説明

ヒートポンプ式貯湯給湯機

【課題】1日の使用湯量を正確に設定して無駄がなく効率の良い給湯が行えるヒートポンプ式貯湯給湯機を提供する。
【解決手段】リモコン32に使用湯量を設定する使用湯量設定手段35と、残湯が予め設定されている最低貯湯量以下となったら昼の沸き上げを行うか否かを設定する追加沸き上げ設定手段36とを備え、追加沸き上げを行うを選択した場合は、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量より少なく沸き上げると共に、所定期間に昼の沸き上げが発生しなかったら、使用湯量の設定を少なめに設定し直す旨の表示をリモコンの表示部に表示させ、更に追加沸き上げを行わないを選択した場合には、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量まで沸き上げると共に、残湯が最低貯湯量以下となったらリモコンの表示部に、強制的に沸き増しを行う沸き増しスイッチを押す旨の表示を行わせるので、無駄がなく効率の良い給湯を行えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1日に使用する湯量を使用者自身が設定可能で、更に残湯量が最低貯湯量以下に低下した時に、昼の沸き上げを行うか否かを選択出来るようにしたヒートポンプ式貯湯給湯機。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、深夜時間帯での沸き上げは勿論のこと昼の追加沸き上げも行うおまかせモードと、深夜時間帯での沸き上げのみで出来るだけ追加沸き上げをしないようにする節約モードとの2つのモードを備え、使用者はこの2つのモードから自身の生活スタイルに合った1のモードを選択して使用するものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、おまかせモードを選択した場合は、深夜時間帯の沸き上げの他に、お湯が足りなくなると何時でも追加沸き上げを行うので、昼間の追加沸き上げでは電気料金が高くなってしまったり、又追加沸き上げのためにどうしてもお湯があまり効率悪いものであり、一方節約モードを選択した場合には、深夜時間帯での沸き上げのみであるので、電気代は安く無駄なお湯が残らないので効率は良いが、湯切れの危険が常にあるものであり、いずれのモードも一長一短を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特に請求項1ではその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、貯湯タンク内の高さ方向の湯水温度を検知する複数の貯湯温度センサと、深夜時間帯で貯湯タンク内の湯水を沸き上げるように制御する給湯制御部と、該給湯制御部に沸き上げ運転の設定や各種の設定を可能とする表示部を有するリモコンとを備えたものに於いて、前記リモコンに使用湯量を設定する使用湯量設定手段と、残湯が予め設定されている最低貯湯量以下となったら昼の沸き上げを行うか否かを設定する追加沸き上げ設定手段とを備え、追加沸き上げを行うを選択した場合は、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量より少なく沸き上げると共に、所定期間に昼の沸き上げが発生しなかったら、使用湯量の設定を少なめに設定し直す旨の表示をリモコンの表示部に表示させ、更に追加沸き上げを行わないを選択した場合には、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量まで沸き上げると共に、残湯が最低貯湯量以下となったらリモコンの表示部に、強制的に沸き増しを行う沸き増しスイッチを押す旨の表示を行わせるものである。
【0006】
又請求項2では、前記追加沸き上げを行わないを選択した場合では、設定使用湯量と実使用量との差が予め設定した所定量以上ずれ、それが所定期間に渡って継続すると使用湯量の設定をこの差がなくなるように設定し直す旨の表示をリモコンの表示部に表示させるものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、1日の使用湯量と昼の追加沸き上げの有無を使用者自身がリモコンで設定出来るので、使用者自身が自分の生活スタイルに合った使用湯量の設定が行え、極めて便利で使用勝手が良いものであり、しかも電気料金は嵩むが湯切れの心配がない昼の沸き上げの有無も使用者自身で決定出来るので、電気料金か湯切れかを自分で自由に選択出来、自己の意志を主張出来て極めて使用勝手が良く、更に追加沸き上げを行うを選択した場合には、深夜の沸き上げ量を設定量より少なめに沸き上げて、出来るだけ使用湯量を抑えることで効率を上げようとするものであり、又所定期間に渡って昼の沸き上げが行われなかった時には、使用湯量の設定を少なめに設定し直すようにという表示が行われるから、使用者は迷うことなく設定を少なめに変更出来極めて便利であり、更に追加沸き上げを行わないを選択し、残湯が最低貯湯量以下となったら沸き増しスイッチを押すようにという表示が行われるので、お湯が欲しい時には沸き増しスイッチを押すことが出来、急な湯切れでも慌てる必要がなく落ち着いて対応出来ると共に、この表示で湯切れであることを知ることも出来るものである。
【0008】
又請求項2によれば、追加沸き上げをしないを選択した場合で、設定使用湯量と実使用量との差が予め設定した所定量以上ずれ、それが所定期間に渡って継続すると使用湯量の設定をこの差がなくなるように設定し直す旨の表示が行われるので、自分の設定した使用湯量が適切かどうかが分かり、間違っていたとしても実使用湯量に正確に訂正出来、極めて効率良く使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示すヒートポンプ式貯湯給湯機の概略構成図。
【図2】同要部電気回路のブロック図。
【図3】同要部のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の一実施形態のヒートポンプ式貯湯給湯機を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯するステンレス製の貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に市水を給水する給水管、3は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐された給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを給湯設定温度になるように混合する給湯混合弁、6は給湯混合弁5で混合された湯が流通する給湯管、7は給湯管6からの湯を給湯する給湯栓、8は給湯管6途中に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6途中に設けられ給湯量を検出する給湯流量センサ、10は給水管2に設けられ市水の給水圧を一定の圧力に減圧する減圧弁、11は貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0011】
12は浴槽、13は貯湯タンク1内の上部に設けられ該貯湯タンク1内の湯の熱で外部流体としての浴槽水を加熱するための風呂熱交換器、14は浴槽12と風呂熱交換器13とを浴槽水が循環可能に接続する風呂循環回路、15は風呂循環回路14途中に設けられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ、16は給湯管6から分岐され風呂循環回路14に接続された湯張り管、17は湯張り管16途中に設けられ該湯張り管16を開閉する湯張り弁、18は風呂循環回路14途中に設けられ浴槽12から風呂熱交換器13へ流れる浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、19は浴槽12内の水位を圧力で検出する水位センサである。
【0012】
20は貯湯タンク1内の湯水を加熱するためのヒートポンプ式の加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機21と、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器22と、冷媒の圧力を減圧する減圧器23と、液冷媒を蒸発させる蒸発器24とを備え、蒸発器24で吸熱した冷媒を圧縮機21で圧縮して冷媒水熱交換器22を介して水を加熱するようにしている。蒸発器24には送風機25が設けられると共に、通風経路の蒸発器24の上流側には、外気温度を検出するための外気温度センサ26が設けられている。このヒートポンプ式の加熱手段20には冷媒として二酸化炭素冷媒が用いられ、高圧側が超臨界状態となることにより水を90℃の高温まで加熱することができるものである。
【0013】
27は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器22の水側と貯湯タンク1の上部とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路、28は加熱循環回路27途中に設けられた加熱循環ポンプ、29は冷媒水熱交換器22へ流入する水の温度を検出する入水温度センサ、30は冷媒水熱交換器22で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
31は貯湯タンク1の側面の上下方向に複数設けられた貯湯温度センサで、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出するためのものであり、上から31a、31b、31c、31d、31eと呼ぶ。なお、これら貯湯温度センサ31a〜e貯湯量を検知するセンサも兼ねており、最上部の貯湯温度センサ31aは最低貯湯量も検知するものである。
【0015】
32は台所等に設けられるリモコンで、給湯機に関する各種の情報(給湯設定温度、風呂設定温度、給湯機の作動状態等)及び、1日の使用湯量や昼の追加沸き上げの有無、使用湯量と実使用量との差を表示する表示部33と、給湯設定温度、風呂設定温度、風呂設定湯量を設定操作するための設定スイッチ34と、1日の使用湯量を設定する使用湯量設定手段35と、昼の追加沸き上げの有無を設定する追加沸き上げ設定手段36と、加熱手段20に貯湯タンク1内の湯水を強制的に沸き上げさせる沸き増しスイッチ37と、前記表示部33に表示されている温度や湯量の表示を設定変更の為に順番に拡大表示させる表示切替スイッチ38と、前記表示切替スイッチ38で拡大表示した温度や湯量の設定を変更する時に1回押し確定で再び押されて確定する変更確定スイッチ39とを備えている。
【0016】
40は給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、風呂温度センサ18、水位センサ19、外気温度センサ26、入水温度センサ29、沸き上げ温度センサ30、貯湯温度センサ31a〜eの検出値が入力され、風呂循環ポンプ15、湯張り弁17、圧縮機21、減圧器23、送風機25、加熱循環ポンプ28の作動を制御すると共に、リモコン32と通信可能に接続され該リモコン32の設定値となるように給湯機を制御する給湯制御部であり、この給湯制御部40は、予め給湯機の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0017】
そして、この給湯制御部40は、リモコン32に使用者自身によって設定された1日の設定使用湯量となるように、深夜時間帯の沸き上げ運転時に貯湯タンク1内の沸き上がりの貯湯量が使用湯量に達したことを、貯湯温度センサ31a〜eで検知して沸き上げを終了させるものであり、更に給湯制御部40は、昼の追加沸き上げの有無によって貯湯温度センサ31aが最低貯湯量以下を検知すると、追加沸き上げを行うが選択された場合は、追加沸き上げを開始させると共に、この昼の追加沸き上げが所定期間ここでは7日間発生しなかった時は、表示部33に「使用湯量の設定を少なめに設定し直して下さい」を表示し、追加沸き上げを行わないが選択された場合は、昼の追加沸き上げはせず、表示部33に強制的に沸き増し運転を開始させる「沸き増しスイッチを押して下さい」を表示し、又この追加沸き上げを行わないが選択された時には、給湯流量センサ9が検知する実使用量と設定使用湯量との差をプラスでもマイナスでも所定量ここでは20L以上ずれ、それが所定期間ここでは7日間に渡って継続すると、使用湯量の設定をこの差がなくなるように設定し直す旨を表示、即ち、「使用湯量の設定を差がなくなるように設定し直して下さい」を表示するものである。
【0018】
次に、この一実施形態の作動について図3の作動説明図に基づいて説明する。
先ず貯湯タンク1の総容量が370Lの場合で、リモコン32の表示部33に表示切替スイッチ38の押圧で使用湯量を表示させ、変更確定スイッチ39で設定の意志表示をした後に、使用湯量設定手段35で使用者自身が希望する1日の使用湯量320Lを設定して変更確定スイッチ39を押すことで確定され(ステップ41)、続けて追加沸き上げ設定手段36で昼の追加沸き上げの有無を選択するのがステップ42である。
【0019】
そしてステップ43の昼の追加沸き上げを行うでは、深夜時間帯で加熱手段20及び加熱循環ポンプ28が駆動し、冷媒水熱交換器22で貯湯タンク1内の湯水を加熱して、高温水(約80℃)を貯湯タンク1の上部から戻して貯湯して行くもので、貯湯温度センサ31a〜eで貯湯タンク1内の高温水の貯湯量が設定した320Lより少なめの300Lに達したことを検知して沸き上げを終了させるのがステップ44である。
【0020】
給湯が進みステップ45で貯湯タンク1内の貯湯量を貯湯温度センサ31a〜eが検知して、最低貯湯量以下を検知しステップ46で昼の追加沸き上げ運転を行うものであり、又ステップ47で最低貯湯量以上の残湯ありでは、ステップ48に進み給湯制御部40がこの昼の追加沸き上げが行われなかったことを記憶し、所定期間ここでは7日間この追加沸き上げを行わなかった時には、ステップ49でリモコン32の表示部33に「使用湯量の設定を少なめに設定し直して下さい」を表示させ、設定した使用湯量を更に少なく設定することを促し、給湯の沸き上げや使用を控えることで経済的であり省エネ性を向上させることが出来るものである。
【0021】
次にステップ50の昼の追加沸き上げを行わないでは、先ずステップ51で設定使用湯量と実使用量との差が所定量以上の時に表示するかの所定量を設定するもので、これも使用者自身が決定出来るもので、ここでは20Lを設定入力し、そしてステップ52では、深夜時間帯で加熱手段20等を駆動させて貯湯タンク1内に高温水の貯湯量が設定した320Lになるようにした沸き上げるものであり、給湯が進みステップ53で貯湯タンク1内の貯湯量を貯湯温度センサ31a〜eが検知して、最低貯湯量以下を検知しステップ54でリモコン32の表示部33に「沸き増しスイッチを押して下さい」を表示させ、もう直ぐ湯切れすることと、自動的に沸き増しに入らないので、続けてお湯が必要な人は沸き増しスイッチ37を押すように注意喚起するものである。
【0022】
続くステップ55では、給湯流量センサ9がカウントしたその日の全給湯量=実使用量と、設定使用湯量320Lとを給湯制御部40で比較演算し、その差が設定使用湯量が足りないマイナス20L以上で、これが所定期間ここでは7日間継続したことを判断して、ステップ56でリモコン32の表示部33に「使用湯量の設定を差がなくなるように設定し直して下さい」と表示させるものである。
【0023】
又逆にステップ57では、貯湯温度センサ31a〜eで貯湯タンク1内に最低貯湯量以上の残湯があることを検知し、そしてステップ58に進み給湯流量センサ9がカウントしたその日の全給湯量=実使用量と、設定使用湯量320Lとを給湯制御部40で比較演算し、その差が設定使用湯量が多くプラス20L以上で、これが所定期間ここでは7日間継続したことを判断して、ステップ59でリモコン32の表示部33に「使用湯量の設定を差がなくなるように設定し直して下さい」と表示させるものである。
【0024】
このように、設定使用湯量と実使用量との差を演算してこの差がなくなるように、設定使用湯量を訂正出来るので、お湯が足りなかったり余ったりせず、丁度良くお湯を使い切ることが出来るものであり、無駄がなく効率の良い給湯を行うことが出来るものである。
【符号の説明】
【0025】
1 貯湯タンク
20 加熱手段
32 リモコン
33 表示部
35 使用湯量設定手段
36 追加沸き上げ設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段と、貯湯タンク内の高さ方向の湯水温度を検知する複数の貯湯温度センサと、深夜時間帯で貯湯タンク内の湯水を沸き上げるように制御する給湯制御部と、該給湯制御部に沸き上げ運転の設定や各種の設定を可能とする表示部を有するリモコンとを備えたものに於いて、前記リモコンに使用湯量を設定する使用湯量設定手段と、残湯が予め設定されている最低貯湯量以下となったら昼の沸き上げを行うか否かを設定する追加沸き上げ設定手段とを備え、追加沸き上げを行うを選択した場合は、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量より少なく沸き上げると共に、所定期間に昼の沸き上げが発生しなかったら、使用湯量の設定を少なめに設定し直す旨の表示をリモコンの表示部に表示させ、更に追加沸き上げを行わないを選択した場合には、深夜時間帯での沸き上げ量を設定した使用湯量まで沸き上げると共に、残湯が最低貯湯量以下となったらリモコンの表示部に、強制的に沸き増しを行う沸き増しスイッチを押す旨の表示を行わせる事を特徴とするヒートポンプ式貯湯給湯機。
【請求項2】
前記追加沸き上げを行わないを選択した場合では、設定使用湯量と実使用量との差が予め設定した所定量以上ずれ、それが所定期間に渡って継続すると使用湯量の設定をこの差がなくなるように設定し直す旨の表示をリモコンの表示部に表示させる事を特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式貯湯給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−102983(P2012−102983A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254510(P2010−254510)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)