説明

ヒートポンプ給湯機

【課題】ヒートポンプサイクルの運転効率(COP)を低下させることのない、高効率な沸き上げ運転が可能なヒートポンプ給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニット1と、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニット2と、タンクユニット2からヒートポンプユニット1へ送られる湯水が流通する水側配管11と、ヒートポンプユニット1からタンクユニット2へ送られる湯水が流通する湯側配管12と、湯側配管12とヒートポンプユニット1とを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、ヒートポンプユニット1の筐体17の一部を凸形状24とし、ヒートポンプ湯側接続手段は凸形状24を介して筐体17に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプで沸き上げたお湯を貯湯タンクに貯えて、給湯に利用できるヒートポンプ給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプで沸き上げたお湯を給湯に利用できるヒートポンプ給湯機として、図5に示すようなものがある。図5に示すように、このヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプユニット101とタンクユニット102とを、水側配管111と湯側配管112とで接続して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
外部の水道管から給水された水は、タンクユニット102の貯湯タンク108の底部に供給され、貯湯タンク108内の湯水の沸き上げ時には、貯湯タンク108の底部の低温水が、水ポンプ109を駆動することによってヒートポンプユニット101内の給湯熱交換器104へ搬送される。そして、給湯熱交換器104で高温冷媒と熱交換して高温湯となり、その後、ヒートポンプユニットから湯側配管112を経て、貯湯タンク108に湯として貯えられる。
【0004】
また、図6は非特許文献1に記載されているヒートポンプユニットとタンクユニットとの接続図である。図6に示すように、一端がタンクユニット102に接続されている水側配管111および湯側配管112の他端にアダプター120aおよび120bが取り付けられており、ヒートポンプユニット101に搭載され高温水を生成する給湯熱交換器104の湯水が流れる流路の低温側端部に接続口121a、高温側端部に接続口121bが取り付けられている。そして接続口121a(121b)とアダプター120a(120b)とを接続することによって、水側配管111および湯側配管112をヒートポンプユニット101に接続することができ、タンクユニット102の水回路と結合される(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図7は、図6のA部拡大図であり、ヒートポンプユニット101の筐体に接続口121a(121b)を取り付けた図を示したものである。図7に示すように、従来のヒートポンプ給湯機においては、ヒートポンプユニット101の筐体に接続口121a(121b)が直接取り付けられている。
【特許文献1】特開2008−25947号公報
【非特許文献1】Nationalヒートポンプ給湯機(システム品番:HE−D37AYS)工事説明書、松下電器産業株式会社、2007年、p.14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のヒートポンプ給湯機のように、ヒートポンプユニットの筐体に接続口121bが直接取り付けられていると、給湯熱交換器で生成された高温湯の熱が、接続口121bより外部に放熱されるとともに、接続口121bとヒートポンプユニットの筐体とが接しているので、接続口121bから外部の空気中に放熱されるだけでなく、ヒートポンプユニットの筐体へも熱が伝導してしまい、ヒートポンプユニットの筐体から外部の空気中に放熱されてしまう。
【0007】
そして、図6に示すように、ヒートポンプユニット101に取り付けられている低温側の接続口121aと高温側の接続口121bとが近傍になるように配設されているので、高温側接続口121bから放熱された熱が、ヒートポンプユニット101の筐体を介して
低温側接続口121aへと伝わり、ひいては給湯熱交換器104へ供給される低温水の温度を上げてしまう。
【0008】
しかし、ヒートポンプを熱源として使用している給湯機ゆえに、給湯熱交換器104へ供給される湯水の温度が上昇してしまうと、ヒートポンプサイクルの運転効率(COP)を低下させてしまうという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ヒートポンプサイクルの運転効率(COP)を低下させることのない、高効率な沸き上げ運転が可能なヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプユニットの筐体の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、前記ヒートポンプ湯側接続手段がヒートポンプユニットの筐体に触れる接触面積を小さくすることができるので、高温湯からヒートポンプ湯側接続手段を介してヒートポンプユニットの筐体への放熱量を低減することができ、ひいては、ヒートポンプサイクルの運転効率を向上させることができる。
【0011】
また、前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプ湯側接続手段の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、前記ヒートポンプ湯側接続手段がヒートポンプユニットの筐体に触れる接触面積を小さくすることができるので、高温湯からヒートポンプ湯側接続手段を介してヒートポンプユニットの筐体への放熱量を低減することができ、ひいては、ヒートポンプサイクルの運転効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ヒートポンプサイクルの運転効率(COP)を低下させることのない、高効率な沸き上げ運転が可能なヒートポンプ給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプユニットの筐体の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、前記ヒートポンプ湯側接続手段がヒートポンプユニットの筐体に触れる接触面積を小さくすることができるので、高温湯からヒートポンプ湯側接続手段を介してヒートポンプユニットの筐体への放熱量を低減することができ、ひい
ては、ヒートポンプサイクルの運転効率を向上させることができる。
【0014】
第2の発明のヒートポンプ給湯機は、特に第1の発明において、前記水側配管と前記ヒートポンプユニットの給水配管とを接続するヒートポンプ水側接続手段を備え、前記ヒートポンプユニットの筐体の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ水側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、低温側のヒートポンプ水側接続手段とヒートポンプユニットの筐体との接触面積を小さくすることができるので、低温水側への熱伝導を抑制することができる。
【0015】
第3の発明のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプ湯側接続手段の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、前記ヒートポンプ湯側接続手段がヒートポンプユニットの筐体に触れる接触面積を小さくすることができるので、高温湯からヒートポンプ湯側接続手段を介してヒートポンプユニットの筐体への放熱量を低減することができ、ひいては、ヒートポンプサイクルの運転効率を向上させることができる。
【0016】
第4の発明のヒートポンプ給湯機は、特に第3の発明において、前記水側配管と前記ヒートポンプユニットの給水配管とを接続するヒートポンプ水側接続手段を備え、前記ヒートポンプ水側接続手段の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ水側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることにより、低温側のヒートポンプ水側接続手段とヒートポンプユニットの筐体との接触面積を小さくすることができるので、低温水側への熱伝導を抑制することができる。
【0017】
第5の発明のヒートポンプ給湯機は、特に第1〜第4のいずれかの発明において、前記ヒートポンプユニットと湯側配管および/または前記ヒートポンプユニットと水側配管の間に設けた凸形状を、前記タンクユニットと湯側配管との間および/または前記タンクユニットと水側配管との間に設けたことにより、タンクユニットでもヒートポンプユニットで発生する熱伝導を抑制することができるので、さらに沸き上げ効率を向上させることができる。
【0018】
第6の発明のヒートポンプ給湯機は、特に第1〜第5のいずれかの発明において、前記水側配管と前記ヒートポンプユニットの給水配管とを接続するヒートポンプ水側接続手段を備え、前記ヒートポンプ湯側接続手段と前記ヒートポンプ水側接続手段とは、前記ヒートポンプユニットの筐体上で上下または左右または斜め方向に並んで配設されるとともに、前記ヒートポンプ湯側接続手段と前記ヒートポンプ水側接続手段との間で、かつ前記ヒートポンプユニットの筐体上に開口部を設けたことにより、開口部によってヒートポンプユニットの筐体を介して低温水の温度を上げることを確実に防止することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図である。図1において、本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプユニット1およびタンクユニット2を有しており、ヒートポンプユニット1とタンクユニット2は、低温湯が流れる水側配管11と高温湯が流れる湯側配管12で接続されている。
【0021】
次に、ヒートポンプユニット1の構成について説明する。ヒートポンプユニット1は、冷媒を圧縮する圧縮機3、高温高圧冷媒と低温水とが熱交換を行う給湯熱交換器4、冷媒を減圧する膨張弁5、大気から吸熱する蒸発器6を有しており、圧縮機3、給湯熱交換器4の冷媒流路、膨張弁5、蒸発器6を順次冷媒配管で環状に接続してヒートポンプサイクル25を形成している。そして蒸発器6に空気を送るための送風ファン7を有しており、送風ファン7が駆動することによって蒸発器6での冷媒と空気との熱交換を促進している。また本実施の形態においては、ヒートポンプサイクル25内に充填する冷媒として二酸化炭素を使用するが、本発明は二酸化炭素に限定されるものではなく、湯を生成することのできる冷媒であればどのような冷媒を用いても問題はなく、また本発明は冷媒の種類を限定するものでもない。
【0022】
このように構成されたヒートポンプサイクルの動作について説明する。圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒は、給湯熱交換器4において貯湯タンク8から搬送された水と熱交換して液または液ガス二相状態となり、膨張弁5で減圧されて低温低圧の液ガス二相冷媒となる。その後、蒸発器6において、送風ファン7により蒸発器6に供給された空気と熱交換し、冷媒は空気より吸熱して圧縮機3に戻るというヒートポンプサイクルの動作を繰り返す。
【0023】
一方、タンクユニット2は、湯水を貯える貯湯タンク8、貯湯タンク8内の低温水をヒートポンプユニット1内の給湯熱交換器4へ搬送するための循環ポンプ9、貯湯タンク8内の高温水と、給水源から供給される水とを混合して、所定の温度の湯水を作り出す混合弁10を有しており、貯湯タンク8の底部、循環ポンプ9、給湯熱交換器4の水流路、貯湯タンク8の上部を順次給湯配管で環状に接続して沸き上げ回路を形成している。なお、沸き上げ回路のうち低温側でヒートポンプユニットとタンクユニットとを接続する配管を水側配管11とし、高温側でヒートポンプユニットとタンクユニットとを接続する配管を湯側配管12としている。
【0024】
混合弁10にて適温に混合された湯水は、浴室、台所、洗面所などに給湯するための給湯配管(図示せず)へ供給される。なお、タンクユニット2には、外部の水道管(図示せず)が接続される給水口18、給湯するための給湯配管が接続される湯口19が設けられている。
【0025】
このように構成されたタンクユニットにおける沸き上げ動作について説明する。循環ポンプ9を駆動することによって、貯湯タンク8底部の低温水は、水側配管11を介して給湯熱交換器4に搬送され、ここでヒートポンプサイクルの高温冷媒と熱交換して、高温の湯となり、湯側配管12を介して貯湯タンク8の上部に戻される。
【0026】
ヒートポンプユニット1の外郭を構成する筐体17の側面には、水側配管11と接続する接続口13aと、湯側配管12と接続する接続口13bが設けられている。また、タンクユニット2には、水側配管11と接続する接続口13cと、湯側配管12と接続する接続口13dが設けられている。次に、この接続口13aおよび接続口13bの配設方法について説明する。
【0027】
図2は、図1のX部拡大図であり、ヒートポンプユニット1の湯側配管12の接続部近傍の断面略図を示したものである。図2に示すように、給湯熱交換器4から延伸する給湯配管の高温側端部21は、筐体17に設けた配管取り出し口22bから取り出すとともに、その最端部を接続口13bと接続している。なお、高温湯側の配管の接続口13bについて説明するが、低温側の配管の接続口13aについても同様の構成を取るものとし、低温側の接続口13aの場合は、給湯熱交換器4から延伸する給湯配管の低温側端部を、筐
体17に設けた配管取り出し口22aから取り出し、その最端部を接続口13aと接続している。
【0028】
一方、水側配管11のヒートポンプユニットとの接続側の最端部にはアダプタ23a、湯側配管12のヒートポンプユニットとの接続側の最端部にはアダプタ23bが設けられており、アダプタ23aと接続口13aとを接続、さらにアダプタ23bと接続口13bとを接続することによって、ヒートポンプユニット1とタンクユニット2とを水側配管11と湯側配管12とで接続することができる。本発明では、ヒートポンプ水側接続手段は、アダプタ23aと接続口13aで構成され、ヒートポンプ湯側接続手段は、アダプタ23bと接続口13bで構成されている。
【0029】
次に、筐体17と接続口13bとの接触部について説明する。本発明は、筐体17と接続口13bとの接触部の一部に、複数の凸部24を設けている。本発明の凸部24は、円錐形状にプレス加工され形成しているが、これに限定されることなく、筐体17の平面部に対して凸形状が形成されていればよいので、例えば、円形状である配管取り出し口22bの周囲をさらに円形状で囲むように凸形状を形成してもよい。また配管取り出し口22bが円形状でなくても、その形状の周囲を囲むように凸形状を形成すればよい。
【0030】
そして本発明は図2に示すように、接続口13bと筐体17との接触は、筐体17に形成した凸部24を介して接触する構成となっている。そして湯側配管12には、給湯熱交換器4で加熱された65℃〜90℃位の湯が流れるため、接続口13bには給湯熱交換器4で加熱されたばかりの高温湯が供給されるため、接続口13bから外部へ放熱してしまう。よって、接続口13bと筐体17とが接触するヒートポンプユニットの構成では、接続口13bからの熱が筐体17へ伝導されてしまうが、本発明では、接続口13bと筐体17との接触を最小限の接触で留めることができ、ひいては熱伝導面積を小さくすることができる。つまり、凸部24が筐体17への熱伝導防止手段として機能する構成としている。
【0031】
ここで、ヒートポンプを熱源として持つ貯湯式給湯機の特徴について説明する。ヒートポンプサイクルを構成する給湯熱交換器4へは、低温水を供給すれば冷媒の熱を効率よく回収することができるため、非常に効率がよくなる一方、中温水や高温水を供給すれば、冷媒からの熱回収効率を非常に悪くしてしまう。このようにヒートポンプを熱源とした場合の特有の課題として、如何に給湯熱交換器4へ中温水や高温水を送ることを防ぎ、効率よく冷媒の熱を回収できるかという課題が生じてくる。
【0032】
しかしながら、上記で述べたように、従来のヒートポンプ給湯機では、筐体と接続口の接触面積が大きいため、接続口(つまり、ヒートポンプユニットから高温湯が出る出口)から筐体への放熱量が多くなってしまい、その熱が筐体17を介して、タンクユニットからヒートポンプユニットへ送られる水へ伝導してしまい、給湯熱交換器へ供給される水の温度が上昇してしまい、非常に効率が悪くなってしまう。
【0033】
また、接続口から筐体への放熱量を抑制するためには、接続口と筐体との間に断熱材を挿入する方法も考えられるが、このような方法では非常にコストが高く、また組み立て工数も増えてしまい非常に生産性の悪いヒートポンプ給湯機となってしまう。
【0034】
そのため、本発明のように、筐体17に凸部24を形成するだけで、接続口13bと筐体17との接触面積を最小限に抑えることができ、接続口13bから筐体17への放熱を防ぎ、その結果、筐体17から接続口13aへ伝導される熱を抑えることができるので、給湯熱交換器4へ供給される水の温度を上昇させることがなく、非常に効率のよいヒートポンプ給湯機を提供することができる。
【0035】
さらに、図2に示すように、接続口13b(高温水流出口)と筐体17との間に凸部24を設けるだけでなく、接続口13aと筐体17との間に凸部24を設けることで、さらに筐体17から接続口13a(低温水流入口)への熱の伝導を抑制することができ、さらに効率のよいヒートポンプ給湯機を提供することができる。
【0036】
また、貯湯タンク8内の水を全て湯に沸き上げる運転(全量沸き上げ)を行う場合には、運転終了直前には、給湯熱交換器4へ供給される湯の温度も50〜60℃と比較的高温になる。そこで、ヒートポンプユニット1の水側配管11の接続部13aと、ヒートポンプユニット1の筐体17との間にプレス加工された凸部24があることで、接続部13aと筐体17との接触面積が非常に小さくなり、比較的高温となった水側配管11内の水の熱がヒートポンプユニット1の筐体17への熱伝導を抑制し、ひいては空気中に放熱される熱損失を低減することができる。
【0037】
図3は、ヒートポンプユニット1の側面拡大図である。図3に示すように接続口13aおよび接続口13bにそれぞれ、アダプタ23aおよびアダプタ23bを矢印方向から接続することで、ヒートポンプユニット1に水側配管11と湯側配管12とを接続することができる。また、水側配管11および湯側配管12にはそれぞれ、熱の放熱を防止するための断熱材31および断熱材32が周囲を覆っている。
【0038】
なお、これまでヒートポンプユニット1と水側配管11および湯側配管12との接続について説明してきたが、タンクユニット2と水側配管11および湯側配管12との接続も同様であり、接続口13cおよび13dとアダプタ(図示せず)にてタンクユニット2内の給湯配管と、水側配管11および湯側配管12と接続する構成となっている。そしてタンクユニット2の筐体についても、ヒートポンプユニット1の筐体に設けた凸形状を施している。よって、タンクユニット2においても凸部を介して湯側配管12および水側配管11を接続しているので、ヒートポンプユニット1の筐体17へ熱が伝導するのを防止するのと同じように、タンクユニット2の筐体へ熱が伝導するのを防止することができるのは言うまでもない。
【0039】
図3に示すように、水側配管11を接続する接続口13aと、湯側配管12を接続する接続口13bとが上下に配設されており、その間に、溝状の開口部33が設けられている。このように、開口部33を設けることにより、接続口13b(高温水流出口)から接続口13a(低温水流入口)へ伝道する熱を遮断することができ、さらに低温水の上昇を抑えることができる。その結果、さらに沸き上げ効率を向上させることができ、非常に効率のよいヒートポンプ給湯機を提供することができる。
【0040】
なお、接続口13aと接続口13bとが上下に配設されているため、図3に示すような開口部33を設けているが、これに限定されることはなく、例えば、接続口13aと接続口13bとが斜め方向に配設、もしくは接続口13aと接続口13bとが左右に配設していたとしても、それぞれ配設されている接続口の間に開口部を設けることによって、高温側から低温側への熱の伝導を抑制することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機によれば、湯側配管12内の湯の熱が、ヒートポンプユニット1の筐体17やタンクユニット2の筐体へ熱伝導することを抑制し、湯側配管12内の湯の熱が、水側配管11内の水に伝わって温度を上昇させることを抑制してヒートポンプユニット1の沸き上げ運転効率が低下することを防止できる。さらに、熱伝導防止手段として、高価な断熱材を使用しないため、収益性が上がり、また組立時の欠品も防止でき、さらに生産性を向上させることができる。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるヒートポンプ給湯機において、実施の形態1におけるヒートポンプ給湯機と異なる点は、水側配管11および湯側配管12をヒートポンプユニットおよび/またはタンクユニットへ接続するための接続手段の形状が異なる点であり、その他の機能および構成については実施の形態1と同じであるため、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図4は、図1に示すヒートポンプユニット1のX部拡大図であり、ヒートポンプユニット1の水側配管11および湯側配管12の接続部近傍の断面略図を示したものである。図4において実施の形態1と異なる点は、ヒートポンプユニット1の筐体17に凸部を設けておらず、代わりにヒートポンプ湯側接続手段およびヒートポンプ水側接続手段に凸部25を設けている。詳しくは、ヒートポンプ水側接続手段を構成する接続口13a、ヒートポンプ湯側接続手段を構成する接続口13bに凸部25を形成している。
【0044】
次に、凸部25を形成する箇所について説明する。なお接続口13aおよび接続口13bの凸部25を形成する箇所は同じであるため、ここでは接続口13aの凸部25を形成する箇所について説明する。
【0045】
凸部25は、接続口13aを配管取り出し口22aから取り出した給湯熱交換器の配管の端部に接続した時に、筐体17に対向する位置に設ける。その結果、接続口13aを筐体17に接触して螺子止めしたときには、接続口13aは凸部25で筐体17に支持し、接続口13aが安定して支持される。なお、本実施の形態においては、凸部25は、略円錐形状の凸部としているが、これに限定されることなく、例えば、接続口13aの筐体17に対向する位置に隆起部を設けるだけであっても、接続口13aと筐体17との接触面積を小さくすることができるので、同様の効果を奏することができる。さらに凸部25の凸形状は、略円錐形状に限定されることはなく、直線状、円状等を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明はヒートポンプ式の給湯機を実現する上で非常に重要である沸き上げ効率を向上させるとともに、ヒートポンプユニットおよびタンクユニットを介して高温水の熱を外部へ逃がすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図2】同実施の形態におけるX部拡大図
【図3】同実施の形態におけるヒートポンプユニット側面要部拡大図
【図4】本発明の実施の形態2における
【図5】従来のヒートポンプ給湯機の構成図
【図6】従来のヒートポンプユニットとタンクユニットとの接続図
【図7】図6のA部拡大図
【符号の説明】
【0048】
1 ヒートポンプユニット
2 タンクユニット
3 圧縮機
4 給湯熱交換器
5 膨張弁
6 蒸発器
7 送風ファン
8 貯湯タンク
9 循環ポンプ
10 混合弁
11 水側配管
12 湯側配管
13a 接続口(低温水流入口)
13b 接続口(高温水流出口)
13c 接続口(低温水流出口)
13d 接続口(高温水流入口)
17 筐体(ヒートポンプユニット)
18 給水口
19 湯口
22a 配管取り出し口
22b 配管取り出し口
23a アダプター
23b アダプター
24 凸部
25 凸部
31 断熱材
32 断熱材
33 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプユニットの筐体の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項2】
前記水側配管と前記ヒートポンプユニットの給水配管とを接続するヒートポンプ水側接続手段を備え、前記ヒートポンプユニットの筐体の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ水側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項3】
ヒートポンプサイクルを有するヒートポンプユニットと、湯水を貯える貯湯タンクを有するタンクユニットと、前記タンクユニットから前記ヒートポンプユニットへ送られる湯水が流通する水側配管と、前記ヒートポンプユニットから前記タンクユニットへ送られる湯水が流通する湯側配管と、前記湯側配管と前記ヒートポンプユニットとを接続するヒートポンプ湯側接続手段とを備え、前記ヒートポンプ湯側接続手段の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ湯側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項4】
前記水側配管と前記ヒートポンプユニットの給水配管とを接続するヒートポンプ水側接続手段を備え、前記ヒートポンプ水側接続手段の一部を凸形状とし、前記ヒートポンプ水側接続手段は前記凸形状を介して前記筐体に配設されることを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項5】
前記ヒートポンプユニットと湯側配管および/または前記ヒートポンプユニットと水側配管の間に設けた凸形状を、前記タンクユニットと湯側配管との間および/または前記タンクユニットと水側配管との間に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】
前記ヒートポンプ湯側接続手段と前記ヒートポンプ水側接続手段とは、前記ヒートポンプユニットの筐体上で上下または左右または斜め方向に並んで配設されるとともに、前記ヒートポンプ湯側接続手段と前記ヒートポンプ水側接続手段との間で、かつ前記ヒートポンプユニットの筐体上に開口部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−293855(P2009−293855A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147767(P2008−147767)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】