説明

ビスアミノールエーテル化合物を用いるピペリジン−4−オン誘導体の製造方法

【課題】農医薬中間体として有用なピペリジン−4−オン誘導体の製造方法
【解決手段】
式(I)
【化1】


で表されるビスアミノールエーテル化合物と、式(II)
【化2】


で表されるアセトン誘導体を、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、またはルイス酸及びアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物存在下に反応させることにより式(III−1)または(III−2)
【化3】


で表されるピペリジン−4−オン誘導体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農医薬の有用な中間体であるピペリジン−4−オン誘導体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農医薬中間体として有用なピペリジン−4−オン誘導体中のうち、架橋構造を有するイソトロパン誘導体の製造方法として、例えば、下記式に示すように、シクロペンタノンをDouble Mannich反応を用いてOne Stepで環化させる方法が知られている。(非特許文献1を参照)
【0003】
【化1】

【0004】
【非特許文献1】Synlett, 2004, (13), 2359-2363
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1に記載の方法は、収率は優れているが、Mannich反応の基質としては、比較的反応性の高い基質に限定されている点、得られた生成物である2−エステル体は通常の条件で加水分解、脱炭酸を行うと、生成物が分解し収率が低い点等、工業的には実用性に乏しく、汎用性にもかけるという欠点があった。
本発明は、収率もよく、汎用性の高い、工業的にも使用可能なイソトロパン骨格に代表されるピペリジン−4−オン骨格の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、または、ルイス酸とアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物存在下に反応させることにより、反応させる基質に汎用性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1) 式(I)
【化2】

(式中、R11は、水素原子または有機基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に有機基を表し、または一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるビスアミノールエーテル化合物と、式(II)
【化3】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、または有機基を表し、RとRは、一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるアセトン誘導体を、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、またはルイス酸及びアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物存在下に反応させることを特徴とする式(III−1)または(III−2)
【化4】

(式中、R11、R〜Rは、前記と同じ意味を表し、R14及びR15は、それぞれ独立に有機基を表し、または一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるピペリジン−4−オン誘導体の製造方法、
(2)式(I)中、化学的に許容される環構造を構成する官能基が、アルキレン基であることを特徴とする上記(1)に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法、
(3)式(II)で表される化合物が、式(IV)
【化5】

(式中、R21は、有機基を表し、点線は、化学的に許容される環構造を構成する官能基を表し、nは、0または化学的に許容される置換基数を表し、nが2以上の場合、R21同士は、同一または相異なっており、カルボニル基のα位は、少なくとも1つの水素原子を有するものとする。)で表される環状ケトン体であることを特徴とする上記(1)に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法、
(4)ルイス酸が、(R101)Si(X)4−n(式中、R101は炭化水素基を表し、nは1ないし3を表し、nが2以上の場合、R101同士は、同一または相異なっていてもよく、Xは、臭素原子、または塩素原子を表す。)であることを特徴とする上記(1)に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法、および
(5)ルイス酸として作用する金属ヨウ化物がMeSiIであることを特徴とする上記(1)記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、または、ルイス酸とアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物を使用することにより、Mannich反応を行う際に、汎用的に基質を反応させることができるようになった。
その結果、収率がよく、汎用性の高い、工業的にも使用可能な、イソトロパン骨格に代表されるピペリジン−4−オン骨格の製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、式(I)で表されるビスアミノールエーテル化合物、式(II)で表されるアセトン誘導体、式(III−1)又は式(III−2)で表されるピペリジンー4−オン誘導体、および式(IV)で表される環状ケトン体の置換基について以下に記載する。
置換基R11〜R13、R〜R、R14及びR15における「有機基」とは、本反応を阻害しないような基(例えば、本方法における反応条件下で非反応性の基、本反応の立体障害とならない基など)であればよく、例えば、炭化水素基、複素環式基等が挙げられる
【0010】
前記炭化水素基及び複素環式基には、置換基を有する炭化水素基及び複素環式基も含まれる。前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの結合した基が含まれる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル、アリル、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルキニル基などが挙げられる。
【0011】
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの炭素数3〜20(好ましくは3〜15、さらに好ましくは5〜8)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル、シクロへキセニル基などの炭素数3〜20(好ましくは3〜15、さらに好ましくは5〜8)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル、アダマンチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の基が挙げられる。
【0012】
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した炭化水素基としては、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル基などのシクロアルキル−アルキル基などが含まれる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した炭化水素基には、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基など)、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基など)などが挙げられる。
【0013】
上記炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、複素環式基、慣用の保護基で保護されているヒドロキシル基やカルボキシル基などを有していてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
【0014】
複素環式基には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、イソオキサゾール、γ−ブチロラクトン環などの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン環などの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマン環などの縮合環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環などの橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール環などの5員環、4−オキソ−4H−チオピラン環などの6員環、ベンゾチオフェン環などの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール環などの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン環などの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン環などの縮合環など)などが挙げられる。上記複素環式基には、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。
【0015】
式(I)、(II)、(III−1)、(III−2)及び(IV)で表される化合物において、「化学的に許容される環構造を構成する官能基」とは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、O、S等の異種原子を1個又は複数個含有する炭素数1〜20の二価の炭化水素基などが挙げられる。ここでいう炭化水素基は、上記「有機基」において例示した一価の炭化水素基を二価に置き換えたものを例示することができる。これらは置換基を有していても良く、上記「有機基」において例示した置換基と同様のものを例示することができる。特に、炭素数1〜20アルキレン基が好ましく、さらに炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。
【0016】
(製法)
式(I)で表されるビスアミールエーテル化合物と式(II)で表されるアセトン誘導体との反応は、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、又はルイス酸及びアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物の存在下で行われる。
ビスアミノールエーテル化合物とアセトン誘導体との割合は、反応性及び原料コスト等を考慮して適宜選択できる。通常、ビスアミノールエーテル化合物の使用量は、アセトン誘導体1モルに対して、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モルである。
【0017】
本発明において用いられるルイス酸 としては、例えば、臭化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)、塩化ガリウム(III)、塩化鉄(III)、塩化アンチモン(V)、塩化スズ(IV)、塩化チタン(IV)、塩化亜鉛(II)、フッ化ホウ素(III)、塩化ホウ素(III)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)、五酸化二リン、Mo(CO)6などの金属カルボニル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)に代表されるトリフルオロメタンスルホン酸ランタノイド系の錯体、(R101)Si(X4−nなどが挙げられる。
(R101)Si(X4−nの式中、R101は炭化水素基を表し、nは1ないし3を表し、nが2以上の場合、R101同士は、同一または相異なっていてもよく、Xは、臭素原子または塩素原子を表す。
ここで「炭化水素基」としては、ルイス酸として作用することを阻害しない基であればよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの結合した基が含まれ、上記「有機基」の場合と同様に例示することができる。
ルイス酸として、好ましくは(R101)Si(X4−nであり、たとえば、MeSiCl,MeSiCl,MeSiCl,MeSiBrなどが挙げられる。ルイス酸の使用量は適宜選択可能であるが、特に、(R101Si(X4−nをルイス酸として使用する場合には、アセトン誘導体に対して1当量以上用いるのが好ましい。
本発明においては、ルイス酸と共に使用するアルカリ金属ヨウ化物又はアルカリ土類金属ヨウ化物を使用するが、アルカリ金属ヨウ化物又はアルカリ土類金属ヨウ化物としては、KI、NaI、RbI、CsI、CaI、MgIなどが例示されるが、NaI、KIが好ましい。使用量は適宜選択可能であるが、ルイス酸として(R101Si(X4−nを用いた場合には、該ルイス酸に対して1当量以上用いるのが好ましい。
また、本発明においてはルイス酸として作用する金属ヨウ化物も使用することができ、たとえば、MeSiI、MeSiI3、AlI、ZnI、TiIなどがある。
【0018】
使用溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上を混合して用いられる。
溶媒の使用量は特に限定されず、反応系の種類などに応じて適宜選択することができるが、通常はビスアミノールエーテル化合物に対して質量比で0.5倍以上程度が適当である。
【0019】
反応温度は、反応成分や触媒の種類などに応じて適宜選択でき、特に制限はないが、通常は、−50℃〜反応成分や溶媒の沸点、好ましくは0〜50℃である。反応時間も特に限定されないが、通常は5分〜10時間程度であり、好ましくは30分〜3時間である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行うこともできる。
【0020】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0021】
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【化6】

【実施例1】
【0022】
3-Benzyl-3-aza-bicyclo[3.2.1]octan-8-one ethylene ketal 化合物(1)の合成
窒素雰囲気下、アセトニトリル5mlにヨウ化ナトリウム1.50g(10mmol)を加え溶解した。クロロトリメチルシラン1.09g(10mmol)を滴下し、20分攪拌した後、0℃に冷却してシクロペンタノン0.42g(5mmol)を加え、20分攪拌した。ここに3-Benzyl-[1,5,3]dioxazepane(2)0.97g(5mmol)のアセトニトリル(3ml)溶液を同温度で10分を要して滴下し、室温に戻した後1時間攪拌した。反応液を飽和重曹水に注加し、酢酸エチルにて抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥、これをろ過、濃縮して粗精製物として化合物(1)を得た。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)を用いて単離精製を行い、目的とする化合物(1)を1.01g(収率78%)得た。
【実施例2】
【0023】
3-Benzyl-3-aza-bicyclo[3.2.1]octan-8-one ethylene ketal 化合物(1)の合成
窒素雰囲気下、アセトニトリル5mlにヨウ化ナトリウム0.83g(5.5mmol)を加え溶解した。ジクロロジメチルシラン0.71g(5.5mmol)を滴下し、20分攪拌した後、0℃に冷却してシクロペンタノン0.42g(5mmol)を加え、20分攪拌した。ここに3-Benzyl-[1,5,3]dioxazepane(2)0.97g(5mmol)のアセトニトリル(3ml)溶液を同温度で10分を要して滴下し、室温に戻した後1時間攪拌した。反応液を飽和重曹水に注加し、酢酸エチルにて抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥、これをろ過、濃縮して粗精製物として化合物(1)を得た。HPLCで分析したところ、収率は83.4%であった。
【0024】
参考例1
3-Benzyl-3-aza-bicyclo[3.2.1]octan-8-one ethylene ketal 化合物(1)の酸加水分解
シリカゲルカラムにより精製した3-Benzyl-3-aza-bicyclo[3.2.1]octan-8-one ethylene ketal 化合物(1)0.26g(1mmol)を1,4−ジオキサン(1ml)に溶解し、30%発煙硫酸0.3mlを滴下し、30分攪拌した。反応液を氷水に注加し、1M水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ヘキサン/酢酸エチルにて抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥、これをろ過、濃縮して粗精製物として3-Benzyl-3-aza-bicyclo[3.2.1]octan-8-one化合物(3)を得た。HPLCで分析したところ、収率は96.0%であった。
【0025】
参考例2
3-Benzyl-[1,5,3]dioxazepane(2)の合成
パラホルムアルデヒド30.0g(1mol)をトルエン(200ml)溶液にエチレングリコール31.0g(1mol)およびベンジルアミン53.6g(0.5mol)を加え、加熱により共沸脱水した。水が概ね18g(1mol)留去された時点で反応を止め、溶媒を留去することにより、化合物(2)を粗精製物として89.2g(純分で〜92%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、R11は、水素原子または有機基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に有機基を表し、または一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるビスアミノールエーテル化合物と、式(II)
【化2】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、または有機基を表し、RとRは、一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるアセトン誘導体を、ルイス酸として作用する金属ヨウ化物、またはルイス酸及びアルカリ金属ヨウ化物もしくはアルカリ土類金属ヨウ化物存在下に反応させることを特徴とする式(III−1)または(III−2)
【化3】

(式中、R11、R〜Rは、前記と同じ意味を表し、R14及びR15は、それぞれ独立に有機基を表し、または一体となって化学的に許容される環構造を構成する官能基を表す。)で表されるピペリジン−4−オン誘導体の製造方法。
【請求項2】
式(I)中、化学的に許容される環構造を構成する官能基が、アルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法。
【請求項3】
式(II)で表される化合物が、式(IV)
【化4】

(式中、R21は、有機基を表し、点線は、化学的に許容される環構造を構成する官能基を表し、nは、0または化学的に許容される置換基数を表し、nが2以上の場合、R21同士は、同一または相異なっており、カルボニル基のα位は、少なくとも1つの水素原子を有するものとする。)で表される環状ケトン体であることを特徴とする請求項1に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法。
【請求項4】
ルイス酸が、(R101)Si(X)4−n(式中、R101は炭化水素基を表し、nは1ないし3を表し、nが2以上の場合、R101同士は、同一または相異なっていてもよく、Xは、臭素原子または塩素原子を表す。)であることを特徴とする請求項1に記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法。
【請求項5】
ルイス酸として作用する金属ヨウ化物がMeSiIであることを特徴とする請求項1記載のピペリジン−4−オン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2008−94744(P2008−94744A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277088(P2006−277088)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】