ヒンジ取付けユニット
【課題】筐体へのヒンジの取付け作業を容易にするヒンジ取付けユニットを提供する。
【解決手段】筺体1のヒンジ取付け用切欠き11にブラケット12を挿入し、筺体1の内面を構成する側板7の係合孔14a,14bにブラケット12の第一の爪部24a,24bを嵌めることによって、筺体1にブラケット12を仮固定することが可能になる。ブラケット12の案内面23a1,23b1に沿ってヒンジ4の固定片5をスライドさせ、ヒンジ4の固定片5の係合凹部44a,44bにブラケット12の第二の爪部24a,24bを嵌めることによって、ブラケット12にヒンジ4の固定片5を仮固定することが可能になる。筐体1にブラケット12を介してヒンジ4の固定片5を仮固定した状態で、締結部材50a,50bを用いてヒンジ4の固定片5を筺体1に本固定することが可能になる。
【解決手段】筺体1のヒンジ取付け用切欠き11にブラケット12を挿入し、筺体1の内面を構成する側板7の係合孔14a,14bにブラケット12の第一の爪部24a,24bを嵌めることによって、筺体1にブラケット12を仮固定することが可能になる。ブラケット12の案内面23a1,23b1に沿ってヒンジ4の固定片5をスライドさせ、ヒンジ4の固定片5の係合凹部44a,44bにブラケット12の第二の爪部24a,24bを嵌めることによって、ブラケット12にヒンジ4の固定片5を仮固定することが可能になる。筐体1にブラケット12を介してヒンジ4の固定片5を仮固定した状態で、締結部材50a,50bを用いてヒンジ4の固定片5を筺体1に本固定することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前面に開閉可能に扉を設けたロッカー、キャビネット、クローゼット等の戸棚(家具)に関し、特にヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
戸棚の筐体と扉との間には、扉を回転させて開閉するヒンジが設けられる。ヒンジは、筐体に取り付けられる固定片と、扉に取り付けられる可動片と、固定片と可動片とを連結する少なくとも一つの垂直軸を備える。
【0003】
ヒンジには、固定片と可動片とを一つの垂直軸で回転可能に連結したシンプルな構造のヒンジの他、例えば4節のヒンジ、6節のヒンジ等が存在する。4節のヒンジはリンクを4個備え、6節のヒンジはリンクを6個備える。4節のヒンジは扉を90°〜110°程度開くのに用いられ、6節ヒンジは扉を180°開くのに用いられる。
【0004】
ところで、従来のヒンジは筐体及び扉に以下のように取り付けられていた。最初に、ヒンジの可動片をねじによって扉に固定する。次に、ヒンジが一体化された扉を作業員が持ち上げながら、ヒンジの固定片を筐体の切欠きに挿入する。次に、筐体の内面側からねじを入れ、筐体の内面を構成する側板とヒンジの固定片とを締結する。ここで、筐体の側板には水平方向に二つの通し孔が空けられる。ヒンジの固定片には通し孔に対応した位置に二つのねじ孔が設けられる。筐体の側板とヒンジの固定片とを締結するとき、これらの通し孔及びねじ孔を位置決めした後、ねじ締めする必要がある。このようなヒンジの取付け方法は、例えば特許文献1に記載されており、一般的なヒンジの取付け方法になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−114710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のヒンジの取付け方法にあっては、筐体の通し孔とヒンジのねじ孔との位置決め作業、及び筐体と固定片とのねじ締め作業が、作業員が扉を持ち上げながらの作業になる。作業員が一人の場合、片手で扉を持ち上げながらもう一方の手でねじ締め作業を行う必要があり、作業性が悪いという課題がある。扉が大きく重い場合には、一人での作業が困難であり、二人で作業せざるを得なくなる。
【0007】
本発明は、従来のヒンジの取付け方法の課題を解決するものであり、筐体へのヒンジの取付け作業を容易にするヒンジ取付けユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットであって、筺体に取付け可能な固定片、扉に取付け可能な可動片、及び少なくとも一つの軸を有するヒンジと、弾性変形可能な第一及び第二の爪部、並びに前記ヒンジの固定片を案内可能な案内面を有し、前記第一の爪部が前記筺体に係合可能であり、前記第二の爪部が前記ヒンジの前記固定片に係合可能なブラケットと、を備え、前記筺体のヒンジ取付け用切欠きに前記ブラケットを挿入し、前記筺体の内面を構成する側板の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第一の爪部を嵌めることによって、前記筺体に前記ブラケットを仮固定することが可能になり、前記ブラケットの前記案内面に沿って前記ヒンジの固定片をスライドさせ、前記ヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第二の爪部を嵌めることによって、前記ブラケットに前記ヒンジの固定片を仮固定することが可能になり、前記筐体に前記ブラケットを介して前記ヒンジの固定片を仮固定した状態で、締結部材を用いて前記ヒンジの固定片を前記筺体に本固定することが可能になるヒンジ取付けユニットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筐体の側板の係合凹部又は係合孔にブラケットの第一の爪部が係合し、ブラケットの第二の爪部にヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔が係合するので、筐体にブラケットを介してヒンジの固定片を仮固定した状態で、作業員が扉から手を離しても筐体からヒンジの固定片が抜け落ちるのを防止できる。このため、作業員が扉から手を離した状態でヒンジの固定片を筐体に本固定することができ、筐体へのヒンジの取付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるヒンジユニットを取り付けた戸棚の斜視図(扉が開いた状態)
【図2】上記戸棚の斜視図(扉が閉じた状態)
【図3】ヒンジが取り付けられた戸棚の水平断面図(図3(a)は扉が閉じた状態を示し、図3(b)は扉が180°開いた状態を示す)
【図4】ヒンジの水平断面図(図4(a)は開き角度が0°の状態を示し、図4(b)は開き角度が90°の状態を示し、図4(c)は開き角度が180°の状態を示す)
【図5】180°開いた状態のヒンジの斜視図
【図6】ヒンジの分解斜視図
【図7】本実施形態のヒンジ取付けユニットを構成するブラケットの斜視図(図7(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図7(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図8】ヒンジのカップを扉に固定する工程図(図8(a)はカップを扉に固定する前の状態を示し、図8(b)はカップを扉2に固定した後の状態を示す)
【図9】ブラケットを筐体の切欠きに仮固定する工程図(図9(a)はブラケットを筐体に仮固定する前の状態を示し、図9(b)はブラケットを筐体に仮固定した後の状態を示す)
【図10】ヒンジの固定片を筐体に固定する工程図(図10(a)はヒンジの固定片を筐体の切欠きに挿入する前の状態を示し、図10(b)はヒンジの固定片を筐体の切欠きに仮固定した状態を示し、図10(c)はヒンジの固定片を筐体にねじ締結により本固定した状態を示す)
【図11】ブラケット及び固定片の背面図
【図12】本発明の第二の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図12(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図12(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図13】ヒンジの固定片をブラケットに挿入する状態を示す斜視図
【図14】本発明の第三の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図14(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図14(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図15】本発明の第四の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図15(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図15(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の第一の実施形態におけるヒンジ取付けユニットを詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態のヒンジ取付けユニットを取り付けた戸棚の斜視図を示す。図1は扉が開いた状態を示し、図2は扉が閉じた状態を示す。
【0012】
図1に示すように、筐体1は前面が開放された直方体形状に形成される。筐体1は底壁1a、左右の側壁1b、背面壁1d及び天井壁1cを有し、三方が壁で囲まれる。筐体1の前面には、観音開きの左右の扉2が設けられる。左右の扉2は中央から両側に開く。筐体1の左右の側壁1bそれぞれの内面には、上下一対のヒンジ4が設けられる。扉2の開き動作はヒンジによって案内される。この実施形態の扉2は閉じた状態から180°開くようになっている。図1には向かって左側の扉2が90°開いた状態が示されている。
【0013】
ヒンジ4は、固定片5と、固定片5に対して回転する可動片としてのカップ6、を備える。ヒンジ4の固定片5は筐体1に取り付けられる。筐体1の側壁1bには、筐体1の内面を構成する側板7が設けられる(図9(a)も参照)。側板7は上下方向に伸びている。図9(a)に示すように、側板7は、筐体1の側壁の外面を構成する側板9、及び筐体1の前面を構成する端部板10と協働して、ヒンジ4の固定片5が挿入される固定片収容部を画定する。端部板10には、ヒンジ4の固定片5を挿入するための矩形状の切欠き11が形成される。
【0014】
図9(a)に示すように、側板7には水平方向に細長い矩形状の凹部18が形成される。詳しくは後述するが、この凹部18は切欠き11内にブラケット12及びヒンジ4の固定片5を挿入するときのガイドとして機能する。凹部18には水平方向に一対の通し孔13a,13bが空けられる。この通し孔13a,13bはヒンジ4の固定片5をねじ締結するときに利用される。凹部18の上下には一対の係合孔14a,14bが空けられる。この係合孔14a,14bは筐体1にブラケット12を仮固定するのに利用される。係合孔14a,14bの替わりに底のある係合凹部を形成してもよい。
【0015】
図1に示すように、ヒンジ4のカップ6は扉2に取り付けられる。カップ6にはフランジ6aが形成され、フランジ6aには上下に一対の通し孔6a1,6a2が空けられる(図8(a)参照)。図8(a)に示すように、扉2にはカップ6を収容するカップ収容部15が形成される。カップ収容部15には通し孔6a1,6a2に対応した位置にねじ孔15−1,15−2が設けられる。扉2の端部板17には、カップ6を挿入するための切欠き16が形成される。扉2を閉めた状態でこの切欠きが露出すると見栄えが悪くなるので、ブラケットには扉2の切欠き16を塞ぐ化粧板21が設けられる(図7(a)参照)。
【0016】
図3はヒンジ4が取り付けられた戸棚の水平断面図を示す。図3(a)は扉2が閉じた状態を示し、図3(b)は扉2が180°開いた状態を示す。ヒンジ4の固定片5は筐体1の固定片収容部1eに収容される。ヒンジ4のカップ6は扉2のカップ収容部15に収容される。ヒンジ4は扉2を閉じた状態から180°まで開く。この実施形態では、ヒンジには6節のヒンジが使用される。6節のヒンジは、扉2の開き角度を大きくできるように、扉2を前方に移動させながら開くという特徴を持つ。
【0017】
図4は、本実施形態で用いられるヒンジ4の水平断面図を示す。図4(a)は開き角度が0°の状態を示し、図4(b)は開き角度が90°の状態を示し、図4(c)は開き角度が180°の状態を示す。図4(b)に示すように、6節のヒンジ4の全体構造はパンタグラフを上下に二つ組み合わせたようになっている。リンクの個数は固定片5及びカップ6を含めて6個である。6個のリンクは全て回り対偶で連結されている。軸の数は全部で7つある。
【0018】
固定片5には、第一及び第二リンク31,32が回転可能に取り付けられる。第二リンク32の先端には第三リンク33が回転可能に取り付けられる。第一リンク31と第三リンク33とはリンクの長さ方向の途中で互いに回転可能に連結される。固定片5、第一〜第三リンク31〜33でパンタグラフのようなひし形が形成される。
【0019】
第三リンク33の先端にはカップ6が回転可能に連結される。第一リンク31の先端には第四リンク34が回転可能に連結される。第四リンク34の先端にもカップ6が回転可能に連結される。第一リンク31、第三リンク33、第四リンク34及びカップ6によってパンタグラフのようなひし形が形成される。第一〜第四リンク31〜34の長さは固定片5に対してカップ6を180°回転させることができるような長さに設定される。
【0020】
第四リンク34内には補助リンク35が組み込まれる。補助リンク35はコイルばね36及び開閉カム37の作用によって、開き角度が0°及び90°になったときに一旦カップ6を停止させる機能を持つ。第四リンク34と補助リンク35との間には、コイルばね36が圧縮されて挿入される。補助リンク35はコイルばね36によって開閉カム37の方向に押し付けられる。補助リンク35にはストッパ35aが設けられる。ストッパ35aはコイルばね36によって開閉カム37に押し付けられる。開閉カム37は、円弧状の外周上に全閉ストッパ部37a、及び90°ストッパ部37bを備える。
【0021】
図5は180°開いた状態のヒンジ4の斜視図を示す。ヒンジ4の固定片5は断面コ字形のチャンネル状に形成される本体部41と、本体部41の開口を塞ぐ蓋部42と、を備える。本体部41と蓋部42とは調整ねじ43によって一体化される。固定片5の本体部の底部には、一対の係合凹部44a,44bが形成される。この一対の係合凹部44a,44bに後述するブラケット12の第二の爪部24a,24b(図7参照)が嵌まる。係合凹部44a,44bの替わりに固定片5を貫通する係合孔を形成してもよい。
【0022】
図6はヒンジ4の分解斜視図を示す。固定片5の本体部41は長手方向の一端部に長孔41aを備え、長手方向の他端部に軸孔41bを備える。本体部41と蓋部42とは軸51によって回転可能に連結されると共に、調整ねじ43によって一体化される。調整ねじ43を回すと、蓋部42は本体部41に対して軸51の回りを回転する。これにより、扉2が全閉状態のときに、扉2と筐体1との間に隙間ができた場合に、隙間をなくすように調整することが可能となっている。本体部41には一対のねじ孔41c1,42c2が設けられる。本体部41は筐体1の側板7に接触し、ねじによって筐体1の側板7に固定される。
【0023】
本体部41の長孔41aには軸52が挿通される。この軸52は蓋部42の軸孔42aにも挿通される。軸52には第二リンク32が回転可能に取り付けられる。第二リンク32は本体部41に対して回転可能なだけではなく、長孔41aの長さ方向に移動可能になっている。調整ねじ43で蓋部42の位置を調整したときに対応するためである。
【0024】
蓋部42の軸孔42bには軸53が挿通され、この軸53には第一リンク31が回転可能に取り付けられる。第二リンク32の軸孔32aには軸54が挿通され、この軸54には第三リンク33が回転可能に取り付けられる。第一リンク31及び第三リンク33の長さ方向の途中には軸孔31a,33aが設けられ、第一リンク31及び第三リンク33には軸55が挿通される。第一リンク31及び第三リンク33は互いに回転可能に連結される。
【0025】
第一リンク31の軸孔31bには軸56が挿通され、この軸56には第四リンク34が回転可能に取り付けられる。第四リンク34の先端には軸57を介してカップ6が回転可能に取り付けられる。第三リンク33の先端にも軸58を介してカップ6が回転可能に取り付けられる。第四リンク34には、補助リンク35が組み込まれる。補助リンク35に設けられるストッパ35aは、コイルばね36によってカップ6の開閉カム37に付勢される。
【0026】
カップ6は収容凹部6bを有し、扉2を閉じたときにカップ6の収容凹部6bに第一〜第四リンク31〜34が収容されるようになっている(図4(a)参照)。
【0027】
第一〜第四リンク31〜34の相互の回転により、固定片5に対してカップ6が180°回転可能となる。第一〜第四のリンク31〜34の回転中心となる軸52〜58は垂直方向を向く垂直軸である。これらの軸52〜58は、固定片5に対してカップ6を回転させるときの回転軸として機能する。
【0028】
図7は、本実施形態のヒンジ取付けユニットを構成するブラケット12の斜視図を示す。このブラケット12はヒンジ4の固定片5を筐体1に仮固定するのに用いられる。図中にブラケット12が筐体1に取り付けられた状態での筐体1の上下方向及び奥行方向を図中矢印で示す。図7(a)はブラケット12の正面側の斜視図を示し、図7(b)はブラケット12の裏面側の斜視図を示す。
【0029】
ブラケット12は合成樹脂製であり、断面コ字形状の本体部22と、板状の化粧板21と、を備える。本体部22は、対向する一対のガイド壁部23a,23bと、一対のガイド壁部23a,23bを連結する底壁部25と、を備える。ブラケット12を筐体1に仮固定した状態で、本体部22は筐体1の内面を構成する側板7と外面を構成する側板9との間に挟まれる(図9(a)参照)。一対のガイド壁部23a,23bの内面は平行な一対の案内面23a1,23b1となる。この一対の案内面23a1,23b1は筐体1の側板7と直交する。一対の案内面23a1,23b1は、固定片5の上下方向の一対の側面5a,5b(図10(a)参照)に接触して、固定片5が筐体1の奥方向にスライドするのを案内する。化粧板21は四角形に形成される。ブラケット12を筐体1に仮固定した状態で化粧板21は筐体1の側板9に平行である(図10(a)参照)。
【0030】
図7(a)に示すように、一対のガイド壁部23a,23bの上端には、一対のガイド壁部23a,23bからガイド壁部23a,23bに直交する方向に外側に張り出し、筐体1の側板7に接触可能な一対のフランジ壁部26a,26bが設けられる。一対のフランジ壁部26a,26bそれぞれには、筐体1の側板7の係合孔14aに係合可能な第一の爪部27a,27bが設けられる。第一の爪部27a,27bはガイド壁部23a,23bがヒンジ4の固定片5を案内する方向の端部に設けられる。第一の爪部27a,27bは側面が三角形に形成され、フランジ壁部26a,26bから図7(a)の上方に突出する。第一の爪部27a,27bは筐体1の奥行き方向に向かって尖がった三角形に形成されていて、第一の爪部27a,27bが筐体1の係合孔14a,14bに係合したとき、ブラケット12が筐体1から容易に抜けないようになっている。
【0031】
フランジ壁部26a,26bには、第一の爪部27a,27bが片持ち支持された梁状に形成されるようにスリット28a,28bが設けられる。第一の爪部27a,27bをフランジ壁部に設け、かつフランジ壁部26a,26bにスリット28a,28bを設けることで、第一の爪部27a,27bを容易に弾性変形させることが可能になる。フランジ壁部26a,26bの奥行き方向とは反対側の端部には、筐体1の端部板10に突き当てられる突き当て壁部29が形成される。
【0032】
ガイド壁部23a,23bの下端には、フランジ壁部26a,26bと高低差を付けてヒンジ4の固定片5の底部を案内可能な一対の底部案内壁部30a,30bが設けられる。この底部案内壁部30a,30bは、ガイド壁部23a,23bからガイド壁部23a,23bに直交する方向に内側に張り出す。底部案内壁部30a,30bには、ヒンジ4の固定片5の係合凹部44a,44bと係合する第二の爪部24a,24bが設けられる。第二の爪部24a,24bは、底部案内壁部30a,30bの、ガイド壁部23a,23bがヒンジ4の固定片5を案内する方向の途中に設けられる。第二の爪部24a,24bは側面が略三角形状に形成され、底部案内壁部30a,30bの上方に突出する。第二の爪部24a,24bの三角形は筐体1の奥行き方向と反対方向に向かって尖がった三角形に形成されていて、第二の爪部24a,24bがヒンジ4の固定片5に係合したとき、ヒンジ4の固定片5から容易には抜けないようになっている。ガイド壁部23a,23bと底部案内壁部30a,30bによって形成される角には、第二の爪部24a,24bが両持ち支持された梁状に形成されるようにスリット23a2,23b2が設けられる。第二の爪部24a,24bを底部案内壁部30a,30bに設け、角にスリット23a2,23b2を設けることで、第二の爪部24a,24bを容易に弾性変形させることが可能になる。
【0033】
ヒンジ4を戸棚の扉2及び筐体1に取り付ける方法は下記のとおりである。まず、ヒンジ4の可動片であるカップ6を扉2にねじ締結する。次に、筐体1にブラケット12を仮固定する。なお、カップ6の扉2へのねじ締結と筐体1へのブラケット12の仮固定との順番は逆でもよい。次に、ヒンジ4が一体化された扉2を持ち上げ、ヒンジ4の固定片5をブラケット12が仮固定された筐体1の切欠き11に挿入する。これにより、ヒンジ4の固定片5が筐体1の切欠きに仮固定され、扉2から手を離してもヒンジ4の固定片5が筐体1から脱落しなくなる。最後に、ヒンジ4の固定片5を筐体1の側板7にねじにより本固定する。ヒンジ4の固定片5を筐体1に本固定した後もブラケット12はそのまま残される。ブラケット12には化粧板21が設けられていて、ブラケット12の化粧板21は閉じた状態の扉2の切欠き16を覆って切欠きが露出するのを防止する。
【0034】
以下に取付け方法をより詳細に説明する。図8はヒンジ4のカップ6を扉2に固定する工程図を示す。図8(a)はカップ6を扉2に固定する前の状態を示し、図8(b)はカップ6を扉2に固定した後の状態を示す。扉2に形成されたカップ収容部15にカップ6を収容すると、カップ6のフランジ6aの通し孔6a1,6a2とカップ収容部15のねじ孔15−1,15−2が位置決めされる。この状態でこれらはねじ締結により固定される。
【0035】
図9はブラケット12を筐体1の切欠きに仮固定する工程図を示す。図9(a)はブラケット12を筐体1に仮固定する前の状態を示し、図9(b)はブラケット12を筐体1に仮固定した後の状態を示す。筐体1の端部板10に形成された切欠き11にブラケット12を挿入すると、ブラケット12は筐体1の凹部18に案内されながら筐体1の奥方向に移動する。ブラケット12の第一の爪部27a,27bは、筐体1の内側方向へフランジ壁部26a,26bよりわずかに突き出ており、ブラケット12が切欠き11内へ挿入されるとき、第一の爪部27a,27bが弾性変形し、筐体1の外側方向へ撓む。ブラケット12の挿入が進行し、第一の爪部27a,27bが側板7に設けられた係合孔14a,14bまで達すると、第一の爪部27a,27bは弾性により元の位置に復元し、係合孔14a,14bと係合する。このため、奥行き方向の適切な位置でブラケット12を筐体1に仮固定することができる。第一の爪部27a,27bが側板7の係合孔14a,14bと係合した状態では、ブラケット12は切欠き11から抜けることはない。
【0036】
図10はヒンジ4の固定片5を筐体1に固定する工程図を示す。図10(a)はヒンジ4の固定片5を筐体1の切欠き11に挿入する前の状態を示し、図10(b)はヒンジ4の固定片5を筐体1の切欠き11に仮固定した状態を示し、図10(c)はヒンジ4の固定片5を筐体1にねじ締結により本固定した状態を示す。
【0037】
図10(a)に示すように、ヒンジ4は、開閉カム37(図4(a)参照)によって90°開いた位置で安定した状態にあり、固定片5は扉2と平行に保たれている。扉2を持ち上げながら、ブラケット12が仮固定された筐体1の切欠き11にヒンジ4の固定片5を挿入すると、ヒンジ4の固定片5の上下の一対の側面5a,5bがブラケット12の一対の案内面23a1,23b1に案内されながら、ヒンジ4の固定片5は筐体1の奥方向に移動する。固定片5は合成樹脂製のブラケット12に案内されるので滑らかに移動する。
【0038】
ブラケット12の第二の爪部24a,24b(図7(a)参照)は、筐体1の内側方向へ底部案内壁部30a,30bよりわずかに突き出ており、固定片5が筐体1の切欠き内へ挿入されるとき、第二の爪部24a,24bは弾性変形し、筐体1の外側方向へ撓む。固定片5の挿入が進行し、図11に示すように、固定片5の係合凹部44a,44bがブラケット12に設けられた第二の爪部24a,24bの位置まで移動すると、第二の爪部24a,24bは弾性により元の位置に復元し、固定片5の係合凹部44a,44bと係合する。このため、奥行き方向の適切な位置で固定片5をブラケット12に仮固定することができる。また、図10(b)に示すように、この位置まで固定片5をブラケット12に挿入すれば、扉2から手を放しても、扉2が落下することはなく、なおかつ、筐体1の側板7に設けられた一対の通し孔13a,13bと、固定片5の一対のねじ孔41c1,41c2との位置が合うようになる。このため、図10(c)に示すように、固定片5を筐体1の側板7に容易にねじ50a,50bで締結することができる。
【0039】
なお、図10(a)に示すように、ブラケット12に設けられた備えられた化粧板21は、側板9と平行な位置にあり、ヒンジ4の動作に干渉することなく、扉2が全閉状態になったとき、扉2のカップ収容部15に重なるようになっており、見栄えをよくする。
【0040】
図12は、本発明の第二の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット61を示す。この実施形態では、第二の爪部62a,62bの位置が第一の実施形態のブラケット12と異なっているが、他の構成は第一の実施形態のブラケットと同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。この実施形態では、第二の爪部62a,62bは一対のガイド壁部23a,23bの内面に設けられる。図13に示すように、ヒンジ4の固定片5の上下一対の側面には、第二の爪部62a,62bに嵌まる係合凹部63a,63bが形成される。ヒンジ取付けユニットの取付け方法は第一の実施形態のヒンジ取付けユニットと同一である。
【0041】
図14は、本発明の第三の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット71を示す。この実施形態では、第二の爪部24a,24bを両持支持された梁状に形成するためのスリット23a2,23b2の位置が第一の実施形態のブラケットと相違する。この実施形態では、スリット23a2,23b2がヒンジ4の固定片5の底部を案内可能な一対の底部案内壁部30a,30bに形成される。その他の構成は第一の実施形態のブラケットと同一なので同一の符号を附してその説明を省略する。
【0042】
図15は、本発明の第四の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット81を示す。この実施形態のブラケット81は第二の実施形態のブラケット61と類似しているが、一対のガイド壁部82a,82bの上端部のフランジ壁部83を繋ぎ合わせて、また一対のガイド壁部82a,82bの下端部の底壁部84を繋ぎ合わせている点が相違する。一対のガイド壁部82a,82b、フランジ壁部83、及び底壁部84によって、断面四角形の案内路が形成される。この案内路85にヒンジ4の固定片5が挿入される。フランジ壁部83には、一対の第一の爪部86a,86bが形成される。第一の爪部86a,86bの周囲には、第一の爪部86a,86bが片持ち支持された梁状に形成されるようにスリット87a,87bが形成される。フランジ壁部83には、ヒンジの固定片5を筐体1の側板7に締結するためのねじ50a,50b(図10(c)参照)が通される通し孔91a,91bが形成される。第二の爪部88a,88bは一対のガイド壁部82a,82bの内面に形成される。一対のガイド壁部82a,82b、フランジ壁部83、及び底壁部84から構成されるブラケット本体90には、化粧板89が結合される。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。
【0044】
例えば、ヒンジには、固定片と可動片とを一つの軸で回転可能に連結したシンプルな構造のヒンジの他、4節等様々なタイプのヒンジを用いることができる。また、回り対偶の少なくとも一つをすべり対偶で置き換えてもよい。
【0045】
上記実施形態では、最初に筐体にブラケットを仮固定し、その後ブラケットにヒンジの固定片を仮固定している。しかし、最初にブラケットにヒンジの固定片を仮固定し、その後ブラケットを筐体に仮固定してもよい。
【0046】
本発明はヒンジのカップを扉に取り付けた後、ヒンジの固定片を筐体に取り付けるときに取付け作業を効果的に容易にするが、扉と一体化されていないヒンジを筐体に取り付けるときにも適用できる。ブラケットによって筐体の通し孔とヒンジのねじ孔とを正確に位置決めできるからである。
【0047】
ブラケットの形状は一例であり、その形状は本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更できる。
【符号の説明】
【0048】
1…筐体
2…扉
4…ヒンジ
5…固定片
5a,5b…固定片の上下一対の側面
6…カップ(可動片)
7…側板
10…端部板
12…ブラケット
14a,14b…係合孔
23a,23b…ガイド壁部
23a2,23b2…スリット
24a,24b…第二の爪部
26a,26b…フランジ壁部
27a,27b…第一の爪部
28a,28b…スリット
30a,30b…底部案内壁部
44a,44b…係合凹部
50a,50b…ねじ(締結部材)
61…ブラケット
62a,62b…第二の爪部
63a,63b…係合凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前面に開閉可能に扉を設けたロッカー、キャビネット、クローゼット等の戸棚(家具)に関し、特にヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
戸棚の筐体と扉との間には、扉を回転させて開閉するヒンジが設けられる。ヒンジは、筐体に取り付けられる固定片と、扉に取り付けられる可動片と、固定片と可動片とを連結する少なくとも一つの垂直軸を備える。
【0003】
ヒンジには、固定片と可動片とを一つの垂直軸で回転可能に連結したシンプルな構造のヒンジの他、例えば4節のヒンジ、6節のヒンジ等が存在する。4節のヒンジはリンクを4個備え、6節のヒンジはリンクを6個備える。4節のヒンジは扉を90°〜110°程度開くのに用いられ、6節ヒンジは扉を180°開くのに用いられる。
【0004】
ところで、従来のヒンジは筐体及び扉に以下のように取り付けられていた。最初に、ヒンジの可動片をねじによって扉に固定する。次に、ヒンジが一体化された扉を作業員が持ち上げながら、ヒンジの固定片を筐体の切欠きに挿入する。次に、筐体の内面側からねじを入れ、筐体の内面を構成する側板とヒンジの固定片とを締結する。ここで、筐体の側板には水平方向に二つの通し孔が空けられる。ヒンジの固定片には通し孔に対応した位置に二つのねじ孔が設けられる。筐体の側板とヒンジの固定片とを締結するとき、これらの通し孔及びねじ孔を位置決めした後、ねじ締めする必要がある。このようなヒンジの取付け方法は、例えば特許文献1に記載されており、一般的なヒンジの取付け方法になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−114710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のヒンジの取付け方法にあっては、筐体の通し孔とヒンジのねじ孔との位置決め作業、及び筐体と固定片とのねじ締め作業が、作業員が扉を持ち上げながらの作業になる。作業員が一人の場合、片手で扉を持ち上げながらもう一方の手でねじ締め作業を行う必要があり、作業性が悪いという課題がある。扉が大きく重い場合には、一人での作業が困難であり、二人で作業せざるを得なくなる。
【0007】
本発明は、従来のヒンジの取付け方法の課題を解決するものであり、筐体へのヒンジの取付け作業を容易にするヒンジ取付けユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットであって、筺体に取付け可能な固定片、扉に取付け可能な可動片、及び少なくとも一つの軸を有するヒンジと、弾性変形可能な第一及び第二の爪部、並びに前記ヒンジの固定片を案内可能な案内面を有し、前記第一の爪部が前記筺体に係合可能であり、前記第二の爪部が前記ヒンジの前記固定片に係合可能なブラケットと、を備え、前記筺体のヒンジ取付け用切欠きに前記ブラケットを挿入し、前記筺体の内面を構成する側板の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第一の爪部を嵌めることによって、前記筺体に前記ブラケットを仮固定することが可能になり、前記ブラケットの前記案内面に沿って前記ヒンジの固定片をスライドさせ、前記ヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第二の爪部を嵌めることによって、前記ブラケットに前記ヒンジの固定片を仮固定することが可能になり、前記筐体に前記ブラケットを介して前記ヒンジの固定片を仮固定した状態で、締結部材を用いて前記ヒンジの固定片を前記筺体に本固定することが可能になるヒンジ取付けユニットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筐体の側板の係合凹部又は係合孔にブラケットの第一の爪部が係合し、ブラケットの第二の爪部にヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔が係合するので、筐体にブラケットを介してヒンジの固定片を仮固定した状態で、作業員が扉から手を離しても筐体からヒンジの固定片が抜け落ちるのを防止できる。このため、作業員が扉から手を離した状態でヒンジの固定片を筐体に本固定することができ、筐体へのヒンジの取付け作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるヒンジユニットを取り付けた戸棚の斜視図(扉が開いた状態)
【図2】上記戸棚の斜視図(扉が閉じた状態)
【図3】ヒンジが取り付けられた戸棚の水平断面図(図3(a)は扉が閉じた状態を示し、図3(b)は扉が180°開いた状態を示す)
【図4】ヒンジの水平断面図(図4(a)は開き角度が0°の状態を示し、図4(b)は開き角度が90°の状態を示し、図4(c)は開き角度が180°の状態を示す)
【図5】180°開いた状態のヒンジの斜視図
【図6】ヒンジの分解斜視図
【図7】本実施形態のヒンジ取付けユニットを構成するブラケットの斜視図(図7(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図7(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図8】ヒンジのカップを扉に固定する工程図(図8(a)はカップを扉に固定する前の状態を示し、図8(b)はカップを扉2に固定した後の状態を示す)
【図9】ブラケットを筐体の切欠きに仮固定する工程図(図9(a)はブラケットを筐体に仮固定する前の状態を示し、図9(b)はブラケットを筐体に仮固定した後の状態を示す)
【図10】ヒンジの固定片を筐体に固定する工程図(図10(a)はヒンジの固定片を筐体の切欠きに挿入する前の状態を示し、図10(b)はヒンジの固定片を筐体の切欠きに仮固定した状態を示し、図10(c)はヒンジの固定片を筐体にねじ締結により本固定した状態を示す)
【図11】ブラケット及び固定片の背面図
【図12】本発明の第二の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図12(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図12(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図13】ヒンジの固定片をブラケットに挿入する状態を示す斜視図
【図14】本発明の第三の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図14(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図14(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【図15】本発明の第四の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケットを示す斜視図(図15(a)はブラケットの正面側の斜視図を示し、図15(b)はブラケットの裏面側の斜視図を示す)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の第一の実施形態におけるヒンジ取付けユニットを詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態のヒンジ取付けユニットを取り付けた戸棚の斜視図を示す。図1は扉が開いた状態を示し、図2は扉が閉じた状態を示す。
【0012】
図1に示すように、筐体1は前面が開放された直方体形状に形成される。筐体1は底壁1a、左右の側壁1b、背面壁1d及び天井壁1cを有し、三方が壁で囲まれる。筐体1の前面には、観音開きの左右の扉2が設けられる。左右の扉2は中央から両側に開く。筐体1の左右の側壁1bそれぞれの内面には、上下一対のヒンジ4が設けられる。扉2の開き動作はヒンジによって案内される。この実施形態の扉2は閉じた状態から180°開くようになっている。図1には向かって左側の扉2が90°開いた状態が示されている。
【0013】
ヒンジ4は、固定片5と、固定片5に対して回転する可動片としてのカップ6、を備える。ヒンジ4の固定片5は筐体1に取り付けられる。筐体1の側壁1bには、筐体1の内面を構成する側板7が設けられる(図9(a)も参照)。側板7は上下方向に伸びている。図9(a)に示すように、側板7は、筐体1の側壁の外面を構成する側板9、及び筐体1の前面を構成する端部板10と協働して、ヒンジ4の固定片5が挿入される固定片収容部を画定する。端部板10には、ヒンジ4の固定片5を挿入するための矩形状の切欠き11が形成される。
【0014】
図9(a)に示すように、側板7には水平方向に細長い矩形状の凹部18が形成される。詳しくは後述するが、この凹部18は切欠き11内にブラケット12及びヒンジ4の固定片5を挿入するときのガイドとして機能する。凹部18には水平方向に一対の通し孔13a,13bが空けられる。この通し孔13a,13bはヒンジ4の固定片5をねじ締結するときに利用される。凹部18の上下には一対の係合孔14a,14bが空けられる。この係合孔14a,14bは筐体1にブラケット12を仮固定するのに利用される。係合孔14a,14bの替わりに底のある係合凹部を形成してもよい。
【0015】
図1に示すように、ヒンジ4のカップ6は扉2に取り付けられる。カップ6にはフランジ6aが形成され、フランジ6aには上下に一対の通し孔6a1,6a2が空けられる(図8(a)参照)。図8(a)に示すように、扉2にはカップ6を収容するカップ収容部15が形成される。カップ収容部15には通し孔6a1,6a2に対応した位置にねじ孔15−1,15−2が設けられる。扉2の端部板17には、カップ6を挿入するための切欠き16が形成される。扉2を閉めた状態でこの切欠きが露出すると見栄えが悪くなるので、ブラケットには扉2の切欠き16を塞ぐ化粧板21が設けられる(図7(a)参照)。
【0016】
図3はヒンジ4が取り付けられた戸棚の水平断面図を示す。図3(a)は扉2が閉じた状態を示し、図3(b)は扉2が180°開いた状態を示す。ヒンジ4の固定片5は筐体1の固定片収容部1eに収容される。ヒンジ4のカップ6は扉2のカップ収容部15に収容される。ヒンジ4は扉2を閉じた状態から180°まで開く。この実施形態では、ヒンジには6節のヒンジが使用される。6節のヒンジは、扉2の開き角度を大きくできるように、扉2を前方に移動させながら開くという特徴を持つ。
【0017】
図4は、本実施形態で用いられるヒンジ4の水平断面図を示す。図4(a)は開き角度が0°の状態を示し、図4(b)は開き角度が90°の状態を示し、図4(c)は開き角度が180°の状態を示す。図4(b)に示すように、6節のヒンジ4の全体構造はパンタグラフを上下に二つ組み合わせたようになっている。リンクの個数は固定片5及びカップ6を含めて6個である。6個のリンクは全て回り対偶で連結されている。軸の数は全部で7つある。
【0018】
固定片5には、第一及び第二リンク31,32が回転可能に取り付けられる。第二リンク32の先端には第三リンク33が回転可能に取り付けられる。第一リンク31と第三リンク33とはリンクの長さ方向の途中で互いに回転可能に連結される。固定片5、第一〜第三リンク31〜33でパンタグラフのようなひし形が形成される。
【0019】
第三リンク33の先端にはカップ6が回転可能に連結される。第一リンク31の先端には第四リンク34が回転可能に連結される。第四リンク34の先端にもカップ6が回転可能に連結される。第一リンク31、第三リンク33、第四リンク34及びカップ6によってパンタグラフのようなひし形が形成される。第一〜第四リンク31〜34の長さは固定片5に対してカップ6を180°回転させることができるような長さに設定される。
【0020】
第四リンク34内には補助リンク35が組み込まれる。補助リンク35はコイルばね36及び開閉カム37の作用によって、開き角度が0°及び90°になったときに一旦カップ6を停止させる機能を持つ。第四リンク34と補助リンク35との間には、コイルばね36が圧縮されて挿入される。補助リンク35はコイルばね36によって開閉カム37の方向に押し付けられる。補助リンク35にはストッパ35aが設けられる。ストッパ35aはコイルばね36によって開閉カム37に押し付けられる。開閉カム37は、円弧状の外周上に全閉ストッパ部37a、及び90°ストッパ部37bを備える。
【0021】
図5は180°開いた状態のヒンジ4の斜視図を示す。ヒンジ4の固定片5は断面コ字形のチャンネル状に形成される本体部41と、本体部41の開口を塞ぐ蓋部42と、を備える。本体部41と蓋部42とは調整ねじ43によって一体化される。固定片5の本体部の底部には、一対の係合凹部44a,44bが形成される。この一対の係合凹部44a,44bに後述するブラケット12の第二の爪部24a,24b(図7参照)が嵌まる。係合凹部44a,44bの替わりに固定片5を貫通する係合孔を形成してもよい。
【0022】
図6はヒンジ4の分解斜視図を示す。固定片5の本体部41は長手方向の一端部に長孔41aを備え、長手方向の他端部に軸孔41bを備える。本体部41と蓋部42とは軸51によって回転可能に連結されると共に、調整ねじ43によって一体化される。調整ねじ43を回すと、蓋部42は本体部41に対して軸51の回りを回転する。これにより、扉2が全閉状態のときに、扉2と筐体1との間に隙間ができた場合に、隙間をなくすように調整することが可能となっている。本体部41には一対のねじ孔41c1,42c2が設けられる。本体部41は筐体1の側板7に接触し、ねじによって筐体1の側板7に固定される。
【0023】
本体部41の長孔41aには軸52が挿通される。この軸52は蓋部42の軸孔42aにも挿通される。軸52には第二リンク32が回転可能に取り付けられる。第二リンク32は本体部41に対して回転可能なだけではなく、長孔41aの長さ方向に移動可能になっている。調整ねじ43で蓋部42の位置を調整したときに対応するためである。
【0024】
蓋部42の軸孔42bには軸53が挿通され、この軸53には第一リンク31が回転可能に取り付けられる。第二リンク32の軸孔32aには軸54が挿通され、この軸54には第三リンク33が回転可能に取り付けられる。第一リンク31及び第三リンク33の長さ方向の途中には軸孔31a,33aが設けられ、第一リンク31及び第三リンク33には軸55が挿通される。第一リンク31及び第三リンク33は互いに回転可能に連結される。
【0025】
第一リンク31の軸孔31bには軸56が挿通され、この軸56には第四リンク34が回転可能に取り付けられる。第四リンク34の先端には軸57を介してカップ6が回転可能に取り付けられる。第三リンク33の先端にも軸58を介してカップ6が回転可能に取り付けられる。第四リンク34には、補助リンク35が組み込まれる。補助リンク35に設けられるストッパ35aは、コイルばね36によってカップ6の開閉カム37に付勢される。
【0026】
カップ6は収容凹部6bを有し、扉2を閉じたときにカップ6の収容凹部6bに第一〜第四リンク31〜34が収容されるようになっている(図4(a)参照)。
【0027】
第一〜第四リンク31〜34の相互の回転により、固定片5に対してカップ6が180°回転可能となる。第一〜第四のリンク31〜34の回転中心となる軸52〜58は垂直方向を向く垂直軸である。これらの軸52〜58は、固定片5に対してカップ6を回転させるときの回転軸として機能する。
【0028】
図7は、本実施形態のヒンジ取付けユニットを構成するブラケット12の斜視図を示す。このブラケット12はヒンジ4の固定片5を筐体1に仮固定するのに用いられる。図中にブラケット12が筐体1に取り付けられた状態での筐体1の上下方向及び奥行方向を図中矢印で示す。図7(a)はブラケット12の正面側の斜視図を示し、図7(b)はブラケット12の裏面側の斜視図を示す。
【0029】
ブラケット12は合成樹脂製であり、断面コ字形状の本体部22と、板状の化粧板21と、を備える。本体部22は、対向する一対のガイド壁部23a,23bと、一対のガイド壁部23a,23bを連結する底壁部25と、を備える。ブラケット12を筐体1に仮固定した状態で、本体部22は筐体1の内面を構成する側板7と外面を構成する側板9との間に挟まれる(図9(a)参照)。一対のガイド壁部23a,23bの内面は平行な一対の案内面23a1,23b1となる。この一対の案内面23a1,23b1は筐体1の側板7と直交する。一対の案内面23a1,23b1は、固定片5の上下方向の一対の側面5a,5b(図10(a)参照)に接触して、固定片5が筐体1の奥方向にスライドするのを案内する。化粧板21は四角形に形成される。ブラケット12を筐体1に仮固定した状態で化粧板21は筐体1の側板9に平行である(図10(a)参照)。
【0030】
図7(a)に示すように、一対のガイド壁部23a,23bの上端には、一対のガイド壁部23a,23bからガイド壁部23a,23bに直交する方向に外側に張り出し、筐体1の側板7に接触可能な一対のフランジ壁部26a,26bが設けられる。一対のフランジ壁部26a,26bそれぞれには、筐体1の側板7の係合孔14aに係合可能な第一の爪部27a,27bが設けられる。第一の爪部27a,27bはガイド壁部23a,23bがヒンジ4の固定片5を案内する方向の端部に設けられる。第一の爪部27a,27bは側面が三角形に形成され、フランジ壁部26a,26bから図7(a)の上方に突出する。第一の爪部27a,27bは筐体1の奥行き方向に向かって尖がった三角形に形成されていて、第一の爪部27a,27bが筐体1の係合孔14a,14bに係合したとき、ブラケット12が筐体1から容易に抜けないようになっている。
【0031】
フランジ壁部26a,26bには、第一の爪部27a,27bが片持ち支持された梁状に形成されるようにスリット28a,28bが設けられる。第一の爪部27a,27bをフランジ壁部に設け、かつフランジ壁部26a,26bにスリット28a,28bを設けることで、第一の爪部27a,27bを容易に弾性変形させることが可能になる。フランジ壁部26a,26bの奥行き方向とは反対側の端部には、筐体1の端部板10に突き当てられる突き当て壁部29が形成される。
【0032】
ガイド壁部23a,23bの下端には、フランジ壁部26a,26bと高低差を付けてヒンジ4の固定片5の底部を案内可能な一対の底部案内壁部30a,30bが設けられる。この底部案内壁部30a,30bは、ガイド壁部23a,23bからガイド壁部23a,23bに直交する方向に内側に張り出す。底部案内壁部30a,30bには、ヒンジ4の固定片5の係合凹部44a,44bと係合する第二の爪部24a,24bが設けられる。第二の爪部24a,24bは、底部案内壁部30a,30bの、ガイド壁部23a,23bがヒンジ4の固定片5を案内する方向の途中に設けられる。第二の爪部24a,24bは側面が略三角形状に形成され、底部案内壁部30a,30bの上方に突出する。第二の爪部24a,24bの三角形は筐体1の奥行き方向と反対方向に向かって尖がった三角形に形成されていて、第二の爪部24a,24bがヒンジ4の固定片5に係合したとき、ヒンジ4の固定片5から容易には抜けないようになっている。ガイド壁部23a,23bと底部案内壁部30a,30bによって形成される角には、第二の爪部24a,24bが両持ち支持された梁状に形成されるようにスリット23a2,23b2が設けられる。第二の爪部24a,24bを底部案内壁部30a,30bに設け、角にスリット23a2,23b2を設けることで、第二の爪部24a,24bを容易に弾性変形させることが可能になる。
【0033】
ヒンジ4を戸棚の扉2及び筐体1に取り付ける方法は下記のとおりである。まず、ヒンジ4の可動片であるカップ6を扉2にねじ締結する。次に、筐体1にブラケット12を仮固定する。なお、カップ6の扉2へのねじ締結と筐体1へのブラケット12の仮固定との順番は逆でもよい。次に、ヒンジ4が一体化された扉2を持ち上げ、ヒンジ4の固定片5をブラケット12が仮固定された筐体1の切欠き11に挿入する。これにより、ヒンジ4の固定片5が筐体1の切欠きに仮固定され、扉2から手を離してもヒンジ4の固定片5が筐体1から脱落しなくなる。最後に、ヒンジ4の固定片5を筐体1の側板7にねじにより本固定する。ヒンジ4の固定片5を筐体1に本固定した後もブラケット12はそのまま残される。ブラケット12には化粧板21が設けられていて、ブラケット12の化粧板21は閉じた状態の扉2の切欠き16を覆って切欠きが露出するのを防止する。
【0034】
以下に取付け方法をより詳細に説明する。図8はヒンジ4のカップ6を扉2に固定する工程図を示す。図8(a)はカップ6を扉2に固定する前の状態を示し、図8(b)はカップ6を扉2に固定した後の状態を示す。扉2に形成されたカップ収容部15にカップ6を収容すると、カップ6のフランジ6aの通し孔6a1,6a2とカップ収容部15のねじ孔15−1,15−2が位置決めされる。この状態でこれらはねじ締結により固定される。
【0035】
図9はブラケット12を筐体1の切欠きに仮固定する工程図を示す。図9(a)はブラケット12を筐体1に仮固定する前の状態を示し、図9(b)はブラケット12を筐体1に仮固定した後の状態を示す。筐体1の端部板10に形成された切欠き11にブラケット12を挿入すると、ブラケット12は筐体1の凹部18に案内されながら筐体1の奥方向に移動する。ブラケット12の第一の爪部27a,27bは、筐体1の内側方向へフランジ壁部26a,26bよりわずかに突き出ており、ブラケット12が切欠き11内へ挿入されるとき、第一の爪部27a,27bが弾性変形し、筐体1の外側方向へ撓む。ブラケット12の挿入が進行し、第一の爪部27a,27bが側板7に設けられた係合孔14a,14bまで達すると、第一の爪部27a,27bは弾性により元の位置に復元し、係合孔14a,14bと係合する。このため、奥行き方向の適切な位置でブラケット12を筐体1に仮固定することができる。第一の爪部27a,27bが側板7の係合孔14a,14bと係合した状態では、ブラケット12は切欠き11から抜けることはない。
【0036】
図10はヒンジ4の固定片5を筐体1に固定する工程図を示す。図10(a)はヒンジ4の固定片5を筐体1の切欠き11に挿入する前の状態を示し、図10(b)はヒンジ4の固定片5を筐体1の切欠き11に仮固定した状態を示し、図10(c)はヒンジ4の固定片5を筐体1にねじ締結により本固定した状態を示す。
【0037】
図10(a)に示すように、ヒンジ4は、開閉カム37(図4(a)参照)によって90°開いた位置で安定した状態にあり、固定片5は扉2と平行に保たれている。扉2を持ち上げながら、ブラケット12が仮固定された筐体1の切欠き11にヒンジ4の固定片5を挿入すると、ヒンジ4の固定片5の上下の一対の側面5a,5bがブラケット12の一対の案内面23a1,23b1に案内されながら、ヒンジ4の固定片5は筐体1の奥方向に移動する。固定片5は合成樹脂製のブラケット12に案内されるので滑らかに移動する。
【0038】
ブラケット12の第二の爪部24a,24b(図7(a)参照)は、筐体1の内側方向へ底部案内壁部30a,30bよりわずかに突き出ており、固定片5が筐体1の切欠き内へ挿入されるとき、第二の爪部24a,24bは弾性変形し、筐体1の外側方向へ撓む。固定片5の挿入が進行し、図11に示すように、固定片5の係合凹部44a,44bがブラケット12に設けられた第二の爪部24a,24bの位置まで移動すると、第二の爪部24a,24bは弾性により元の位置に復元し、固定片5の係合凹部44a,44bと係合する。このため、奥行き方向の適切な位置で固定片5をブラケット12に仮固定することができる。また、図10(b)に示すように、この位置まで固定片5をブラケット12に挿入すれば、扉2から手を放しても、扉2が落下することはなく、なおかつ、筐体1の側板7に設けられた一対の通し孔13a,13bと、固定片5の一対のねじ孔41c1,41c2との位置が合うようになる。このため、図10(c)に示すように、固定片5を筐体1の側板7に容易にねじ50a,50bで締結することができる。
【0039】
なお、図10(a)に示すように、ブラケット12に設けられた備えられた化粧板21は、側板9と平行な位置にあり、ヒンジ4の動作に干渉することなく、扉2が全閉状態になったとき、扉2のカップ収容部15に重なるようになっており、見栄えをよくする。
【0040】
図12は、本発明の第二の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット61を示す。この実施形態では、第二の爪部62a,62bの位置が第一の実施形態のブラケット12と異なっているが、他の構成は第一の実施形態のブラケットと同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。この実施形態では、第二の爪部62a,62bは一対のガイド壁部23a,23bの内面に設けられる。図13に示すように、ヒンジ4の固定片5の上下一対の側面には、第二の爪部62a,62bに嵌まる係合凹部63a,63bが形成される。ヒンジ取付けユニットの取付け方法は第一の実施形態のヒンジ取付けユニットと同一である。
【0041】
図14は、本発明の第三の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット71を示す。この実施形態では、第二の爪部24a,24bを両持支持された梁状に形成するためのスリット23a2,23b2の位置が第一の実施形態のブラケットと相違する。この実施形態では、スリット23a2,23b2がヒンジ4の固定片5の底部を案内可能な一対の底部案内壁部30a,30bに形成される。その他の構成は第一の実施形態のブラケットと同一なので同一の符号を附してその説明を省略する。
【0042】
図15は、本発明の第四の実施形態のヒンジ取付けユニットのブラケット81を示す。この実施形態のブラケット81は第二の実施形態のブラケット61と類似しているが、一対のガイド壁部82a,82bの上端部のフランジ壁部83を繋ぎ合わせて、また一対のガイド壁部82a,82bの下端部の底壁部84を繋ぎ合わせている点が相違する。一対のガイド壁部82a,82b、フランジ壁部83、及び底壁部84によって、断面四角形の案内路が形成される。この案内路85にヒンジ4の固定片5が挿入される。フランジ壁部83には、一対の第一の爪部86a,86bが形成される。第一の爪部86a,86bの周囲には、第一の爪部86a,86bが片持ち支持された梁状に形成されるようにスリット87a,87bが形成される。フランジ壁部83には、ヒンジの固定片5を筐体1の側板7に締結するためのねじ50a,50b(図10(c)参照)が通される通し孔91a,91bが形成される。第二の爪部88a,88bは一対のガイド壁部82a,82bの内面に形成される。一対のガイド壁部82a,82b、フランジ壁部83、及び底壁部84から構成されるブラケット本体90には、化粧板89が結合される。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。
【0044】
例えば、ヒンジには、固定片と可動片とを一つの軸で回転可能に連結したシンプルな構造のヒンジの他、4節等様々なタイプのヒンジを用いることができる。また、回り対偶の少なくとも一つをすべり対偶で置き換えてもよい。
【0045】
上記実施形態では、最初に筐体にブラケットを仮固定し、その後ブラケットにヒンジの固定片を仮固定している。しかし、最初にブラケットにヒンジの固定片を仮固定し、その後ブラケットを筐体に仮固定してもよい。
【0046】
本発明はヒンジのカップを扉に取り付けた後、ヒンジの固定片を筐体に取り付けるときに取付け作業を効果的に容易にするが、扉と一体化されていないヒンジを筐体に取り付けるときにも適用できる。ブラケットによって筐体の通し孔とヒンジのねじ孔とを正確に位置決めできるからである。
【0047】
ブラケットの形状は一例であり、その形状は本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更できる。
【符号の説明】
【0048】
1…筐体
2…扉
4…ヒンジ
5…固定片
5a,5b…固定片の上下一対の側面
6…カップ(可動片)
7…側板
10…端部板
12…ブラケット
14a,14b…係合孔
23a,23b…ガイド壁部
23a2,23b2…スリット
24a,24b…第二の爪部
26a,26b…フランジ壁部
27a,27b…第一の爪部
28a,28b…スリット
30a,30b…底部案内壁部
44a,44b…係合凹部
50a,50b…ねじ(締結部材)
61…ブラケット
62a,62b…第二の爪部
63a,63b…係合凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットであって、
筺体に取付け可能な固定片、扉に取付け可能な可動片、及び少なくとも一つの軸を有するヒンジと、
弾性変形可能な第一及び第二の爪部、並びに前記ヒンジの固定片を案内可能な案内面を有し、前記第一の爪部が前記筺体に係合可能であり、前記第二の爪部が前記ヒンジの前記固定片に係合可能なブラケットと、を備え、
前記筺体のヒンジ取付け用切欠きに前記ブラケットを挿入し、前記筺体の内面を構成する側板の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第一の爪部を嵌めることによって、前記筺体に前記ブラケットを仮固定することが可能になり、
前記ブラケットの前記案内面に沿って前記ヒンジの固定片をスライドさせ、前記ヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第二の爪部を嵌めることによって、前記ブラケットに前記ヒンジの固定片を仮固定することが可能になり、
前記筐体に前記ブラケットを介して前記ヒンジの固定片を仮固定した状態で、締結部材を用いて前記ヒンジの固定片を前記筺体に本固定することが可能になるヒンジ取付けユニット。
【請求項2】
前記ヒンジの軸は垂直方向を向く垂直軸であり、
前記ヒンジの固定片は、垂直方向の上下に一対の側面を有し、
前記ブラケットは、前記ヒンジの固定片の一対の側面を案内する対向する一対のガイド壁部と、前記一対のガイド壁部から前記一対のガイド壁部に直交する方向に外側に張り出し、前記筐体の側板に接触可能な一対のフランジ壁部と、を有し、
前記第一の爪部は、前記一対のフランジ壁部のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項3】
前記ヒンジの固定片は、前記筐体の側板から離れた底部に前記係合凹部又は前記係合孔を有し、
前記ブラケットはさらに、前記一対のガイド壁部から前記一対のガイド壁部に直交する方向に内側に張り出し、前記ヒンジの固定片の底部を案内可能な一対の底部案内壁部を有し、
前記第二の爪部は、前記一対の底部案内壁部のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項4】
前記第一の爪部は、前記一対のフランジ壁部それぞれの、前記一対のガイド壁部が前記ヒンジの固定片を案内する方向の端部に設けられ、
前記一対のフランジ壁部それぞれには、前記第一の爪部が片持ち支持された梁状に形成されるようにスリットが設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項5】
前記第二の爪部は、前記一対の底部案内壁部それぞれの、前記一対のガイド壁部が前記ヒンジの固定片を案内する方向の途中に設けられ、
前記一対のガイド壁部それぞれと前記一対の底部案内壁部それぞれとによって形成される角には、前記第二の爪部が両持ち支持された梁状に形成されるようにスリットが設けられることを特徴とする請求項4に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項1】
ヒンジを筺体に取り付けるためのヒンジ取付けユニットであって、
筺体に取付け可能な固定片、扉に取付け可能な可動片、及び少なくとも一つの軸を有するヒンジと、
弾性変形可能な第一及び第二の爪部、並びに前記ヒンジの固定片を案内可能な案内面を有し、前記第一の爪部が前記筺体に係合可能であり、前記第二の爪部が前記ヒンジの前記固定片に係合可能なブラケットと、を備え、
前記筺体のヒンジ取付け用切欠きに前記ブラケットを挿入し、前記筺体の内面を構成する側板の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第一の爪部を嵌めることによって、前記筺体に前記ブラケットを仮固定することが可能になり、
前記ブラケットの前記案内面に沿って前記ヒンジの固定片をスライドさせ、前記ヒンジの固定片の係合凹部又は係合孔に前記ブラケットの第二の爪部を嵌めることによって、前記ブラケットに前記ヒンジの固定片を仮固定することが可能になり、
前記筐体に前記ブラケットを介して前記ヒンジの固定片を仮固定した状態で、締結部材を用いて前記ヒンジの固定片を前記筺体に本固定することが可能になるヒンジ取付けユニット。
【請求項2】
前記ヒンジの軸は垂直方向を向く垂直軸であり、
前記ヒンジの固定片は、垂直方向の上下に一対の側面を有し、
前記ブラケットは、前記ヒンジの固定片の一対の側面を案内する対向する一対のガイド壁部と、前記一対のガイド壁部から前記一対のガイド壁部に直交する方向に外側に張り出し、前記筐体の側板に接触可能な一対のフランジ壁部と、を有し、
前記第一の爪部は、前記一対のフランジ壁部のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項3】
前記ヒンジの固定片は、前記筐体の側板から離れた底部に前記係合凹部又は前記係合孔を有し、
前記ブラケットはさらに、前記一対のガイド壁部から前記一対のガイド壁部に直交する方向に内側に張り出し、前記ヒンジの固定片の底部を案内可能な一対の底部案内壁部を有し、
前記第二の爪部は、前記一対の底部案内壁部のそれぞれに設けられることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項4】
前記第一の爪部は、前記一対のフランジ壁部それぞれの、前記一対のガイド壁部が前記ヒンジの固定片を案内する方向の端部に設けられ、
前記一対のフランジ壁部それぞれには、前記第一の爪部が片持ち支持された梁状に形成されるようにスリットが設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のヒンジ取付けユニット。
【請求項5】
前記第二の爪部は、前記一対の底部案内壁部それぞれの、前記一対のガイド壁部が前記ヒンジの固定片を案内する方向の途中に設けられ、
前記一対のガイド壁部それぞれと前記一対の底部案内壁部それぞれとによって形成される角には、前記第二の爪部が両持ち支持された梁状に形成されるようにスリットが設けられることを特徴とする請求項4に記載のヒンジ取付けユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−91925(P2013−91925A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233128(P2011−233128)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(591022195)ダイシン工業株式会社 (1)
【出願人】(000107572)スガツネ工業株式会社 (153)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(591022195)ダイシン工業株式会社 (1)
【出願人】(000107572)スガツネ工業株式会社 (153)
【Fターム(参考)】
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