説明

ヒートポンプ式給湯機

【課題】冷媒圧力上昇時においても運転をできるだけ継続できるようにするとともに、運転の継続が不可能の場合には、ヒートポンプサイクルの異常であるのか、給湯側の循環水系の異常であるのかを判断できるヒートポンプ式給湯機を提供すること。
【解決手段】圧縮機1、給湯用熱交換器2、減圧装置3、熱源用熱交換器4を冷媒配管5にて接続して形成したヒートポンプサイクルと、給湯用の液体を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽6内の液体が前記給湯用熱交換器2を介して循環する液体配管8と、前記液体配管8内の液体を循環させるポンプ7と、前記冷媒配管5内の高圧側圧力を検出する高圧検出手段9とを備え、前記冷媒配管5内の高圧側圧力が所定値に到達したとき、前記ポンプ7の回転数を上昇させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のヒートポンプ式給湯機は、冷凍サイクルが高圧異常のときに作動すべき圧力スイッチを高圧側に設け圧力スイッチが作動したときに、ヒートポンプユニットの圧縮機の駆動を停止させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、高圧保護装置が作動した場合に、前記ヒートポンプサイクルの異常と、前記液体配管に前記貯湯槽内の液体を循環させる循環系の異常のどちらの異常で、前記高圧保護装置が作動したかを判断し表示しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−116892号公報
【特許文献2】特開2009−243774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成のように、冷媒配管内の圧力が所定圧力値に到達した場合に圧縮機の運転を停止させる高圧保護装置を備えるのが一般的であるが、停止することのみであり、高圧の上昇を抑制し運転を継続できないこと、また、冷媒配管により環状に接続して構成されるヒートポンプサイクルの異常だけではなく、給湯用の液体を蓄える貯湯槽と貯湯槽内の液体が給湯用熱交換器を介し循環できる液体配管内の循環水系の異常によっても高圧保護装置が作動してしまい、どちらの回路の故障であるか特定が困難となり、サービス性が悪いという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷媒圧力上昇時においても運転をできるだけ継続できるようにするとともに、運転の継続が不可能の場合には、ヒートポンプサイクルの異常であるのか、給湯側の循環水系の異常であるのかを判断できるヒートポンプ式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ式給湯機は、圧縮機、給湯用熱交換器、減圧装置、熱源用熱交換器を冷媒配管にて接続して形成したヒートポンプサイクルと、給湯用の液体を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の液体が前記給湯用熱交換器を介して循環する液体配管と、前記液体配管内の液体を循環させるポンプと、前記冷媒配管内の高圧側圧力を検出する高圧検出手段とを備え、前記冷媒配管内の高圧側圧力が所定値に到達したとき、前記ポンプの回転数を上昇させることを特徴とするものである。
【0008】
これによって、圧力上昇時に、給湯用熱交換器における熱交換量を増大させることで、圧力上昇抑制が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷媒圧力上昇時においても運転をできるだけ継続できるようにするとともに、運転の継続が不可能の場合には、ヒートポンプサイクルの異常であるのか、給湯側の循環水系の異常であるのかを判断できるヒートポンプ式給湯機を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機の構成図
【図2】同ヒートポンプ式給湯機のポンプの動作図
【図3】同ヒートポンプ式給湯機の高圧抑制動作チャート
【図4】同ヒートポンプ式給湯機の異常検出チャート
【図5】同ヒートポンプ式給湯機の高圧抑制動作および異常検出チャート
【図6】同ヒートポンプ式給湯機の他の高圧抑制動作および異常検出チャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、圧縮機、給湯用熱交換器、減圧装置、熱源用熱交換器を冷媒配管にて接続して形成したヒートポンプサイクルと、給湯用の液体を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の液体が前記給湯用熱交換器を介して循環する液体配管と、前記液体配管内の液体を循環させるポンプと、前記冷媒配管内の高圧側圧力を検出する高圧検出手段とを備え、前記冷媒配管内の高圧側圧力が所定値に到達したとき、前記ポンプの回転数を上昇させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機で、圧力上昇時に、給湯用熱交換器における熱交換量を増大させることで、圧力上昇抑制が可能となる。
【0012】
第2の発明は、前記ポンプの回転数を上昇させても、前記冷媒配管内の高圧側圧力が上昇した場合には、前記圧縮機の運転を停止させることを特徴とするもので、ヒートポンプサイクル、液体配管内の循環水系の根本的な故障の場合は停止する。
【0013】
第3の発明は、前記給湯用熱交換器の前記液体配管側出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とするものである。
【0014】
これによって、給湯用熱交換器出口温度のみの場合は、ポンプ回転数上昇による給湯用熱交換器における熱交換量を増大により低下する出口温度を検出し、温度低下した場合は液体を循環させる循環系が正常に動作しているため、ヒートポンプサイクルの異常と検出し、温度低下の無い場合は、液体を循環させる循環系に異常があると判定できる。
【0015】
第4の発明は、前記給湯用熱交換器の前記液体配管側入口、出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とするものである。
【0016】
これによって、給湯用熱交換器の入口温度、出口温度による検出方法では、ポンプ回転数上昇にて入口温度と出口温度が近接した場合は、液体を循環させる循環系が正常に動作しているため、ヒートポンプサイクルの異常と検出し温度差がついた場合は、液体を循環させる循環系に異常があると判定することができる。
【0017】
第5の発明は、前記圧縮機出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値と、前記高圧検出手段により検出された検出値と、前記給湯用熱交換器の前記液体配管側出口に温度検出手段により検出された検出値とに基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とするものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯機の構成図を示したものである。
【0020】
圧縮機1、給湯用熱交換器2、減圧装置3、熱源用熱交換器4を冷媒配管5により環状に接続して構成され、減圧装置3の弁開度を調整できるヒートポンプサイクルと、給湯用の液体を蓄える貯湯槽6と、貯湯槽内の液体が前記給湯装置を介し循環できる液体配管8と、液体配管に貯湯槽内の液体を流通させるポンプ7と、冷媒配管5内の高圧圧力を圧縮機1の電力量と回転数及び熱源用熱交換器4の蒸発温度からヒートポンプサイクルの高圧側圧力を検出する高圧検出手段9と、給湯用熱交換器2の入水温度を検出する入水温度検出手段10と出湯温度を検出する出湯温度検出手段11と圧縮機1の吐出冷媒温度を検出する吐出温度検出手段12で構成される。
【0021】
図2は、本発明のヒートポンプ式給湯機のポンプ7動作を示したものである。
【0022】
高圧検出手段9が認識した圧力が所定の設定された値αを上回った場合に、まず、ポンプ7の回転数を通常状態よりも大きく上昇させ、給湯用熱交換器2における熱交換量を増大し圧力上昇を抑える。
【0023】
それでもさらに圧力上昇し所定の設定された値βに到達した場合には、圧縮機を停止し、ポンプ7回転数上昇にて圧力がα´を下回った場合にはポンプ7は通常制御に戻る。
【0024】
図3は、本発明のヒートポンプ式給湯機の高圧抑制動作をチャートに示したものである。高圧検出手段9が認識した圧力が設定値αを上回った場合、ポンプ7の回転数を増大する。
【0025】
また、このときの出湯温度検出手段11の温度Aを記憶し、合わせてタイマーカウントを開始。ポンプ7回転数増大状態で所定の時間γを経過した場合に出湯温度検出手段11の温度Bを記憶確定する。
【0026】
圧力がさらに上昇し、設定値βを上回った際には、圧縮機1を停止する。このとき出湯温度検出手段11の温度Bを記憶確定する。圧力が抑制され設定値α´を下回った場合は、通常の設定出湯温度となるポンプ7の制御に戻し、温度A記憶値とタイマーをリセットする。
【0027】
図4は、ヒートポンプ式給湯機の異常検出動作をチャートに示したものである。温度Bが確定した段階で圧縮機1を停止、温度Aと比較し、温度A−Bが設定値C以上であれば、ポンプ7回転数を上昇させ、給湯用熱交換器2における熱交換量を増大し、出湯温度検出手段11の検出温度を低下させることが実現できているので、液体配管8に貯湯槽6の液体を循環させる循環系の異常ではないと判断し、ヒートポンプサイクル異常と表示する。
【0028】
設定値C以下であればポンプ7回転数を上昇させているにもかかわらず、給湯用熱交換器2の熱交換量を増加させられていないため、液体配管8に貯湯槽6の液体を循環させる循環系の異常と表示する。
【0029】
図5は、本発明のヒートポンプ式給湯機の異常検出動作をチャートに示したものである。
【0030】
高圧検出手段9が認識した圧力が、設定値αを上回った場合、ポンプ7の回転数を増大する。また、合わせてタイマーカウントを開始する。
【0031】
ポンプ7回転数増大状態で所定の時間を経過した場合に入水温度検出手段10の温度D、出湯温度検出手段11の温度Eを記憶確定する。圧力がさらに上昇し、設定値βを上回った際には、圧縮機1を停止する。
【0032】
このとき入水温度検出手段10の温度D、出湯温度検出手段11の温度Eを記憶確定する。圧力が抑制され設定値α´を下回った場合は、通常の設定出湯温度となるポンプ7の制御に戻し、タイマーと温度D、E記憶値をリセットする。
【0033】
温度D、Eの確定した段階で圧縮機1を停止、温度E−Dが設定値F以下となった場合、ポンプ7回転数を上昇させ給湯用熱交換器2熱交換量を増大し、出湯温度検出手段11の検出温度を入水温度検出手段10の検出温度同等に低下させることが実現できているので、液体配管8に貯湯槽6の液体を循環させる循環系の異常ではないと判断し、ヒートポンプサイクル異常と表示する。
【0034】
設定値F以上であればポンプ7回転数を上昇させているにもかかわらず、給湯用熱交換器2の熱交換量を増加させられていないため、液体配管8に貯湯槽6の液体を循環させる循環系の異常と表示する。
【0035】
また、図6は、ヒートポンプ式給湯機の高圧抑制動作・異常検出チャート図を示すが、圧力β条件には加えて、吐出温度検出手段12の検出した温度が所定値X以上となった場合も異常検出動作条件としている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明のヒートポンプ給湯機は、給湯機能の他に、例えば、浴槽給湯機能、暖房機能、乾燥機能を有する装置にも適している。
【符号の説明】
【0037】
1 圧縮機
2 給湯用熱交換器
3 減圧装置
4 熱源用熱交換器
5 冷媒配管
6 貯湯槽
7 ポンプ
8 液体配管
9 高圧検出手段
10 入水温度検出手段
11 出湯温度検出手段
12 吐出温度検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、給湯用熱交換器、減圧装置、熱源用熱交換器を冷媒配管にて接続して形成したヒートポンプサイクルと、給湯用の液体を貯える貯湯槽と、前記貯湯槽内の液体が前記給湯用熱交換器を介して循環する液体配管と、前記液体配管内の液体を循環させるポンプと、前記冷媒配管内の高圧側圧力を検出する高圧検出手段とを備え、前記冷媒配管内の高圧側圧力が所定値に到達したとき、前記ポンプの回転数を上昇させることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記ポンプの回転数を上昇させても、前記冷媒配管内の高圧側圧力が上昇した場合には、前記圧縮機の運転を停止させることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
前記給湯用熱交換器の前記液体配管側出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項4】
前記給湯用熱交換器の前記液体配管側入口、出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値に基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項5】
前記圧縮機出口に温度検出手段を設け、前記温度検出手段の検出値と、前記高圧検出手段により検出された検出値と、前記給湯用熱交換器の前記液体配管側出口に温度検出手段により検出された検出値とに基づいて、前記ヒートポンプサイクルの異常か、前記液体配管内の液体を循環させる循環系の異常のかを判断し、表示する構成としたことを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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