説明

ビニル芳香族ポリマー中の残留物の含有量を減らす方法

【課題】ビニル芳香族ポリマー中の、主として未重合のビニル芳香族モノマーから成る残留物の含有量を減らす方法と、残留物の含有量が低いビニル芳香族ポリマーとに関する。本発明の効果は新たな残留物を発生させず、ビニル芳香族ポリマーを着色させずに、ビニル芳香族ポリマー中の未重合ビニル芳香族モノマーをシャープに減少させることができる点にある。
【解決手段】ビニル芳香族ポリマーを溶融状態で、ビニル芳香族ポリマー上の残留ビニル芳香族モノマーをアルキル化することができる触媒作用を有する粉末状固体と接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル芳香族ポリマー中、特にポリスチレン(PS)中の残留物の含有量を減らす方法に関するものである。
本発明方法では、ビニル芳香族ポリマーを、溶融状態で、ビニル芳香族ポリマー上の残留ビニル芳香族モノマーのアルキル化を触媒する粉末固体と接触させる。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン(PS)製造時の重合反応装置から出ているポリマー中にはモノマー、エチルベンゼンのような溶剤または希釈剤、ダイマー、トリマーのような低分子量オリゴマーが存在する。大抵のPSはフリーラジカル隗重合プロセスを使用して作られる。このプロセスで重合されるスチレンの変換率は約90%にすぎない。未反応のスチレンは減圧下に高温に加熱して除去する。樹脂中に存在する残留スチレンのレベルは一般に100〜1000ppmであり、一般には200〜500ppmである。ポリマー組成中に残った揮発性物質は衛生上および安全上の観点から問題となる。そのため揮発性物質の少ないポリマーを製造するというニーズがある。
【0003】
単純に加熱をしても残留有度は低くならない。多くの方法、例えば落下ストランド脱揮法、遠心脱揮法、多段脱揮法が試されてきた。また、多数のストリッピング剤、例えば水蒸気、水、有機溶媒、例えばアセトンまたはメタノール、超臨界CO2、超音波気泡核形成剤も試されてきた。しかし、これらの方法の大部分は、気相と溶融ポリマー相との間の熱力学的平衡に起因する残留スチレン含有量(約100ppm)の壁を超えることはできなかった。また、残留スチレン含有量を非常に低くするには温度を上げ、脱揮装置内の滞在時間を長くする必要があるが、そうするとポリスチレンの劣化が増加する。そのため、残留スチレン含有量が非常に低い(<100ppm、好ましくは<50ppm、さらに好ましくは<10ppm)ポリスチレンを得るために化学的方法が開発されてきた。
【0004】
この化学的ルートの本質はスカベンジャをポリマーに加えることにある。このスカベンジャは低濃縮でPSに加えられる分子であり、残留スチレンと化学反応して、それを消費し、または/および、「フレンドリー」な分子を形成するものである。しかし、スカベンジャは低分子で、非常に低濃縮で使用されるため粘性のある高分子マトリックス中に拡散し、反応しなければならないため、上記目的のためにスカベンジャを使用するに当たっては固有の課題を解決する必要がある。
【0005】
特許文献1(特開JP2001329128 A)には即席麺のカップをポリスチレンの発泡シートから作る方法が記載されている。このポリスチレンにはゼオライトがブレンドされ、それによってスチレンダイマーとスチレントリマーの含有量を減らしている。
特許文献2(特開JP2002227386 A号公報)には建材を作るためのポリスチレンの発泡体が記載されている。このポリスチレンにはゼオライト13Xを混合してスチレン含有量を減らしている。このゼオライトはミクロポーラスなものである。
特許文献3(米国特許公開第US 2002-0032266号明細書)には特殊な添加剤を添加することによって、望ましくない有機化合物の放出量を極めて少なくした無色のプラスチックが記載されている。
【0006】
上記およびその他の従来法では、ZSM-5型構造の少なくとも一種のゼオライトを含む無色の低放出プラスチックを使用して目的を達成している。このゼオライトの最大吸水能力は25℃、4.6トールでゼオライト重量に対して10重量%である。使用されるゼオライトのSi/Alのモル比は少なくとも15、好ましくは50〜500である。さらに、有機化合物を吸収し、それと永久に結合しているためには少なくとも5.5オングストロームの細孔径を有するゼオライトを選択する必要がある。基材として使用可能なプラスチックは従来の全ての材料、例えばポリ塩化ビニール、ポリエチレンテレフタラート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、HDPE、ポリプロピレン、特に配向ポリプロピレン(OPP)である。
【0007】
ポリスチレン中の残留スチレンを除去するためにこれらの吸着剤を使用すると副生成物(主としてエチルベンゼン)が多量に生じるか、残留スチレン量の減少がほとんどないことが多い。他の欠点は暗茶色およびオレンジ色に着色したポリスチレンになることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開JP2001329128 A号公報(2001年11月27日公開)
【特許文献2】特開JP2002227386 A 号公報(2002年8月14日公開)
【特許文献3】米国特許公開第US 2002-0032266号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ULLMANN'S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fith edition (1995) Vol A26, pages 655-659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では、一般に熱可塑性プラスチックの臭いを除去するために使用されている固体とは異なる特性を有する一定の多孔質性を有し、ポリスチレン中の残留スチレンの量を大幅に減少させることができ、エチルベンゼン生成を制限でき、しかも、ポリスチレンの着色を減らすことができる固体の使用する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ビニル芳香族ポリマー中の残留物(主として未重合のビニル芳香族モノマーから成る)の含有量を減らす方法に関するもので、本発明では溶融状態のビニル芳香族ポリマーを、ビニル芳香族ポリマー上の上記残留ビニル芳香族モノマーをアルキル化する触媒作用を有する粉末状の固体と接触させる。
本発明はさらに、残留物の含有量が低いビニル芳香族ポリマーにも関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、新たな残留物を発生することがなく、着色したビニル芳香族ポリマーを作ることがない、ビニル芳香族ポリマー中の未重合ビニル芳香族モノマーをシャープに減少させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ビニル芳香族ポリマーとしては下記を挙げることができる:
(1)ポリスチレン、エラストマー改質ポリスチレン、
(2)スチレンとアクリロニトリルののコポリマー(SAN)、エラストマ-改質SAN、特にABS、例えばポリブタジエンまたはブタジエン−アクリロニトリル共重合体骨格へのスチレンおよびアクリロニトリルのグラフト(グラフト重合)で得られる。
(3)SANとABSの混合物、
(4)スチレンブロックとブタジエン、イソプレンまたはブタジエン/イソプレン混合物のブロックとのコポリマー。このブロック共重合体は直鎖ブロックコポリマーまたは星型ブロックコポリマーにすることができ、水素化および/または官能化することができる。これらのコポリマーは非特許文献1(ULLMANN'S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fith edition (1995) Vol A26, pages 655-659)に記載されている。フィナクリアー(Finaclear、登録商標)の名称でトータル ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)社から、また、スチロルックス(Styrolux、登録商標)の名称でバスフ(BASF)社から、また、ケーレジン(K-Resin、登録商標)の名称でシェブロン・フィリップスケミカル(Chevron Phillips Chemical)社から市販されている。
(5)SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
【0014】
上記エラストマの例はEPR(エチレン‐プロピレンゴムまたはエチレン‐プロピレン・エラストマの略号)、EPDM(エチレン‐プロピレン-ジエン・ゴムまたはエチレン‐プロピレン・ジエン・エラストマの略号)、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエン・コポリマー、ポリイソプレン、イソプレン‐アクリロニトリル共重合体、スチレンブロックとブタジエンまたはイソプレンまたはブタジエン/イソプレン混合物のブロックとのコポリマーである。これらのブロック共重合体は直鎖ブロックコポリマーでも星型ブロックコポリマーでもよく、水素化および/または官能化されていてもよい(上記参照)。
【0015】
ビニル芳香族ポリマーのスチレンの一部をスチレンと共重合可能な不飽和モノマー、例えばα−メチルスチレンまたは(メタ)アクリレートと代えることができる。スチレンコポリマーの他の例としてはクロロポリスチレン、ポリ-α−メチルスチレン、スチレン-クロロスチレン・コポリマー、スチレン-プロピレン・コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン-イソプレン・コポリマー、スチレン-塩化ビニール・コポリマー、スチレン-酢酸ビニール・コポリマー、スチレン-アクリル酸アルキル・コポリマー(メチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルアクリレート)、スチレン-アルキルメタクリレート・コポリマー(メチル、エチル、ブチル、フェニルメタクリレート)、スチレン・メチルクロロアクリレート・コポリマーおよびスチレン-アクリロニトリル・アルキルアクリレートコポリマーを挙げることができる。
【0016】
一つの実施例でのビニル芳香族ポリマーは下記(i)と(ii)とから成る:
(i) 60〜100重量%の一種または複数のC8〜12ビニル芳香族モノマー、
(ii) 0〜40重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC1−4アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択される一種以上のモノマー、
(上記ポリマーは0〜20重量%の一種または複数のゴム状ポリマー上にグラフトされ、または、ゴム状ポリマー中に含まれていてもよい)
【0017】
ゴム状ポリマーの例は下記から成る群の中から選択できる:
(a) C4〜6の共役ジエンの単独重合体および共重合体、
(b) 60〜85重量%の一種または複数のC4〜6共役ジエンと、40〜15重量%のアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択されるモノマーとのコポリマー、
(c) 20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の一種または複数のC8〜12ビニル芳香族モノマー(未置換か、C1〜4アルキル基で置換されていてもよい)と、60〜40重量%、好ましくは60〜50重量%の一種または複数のC4〜6共役ジエンから成る群の中から選択される一種または複数のモノマーとから成るコポリマー。
【0018】
ゴム状ポリマーは種々の方法、好ましくは乳化重合法または溶液重合法によって製造することができ、これらの方法は当業者に周知である。
ビニル芳香族ポリマーは種々の方法で製造できる。その方法も当業者に周知で、例えば上記引例に記載されている。
ゴム状ポリマーが存在する場合、その量は約3〜10重量%であるのが好ましい。ポリブタジエンが特に好ましい。
【0019】
ビニル芳香族ポリマーがポリスチレンである実施例の場合には、結晶性ポリスチレンまたはゴム変性されたポリスチレンにすることができる。ゴム変性されたポリスチレンはHIPS(高いImpact Polystyrene)とよばれ、このHIPSの製造方法は当業者に周知である。ゴムはスチレンモノマー中に「溶ける」(実際にはモノマーによってゴムが無限に膨張する)。その結果、2つの共連続相になる。得られた「溶液」は反応装置へ供給され、一般に剪断下で重合される。重合度が系中のゴムの重量%とほぼ同じになったときに逆転する(例えば、スチレン/スチレンポリマーが連続相になり、ゴムが不連続相になる)。相変換後、ポリマーは基本的に最終ポリスチレンと同様な方法で仕上げられる。ポリマーは従来の隗重合法、溶液重合法または懸濁重合法を用いて製造される。
【0020】
本発明のビニル芳香族ポリマーはC8〜12ビニル芳香族モノマーの単独重合体または共重合体にすることができる。ビニル芳香族モノマーはスチレン、α−ビニールトルエンおよびパラビニールトルエンから成る群の中から選択することができる。好ましいビニル芳香族モノマーはスチレンである。ビニル芳香族ポリマーは60〜100重量%の一種または複数のC8〜12ビニル芳香族モノマーと、0〜40重量%のアクリル酸およびメタクリル酸のC1〜4アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択される一種または複数のモノマーとのコポリマーにすることができる。適したアクリル酸およびメタアクリル酸エステルにはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレートおよびブチルメタクリレートが含まれる。本発明のビニル芳香族ポリマーはゴム改質されたものにすることができる。
【0021】
こうしたビニル芳香族ポリマーは下記文献に記載されている。
【特許文献4】国際特許第WO 01-68765号公報
【特許文献5】欧州特許第EP 1148086号公報
【特許文献6】米国特許第US 6825270号明細書
【特許文献7】欧州特許第EP 770632号公報
【特許文献8】欧州特許第EP 1251143号公報
【特許文献9】欧州特許第EP 620236号公報
【特許文献10】米国特許公開第2005-0070662号明細書
【特許文献11】米国特許第US 6569941号明細書
【特許文献12】欧州特許第EP 664303号公報
【0022】
残留物のレベルは一般に100〜1000ppm、大抵は200〜500ppmである。ビニル芳香族ポリマーがポリスチレンである実施例の残留物は主としてスチレンである。エチルベンゼンのレベルは0〜100ppmである。
【0023】
粉末状固体の粒径は5ナノメートルから200マイクロメートルであるのが好ましい。この粉末状固体は気孔を有していなくてもよい。気孔がある場合の好ましい気孔の大きさは1.8ナノメートルから20ナノメートルである(メソポロシティー、mesoporosityとよばれる)。固体の比表面積は100m2/g以上、好ましくは150〜1000m2/gの間、より好ましくは500〜1000m2/gの間であるのが好ましい。比表面積は高ければ高いほど好ましい。粉末固体の化学組成はシリカアルミナであるのが好ましく、アモルファス・シリカアルミナ(ASA)、結晶質シリカアルミナ(CSA)およびヒュームドシリカ・アルミナ(FSA)から成る群の中から選択するのが好ましい。微細孔度(microporosity)はできるだけ小さいのが好ましい。このことはミクロ孔の全容積は全孔隙率(total porosity)の5%以下でなければならないということを意味する。全孔隙率とはメソポア(mesopores)の容積とミクロポア(micropores)の容積を意味する。Si/Alの原子比は2.5〜150、好ましくは2.5〜100であるのが好ましい。ASAではSi/Alの原子比は6〜40であるのが好ましい。
【0024】
粉末状固体の酸度は9以下、好ましくは3〜6であるのが好ましい。粉末状固体の酸度は蒸留水中に粉末状固体を2重量%含むもので測定する。粉末状固体は上記の特徴の少なくとも2つ以上を同時に有することができる。
【0025】
ビニル芳香族ポリマー中での粉末状固体の比率は0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%、さらに好ましくは0.2〜0.6重量%であるのが好ましい。アルキル化反応時間は約10秒〜約10分で、律速ファクタは未重合モノマー、粉末状固体およびビニル芳香族ポリマー間の接触品質である。
【0026】
粉末状固体は最後の脱揮部の上流に注入できるが、ビニル芳香族モノマー重合設備の最後の脱揮部の下流に注入するのがより好ましい。脱揮とは重合中に未重合モノマーを除去することを意味する。ビニル芳香族ポリマーとの混合を確実にするために静的混合器(スタティックミキサ)を加えることができる。粉末状固体をオイル、ビニル芳香族モノマー、その他の有機液体と混合して混合物とし、ポンプまたは押出機を用いてそれを注入することもできる。また、粉末状固体をビニル芳香族ポリマー中にマスターバッチの形にし、このマスターバッチに押出機を用いてビニル芳香族ポリマーに加えることもできる。さらに、粉末状固体を水に懸濁し、ビニル芳香族モノマーの重合設備のストリッピング部で脱揮中加えることもできる。この方法はヒュームドシリカ・アルミナの場合には特に有用である。また、粉末状固体をビニル芳香族ポリマーに加え、得られた混合物を押出機または熱可塑性の分野で一般的な混合装置中で溶融することもできる。また、ビニル芳香族ポリマーが溶融状態にある間に粉末状固体をビニル芳香族ポリマーに加え、ペレットにし、それを金型や押出し装置およびその均等装置に射出、供給することもできる。
粉末状固体をビニル芳香族ポリマーにどのような方法で加えるにせよ、ビニル芳香族ポリマーに塩基性pH添加剤を加える場合には、その前に粉末状固体を加えることが推薦される。
【実施例】
【0027】
結晶性ポリスチレン(PS)の顆粒と粉末状固体を下記条件下で押出した。透明なポリスチレン(MI2=30)を粉末状固体と一緒に計量ホッパーを介して2.5kg/時の流速で一軸スクリュー押出機に供給した。なお、粉末状固体を加えないものもテストした。押出機に沿った押出し温度分布は190〜210℃である。押出機中でのPSの平均滞流時間は12分である。ダイの出口でPSサンプルを採り、サンプル中のスチレン、E−ベンゼン残留物の含有量を以下の方法(溶解/沈殿による揮発成分抽出)で求めた:
(1)2gのサンプルをジクロロメタン(20cc)中に溶かす(4時間撹拌)、
(2)5mlのメタノールを加えてPSを沈殿させる(4時間撹拌)、
(3)気相クロマトグラフィによって溶液中のエチル−ベンゼン(EB)濃縮を求める。
結晶性ポリスチレンはトータル ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)社の溶融粘度指数MI5(5kg−200℃)が30である商業グレード(PS 1960)である。
ゼオライトY(UOP社からのAbscent 1000)のSi/Al比は30、pHは5.2、平均細孔径は10オングストローム(1ナノメートル)である。
FSAはデグッサ社から供給されたアエロジル(Aerosil、登録商標)R MOX 170であり、ASAはグレイス社から供給されたによってダビキャット(Davicat、登録商標)である。
結果は[表1]にまとめた。
【0028】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融状態のビニル芳香族ポリマーを、ビニル芳香族ポリマー上の残留ビニル芳香族モノマーをアルキル化する触媒作用を有する粉末状固体と接触させることを特徴とする、ビニル芳香族ポリマー中の、非重合ビニル芳香族モノマーを主成分とする残留物の含有量を減らす方法。
【請求項2】
ビニル芳香族ポリマーが下記の(i)と(ii)から成る請求項1に記載の方法:
(i) 60〜100重量%の一種以上のC8〜12ビニル芳香族モノマー、
(ii) 0〜40重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC1-4アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択される一種以上のモノマー、
(上記ポリマーは0〜20重量%の一種または複数のゴム状ポリマー上にグラフトされ、または、ゴム状ポリマー中に含まれていてもよい)
【請求項3】
粉末状固体の粒径が5ナノメートル〜200マイクロメートルである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粉末状固体の比表面積が100m2/g以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
粉末状固体が気孔を有しない請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
粉末状固体の孔径が1.8ナノメートル〜20ナノメートルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粉末状固体の化学組成がシリカアルミナである請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
粉末状固体が非晶質シリカアルミナ(ASA)、結晶質シリカアルミナ(CSA)およびヒュームドシリカアルミナ(FSA)から成る群の中から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Si/Alの原子比が2.5〜150である請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
粉末状固体の酸度が9以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
粉末状固体の酸度が3〜6である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法で作られたビニル芳香族ポリマー。

【公表番号】特表2009−544779(P2009−544779A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521208(P2009−521208)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057259
【国際公開番号】WO2008/012217
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(305041979)トタル ペトロケミカルス フランス (6)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL PETROCHEMICALS FRANCE
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】