説明

ヒートポンプ

【課題】冷媒回路の熱バランスを調整するために補助熱交換器を利用した場合であってもヒートポンプの効率が低下しないようにする。
【解決手段】冷媒回路(10)に、低段圧縮機(11)及び上記高段圧縮機(12)の間の連結通路(4)と、低段膨張弁(15)及び高段膨張弁(14)の間の連結通路(7)とを連通するように接続されて、冷媒回路(10)の冷媒と外気とを熱交換する補助熱交換器(1)を設
ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプに関し、特に冷熱及び温熱を同時に処理することが可能な冷媒回路を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、加熱負荷及び冷却負荷を同時に処理することが可能なヒートポンプが知られている。そして、これらのヒートポンプの中には、上記加熱負荷を処理する加熱用熱交換器と上記冷却負荷を処理する冷却用熱交換器との他に補助熱交換器が接続された冷媒回路を備えているものがある(特許文献1を参照。)。
【0003】
この補助熱交換器は、加熱負荷及び冷却負荷の状況によって、上記冷媒回路の熱バランスが不釣り合いとならないように調整するものである。上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記冷媒回路が放熱過多の場合には、上記補助熱交換器が蒸発器となって吸熱量を増やすことで熱バランスを釣り合わせる。つまり、加熱用熱交換器で凝縮した冷媒を冷却用熱交換器及び補助熱交換器の両方で蒸発させている。
【0004】
逆に、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さくなって上記冷媒回路が吸熱過多の場合には、補助熱交換器が凝縮器となって放熱量を増やすことで熱バランスを釣り合わせる。つまり、冷却用熱交換器で蒸発した冷媒は、加熱用熱交換器及び補助熱交換器の両方で凝縮させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−349639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この補助熱交換器は外気と冷媒とを熱交換させている。このため、この補助熱交換器の熱交換量は、加熱負荷及び冷却負荷を処理するのに利用されず、ヒートポンプの能力に寄与しない。それにもかかわらず、上記圧縮機の動力の一部が、この補助熱交換器へ冷媒を供給する動力として無駄に利用されるため、ヒートポンプの効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒回路の熱バランスを調整するために補助熱交換器を利用したヒートポンプにおいて、従来よりも高効率な運転を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、低段圧縮機構(11)と高段圧縮機構(12)と高温熱交換器(13)と高段膨張機構(14)と低段膨張機構(15)と低温熱交換器(16)とが順に冷媒通路で接続されて、上記高温熱交換器(13)で冷媒が高温流体へ放熱するとともに上記低温熱交換器(16)で冷媒が低温流体から吸熱して蒸発することにより冷凍サイクルを行うことが可能な冷媒回路(10)と、上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の間の冷媒通路と上記低段膨張機構(15)及び上記高段膨張機構(14)の間の冷媒通路とを連通するように接続されて、上記冷媒回路(10)の冷媒と熱源流体とを熱交換する補助熱交換器(1)
とを備えていることを特徴とする冷凍装置である。
【0009】
ここで、従来のヒートポンプの場合、上記冷媒回路(10)の冷媒を単段圧縮で循環させているので、上記補助熱交換器(1)を凝縮器として機能させるためには該補助熱交換
器(1)を上記冷媒回路(10)の高圧ライン(高圧冷媒が流れる流路)に連通させ(図1
3(A)を参照)、上記補助熱交換器(1)を蒸発器として機構させるためには該補助熱
交換器(1)を上記冷媒回路(10)の低圧ライン(低圧冷媒が流れる流路)に連通させる
しかなかった。
【0010】
第1の発明では、上記冷媒回路(10)を二段圧縮二段膨張の回路で構成し、該冷媒回路(10)の中間圧ライン(中間圧冷媒が流れる流路)に補助熱交換器(1)を配置した(
図13(B)を参照)。これにより、上記補助熱交換器(1)を凝縮器として機能させる
場合には、上記低段圧縮機構(11)で圧縮した冷媒の一部を補助熱交換器(1)へ供給す
ればよいので、上記冷媒回路(10)に係る圧縮動力が減少する。
【0011】
又、上記補助熱交換器(1)を蒸発器として機能させる際には、上記高段膨張機構で
減圧した冷媒の一部を補助熱交換器(1)へ供給して蒸発させた後で上記高段圧縮機構(12)へ吸入させればよいので、上記冷媒回路(10)に係る圧縮動力が減少する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する圧縮機構調整部(41)を備えていることを特徴としている。
【0013】
第2の発明では、上記加熱負荷が大きくなると上記高段圧縮機構(12)の運転容量を増加させ、上記加熱負荷が小さくなると上記高段圧縮機構(12)の運転容量を減少させる。又、上記冷却負荷が大きくなると上記低段圧縮機構(11)の運転容量を増加させ、上記冷却負荷が小さくなると上記低段圧縮機構(11)の運転容量を減少させる。
【0014】
ここで、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなり、上記高段圧縮機構(12)の運転容量が上記低段圧縮機構(11)の運転容量よりも大きくなると、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒が、上記低段圧縮機構(11)から吐出された冷媒とともに上記高段圧
縮機構(12)へ吸入される。
【0015】
逆に、上記冷却負荷が上記加熱負荷よりも大きくなり、上記低段圧縮機構(11)の運転容量が上記高段圧縮機構(12)の運転容量よりも大きくなると、上記低段圧縮機構(11)の冷媒吐出量が上記高段圧縮機構(12)の冷媒吸入量よりも大きくなる。この結果、上記低段圧縮機構(11)から吐出されて上記高段圧縮機構(12)へ吸入されなかった冷媒が上記補助熱交換器(1)へ流れる。この補助熱交換器(1)を凝縮器として機能させることにより、該補助熱交換器(1)で冷媒が凝縮される。
【0016】
このように、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなると上記補助熱交換器(1
)を蒸発器として機能させ、上記冷却負荷が上記加熱負荷よりも大きくなると上記補助熱交換器(1)を凝縮器として機能させることが可能となる。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記補助熱交換器(1)及び上記低温熱交換器(16)の両方が蒸発器として機能する場
合に、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力
差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16
)の蒸発圧力以下のときに上記補助熱交換器(1)から流出した冷媒を上記低段圧縮機構
(11)の吸入側へ導く低段吸入状態と、上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも大きいときに上記補助熱交換
器(1)から流出した冷媒を上記高段圧縮機構(12)の吸入側へ導く高段吸入状態とに切
換可能な切換機構(51,52)とを備えていることを特徴としている。
【0018】
ここで、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力
の圧力差が小さくなればなるほど、上記低段圧縮機構(11)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなると、上記低
段圧縮機構(11)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記低段圧縮機構(11)が機能しなくなってしまう。実際には、上記低段圧縮機構(11)の吸入冷媒の圧力を下げて運転することになるが、この場合、最適な上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。尚、この所定値は、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差の範囲内で設定される。
【0019】
第3の発明では、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の
蒸発圧力の圧力差が所定値よりも小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記
低温熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに、上記切換機構(51,52)が低段吸入状態と
なる。これにより、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒が上記低段圧縮機構(11)に
吸入される。
【0020】
一方、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力の
圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の
蒸発圧力よりも大きいときには、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒を上記高段圧縮
機構(12)へ吸入させたほうが、ヒートポンプの高効率運転が可能となるため、上記切換機構(51,52)が高段吸入状態となる。
【0021】
第4の発明は、第1から第3の何れか1つの発明において、上記高温熱交換器(13)及び上記高段膨張機構(14)の間の冷媒配管から分岐して上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の間の冷媒配管に接続されるエコノマイザ配管(53)と、上記エコノマイザ配管(53)の冷媒を減圧する減圧機構(54)と、上記減圧機構(54)で減圧された上記エコノマイザ配管(53)の冷媒と、上記高温熱交換器(13)から上記高段膨張機構(14)へ向かう高圧冷媒とを熱交換するエコノマイザ熱交換器(55)とを備えていることを特徴としている。
【0022】
第4の発明では、上記エコノマイザ熱交換器(55)を設けない場合に比べて、上記高温熱交換器(13)から上記高段膨張機構(14)へ向かう冷媒の過冷却度を大きくとれるため、ヒートポンプの高効率運転が可能となる。
【0023】
第5の発明は、第1の発明において、上記低段圧縮機構(11)をバイパスする低段バイパス通路(18)と、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に、上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の運転調整を、少なくとも高段単独圧縮動作又は二段圧縮動作に切り換えながら行う圧縮機構調整部(41)とを備え、上記高段単独圧縮動作は、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力差
が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)
の蒸発圧力以下のときに上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低段圧縮機構(11)を停止する動作であり、上記二段圧縮動作は、上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交
換器(16)の蒸発圧力よりも高いときに、上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であることを特徴としている。
【0024】
ここで、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力
の圧力差が小さくなればなるほど、上記低段圧縮機構(11)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなると、上記低
段圧縮機構(11)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記低段圧縮機構(11)が機能しなくなってしまう。実際には、上記低段圧縮機構(11)の吸入冷媒の圧力を下げて運転することになるが、この場合、最適な上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。尚、この所定値は、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差の範囲内で設定される。
【0025】
第5の発明では、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の
蒸発圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低
温熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに、上記低段圧縮機構(11)を停止させて、上記高段圧縮機構(12)のみを起動する(高段単独圧縮動作)。上記低段圧縮機構(11)の停止により、上記低温熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、上記低段バイパス通路(18)を通過した後で、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒とともに上記高段圧縮機構(12)へ
吸入されるようになる。
【0026】
第6の発明は、第1の発明において、上記高段圧縮機構(12)をバイパスする高段バイパス通路(19)と、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい場合に、上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の運転調整を、少なくとも低段単独圧縮動作又は二段圧縮動作に切り換えながら行う圧縮機構調整部(41)とを備え、上記低段単独圧縮動作は、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力の圧力差
が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記高温熱交換器(13)
の凝縮圧力以上のときに、上記高段圧縮機構(12)を停止して、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であり、上記二段圧縮動作は、上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記高温
熱交換器(13)の凝縮圧力の凝縮圧力よりも低いときに、上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であることを特徴としている。
【0027】
ここで、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力
の圧力差が小さくなればなるほど、上記高段圧縮機構(12)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記高段圧縮機構(12)の凝縮圧力よりも高くなると、上記高
段圧縮機構(12)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記高段圧縮機構(12)が機能しなくなってしまう。実際には、上記高段圧縮機構(12)の吐出冷媒に係る圧力を上げて運転することになるが、この場合、最適な上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力よりも高くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。尚、この所定値は、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差の範囲内で設定される。
【0028】
第6の発明では、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記高温熱交換器(13)の
凝縮圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記高
温熱交換器(13)の凝縮圧力以上のときに、上記高段圧縮機構(12)を停止させて、上記低段圧縮機構(11)のみを起動する(低段単独圧縮動作)。上記高段圧縮機構(12)の停止により、上記低段圧縮機構(11)から吐出された冷媒が分流して上記補助熱交換器(1
)及び上記高段バイパス通路(19)の両方へ流れるようになる。
【0029】
第7の発明は、第2から第6の何れか1つの発明において、上記補助熱交換器(1)
を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構(2)と、上記加熱負荷が上記冷却負荷より
も大きい場合に、上記補助熱交換器(1)から流出した冷媒の過熱度が所定値となるよう
に上記流量調整機構(2)を調整する流量調整機構調整部(43)とを備えていることを特
徴としている。
【0030】
第7の発明では、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記補助熱交換器(1)が蒸発器として機能する場合には、上記流量調整機構調整部(43)の動作により、
上記補助熱交換器(1)に流入する冷媒を確実に蒸発させることができるようになる。
【0031】
第8の発明は、第2から第6の何れか1つの発明において、上記補助熱交換器(1)
を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構(2)と、上記加熱負荷が上記冷却負荷より
も小さい場合に、上記補助熱交換器(1)から流出した冷媒の過冷却度が所定値となるよ
うに上記流量調整機構(2)を調整する流量調整機構調整部(43)とを備えていることを
特徴としている。
【0032】
第8の発明では、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さくなって上記補助熱交換器(1)が凝縮器として機能する場合には、上記流量調整機構調整部(43)の動作により、
上記補助熱交換器(1)に流入する冷媒を確実に凝縮させることができるようになる。
【0033】
第9の発明は、第2から第4の何れか1つの発明において、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に、上記高段膨張機構(14)を全開に設定する高段膨張機構調整部(44)を備えていることを特徴としている。
【0034】
第9の発明では、上記高段膨張機構(14)を全開にすることにより、上記補助熱交換器(1)へ向かう冷媒を上記流量調整機構(2)のみで調整することができるようになる。
【0035】
第10の発明は、第2から第4の何れか1つの発明において、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい場合に、上記高段膨張機構(14)の冷媒出口温度が上記補助熱交換器(1)の冷媒出口温度と上記低温熱交換器(16)の冷媒出口温度との間の温度となるよう
に上記高段膨張機構(14)を調整する高段膨張機構調整部(44)を備えていることを特徴としている。
【0036】
第10の発明では、上記高段膨張機構(14)から流出する冷媒の圧力を確実に上記冷媒回路(10)に係る中間圧力にすることができるようになる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、上記補助熱交換器(1)を上記冷媒回路(10)の中間圧ラインに配
置することにより、上記補助熱交換器(1)を高圧ラインや低圧ラインに配置する場合に
比べて、上記補助熱交換器(1)へ冷媒を供給するのに用いられる上記冷媒回路(10)の
圧縮動力を低減することができる。また、上記補助熱交換器(1)へは必要な冷媒量だけ
が制御せずに流れる。これにより、上記ヒートポンプの運転効率を従来よりも向上させることができる。
【0038】
また、上記第2の発明によれば、上記加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)を調整して、上記冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)を調整することにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に上記補助熱交換器(1)を蒸発器として機能させ
、上記冷却負荷が上記加熱負荷よりも大きい場合に上記補助熱交換器(1)を凝縮器とし
て機能させることが可能となる。これにより、上記冷媒回路(10)に切換弁を設けることなく、加熱負荷及び冷却負荷の状況に応じて、上記補助熱交換器(1)を蒸発器又は凝縮
器にすることができる。
【0039】
また、上記第3の発明によれば、上記補助熱交換器(1)及び上記低温熱交換器(16
)の蒸発圧力に基いて、上記切換機構(51,52)が低段吸入状態と高段吸入状態とに切り
換わる。これにより、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒を必要に応じて上記低段圧
縮機構(11)又は上記高段圧縮機構(12)へ吸入させることができ、常にヒートポンプを高効率で運転することができる。
【0040】
また、上記第4の発明によれば、上記エコノマイザ熱交換器(55)を設けない場合に比べて、上記高温熱交換器(13)から上記高段膨張機構(14)へ向かう冷媒の過冷却度を大きくすることができる。これにより、上記ヒートポンプの効率を向上させることができる。
【0041】
また、上記第5の発明によれば、上記補助熱交換器(1)及び上記低温熱交換器(16
)の蒸発圧力に基いて、上記圧縮機構調整部(41)の動作が二段圧縮動作又は高段単独圧縮動作に切り換わる。これにより、上記ヒートポンプを必要に応じて二段圧縮又は単段圧縮で運転することが可能となり、常に高効率でヒートポンプを運転することができる。
【0042】
また、上記第6の発明によれば、上記補助熱交換器(1)及び上記高温熱交換器(13
)の凝縮圧力に基いて、上記圧縮機構調整部(41)の動作が二段圧縮動作又は低段単独圧縮動作に切り換わる。これにより、上記ヒートポンプを必要に応じて二段圧縮又は単段圧縮で運転することが可能となり、常に高効率でヒートポンプを運転することができる。
【0043】
また、上記第7の発明によれば、上記流量調整機構調整部(43)によって、上記補助熱交換器(1)へ流入する冷媒を完全に蒸発させることができ、上記補助熱交換器(1)の熱交換量が確保される。これにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい状態において、上記冷媒回路(10)の熱バランスを確実に釣り合わせることができる。
【0044】
また、上記第8の発明によれば、上記流量調整機構調整部(43)によって、上記補助熱交換器(1)に流入する冷媒を確実に凝縮させることができ、上記補助熱交換器(1)の熱交換量が確保される。これにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい状態において、上記冷媒回路(10)の熱バランスを確実に釣り合わせることができる。
【0045】
また、上記第9の発明によれば、上記補助熱交換器(1)へ向かう冷媒を上記流量調
整機構(2)のみで調整することができる。これにより、上記補助熱交換器(1)へ向かう冷媒の流量制御を簡素化することができる。
【0046】
また、上記第10の発明によれば、上記高段膨張機構(14)から流出する冷媒の圧力を確実に上記冷媒回路(10)に係る中間圧力にすることができ、上記補助熱交換器(1)
で確実に冷媒と熱源流体とを熱交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、本実施形態の加熱過多運転における冷媒の流れを示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の冷却過多運転における冷媒の流れを示す図である。
【図4】図4は、本実施形態の加熱単独運転における冷媒の流れを示す図である。
【図5】図5は、本実施形態の冷却単独運転における冷媒の流れを示す図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例1に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例2に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例3に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図9】図9は、変形例3の高段単独圧縮運転における冷媒の流れを示す図である。
【図10】図10は、変形例3の低段単独圧縮運転における冷媒の流れを示す図である。
【図11】図11は、コントローラの構成を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態の変形例4に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図13】図13は、各熱交換器と冷凍サイクルとの関係をP−h線図上に模式的に示した図であり、(A)は補助熱交換器が高圧ラインに配置された図であり、(B)は補助熱交換器が中間圧ラインに配置された図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0049】
本実施形態のヒートポンプは、産業用として用いられるものである。このヒートポンプは、冷熱及び温熱の同時取り出しが可能である。このヒートポンプには、冷媒回路(10)とコントローラ(40)とが設けられている。
【0050】
−冷媒回路−
上記冷媒回路(10)は、二段圧縮二段膨張で冷凍サイクルを行うものである。この冷媒回路(10)は、低段圧縮機(低段圧縮機構)(11)と高段圧縮機(高段圧縮機構)(12)と加熱用熱交換器(高温熱交換器)(13)と高段膨張弁(高段膨張機構)(14)と低段膨張弁(低段膨張機構)(15)と冷却用熱交換器(低温熱交換器)(16)と流量調整弁(流量調整機構)(2)と補助熱交換器(1)とが設けられている。
【0051】
上記低段圧縮機(11)及び上記高段圧縮機(12)は共に全密閉型で構成され、上記低段圧縮機(11)には低段側インバータ(図示なし)が接続され、上記高段圧縮機(12)には高段側インバータ(図示なし)が接続されている。これらのインバータにより、各圧縮機(11,12)の運転回転数が可変に構成されている。又、上記低段圧縮機(11)の吐出口
及び上記高段圧縮機(12)の吸入口とが圧縮機側の連結配管(4)で連結されている。こ
の連結配管(4)には、上記低段圧縮機(11)寄りに逆止弁(CV1)が取り付けられている。この逆止弁(CV1)は、上記低段圧縮機(11)から上記高段圧縮機(12)へ向かう冷媒
の流れを許容して逆方向への流れを阻止する。
【0052】
上記加熱用熱交換器(13)は、冷媒流路(13a)及び水流路(13b)を有している。この冷媒流路(13a)の流入口と上記高段圧縮機(12)の吐出口とが第1冷媒配管(5)で接続され、上記冷媒流路(13a)の流出口と上記高段膨張弁(14)の流入口とが第2冷媒配
管(6)で接続されている。一方、上記加熱用熱交換器(13)の水流路(13b)は温水回路(30)に連通している。この温水回路(30)には、温水ポンプ(31)及び温水タンク(32)が接続されている。この加熱用熱交換器(13)では、上記高段圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒が上記冷媒流路(13a)を通過し、上記温水ポンプ(31)から流出した水が
上記水流路(13b)を通過する際に、上記高圧冷媒と上記水とが熱交換するように構成さ
れている。
【0053】
上記高段膨張弁(14)及び上記低段膨張弁(15)は、共に開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。上記高段膨張弁(14)の流出口と上記低段膨張弁(15)の流入口とが膨張弁側の連結配管(7)で接続されている。
【0054】
上記冷却用熱交換器(16)は、冷媒流路(16a)及び水流路(16b)を有している。この冷媒流路(16a)の流入口と上記低段膨張弁(15)の流出口とが第3冷媒配管(8)で接
続され、上記冷媒流路(16a)の流出口と上記低段圧縮機(11)の吸入口とが第4冷媒配
管(9)で接続されている。一方、上記冷却用熱交換器(16)の水流路(16b)は冷水回路(33)に連通している。この冷水回路(33)には、冷水ポンプ(34)及び冷水タンク(35)が接続されている。この冷却用熱交換器(16)では、上記低段膨張弁(15)を流出した低圧冷媒が上記冷媒流路(16a)を通過し、上記冷水ポンプ(34)から流出した水が上記
水流路(16b)を通過する際に、上記低圧冷媒と上記水とが熱交換するように構成されて
いる。
【0055】
このように、上記冷媒回路(10)は、低段圧縮機(11)と高段圧縮機(12)と加熱用熱交換器(13)と高段膨張弁(14)と低段膨張弁(15)と冷却用熱交換器(16)とが順に接続された閉回路を有している。そして、この閉回路に、上記補助熱交換器(1)と上記
流量調整弁(2)とが接続されている。
【0056】
〈補助熱交換器〉
上記補助熱交換器(1)は、上記冷媒回路(10)に係る冷凍サイクルのヒートバラン
スを釣り合わせるためのものである。
【0057】
上記補助熱交換器(1)は、例えばクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱
交換器で構成され、冷媒通路(1a)及び空気通路(図示なし)を有している。この補助熱交換器(1)に係る冷媒通路(1a)の一端には上記圧縮機側の連結配管(4)から分岐した分岐管(3a)が接続され、他端には上記膨張弁側の連結配管(7)から分岐した分岐管(3b)が接続されている。尚、この分岐管(3b)に上記流量調整弁(2)が設けられている。
【0058】

又、上記補助熱交換器(1)の近傍には送風ファン(17)が設けられている。この補
助熱交換器(1)では、上記低段圧縮機(11)から吐出された冷媒又は上記高段膨張弁(14)から流出した冷媒が上記冷媒通路(1a)を通過し、上記送風ファン(17)の空気が上
記空気通路を通過する際に、上記冷媒と外気とが熱交換するように構成されている。
【0059】
−コントローラ−
上記コントローラ(40)は、上記ヒートポンプの運転動作を制御するものである。このコントローラ(40)には、図11に示すように、圧縮機調整部(圧縮機構調整部)(41)と負荷判定部(42)と流量調整弁調整部(流量調整機構調整部)(43)と高段膨張弁調整部(高段膨張機構調整部)(44)と低段膨張弁調整部(低段膨張機構調整部)(45)とが設けられている。又、上記コントローラ(40)には、複数の温度センサ(21〜26)が電気的に接続されている。
【0060】
具体的に、複数の温度センサ(21〜26)とは、上記高段膨張弁(14)の冷媒出口温度を検出する高段膨張弁温度センサ(21)と、上記冷却用熱交換器(16)の冷媒出口温度を検出する冷却熱交温度センサ(22)と、上記補助熱交換器(1)を通過する前後の冷媒温
度を検出する第1及び第2の補助熱交温度センサ(23,24)と、上記加熱用熱交換器(13
)の温水出口温度を検出する温水温度センサ(25)と、上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度を検出する冷水温度センサ(26)である。
【0061】
〈圧縮機調整部〉
上記圧縮機調整部(41)には、上記温水温度センサ(25)及び上記冷水温度センサ(26)の検出値、上記加熱用熱交換器(13)に係る温水出口温度の温水設定値、及び上記冷却用熱交換器(16)に係る冷水出口温度の冷水設定値が入力される。
【0062】
上記圧縮機調整部(41)は、上記温水温度センサ(25)の検出値が上記温水設定値よ
りも低い場合には上記高段圧縮機(12)の運転回転数を増加させるための信号を該高段側インバータへ出力する。又、上記温水温度センサ(25)の検出値が上記温水設定値よりも高い場合には上記高段圧縮機(12)の運転回転数を減少させるための信号を該高段側インバータへ出力する。
【0063】
又、上記圧縮機調整部(41)は、上記冷水温度センサ(26)の検出値が上記冷水設定値よりも高い場合には上記低段圧縮機(11)の運転回転数を増加させるための信号を該低段側インバータへ出力する。又、上記冷水温度センサ(26)の検出値が上記冷水設定値よりも低い場合には上記低段圧縮機(11)の運転回転数を減少させるための信号を該低段側インバータへ出力する。
【0064】
このように、上記圧縮機調整部(41)では、上記加熱負荷に応じて上記高段圧縮機(12)の運転容量を調整し、上記冷却負荷に応じて上記低段圧縮機(11)の運転容量を調整する。
【0065】
〈負荷判定部〉
上記負荷判定部(42)には、上記低段側及び高段側のインバータの周波数指令値が入力される。この負荷判定部(42)では、低段側インバータの周波数指令値に基いて冷却負荷を検出し、高段側インバータの周波数指令値に基いて加熱負荷を検出する。この負荷判定部(42)は、高段側インバータの周波数指令値が低段側インバータの周波数指令値よりも大きい場合には、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きいと判定して加熱過多信号を出力する。又、高段側インバータの周波数指令値が低段側インバータの周波数指令値よりも小さい場合には、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さいと判定して冷却過多信号を出力する。
【0066】
〈流量調整弁調整部〉
上記流量調整弁調整部(43)には、第1及び第2の補助熱交温度センサ(23,24)の
検出値と、上記負荷判定部(42)の判定信号とが入力される。又、上記補助熱交換器(1
)内を流れる冷媒の温度を検出する補助熱交内部温度センサ(図示なし)の検出値が上記流量調整弁調整部(43)へ入力される。
【0067】
この流量調整弁調整部(43)では、上記負荷判定部(42)から加熱過多信号が入力されると、上記補助熱交内部温度センサの検出値を補助熱交換器(1)の蒸発温度とし、こ
の蒸発温度に基いて第2補助熱交温度センサ(24)の検出値から上記補助熱交換器(1)
の出口過熱度を算出する。そして、上記流量調整弁調整部(43)から上記流量調整弁(2
)へ開度調整信号が適宜に出力され、上記出口過熱度が所定値(例えば3℃)となるように上記流量調整弁(2)の開度が調整される。
【0068】
一方、上記負荷判定部(42)から冷却過多信号が入力されると、上記補助熱交内部温度センサの検出値を補助熱交換器(1)の凝縮温度とし、この凝縮温度に基いて第1補助
熱交温度センサ(23)の検出値から上記補助熱交換器(1)の出口過冷却度を算出する。
そして、上記流量調整弁調整部(43)から上記流量調整弁(2)へ開度調整信号が適宜に
出力され、上記出口過冷却度が所定値(例えば2℃)となるように上記流量調整弁(2)
の開度が調整される。
【0069】
〈高段膨張弁調整部〉
上記高段膨張弁調整部(44)には、上記高段膨張弁温度センサ(21)の検出値と、上記冷却熱交温度センサ(22)の検出値と、上記第2補助熱交温度センサ(24)の検出値と、上記負荷判定部(42)の判定信号とが入力される。
【0070】
この高段膨張弁調整部(44)では、上記負荷判定部(42)から加熱過多信号が入力されると、高段膨張弁調整部(44)から上記高段膨張弁(14)へ開度調整信号が出力され、上記高段膨張弁(14)の開度が全開となる。
【0071】
一方、上記負荷判定部(42)から冷却過多信号が入力されると、高段膨張弁調整部(44)から上記高段膨張弁(14)へ開度調整信号が適宜に出力され、上記高段膨張弁(14)の冷媒出口温度(高段膨張弁温度センサ(21)の検出値)が上記補助熱交換器(1)の冷
媒出口温度(第2補助熱交温度センサ(24)の検出値)と上記低温熱交換器(16)の冷媒出口温度(冷却熱交温度センサ(22)の検出値)との間の温度となるように、上記高段膨張弁(14)の開度が調整される。
【0072】
〈低段膨張弁調整部〉
上記低段膨張弁調整部(45)には、上記冷却熱交温度センサ(22)の検出値が入力される。又、上記冷却用熱交換器(16)内を流れる冷媒の温度を検出する冷却熱交内部温度センサ(図示なし)の検出値が低段膨張弁調整部(45)へ入力される。
【0073】
この低段膨張弁調整部(45)では、上記冷却熱交内部温度センサの検出値を冷却用熱交換器(16)の蒸発温度とし、この蒸発温度に基いて上記冷却熱交温度センサ(22)の検出値から上記冷却用熱交換器(16)の出口過熱度を算出する。そして、上記低段膨張弁調整部(45)から上記低段膨張弁(15)へ開度調整信号が適宜に出力され、上記出口過熱度が所定値(例えば3℃)となるように上記低段膨張弁(15)の開度が調整される。
【0074】
−ヒートポンプの運転動作−
次に、上記ヒートポンプの運転動作について説明する。このヒートポンプでは、加熱負荷と冷却負荷の状況に応じて、加熱過多運転又は冷却過多運転を切換弁等を用いることなく運転を行うことが可能である。まず、加熱過多運転及び冷却過多運転について説明した後に、加熱単独運転及び冷却単独運転について説明する。
【0075】
〈加熱過多運転〉
図2に示す加熱過多運転は、上記ヒートポンプに係る加熱負荷が冷却負荷よりも大きい場合の運転である。尚、本実施形態では、外気温度が15℃、上記圧縮機調整部(41)で設定される温水設定値が65℃、冷水設定値が7℃で、上記ヒートポンプの必要加熱能力が90%、必要冷却能力が60%の場合の加熱過多運転について説明する。
【0076】
この加熱過多運転では、上記コントローラ(40)の圧縮機調整部(41)により、上記加熱用熱交換器(13)の温水出口温度が温水設定値の65℃となるように上記高段圧縮機(12)の運転回転数が調整され、上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度が冷水設定値の7℃となるように上記低段圧縮機(11)の運転回転数が調整される。
【0077】
又、上記高段膨張弁調整部(44)によって上記高段膨張弁(14)が全開に設定される。又、上記流量調整弁調整部(43)によって上記補助熱交換器(1)の出口過熱度が3℃
となるように上記流量調整弁(2)の開度が調整される。又、上記低段膨張弁調整部(45
)によって上記冷却用熱交換器(16)の出口過熱度が3℃となるように上記低段膨張弁(15)の開度が調整される。
【0078】
上記低段圧縮機(11)及び上記高段圧縮機(12)が運転を開始した後、加熱負荷が冷却負荷よりも大きいため、上記高段圧縮機(12)の運転回転数が上記低段圧縮機(11)の運転回転数を上回り、高段圧縮機(12)の冷媒吸入量が低段圧縮機(11)の冷媒吐出量よりも大きくなる。
【0079】
そのため、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒が、上記低段圧縮機(11)から吐
出された冷媒とともに上記高段圧縮機(12)へ吸入される。つまり、上記補助熱交換器(1)内を膨張弁側から圧縮機側(図2に係る補助熱交換器(1)の左側から右側)へ向かって冷媒が流れる。
【0080】
上記高段圧縮機(12)から吐出された冷媒は、上記加熱用熱交換器(13)で上記温水回路(30)の水に放熱して凝縮する。このとき、上記加熱用熱交換器(13)の凝縮温度は70℃前後であり、上記温水回路(30)の水は、上記加熱用熱交換器(13)に係る冷媒の放熱によって65℃まで加熱される。上記加熱用熱交換器(13)で凝縮した冷媒は、上記高段膨張弁調整部(44)によって全開に設定された高段膨張弁(14)を通過した後で2つに分流する。
【0081】
この分流した冷媒の一方は、上記低段膨張弁(15)で減圧された後に上記冷却用熱交換器(16)で上記冷水回路(33)の水から吸熱して蒸発する。このときの上記冷却用熱交換器(16)の蒸発温度は0℃前後であり、上記冷水回路(33)の水は、上記冷却用熱交換器(16)に係る冷媒の吸熱によって7℃まで冷却される。そして、上記冷却用熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、上記低段圧縮機(11)に吸入されて圧縮された後に上記高段圧縮機(12)の吸入側へ向かって吐出される。
【0082】
一方、この分流した冷媒の他方は、上記流量調整弁(2)で減圧された後に上記補助
熱交換器(1)で外気から吸熱して蒸発する。このときの蒸発温度は、10℃前後である
。そして、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒は、上記低段圧縮機(11)から吐出さ
れた冷媒と合流した後で、上記高段圧縮機(12)へ吸入されて圧縮された後に、再び上記加熱用熱交換器(13)へ吐出される。
【0083】
このように、加熱負荷が冷却負荷よりも大きいときには、上記補助熱交換器(1)の
冷媒の流れ方向が膨張弁側から圧縮機側となり、上記補助熱交換器(1)が蒸発器として
機能する。これにより、上記冷媒回路(10)が、熱バランスを保ちながら冷凍サイクルを行うことができるようになる。
【0084】
〈冷却過多運転〉
図3に示す冷却過多運転は、上記ヒートポンプに係る加熱負荷が冷却負荷よりも小さい場合の運転である。尚、本実施形態では、外気温度が15℃、上記圧縮機調整部(41)で設定される温水設定値が65℃、冷水設定値が7℃で、上記ヒートポンプの必要加熱能力が40%、必要冷却能力が80%の場合の冷却過多運転について説明する。
【0085】
この冷却過多運転では、上記コントローラ(40)の圧縮機調整部(41)により、上記加熱用熱交換器(13)の温水出口温度が温水設定値の65℃となるように上記高段圧縮機(12)の運転回転数が調整され、上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度が冷水設定値の7℃となるように上記低段圧縮機(11)の運転回転数が調整される。
【0086】
又、上記高段膨張弁調整部(44)によって上記高段膨張弁(14)の冷媒出口温度が上記補助熱交換器(1)の冷媒出口温度と上記冷却用熱交換器(16)の冷媒出口温度との間
の温度となるように上記高段膨張弁(14)の開度が調整される。又、上記流量調整弁調整部(43)によって上記補助熱交換器(1)の出口過冷却度が2℃となるように上記流量調
整弁(2)の開度が調整される。又、上記低段膨張弁調整部(45)によって上記冷却用熱
交換器(16)の出口過熱度が3℃となるように上記低段膨張弁(15)の開度が調整される。
【0087】
上記低段圧縮機(11)及び上記高段圧縮機(12)が運転を開始した後、加熱負荷が冷
却負荷よりも小さいため、上記高段圧縮機(12)の運転回転数が上記低段圧縮機(11)の運転回転数を下回り、高段圧縮機(12)の冷媒吸入量が低段圧縮機(11)の冷媒吐出量よりも小さくなる。
【0088】
こうなると、上記高段圧縮機(12)が上記低段圧縮機(11)から吐出された冷媒を全て吸入することができず、上記低段圧縮機(11)から吐出された冷媒の一部が上記補助熱交換器(1)へ流れる。つまり、上記補助熱交換器(1)内を圧縮機側から膨張弁側(図3に係る補助熱交換器(1)の右側から左側)へ向かって冷媒が流れるようになる。
【0089】
上記低段圧縮機(11)から上記高段圧縮機(12)へ向かって分流した冷媒は、該高段圧縮機(12)で圧縮された後で上記加熱用熱交換器(13)へ向けて吐出される。上記高段圧縮機(12)から吐出された冷媒は、上記加熱用熱交換器(13)で上記温水回路(30)の水に放熱して凝縮する。このときの凝縮温度は70℃前後であり、上記温水回路(30)の水は、上記加熱用熱交換器(13)に係る冷媒の放熱によって65℃まで加熱される。そして、上記加熱用熱交換器(13)で凝縮した冷媒は、上記高段膨張弁(14)で減圧される。
【0090】
一方、上記低段圧縮機(11)から上記補助熱交換器(1)側へ向かって分流した冷媒
は、該補助熱交換器(1)で凝縮した後で上記流量調整弁(2)に流入する。このときの補助熱交換器(1)に係る凝縮温度は20℃前後である。上記流量調整弁(2)へ流入した冷媒は、該流量調整弁(2)で減圧された後に、上記高段膨張弁(14)から流出した冷媒と
合流して上記低段膨張弁(15)に流入する。
【0091】
上記低段膨張弁(15)に流入した冷媒は減圧された後に上記冷却用熱交換器(16)で上記冷水回路(33)の水から吸熱して蒸発する。このときの上記冷却用熱交換器(16)の蒸発温度は0℃前後であり、上記冷水回路(33)の水は、上記冷却用熱交換器(16)に係る冷媒の吸熱によって7℃まで冷却される。そして、上記冷却用熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、上記低段圧縮機(11)に吸入されて圧縮された後で上記補助熱交換器(1)及
び高段圧縮機(12)へ向けて再び吐出される。
【0092】
このように、加熱負荷が冷却負荷よりも小さいときには、上記補助熱交換器(1)の
冷媒の流れ方向が圧縮機側から膨張弁側となり上記補助熱交換器(1)が凝縮器として機
能する。これにより、上記冷媒回路(10)が、熱バランスを保ちながら冷凍サイクルを行うことができるようになる。
【0093】
〈加熱単独運転〉
図4に示す加熱単独運転は、上記冷却負荷がなく上記加熱負荷がある場合に行う運転である。この加熱単独運転では、上記高段圧縮機(12)を起動させて上記低段圧縮機(11)を停止する。又、上記高段膨張弁(14)は全開状態となって上記低段膨張弁(15)は全閉状態となる。
【0094】
上記高段圧縮機(12)から吐出された冷媒は、上記加熱用熱交換器(13)で上記温水回路(30)の水に放熱して凝縮する。このとき、上記温水回路(30)の水は、上記加熱用熱交換器(13)に係る冷媒の放熱によって加熱される。上記加熱用熱交換器(13)で凝縮した冷媒は、全開状態の高段膨張弁(14)を通過した後に上記流量調整弁(2)に流入す
る。
【0095】
上記流量調整弁(2)に流入した冷媒は、該流量調整弁(2)で減圧されて低圧冷媒となった後に上記補助熱交換器(1)で外気から吸熱して蒸発する。そして、上記補助熱交
換器(1)で蒸発した冷媒は、上記高段圧縮機(12)へ吸入されて圧縮された後、再び上
記加熱用熱交換器(13)へ向けて吐出される。このように、上記加熱用熱交換器(13)が
凝縮器となり且つ上記補助熱交換器(1)が蒸発器となって、上記加熱用熱交換器(13)
で加熱負荷が処理される。
【0096】
〈冷却単独運転〉
図5に示す冷却単独運転は、上記冷却負荷があり上記加熱負荷がない場合に行う運転である。この冷却単独運転では、上記高段圧縮機(12)を停止させて上記低段圧縮機(11)を起動する。又、上記高段膨張弁(14)は全閉状態となって上記低段膨張弁(15)は全開状態となる。
【0097】
上記低段圧縮機(11)から吐出された冷媒は、上記補助熱交換器(1)で外気に放熱
して凝縮した後に上記流量調整弁(2)で減圧されて低圧冷媒となる。この低圧冷媒は全
開状態の低段膨張弁(15)を通過した後に上記冷却用熱交換器(16)で上記冷水回路(33)の水から吸熱して蒸発する。このとき、上記冷水回路(33)の水は、上記冷却用熱交換器(16)に係る冷媒の吸熱によって冷却される。そして、上記冷却用熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、上記低段圧縮機(11)に吸入されて圧縮された後で上記補助熱交換(1)
へ向けて再び吐出される。このように、上記補助熱交換器(1)が凝縮器となり且つ上記
冷却用熱交換器(16)が蒸発器となって、上記冷却用熱交換器(16)で冷却負荷が処理される。
【0098】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記補助熱交換器(1)を上記冷媒回路(10)の中間圧ライン
に配置することにより、上記補助熱交換器(1)を高圧ラインや低圧ラインに配置する場
合に比べて、上記補助熱交換器(1)へ冷媒を供給するのに用いられる上記冷媒回路(10
)の圧縮動力を低減することができる。これにより、上記ヒートポンプの効率を低下させないようにすることができる。また、上記補助熱交換器(1)へは必要な冷媒量だけが制
御せずに流れる。これにより、上記ヒートポンプの運転効率を従来よりも向上させることができる。
【0099】
又、本実施形態によれば、上記加熱負荷に応じて上記高段圧縮機(12)を調整して、上記冷却負荷に応じて上記低段圧縮機(11)を調整することにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に上記補助熱交換器(1)を蒸発器として機能させ、上記冷却
負荷が上記加熱負荷よりも大きい場合に上記補助熱交換器(1)を凝縮器として機能させ
ることが可能となる。これにより、上記冷媒回路(10)に切換弁を設けることなく、加熱負荷及び冷却負荷の状況に応じて、上記補助熱交換器(1)を蒸発器又は凝縮器にするこ
とができる。
【0100】
又、本実施形態によれば、上記流量調整弁調整部(43)によって、上記補助熱交換器(1)へ流入する冷媒を完全に蒸発させることができ、上記補助熱交換器(1)の熱交換量が確保される。これにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい状態において、上記冷媒回路(10)の熱バランスを確実に釣り合わせることができる。
【0101】
又、本実施形態によれば、上記流量調整弁調整部(43)によって、上記補助熱交換器(1)に流入する冷媒を確実に凝縮させることができ、上記補助熱交換器(1)の熱交換量が確保される。これにより、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい状態において、上記冷媒回路(10)の熱バランスを確実に釣り合わせることができる。
【0102】
−実施形態の変形例1−
図6に示す実施形態の変形例1では、特に上記冷媒回路(10)の冷媒の流れを切り換える切換機構(51,52)と該切換機構(51,52)を操作する切換機構操作部(図示なし)とが設けられている点が上記実施形態とは異なる。以下、上記実施形態と同じ部分について
は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0103】
変形例1の冷媒回路(10)には、上記分岐管(3a)と上記第4冷媒配管(9)との間
を接続する補助配管(50)が設けられている。そして、この補助配管(50)に第1開閉弁(51)が設けられ、上記分岐管(3a)に係る圧縮機側の連結配管(4)寄りに第2開閉弁
(52)が設けられている。これらの開閉弁(51,52)が上述した切換機構(51,52)を構成する。
【0104】
尚、上記切換機構(51,52)の第1状態は、第1開閉弁(51)が閉鎖され且つ第2開
閉弁(52)が開放される状態である。又、上記切換機構(51,52)の第2状態は、第1開
閉弁(51)が開放され且つ第2開閉弁(52)が閉鎖される状態である。
【0105】
この変形例1のヒートポンプでは、第1及び第2の開閉弁(51,52)によって、上述
した4つの運転(加熱過多運転、冷却過多運転、加熱単独運転、冷却単独運転)の他に、第2加熱過多運転が実行可能に構成されている。本実施形態では、上記切換機構(51,52
)の第1状態のときに上述した4つの運転が実行可能となり、第2状態のときに第2加熱過多運転が実行可能となる。尚、この第2加熱過多運転は、上記ヒートポンプに係る加熱負荷が冷却負荷よりも大きい場合の運転である。
【0106】
ここで、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記補助熱交換器(1)及
び上記低温熱交換器(16)の両方が蒸発器として機能する場合において、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力差が小さくなればな
るほど、上記低段圧縮機(11)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上
記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなると、上記低段圧縮機(11)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記低段圧縮機(11)が機能しなくなってしまう。実際には、上記低段圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力を下げて運転することになるが、この場合、最適な上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。
【0107】
このことから、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記冷却用熱交換器(16)の
蒸発圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記冷
却用熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに、上記第1開閉弁(51)を開放して、第2開閉弁(52)を閉鎖する(切換機構(51,52)の低段吸入状態)。これにより、上記補助熱
交換器(1)から上記低段圧縮機(11)の吸入側へ向かって冷媒が流れる。
【0108】
尚、上記切換機構操作部では、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力を外気温度から推
定し、上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力を上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度から推定する。したがって、上記外気温度と上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度との温度差が所定値よりも小さく且つ上記外気温度が上記冷水出口温度以下のときに、上記切換機構操作部において低段吸入状態に切り換わる。ここで、所定値とは、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差から換算した温度差の範囲内で設定される。
【0109】
又、第1開閉弁(51)を閉鎖して、第2開閉弁(52)を開放した場合(切換機構(51,52)の高段吸入状態)の冷媒回路(10)は、上記実施形態の冷媒回路(10)と略同一で
あるので、説明は省略する。
【0110】
このように、上記外気温度及び上記冷却用熱交換器(16)の冷水出口温度に基いて、上記切換機構操作部が低段吸入状態と高段吸入状態とに切り換わる。これにより、上記補
助熱交換器(1)で蒸発した冷媒を必要に応じて上記低段圧縮機(11)又は上記高段圧縮
機(12)へ吸入させることができ、常にヒートポンプを高効率で運転することができる。
【0111】
−実施形態の変形例2−
図7に示す実施形態の変形例2では、特にエコノマイザ熱交換器(55)が設けられている点が上記実施形態とは異なる。以下、上記実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0112】
変形例2の冷媒回路(10)には、上記第2冷媒配管(6)と上記圧縮機側の連結配管
(4)とを連通するエコノマイザ配管(53)が設けられている。上記エコノマイザ熱交換
器(55)は、高温流路及び低温流路を有するとともに、該高温流路が上記第2冷媒配管(6)に連通し且つ上記低温流路がエコノマイザ配管(53)に連通するように配置されてい
る。又、上記エコノマイザ配管(53)に係る上記第2冷媒配管(6)と上記エコノマイザ
熱交換器(55)との間には、減圧弁(54)が設けられている。
【0113】
上記加熱用熱交換器(13)を流出した冷媒は、その一部が分流して減圧弁(54)で減圧された後でエコノマイザ熱交換器(55)の低温流路へ流れて、残りがエコノマイザ熱交換器(55)の高温流路へ流れる。
【0114】
このエコノマイザ熱交換器(55)において、上記高温流路の冷媒と上記低温流路の冷媒とが熱交換して該高温流路の冷媒が冷却される。これにより、上記エコノマイザ熱交換器(55)を設けない場合に比べて、上記高温熱交換器(13)から上記高段膨張弁(14)へ向かう冷媒の過冷却度を大きくすることができ、上記ヒートポンプの効率を向上させることができる。
【0115】
−実施形態の変形例3−
図8から図10に示す実施形態の変形例3では、上記冷媒回路(10)の冷媒が上記低段圧縮機(11)又は上記高段圧縮機(12)をバイパスすることが可能に構成されている点において上記実施形態とは異なる。以下、上記実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0116】
変形例3の冷媒回路(10)には、上記低段圧縮機(11)をバイパスする低段バイパス配管(低段バイパス通路)(18)と、上記高段圧縮機(12)をバイパスする高段バイパス配管(高段バイパス通路)(19)とが設けられている。又、各バイパス配管(18,19)に
は、逆止弁(CV3,CV4)がそれぞれ設けられている。これらの逆止弁(CV3,CV4)は、各圧縮機(11,12)の吸入側から吐出側へ向かう冷媒の流れを許容して、逆方向の冷媒の流れ
を禁止する向きに設けられている。
【0117】
又、上記コントローラ(40)の圧縮機調整部(41)は、上記実施形態とは違い、二段圧縮動作と高段単独圧縮運転と低段単独圧縮運転とを適宜に切り換えながら上記低段圧縮機(11)及び上記高段圧縮機(12)の運転調整を行うように構成されている。尚、二段圧縮動作は、上記実施形態に係る加熱過多運転及び冷却過多運転の動作と同じため、説明を省略する。
【0118】
〈高段単独圧縮運転〉
ここで、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記補助熱交換器(1)及
び上記低温熱交換器(16)の両方が蒸発器として機能する場合において、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力差が小さくなればな
るほど、上記低段圧縮機(11)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上
記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなると、上記低段圧縮機(11)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記低段圧縮機(11)が機能しなくなってしまう。
【0119】
実際には、上記低段圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力を下げて運転することになるが、この場合、最適な上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力よりも低くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。
【0120】
このことから、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記冷却用熱交換器(16)の
蒸発圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記冷
却用熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに、上記圧縮機調整部(41)が二段圧縮動作から高段単独圧縮運転へ切り換わる。この高段単独圧縮運転では、上記低段圧縮機(11)が停止し、上記高段圧縮機(12)のみが起動する。上記低段圧縮機(11)の停止により、上記冷却用熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、上記低段バイパス配管(18)を通過した後で、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷媒とともに上記高段圧縮機(12)へ吸入されるよ
うになる。
【0121】
尚、本実施形態の変形例3では、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力を外気温度から
推定し、上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力を冷水出口温度から推定する。したがって、上記外気温度と上記冷水出口温度との温度差が所定値よりも小さく、又は上記外気温度が上記冷水出口温度以下のときに、上記圧縮機調整部(41)が高段単独圧縮運転に切り換わる。ここで、所定値とは、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差から換算した温度差の範囲内で設定される。
【0122】
又、この高段単独圧縮運転では、上記低段圧縮機(11)を停止させなければならないため、上記冷却用熱交換器(16)に係る冷水出口の温度制御を上記低段圧縮機(11)の運転回転数の調整で行うことができない。この高段単独圧縮運転では、この冷水出口の温度制御を上記低段膨張弁(15)の開度調整によって行う。尚、上記加熱用熱交換器(13)に係る温水出口温度の制御は、上述した実施形態と同様に、上記高段圧縮機(12)の運転回転数を調整することによって行われる。
【0123】
このように、上記ヒートポンプを必要に応じて二段圧縮又は単段圧縮で運転することが可能となり、常に高効率でヒートポンプを運転することができる。
【0124】
〈低段単独圧縮運転〉
又、上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さくなって上記補助熱交換器(1)及び上
記加熱用熱交換器(13)の両方が凝縮器として機能する場合において、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記加熱用熱交換器(13)の凝縮圧力の圧力差が小さくなればなる
ほど、上記高段圧縮機(12)の吸入圧力及び吐出圧力が近づき、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果が小さくなる。又、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記
加熱用熱交換器(13)の凝縮圧力よりも高くなると、上記高段圧縮機(12)の吸入冷媒に係る圧力と吐出冷媒に係る圧力とが逆転してしまい、上記高段圧縮機(12)が機能しなくなってしまう。
【0125】
実際には、上記高段圧縮機(12)の吐出冷媒に係る圧力を上げて運転することになるが、この場合、最適な上記加熱用熱交換器(13)の凝縮圧力よりも高くなるため、ヒートポンプの運転効率が低下してしまう。
【0126】
このことから、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記加熱用熱交換器(13)の
凝縮圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記加
熱用熱交換器(13)の凝縮圧力以上のときに、上記圧縮機調整部(41)が二段圧縮動作から低段単独圧縮運転へ切り換わる。この低段単独圧縮運転では、上記高段圧縮機(12)が停止し、上記低段圧縮機(11)のみが起動する。上記高段圧縮機(12)の停止により、上記低段圧縮機(11)から吐出された冷媒が分流して上記補助熱交換器(1)及び上記高段
バイパス配管(19)の両方へ流れるようになる。
【0127】
尚、本実施形態では、上記加熱用熱交換器(13)の凝縮圧力を温水出口温度から推定する。したがって、上記外気温度と上記温水出口温度との温度差が所定値よりも小さく、又は上記外気温度が上記温水出口温度以上のときに、上記圧縮機調整部(41)が低段単独圧縮運転に切り換わる。ここで、所定値とは、二段圧縮によるヒートポンプの運転効率の向上効果を図ることが可能な圧力差から換算した温度差の範囲内で設定される。
【0128】
又、この低段単独圧縮運転では、上記高段圧縮機(12)を停止させなければならないため、上記加熱用熱交換器(13)に係る温水出口の温度制御を上記高段圧縮機(12)の運転回転数の調整で行うことができない。この低段単独圧縮運転では、この温水出口の温度制御を上記高段膨張弁(14)の開度調整によって行う。尚、上記冷却用熱交換器(16)に係る冷水出口温度の制御は、上述した実施形態と同様に、上記低段圧縮機(11)の運転回転数を調整することによって行われる。
【0129】
このように、上記ヒートポンプを必要に応じて二段圧縮又は単段圧縮で運転することが可能となり、常に高効率でヒートポンプを運転することができる。
【0130】
−実施形態の変形例4−
図12に示す実施形態の変形例4では、上述した加熱過多運転、冷却過多運転、加熱単独運転、冷却単独運転、第2加熱過多運転、高段単独圧縮運転、及び低段単独圧縮運転の全ての運転に切り換えることが可能に構成されている点において上記実施形態とは異なる。以下、上記実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0131】
変形例4の冷媒回路(10)には、変形例1の冷媒回路(10)(図6を参照)に上記高段圧縮機(12)をバイパスする高段バイパス配管(高段バイパス通路)(19)とが設けられている。又、高段バイパス配管(19)には、逆止弁(CV3)が設けられている。この逆
止弁(CV3)は、高段圧縮機(12)の吸入側から吐出側へ向かう冷媒の流れを許容して、
逆方向の冷媒の流れを禁止する向きに設けられている。
【0132】
ここで、高段単独圧縮運転の場合には、上記低段圧縮機(11)が停止するとともに、第1及び第2の開閉弁(51,52)が全開となる。これにより、上記冷却側熱交換器(16)
で蒸発した冷媒は補助配管(50)を通過した後で、上記補助熱交換器(1)で蒸発した冷
媒と合流し、その合流した冷媒が上記高段圧縮機(12)へ吸入される。尚、高段単独圧縮運転以外の運転は上述したものと同じであるため、説明は省略する。
【0133】
このように、上記ヒートポンプの運転を必要に応じて切り換えることにより、常に高効率でヒートポンプを運転することができる。
【0134】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0135】
本実施形態では、上記流量調整弁調整部(43)において、上記負荷判定部(42)の判定信号に基いて、上記冷媒回路(10)に係る過熱度制御又は過冷却度制御を行っていたが、これに限定されない。例えば、上記圧縮機側の連結配管(4)から分岐した分岐管(3a
)又は上記膨張弁側の連結配管(7)から分岐した分岐管(3b)に、冷媒の流れ方向を検
知する検知部を設け、この検知部からの検知信号に基いて上記冷媒回路(10)に係る過熱度制御又は過冷却度制御を行ってもよい。
【0136】
つまり、上記検知部が上記補助熱交換器(1)の膨張弁側から圧縮機側へ冷媒が流れ
ていることを検知した場合には、上記流量調整弁調整部(43)が過熱度制御を行う。又、上記検知部が上記補助熱交換器(1)の圧縮機側から膨張弁側へ冷媒が流れていることを
検知した場合には、上記流量調整弁調整部(43)が過冷却度制御を行う。これにより、上記流量調整弁調整部(43)の制御を確実に実行することができる。
【0137】
本実施形態では、上記外気温度から上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力/凝縮圧力を
推定し、上記冷水出口温度から上記冷却用熱交換器(16)の蒸発圧力を推定し、上記温水出口温度から上記加熱用熱交換器(13)の凝縮圧力を推定していたが、これに限定されず、例えば、これらの圧力を圧力センサで直接検知してもよい。
【0138】
又、これらの熱交換器(1,13,16)を通過する冷媒の温度を温度センサで検出し、こ
の検出値から圧力を推定してもよい、この場合であっても、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0139】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上説明したように、本発明は、ヒートポンプに関し、特に冷熱及び温熱を同時に処理することが可能な冷媒回路を備えたものについて有用である。
【符号の説明】
【0141】
1 補助熱交換器
2 流量調整弁(流量調整機構)
10 冷媒回路
11 低段圧縮機(低段圧縮機構)
12 高段圧縮機(高段圧縮機構)
13 加熱用熱交換器(高温熱交換器)
14 高段膨張弁(高段膨張機構)
15 低段膨張弁(低段膨張機構)
16 冷却用熱交換器(低温熱交換器)
17 送風ファン
21 高段膨張弁温度センサ
22 冷却熱交温度センサ
23 第1補助熱交温度センサ
24 第2補助熱交温度センサ
25 温水温度センサ
26 冷水温度センサ
30 温水回路
31 温水ポンプ
32 温水タンク
33 冷水回路
34 冷水ポンプ
35 冷水タンク
40 コントローラ
41 圧縮機調整部(圧縮機構調整部)
42 負荷判定部
43 流量調整弁調整部(流量調整機構調整部)
44 高段膨張弁調整部(高段膨張機構調整部)
45 低段膨張弁調整部(低段膨張機構調整部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低段圧縮機構(11)と高段圧縮機構(12)と高温熱交換器(13)と高段膨張機構(14)と低段膨張機構(15)と低温熱交換器(16)とが順に冷媒通路で接続されて、上記高温熱交換器(13)で冷媒が高温流体へ放熱するとともに上記低温熱交換器(16)で冷媒が低温流体から吸熱して蒸発することにより冷凍サイクルを行うことが可能な冷媒回路(10)と、
上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の間の冷媒通路と上記低段膨張機構(15)及び上記高段膨張機構(14)の間の冷媒通路とを連通するように接続されて、上記冷媒回路(10)の冷媒と熱源流体とを熱交換する補助熱交換器(1)と、
を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する圧縮機構調整部(41)を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きくなって上記補助熱交換器(1)及び上記低温
熱交換器(16)の両方が蒸発器として機能する場合に、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧
力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに上記補助熱交
換器(1)から流出した冷媒を上記低段圧縮機構(11)の吸入側へ導く低段吸入状態と、
上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16
)の蒸発圧力よりも大きいときに上記補助熱交換器(1)から流出した冷媒を上記高段圧
縮機構(12)の吸入側へ導く高段吸入状態とに切換可能な切換機構(51,52)と、
を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1つにおいて、
上記高温熱交換器(13)及び上記高段膨張機構(14)の間の冷媒配管から分岐して上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の間の冷媒配管に接続されるエコノマイザ配管(53)と、
上記エコノマイザ配管(53)の冷媒を減圧する減圧機構(54)と、
上記減圧機構(54)で減圧された上記エコノマイザ配管(53)の冷媒と、上記高温熱交換器(13)から上記高段膨張機構(14)へ向かう高圧冷媒とを熱交換するエコノマイザ熱交換器(55)と、
を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項1において、
上記低段圧縮機構(11)をバイパスする低段バイパス通路(18)と、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に、上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の運転調整を、少なくとも高段単独圧縮動作又は二段圧縮動作に切り換えながら行う圧縮機構調整部(41)とを備え、
上記高段単独圧縮動作は、上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力及び上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力の圧力差が所定値より小さく、又は上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力以下のときに上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低段圧縮機構(11)を停止する動作であり、
上記二段圧縮動作は、上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の蒸発圧力
が上記低温熱交換器(16)の蒸発圧力よりも高いときに、上記高温熱交換器(13)の加熱
負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であることを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記高段圧縮機構(12)をバイパスする高段バイパス通路(19)と、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい場合に、上記低段圧縮機構(11)及び上記高段圧縮機構(12)の運転調整を、少なくとも低段単独圧縮動作又は二段圧縮動作に切り換えながら行う圧縮機構調整部(41)とを備え、
上記低段単独圧縮動作は、上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力及び上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力の圧力差が所定値以下、又は上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力が上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力以上のときに、上記高段圧縮機構(12)を停止して、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であり、
上記二段圧縮動作は、上記圧力差が所定値以上且つ上記補助熱交換器(1)の凝縮圧力
が上記高温熱交換器(13)の凝縮圧力の凝縮圧力よりも低いときに、上記高温熱交換器(13)の加熱負荷に応じて上記高段圧縮機構(12)の運転容量を調整し、上記低温熱交換器(16)の冷却負荷に応じて上記低段圧縮機構(11)の運転容量を調整する動作であることを特徴とする冷凍装置。
【請求項7】
請求項2から6の何れか1つにおいて、
上記補助熱交換器(1)を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構(2)と、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に、上記補助熱交換器(1)から流出し
た冷媒の過熱度が所定値となるように上記流量調整機構(2)を調整する流量調整機構調
整部(43)と、
を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項8】
請求項2から6の何れか1つにおいて、
上記補助熱交換器(1)を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構(2)と、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい場合に、上記補助熱交換器(1)から流出し
た冷媒の過冷却度が所定値となるように上記流量調整機構(2)を調整する流量調整機構
調整部(43)と、
を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項9】
請求項2から4の何れか1つにおいて、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも大きい場合に、上記高段膨張機構(14)を全開に設定する高段膨張機構調整部(44)を備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項10】
請求項2から4の何れか1つにおいて、
上記加熱負荷が上記冷却負荷よりも小さい場合に、上記高段膨張機構(14)の冷媒出口温度が上記補助熱交換器(1)の冷媒出口温度と上記低温熱交換器(16)の冷媒出口温度
との間の温度となるように上記高段膨張機構(14)を調整する高段膨張機構調整部(44)を備えていることを特徴とする冷凍装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−92369(P2013−92369A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−24780(P2013−24780)
【出願日】平成25年2月12日(2013.2.12)
【分割の表示】特願2011−218154(P2011−218154)の分割
【原出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)