説明

ヒンジ状クリップを備える筆記用具

筆記用具であって、中央軸線(X)を備えかつ外面(21a)を有する筒状本体(21)と、アーム(31)を有するクリップ(3)とを備え、アームからは本体要素へ向かって延在する第1および第2のフランジ(33,34)が延在する。フランジは、中央軸線に直交する回転軸線で回転し、それによってクリップは閉および開ポジションの間で回動するようになる。外面(21a)は第1および第2の凹状領域(23,24)を有しており、そのそれぞれが、長手方向平面の両側にそれぞれ存在し、かつそれから第1および第2のピン(27)が突出し、そのいずれもが回転軸線と同一直線状に位置させられている。第1および第2のフランジ(33)の両方が第1および第2の凹状領域(23)に配置される部分を有しており、かつ対応するピンがその中で回動する収容部(35)を備えている、筆記用具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央軸線に沿って長手方向に延在しかつ外面を有する筒状本体要素と、前端と本体要素へ向かって延在する第1および第2のフランジに近接する後端との間で中央軸線に実質的に平行に延在するアームを備えるクリップとを備える筆記用具において、フランジが回転軸に取り付けられており、当該回転軸は、軸線方向に直交する方向に回動し、かつその周囲でクリップが、アームと上記要素とが接触する閉ポジションと、開ポジションとの間で回動するようになっている、筆記用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプのクリップは特に特許文献1によって公知となっている。この様式で要素の本体にヒンジ留めされたクリップは、本体要素に取り付けられるかあるいは本体要素の一部である、ほぼ硬質なベースによって本体に接続されたクリップに比べて、より容易に開き、かつ一般には、より大きな角度で開く。
【0003】
しかしながら回転軸に関する要求は、しばしば上記ペンのすべての寸法に関して不都合な状態をもたらしてきた。回転軸は、通常、本体の筒状要素の外側における一つ以上の突出部によって支持されており、ゆえにクリップは特許文献1における図から明らかなように非常に飛び出るようになっていた。この問題を解決するために、本体の一部が、本体の後端部が特許文献1に開示されているような回転軸に隣接して切り欠かれた断面を有するようにする、あるいは、本体の内側に配置されたヒンジの周囲で回動させるために筒状本体要素における開口を通過するフランジを有するようにすることが提案されてきた。これらの解決法の不都合な点として、筒状本体内の使用可能な空間が低減され、そして機構またはインクカートリッジを本体の一部の内側に設けることができなくなるということが挙げられる。これは特に後部ボタンによってコントロールできる伸縮可能ポイントを備える筆記用具を形成する際の邪魔となり、かつクリップを本体の後部で本体に連結しなければならないようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1847403号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明は、クリップが取り付けられる本体の筒状要素内の空間をできる限り保持すると同時に、限定されたすべての寸法を有する、回転軸にヒンジ留めされたクリップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、上記タイプの筆記用具である本発明の一つの目的は、本体要素の外面が、中央軸線を通る第1の長手方向平面の両側において第1および第2の凹状領域を有しており、それから回転軸線の同一直線上に延在する第1および第2のピンの両方が突出しており、かつ第1および第2のフランジは、第1および第2の凹状領域にそれぞれ配置されており、かつその中で対応するピンが回動する収容部を備えているようにすることである。
【0007】
この構成によって、回転軸は本体要素の外面によって規定された空間内を通るようになる。ただし、クリップの組み立ては、本体の当該部分を形成する筒状要素の内側の空間内に、なんらかのデバイスを要求するものではない。筒状要素の内側の空間は、凹状領域がこの領域における筒状要素の厚さよりも小さな深さである場合に、筒状要素の全長に沿って一定に保たれた断面を有していてもよい。
【0008】
付加的に、フランジのそれぞれの部分がこれら凹状領域内にあるため、クリップは横方向に固定されている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、一つ以上の、以下の構成を使用できる。
− 第1および第2のピンは、中央軸線を有しかつ第1の長手方向平面と直交する第2の長手方向平面と、第2の平面に平行でありかつクリップのアームに面する外面に対して接線を描く平面と、の間に設けられている。
− 回転軸は、第2の長手方向平面から距離をおいて配置されており、当該半径は、外面の半径の20%から60%、その半径の好ましくは50%である;これらの構成は、全体的に、クリップが回動する程度、フランジの長さ、およびクリップおよび本体要素の寸法すべてに関して調整できるという利点を提供する。
− 第1および第2の凹状領域は、筒状本体要素の厚さより小さい深さを有している。
− 第1および第2のフランジの、第1および第2の凹状領域内にそれぞれ配置されている部分は、これら領域の深さに実質的に等しい厚さのものとなっており、かつ第1および第2のピンは、外面による空間内に位置する、好ましくはこの空間に対して接線状態となる自由端を有しており、それは用具を保持する際に使用者の快適性を高めるようになる。
− 第1および第2のフランジは、凹状領域の形状に対してフィットするよう構成された断面形状を有している。
− 第1および第2の凹状領域は、少なくとも部分的に肩部によって規定されており、かつ第1および第2のフランジは、クリップの開および閉ポジションの少なくとも一つにおいて、対応する肩部と部分的に接触するように構成された外形を有している。
− 弾性手段は、第1および第2の凹状領域と連続した第3の凹状領域に配置されており、かつ閉ポジション向かうようにクリップを付勢するよう構成されている。
− 弾性手段は、第3の凹状領域を押圧するアームと、クリップを押圧するアームとを備える屈曲バンドからなる。
− クリップを押圧するアームは屈曲端部を有している。
− 弾性手段は、本体要素とクリップとの間に長手方向の遊びを有するよう組み立てられる。
− 本体要素の凹状領域の少なくとも一つは、筒状本体要素の内側に配置されるデバイスと協働する窓を有している。
【0010】
上記の最後の構成は、ほぼ完全にクリップに隠されている凹状領域および特にこの組立体によって保持される内側領域の存在を利用して、製造中に筒状本体要素の成形を容易にするものである。
【0011】
筆記用具の本体は、機構の固定部または可動要素の内部デバイスを備えており、それは、内部デバイスの固定のためにあるいは内部デバイスの移動を制限するために、本体の外面における収容部へとスナップ留め可能である。止まり穴(blind hole)の形態のそうした内側収容部の形成は、本体を形成するために複数のピンおよび/または複数の要素のアセンブリの成形を必要とする。しかしながら、上記窓は、中央軸線に対して半径方向に移動するインサートを使用することによって容易に成形ができ、かつ例えば外部から見えない状態のままとなっている状態で凹状領域を成形するのに役立つことができるものである。
【0012】
他の特徴および利点は、図面を参照した、非限定的な例示としての以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】クリップが閉ポジションにある状態の、本発明の本体、弾性部材、およびクリップを備える筆記用具の側面図である。
【図2】クリップが開ポジションにある状態の、図1に示す図と類似した図である。
【図3】弾性手段が見えている状態の、図1に示す図の部分拡大図である。
【図4】図1の本体の部分平面図である。
【図5】図1の線V−Vに沿った断面図である。
【図6】上記図の弾性手段の実施形態の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これら図面において同一の参照符号は同一のまたは類似の要素を示すのに使用されている。
【0015】
図1には、本体2、クリップ3、および図3では見えている弾性手段4を備える筆記用具1を示す。
【0016】
本体2は、前端7と後端8との間で中央軸線Cに沿って長手方向に延在している。前端7は、後退状態にあるため見えない筆記用チップが通って突出可能な開口を備える。後端8において、筆記用具は、チップの後退または延伸のための機構(図示せず)を作動させるためのプッシュボタン11を有している。
【0017】
示された実施形態において、本体2は、円錐形先端部12と、円錐形先端部にネジ留めされる胴部21との二つの部分からなる。
【0018】
胴部21は筒状本体要素であり、クリップ3はヒンジ留め様式で筒状本体要素に取り付けられる。もちろん、本体2は、取り外し可能な、あるいは不可能な様式で取り付けられる、さらなる要素を備えることができる。特に、本体2は、筆記用チップを保護するための取り外し可能なキャップを備えることができ、この場合、本体要素は、キャップ全体を、あるいはキャップの一部を構成できる。そのため、この筆記用具は非後退ポイントを備える用具とすることもできる。
【0019】
本体要素21は、ほとんどわずかに後端8より大きな半径を備える実質的に円筒形の外面21aを有しており、当該半径は、本体要素21の全長に沿って非常に小さく変化している。なお断面形状に関する変形も適用可能である。
【0020】
筒状本体要素21は、この実施形態には示されている円筒状の内面21bを有しており、一つまたは二つの長手方向成形ピンを使用して容易に成形可能である。内部空間は、この実施形態で示されるようにインクカートリッジを収納可能なように規定されており、当該内部空間にはプッシュボタン11によって作動されるその後退/延伸機構が入っている。これはまた例えば導出前進機構(lead advancement mechanism)とすることもできる。内部空間内のそうしたデバイスの固定のために多数の手段が使用されているが、ここでは有利な解決法について述べる。
【0021】
本体要素21は、後端8に近接して第1の凹状領域23(図3により明瞭に示す)と、図4に示した第2の凹状領域24とを有する。これら第1および第2の凹状領域(23,24)は、中央軸線Cを通る長手方向平面の両側に位置しており、その線は、図4における当該軸線と図5に示す線P1と交差している。この第1の長手方向平面P1はクリップ3と直線上にある。
【0022】
第1および第2の凹状領域(23,24)は、外面21aに対して角度をなす肩部(23a,24a)と凹状領域の下側部分(bottom)とによって部分的に規定されている。
【0023】
肩部(23a,24a)の表面は、中央軸線Cに対する一つまたは二つの半径方向において挿入物または製造成形半体を除去できるようにするために、スロープ状になっておりかつ外面21aに対して鋭角を形成するようにはなっていない。
【0024】
第3の凹状領域25は第1および第2の二つ領域の間に形成されており、これら三つの領域は、第1の二つの肩部(23a,24a)と第3の肩部(25a,25b)とによって規定される連続した凹部をともに形成するようになっている。第3の領域の肩部(25a,25b)は、スロープ状に傾斜され、かつ成形を容易にするために肩部(23a,24a)を備える連続的な外形を形成する。
【0025】
凹状領域(23,24,25)は、これらの下側部分と外面21aの空間との間で測定された深さを有しており、深さは、ここでこれらの領域に囲まれた外面21aの面積を計測したと見なされる部分において筒状本体要素21の厚さよりも小さい。したがって凹状領域(23,24,25)は、内面21bを越えて突出しておらず、それは内部空間の使用可能な空間を低減させ得る。もちろん、凹状領域における材料の厚さは、使用中の一般的な機械的横領に十分耐えうるものでなければならない。一般的に、これら小さな表面積における応力は、総体的に言えば、細長い本体要素21における曲げ応力に比べて非常に小さい。
【0026】
第1のピン27は、クリップ3のための回転軸を形成する所与の軸Aに沿って第1の凹状領域23の下側部分(下方ハテナ)から延在している。この回転軸線Aは、中央軸線Cに直交する方向に延在しており、本質的に中央軸線Cに対して交差している。図4から明らかなように、第2の凹状領域24は、第1のピンと類似しかつ同一の回転軸線Aに沿って延在する第2のピン28を有する。
【0027】
第1および第2のピン(27,28)の断面は、この場合は円形状であり、ピンの周囲で部材を回動可能とさせるものでなければならない。この断面は、また、その使用に適切な機械的強度を付与するものでなければならない。プラスチックから形成する場合、その断面は、本体要素21の内部半径の寸法および外部半径の寸法にとって重要となる。
【0028】
図5から明らかなように、第1および第2のピン(27,28)は、それぞれ、外面21aによる空間内へ延在する面(27a,28a)によって形成された自由端を有している。自由端(27a,28a)が上記空間内にあるので、いかなる方法によっても全外側寸法が増大されることはない。加えて、これら自由端(27a,28a)の表面が、実質的に筒状の外面21aの空間に対する接線方向にあるかまたは少なくとも平行になっているため、これら自由端は、クリップ3の方に向かってスロープ状に傾斜しており、かつ適所にスナップ留めされることによってクリップへ組み付けできるようになっている。
【0029】
クリップ3は、クリップが図1に示す閉ポジションにあるときに、前端31aと後端31bとの間において、中央軸線Cに対してほぼ平行な方向に延在する細長アーム31を備えている。公知の様式として、前端31aは、その下側において、本体要素21に面するように、突出部32を備えている。突出部32は、閉ポジションにあるときに、本体要素と接触しかつ要素からの隆起部に隣接している。
【0030】
第1のフランジ33は、クリップの後部においてクリップのアーム31から本体要素21に向かって延在している。図5から明らかなように、第2のフランジ34は、第1のフランジと完全に同一であり、また、クリップアーム3の同じ領域から延在している。第1および第2のフランジ(33,34)は、第1の長手方向平面P1の両側に対称的に配置されている。第1および第2のフランジ(33,34)は、アーム31の下側表面から、アームの側縁部から距離をおいて、クリップ3の断面がU字形状を逆さにした形状というより冂形状を有するように、延在していることに留意されたい。いずれにしても、クリップの回転軸線Aに沿ったすべての寸法が筒状要素21の寸法より大幅に小さくなっている。
【0031】
図5においては、フランジ(33,34)は、少なくとも第1および第2の凹状領域に位置する端部に関して、これら第1および第2の凹状領域の形状にフィットする形状を有していることに留意されたい。フランジ(33,34)の厚さは凹状領域の深さに対応している。ゆえに、フランジの端部が外面21aの空間を越えて突出することなく、クリップは回転軸線Aの方向において並進運動することを妨げられるようになっている。
【0032】
図1および2に見られるように、第1のフランジ33の側部は、直線的に見ると、略三角形状を有している。この形状は、ある程度の遊びを持って、第1の凹状領域23の肩部23aによって規定される第1の凹状領域23の形状にフィットする。それゆえ、クリップ3は、図1に示される閉ポジションと図2に示される開ポジションとの間で所定の角度内で回動できるようになる。加えて、フランジの形状は、フランジと肩部23aとの間の間隙を限定して、肩部23aに対して相補的な形状を形成するものとなっている。肩部23aに対するフランジの適合は、クリップが閉および開ポジションにあるときに、ストッパーとして機能する接触領域をもたらす。開ポジションにおいて、アームの後端31bは、第3の凹状領域25の肩部25bと接触できるようになっている。
【0033】
なお、上記機能は、図示された略三角形状とは本質的に異なる形状を有するフランジによっても得ることはできる。その形状は、側方から見た場合に、U字形状肩部であっても、V字形状肩部であってもよく、あるいはその形状は、所望の美観に応じて、楕円半体により類似するようなものであってもよい。
【0034】
他の接触領域は、もちろん、特に後端に隣接して面する内側において、クリップの移動を防ぐために設けることができる。
【0035】
第1のフランジ33は、軸Aの周囲で閉および開ポジションの間でクリップを回動可能にする様式で第1の凹状領域23のピン27を収容するための収容部35をさらに備える。収容部35は筒状貫通孔の形態のものである。第2のフランジ34は同一の収容部36を備えている。当然のことながら他方では回動可能な部分的に底のある穴を形成していてもよい。貫通孔は、各フランジ(33,34)の厚さ全体を対応するピン(27,28)と協働可能にし、それによって、形成されたヒンジに、より大きな剛性が与えられる。加えて、ピンの自由端(27a,28a)の特定の形状およびフランジの形状によって、本体要素21と連続した外面は保護される。
【0036】
図3および5に示されているように、弾性手段4は、クリップを閉ポジションの方向に弾性的に付勢するため、本体要素21とクリップ3との間に配置されている。さらに具体的には、図示された実施形態において、弾性手段4は屈曲された金属バンドによって形成される。弾性手段としてコイル状スプリングまたはゴム要素の形態の弾性手段を考慮することができる。
【0037】
弾性手段4は、第1の直線状アーム41および第2の直線状アーム42を有しており、第1の直線状アーム41および第2の直線状アーム42は、V字状に構成され、かつ屈曲部によって接続されている。有利なことに、弾性手段は、第3の凹状領域25に対して、その半径方向の寸法を低減するように、かつ特にフランジ(33,34)とクリップのアーム31との間に第3の凹状領域25を隠すように構成されている。屈曲バンドの形態の弾性手段4の組み立ては、第3の凹状領域25の平坦部28と、第1のアームが押し付けられるシャンク(突起部)29とによって容易になされる。シャンク29が第1のアーム41における開口を通って押し込まれると、有利なことに組み立て中に弾性手段4が固定されるが、これは不可欠なものではない。第2のアーム42は、回転軸線Aとこのアーム31の後端31bとの間に位置する領域においてアーム31は、の下側に対して押し付けられる。静止状態の弾性手段4の開口部は、弾性手段4がクリップの当該領域に外側へ向かう半径方向の応力を及ぼし、クリップ3を閉ポジションへと戻すように選択される。
【0038】
なお、この実施形態の好ましい変形例において、弾性手段は図6に示されるように金属バンド4’からなり、図3に示される弾性手段とは少々異なる形状を有している。この変形例において、二つのアーム(41’,42’)は堅固でありかつ同一の形状のものとなっている。したがって組み立てに関して要求される上方向性/下方向性が存在しなくなり、ゆえに筆記用具の製造が容易となる。もちろん、この変形例に関して、本体の第3の凹状領域25はシャンク29を有してはいない。それゆえ弾性要素4’は、特に長手方向の遊びに関して、より非限定的な様式で取り付けられる。ミリメーター単位の、この低減された遊びの広がりは、第3の凹状領域25の前方縁部と後方縁部とによって制限できるが、クリップの下側における一つ以上の隆起領域によっても制限できる。こうした長手方向の遊びに関する適応性は、クリップ3を閉ポジションへ戻す際の弾性の滑らかさおよび規則性に有益なものとなる。アームの自由端(41’a,42’a)の両方が同様の理由で屈曲させられている。アーム31の下側は、屈曲端部41’aまたは42’aと常に協働する平坦面からなる部分を有している。
【0039】
筆記用具の本体2にクリップ3をヒンジ留めされるように取り付けることによって、開ポジションにあるときに、アームの前端31aと本体との間にわずかな間隙が提供される;この間隙は薄手の物体に筆記用具を掛けるのに役立つ。その応力はその動作経路全体に沿って均一となり、それによって筆記用具の耐用年数に関して本体に堅固に一体化された剛性クリップに比べてより満足な結果をもたらすようになる。加えて、本発明による組み立ては内側および外側の寸法を確保するようになっており、また同様に、操作性についても、常に固定された、堅固に一体化されたクリップとほぼ同一となっている。これは、主に、凹状領域(23,24)を組み合わせること、ならびに本体要素21の外面21aの空間内を通過する回転軸線Aを形成することである。
【0040】
なお、第1および第2のピン(27,28)が;中央軸線Cを有しかつ第1の長手方向平面P1に交差する、図5における線P2に沿って第2の長手方向平面と;クリップ3に面する外面21aに対して接線方向にある、線PPに沿った、第2の平面に平行な平面と;の間に配置された場合、すべての外側寸法、回動角度および操作性との間のパラメータ間の、より満足の行く調整点が得られるようになる。より詳細には、回転軸線Aは、好ましくは、クリップ3の方へ向かって半径方向に測定された際に第2の長手方向平面P2から距離をおいて配置されており、距離は、検討される断面において外面21aの半径の20から60%で示される。平面P2に対する距離をより大きくすると、回動角度が広がるが、ヒンジの堅固さが低減される。図示された実施形態のように約50%の距離であれば非常に良好なものとなる。
【0041】
筒状本体2内部の機構の組み立てに関して、有利なことに、凹状領域(23,24,25)のひとつに配置されかつ本体要素21の内部空間と連通する一つ以上の窓、例えば図4に示される窓26を設けることができる。上記内部空間に挿入される要素は半径方向の弾性手段を有することもでき、この弾性手段は、窓26が対応する長手方向部分に到達する場合、窓26における適所にスナップ留めされる。これによって、公知の機構の挿入による部分的に簡単な組み立てが提供されると同時に、実質的に一定の断面のピンを使用する内部成形の容易性が保たれる。
【符号の説明】
【0042】
1 筆記用具
2 本体
3 クリップ
4 弾性手段
4’ 金属バンド
7 前端
8 後端
11 プッシュボタン
12 円錐形先端部
21 胴部
21a 外面
21b 内面
23 第1の凹状領域
23a 肩部
24 第2の凹状領域
24a 肩部
25 第3の凹状領域
25a,25b 第3の肩部
26 窓
27 第1のピン
27a,28a ピンの自由端
28 第2のピン
29 シャンク
31 アーム
31a 前端
31b 後端
32 突出部
33 第1のフランジ
34 第2のフランジ
35,36 収容部
41 第1の直線状アーム
41’,42’ アーム
41a’,42a’ アームの自由端
42 第2の直線状アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記用具であって、
前記筆記用具は、
中央軸線(X)に沿って長手方向に延在しかつ外面(21a)を有する筒状本体要素(21)と、
前端部と、前記本体要素の方に向かって延在する第1および第2のフランジ(33,34)に近接した後端部との間において、前記中央軸線(X)に実質的に平行に延在するアーム(31)を具備してなるクリップ(5)であって、前記フランジが、前記中央軸線に対して直交する方向において回転軸線(A)に取り付けられており、かつその周囲で、前記クリップが、前記アームが前記用具と接触する閉ポジションと、開ポジションとの間で回動可能となっている、クリップ(5)と、
を具備してなり、
前記本体要素の前記外面(21a)は、前記中央軸線を通る第1の長手方向平面(P1)の両側に一つずつ第1および第2の凹状領域(23,24)を有しており、かつ、それから、前記回転軸線(A)と同一直線上に延在する第1および第2のピン(27,28)の両方が突出しており、
前記各第1および第2のフランジ(33,34)は、前記第1および第2の凹状領域(23,24)にそれぞれ配置される部分を有しており、かつ対応する前記ピンがその中で回動するようになっている収容部(35,36)を具備してなることを特徴とする筆記用具。
【請求項2】
前記第1および第2のピン(27,28)は、
前記中央軸線(C)を含み、かつ前記第1の長手方向平面(P1)に直交する第2の長手方向平面(P2)と、
前記第2の長手方向平面(P2)に平行し、かつ前記クリップの前記アーム(31)に面している前記外面(21a)の接線上にある平面(PP)と、
の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の用具。
【請求項3】
前記回転軸線(A)は、前記長手方向平面(P2)から距離()をおいて配置されており、それは前記外面(21a)の半径の20%から60%、好ましくは前記半径の50%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の用具。
【請求項4】
前記第1および第2の凹状領域(23,24)は、前記筒状本体要素(21)の厚さよりも小さい深さ()を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の用具。
【請求項5】
前記第1および第2のフランジ(33,34)の、前記第1および第2の凹状領域(23,24)にそれぞれ配置された前記部分は、これら領域の前記深さ()に実質的に等しい厚さからなり、前記各第1および第2のピン(27,28)は、前記外面(21a)の空間内において自由端(27a,27b)を有しており、かつ好ましくはこの空間に対して接線方向にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の用具。
【請求項6】
前記第1および第2のフランジ(33,34)は、前記第1および第2の凹状領域(23,24)の形状に適合するよう構成された断面形状を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の用具。
【請求項7】
前記第1および第2の凹状領域(23,24)は、肩部によって少なくとも部分的に規定されており、かつ第1および第2のフランジ(33,34)は、前記クリップの開閉ポジションの少なくとも一方において、対応する前記肩部と部分的に接触するよう構成された外形を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の用具。
【請求項8】
弾性部材(4;4’)が、前記第1および第2の凹状領域(23,24)に接続した第3の凹状領域(35)に設けられており、かつ前記閉ポジションの方へ向けて前記クリップ(3)を付勢するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の用具。
【請求項9】
前記弾性部材(4;4’)は、前記第3の凹状領域(25)を押圧するアーム(41;41’)と、前記クリップ(3)を押圧するアーム(42;42’)とを備える屈曲バンドを具備してなることを特徴とする請求項8に記載の用具。
【請求項10】
前記クリップ(3)を押圧する前記アーム(42;42’)は、屈曲端部(42’)を有していることを特徴とする請求項9に記載の用具。
【請求項11】
前記弾性手段(42’)は、前記本体要素(21)と前記クリップとの間において、長手方向の遊びを有するよう組み立てられていることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の用具。
【請求項12】
前記本体要素(21)の前記凹状領域(23,24,25)の少なくとも一つは、前記筒状本体要素の内側に配置されるデバイスと協働する窓(26)を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項の用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520659(P2011−520659A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510034(P2011−510034)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050948
【国際公開番号】WO2009/153482
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(501325048)ソシエテ・ビック (24)
【Fターム(参考)】