説明

ビニルアミン含有ポリマー及びアクリルアミド含有ポリマーを用いた処理による紙の乾燥強度増強法

抄紙機のウェットエンドに、(a)75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有するビニルアミン含有水溶性ポリマーおよび(b)75,000ダルトンから1,500,000ダルトンの分子量を有する両性またはカチオン性アクリルアミド含有水溶性ポリマーを添加する工程を含み、アニオン性およびカチオン性モノマーの合計が、組成物のモル基準で少なくとも5%のアクリルアミド含有ポリマーを含む、増強された乾燥強度を有する紙を製造する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルアミン含有ポリマーおよびカチオン性または両性アクリルアミド含有ポリマーの組合せによってパルプスラリーを処理する方法を用いる、紙の乾燥強度の増強に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙業界では、紙製品の乾燥強度を改善する新しい合成添加剤が絶えず求められている。改善された乾燥強度は、より高い性能の製品を与え得るが、製紙業者が特定の性能目標を得るためにより少ないセルロース繊維を使用することも可能にし得る。さらに、再生繊維の使用の増加は、より弱いシートをもたらし、製紙業者にシートの坪量の増加または合成強度向上剤の使用を強いる。知られている選択肢は、様々な経済的および技術的制限を有する。例えば、米国特許第6,939,443号によれば、ポリアミド-エピクロロヒドリン(PAE)樹脂と特定の電荷密度および分子量を有するアニオン性ポリアクリルアミド添加剤との組合せの使用は、紙製品の乾燥強度を増強させ得る。しかし、これらの組合せはまた、得られた紙の湿潤強度を、損紙の再パルプ化が極めて困難で、非効率になるほどに上昇させ得る。
【0003】
グリオキサールなどのジアルデヒド化合物で処理される場合、アクリルアミドのポリマー、またはアクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのモノマーとを組み込んでいるコポリマーは、紙の乾燥強度をかなり増強することもでき、さらに非常に限定された永久湿潤強度特性を有し、製紙業者が容易に損紙を再パルプ化することを可能にする樹脂をもたらすことが、広く知られている。しかし、これらの樹脂はまた、それらの制限を有する。これらの添加剤は、粘度不安定性のために非常に短い貯蔵寿命を有するか、または非常に低い活性固形分で出荷される。さらに、より大量に添加される場合、このようなジアルデヒド-変性アクリルアミド含有ポリマーの性能は、横ばいになる傾向があり、高性能の製品を製造することを困難にさせる。
【0004】
ポリビニルアミン樹脂は、製紙業界で普及してきているが、その理由は、それらが、シートに乾燥強度の増加を与えるためだけでなく、それらの容易な取扱いおよび利用性ならびにそれらが抄紙機(paper machine)に与える歩留まりおよび濾水性の増加のためである。しかし、さらに増加する量で添加される場合、それらは、これらの樹脂がもっている大量のカチオン性電荷のために、シートを過剰凝集させる負の作用を有する。過剰凝集は、不十分に形成された、より弱い最終製品をもたらす。
【0005】
他の発明は、ポリビニルアミンの正の作用を増加させることを探求してきた。米国特許第6,824,650号および欧州特許第1,579,071号によれば、パルプスラリー中のポリビニルアミンとグリオキサール処理したポリアクリルアミド樹脂との組合せは、製品の乾燥強度の増加をもたらす。しかし、前述したグリオキサール処理したポリアクリルアミドの欠点、すなわち、製品の低い活性固形分および製品の限られた粘度安定性は、働きにおいて明らかである。
【0006】
米国特許第6,132,558号には、パルプスラリーが、最初に、ビニルアミン含有ポリマーを含む、5,000から3,000,000ダルトンのモル質量の高度にカチオン性のポリマーで、その後に4,000,000ダルトンを超えるモル質量の第2のカチオン性アクリルアミド含有ポリマーで処理され、せん断段階にかけられ、次いで、微粉化無機凝集剤(ベントナイト、コロイダルシリカ、またはクレーなど)で処理される製紙システムが開示されている。
【0007】
米国特許公開第2008/0000601号には、パルプスラリーが、ビニルアミン含有ポリマーを含む、1,000,000ダルトンを超えるモル質量のポリマー、同様にカチオン性アクリルアミド含有ポリマーを含む、2,500,000ダルトンを超えるモル質量の第2のポリマーで、すべて微粉化無機凝集剤の不存在下で、処理される製紙方法が開示されている。
【0008】
米国特許第6,746,542号には、1,000,000ダルトン未満のモル質量の、ビニルアミン含有ポリマーを含む、高度にカチオン性のポリマーで、デンプンの糊化温度を超える温度で変性されたデンプンで処理される製紙方法が開示されている。このパルプスラリーは、その後に1,000,000ダルトンを超えるモル質量の、カチオン性アクリルアミド含有ポリマーを含む、第2のポリマーで処理される。
【0009】
米国特許公開第2008/0196852号には、ビニルアミン含有ポリマーを含む、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の1,000,000ダルトンを超えるモル質量の線状アニオン性ポリマー、および少なくとも1種の粒子状のアニオン性架橋有機ポリマーを含む、製紙のための歩留向上剤系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,939,443号
【特許文献2】米国特許第6,824,650号
【特許文献3】欧州特許第1,579,071号
【特許文献4】米国特許第6,132,558号
【特許文献5】米国特許公開第2008/0000601号
【特許文献6】米国特許第6,746,542号
【特許文献7】米国特許公開第2008/0196852号
【特許文献8】米国特許公開第2009/0043051号
【特許文献9】米国特許公開第2008/0196851号
【特許文献10】米国特許第5,541,252号
【特許文献11】米国特許第7,323,510号
【特許文献12】米国特許公開第2002/198317号
【特許文献13】米国特許公開第2008/0033094号
【特許文献14】欧州特許公開第1,918,455A1号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Perry's Chemical Engineers' Handbook、第7版、(McGraw-Hill、New York、1999年)、18〜78頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ビニルアミン含有ポリマーとアクリルアミド含有ポリマーとの組合せは、抄紙機の生産性および損紙の再パルプ化を維持しながら、高性能の紙製品を製造する最も簡単な手段および最も有効な手段の両方であることができる。しかし、これらのポリマーを含み得る従来技術の例は、かなりの欠点を有する。例えば、前の例は、特別の計量装置、パルプスラリーに添加する前にデンプンを処理するさらなる工程、または乾燥強度に影響を与えるための十分な量で添加される場合、パルプスラリーの過剰凝集をもたらし得る高いモル質量のポリマーを必要とし得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
カチオン性または両性アクリルアミド含有水溶性(aqueous solution)ポリマーと組み合わせてビニルアミン含有水溶性ポリマーによってパルプスラリーを処理することは、増強された乾燥強度を有する紙をもたらす。
【0014】
この組合せは、アクリルアミド含有水溶性ポリマーの活性ポリマー固形分が、質量で5%から50%の範囲であり、アクリルアミド含有ポリマー中のカチオン性およびアニオン性モノマーの合計の含有量が、全モノマー含有量のモル基準で5%から50%の範囲であり、アクリルアミド含有ポリマーの分子量が、75,000ダルトンから1,500,000ダルトンの範囲である場合に、最も有効である。
【0015】
ビニルアミン含有ポリマーは、それがモル基準で少なくとも50%のN-ビニルホルムアミドモノマー(その少なくとも10%は、最終製品中で加水分解されている)を含み、および75,000ダルトンから750,000ダルトンの範囲の分子量を有する場合に、最も有効である。ビニルアミン含有ポリマーを含有する水溶液は、質量で5%から30%の全ポリマー固形分を有する。
【0016】
本発明の一実施形態は、増強された乾燥強度を有する紙、板紙、およびボール紙を製造する方法であって、抄紙機のウェットエンドに、(a)75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有するビニルアミン含有水溶性ポリマーおよび(b)75,000ダルトンから1,500,000ダルトンの分子量を有する両性またはカチオン性アクリルアミド含有水溶性ポリマーを添加する工程を含み、ここで、アニオン性およびカチオン性モノマーの合計は、組成物のモル基準で少なくとも5%のアクリルアミド含有モノマーを含む。
【0017】
本方法の一実施形態において、ビニルアミン含有ポリマーは、投入された全モノマーのモル基準で少なくとも50%のN-ビニルホルムアミド含有量を有し、その少なくとも10%は、最終ポリマー中で加水分解されており、質量基準で5%から30%の活性ポリマー含有量を有する。
【0018】
本方法の一実施形態において、アクリルアミド含有水溶性ポリマーは、モル基準で5%から50%の合計のカチオン性および/または両性モノマー投入量を含み、質量基準で5%から50%の活性ポリマー含有量を有する。
【0019】
この方法の一実施形態において、アクリルアミド含有水溶性ポリマーは、水分散性ポリマー(aqueous dispersion polymer)からなる。
【0020】
本方法の一実施形態において、アクリルアミド含有水溶性ポリマーは、モル基準で5%から50%のカチオン性モノマー投入量を含み、質量基準で5%から50%の活性ポリマー含有量を有し、かつ、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノエチル)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(アクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性モノマーを含む。
【0021】
本方法の一実施形態において、アクリルアミド含有水溶性ポリマーは、全体的な両性電荷を有する。
【0022】
本方法の一実施形態において、両性アクリルアミド含有水性溶液は、アクリルアミド含有水溶性ポリマーおよび反対の電荷を有するコファクターからなる多価電解質複合体から構成される。
【0023】
本方法の一実施形態において、ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、単一の生成物ブレンドであり、両性アクリルアミド含有ポリマーのカチオン性部分は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーによって生じる。
【0024】
本方法の一実施形態において、ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、抄紙機のウェットエンドに、ビニルアミン含有ポリマー対アクリルアミド含有ポリマーの比が10:1から1:50で、ポリマー性生成物の活性ポリマー固形分に基づいて、乾燥パルプの質量基準で総合計1.25%まで添加される。
【0025】
本発明の一実施形態は、抄紙機のウェットエンドに、(a)75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有する、ビニルアミン含有水溶性ポリマーおよび(b)75,000ダルトンから1,500,000ダルトンの分子量を有する、両性またはカチオン性アクリルアミド含有水溶性ポリマーを添加する方法であって、アニオン性およびカチオン性モノマーの合計は、組成物のモル基準で少なくとも5%のアクリルアミド含有モノマーを含む方法によって製造される紙製品である。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、セルロース系パルプスラリーを抄紙機のウェットエンドにおいて、(a)ビニルアミン含有ポリマーおよび(b)カチオン性または両性アクリルアミド含有水溶性ポリマーによって処理する方法に関する。ビニルアミン含有ポリマーが、最初にパルプスラリーに、続いてアクリルアミド含有ポリマーが添加されることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」および「その(the)」という単数形の用語は、同義的であり、文脈で相容れない意味が明らかに示されない限り、「1つ以上」または「少なくとも1つ」と同義的に使用される。したがって、例えば、本明細書または添付の特許請求の範囲での「1つの化合物(a compound)」への言及は、単一の化合物または2以上の化合物を意味し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合であって、特に断りのない限り、「ビニルアミン含有ポリマー」という用語は、ビニルアミンのホモポリマー(例えば、ポリビニルアミンまたは完全加水分解ポリビニルホルムアミド)、ビニルアミンと他のコモノマーとのコポリマー、部分加水分解ポリビニルホルムアミド、部分加水分解ビニルホルムアミドコポリマー、ビニルアミンターポリマー、アクリルアミドポリマーのホフマン変性により製造されたビニルアミンホモ-およびコポリマー、または重合後に化学変性されているビニルアミン含有ポリマーを意味すると理解される。例としては、米国特許公開第2009/0043051号または同第2008/0196851号に記載されたものを挙げることができる。
【0029】
本明細書で使用される場合であって、特に断りのない限り、「アクリルアミド含有ポリマー」という用語は、カチオン性または両性アクリルアミド含有水溶性ポリマーを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合であって、特に断りのない限り、「水溶性ポリマー」は、いずれの共溶媒も不存在下で、乾燥固形物基準で1%に希釈される場合、水中で完全に均質な溶液を形成するポリマーを意味する。例えば、水溶性ポリマーは、水中油型または油中水型エマルションを含まない。水溶性ポリマーの例としては、水分散性ポリマー、例えば、米国特許第5,541,252号および同第7,323,510号、ならびに米国特許公開第2002/19
8317号および同第2008/0033094号に記載されたものを挙げることができる。
【0031】
本発明は、抄紙機およびそれにより由来する紙製品の性能が、以下に記載されるとおりの特定の分子量および電荷属性を有するアクリルアミド含有ポリマーと組み合わせてビニルアミン含有ポリマーによってパルプスラリーを処理することによって非常に増強され得るという発見に基づく。ビニルアミン含有ポリマー単独の使用は、製紙システムにおける強度および濾水性の両方の性能を与えるが;しかし、さらに増加する量で添加される場合、大部分は紙ウェブを形成する過剰凝集のために、紙製品の性能は、最初に横ばい状態になり、次いで、低下する。予想外にも、実質的な両性またはカチオン性電荷を有する水性溶性アクリルアミド含有ポリマーの添加とともにビニルアミン含有ポリマーを添加することは、ビニルアミン含有ポリマーまたはアクリルアミド含有ポリマー単独を用いることによって達成され得るものを超える強度性能を有する製品をもたらし;さらに、ビニルアミン含有ポリマーを用いて達成される優れた濾水性能が、このようなポリマーの組合せを用いて実質的に維持され得ることが見出された。
【0032】
ビニルアミン含有ポリマーは、その分子量が、75,000ダルトンから750,000ダルトン、より好ましくは100,000ダルトンから600,000ダルトン、最も好ましくは150,000ダルトンから500,000ダルトンである場合に最も有効である。分子量は、150,000ダルトンから400,000ダルトンであることができる。75,000ダルトンの分子量閾値未満では、強度性能はほとんどまたはまったくみられず、実質的な濾水性能の増強はみられない。ビニルアミン含有ポリマーは、パルプスラリーに添加する前にデンプンとともに蒸煮されない。750,000ダルトンの分子量を超えるビニルアミン含有ポリマーは一般に、シートを過剰凝集させる傾向のために、乾燥強度の増強に必要な投与量での形成に悪影響を与え、より低い強度をもたらす。750,000ダルトンを超える水溶性ビニルアミン含有ポリマーは、典型的には製品取扱いを極めて困難にさせるような高粘度で作製されるか、または代替として、製品を貯蔵および出荷するのに費用効率的でなくさせるような低い製品ポリマー固形分で作製される。
【0033】
ビニルアミン含有ポリマーの活性ポリマー固形分パーセントは、全ビニルアミン含有ポリマー生成物含有量の5質量%から30質量%、より好ましくは8質量%から20質量%の範囲である。5%未満の活性ポリマー固形分では、より高い分子量の水溶性ポリマーが可能であり得るが、その生成物は、出荷および輸送コストが割合を占める場合に関して、有効でなくなる。他方では、活性ポリマー固形分が上昇するにつれて、ポリマーの分子量は、その水性溶液が依然として容易にポンプで送り込むことができるように、全体として低下しなければならない。したがって、実用的な関係をビニルアミン含有ポリマー生成物の全ポリマー固形分とこのようなポリマーの分子量との間で得ることができ、相関をこれらのパラメータとポリマー性能との間で得ることができる。
【0034】
ビニルアミン含有ポリマーの性能は、製品中に存在する第一級アミンの量で影響される。ビニルアミン部分は、典型的には、N-ビニルアシルアミド基、例えば、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、またはN-ビニルプロピオンアミド、最も好ましくはN-ビニルホルムアミドの酸性または塩基性加水分解によって生成させる。ビニルアミン含有ポリマーは、N-ビニルホルムアルデヒドの量が、加水分解ポリマーのモル基準で少なくとも50%である場合に、紙製品の乾燥強度および/または製紙システムの濾水性能を増強させるのに最も有効である。加水分解後、得られたポリマー中に当初組み込まれたN-ビニルホルムアルデヒドの少なくとも10%が、加水分解されるべきである。理論に拘束されることを望むことなく、加水分解N-ビニルホルムアミド基は、最終ポリマー生成物中で様々な構造、例えば、加水分解後に開鎖または環状形態で、第一級のまたは置換されたアミン、アミジン、グアニジンまたはアミド構造で存在し得る。
【0035】
アクリルアミド含有ポリマーは、それが実質的な量の正に荷電したコモノマーを含む場合に、最も有効である。理論に拘束されることを望むことなく、正に荷電したモノマーは、パルプスラリー中の負に荷電した物質[限定されるものではないが、パルプ繊維、ヘミセルロース、再生セルロース完成紙料(furnish)に一般に見られる酸化デンプン、アニオン性紙力向上剤(strength aid)(カルボキシメチルセルロースなど)、およびアニオン性トラッシュを含む]との電荷-電荷相互作用のために、アクリルアミド含有ポリマーをセルロース繊維に付着させる。アクリルアミド含有ポリマー中へのカチオン性基の組込みは一般に、製紙システムの濾水性能に有害でない。理論に拘束されることを望むことなく、アミド基などの、アクリルアミド含有ポリマーの水素結合成分は、紙製品の乾燥強度を増強させるのに有効である。
【0036】
ポリマーにカチオン性電荷を与えるために用いられる好適なコモノマーとしては、限定されるものではないが、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノエチル)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(アクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。このようなカチオン性モノマーは、ポリマー骨格に組み込まれる場合、カチオン性または両性ポリマーの性能に影響を与え得る。
【0037】
ポリマー中に組み込まれたカチオン性モノマーの量は、カチオン性ポリマーの場合、アクリルアミド含有ポリマー中に組み込まれたモノマーすべてのモル基準で5%から50%であり得る。両性ポリマーの場合、カチオン性モノマーの量に以下に記載されるアニオンモノマーの量を加えたものは、アクリルアミド含有ポリマー中に組み込まれたモノマーすべてのモル基準で5%から50%、より好ましくは15%から40%であり得る。アクリルアミド含有ポリマーは、メチレンビスアクリルアミド(MBA)などの薬剤で架橋されていてもよいが、分子量および電荷の指針が本明細書で記載されるとおりに満たされることを条件とする。
【0038】
両性アクリルアミド含有ポリマーを形成する、アニオン性コモノマーのアクリルアミド含有ポリマー中へのカチオン性コモノマーと一緒の組込みは、それにより作られる紙製品の乾燥強度を増強するのにも有効である。理論に拘束されることを望むことなく、アニオン性コモノマーは、両性ポリマーが、限定されるものではないが、ビニルアミン含有ポリマー、カチオン性荷電凝集剤または凝結剤、カチオン性または両性デンプン、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン湿潤強度向上剤、または別の両性アクリルアミド含有ポリマーを含む、再生パルプスラリー中に見られる多種多様な物質とコアセルベート複合体を形成することを可能にさせる。さらに、アクリルアミド含有ポリマー中のカチオン性およびアニオン性モノマーの組合せは、アニオン性コモノマーのみを用いるアクリルアミド含有ポリマーと比較する場合、製紙システムの濾水性能を増強し、またはそれに悪影響を与えない。好適なアニオン性コモノマーとしては、限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、スチレンスルホネート、ビニルスルホネート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホネート(AMPS)が挙げられる。代替として、このような物質は、前駆体構造の加水分解によって生成させ得る(例えば、正規の重合後メチルメタクリレートの加水分解を介したポリマー骨格におけるメタクリル酸の生成)。アクリルアミド含有ポリマー中に組み込まれた荷電モノマーの量は、ポリマーの性能に影響を与え得る。このようなアニオン性モノマーは、両性アクリルアミド含有ポリマー中で用いることができ、アニオン性モノマーの量に上に記載されたカチオン性モノマーの量を加えたものは、アクリルアミド含有ポリマー中に組み込まれたモノマーすべての、モル基準で5%から50%であり得る。アクリルアミド含有ポリマーは、メチレンビスアクリルアミド(MBA)などの薬剤で架橋されていてもよいが、分子量および電荷の指針が本明細書で記載されるとおりに満たされることを条件とする。
【0039】
上に定義されたとおりの両性水溶性アクリルアミド含有ポリマーの特性は、アクリルアミド含有多価電解質複合体の使用によっても有効に生じさせ得る。ビニルアミン含有ポリマーと組み合わせる場合、このようなアクリルアミド含有多価電解質複合体は、ビニルアミン含有ポリマーをカチオン性または両性アクリルアミド含有ポリマーと組み合わせる場合に上に記載されたものと同様の利点ももたらし得る。欧州特許公開第1,918,455A1号におけるものなどの、様々な形態の多価電解質複合体が開示されているが、本明細書で本発明者らは、多価電解質複合体が、それ自体で与え得るものを超えて乾燥強度を生じさせるこのような多価電解質複合体の有効性が、それらがビニルアミン含有ポリマーと組み合わせて用いられる場合に達成され得るという予想外の結果を開示する。アクリルアミド含有多価電解質複合体は、カチオン性、両性、またはアニオン性電荷のアクリルアミド含有ポリマー、ならびに相補的電荷の第2のポリマーを含む。例えば、アクリルアミドと、上に記載された適切なアニオン性モノマーの1つとの重合により作られるアニオン性アクリルアミド含有ポリマーは、アクリルアミドを含んでも含まなくてもよいカチオン性ポリマーと多価電解質複合体を形成し得る。このようなカチオン性ポリマーとしては、限定されるものではないが、アルキルアミン-エピクロロヒドリンポリマー、上に記載されたとおりのカチオン性アクリルアミド含有ポリマー、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリンポリマー、およびポリエチレンイミンポリマーが挙げられる。アクリルアミド含有多価電解質複合体も、カチオン性アクリルアミド含有ポリマーおよびアニオン性ポリマーを含み得る。このようなアニオン性ポリマーには、限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマー、マレイン酸のポリマーおよびコポリマー、ならびにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。アクリルアミド含有多価電解質複合体は、単一のブレンドされた生成物としてまたは2つの別個の生成物として、最も好ましくは単一のブレンドされた生成物として製紙スラリーに添加され得る。両性多価電解質複合体は、ポリマー活性含有量の1グラム当たりミリ当量(meq/g)で表される、正味の電荷をもっている。両性多価電解質複合体は一般に、その正味の電荷が、-2meq/gから+2meq/g、より好ましくは-1meq/gから+1meq/gの範囲である場合に、ビニルアミン含有ポリマーと組み合わせて最も安定であり、かつ有用である。粒径も、両性多価電解質複合体の重要なパラメータである。この複合体は、粒径が0.1ミクロンから50ミクロン、より好ましくは0.2から5ミクロンの範囲である場合に最も有用である。活性ポリマー固形分の他の指針、アクリルアミド含有ポリマーをパルプスラリーに添加する好ましい方法、およびビニルアミン含有ポリマー対アクリルアミド含有ポリマーの比は、複合体のアクリルアミド含有ポリマー部分のみでなく、アクリルアミド含有多価電解質複合体の全処方に適用される。
【0040】
上に定義されたとおりに、特性的にカチオン性ポリマー、両性ポリマー、または両性多価電解質複合体であるかどうかにかかわらず、アクリルアミド含有水溶性ポリマーは、その分子量が75,000ダルトンを超える場合に紙製品の乾燥強度を最も有効に増強する。質量基準で50%を超えるポリマー固形分を有するように製造され得るのであるが、75,000ダルトン未満の分子量は、シートで容易に保持されず、とりわけ、紙に十分な乾燥強度特性を与えない。しかし、1,500,000ダルトンを超える、特に2,500,000ダルトンを超えるアクリルアミド含有ポリマーは、かなりの欠点を示し得る。より低い投与量において、このような高いモル質量のポリマーは、良好な濾水性能を示し得るが、高い乾燥強度の達成は、典型的にはポリマーのより高い投与量を必要とする。このようなポリマーは、乾燥強度に十分に影響を与え得る投与量で添加される場合、シートをかなり過剰凝集させることができ、それにより、不十分な形成および/または不十分な乾燥強度をもたらす。一実施形態において、カチオン性または両性アクリルアミド含有水溶性ポリマーの分子量は、75,000から1,500,000ダルトン未満の範囲であり得るか、または100,000ダルトンから1,250,000ダルトン未満であり得るか、または100,000ダルトンから1,000,000ダルトン未満であり得る。さらに、この分子量のポリマーは、一般にエマルションまたは逆相エマルション重合を介して合成され、それにより、相当の費用、不都合、ならびに環境および安全上のリスクを付加させる。例えば、鉱油などの油または他の炭化水素は、逆相エマルション製品の処方に必要とされるが、これは、製品に対してかなりの費用を付加させるが、それ自体、製品に価値を加えず;相当の追加の製造装置(make-down equipment)が、そのエマルションを貯蔵、撹拌、希釈、および逆相にするために使用され;追加の化学物質が、エマルションを破壊または逆相にするために必要とされ、およびエマルション型または逆相エマルション型ポリマーは、かなりの量の揮発性有機化合物も含み、かなりの健康および/または安全上の危険をもたらす。1,500,000ダルトンを超える分子量の水溶性アクリルアミド含有ポリマーは、理論では生成物で達成し得るが;しかし、こ
のような生成物は、5%未満のポリマー固形分であるようであり、このような生成物を、製紙業者にとってあまり有用でなく、費用効果的でなく、および不都合にさせるか、または製品取扱いが極めて困難であるような高粘度でできている。したがって、全ポリマー固形分と分子量との実用的な関係が一般に存在し、一般的な相関をこれらのパラメータとポリマー性能との間で得ることができる。
【0041】
一実施形態において、アクリルアミド含有ポリマーは、水分散性ポリマーである。カチオン性または両性の性質の水性分散重合によって作られるアクリルアミド含有ポリマーは、ビニルアミン含有ポリマーと組み合わされる場合、特に実用的に重要である。具体例は、米国特許第7,323,510号および米国特許公開第2008/0033094号に記載されている。これらの水溶性ポリマーは、質量基準で10%から50%のポリマー固形分を維持したままで、300,000ダルトンから1,500,000ダルトン、または400,000ダルトンから1,250,000ダルトン未満の分子量を有し得る。これらのポリマーは、従来の凝集剤よりもいくらか少ない分子量からなり、したがって、低い投与量レベルにおける歩留まりおよび濾水ポリマー(drainage polymer)として、より高い分子量のアクリルアミド含有ポリマーよりもあまり有効でないが、形成性セルロースシートを過剰凝集させることなく、乾燥強度の増強に適度な投与量レベルで用いられる場合、優れた濾水性能をもたらし得る。理論に拘束されることを望むことなく、ビニルアミン含有ポリマーと、水性分散アクリルアミド含有ポリマー、または製紙システムの他の成分(限定されるものではないが、酸化デンプン、ヘミセルロース、またはアニオン性トラッシュを含む)との相互作用は、特に広範な水素結合網状組織を作り出し、製紙システムの濾水性能になんらの実質的な負の作用を有さずに、紙製品にさらなる乾燥強度を与え得る。
【0042】
ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、単一の生成物ブレンドで一緒に混合し得る。ビニルアミン含有ポリマー対アクリルアミド含有ポリマーの比は、10:1から1:50の範囲、より好ましくは5:1から1:10の範囲、より好ましくは3:1から1:5の範囲、最も好ましくは2:1から1:4の範囲である。
【0043】
ポリマーブレンドの全量は、全ポリマー固形分基準で乾燥パルプの質量の0.05%から1.25%の量で抄紙機のウェットエンドにおけるパルプスラリーに添加し得る。ブレンドは、ビニルアミン含有ポリマーと、カチオン性または両性のアクリルアミド含有ポリマー、しかし、最も好ましくは、カチオン性アクリルアミド含有ポリマーとを用いて作ることができる。理論に拘束されることを望むことなく、両性アクリルアミド含有ポリマーのアニオン性成分は、ビニルアミン含有ポリマーのカチオン性成分、特に第一級アミン基とイオン様式で相互作用して、製紙に有用でないゲルおよび高粘度生成物を形成し得る。理論に拘束されることを望むことなく、エステル基、例えば、2-[(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドを有するカチオン性モノマーを含むポリマーは、ビニルアミン含有ポリマー中の第一級アミン基と水性溶液中で反応して、アミド基を形成し得るか、または加水分解して上述のアニオン部分を生成することができ、これらのいずれかは、製紙に有用でない、ゲル化したまたは極めて高い粘度の生成物を形成し得る。さらに、比較的高価なカチオン性アクリレート基の加水分解は、カチオン性アクリルアミド含有ポリマーを考慮する場合、かなりの金銭上の損失を意味する。理論に拘束されることを望むことなく、アミド含有カチオン性モノマー、例えば、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドまたはジアリルメチルアンモニウムクロリド(DMDMAC)は、水性溶液中の加水分解および第一級アミン基との反応の両方に耐性であり、そのため、ビニルアミン含有ポリマーとブレンドされる、アクリルアミド含有ポリマー中のカチオン性モノマーとして好ましい。
【0044】
ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、ウェットエンドにおいて製紙プロセスの間に、濃厚紙料中、またはせん断点の前または後で濃厚紙料中に添加し得る。アクリルアミド含有ポリマーが最初に、続いてビニルアミン含有ポリマーが、抄紙機のウェットエンドに添加されてもよく;アクリルアミド含有ポリマーが、ビニルアミン含有ポリマーとして抄紙機のウェットエンドの同じ点で別個に添加されてもよく;アクリルアミド含有ポリマーが、単一の生成物ブレンドとして抄紙機のウェットエンドの同じ点で添加されてもよく;またはより好ましくは、ビニルアミン含有ポリマーが最初に、続いてアクリルアミド含有ポリマーが抄紙機のウェットエンドに添加されてもよい。ビニルアミン含有ポリマーは、パルプスラリーへの添加前に、デンプンと反応させない。
【0045】
ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、抄紙機のウェットエンドに、ポリマー固形分の比としてビニルアミン含有ポリマー対アクリルアミド含有ポリマーの1:50から10:1の範囲で;より好ましくは1:10から5:1の範囲、より好ましくは1:5から3:1の範囲、最も好ましくは1:5から2:1の範囲で添加されてもよい。ポリマーブレンドの全量は、抄紙機のウェットエンドにおけるパルプスラリーに、全ポリマー固形分基準で乾燥パルプの質量の0.05%から1.25%の量で添加されてもよい。
【0046】
別の実施形態において、限定されるものではないが、段ボール原紙、袋、ボール紙、コピー用紙、容器用板紙、段ボール用中芯、ファイルホルダー、新聞印刷用紙、板紙、包装用板紙、印刷および筆記用紙、ティッシュー、タオル、および出版物を含めて、乾燥強度の増強から利益を得る様々なグレードの紙に任意に適用し得る。これらの紙のグレードは、砕木パルプ、漂白または未漂白クラフトパルプ、硫酸塩パルプ、半機械パルプ、機械パルプ、半化学パルプ、および再生パルプを含む任意の典型的なパルプ繊維から構成され得る。それらは、無機フィラーを含んでも、含まなくてもよい。
【0047】
本発明の実施形態は、以下の実施例で明示される。これらの実施例は、単に例証によって示されることが理解されるべきである。したがって、本明細書で示されおよび記載されるものに加えて本発明の様々な変更が、上述の説明から当業者に明らかである。本発明は、特定の手段、材料および実施形態に関して記載されているが、本発明は、開示された特定のものに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内の均等物すべてに及ぶことが理解されるべきである。
【0048】
(実施例)
ポリビニルアミンは、PVAmと略記される。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、分子量を測定した。分析は、移動相として50:50 H2O:CH3CN中1%NaNO3/0.1%トリフルオロ酢酸の混合物とともにゲル透過カラム(CATSEC 4000+1000+300+100)およびWaters 515シリーズクロマトグラフィー装置を用いて行った。流量は、1.0mL/分であった。検出器は、Hewlett Packard 1047A示差屈折計であった。カラム温度は40℃に設定し、検出器温度は35℃であった。ポリマーの数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、市販の狭分子量標準品ポリ(2-ビニルピリジン)に対して計算した。
【0049】
本発明におけるイオン化ポリマーの正味の電荷または電荷密度(Mutek)は、コロイド滴定法を用いてpH7.0で測定した。電荷密度(meq/g)は、単位質量当たり正味の電荷の量(活性ポリマー1グラム当たりミリ当量)である。ポリマー試料は、反対の電荷の滴定液を用いて滴定する。正味のカチオン性ポリマーについて、用いた滴定液は、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)であり、正味のアニオン性ポリマーについて、用いた滴定液は、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)である。滴定液は、固定滴定速度(0.1mL/用量、5秒)で自動滴定器(Brinkmann Titrino)および終点検出を示すMutek粒子電荷検出器(Model PCD 03、BTG、Mutek Analytic Inc.、2141 Kingston Ct.、Marietta、GA、米国)を用いて、0mV電位が得られるまで添加する。
【0050】
段ボール原紙を、製紙機を用いて作製した。紙パルプは、50ppm硬度、25ppmアルカリ度、2.5%GPC D15F酸化デンプン(Grain Processing Corp.、Muscatine、IA)および2000μS/cm導電率を有する100%再生媒体であった。このシステムのpHは、特に断らない限り、7.0であり、濾水度(pulp freeness)は、52℃の原液温度で約380CSFであった。坪量は、3000ft2(279m2)当たり100lbs(45.36kg)であった。特に断らない限り、Stalok 300カチオン性デンプン(Tate & Lyle PLC、London、英国)およびPerForm(登録商標)PC8713凝集剤(Hercules Incorporated、Wilmington、DE)を、抄紙機のウェットエンドに、それぞれ、乾燥パルプの0.5%および0.0125%の量で添加した。上記実施例に記載したとおりのビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーは、乾燥紙パルプに対して活性なポリマーの質量のパーセントとして表して、示されたレベルで乾燥紙力向上剤(dry strength agent)として、製紙機(papermaking machine)のウェットエンドに添加した。パイロット抄紙機上の乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的な抄紙機が用いる得るものよりも非常に大きい(すなわち、少なくとも2倍)であることが、一般に認められている。リングクラッシュ、乾燥ミューレン破裂(Mullen burst)、および乾燥引張り試験を用いて、乾燥強度効果を測定した。乾燥強度の結果のすべては、乾燥強度樹脂を用いずに作られた紙の乾燥強度のパーセントとして表す。
【0051】
様々なポリマー系の濾水効率は、2つの試験の1つを用いて比較した。1つの試験は、カナダ標準濾水度(CSF)試験である。活性ポリマーの用量は、表に示すとおりに変化した。結果を以下の表にまとめ、これらの組成物の濾水性能は、ブランクに対してパーセントの増加として表す。
【0052】
濾水工程の性能の評価のための別の方法は、真空濾水試験(VDT)である。装置構成は、様々なろ過の参考図書(例えば、Perry's Chemical Engineers' Handbook、第7版、(McGraw-Hill、New York、1999年)、18〜78頁を参照されたい)に記載されたとおりのブフナー漏斗試験と同様である。VDTは、300mlの磁気ゲルマン(Gelman)ろ過漏斗、250mlのメスシリンダー、クイックディスコネクト(quick disconnect)、ウォータートラップ、ならびに真空計およびレギュレータを備えた真空ポンプからなる。VDT試験は、最初に真空を10インチHgに設定し、漏斗をシリンダー上に適切に置くことによって行った。次に、250gの0.5質量%の紙料をビーカーに投入し、次いで、処理プログラムによって必要とされる添加剤(例えば、デンプン、ビニルアミン含有ポリマー、アクリルアミド含有ポリマー、凝集剤)を、オーバーヘッドミキサーで与えられる撹拌下で紙料に添加した。次いで、紙料をろ過漏斗中に注ぎ入れ、真空ポンプを作動させ、同時に、ストップウォッチを始動させた。濾水効果は、230mlのろ液を得るために必要な時間として記録する。2回の濾水試験の結果を標準化し、ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーを含まなかった系に対して実測した濾水性能のパーセントとして表した。
【0053】
ポリマーAは、100,000ダルトンから500,000ダルトンの範囲の分子量、9%から15%の活性ポリマー固形分、75%から100%のN-ビニルホルムアミド投入量、50%から100%の加水分解の範囲を有するビニルアミン含有ポリマー、例えば、Hercobond(登録商標)6363(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0054】
ポリマーBは、100,000ダルトンから500,000ダルトンの範囲の分子量、9%から15%の活性ポリマー固形分、75%から100%のN-ビニルホルムアミド投入量、30%から75%の加水分解の範囲を有するビニルアミン含有ポリマー、例えば、Hercobond(登録商標)6350(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0055】
ポリマーCは、100,000ダルトンから500,000ダルトンの範囲の分子量、10%から25%の活性ポリマー固形分、ならびに全モノマー投入量の8%から20%のアニオン性およびカチオン性モノマーの合計全モノマー投入量を有する両性アクリルアミド含有ポリマー、例えば、Hercobond(登録商標)1205(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0056】
ポリマーDは、100,000ダルトンから500,000ダルトンの範囲の分子量、10%から25%の活性ポリマー固形分および20%から40%のカチオン性モノマー投入量を有するカチオン性アクリルアミド含有ポリマー、例えば、Hercobond(登録商標)1200(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0057】
比較ポリマーEは、5%から20%の範囲のアニオン性モノマー投入量を有するアニオン性アクリルアミド含有ポリマー、例えば、Hercobond(登録商標)2000(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0058】
ポリマーFおよびポリマーGは、500,000ダルトンから1,500,000ダルトンの範囲の分子量、20%から45%の活性ポリマー固形分および10%から40%のカチオン性モノマー投入量を有するカチオン性アクリルアミド含有水分散性ポリマー、例えば、それぞれ、Praestaret(登録商標)K325およびK350(Ashland Inc.、Covington、KYから入手できる)である。
【0059】
ポリマーHは、100,000ダルトンから500,000ダルトンの範囲の分子量、10%から25%の活性ポリマー固形分および-2meq/gから+2meq/gの正味の電荷を有する両性アクリルアミド含有多価電解質複合体、例えば、Hercobond(登録商標)1822(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である。
【0060】
ポリマーKは、100,000ダルトンから400,000ダルトンの範囲の分子量、15%から30%の活性ポリマー固形分を有するカチオン性アクリルアミド含有ポリマー、例えば、Praestamin(登録商標)CL(Ashland Inc.、Covington、KYから入手できる)である。ポリマーK中のカチオン性コモノマーは、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドである。ポリマーKは、ポリマーAおよびポリマーBなどのビニルアミン含有ポリマーとブレンドして、単一の生成物を形成することができる。
【0061】
(実施例1)
Table 1(表1)は、ポリマーA、両性ポリマーC、およびカチオン性ポリマーDを用いるパイロット抄紙機試験の結果を示す。システムのpHは、6.5に調整した。Alum(Croydon、PA)およびHipHase 35ロジンサイズ(Hercules, Inc.、Wilmington、DE)を、それぞれ、乾燥パルプの0.5%および0.3%の量で用いた。OptiPlus 1030両性デンプン(National Starch、Bridgewater、NJ)を、Stalok 300カチオン性デンプンの代わりに添加し、やはり乾燥パルプの0.5%で用いた。
【0062】
【表1】

【0063】
Table 1(表1)は、強度が、アクリルアミド含有ポリマーの添加によって顕著に改善することができたこと、および濾水性能が、より多くのアクリルアミド含有ポリマーの添加によって改善されない場合も維持されたことを示す。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いた投与量は、商業的な抄紙機で同等に有効であるものよりも非常に大きい(すなわち、少なくとも2倍)であることが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0064】
(実施例2)
Table 2(表2)は、Table 1(表1)で例証した強度試験で示したのと同じ白水(whitewater)およびパルプを用いる、3種の異なるアクリルアミド含有ポリマー添加剤の濾水性能を示す。濾水性能は、上に示したとおりのCSF試験を用いて評価した。登録18から23は、比較として示す。
【0065】
【表2】

【0066】
Table 2(表2)は、両性およびカチオン性アクリルアミド含有ポリマー(ポリマーCおよびポリマーD)と比較して、アニオン性アクリルアミド含有ポリマー(比較ポリマーE)を用いる場合に、パルプスラリーの濾水性能がより劣っていることを実証する。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的抄紙機で同等に有効であるものより非常に大きい(少なくとも2倍)ことが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0067】
(実施例3)
Table 3(表3)は、ビニルアミン含有ポリマーおよびカチオン性アクリルアミド含有ポリマーを用いたパイロット抄紙機試験の結果を示す。この実施例では、以下の実施例のすべてにおけるように、pHは7.0で維持し、alumは、完成紙料中に含ませず、サイズ剤は用いなかった。
【0068】
【表3】

【0069】
Table 3(表3)は、それらの単独での性能に比較して、2種の化学物質をともに添加した場合に、2種のポリマーの高い投与量、優れた強度性能を達成することができることを実証する。この方法により、製紙業者は、化学物質使用においてより大きな効率を達成することができ、2種の化学物質が一緒に添加される場合に得られる相加的強度により、製紙業者は、高価なビニルアミン含有ポリマーBの使用を減少させることができる。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的抄紙機で同等に有効であるものより非常に大きい(少なくとも2倍)ことが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0070】
(実施例4)
Table 4(表4)は、両性アクリルアミド含有ポリマーをビニルアミン含有ポリマーと組み合わせて用いたパイロット抄紙機試験を示す。この試験は、上記実施例3と同様の条件下で行った。しかし、この場合には、カチオン性アクリルアミド含有ポリマーDよりはむしろ、両性アクリルアミド含有ポリマーCを用いた。
【0071】
【表4】

【0072】
Table 4(表4)は、ミューレン破裂およびリングクラッシュが、孤立状態のポリマーに対して、協力状態の2種のポリマーを用いた処理によって、特に増強され得ることを示す。濾水性能は、ほんのわずかしか影響されなかった。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的抄紙機で同等に有効であるものより非常に大きい(少なくとも2倍)ことが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0073】
(実施例5)
Table 5(表5)は、水分散性ポリマーをビニルアミン含有ポリマーBと組み合わせる効果を示す。
【0074】
【表5】

【0075】
Table 5(表5)は、水分散性ポリマーを用いて乾燥強度のかなり増強したレベルを達成しながら、濾水度は維持し得ることを実証する。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的抄紙機で同等に有効であるものより非常に大きい(少なくとも2倍)ことが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0076】
(実施例6)
Table 6(表6)は、ビニルアミン含有ポリマーBと、両性アクリルアミド含有多価電解質複合体ポリマーHとの組合せを示す。
【0077】
【表6】

【0078】
Table 6(表6)は、両性アクリルアミド含有ポリマーと同等の結果が、両性アクリルアミド含有多価電解質複合体を用いることによって達成され得ることを示す。性能が典型的には、横ばい状態になり始める添加剤レベルで、優れた乾燥強度レベルが達成された。パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに典型的に用いられる投与量は、商業的抄紙機で同等に有効であるものより非常に大きい(少なくとも2倍)ことが留意される。例えば、0.10%の添加剤が、パイロット抄紙機で乾燥強度ポリマーに有効な量である場合、商業的な機械で有効な量は、約0.05%以下である。
【0079】
(実施例7)
Table 7(表7)は、ポリマーKおよびポリマーBの単一の生成物ブレンドを用いた乾燥強度および疎水試験結果を示す。ブレンド中の2種のポリマーの比にかかわらず、添加剤は、乾燥パルプに対して0.3%の投与量レベルで用いた。
【0080】
【表7】

【0081】
Table 7(表7)は、ビニルアミン含有ポリマーおよびカチオン性アクリルアミド含有ポリマーの単一の生成物ブレンドを用いると、同等のリングクラッシュ結果を与えたままで、改善された乾燥強度結果が、乾燥引張りおよび乾燥ミューレン破裂の区分で得ることができることを示す。単一の生成物ブレンドは、それが、製紙業者に単一の生成物を抄紙機に添加する容易さを与えるが、異なるブレンド比は、生成物を製紙業者の必要性に合わすことを可能にさせるという点で特に有用である。例えば、再パルプ化エネルギーを減少させるためにより低い湿潤強度が必要とされる場合、単一の生成物ブレンドは、乾燥強度特性を維持または改善しながら、その必要性を満たすようにさせ得る。または、抄紙機が、既にその最大速度に近くで運転している場合、その生成物が与える濾水の量は、乾燥強度を犠牲にすることなく、製紙業者の必要性に合致させることができる。さらに、単一の生成物ブレンドは、乾燥強度に悪影響を与えることなく、顕著により高い活性固形分を有し、したがって、製紙工場への低固形分の貨物の輸送による生態学的影響を低減させ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機のウェットエンドに、(a)75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有するビニルアミン含有水溶性ポリマーおよび(b)75,000ダルトンから1,500,000ダルトンの分子量を有する両性またはカチオン性アクリルアミド含有水溶性ポリマーを添加する工程を含み、アニオン性およびカチオン性モノマーの合計が、その組成物のモル基準で少なくとも5%のアクリルアミド含有モノマーを含む、増強された乾燥強度を有する紙、板紙、およびボール紙を製造する方法。
【請求項2】
前記ビニルアミン含有水溶性ポリマーの活性ポリマー含有量が、乾燥質量基準で5%から30%であり、ビニルアミン含有ポリマーが、加水分解前に投入された全モノマーのモル基準で少なくとも50%のN-ビニルホルムアミド含有量を有し、N-ビニルホルムアミドの少なくとも10%が、最終ポリマー中で加水分解されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビニルアミン含有ポリマーが、150,000ダルトンから500,000ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、モル基準で5%から50%の合計のカチオン性および/または両性モノマー投入量を含み、質量基準で5%から50%の活性ポリマー含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、カチオン性であり、75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、水分散性ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、300,000ダルトンから1,500,000ダルトンの分子量を有する水分散性ポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、400,000ダルトンから1,250,000ダルトン未満の分子量を有する水分散性ポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、モル基準で5%から50%のカチオン性モノマー投入量を含み、質量基準で5%から50%の活性ポリマー含有量を有し、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノエチル)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(アクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、全体的な両性電荷を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記アクリルアミド含有水溶性ポリマーが、両性であり、75,000ダルトンから750,000ダルトンの分子量を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記両性アクリルアミド含有水性溶液が、アクリルアミド含有水溶性ポリマーおよび相補的電荷をもっているコファクターからなる多価電解質複合体から構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記両性アクリルアミド含有水性溶液が、100,000ダルトンから1,000,000ダルトン未満の分子量を有する多価電解質複合体から構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーが、単一の生成物ブレンドとして抄紙機に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記アクリルアミド含有ポリマーのカチオン性部分が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される、少なくとも1種のモノマーによって生じる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アクリルアミド含有ポリマーのカチオン性部分が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3-(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、および3-(メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される、少なくとも1種のモノマーによって生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ビニルアミン含有ポリマーおよびアクリルアミド含有ポリマーが、抄紙機のウェットエンドに、ビニルアミン含有ポリマー対アクリルアミド含有ポリマーの比が10:1から1:50で、ポリマー性生成物の活性ポリマー固形分に基づいて、乾燥パルプの質量基準で総合計1.25%まで添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法によって製造される紙製品。

【公表番号】特表2013−515877(P2013−515877A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547151(P2012−547151)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061750
【国際公開番号】WO2011/090672
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512118196)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】