説明

ビデオカメラ装置及びその放熱構造

【課題】放熱構造に適したドッカブル構造のビデオカメラ装置を提供し、カメラ本体側と周辺機器側との放熱構造が共有できるビデオカメラ装置の放熱構造を提供する。
【解決手段】ビデオカメラ装置10は、前面壁部14bにレンズ部12が装着され、前面壁部14bの内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部14cにスイッチ類を配置したカメラ枠体14を格構造としたカメラ本体11を備え、カメラ枠体14の両側面にそれぞれ第1と第2側板部15a,15bを設けてカメラ本体11を形成し、カメラアダプタ部18及び又は記録装置を内側に設けた第2側板部15bをカメラ枠体14の一側面に結合してなる側板ドッカブル構造とし、第1と第2側板部15a,15bの内面側に第1と第2の放熱板16,19aとが設けられ、第1と第2の放熱板16,19a間を空気流路とする放熱構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性の良い側板ドッカブル構造のビデオカメラ装置及びその放熱構造に関し、詳しくは、業務用のビデオカメラ装置であって、回路基板に実装した電子部品から発生する熱を自然放熱する空気流路を設けた側板ドッカブル構造のビデオカメラ装置及びその放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用のビデオカメラ装置には、カメラ本体とVTR部とが一体型のものや、カメラ本体とVTR部とが信号ケーブルで接続されるもの或いはカメラ本体とVTR部とが分離・合体自在に構成されたドッカブル型ビデオカメラ装置等とがある。ビデオカメラ装置では、一般にカメラ本体の上部に空冷用ファンが備えられ、空冷用ファンで筐体内部で発生する熱を強制的に外部に排出して空冷する方法が採られている。また、ビデオカメラ本体の側板に付設したヒートシンクを介して自然冷却するものや、空冷用ファンとヒートシンクとを組み合わせて放熱するのも等がある。
【0003】
空冷用ファンを用いて放熱するビデオカメラ装置では、上部に空冷用ファンが設けられることから発生した熱が上部から放出され、カメラ本体の上部に設けた把持部を握る撮影者の手に熱が排出されて不快感を与えて使い勝手が悪いといった問題点があった。図5(a)〜(c)を参照し、従来の放熱の問題を改善するビデオカメラ装置について説明する。図5(a)はドッカブル型ビデオカメラ装置を示し、カメラ本体1にはレンズ部2と上部に把持部3とが設けられ、その内部にCCD等による撮像素子4と、撮像素子4からの撮像信号を信号処理する回路基板5とが設けられ、回路基板5には発熱する電子部品6が実装され、電子部品6に伝熱シート7を接触させて設けられ、撮像素子4の背面側にはカメラ本体1内部と連通せず、外部と連通する放熱用空気流通路8が形成され、空冷用ファンで強制空冷することなく、電子部品6から発生した熱を伝熱シート7に伝達し放熱用空気流通路8を通してカメラ本体1から外部へと排出している。回路基板5は光軸に対して直交方向に配置され、放熱用空気流通路8は回路基板5に平行であり、光軸に対して直交方向に配置されている。カメラ本体1内部と連通してない放熱用空気流通路8には、図5(b)に示すように、上下方向に外部と連通する開口部9aがあり、また、図5(c)では、上方と側方とで外部と連通する開口部9a,9bがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−98924号公報(明細書全文,図面全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のドッカブル型ビデオカメラ装置では、通常、カメラ本体と記録装置(VTR部)とを分離・合体自在とした構成であり、個々に放熱機構を設けて放熱する必要があり、そのためにカメラ本体内に収納する回路基板の収納容積が狭くなる傾向にあり、また、回路基板は光軸に対し直交方向に配置され、回路基板の枚数も増加する傾向にあり、コスト的にも高価になる傾向があった。従来のドッカブル型ビデオカメラ装置では、前後で分離・合体自在する構造であり、このような分離構造では、上記のような問題点が生じるため、分離・合体する位置等を変更し、放熱構造を互いに共通にした一体化構造として簡略化し、回路基板の枚数を減らして重量を低減することが望まれていた。
【0006】
さらに、特許文献1のビデオカメラ装置を参照し、その放熱構造について説明すると、回路基板が光軸に対して直交方向に配置され、回路基板のサイズがカメラ本体の横幅で制限され、回路基板が小型になり、種々の機能を得るためには回路基板の枚数を多くしなければならないといった欠点があった。即ち、回路基板の枚数が多くなれば、回路基板の枚数に応じて放熱用空気流通路を設けねばならないし、配線(ハーネス)が複雑になる欠点を有し、カメラ本体が大型化する要因になる欠点があり、また、放熱用空気流通路は電子部品が接触する側が熱伝導率の高い材質、例えば、マグネシウム、アルミニウム、銅等が使用され、反対側の素材が熱伝導率の低い材質、例えば、ABS、PC等の樹脂材料が使用されており、構造が複雑になるし、重量も重くなる欠点があり、コスト的にも高価になる欠点があった。
【0007】
このような従来のドッカブル型ビデオカメラ装置では、カメラ本体に放熱構造が設けられるとともにVTR部(周辺機器)にも別途放熱構造を設ける必要があり、両方に設けられる放熱構造により重量が重くなり、コスト的にも高価になることから、新規なドッカブル構造であって、放熱構造を共有して簡素化し軽量化が計られるビデオカメラ装置が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、放熱構造に適したドッカブル構造のビデオカメラ装置を提供し、カメラ本体側と周辺機器側との放熱構造が共有できるビデオカメラ装置の放熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置において、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを備えるカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部を設けてなり、該第1側板部の内面側には回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板を設け、かつ該第2側板部側には該第2側板部と第2の放熱板との間にカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記ビデオカメラ装置が、前記第2側板部を前記カメラ枠体の一側面に結合する側板ドッカブル構造であって、前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置である。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流れる放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置である。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記ビデオカメラ枠体には前記回路基板と前記第1の放熱板が配置された凹嵌部が設けられ、前記第2側板部の前記カメラアダプタ部のモジュール部と前記第2の放熱板が前記凹嵌部に嵌入することを特徴とする請求項2に記載のビデオカメラ装置である。
【0012】
また、請求項4の発明は、前記第1側板部にはレンズ部側の正面壁部と背面壁部にそれぞれ貫通孔を形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のビデオカメラ装置である。
【0013】
また、請求項5の発明は、レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置の放熱構造であって、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを配置したカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部が設けられてなり、該第2側板部の内側にはカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記カメラ枠体の一側面に該第2側板部を分離・合体可能とした側板ドッカブル構造であって、
前記第1側板部の内面側に複数の回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板が設けられ、かつ前記第2側板部の内面側にカメラアダプタ部及び又は記録装置を実装する箱部材が設けられ、該箱部材の外面に第2の放熱板が設けられ、
光軸方向に平行に配置された前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成して自然空冷により放熱することを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造である。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載のビデオカメラ装置の放熱構造であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流入する放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造である。
【0015】
また、請求項7の発明は、前記第1側板部のレンズ部側の正面壁部及び背面壁部に貫通孔をそれぞれ形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項6に記載のビデオカメラ装置の放熱構造である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置において、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを備えるカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部を設けてなり、該第1側板部の内面側には回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板を設け、かつ該第2側板部側には該第2側板部と第2の放熱板との間にカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記ビデオカメラ装置が、前記第2側板部を前記カメラ枠体の一側面に結合する側板ドッカブル構造であって、前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置であるので、第2側板部をドッカブル方式でドッキングすることが可能であり、回路基板を収納するための光軸方向に沿った長手方向の空間を形成することができ、この空間内に、第1と第2側板部間に複数枚の回路基板を光軸方向に沿って平行に垂設することができるし、第1側板部側の回路基板の第1放熱板による放熱構造と、カメラアダプタ部及び又は記録装置を設けた第2側板部側の第2放熱板による放熱構造とを共有した一体の放熱構造とし、自然放熱による放熱構造を簡略化して軽量化が計られ、コスト的にも安価な側板ドッカブル構造のビデオカメラ装置を提供できる利点がある。
【0017】
また、請求項2の発明では、請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流れる放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置であるので、第1側板部側に複数枚の回路基板を光軸方向に平行に配置し、この回路基板の放熱構造として第1の放熱板が設けられ、第1の放熱板と第2側板部側に設けた第2の放熱板間に空隙が形成され、この空隙とビデオカメラ枠体の上面壁部及び下面壁部に設けた通気孔とによる空気流路が形成され、この上下方向の空気流路により効率良く自然放熱することができる利点がある。また、回路基板を従来より大型にできるし、回路基板の第1の放熱板による放熱構造とカメラアダプタ部側の放熱構造とを共有して一体とすることで軽量化に寄与し、コスト的にも安価なものとなる利点がある。
【0018】
また、請求項3の発明では、前記ビデオカメラ枠体には前記回路基板と前記第1の放熱板が配置された凹嵌部が設けられ、前記第2側板部の前記カメラアダプタ部のモジュール部と前記第2の放熱板が前記凹嵌部に嵌入することを特徴とする請求項2に記載のビデオカメラ装置であるので、第2側板部に設けたカメラアダプタ部のモジュール部等に設けた第2の放熱板を凹嵌部に嵌入することによって、第1の放熱板に対して第2の放熱板を平行に配置することができ、これらの部材の空隙による空気流路が容易に形成できる利点がある。
【0019】
また、請求項4の発明では、前記第1側板部にはレンズ部側の正面壁部と背面壁部にそれぞれ貫通孔を形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のビデオカメラ装置であるので、カメラ本体内の第1と第2放熱板間に、上下方向の空気流路と光軸方向の空気流路が形成され、回路基板に実装された回路部品の発熱を効率良く自然放熱することができるし、ドッカブル構造のビデオカメラ装置の空冷構造を容易に形成できる利点がある。また、空気流路はカメラ本体内にも通じており、カメラ本体内に収納した回路基板間の空隙にも上下方向及び光軸方向から空気が流入して流路が形成され、効率良く自然放熱することができる。
【0020】
また、請求項5の発明では、レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置の放熱構造であって、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを配置したカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部が設けられてなり、該第2側板部の内側にはカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記カメラ枠体の一側面に前記第2側板部が分離・合体可能とした側板ドッカブル構造であって、
前記第1側板部の内面側に複数の回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板が設けられ、かつ前記第2側板部の内面側にカメラアダプタ部及び又は記録装置を実装する箱部材が設けられ、該箱部材の外面に第2の放熱板が設けられ、
光軸方向に平行に配置された前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成して自然空冷により放熱することを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造であるので、第2側板部がドッカブル方式でドッキングする側板ドッカブル構造のビデオカメラ装置であり、ビデオカメラ装置内部に回路基板を収納するための長手方向の比較的大きな空間が形成され、この空間内に、複数枚の回路基板を光軸方向に沿って平行に垂設して第1の放熱板を設けて第1の放熱構造を形成し、第2側板部にカメラアダプタ部及び又は記録装置を設けた第2の放熱板による第2の放熱構造を形成することによって、第1と第2の放熱板を平行に配置し対面させて一体の放熱構造とし、簡略化された自然放熱による放熱構造を形成することができ、軽量化が可能であるとともに、配線を簡素化でき、コスト的にも安価なビデオカメラ装置の放熱構造が提供できる利点がある。
【0021】
また、請求項6の発明では、請求項5に記載のビデオカメラ装置の放熱構造であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流入する放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造であるので、第1側板部側に設けた第1の放熱板と、第2側板部側に設けた第2の放熱板間に形成された空隙とビデオカメラ枠体の上面壁部及び下面壁部に設けた通気孔とにより、上下方向に空気が流れる空気流路が形成されて効率良く自然放熱することができる利点がある。また、映像処理回路側の回路基板とカメラアダプタ部側の放熱構造を共有することができるので、ビデオカメラ装置の軽量化に寄与し、コスト的にも利点がある。
【0022】
また、請求項7の発明では、前記第1側板部のレンズ部側の正面壁部及び背面壁部に貫通孔をそれぞれ形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項6に記載のビデオカメラ装置の放熱構造であるので、カメラ本体内に上下方向の空気の流れに加えて光軸方向の空気の流れを形成することができ、自然放熱による一層効率の良い放熱構造を提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の第2側板部を外した状態の分解斜視図である。
【図3】本実施例の第1側板部を外した状態の分解斜視図と要部拡大図である。
【図4】本実施例の空気流路を示す説明図である。
【図5】(a)は従来のドッカブル構造のビデオカメラ装置の側面図、(b)は空気流路の一例を示す要部斜視図、(c)は空気流路の他の例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のビデオカメラ装置及びその放熱構造の実施例について図面を参照し説明する。なお、図1は本実施例の斜視図、図2は本実施例のビデオカメラ装置の側板部を分離した状態を示す斜視図、図3は本実施例の第1側板部を外した状態の分解斜視図と要部拡大図、図4は本実施例の放熱のための空気流路を示す説明図である。
【0025】
先ず、図1,図2を参照しビデオカメラ装置の実施例について説明する。ビデオカメラ装置10にはカメラ本体11と、カメラ本体11の前面壁に装着されるレンズ部12とが備えられ、レンズ部12にはズームスイッチが設けられたグリップ部12aが設けられ、カメラ本体11の上面に把持部13が設けられている。カメラ本体11は上面壁部14a、前面壁部14b、背面壁部14c及び下面壁部14dからなるカメラ枠体14と、カメラ枠体14の両側面を覆う第1側板部15aと第2側板部15bとからなる。カメラ枠体14の前部分に設けた区画部14には撮像素子(図示なし)と撮像素子からの映像信号を受ける回路基板とが配置され、背面部の区画部14にはスイッチ類やコネクタ類(図示なし)が背面壁部14cに実装され、それらの配線が収納される。なお、詳しくは、把持部13はカメラ枠体14の上面壁部14aに設けられ、レンズ部12は前面壁部14bに装着される。なお、カメラ本体11の上面壁部は把持部13の一部とともに着脱可能な蓋状部材で構成されており、本実施例ではその説明を省略する。
【0026】
本実施例のビデオカメラ装置11は、カメラ枠体14の両側面にそれぞれ第1と第2側板部15a,15bを設けてカメラ本体11を形成し、第2側板部15bの内側に周辺機器であるカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、カメラ枠体14の一側面に第2側板部15bを結合してなる側板ドッカブル構造である。カメラ枠体14には、区画部14,14間に凹嵌部14が形成され、凹嵌部14の底部には、第1側板部15aの内面側に設けた放熱板16が配置され、放熱板16は光軸方向に沿って平行であり、縦方向に垂設されている。第1側板部15aと放熱板16との間に平行に複数枚の回路基板20(図3参照)が光軸方向に沿って垂設される。なお、図3では放熱板16は図示を省略している。回路基板20に実装した発熱する電子部品を放熱板16に接触させて回路基板20を垂設して放熱板16を通し効率良く放熱する。また、複数の回路基板20との間には空隙が形成され、放熱を良好なものとしている。
【0027】
第2側板部15bは、その内面側にカメラアダプタ部18のモジュール部18aが収納される箱部材19が設けられ、箱部材19の底面部の表面側に放熱板19aが設けられ、第2側板部15bの表面側にはカメラアダプタ部18のコネクタ18bが設けられる。カメラアダプタ部18はモジュール部18aとコネクタ18bとからなり、カメラアダプタ部18は、トライアックスアダプタ(TA)又はファイバーアダプタ(FA)のモジュール部であり、コネクタ18bはトライアックスケーブル又はファイバーケーブルが接続される接続部である。ビデオカメラ装置11は、トライアックスケーブル又はファイバーケーブルによりカメラコントロールユニット(CCU)と接続される。
【0028】
さらに、本実施例の放熱構造について説明する。本実施例では、ビデオカメラ装置が側板ドッカブル構造であり、即ち、カメラ枠体14に設けた凹嵌部14に第2側板部15bの箱部材19を嵌入して第2側板部15bをカメラ枠体14側面にネジで緊縮することによって、第2側板部15bをカメラ枠体14に装着することができる。本実施例のビデオカメラ装置は第2側板部15bをドッカブル方式でドッキングすることが可能な側板ドッカブル構造であり、スタジオシステムに応じてトライアックスアダプタ又はファイバーアダプタであるカメラアダプタ部18を形成した第2側板部15bを容易に交換できるとともに、第2側板部15bをドッキングすることにより、カメラ枠体14に設けた凹嵌部14に第2側板部15bの箱部材19が嵌入し、放熱板19aが第1側板部15aの内面側に設けた放熱板16に平行に配置され、第1と第2の放熱板16,19a間に外気が流入する空隙が形成される。
【0029】
また、カメラ本体11の上面部及び下面部には、カメラ本体11内に配置した第1と第2の放熱板16,19aにより形成される空隙に対応する位置にそれぞれ通気孔17a,17bが形成される。第1と第2の放熱板16,19a間に外気が流入する空隙と、通気孔17a,17bとを通して、カメラ本体14内に上下方向に外気が流入する放熱のための空気流路A(図4参照)が形成され、空気流路Aによる放熱構造がビデオカメラ装置に形成される。
【0030】
この放熱構造では、第1側板部15aの内側に設けた第1の放熱板16と、第2側板部15bの内側に設けた箱部材19の底板表面に設けられた第2の放熱板19aとが光軸方向に沿って互い平行に配置されて空隙が形成され、回路基板20の中で最も発熱する電子部品が第1の放熱板16に接触するように配置されて熱を伝導し、かつ箱部材19内にはカメラアダプタ部18のモジュール部18aが実装されて発生する熱が第2の放熱板19aを介して伝導して放熱され、これら第1の放熱板16と第2の放熱板19aとの空隙によって空気の流れが発生し易く、カメラ本体11の上面部及び下面部に設けた通気孔17a,17bにより空気流路Aが形成され、外気の流入が容易な構造とし、自然放熱が容易となっている。かつ、第1側板部15aと第1の放熱板16間に平行に実装される複数の回路基板20間にも空隙が形成されて空気の流れが発生し易い放熱構造としている。また、通気孔17a,17bは、第1と第2の放熱板16,19aとの空隙の上方及び下方に形成されており、たとえ、雨水が通気孔17a,17bからカメラ本体11内に侵入したとしても直接電子部品側に流れ込むことが抑制されている。
【0031】
また、箱部材19内に実装されるモジュール部18aは、トライアックスアダプタ(TA)又はファイバーアダプタ(FA)である。なお、箱部材19には映像信号を記録するハードディスクやフラシュメモリ等の記録装置(図示なし)を装着するようにしてもよいし、カメラアダプタ部18を設けることなく、記録装置のみを装着するようにしてもよい(図示なし)。箱部材19内に記録装置が装着される場合も同様にその発熱面を放熱板19aに接触させる。
【0032】
一方、回路基板20(図3参照)は、光軸方向に配置されるので、回路基板の面積を、従来のカメラ部とVTR部とを分離・合体するドッカブル型ビデオカメラ装置に使用される回路基板では、カメラ本体の幅方向に回路基板が配置されるので回路基板を小型にして枚数を多くする必要があったが、側板ドッカブル構造のビデオカメラ装置であるので、光軸方向、即ちカメラ本体の長手方向に回路基板を配置することができ、回路基板の面積を従来より拡大することができる。その結果、回路基板の枚数を少なくすることができるし、回路基板間を接続する配線(ハーネスケーブル)を少なくすることができ、コスト的にも安価になり、軽量化にも寄与する。
【0033】
続いて、図3を参照し、本発明の他の実施例について説明する。図3の実施例は、上記実施例と同様の構造であり、第1側板部15aが相違している。即ち、第1側板部15aのレンズ部12側の正面壁部15及び背面壁部15に通気孔21,22がそれぞれ形成され、これらの通気孔21,22によって、カメラ本体11内に収納された放熱板16,19の空隙に空気が流入する光軸方向の空気流路Bが形成される。また、上記実施例では空気流路Aが形成されるので、本実施例では、上下方向の空気流路Aと光軸方向の空気流路Bとによって、回路基板20とモジュール部18a(図2参照)とを放熱板16,19aで効率良く放熱することができる。無論、第2側板部15bの正面壁部15及び背面壁部15に通気孔に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の活用例としては、スタジオ等のシステムに応じてカメラアダプタ部を容易に交換して撮影が可能なビデオカメラ装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 ビデオカメラ装置
11 カメラ本体
12 レンズ部
12a グリップ部
13 把持部
14 カメラ枠体
14a 上面壁部
14b 前面壁部
14c 背面壁部
14d 下面壁部
14,14 区画部
14 凹嵌部
15a 第1側板部
15b 第2側板部
15 正面壁部
15 背面壁部
16 放熱板
17a,17b 通気孔
18 カメラアダプタ部
18a モジュール部
18b コネクタ
19 箱部材
19a 放熱板
20 回路基板
A,B 空気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置において、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを備えるカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部を設けてなり、該第1側板部の内面側には回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板を設け、かつ該第2側板部側には該第2側板部と第2の放熱板との間にカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記ビデオカメラ装置が、前記第2側板部を前記カメラ枠体の一側面に結合する側板ドッカブル構造であって、前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流れる放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項3】
前記ビデオカメラ枠体には前記回路基板と前記第1の放熱板が配置された凹嵌部が設けられ、前記第2側板部の前記カメラアダプタ部のモジュール部と前記第2の放熱板が前記凹嵌部に嵌入することを特徴とする請求項2に記載のビデオカメラ装置。
【請求項4】
前記第1側板部にはレンズ部側の正面壁部と背面壁部にそれぞれ貫通孔を形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載のビデオカメラ装置。
【請求項5】
レンズ部を装着した前面壁部の内側に撮像素子が設けられ、かつ背面壁部にスイッチ類を配置したカメラ本体よりなるビデオカメラ装置の放熱構造であって、
前記カメラ本体が、前記前面壁部と前記背面壁部とを配置したカメラ枠体の両側面にそれぞれ第1と第2側板部が設けられてなり、該第2側板部の内側にはカメラアダプタ部及び又は記録装置が設けられ、前記カメラ枠体の一側面に該第2側板部を分離・合体可能とした側板ドッカブル構造であって、
前記第1側板部の内面側に複数の回路基板を光軸方向に沿って垂設配置して第1の放熱板が設けられ、かつ前記第2側板部の内面側にカメラアダプタ部及び又は記録装置を実装する箱部材が設けられ、該箱部材の外面に第2の放熱板が設けられ、
光軸方向に平行に配置された前記第1と第2の放熱板間に外気が流入する空隙を形成して自然空冷により放熱することを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造。
【請求項6】
請求項5に記載のビデオカメラ装置の放熱構造であって、
平行に配置され、前記空隙を形成する前記第1と第2の放熱板に対応する前記カメラ本体の上面部及び下面部にそれぞれ通気孔を設け、前記空隙と該通気孔とを通して前記カメラ本体内に上下方向に外気が流入する放熱のための空気流路を形成したことを特徴とするビデオカメラ装置の放熱構造。
【請求項7】
前記第1側板部のレンズ部側の正面壁部及び背面壁部に貫通孔をそれぞれ形成して光軸方向の空気流路を形成したことを特徴とする請求項6に記載のビデオカメラ装置の放熱構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−228768(P2011−228768A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93793(P2010−93793)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】