は、中央において、ヒューズプラー3の正面側と背面側とを緩やかな弧を描くように湾曲させ、且つ、側面が略く字形になるように形成される。図5(b)に示す如く、持ち手部21の幅は中央においてやや膨らみをもって形成され、且つ、先端部20の方向に行くにしたがって幅が狭くなるように形成される。このように形成することにより、持ち手部21を手で持ち易くなり、ヒュージブルリンク1をキャビティ2から引き抜く作業が安定する。持ち手部21の正面側の表面には、複数の滑り止め凸部26が突設される。このように形成することにより、持ち手部21を確実に持つことができ、ヒュージブルリンク1をキャビティ2から引き抜く作業が安定する。
【0046】
把持部25は、持ち手部21に連続し、ヒューズプラー3の上端の部分として形成される。把持部25は、側面が逆L字形に形成される。把持部25は、端末においてヒュージブルリンク上面接触部24に対して平行な突起部27が突設される。突起部27は、ヒューズプラー3を手で持った際に滑り止めとなるように形成される。このように形成することにより、突起部27が滑り止めとなり、ヒューズプラー3を確実に手で持つことができ、ヒュージブルリンク1をキャビティ2から引き抜く作業がより安定する。
【0047】
次に、ヒューズプラー3を用いてキャビティ2からヒュージブルリンク1を引き抜く際の作用について説明する。
【0048】
(1)ヒュージブルリンク上面接触部24がヒュージブルリンク1の上面1aに接している場合;
先ず、図1(a)に示す如く、ヒュージブルリンク1がキャビティ2に装着される状態において、キャビティ2の切り欠き部17から露出されるヒュージブルリンク1のリブ部12にヒューズプラー3の係合爪部22を係合させる。図6(b)に示す如く、ヒュージブルリンク上面接触部24とヒュージブルリンク1の上面1aとが接触する位置は、ヒュージブルリンク1の上面の中央付近であるものとする。そして、ヒューズプラー3の持ち手部21を手で持ち、真上に引き上げる。
【0049】
このヒュージブルリンク1の引き抜きの際に、ヒュージブルリンク1の片側のリブ部下端12cには、係合爪部22のリブ部下端係合部22aによって真上に対する力が加わるため、ヒュージブルリンク1には回転しようとする作用が働く。
【0050】
しかしながら、ヒュージブルリンク上面接触部24がヒュージブルリンク1の上面1aに接触しているため、ヒュージブルリンク1の回転する作用に対して反作用が働く。従って、ヒュージブルリンク1の回転を抑え、真っ直ぐ引き抜くことができる。
【0051】
(2)ヒュージブルリンク上面接触部24とヒュージブルリンク1の上面1aとの間に若干の隙間が存在する場合;
リブ部12と係合爪部22との係合及び引き上げまでの作業は上記(1)と同じであるため、説明を省略する。ヒューズプラー3を引き上げる際、ヒュージブルリンク上面接触部24とヒュージブルリンク1の上面1aとの間の隙間が若干の間隔が開いた程度のものであれば、ヒュージブルリンク1が若干回転しても ヒュージブルリンク上面接触部24とヒュージブルリンク1の上面1aの外縁(例えばリブ部上端12aやフランジ部8の上端等)とが接触する。
【0052】
そうすると、ヒュージブルリンク1の回転する作用に対して反作用が働く。従って、ヒュージブルリンク1を引き抜くことができる。
【0053】
以上、図1乃至図6を参照しながら説明してきたように、本発明のヒューズプラー3によれば、従来よりも簡素な構造であることから、ヒューズプラー3の収納スペースを削減することができる。また、ボックスの設計効率を良好にすることができる。また、ヒューズ及びヒュージブルリンク1の引き抜き作業を安定させることができる。
【0054】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1…ヒュージブルリンク
1a…上面,1b…正面 ,1c…背面,1d…左側面,1e…右側面
2…キャビティ
2a…正面,2b…背面,2c…左側面,2d…右側面
3…ヒューズプラー
4…ハウジング
5…カバー部材
6…ハウジング本体
7…開口部
8…フランジ部
9…係止凸部
10…ヒュージブルリンク側ガイド凸部
11…ヒュージブルリンク側ガイド凹部
12…リブ部
12a…リブ部上端,12b…リブ部側面,12c…リブ部下端
13…テーパ部
14…係止凹部
15…上部開口部
16…ヒュージブルリンク装着部
16a…フランジ部嵌合部,16b…ハウジング本体嵌合部
17…切り欠き部
18…キャビティ側ガイド凸部
19…キャビティ側ガイド凹部
20…先端部
21…持ち手部
22…係合爪部
22a…リブ部下端係合部,22b…ヒュージブルリンク側面接触部,22c…テーパ部
23…リブ部側面接触部
24…ヒュージブルリンク上面接触部
25…把持部
26…滑り止め凸部
27…突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部にヒューズ若しくはヒュージブルリンクの側面に形成されるリブ部と係合可能な係合爪部を設け、
該係合爪部に連続するとともに前記ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの前記側面及び上面に沿って形成され、且つ、前記係合爪部と同じ若しくは広い幅を有して前記上面と接触可能な上面接触部を設け、
さらに、該上面接触部に連続するとともに前記係合爪部から離れる方向に伸びる持ち手部を設ける
ことを特徴とするヒューズプラー。
【請求項2】
請求項1に記載のヒューズプラーにおいて、
前記上面接触部を、前記ヒューズ若しくはヒュージブルリンクの前記上面の中央まで伸ばす
ことを特徴とするヒューズプラー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のヒューズプラーにおいて、
前記係合爪部を、前記上面接触部に対して平行に突設する
ことを特徴とするヒューズプラー。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のヒューズプラーにおいて、
前記持ち手部の中央を湾曲して形成し、且つ、前記持ち手部の表面に複数の滑り止め用凸部を設ける
ことを特徴とするヒューズプラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−31898(P2013−31898A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168954(P2011−168954)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】