説明

ビデオ再生装置と方法

【課題】ビデオ再生装置と方法を提供する。
【解決手段】ビデオ再生装置は、ユーザーインターフェース、イメージ処理モジュール、及び、再生モジュールを含む。ユーザーインターフェースは、ユーザーに、オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択させ、再生モードに対応する再生モード信号を出力する。イメージ処理モジュールは、ビデオ信号と再生モード信号を受信し、再生モード信号に基づいて、ビデオ信号を伝送するか、又は、補償する。再生モジュールは、イメージ処理モジュールから受信したビデオ信号を再生する。上述のビデオ再生装置を利用することにより、ユーザーが、需要に向け、同じビデオに対して、異なる再生モードを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ再生装置と方法に関するものであって、特に、ユーザーが異なる再生モードを選択できるビデオ再生装置と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のビデオ再生装置は、撮影のビデオを忠実に表現することのみ可能である。よって、撮影技術が悪い、又は、車両記録装置が路面で激しく振動する時に撮影されたビデオを再生する時、揺れのあるイメージは鑑賞者に眩暈や目の不快等の身体の不調を引き起こす可能性がある。減震メカニズムを備えてある撮影装置を利用して、安定したビデオを撮影することができるにもかかわらず、イメージ揺れを大幅に低下させたビデオは、撮影当時の状況を忠実に表現することができない。例えば、マウンテンバイクに装着された車両記録装置が撮影されたビデオが滑らかなイメージであると、ユーザーが自転車にのっている臨場感が表現されない。
【0003】
よって、いかにして、ユーザーの需要に応じたビデオ再生を実現するのが現在の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ビデオ再生装置と方法を提供し、ユーザーが二種類の再生モードを選択できるようにし、ユーザーが選択する再生モードに従って、撮影されたビデオを忠実に表現する、又は、補償処理により、滑らかなイメージを表現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例によるビデオ再生装置は、ユーザーインターフェース、イメージ処理モジュール、及び、再生モジュールを含む。ユーザーインターフェースはユーザーに、オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択させ、それに対応する再生モード信号を出力する。イメージ処理モジュールは、ユーザーインターフェースと電気的に接続され、ビデオ信号と再生モード信号を受信すると共に、再生モード信号に基づいて、ビデオ信号を伝送、又は、補償する。再生モジュールは、イメージ処理モジュールと電気的に接続され、イメージ処理モジュールからのビデオ信号を再生する。
【0006】
本発明のもう一つの実施例によるビデオ再生方法は、オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択するステップと、選択されたオリジナル再生モード、又は、補償再生モードに従って、ビデオ信号を伝送、又は、補償するステップと、補償処理されていない、又は、補償処理されたビデオ信号を再生するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明のビデオ再生装置と方法により、ユーザーは、二種類の再生モードが選択でき、ユーザーが選択する再生モードに従って、撮影したイメージを忠実に表現する、又は、補償処理により、滑らかなイメージを表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例によるビデオ再生装置を示す図である。
【図2】本発明のもう一つの実施例によるビデオ再生装置を示す図である。
【図3】本発明の更にもう一つの実施例によるビデオ再生装置を示す図である。
【図4】本発明の実施例によるビデオ再生方法を示す図である。
【図5a】イメージ揺れを補償する方法を示す図である。
【図5b】イメージ揺れを補償する方法を示す図である。
【図5c】イメージ揺れを補償する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明の実施例によるビデオ再生装置1は、ユーザーインターフェース11、イメージ処理モジュール12、及び、再生モジュール13を含む。ユーザーインターフェース11が、ユーザーにオリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択させ、対応する再生モード信号PMSを出力する。例えば、ユーザーインターフェース11は、ソフトウェアにより実現される図形のユーザーインターフェース、又は、実体のボタンである。
【0010】
イメージ処理モジュール12は、ユーザーインターフェース11と電気的に接続されて、ユーザーインターフェース11が出力する再生モード信号PMSを受信する。この他、イメージ処理モジュール12は、ビデオ信号VSも受信する。ユーザーがオリジナル再生モードを選択して、ビデオを再生する場合、即ち、撮影したビデオショットを忠実に表現する場合、イメージ処理モジュール12は、オリジナル再生モードに対応する再生モード信号PMSに従って、直接、ビデオ信号VSを伝送する。言い換えると、イメージ処理モジュール12は、ビデオ信号VSに対し、いかなる処理も施さない。ユーザーが補償再生モードを選択して、ビデオを再生する場合、イメージ処理モジュール12は、補償再生モードに対応する再生モード信号PMSに従って、ビデオ信号VSを補償する。再生モジュール13は、イメージ処理モジュール12と電気的に接続され、イメージ処理モジュール12が出力するビデオ信号VSを再生する。注意すべきことは、イメージ処理モジュール12と再生モジュール13は、ソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせるにより実現される。
【0011】
一つの実施例中、イメージ処理モジュール12は、特徴捕捉ユニット121、分析ユニット122、及び、補償ユニット123を含む。特徴捕捉ユニット121はビデオ信号VSを受信すると共に、ビデオ信号VS中の特定期間の複数のフレーム中の少なくとも一つの特徴を捕捉することができる。特徴は、例えばフレーム中の焦点が合っている領域であってもよく、また、フレーム中の中央部分の領域であってもよい。特徴捕捉ユニット121は、特徴の領域に対応する画素群(以下、「特徴ブロック」とよぶ。)また、ある領域に対応する画素群を「ブロック」とよぶ。)の画素値を比較する特徴ブロック比較法により、相隣するフレーム中の特徴を捕捉することができる。例えば、特徴捕捉ユニット121は、以下の方程式により、ブロックの相似性を計算し、特徴ブロックを得る。

【0012】
T(x, y)、及び、R(x-m, y-n)は、それぞれ、次のフレームの位置(x, y)と、次のフレーム位置から(m, n)の距離を移動した前のフレームの位置とのグレイスケール画素レベルを示す。μTとμRは、それぞれ、所在するブロックのグレイスケール平均値である。相関係数は、統計的尺度で、二つのランダム変数の線形関係の方向と強弱の程度を評価するのに用いられ、相関係数は+1と-1の間、即ち、

で、+1は最大正相関、-1は最大逆相関、0は無線形相関を示す。これにより、C(m,n)>0時、二つのブロックが相似していると定義され、特徴ブロックを得る。C(m,n)が最大となるブロックを、前のフレームの特徴ブロックとするとよい。
【0013】
特徴捕捉ユニット121により捕捉される特徴に基づいて、分析ユニット122は、前のフレームと比較して、次のフレームの特徴の水平移動の偏差値、又は、回転の偏差値を計算する。補償ユニット123は、更に、分析ユニット122により計算された偏差値に基づいて、次のフレーム中の特徴の偏差値を補償する。
【0014】
図5a〜5cを参照すると、ビデオ中の特徴物件は、図5aで示されるように、前のフレームの位置で、位置O1である。次のフレームで、ビデオ撮影時の揺れにより、特徴物件は右の方向に距離D離れて、図5bで示されるように、次のフレームの位置で、特徴物件が位置O2に位置する。ビデオを連続再生する時、特徴物件がビデオ中で揺れるので、鑑賞者の目が不快に感じる。イメージを滑らかにするため、イメージ処理モジュール12が、前のフレーム中の特徴により、次のフレームに対し補償を実行し、これにより、ビデオ揺れの程度を低下させる。
【0015】
特徴捕捉ユニット121により捕捉された特徴、及び、分析ユニット122により計算された次のフレーム中の特徴の偏差値に従って、補償ユニット123は、次のフレームの境界画素を増加、及び、減少させることにより、次のフレームの補償を達成する。例えば、図5cを参照すると、補償ユニット123は、次のフレームの右側で、境界画素P1を増加させ、その幅は偏差値に等しく、即ち、距離Dであり、これにより、ビデオ撮影時の揺れにより生じる不規則偏差を補償する。好ましくは、補償ユニット123は、フレームの左側から、距離Dの境界画素P2を切り離し、補償後の次のフレームの大きさが、前のフレームと同じになる。ビデオを再生する時、鑑賞者の注意は、主に、画面の中央領域にあるので、補償ユニット123が一部の境界画素を除去するのは、鑑賞者に気づかれにくくする。注意すべきことは、補償ユニット123が調整する境界画素P1、P2の幅が偏差の距離Dに等しくてもよく、撮影時に生じる偏差値を完全に補償することができる、又は、偏差の距離Dより小さくてもよく、再生時の揺れの幅を減少させることができる。一つの実施例中、撮影時に生じる偏差値は、物件の回転を含む。物件の回転に対し、補償ユニット123はイメージのデータから構成されたマトリクスを回転することを用いて、イメージ補償を実行する。
【0016】
図2を参照すると、図1の実施例と比較して、本発明のもう一つの実施例によるビデオ再生装置1aは、更に、ビデオ信号VSを保存するストレージユニット14を含む。例えば、ストレージユニット14は、ハードディスク、メモリカード、フラッシュメモリ、光ディスク等、ビデオ信号を保存できるストレージ媒体を含む。イメージ処理モジュール12は、ストレージユニット14から、ビデオ信号VSを読み取ると共に、ユーザーが選択する再生モードに従って、ビデオ信号VSを再生モジュール13に伝送するか、又は、ビデオ信号VSに対し、補償処理を実行し、補償処理されたビデオ信号VSを再生モジュール13に出力する。
【0017】
図3で示されるように、図1の実施例と比較すると、本発明の又別の実施例によるビデオ再生装置1bは、更に、通信インターフェース15を含み、外部電子裝置からのビデオ信号VSを受信する。例えば、通信インターフェース15は、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、ネットワークインターフェース等である。通信インターフェース15により、本発明のビデオ再生装置1bは、外部のストレージ媒体、カムコーダー、又は、リモートコンピューター、又は、サーバーに保存されるビデオを再生することができる。
【0018】
図4で示されるように、本発明の実施例によるビデオ再生方法は、以下のステップを含む。まず、ユーザーは、ビデオを再生する再生モード、例えば、オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択する(S41)。続いて、ユーザーが選択する再生モードを判断し(S42)、オリジナル再生モードを選択する場合、直接、ビデオ信号を再生する(S44)。補償再生モードを選択する場合、補償ステップS43を実行し、補償ステップS43は、ビデオ信号の特定期間の複数のフレームの中から、少なくとも一つの特徴を捕捉するステップ(S431)と、前のフレームと比較して、次のフレームの特徴の水平移動の偏差値、又は、回転の偏差値を計算するステップと(S432)、及び、次のフレーム中の偏差値を補償するステップ(S433)とを含む。最後に、補償処理されたビデオ信号を再生する(S44)。上述のステップの詳細な説明は上記してあり、ここで説明を省略する。
【0019】
上述を総合すると、本発明のビデオ再生装置、及び、方法は、二種類の再生モードをユーザーに提供し、ユーザーに選択させる。ユーザーがビデオを忠実に表現したい場合、オリジナル再生モードを選択して、ビデオ撮影時の状態を忠実に表現する。ユーザーが、ビデオ中のイメージの揺れを減少させて、揺れによる不快感を減少させたい場合、補償再生モードを選択して、撮影したビデオが補償処理され、滑らかなイメージを表現することができる。
【0020】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0021】
1、1a、1b ビデオ再生装置
11 ユーザーインターフェース
12 イメージ処理モジュール
121 特徴捕捉ユニット
122 分析ユニット
123 補償ユニット
13 再生モジュール
14 ストレージユニット
15 通信インターフェース
D 偏差の距離
O1、O2 位置
P1、P2 境界画素
PMS 再生モード信号
S41〜S44 ビデオ再生方法
VS ビデオ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ再生装置であって、
ユーザーに、オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択させ、対応する再生モード信号を出力するユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースと電気的に接続され、ビデオ信号、及び、前記再生モード信号を受信すると共に、前記再生モード信号に従って、前記ビデオ信号を伝送、又は、補償するイメージ処理モジュールと、
前記イメージ処理モジュールに電気的に接続され、前記イメージ処理モジュールからの前記ビデオ信号を再生する再生モジュールと
を含むことを特徴とするビデオ再生装置。
【請求項2】
前記イメージ処理モジュールは、
前記ビデオ信号を受信すると共に、前記ビデオ信号の特定期間の複数のフレームの中の少なくとも一つの特徴を捕捉する特徴捕捉ユニットと、
1つのフレームと比較して、前記1つのフレームとは別の別フレームの前記特徴の水平移動の偏差値、又は、回転の偏差値を計算する分析ユニットと、
前記別フレーム中の前記特徴の前記偏差値を補償する補償ユニットと
を含むことを特徴とする請求項1に記載のビデオ再生装置。
【請求項3】
前記補償ユニットは、前記別フレームの境界画素を調整して、前記特徴の前記偏差値を補償することを特徴とする請求項2に記載のビデオ再生装置。
【請求項4】
前記特徴捕捉ユニットは、特徴ブロック比較法により、前記特徴を捕捉することを特徴とする請求項2又は3に記載のビデオ再生装置。
【請求項5】
前記ユーザーインターフェースは、図形のユーザーインターフェース、又は、ボタンを含むことを特徴とする請求項1から4何れかの一項に記載のビデオ再生装置。
【請求項6】
更に、前記イメージ処理モジュールに電気的に接続され、前記ビデオ信号を保存するストレージユニットを含むことを特徴とする請求項1から5何れかの一項に記載のビデオ再生装置。
【請求項7】
更に、前記イメージ処理モジュールに電気的に接続され、外部からの前記ビデオ信号を受信する通信インターフェースを含むことを特徴とする請求項1から6何れかの一項に記載のビデオ再生装置。
【請求項8】
ビデオ再生方法であって、
オリジナル再生モード、又は、補償再生モードを選択するステップと、
選択した前記オリジナル再生モード、又は、前記補償再生モードに従って、ビデオ信号を伝送、又は、補償するステップと、
補償処理されていない、又は、補償処理された前記ビデオ信号を再生するステップと
を含むことを特徴とするビデオ再生方法。
【請求項9】
前記の前記ビデオ信号を補償するステップは、
前記ビデオ信号の特定期間の複数のフレームの中の少なくとも一つの特徴を捕捉するステップと、
1つのフレームと比較して、前記1つのフレームとは別の別フレームの前記特徴の水平移動の偏差値、又は、回転の偏差値を計算するステップと、
前記別フレームの前記特徴の前記偏差値を補償するステップと
を含むことを特徴とする請求項8に記載のビデオ再生方法。
【請求項10】
前記の前記偏差値を補償するステップは、前記別フレームの境界画素を調整して実現することを特徴とする請求項9に記載のビデオ再生方法。
【請求項11】
前記の前記特徴を捕捉する前記ステップは、特徴ブロック比較法により実現することを特徴とする請求項9又は10に記載のビデオ再生方法。
【請求項12】
前記の再生モードを選択するステップは、図形ユーザーインターフェース、又は、ボタンにより、前記ユーザーに前記オリジナル再生モード、又は、前記補償再生モードを選択させることを特徴とする請求項8から11何れかの一項に記載のビデオ再生方法。
【請求項13】
前記ビデオ信号は、内蔵のストレージユニット、又は、外部の電子裝置から受信されることを特徴とする請求項8から12何れかの一項に記載のビデオ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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