説明

ヒートシンク

【課題】 多孔の平板状のプレートを積層したヒートシンクにおいて、そのシール部の信頼性を向上させると共に、製造容易で使用材料の低減を図ることができるものの提供。
【解決手段】 少なくとも一方が凹陥して皿状に形成され且つ、一対のタンク部10aを有する第1ケーシング部材7aと第2ケーシング部材7bとの間に、多孔に形成された平板状の第1プレート1と第2プレート2との積層体よりなるコア4を一体にろう付け固定する。それと共に、第1ケーシング部材7a,第2ケーシング部材7bの周縁を液密にろう付け接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の多孔プレートを積層してコアを形成したヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、既に下記特許文献の発明を提案している。
このヒートシンクのコアは、外周に枠部を有し、その枠部の長手方向の両端部を除き、各枠部から斜め方向に多数のスリットを形成してコアプレートとし、その多数のコアプレートを重ね合わせ、隣接する各コアプレートのスリットどうしが互いに交差するように配置したものである。そして、その積層方向の上下両端に蓋用のプレートを配置し、互いに接触する各プレート間を一体にろう付け固定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−327732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載したヒートシンクのコアは、構造が簡単であるがそのシール部が多数存在するため、液漏れを起すおそれがある。さらに、各プレート自体にタンク部を設ける必要があり、金型の構造が複雑となると共に、多くの材料を必要とする欠点がある。
そこで本発明は、係る欠点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、それぞれ金属板の打ち抜き成形により、多孔に形成されてなる平板状の第1プレート(1)と、第2プレート(2)との積層体からなり、隣接する両プレート(1)(2)の各孔(1c)(2c)が平面的に位置ずれしてなるコア(4)と、
互いに外周が整合して液密にろう付け固定され、少なくとも一方が凹陥して皿状に形成され且つ一対のタンク部(10a)を有する第1ケーシング部材(7a)と第2ケーシング部材(7b)との接合体よりなり、両タンク部(10a)(10a)を除き、両ケーシング部材(7a)(7b)内に前記コア(4)が接触して収納されるケーシング(7)と、
を具備し、前記コア(4)を構成する各プレート(1)(2)間が一体にろう付けされると共に、そのコア(4)と前記ケーシング(7)との間が一体にろう付け固定され、
前記タンク部(10a)を介して前記ケーシング(7)の内部に冷却液(11)が供給されて、前記コア(4)の各プレート(1)(2)の各孔(1c)(2c)内を流通すると共に、ケーシング(7)の外面に被冷却用の素子(12)が取り付けられるヒートシンクである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記ケーシング(7)の外面に、被冷却用の素子(12)が固定され、そのケーシング(7)を介して素子(12)の直下に前記コア(4)が配置されたヒートシンクである。
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、
前記ケーシング(7)の一端部と他端部に冷却液(11)の一対の出入口(9)が開口され、その一対の出入口(9)間に複数の前記コア(4)が断続して配置され、隣接するコア間の空間(13)の位置で、そのケーシング(7)に内面側に突出するディンプルまたはビートからなる凸部(14)が形成され、その凸部(14)に各コア(4)の端が位置決めされたヒートシンクである。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、請求項3において、
前記ケーシング(7)の一部に内面側に段付きに突出された台形部(15)を有し、その台形部(15)に他より厚みの薄いコア(4)が接触固定され、その外面側に他より発熱量の小なる被冷却用の素子(12)が固定されるヒートシンクである。
請求項5に記載の本発明は、請求項1において、
前記ケーシング(7)が平面円形に形成されると共に、前記コア(4)の平面が円弧状に形成されたヒートシンクである。
【0008】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5において、
前記コア(4)の両プレート(1)(2)は、冷却液(11)の流れ方向に直交する方向に互いに平行に並列されると共に、それぞれ冷却液の流れ方向に位置された細長い多数の縦部材(1a)(2a)と、隣り合う縦部材間を斜めに接続する斜め部材(1b)(2b)とが一体に形成され、
両プレート(1)(2)は、それぞれの各縦部材(1a)(2a)が整合して重なり、夫々の斜め部材(1b)(2b)は前記流れ方向に互いに離間して配置されると共に、その向きが互いに逆向きの対称または、非対称に配置されたことを特徴とするヒートシンクである。
【0009】
請求項7に記載の本発明は、請求項6において、
前記コア(4)の前記第1プレート(1)および第2プレート(2)の各縦部材(1a)(2a)に互いに整合するピン孔(16),ピン(17)が形成され、そのピン孔(16)にピン(17)が挿通されて、両プレート(1)(2) 間が位置決めされたヒートシンクである。
請求項8に記載の本発明は、請求項6において、
積層方向の端のプレートを除き、各プレート(1)(2)の各縦部材(1a)(2a)の側面に互いに整合する欠切部(18)が形成され、前記積層方向の端のプレートの隅に位置する前記縦部材の一部が折り曲げられて、その折り曲げ部(19)が各プレートの前記欠切部(18)に嵌着されたヒートシンクである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒートシンクは、そのコア4が多孔に形成された平板状の第1プレート1と第2プレート2との積層体からなり、それが一対のタンク部10aを有するケーシング7内に収納されて一体にろう付け固定されたものであるから、ヒートシンク内の冷却水の漏れ部分が極めて少なく信頼性の高いものとなる。それと共に、構成が簡単で製造し易く低コストのヒートシンクを提供できる。さらに、コア4自体にタンク部を形成する必要がなくなり、その分、使用材料の低減を図ることができる。
【0011】
上記構成において、請求項2に記載のように、ケーシング7の外面に固定される被冷却用の素子12の直下にコア4を配置した場合には、素子12の冷却性能を向上し得る。
上記構成において、請求項3に記載のように、ケーシング7に複数のコア4を断続して配置し、その各コア4間の空間13の位置でケーシング7の内面側に凸部14を形成して、コア4の位置決めをした場合には、ケーシング7の剛性が向上し耐圧性の高いものとなる。それと共に、複数のコア4の位置決めが容易となるヒートシンクを提供できる。
【0012】
上記構成において、請求項4に記載のように、コア4の一部内面側に段付きの台形部15を形成し、そこに他より厚みの薄いコア4を接触固定し、その外面側に他より発熱量の小なる被冷却用の素子12を固定した場合には、各素子に最適な冷却性能を発揮させるヒートシンクとなる。
上記構成において、請求項5に記載のように、ケーシング7を平面円形に形成すると共に、コア4の平面を円弧状に形成した場合には、コンパクトで取り扱い易く、体裁の良いヒートシンクとなる。
【0013】
上記何れかの構成において、請求項6に記載のように、コア4の第1プレート1,第2プレート2を細長い多数の縦部材1a,2aと、各縦部材間を接続する斜め部材1b,2bとで一体に形成し、第1プレート1,第2プレート2の各縦部材1a,2aを整合して重ね、斜め部材1b,2bを流れ方向に互いに離間して配置すると共に、その向きを逆向きの対称または、非対称に配置した場合には、各縦部材間の流路6を流通する冷却液を上下方向に蛇行させると共に水平方向にも蛇行させ、その結果、冷却液を螺旋状に流通させることができる。それにより、冷却水を円滑に攪拌し熱交換性能を向上させることができる。
【0014】
また、各縦部材1a,2aは互いに整合するため、その積層方向の伝熱を良好とすることができる。
さらに、各斜め部材1b,2bは互いに離間し且つ、流れに対して傾斜しているため、その斜め部材の位置における各断面の流路面積を次第に減少し、次いで次第に増加するようにし、急激な流路断面の変化をなくして流体の圧力損失を減少させ、熱交換を促進させる効果がある。
【0015】
上記構成において、請求項7に記載のように、コア4の第1プレート1,第2プレート2の各縦部材1a,2aに互いに整合するピン孔16,ピン(17)を形成し、そのピン孔16にピン17を挿通した場合には、コア4の組立て時における第1プレート1,第2プレート2の位置決めを容易に且つ確実に行うことができる。
上記構成において、請求項8に記載のように、積層方向の端のプレートの隅の一部を折り曲げ、その折り曲げ部19を各プレートの欠切部18に嵌着した場合には、コア4の組立て時における第1プレート1,第2プレート2の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のヒートシンクの分解斜視図。
【図2】同ヒートシンクの横断面略図。
【図3】同ヒートシンクに内装されるコア4を構成する第1プレート1の平面図。
【図4】同第2プレート2の平面図。
【0017】
【図5】同コア4の平面図。
【図6】同コア4の斜視略図。
【図7】同ヒートシンク内における冷却液11の流れ状態を示す縦断面説明図。
【図8】同流れ状態の平面的説明図。
【0018】
【図9】同コア4の斜め部材1b,2bの各位置における流路断面積の減少割合の関係を%で示した説明図。
【図10】本発明のヒートシンクの第2の実施の形態を示す縦断面説明図およびその隅部斜視図。
【図11】同ヒートシンクに内装されるコア群の平面略図。
【図12】本発明のヒートシンクの他の例を示す縦断面図。
【0019】
【図13】本発明のヒートシンクのさらに他の例を示す分解斜視図。
【図14】同ヒートシンクのコアの一部分解斜視図。
【図15】本発明のヒートシンクに内装される他のコア4の要部斜視図。
【図16】本発明のヒートシンクのさらに他の例を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は一対のコア4を内装したヒートシンクの分解斜視図、図2は同横断面図である。
図3は本発明のコア4を構成する第1プレート1の平面図、図4は同第2プレート2の平面図、図5は両プレート1,2を積層したコア4の平面図、図6はその斜視図である。
このコア4は、第1プレート1と第2プレート2とを交互に積層したものである。第1プレート1,第2プレート2は夫々アルミニューム等の金属板の打ち抜き加工により形成されたものであり、両プレートには幅方向に多数の直線状の縦部材1a,2aが定間隔に並列されている。そして隣り合う縦部材1a間及び2a間を、斜めに斜め部材1b,2bによって一体に接続する。
【0021】
第1プレート1,第2プレート2が積層されたとき、図5に示す如く、第1プレート1の縦部材1aと第2プレート2の縦部材2aとは整合して重なり合い、第1プレート1の斜め部材1bと第2プレート2の斜め部材2bとは、その長手方向に互いに離間して配置されると共に、第1プレート1の斜め部材1bの向きθと、第2プレート2の斜め部材2bの向き−θは逆向きの対称に形成されている。
なお、第2プレート2の斜め部材2bの位置は、第1プレート1の長手方向に隣り合う斜め部材1bの中間に存在する。
【0022】
このように第1プレート1,第2プレート2が積層されたコア4は、図1及び図2に示す如く、ケーシング7の内部に収納される。この例では、ケーシング7は皿状の第1ケーシング部材7aと平板状の第2ケーシング部材7bとからなる。第1ケーシング部材7aは外周及び中間部が立ち上げられ、それらの間に一対の溝部10が形成され、一対の溝部10の端部間は連通し、そこに両コア4共通の一対のタンク部10aを設けている。そして第2ケーシング部材7bには、その長手方向両端に冷却液の出入口9が形成され、それが前記タンク部10aに連通している。なお、上記実施例において、第2ケーシング部材7bを皿状に形成してもよい。
【0023】
コア4は、その積層方向である上下両面が第1ケーシング部材7a,第2ケーシング部材7bに接触し、全体が一体的にろう付け固定されている。即ち、第1プレート1と第2プレート2との間及びそれらとケーシング7内面との間が一体にろう付け固定される。そして、ケーシング7の一方の出入口9から冷却液が内部に導かれ、それが一対のコア4を流通して他方の出入口9から流出する。
なお、ケーシング7の外面にはパワーモジュール等の被冷却用の素子12が取り付けられ、その発熱がコア4を介して冷却液に吸収させるものである。このとき冷却液は、図5においてその長手方向に流通する。その冷却液11は、各第1プレート1,第2プレート2の隣り合う縦部材1aどうし及び、2aどうしの間の流路6を流通する。
【0024】
その冷却液11の流通の状態を図7及び図8に示す。図7はその要部縦断面図であり、図8はその要部平面図である。
図8において、隣り合う縦部材1a,2aどうしの間を流通する冷却液11は、斜め部材1b,2bの位置において、それらの存在により、図7の如く上下方向に蛇行すると共に、図8の如く平面方向にも蛇行する。これは斜め部材1b,2bが流路6に対して斜めに逆対称または、非対称に配置されているためである。その結果、冷却液11は平面的に蛇行すると共に、上下方向に蛇行し、結果として流路6内を螺旋状に流通するものである。
このとき流路6の横断面積は、斜め部材1b,2bの位置において、その上流側から中間部に次第に減少し、中間部から下流側に次第に増加する。
【0025】
これを流路に沿って逆対称の斜め部材配置について表現すると、図9の通りとなる。同図において、mはコア4の要部平面図であり、nはその流路断面積の変化を%で表したものである。これは、斜め部材1b、2bの存在しない位置における流路6の横断面を100%とし、それらが存在する場所での各流路断面の変化を表したものである。同図から明らかなように斜め部材1b,2bにおいて、その流路断面は下流側に次第に減少し、中間で一定となった後に次第に増加する。このことは流路6の急激な増減を避け、徐々の減少及び徐々の増加によって冷却液11の流通に伴う圧力損失を可及的に小さくしつつ、その攪拌効果を増大させるものである。
【0026】
なお、前記第1の実施例では、第1プレート1と第2プレート2とが交互に積層されたが、それに代えて、第1プレート1と第2プレート2との間に図示しないスペーサを介装してもよい。その場合のスペーサは、第1プレート1の縦部材1aと第2プレート2の縦部材2aの位置のみに介装され、それらが一体的にろう付け固定される。そのスペーサの存在により、冷却液11の流通に伴う流路抵抗をさらに減少させることができる。
【0027】
次に、図10(A)は本発明の第2の実施の形態を示すヒートシンクの縦断面図であり、図11はそのヒートシンクに内装されるコアの平面図である。この例は、所定長さのコア4を断続的に直列方向に配置したものである。このようにコア4を所定長さのブロックとして複数用いることにより、その接続数の増減によって適宜容量のヒートシンクを容易に製造することができる。
【0028】
このヒートシンクのケーシング7の第2ケーシング部材7bは、その長手方向の中間の内面側に段付きに突設された台形部15を有する。そしてこの台形部15上にそれ以外の部分より厚みの薄いコア4が接触固定され、その台形部15に対向する第1ケーシング部材7aの外面側位置に他より発熱量の小なる被冷却用の素子12が固定されるものである。そして、台形部15以外の位置には厚みの厚いコア4が接触固定され、それに対向する第1ケーシング部材7aの位置に発熱量の大なる被冷却用の素子12が固定されたものである。このように構成することにより、各容量の素子12に合わせて最適な冷却を行うことができる。
【0029】
また、この例では第2ケーシング部材7bの外周縁は立ち上げられると共に、(B)に示す如くスリット20が適宜間隔で形成され、そのスリット20の上方をかしめて、かしめ部21を形成することにより、第1ケーシング部材7aと第2ケーシング部材7bとを位置決め固定し、その状態で全体を一体にろう付け固定することができるものである。そして冷却液11が一方の出入口9からタンク部10a内に流入し、各コア4を順に流通して他方の出入口9からそれが流出する。そして、夫々の素子12の発熱を冷却液11により吸収するものである。
【0030】
次に、図12は本発明の第3の実施の形態を示すヒートシンクの縦断面図であり、この例はケーシング7の一端部と他端部に冷却液11の一対の出入口9が開口され、その一対の出入口9間に複数のコア4が断続して配置されている。そして隣接するコア4間に空間13が設けられ、その位置で第1ケーシング部材7aにはその内面側に突出する凸条からなる凸部14が形成され、その凸部14に各コア4の端が位置決めされたものである。このように構成することにより、各コア4の位置決めを同時に行うことができる。なお、各コアの構造は図5,図6のものと同一にすることができる。
【0031】
次に、図13,図14は本発明の第4の実施の形態を示し、図13はそのヒートシンクの分解斜視図であり、図14はそのコア4の一部分解斜視略図である。
このコア4を構成する第1プレート1,第2プレート2は、夫々の縦部材1a,2aが平面視、定ピッチで波形に曲折されている。そして隣り合う縦部材1a,2aどうしを、斜め部材1b,2bによって一体に接続したものである。この例でも、第1プレート1,第2プレート2の縦部材1a,2aどうしは図14の如く互いに整合する。そして第1プレート1の斜め部材1bと、第2プレート2の斜め部材2bは流路6の流れ方向に互いに離間して配置されている。この例では、縦部材1a,2aが蛇行状に形成されているため、その蛇行された流路6に対し斜め部材1b,2bは、その蛇行流れに対しそれぞれ傾斜し且つ、両斜め部材1b,2bはその蛇行流れに対して互いに向きが逆向きに形成されている。
【0032】
さらに、このコア4の第1プレート1,第2プレート2の各縦部材1a,縦部材2aには互いに整合する複数の位置にピン孔16,ピン17が形成され、夫々のピン孔16にピン17が挿通されて両第1プレート1,第2プレート2間が位置決めされるものである。そして、各プレート1,2を積層したコア4の両側は波形に形成されており、それに合わせて第1ケーシング部材7aの外周面が波形に形成されている。そしてコア4が第1ケーシング部材7aと第2ケーシング部材7bとの間に配置され、各部品間が一体にろう付け固定されるものである。
【0033】
次に、図15はコア4の第1プレート1と第2プレート2との位置決めの他の例であり、この例は積層方向最上段に位置する第1プレート1の四隅部において、縦部材1aにスリット20を形成すると共に、他の第1プレート1,第2プレート2には互いに整合する欠切部18を形成しておく。そして、最上段の第1プレート1の各スリット20の外側を折り曲げて折り曲げ部19を形成し、その折り曲げ部19を欠切部18に挿入したものである。これにより各プレート間を容易に位置決めすることができる。
【0034】
次に、図16は本発明のヒートシンクのさらに他の例の分解斜視図であり、この例のケーシング7は平面円形に形成され、その内部に挿入されるコア4は平面が円弧状に形成されたものである。即ち、第1ケーシング部材7aは円形の鍔付き皿状に形成され、第2ケーシング部材7bは平板でその中心に円形凸部22が一体に突出形成されている。そして、円形凸部22を挟んでその直径線上に一対の出入口9が設けられたものである。
【0035】
また、コア4は一対の出入口9を除く位置に略整合するように、それぞれ弧状に形成されている。この例のコア4はそれを構成する第1プレート1,第2プレート2の各縦部材1a,2aが図3,図4において直線状に形成される代わりに円弧状に形成されたものである。そして冷却水を一方の出入口9から一対のコア4を互いに逆向きに弧状に流通させ、他方の出入口9にそれが流出するものである。この例においても、コア4を構成する第1プレート1,第2プレート2の各接触部間及びコア4とケーシング7の内面との間が一体にろう付け固定されると共に、第1ケーシング部材7aの外周に設けたフランジ部分と第2ケーシング部材7bの外周縁とが液密にろう付け固定されるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 第1プレート
1a 縦部材
1b 斜め部材
1c 孔
2 第2プレート
2a 縦部材
2b 斜め部材
2c 孔
【0037】
4 コア
6 流路
7 ケーシング
7a 第1ケーシング部材
7b 第2ケーシング部材
9 出入口
10 溝部
10a タンク部
【0038】
11 冷却液
12 素子
13 空間
14 凸部
15 台形部
16 ピン孔
17 ピン
【0039】
18 欠切部
19 折り曲げ部
20 スリット
21 かしめ部
22 円形凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ金属板の打ち抜き成形により、多孔に形成されてなる平板状の第1プレート(1) と、第2プレート(2)との積層体からなり、隣接する両プレート(1)(2)の各孔(1c)(2c)が平面的に位置ずれしてなるコア(4)と、
互いに外周が整合して液密にろう付け固定され、少なくとも一方が凹陥して皿状に形成され且つ一対のタンク部(10a)を有する第1ケーシング部材(7a)と第2ケーシング部材(7b)との接合体よりなり、両タンク部(10a)(10a)を除いて、両ケーシング部材(7a)(7b)内に前記コア(4)が接触して収納されるケーシング(7)と、
を具備し、前記コア(4)を構成する各プレート(1)(2)間が一体にろう付けされると共に、そのコア(4)と前記ケーシング(7)との間が一体にろう付け固定され、
前記タンク部(10a)を介して前記ケーシング(7)の内部に冷却液(11)が供給されて、前記コア(4)の各プレート(1)(2)の各孔(1c)(2c)内を流通すると共に、ケーシング(7)の外面に被冷却用の素子(12)が取り付けられるヒートシンク。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケーシング(7)の外面に、被冷却用の素子(12)が固定され、そのケーシング(7)を介して素子(12)の直下に前記コア(4)が配置されたヒートシンク。
【請求項3】
請求項2において、
前記ケーシング(7)の一端部と他端部に冷却液(11)の一対の出入口(9)が開口され、その一対の出入口(9)間に複数の前記コア(4)が断続して配置され、隣接するコア間の空間(13)の位置で、そのケーシング(7)に内面側に突出するディンプルまたはビートからなる凸部(14)が形成され、その凸部(14)に各コア(4)の端が位置決めされたヒートシンク。
【請求項4】
請求項3において、
前記ケーシング(7)の一部に内面側に段付きに突出された台形部(15)を有し、その台形部(15)に他より厚みの薄いコア(4)が接触固定され、その外面側に他より発熱量の小なる被冷却用の素子(12)が固定されるヒートシンク。
【請求項5】
請求項1において、
前記ケーシング(7)が平面円形に形成されると共に、前記コア(4)の平面が円弧状に形成されたヒートシンク。
【請求項6】
請求項1〜請求項5において、
前記コア(4)の両プレート(1)(2)は、冷却液(11)の流れ方向に直交する方向に互いに平行に並列されると共に、それぞれ冷却液の流れ方向に位置された細長い多数の縦部材(1a)(2a)と、隣り合う縦部材間を斜めに接続する斜め部材(1b)(2b)とが一体に形成され、
両プレート(1)(2)は、それぞれの各縦部材(1a)(2a)が整合して重なり、夫々の斜め部材(1b)(2b)は前記流れ方向に互いに離間して配置されると共に、その向きが互いに逆向きの対称または、非対称に配置されたことを特徴とするヒートシンク。
【請求項7】
請求項6において、
前記コア(4)の前記第1プレート(1)および第2プレート(2)の各縦部材(1a)(2a)に互いに整合するピン孔(16),ピン(17)が形成され、そのピン孔(16)にピン(17)が挿通されて、両プレート(1)(2) 間が位置決めされたヒートシンク。
【請求項8】
請求項6において、
積層方向の端のプレートを除き、各プレート(1)(2)の各縦部材(1a)(2a)の側面に互いに整合する欠切部(18)が形成され、前記積層方向の端のプレートの隅に位置する前記縦部材の一部が折り曲げられて、その折り曲げ部(19)が各プレートの前記欠切部(18)に嵌着されたヒートシンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−190515(P2010−190515A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36730(P2009−36730)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)