説明

ビタミンEを有するタバコ製品

【課題】少ない刺激および酸化防止という利点を達成する喫煙または無煙製品用のタバコを提供する。
【解決手段】少ない刺激および酸化防止という利点を達成するために、喫煙または無煙製品用のタバコまたはタバコ以外のものには、実質的に純粋なビタミンE型化合物が添加される。好ましい実施態様では、ビタミンEの実質的に純粋な「乾燥」粉末化類似物(例えば、ビタミンE酸スクシネートまたは噴霧乾燥ビタミンEアセテート)は、その製造工程中にて、このタバコ製品または非タバコ製品に直接混合される。これらのビタミンE類似物はまた、粉末化形態またはマイクロカプセル化形態のいずれかの形態で、シガレットフィルター(20)、ホルダーおよび/または紙(26)に挿入し得る。好ましくはないものの、喫煙製品または無煙製品の外観および機能を損なわない限り、本発明では、一般的な油性形態のビタミンEが使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「Cigarette With Vitamin E」の表題の米国特許出願第09/020,958号(これは、1998年2月9日に出願され、今も審査中である)の部分継続出願である。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、喫煙タバコ製品(例えば、シガレット、シガー、パイプタバコ(バルク)、および無煙タバコ製品(これはまた、噛みタバコとして知られている))に関する。さらに特定すると、新規な形態の喫煙シガレット、シガーおよびバルクタバコおよび無煙タバコが開示されており、これは、健康を向上させるビタミンE型添加剤を含有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
シガレット喫煙、シガー喫煙、パイプ喫煙および無煙タバコに付随した健康上の問題は、広く知られている。種々の科学的な研究では、シガレット喫煙、シガー喫煙、パイプ喫煙および無煙タバコの使用は、肺癌、咽頭癌、口腔癌および他の癌だけでなく、肺気腫、喫煙者の咳および心臓の異常のような病気に関連している。
【0004】
シガレットの再調合によるシガレットの健康上の問題を検討するために、種々の試みがなされている。例えば、タールおよびニコチンのレベルを少なくしたシガレット用に、特殊なブレンドのタバコが調合されている。残念なことに、このタールおよびニコチンレベルの低下に伴って、それに対応した喫煙者の満足感の程度が下がる。そういうものとして、タールおよびニコチンを低くしたタバコ(特に、商業上、「超低タールおよびニコチン」として分類されているもの)の売り上げは、期待に応えていない。さらに最近では、シガレットから添加剤を全部取り除く努力がなされている。このような「添加剤なし」シガレットは、それよりきれいな煙を生じ得るものの、それらが、それに対応する何らかの健康上の利点をもたらすかどうかは、不明である。実際、それらは、添加剤希釈剤を含有しないので、それらのタールおよびニコチンのレベルは、高くなる。
【0005】
タバコ中に存在している有害な物質の一部を相殺するために、シガレットに添加剤を挿入する試みもなされている。例えば、特許文献1(「’655号特許」)は、N−ニトロソアミン(例えば、N’−ニトロソノロニコチン(NNN))の発癌効果を中和するために、シガレットのタバコまたはフィルターにアルコールを挿入することが推奨されている。この’655号特許によれば、これらのアルコールは、有利なことに、ビタミンA、B、CおよびEのような他の化学物質で包装し得る。それにもかかわらず、この’655号特許の表IVでは、独立型(stand−alone)添加剤(すなわち、アルコール混合物以外のもの)としてのビタミンEの使用は、NNNを中和するのに有効ではないことが教示されている。
【0006】
同様に、公開された特許文献2では、真核生物細胞培養物とビタミンEとの複合体形成または抗変異原性および着香特性を有する植物起源の天然物質とビタミンEとの溶液から、シガレット添加剤が形成し得ることが示唆されている。それにもかかわらず、このPCT公報では、ビタミンEが、シガレット用の独立型添加剤として、何らかの効能を有し得るとの示唆はない。
【0007】
特許文献3(「’558号特許」)および特許文献4(「’478号特許」)では、ビタミンAは、健康を促進する第一位のシガレット添加剤として、推奨されている。この’558号特許は、破裂可能カプセル中のシガレット濾過媒体内に挿入すべきであることを教示しているのに対して、この’478特許は、シガレット中のタバコに、活性ビタミンAの安定化水性乳濁液を塗布すべきであることを教示している。この’478号特許は、このビタミンA乳濁液に、他のビタミン(例えば、ビタミンC、D、Eなど)を添加し得ることを明らかにしているが、これらの他のビタミンのいずれかが独立型添加剤として有利に使用し得ることを示唆していない。
【0008】
ここで述べたように、これらの従来技術のいずれも、ビタミンEまたはビタミンE類似物の独立型シガレット添加剤としての使用を示唆しておらず、まして、このような独立型ビタミンE型添加剤に対して、どの型、量および送達機構を使用すべきであるかを示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,016,655号明細書
【特許文献2】国際公開第95/28098号パンフレット
【特許文献3】米国特許第3,339,558号明細書
【特許文献4】米国特許第3,667,478号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、シガレット、シガー、バルクパイプタバコおよび無煙または「噛み」タバコ(無煙タバコとして一般的に知られている)に、実質的に純粋なビタミンE型化合物を添加する効果的な方法を提供する。喫煙タバコ製品では、このような実質的に純粋なビタミンE添加剤は、予想外に、ビタミンEの酸化防止剤の利点と共に、相当な程度まで、ずっと刺激性の少ない煙が得られることが分かっている。この有益な効果はまた、非喫煙者が一般的に経験する二次喫煙の刺激にも適用し得る。無煙タバコでは、実質的に純粋なビタミンE添加剤は、予想外に、頬、歯ぐき、パレット(palette)、喉および食道に対する刺激を減らすことが分かっている。
【0011】
好ましい実施態様では、ビタミンEの実質的に純粋な「乾燥」粉末化類似物(これは、d−α−トコフェリル酸スクシネートまたはビタミンE酸スクシネートとして知られている)は、その製造プロセス中にて、喫煙または無煙タバコで使用されるタバコと直接混合される。このビタミンE類似物はまた、シガレットフィルター、ホルダーまたは紙または包装紙にも挿入し得る。本発明と共に有利に使用し得る他の好ましい「乾燥」形態のビタミンE類似物には、d−α−トコフェリルアセテート、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロールまたは天然混合トコフェロール(これらは、好適な担体(例えば、ゼラチンまたはアラビアゴム)上で噴霧乾燥されている)の形態がある。一般的な透明で粘稠な油性形態の天然ビタミンE(d−α−トコフェロール)またはその液状類似物は、好ましくはないものの、喫煙製品の外観および機能を損なわないような様式(例えば、安定化されている様式であって、かつ油性残留物が見えるシガレット紙または包装紙への浸出がないような様式で、マイクロカプセル化によって取り込まれるか、またはこのタバコまたはフィルターへと拡散される)または無煙タバコを集塊しない様式で使用される限り、本発明で使用し得る。
【0012】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1) トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群に由来の実質的に純粋な添加剤を0.1重量%と20.0重量%の間で取り込んでいる、タバコ製品。
(項目2) 上記添加剤が、α−トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される、項目1に記載のタバコ製品。
(項目3) 上記添加剤が、d-α-トコフェロール、d-α-トコフェリル酸スクシネート、d-α-トコフェリルアセテート、混合トコフェロールおよびdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目1に記載のタバコ製品。
(項目4) 上記添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネートである、項目1に記載のタバコ製品。
(項目5) 上記タバコ製品が、無煙タバコ製品である、項目1に記載のタバコ製品。
(項目6) 乾燥粉末化形態のトコフェロール、その類似物またはその誘導体からなる群から選択される実質的に純粋な添加剤を取り込んでいる、タバコ製品。
(項目7) 上記添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネート、好適な担体上へと噴霧乾燥したd-α-トコフェリルアセテート、好適な担体上へと噴霧乾燥した混合トコフェロールおよび好適な担体上へと噴霧乾燥したdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目6に記載のタバコ製品。
(項目8) 上記タバコ製品が、無煙タバコである、項目7に記載のタバコ製品。
(項目9) その唯一の酸化防止剤が、乾燥粉末化トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される、複合体形成していない添加剤を0.1重量%と20.0重量%の間で取り込んでいる、無煙タバコ製品。
(項目10) 乾燥粉末化トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体から選択される添加剤を0.1%重量%と20重量%の間で取り込んでおり、その添加剤が、低分子量アルコール、他のビタミン、抗変異原性および着香特性を有する植物起源の天然物質と反応または複合体形成された真核生物細胞培養物を実質的に含有しない、無煙タバコ製品。
(項目11) 健康に良い無煙タバコ製品を製造する方法であって、その方法は、トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される実質的に純粋な添加剤とタバコとを混合する工程を包含する、方法。
(項目12) 上記添加剤が、乾燥粉末化形態のトコフェロール、それらの類似物および誘導体にある、項目11に記載の方法。
(項目13) 上記乾燥粉末化形態の添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネート、好適な担体上へと噴霧乾燥したd-α-トコフェリルアセテート、好適な担体上へと噴霧乾燥した混合トコフェロールおよび好適な担体上へと噴霧乾燥したdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14) 上記添加剤が、d-α−トコフェリル酸スクシネートである、項目13に記載の方法。
(項目15) トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群に由来の実質的に純粋な添加剤を0.1重量%と20.0重量%の間で取り込んでいる、喫煙または無煙非タバコ製品。
(項目16) 上記製品が、大麻である、項目15に記載の喫煙または無煙非タバコ製品。
(項目17) トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群に由来の実質的に純粋な添加剤を0.1ミリグラムと5000ミリグラムの間で取り込んでいる、タバコシガレット。
(項目18) 上記添加剤が、α−トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される、項目17に記載のタバコシガレット。
(項目19) 上記添加剤が、d-α-トコフェロール、d-α-トコフェリル酸スクシネート、d-α-トコフェリルアセテート、混合トコフェロールおよびdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目17に記載のタバコシガレット。
(項目20) 上記添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネートである、項目17に記載のタバコシガレット。
(項目21) 上記添加剤が、マイクロカプセル化されている、項目17に記載のタバコシガレット。
(項目22) 乾燥粉末化形態のトコフェロール、その類似物またはその誘導体からなる群から選択される実質的に純粋な添加剤を取り込んでいる、タバコシガレット。
(項目23) 上記添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネート、好適な担体上へと噴霧乾燥したd-α-トコフェリルアセテート、好適な担体上へと噴霧乾燥した混合トコフェロールおよび好適な担体上へと噴霧乾燥したdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目22に記載のタバコシガレット。
(項目24) 上記好適な担体が、アラビアゴムである、項目23に記載のタバコシガレット。
(項目25) 上記好適な担体が、ゼラチンである、項目23に記載のタバコシガレット。
(項目26) 上記添加剤が、d−α−トコフェリル酸スクシネートである、項目22に記載のタバコシガレット。
(項目27) 上記添加剤が、シガレットタバコと混合されている、項目22に記載のタバコシガレット。
(項目28) 上記添加剤が、シガレットフィルターに取り込まれている、項目22に記載のタバコシガレット。
(項目29) 上記シガレットタバコに、d−α−トコフェリル酸スクシネートの実質的に純粋な添加剤が混合されている、タバコシガレット。
(項目30) その唯一の酸化防止剤が、乾燥粉末化トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される、複合体形成していない添加剤を0.1ミリグラムと5000ミリグラムの間で取り込んでいる、タバコシガレット。
(項目31) 乾燥粉末化トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体から選択される添加剤を0.1ミリグラムと5000ミリグラムの間で取り込んでおり、その添加剤が、アルコール、他のビタミン、抗変異原性および着香特性を有する植物起源の真核生物細胞培養物および天然物質を実質的に含有しない、タバコシガレット。
(項目32) 健康に良い無煙タバコ製品を製造する方法であって、その方法は、以下の工程を包含する:
トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群から選択される実質的に純粋な添加剤とタバコとを混合すること;
その混合物を、シガレット包装紙を用いて、シガレットに巻くこと。
(項目33) 上記添加剤が、乾燥粉末形態である、項目32に記載の方法。
(項目34) 上記乾燥粉末化形態の添加剤が、d-α-トコフェリル酸スクシネート、好適な担体上へと噴霧乾燥したd-α-トコフェリルアセテート、好適な担体上へと噴霧乾燥した混合トコフェロールおよび好適な担体上へと噴霧乾燥したdl-α-トコフェロールからなる群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目35) 上記添加剤が、d-α−トコフェリル酸スクシネートである、項目32に記載の方法。
(項目36) 上記添加剤が、マイクロカプセル化した油性形態のd−α−トコフェロールである、項目32に記載の方法。
(項目37) 項目32に記載の方法を用いて作成される、シガレット。
(項目38) トコフェロール、それらの類似物およびその誘導体からなる群に由来の実質的に純粋な添加剤を0.1ミリグラムと5000ミリグラムの間で取り込んでいる、喫煙製品。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、典型的なシガレットの側面立面図を示す。
【図2】図2は、図1の典型的なシガレットの切断側面立面図である。
【図3】図3は、フィルター挿入物と適合し得る代替形態のシガレットの切断側面立面図である。
【図4】図4は、フィルター挿入物を収容し得る第二代替形態のシガレットの切断側面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(具体的な実施態様の説明)
ビタミンEまたはd−α−トコフェロールおよびその類似物は、細胞を損傷する遊離ラジカルを不活性化し得る抗炎症剤および酸化防止剤として作用することが分かっている。ビタミンEは、最も一般的には、植物油留出物から、粘稠で油性の形態で、得られる。ビタミンEは、次いで、皮膚組織に直接塗布することにより、またはカプセル化した毎日ビタミン補助食品として経口的に摂取することにより、いずれかにより、この油性の形態で使用される。
【0015】
この一般的な油性形態のビタミンEは、多くの用途に適用し得るものの、本発明の改良喫煙または無煙タバコに適用するとき、問題が生じる。例えば、もし、一般的な油性ビタミンEがシガレットに直接適用されるなら、そのシガレット紙に移動して漏れ、それにより、このシガレットの感触および外観を損なう傾向にある。また、この一般的な油性形態のビタミンEは、このビタミンEの安定性に悪影響を与え得る様式で、タバコおよび他の天然成分と相互作用する傾向がある。これらの理由から、このビタミンEの安定性を保持しつつ、この喫煙および無煙タバコに対してきれいな感触および外観を最高に維持するために、本発明には、ビタミンEの「乾燥」類似物が好ましい。
【0016】
本発明に好ましいビタミンEの1つの「乾燥」エステル類似物は、d−α−トコフェリル酸スクシネート、ビタミンE酸スクシネート、2R,4’R,8’R−α−トコフェリル酸スクシネート、d−α−トコフェリル水素スクシネートおよび2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−6−クロマノール酸スクシネートとして、様々に知られている。ビタミンE酸スクシネートは、C33545の実験式および530.79の分子量を有する。ビタミンE酸スクシネートの化学構造は、以下のとおりである:
【0017】
【化1】

ビタミンE酸スクシネートは、臭気または味が殆どまたは全くない白色から灰白色の結晶性粉末の形態で、d−α−トコフェリルのスクシネート誘導体である。ビタミンE酸スクシネートは、食用植物油製品の真空蒸留およびスクシニル化により、調製し得る。ビタミンE酸スクシネートは、Eastmanの製品PM4009またはE−1210として、Kingsport,TennesseeのEastman Chemical Corporationから商業的に得られ得る。ビタミンE酸スクシネートはまた、COVITOL(登録商標)1210としてLaGrange,IllinoisのHenkel Corporationから、またはDecatur,IllinoisのArcher Daniels Midland Companyから、商業的に得られ得る。
【0018】
本発明に好ましいビタミンEの他の「乾燥」エステル類似物は、噴霧乾燥した担体ベース形態のビタミンEであり、これは、d−α−トコフェリルアセテート、ビタミンEアセテート、2R,4’R,8’R−α−トコフェリルアセテート、および2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−6−クロマノールアセテートとして、様々に知られている。この代替的「乾燥」形態のビタミンEもまた、典型的には、植物油から誘導され、次いで、好適な担体(例えば、ゼラチンまたはアラビアゴム)上へと噴霧乾燥される。ビタミンEアセテートは、C31523の実験式および472.75の分子量を有する。ビタミンEアセテートの化学構造は、以下のとおりである:
【0019】
【化2】

好ましい「乾燥」形態のビタミンEアセテートは、表面処理した担体にて、噴霧乾燥したd−α−トコフェリルアセテートを含有する水分散性微粉末の形態でのd−α−トコフェリルのアセテート誘導体である。それは、淡褐色であり、淡白な臭気および味を伴う。ゼラチン担体上へと噴霧乾燥されたビタミンEアセテートは、E−700製品として、Archer Daniels Midland Corporationから商業的に得られ得る。それはまた、COVITOL(登録商標)700WD(アラビアゴムの担体上へと噴霧乾燥したビタミンEアセテートの形態)として、LaGrange,IllinoisのHenkel Corporationから商業的に得られ得る。
【0020】
本発明に好適でありHenkel Corporationから得られ得る他の「乾燥」形態のビタミンEには、COVITOL(登録商標)F−350MおよびCOV−OX(登録商標)T−30Pが挙げられる。COVITOL(登録商標)F−350Mは、混合した天然トコフェロール(すなわち、これは、α−、β−、γ−およびδ−形態のトコフェロールを含む)を含有するクリーム色粉末であり、ゼラチン、デキストリン、およびグルコース(これは、表面処理されている)の担体上で、噴霧乾燥されている。COVITOL(登録商標)F−350Mの味および臭気は、淡白から穏やかである。COV−OX(登録商標)T−30Pもまた、「天然混合トコフェロール」(すなわち、これは、α−、β−、γ−およびδ−形態のトコフェロールを含む)を含有する明るい色の粉末であり、アラビアゴムの担体上で、噴霧乾燥されている。COVITOL(登録商標)F−350Mと同様に、COV−OX(登録商標)T−30Pの味および臭気は、淡白から穏やかである。他の「乾燥」代替物として、合成形態のビタミンE、すなわち、dl−α−トコフェロール(これは、好適な担体(例えば、ゼラチンまたはアラビアゴム)上へと噴霧乾燥されている)は、本発明に有利に使用し得る。
【0021】
好ましい「乾燥」形態のビタミンEは、多数の異なる様式(そのタバコに直接混合すること、またはその粉末化形態、噴霧乾燥形態またはしマイクロカプセル化形態のいずれかで、そのシガレットフィルター、ホルダーまたは紙に挿入することを含めて)で、喫煙または無煙タバコへと取り込み得る。これらの取り込み様式は、図面と関連して、最もよく説明し得る。今ここで、図1を参照すると、典型的な形状のシガレット10が示されており、これは、フィルター部分12およびタバコ部分14を包含する。この典型的なシガレットの切取内部図は、図2で示されており、この場合、タバコロッド18、フィルター20、タバコ紙22、プラグ包装紙24およびフィルター紙26が、さらに明瞭に見える。
【0022】
本発明の1実施態様では、実質的に純粋な「乾燥」形態のビタミンEは、この製造工程中にて、完全なまたは切断したタバコ葉へとブレンドでき、噴霧し得るか、または振りかけ得る。そのようにして、この実質的に純粋な「乾燥」形態のビタミンEは、図1および2で示したシガレットへと巻いたとき、またはバルク無煙容器中で包装したとき、このタバコ上へと既に取り込まれている。この工程で使用するビタミンEの量は、変えられ得るものの、400〜1200ミリグラムのタバコを含有する喫煙製品または無煙タバコ塊には、タバコの0.1ミリグラムと5000ミリグラムの間のビタミンEまたはビタミンE類似物が好適な量であり、ビタミンEまたはビタミンE類似物のさらに好ましい量は、400〜1200ミリグラムのタバコを含有する喫煙製品または無煙タバコ塊に対して、タバコ重量の0.1%〜20.0%(すなわち、0.4ミリグラム〜240ミリグラム)の間である。
【0023】
第二の実施態様では、この「乾燥」形態のビタミンEは、分散した粉末粒子30、そのフィルター媒体に注入した液体たまはマイクロカプセル化した粉末粒子30Aのいずれかとして、シガレットフィルター20へと取り込み得る。このような粉末化粒子30またはマイクロカプセル化粉末化粒子30Aもまた、タバコ紙22、プラグ包装紙24および/またはフィルター紙26へと取り込み得る。
【0024】
今ここで、図3を参照すると、フィルター20の中間部では、開口部32が示されており、これは、粉末化形態またはカプセル化形態のいずれかで、濃縮したビタミンEまたはビタミンE類似物に適合し得る。あるいは、図4で示すように、実質フィルター20とタバコ部分14との間のフィルター部分には、ビタミンEまたビタミンE類似物挿入片36が作製し得る。この挿入片36は、カプセル化部分14を含有し得る。この挿入片36は、カプセル化ビタミンE化合物または適当に包装した粉末化ビタミンE化合物(例えば、紙で包装したもの)を含有し得る。同様に、このシガレットのタバコ部分14には、さらに狭いビタミンE挿入片(図示せず)を取り込み得る。
【0025】
マイクロカプセル化は、本発明では、ビタミンE化合物用の好適な送達デバイスとして、その好ましい「乾燥」形態またはさらに一般的な油性形態で、使用し得る。マイクロカプセル化により、まず、このビタミンE化合物が単離され、喫煙タバコ製品に対してその煙流れ環境と相互作用し得るように、その制御した放出が得られる。そのシェル壁マイクロカプセル化構成は、この煙の熱がこのシェルを開放するような時点まで、その中に含有されたビタミンE化合物と充分に適合すべきである。言い換えれば、このマイクロカプセルは、それが喫煙されるまで、このシガレット内で安定である。その時点で、この煙の熱は、このビタミンE化合物の放出を誘発する。
【0026】
理想的には、このシェル壁は、このシガレットの製造、包装および消費者取扱いの際の破裂に抵抗するために、安定性のために、カプセル容量の20%と50%の間を占めるべきである。これらのマイクロカプセルは、シガレット紙22、24、26上に置くときに、円周が3〜10ミクロンであるべきであるか、またはタバコ紙上の望ましくない隆起をなくすために、またはもし、このタバコに置いたなら、見えない状態で保つために、タバコ18と混合されるべきである。もし、これらのマイクロカプセルを、このシガレットフィルターに置くなら、50ミクロンまでのさらに大きい円周が許容し得る。さらに、これらのカプセルは、このフィルターまたはタバコの色に合致させるのに好適な食品染料で染色し得る。
【0027】
このビタミンEマイクロカプセル化は、Darby,PennsylvaniaのInsulation Technologies CorporationのM−CAP Processと呼ばれるシェル壁構成により、達成し得る。これらのM−CAPシェル壁の一般的な仕様は、64°F〜650°Fの溶融温度で、3ミクロン程度に小さいカプセルである。このシェル壁のカプセル化材料は、ELVAX(登録商標)(エチレン/酢酸ビニル共重合体)、または64°Fと650°Fの間の好適なシェル壁放出温度の所望特性を有する類似のセリュライト材料であり得る。ELVAX(登録商標)は、例えば、Wilmington,DelawareのE.I.DuPont de Nemours & Co.の1986年10月20日付けの「Material Safety Data Sheet−VAX001」で記述されているようなエチレン−酢酸ビニル樹脂である。
【0028】
他のシェル壁候補には、BERMOCOLL(登録商標)(これは、Stenungsund,SwedenのBerol Kemi ABにより製造されたエチルヒドロライ(hydrory)エチルセルロースである);K&K Gelatin(これは、Saddle Brook,N.J.のKnox Gelatine,Inc.のKind & Knox部門により製造されたゼラチンである);N−LOK(登録商標)(これは、Bridgewater,N.J.のNational Starch and Chemical Corporationの乳濁液安定化材料である);およびCAPSUL(登録商標)(これは、Bridgewater,N.J.のNational Starch
and Chemical Corporationの「Product Data:Bulletin No.409」で記述されている化工デンプン材料である)が挙げられる。無煙タバコ製品の場合には、この粉末化形態のビタミンEの唾に対する溶解性により、これらの活性成分が放出される。この油性形態のビタミンE、またはそれより溶解性の低い形態のビタミンEの場合には、唾は、この無煙タバコ製品の他の成分と共に、ビタミンEを浸出させる。
【0029】
マイクロカプセル化の他に、この一般的な油性形態のビタミンEの使用は、それがシガレット紙22、24、26を浸さないようにまたは無煙タバコを集塊しないように導入される場合にのみ、本発明に推奨される。これは、収穫した直後に、このタバコ葉にこの油性形態のビタミンEを塗布することにより、最もうまく達成される。これらのタバコ葉が、次いで、それらの種々の乾燥段階を通過するにつれて、この油性形態のビタミンEは、これらのタバコ葉を浸し、それにより、移動しにくくなる傾向がある。この工程は、他の好適な担体またはオイル乾燥化学物質の添加によって、補助され得る。それにもかかわらず、先に述べたように、この一般的な油性で粘稠な形態のビタミンEは、このビタミンEの安定性に悪影響を与え得る様式で、タバコおよび他の天然成分と相互作用する傾向がある。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
通常のフィルターなしシガレットと、実質的に純粋な「乾燥」形態のビタミンE類似物を含有するように改良したフィルターなしシガレットとの間で、比較を行った。この比較のために、CHESTERFIELD(登録商標)シガレットから、7.5グラムのCHESTERFIELD(登録商標)タバコを取り除き、そして0.1グラムのビタミンE酸スクシネートと混合した。この混合したタバコブレンドを、Rizla自動巻き箱を用いて、フィルターなしシガレットに形成した。ビタミンE類似物添加剤を有しない対照シガレットもまた、同じRizla自動巻き箱を用いて、形成した。
【0031】
喫煙したとき、この対照シガレットは、喫煙者および非喫煙者の両方に対して、喉および肺の刺激を引き起こすことが分かった。対照的に、ビタミンE酸スクシネートを有するシガレットは、喫煙したとき、同じ風味を有していたが、喫煙者および非喫煙者の両方に対して、喉および肺の刺激を引き起こさないことが分かった。
【0032】
(実施例2)
通常のフィルターなしシガレット、そのフィルターに油性ビタミンEを注入したフィルター付きシガレット、およびそのタバコの長さに油性ビタミンEを注入したフィルター付きシガレットに間で、第二の比較を行った。この第二の比較では、この対照シガレットは、通常のMARLBORO(登録商標)シガレットであった。2個の別個のMARLBORO(登録商標)シガレットでは、油性ビタミンEは、注射器を用いて、ビタミンEカプセルから取り出し、そして一方のシガレットのフィルターへと注入し、そして他方のシガレットのタバコの長さへと注入した。
【0033】
これらの3個のシガレットに、次いで、ブタンライターで火を付け、そして非喫煙者により、各シガレットから、3個の均等な交互の一服(puff)を取り出した。この対照シガレットは、非喫煙者の肺を刺激し、そして咳を誘発することが分かった。このフィルター中にビタミンEを有するシガレットは、刺激性が少ないことが分かったが、依然として、不快な肺反応および僅かな咳を誘発した。このタバコの長さに沿ってビタミンEを有するシガレットは、刺激を生じなかった。さらに、ビタミンEタバコシガレットの風味は、タバコを向上させる効果を与えた。
【0034】
(実施例3)
無煙タバコの通常の塊と、実質的に純粋な「乾燥」形態のビタミンE類似物を含有するように改良した無煙タバコの塊との間で、第三の比較を行った。この比較のために、まず、タバコを噛まない人の口にて、頬と歯ぐきとの間で、1.0グラムの未変性SKOAL(登録商標)ロングカット無煙タバコを置いた。この未変性無煙タバコは、快い風味を生じたが、また、口、喉および食道において、同時に、焼けるような感覚を生じ、これは、咳の誘発を伴って、このタバコを噛まない人は、この未変性無煙タバコを吐き出さざるを得なかった。この焼けるような感覚を口からなくすために、このタバコを噛まない人は、口を水で洗った。それにもかかわらず、この焼けるような感覚は、口および喉において、その最初の洗浄後、5分間にわたって持続した。
【0035】
およそ4時間(これは、この感度および焼けるような感覚が完全に治まるのを確実にするのに充分に長い)後、このタバコを噛まない人は、次いで、0.1グラムのビタミンE酸スクシネート(これは、Kingsport,TenesseeのEastman Chemical Corporationから得た)を、10.0グラムのSKOAL(登録商標)ロングカット無煙タバコに混ぜた。このビタミンE変性無煙タバコの1.0グラム塊を、次いで、このタバコを噛まない人の口にて、頬と歯ぐきとの間で、置いた。この未変性噛みタバコと同様に、このビタミンE変性噛みタバコは、類似の快い風味を生じた。それにもかかわらず、この未変性無煙タバコとは異なり、このビタミンE変性無煙タバコは、完全に、非刺激性であった。
【0036】
前述の仕様では、本発明は、特定の好ましい実施態様および方法を参照して、記述されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲で示した本発明の広い精神および範囲から逸脱することなく、種々の改良および変更がなされ得ることは、当業者に明らかである。例えば、本発明のビタミンE化合物は、シガレットだけでなく、他のタバコ製品(例えば、シガーまたはパイプタバコばかりでなく、タバコなし喫煙製品(例えば、大麻シガレット))でも、使用し得る。先に述べたシガレット用途と同様に、ビタミンE化合物は、有利には、その製造工程中にて、シガータバコ、パイプタバコ、無煙タバコまたはタバコなし喫煙製品およびタバコなし無煙製品と混合し得る。あるいは、パイプタバコの場合、それは、このタバコ混合物をパイプに装填する前に、消費者により、このタバコと混合し得る。同じようにして、消費者は、それを無煙タバコに添加し得る。これらの理由のために、本明細書および図面は、従って、制限的な意味よりもむしろ、例示と見なすべきである;本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ、限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−240334(P2009−240334A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180108(P2009−180108)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【分割の表示】特願2000−530114(P2000−530114)の分割
【原出願日】平成11年2月3日(1999.2.3)
【出願人】(500372670)ルソー リサーチ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】