ビルトイン型空気調和装置
【課題】1次側室の静圧によってドレンパンが下方に押し下げられるのを防止したビルトイン型空気調和装置を提供する。
【解決手段】ユニット本体の内側を、仕切板55により、熱交換器60を収容する熱交換室と、送風ファン50を収容する送風室とに仕切り、送風ファン50で吸い込んだ空気を、熱交換器60で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、熱交換器60の下面のドレンパン70を底板で覆い、底板には、ユニット本体の長手方向に延出し、ドレンパン70に当接して、ドレンパン70を下方から押し上げて支持するビード71,72を設けた。
【解決手段】ユニット本体の内側を、仕切板55により、熱交換器60を収容する熱交換室と、送風ファン50を収容する送風室とに仕切り、送風ファン50で吸い込んだ空気を、熱交換器60で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、熱交換器60の下面のドレンパン70を底板で覆い、底板には、ユニット本体の長手方向に延出し、ドレンパン70に当接して、ドレンパン70を下方から押し上げて支持するビード71,72を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井部に設置された室内機を備えるビルトイン型空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の天井裏空間等の天井部に設置される室内機と、当該室内機に冷媒配管を介して接続される室外機とを備えるビルトイン型空気調和装置が知られている。この種のビルトイン型空気調和装置では、室外機に圧縮機、及び、室外熱交換器を収容し、室内機に室内熱交換器、及び、送風機を収容し、圧縮機、室外熱交換器、及び、室内熱交換器を冷媒配管で接続して冷媒回路を構成すると共に、送風機によって室内熱交換器に送風され、室内熱交換器内を流れる冷媒と熱交換した調和空気を吹出ダクトを介して被調和室に吹き出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−162064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビルトイン型空気調和装置の室内機では、ユニットケースの内部を、天板、及び、底板に略垂直に設けられる仕切板で、送風ファンを収容する送風室と、熱交換器を収容する熱交換室とに区分け、熱交換室は、さらに、熱交換器によって熱交換器の上流側の1次側室と、下流側の2次側室とに区分けされている。熱交換室では、熱交換器が通風抵抗となり、1次側室で静圧が高くなる。熱交換室の底部には、熱交換器からのドレン水を受けるドレンパンが底板に支持されて設けられている。熱交換器は、下端部がドレンパンに当接した状態で取り付けられているが、ドレンパンが1次側室での高い静圧によってユニットケース11の下方に押し下げられて、熱交換器の下端部がドレンパンから浮き上がった状態となる場合がある。熱交換器の下端部がドレンパンから浮き上がった状態となった場合、1次側室の空気が、ドレンパンと熱交換器下端部との間の隙間から2次側室に流れ、熱交換効率が低下するという問題がある。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、1次側室の静圧によってドレンパンが下方に押し下げられるのを防止したビルトイン型空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ユニット本体の内側を、仕切り板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたことを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記ビードが、前記仕切り板と前記熱交換器との間の下方に位置する構成としても良い。また、前記ビードが、前記熱交換器と前記ドレンパンとの当接部の下方に位置する第1ビードを含み、前記ドレンパンが、該第1ビードと前記熱交換器間に挟持される構成としても良い。また、前記ビードが、前記仕切り板と前記ドレンパンとの当接部の近傍の下方に位置する第2ビードを含み、該第2ビードに対向して、前記仕切り板に前記ドレンパンの側面上端が当接する位置決め板を設け、前記ドレンパンが、該第2ビードと前記位置決め板間に挟持される構成としても良い。また、前記熱交換器が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部及び下側熱交換部を含み、くの字の頂点に対向させて前記送風ファンの吹き出し口を設けた構成としても良い。また、前記送風機は遠心送風機である構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユニット本体の内側を、仕切り板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたため、ビードによって底板の強度が向上され底板の変形を防止することができるとともに、ビードがドレンパンをユニット本体10の内側に固定する補助的役割を果たし、ドレンパンが熱交換室の1次側室側の静圧によって下方に押し下げられるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るビルトイン型空気調和装置を示す側面図である。
【図2】室内ユニットの外観斜視図である。
【図3】室内ユニットを下面側から視た外観斜視図である。
【図4】室内ユニットの内部構成を示す図である。
【図5】室内ユニットの断面図である。
【図6】熱交換室の断面図である。
【図7】室内熱交換ユニットの斜視図である。
【図8】一方側固定部材の斜視図である。
【図9】他方側固定部材を示す図であり、(A)は他方側固定部材の正面図、(B)は、他方側固定部材を室内熱交換器に取り付けた状態を示す正面図である。
【図10】室内熱交換ユニットを取り外す際の室内ユニットの配管引出側を示す斜視図である。
【図11】ポンプユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明を適用した実施形態に係るビルトイン型空気調和装置1は、不図示の室外ユニットと、室外ユニットに冷媒配管で接続された室内ユニット5と、から構成される。図示は省略したが、室外ユニットは、建物の屋上等の屋外に配設され、室外空気と熱交換して冷房運転時には冷媒を凝縮させて外気に熱を放出し、暖房運転時には冷媒を蒸発させて外気から熱を取り込むものである。ビルトイン型空気調和装置1は、この冷媒を室外ユニットと、室内ユニット5の室内熱交換器(熱交換器)60との間で循環させて、被調和室2の空気調和を行う。
【0010】
室内ユニット5は、図1に示したように、建物31の天井32と天井板33との間の天井裏空間34内に懸吊して配設され、室内熱交換器(熱交換器)60と、室内熱交換器60に送風する送風ファン50を収容して構成されるユニット本体10と、ユニット本体10から天井板33に延びる吸込みダクト53、及び、吹出ダクト54とを有して構成される。
ユニット本体10のユニットケース11は、天板12、底板13、側板14A,14B、吸込側パネル15、及び、吹出側パネル(前板)16を備え、略矩形に形成される。ユニットケース11は、側板14A,14Bに固定された複数の吊金具41を備える。ユニット本体10は、これらの吊金具41を天井32から垂下された吊ボルト42に止着させて、天井裏空間34内に懸吊される。天井板33には、適宜の位置に、特に、ユニット本体10の真下近傍に、着脱自在の天井パネル35が取り付けられ、この天井パネル35を取り外すことで、被調和室2側から、室内ユニット5の各種メンテナンスを行うことができる。
【0011】
ユニットケース11は、一対の対向する側面に配置された吸込側パネル15、及び、吹出側パネル16を備え、送風ファン50の上流側に配置された吸込側パネル15に形成された吸込口17と、室内熱交換器60の下流側に配置された吹出側パネル16に形成された吹出口18とを有している。天井板33の適宜位置には、被調和室2内と天井裏空間34とを連通させる吸気口51と、給気口52とが設けられる。ユニットケース11の吸込口17と、天井板33の吸気口51とは、吸込みダクト53で接続される。また、ユニットケース11の吹出口18と、天井板33の給気口52とは、吹出ダクト54で接続される。
【0012】
室内ユニット5は、送風ファン50の駆動により、被調和室2内の空気を吸気口51、吸込みダクト53、吸込口17を介してユニット本体10内に吸い込み、吸い込んだ空気を室内熱交換器60に送風して室内熱交換器60内を流れる冷媒と熱交換をさせ、調和空気を、吹出口18、吹出ダクト54、給気口52を介して、被調和室2内に供給する。つまり、室内ユニット5は、被調和室2の空気を吸い込んで、室内熱交換器60内を流れる冷媒と熱交換させた調和空気を再び被調和室2に吹出している。
【0013】
図2に示すように、ユニットケース11の、一方側の側面を形成する側板14Aには、メンテナンスパネル56と、ポンプユニット75と、蓋体(配管押さえ)68とが着脱自在に取り付けられている。メンテナンスパネル56は、ユニットケース11内に収容された不図示の電装ユニットのメンテナンスを行うために側板14Aに設けられたメンテナンス用開口を塞ぐように側板14Aに取り付けられる。ポンプユニット75は、後述するドレンパン70からドレン水をくみ上げるドレンポンプ78と、ドレンポンプ78の固定具79とで構成され、側板14Aに設けられたポンプ取付用開口75Aを介してドレンポンプ78をユニットケース11内に収容すると共に、固定具79でこのポンプ取付用開口75Aを塞ぐようにして側板14Aに取り付けられる。蓋体68は、室内熱交換器60に接続され、側板14Aを切欠き68Cを介して貫通する補助冷媒管67を押さえるために配設される。また、側板14Aに蓋体68を取り付けたときには、側板14Aに形成された切欠き68Cを塞ぐように構成されている。
【0014】
このように、ユニットケース11の側板14A側に、電装ユニットと、ドレンポンプ78と、補助冷媒管67と、をまとめて配置したため、ユニット本体10のメンテナンス性を向上することができる。
ポンプユニット75の下方には、側板14Aを下方に開口するように切り欠いたドレン配管用切欠き19が設けられる。このドレン配管用切欠き19には、ドレン配管押さえ76が、ドレン配管用切欠き19に着脱自在に嵌合されて備えられている。ドレン配管押さえ76には、ドレン排水管77が貫通する孔76A(図10参照)が設けられ、後述するドレンパン70に接続されたドレン排水管77は、この孔76Aから突出し配設されている。例えばユニット本体10のメンテナンス時に、ドレンパン70内に残存しているドレン水を排出させるときには、このドレン排水管77を介してドレン水をユニット本体10の外部に排出させることができる。
【0015】
吹出側パネル16には、吹出口18の両側方外側に上下に並べてねじ孔69A,69Aが形成されている。天板12には、ねじ孔69Aとユニットケース11のユニット幅W方向の略同じ位置に、ねじ孔69B,69Bが形成されている。これらの各ねじ孔69A,69Bには、詳述については後述するが、室内熱交換器60をユニットケース11に固定するためのねじ4(図5参照)が螺合される。
【0016】
ユニット本体10内では、吸込口17から吸い込まれた空気は、ユニットケース11の奥行L方向に沿って吹出口18に向かって流れ、室外ユニット間で循環する冷媒は、この空気の流れとは略直行し、ユニットケース11のユニット幅W方向に沿って流れるように構成されている。
【0017】
図3に示すように、底板13は、ユニットケース11の奥行L方向に、2分割され、吸込口17側の送風室側底板13Bと、吹出口18側の熱交換室側底板13Aとから構成される。熱交換室側底板13Aには、ユニットケース11の奥行L方向の所定の位置に、ユニットケース11の幅方向(長手方向)に延出する第1ビード71、及び、第2ビード72が形成される。ビード71,72は、第1ビード71のように連続した一本のビードであっても良いし、或いは、第2ビード72のように、複数本に分割して形成されていても良い。底板13は、金属製の薄い板状部材から形成され、ビード71,72は、この板状部材にプレス加工等を施して形成される。各ビード71,72の長さ、形成する位置、及び、形成する数は、底板13の大きさ、形状、厚みに対して適宜に変更可能である。ユニットケース11の奥行Lの寸法は、室内ユニット5の出力によって適宜に変更可能であり、奥行L寸法の小さなユニットケース11では、底板13も短くなり、この場合、例えば、ビード71,72は、同じ長さで、ユニットケース11の幅W方向いっぱいに設けられている構成であっても良い。熱交換室側底板13Aは、ビード71,72を備えるため、強度が向上される。
【0018】
図4は、ユニットケース11から、天板12を取り外した図である。ユニットケース11の内部は、図4に示すように、天板12、及び、底板13に略垂直に設けられた仕切板55で、送風ファン50を収容する送風室R1と、室内熱交換器60を収容する熱交換室R2とに区分けされる。仕切板55は金属の板材などで形成される。
【0019】
送風ファン50には、遠心送風ファンであるシロッコファンが用いられる。送風ファン50は、多数の羽根を備えた筒状のファン本体50Aが、ファンケース50Bに収容され、ファン本体50Aの軸方向に延びるモータ軸50Cが、ファンモータ20に連結され、このファンモータ20の駆動によってファン本体50Aが回転する。送風室R1に収容される送風ファン50の数は、ユニットケース11の寸法(室内ユニット5の出力容量)に合わせて適宜に変更可能である。また、本実施形態では、送風室R1には、複数の送風ファン50が一本のモータ軸50Cによって連結されて備えられ、単一のファンモータ20でこれらの複数の送風ファン50が同様に回転駆動するが、これに限らず、複数の送風ファン50のそれぞれがファンモータ20を備える構成であっても良い。仕切板55には開口55Aが設けられ、送風ファン50の送風口(吹き出し口)50Dは開口55Aに接続されて熱交換室R2側に露出している。
【0020】
室内熱交換器60は、図5に示すように、平板状の上側熱交換部61と、下側熱交換部62とを含み、これらの上側熱交換部61と、下側熱交換部62とが、側面視で略くの字状に組み合わせて連結されている。この構成によれば、室内熱交換器60は、平板状の2つの熱交換部61,62を側面視で略くの字状に連結させて構成されているため、平板状の熱交換器を縦置きに配置する場合に比べて、熱交換器の高さを低く抑えて、且つ、熱交換面積を広くすることができる。
【0021】
上側熱交換部61、下側熱交換部62は、ともに、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であり、通風方向に延びる一対の管板と、管板間に互いに間隔を開けて配置される複数のフィン板と、これらフィン板を貫通する複数のチューブを備えて構成されている。チューブは、前後に複数列(本実施形態では3列)、上下に複数段に並べられて、各チューブの端に設けられたU字部(Uベント)によって1本の冷媒配管として連結されている。
【0022】
上側熱交換部61は、上端部61Cが天板12の下面傍らまで延在し、下側熱交換部62は、下端部62Cが後述するドレンパン70と当接し、これによって、熱交換室R2は、室内熱交換器60によって、室内熱交換器60の上流側の1次側室65Aと、室内熱交換器60の下流側の2次側室65Bとに区分けされる。また、上側熱交換部61および下側熱交換部62は、同じ幅で形成されて、ユニット幅Wの略一杯に収容されている。
【0023】
上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、下側熱交換部62の1次側室65Aに対向する、空気の流入側面62Aの上に、上側熱交換部61の下端部(下端)61Aが乗り上げ、重ねた状態で配置されている。上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、このように、下側熱交換部62の空気の流入側面62A上に、上側熱交換部61の下端部61Aを重ねて、互いに略直角に、側面視で略くの字状に連結される。つまり、室内熱交換器60のくの字の頂点60Aは、下側熱交換部62の上端部62Bの吹出口18側角部で形成される。また、上側熱交換部61は、下側熱交換部62の上端部62Bよりも送風ファン50側、つまり、1次側室65A側に寄せて配置され、上側熱交換部61の空気の流出側面61Bと、下側熱交換部62の上端部62Bとの間には、段差60Cが形成される。
【0024】
上側熱交換部61で発生し、自重で流出側面61Bを伝って流れる結露水等のドレン水は、上側熱交換部61の空気の流出側面61Bと、下側熱交換部62の上端部62Bとの間に形成された段差60Cで受け止められて、下側熱交換部62の表面を伝って流れる。これにより、上側熱交換部61で発生したドレン水が、上側熱交換部61と、下側熱交換部62との連結部60Bから飛散するのを防止することができる。
【0025】
送風ファン50は、送風口50Dからの吹き出し方向が上側熱交換部61と、下側熱交換部62との連結部60Bに向かうように、送風口50Dが斜め下向きに設けられるように配置される。室内熱交換器60は、上側熱交換部61のチューブ段数が6段に構成され、下側熱交換部62のチューブ段数が10段に構成される。つまり、上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、同じ厚さ、同じ幅で形成され、かつ、下側熱交換部62の熱交換面積が、上側熱交換部61の熱交換面積よりも大きく形成されている。これにより、送風ファン50の吹出し方向が下向きで、かつ、下側熱交換部62の熱交換面積が大きく形成されているため、上側熱交換部61と、下側熱交換部62とを通る空気の量をそれぞれ略同じにすることができ、上側熱交換部61と、下側熱交換部62との熱交換面内での温度差を小さくして、室内熱交換器60内での熱交換効率の均一化を図ることができる。
【0026】
室内熱交換器60は、くの字の開放側が図4に示したように、送風ファン50の送風口50Dに対向する向きで配置される構成であっても良いし、或いは、図示は省略したが、くの字の頂点側が送風ファン50の送風口50Dに対向する向きで配置される構成であっても良い。熱交換器60は、下側熱交換部62の水平方向に対する傾きαが37度より小さくならないように配置される。下側熱交換部62の水平方向に対する傾き角度を37度以上とすることにより、ドレン水が下側熱交換部62を伝って流れにくくなるのを防止することができ、熱交換器60の熱交換能力がドレン水の付着により低下するのを防止することができる。
【0027】
室内熱交換器60の下方には、室内熱交換器60のドレン水を受けるドレンパン70が配置される。ドレンパン70は、熱交換室R2の底面一杯を覆い、底板13に支持される。ドレンパン70は、発砲スチロール製であり、室内熱交換器60のドレン水を受ける内側は防水、防カビのために、樹脂シート等で覆われる。これにより、ドレンパン70を軽量化することができる。ドレンパン70には、底部が一段低くなったドレン溜まり70Aが形成され、このドレン溜まり70Aには、図示は省略したが、ドレンポンプ78の吸込み口が配置されている。
【0028】
また、ドレンパン70には、下側熱交換部62の下端部62Cが当接する当接部73が形成される。この当接部73には、図示は省略したが、緩衝材がドレンパン70の幅方向に略一杯に延在している構成であっても良い。
底板13は、送風室R1側の底面を覆う送風室側底板13Bと、熱交換室R2側の底面を覆う熱交換室側底板13Aとに分割されている。ドレンパン70は、熱交換室側底板13Aを取り外すことで、ユニットケース11から着脱自在に備えられる。ドレンパン70は、4側面が底面に対して立ち上がった箱形状に形成される。仕切板55、及び、吹出側パネル16の熱交換室R2側の面には、ドレンパン70の側面上端が当接する位置決め板74Aがユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数設けられている。つまり、ドレンパン70は、位置決め板74A,75と、熱交換室側底板13Aとの間に挟まれた状態で保持される。このように、ドレンパン70は、熱交換室側底板13Aに支持されてユニットケース11内に収容されるため、熱交換室側底板13Aを取り外して、ユニットケース11の底面側から容易に脱着させることができる。
【0029】
熱交換室側底板13Aには、図6に示したように、上述したビード71,72が形成されている。ビード71,72は、仕切板55と熱交換器60との間の1次側室65Aの下方に位置する。第1ビード71は、下側熱交換部62の下端部62Cと、ドレンパン70とが当接する当接部73の下方に位置する。つまり、ユニットケース11に室内熱交換器60、ドレンパン70、及び、熱交換室側底板13Aを取り付けた状態で、下側熱交換部62の下端部62Cと、ドレンパン70と、が当接する当接部73、及び、熱交換室側底板13Aの第1ビード71が、上下方向に並ぶように構成されている。
第2ビード72は、ドレンパン70の側面上端70Aと、仕切板55に取り付けられた位置決め板74Aと、が当接する位置の下方に設けられる。つまり、ユニットケース11にドレンパン70と、熱交換室側底板13Aとを取り付けた状態で、仕切板55に取り付けられた位置決め板74Aと、ドレンパン70の側面上端70Aと、が当接する当接部、及び、第2ビード72と、上下方向に並ぶように構成されている。
【0030】
仕切板55は、上側仕切板55Bと、下側仕切板55Cとから構成される。下側仕切板55Cは、一枚の板が略L字状に折り曲げられて、上側仕切板55Bに接着される接続部74Bと、ユニットケース11の底面の一部を形成する底板部74Cと、を一体に備えるように形成される、備える。また、下側仕切板55Cには、位置決め板74Aが一体に形成されている。位置決め板74Aは、接続部74Bの上部に、ユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数設けられた延出部位を、接続部74Bに対して略直角に、底板部74Cとは逆方向に折り曲げて形成される。
【0031】
熱交換室側底板13Aは、ユニットケース11の奥行L方向の一方側が、仕切板55よりも送風室R1側に延出している。熱交換室側底板13Aは、この一方側が底面側から下側仕切板55Cの底板部74Cに、ユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数箇所、ねじ3でねじ留めされて固定される。
前板16は、断面視略コ字状に上下をユニットケース11の内側に折り曲げて、天部16A、及び、底部16Bが形成される。底部16Bには、熱交換室側底板13Aの他方側が、底面側からユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数箇所、ねじ3でねじ留めされて固定される。このように、熱交換室側底板13Aは、ユニットケース11の底面側から底部16B、及び、底板部74Cに、幅方向の両端部を押し当てた状態で、ねじ3でねじ留めされているため、天井パネル35を取り外した被調和室2側からでも容易に取り外すことができ、熱交換室R2のメンテナンス性を向上することができる。
天部16Aには、天板12がねじで固定されて、室内熱交換器60の上端60Dと、天板12との間には、2次側室65の上面を覆う発泡材等によって形成された断熱材21が取り付けられる。
【0032】
ところで、熱交換室R2内では、室内熱交換器60が通風抵抗となるため、1次側室65A内で静圧が高くなる。この1次側室65Aで、ドレンパン70は、下側熱交換部62の下端部62Cと第1ビード71の間、及び、位置決め板74Aと第2ビード72の間に挟持される。これによって、ビード71,72は、ドレンパン70を補助的に固定する役割をはたし、簡単な構成で、ドレンパン70が1次側室65A側の静圧によって浮き上がるのを防止することができる。
【0033】
室内熱交換器60の幅方向の両幅端部には、図7に示すように、一端側固定部材63Aと、他端側固定部材63Bがそれぞれ取り付けられている。固定部材63A,63Bは、樹脂により成形され、固定部材63A,63B間に室内熱交換器60を挟み込みようにして、室内熱交換器60と一体に固定される。
室内熱交換器60の一端部には、一端側固定部材63Aが固定される。室内熱交換器60の一端部には、この一端部に取り付けられた管板と一体に形成され、上側熱交換部61の上端部61Cと、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aとへ延出する固定部8が設けられる(図6参照)。一端側固定部材63Aは、この固定部8に、ねじ8aで螺合されて、室内熱交換器60に固定される。
【0034】
図8は、一端側固定部材63Aを、図7中に示した矢印方向から視た図である。一端側固定部材63Aには、図8に示すように、室内熱交換器60の管板から突出するUベントが挿入される複数のベント孔81が形成される。各ベント孔81は、管板から突出するUベントの位置に対応付けて形成され、一端側固定部材63Aは、各ベント孔81にUベントを挿入することで、位置決めされて、上述したように固定部8をねじ留めすることで、簡単に室内熱交換器60に取り付けることができる。ベント孔81には、外周に沿って周壁81Aが形成される。周壁81Aは、ベント孔81に挿入されるUベントの高さと略同じ高さに形成される。また、一端側固定部材63Aの幅W2は、ベント孔81に挿入されるUベントの高さと略同じに形成される。周壁81A、及び、一端側固定部材63Aにより、管板から突出するUベントの周囲を囲み、室内熱交換器60をユニットケース11から着脱する際に、Uベントが他の部材にぶつかるのを防ぐことができる。また、各ベント孔81にUベントを挿入することで、一端側固定部材63Aを室内熱交換器60に対して、位置決め、及び、仮固定することができ、固定部材63を容易に室内熱交換器60に一体に固定することができる。
【0035】
室内熱交換器60の他端側には、図7に示すように、他端側固定部材63Bが取り付けられる。他端側固定部材63Bからは、室内熱交換器60を、ガス管、及び、液管に接続するための補助冷媒管67が延出している。補助冷媒管67は、ガス管への接続用であるガス管用補助冷媒管67Aと、液管への接続用である液管用補助冷媒管67Bとから構成される。補助冷媒管67は、他端側固定部材63B側にまとめられており、室内熱交換器60から一端側固定部材63Aの外側には突出する部材が無いように構成されている。
【0036】
他端側固定部材63Bは、図9(A)、図9(B)に示すように、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aに沿って、略くの字に形成された溝25を有する。溝25には、凹部26が形成され、凹部26には、管板9を固定するねじ7が螺合されるねじ孔26Aが設けられる。他端側固定部材63Bは、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aに溝25を沿うようにして、室内熱交換器60の2次側から管板9に固定される。管板9には、管板9に一体に形成され、管板9から延出する板材9Aを備える。板材9Aは、溝25に形成された凹部26に挿入される。板材9Aと、凹部26とは、ねじ7で螺合されて、他端側固定部材63Bが、室内熱交換器60と一体に固定される。このように、他端側固定部材63Bは、室内熱交換器60の2次側に管板9に沿って溝25を備えるため、室内熱交換器60に接続される補助冷媒管67に干渉することなく取り付けることができる。
このようにして、室内熱交換器60と、固定部材63A,63Bと、補助冷媒管67とは、室内熱交換ユニット80として一体化され、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11に一体に着脱自在に取付けられる。
【0037】
固定部材63A,63Bには、図7、図8、図9に示すように、室内熱交換ユニット80をユニットケース11にねじで固定するためのねじ孔64A,64Bが形成されている。ねじ孔64Aは、ユニットケース11の天板12に形成されたねじ孔69Bに対応する位置に設けられ、これらのねじ孔69B、及び、ねじ孔64Aをねじで螺合して、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11の天板12に固定される。ねじ孔64Aは、一端側固定部材63Aに設けられたように、一端側固定部材63Aに一体に形成されていても良いし、或いは、他端側固定部材63Bに設けられたように、他端側固定部材63Bに一体に固定される金属製のブラケット等に形成されていても良い。固定部材63A,63Bには、ねじ孔64Bが内部に形成されるボス部64Cが備えられ、ボス部64Cの内側には、ねじ孔64Aを介してねじが螺合されるねじ山がきられている。
【0038】
ねじ孔64Bは、ユニットケース11の吹出側パネル16に形成されたねじ孔69Aに対応する位置に設けられる。ねじ孔69Aは、室内熱交換器60と略同じ幅に形成された吹出口18の近傍に上下に並べて複数設けられ、これらのねじ孔69A、及び、ねじ孔64Bをねじで螺合して、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11の吹出側パネル16に固定される。
このように固定部材63A,63Bは、熱交換室R2において、室内熱交換器60の両側面側から、室内熱交換器60の上流側の1次側室65Aと、2次側室65Bとを仕切る役割を果たす。また、固定部材63A,63Bは、断熱性に優れた樹脂材により形成されるため、固定部材63A,63Bには、断熱材を貼りつけることなく、2次側室65Bと、1次側室65Aとを断熱することができる。
【0039】
室内熱交換ユニット80は、幅方向の両側端部に取り付けた固定部材63A,63Bに設けたねじ孔64A,64Bを用いて、天板12、と、吹出側パネル16とに固定されて、ユニット本体10の内側に固定することができる。これにより、固定部材63A,63Bは、室内熱交換器60の両側面側で1次側室65Aと2次側室65Bとを仕切る役割を果たすとともに、室内熱交換器60をユニット本体10内に固定する役割を果たすため、例えば、仕切板55に室内熱交換器60を固定するための固定具を設けて、室内熱交換器60をユニット本体10の内側に固定する場合にくらべて、部品点数の削減と、取付作業性の向上を図ることができる。また、室内熱交換器60から送風ファン50側への固定具の飛び出しがなく、熱交換室R2の1次側室65Aでの通風抵抗を低減させることができる。
【0040】
また、室内熱交換器60の一端側に取り付けられる一端側固定部材63Aに、管板から突出するUベントが挿入されるベント孔81を設け、室内熱交換器60の他端側に取り付けられる他端側固定部材63Bは、管板9の2次側形状に沿った形状に形成された溝25を備えるため、室内熱交換器60の両端から外側に突出する部材と干渉することなく、室内熱交換器60を両端側から挟み込むようにして固定部材63A,63Bを取り付けることができる。このように、互いに異なる形状に形成された一対の固定部材63A,63Bとを用いて、室内熱交換器60を、室内熱交換器60に接続される補助冷媒管67と一体にユニット本体10内に着脱自在に備えることができ、室内熱交換器60のメンテナンス性が向上する。室内熱交換ユニット80は、詳細については後述するが、図10に示した下方開口部40から熱交換室R2内に挿入可能に備えられる。
【0041】
図10は、熱交換室側底板13A、及び、ドレンパン70を取り外した状態のユニット本体10を斜め下側から視た図である。このようにユニットケース11の下面には、熱交換室側底板13A、及び、ドレンパン70を取り外すことで、熱交換室R2の底全体に亘る下方開口部(開口部)81が形成される。
側板14Aには、蓋体(配管おさえ)68と、ドレンポンプを固定する固定具79と、内部に収容される電装ユニット用のメンテナンスパネル56とが、それぞれ別体に形成されて、着脱自在に取り付けられている。図10は、説明の便宜上、蓋体68をユニットケース11から取り外している状態を示している。
【0042】
ユニットケース11の側板14Aには、蓋体68が取り付けられる切欠き68Cが設けられる。切欠き68Cは、ユニットケース11の下方に開口し、下方開口部40と連通するように形成される。室内熱交換器60から側板14Aの外方に突出する補助冷媒管67は、この切欠き68Cを介して、室内熱交換器60と一体に下方開口部40から熱交換室R2内に挿入される。側板14Aには、切欠き68Cに、補助冷媒配管が挿入可能に下方を開口する逆U字溝66A,66Bを備えている。つまり、切欠き68Cは、各逆U字溝66A,66Bが補助冷媒管67に対応する位置に配置されるように形成されている。
【0043】
蓋体68は、この逆U字溝66A,66Bに対応する位置に設けられた上方に開口するU字溝68A,68Bを備える。蓋体68は、側板14Aの切欠き68Cを塞ぎ、蓋体68の下部に設けられたねじ孔68D,68Dに挿入される不図字のねじで、側板14Aに固定される。蓋体68には、ねじ孔68D,68Dの上方に、蓋体68の長さ寸法L2に亘る取っ手68Eが形成され、この取っ手68Eを手で押さえて、蓋体68を側板14Aから着脱させることができる。側板14Aに蓋体68を取り付けたときには、蓋体68のU字溝68A,68Bと、側板14Aの逆U字溝66A,66Bとの協働により、補助冷媒管67が側板14Aに保持される。
【0044】
また、蓋体68には、U字溝68Bと、取っ手68Eの間に注水用開口85形成される。注水用開口85は、通常は、蓋体68にねじ等で固定される蓋86で閉封されている。ユニット本体10の取り付け時等、ユニット本体10内でのドレン水の流れを確認する際には、この注水用開口85から蓋86を取り外し、注水用開口85を介して熱交換室R2内に注水を行ってドレン水の流れを確認する。
【0045】
蓋体68は、ユニットケース11の側板14Aにねじ等によって固定され、これらのねじを取り外して、ユニットケース11から下方に取り外すことができる。蓋体68を側板14Aから取り外すことで、切欠き68Cは、下方開口部40と連通する。これにより、ユニットケース11には、室内熱交換ユニット80から補助冷媒管67を取り外すことなく室内熱交換ユニット80をユニットケース11から下方に引き出して取り外すことができるように底面側が開放される。
【0046】
室内熱交換ユニット80を取り外す際には、まず、ビルトイン型空気調和装置1のポンプダウン運転を行い、図示は省略したが、室外ユニット、或いは、冷媒回収機に室内熱交換器60内の冷媒を全て回収して、バルブを閉じ、室内熱交換器60を冷媒回路から断絶する。次に、天井パネル35を取り外した天井板33の開口を介して、ユニットケース11から、熱交換室側底板13A、ドレンパン70、及び、配管押さえ68を取り外して、ユニットケース11の下部に室内熱交換ユニット80を下方に取り外すための開口を設ける。
ドレンパン70に接続されたドレン排水管77は、側板14Aに形成された下方に開口する配管用切欠き19に嵌合するドレン配管押さえ76を介してユニットケース11の外部に突出するため、ドレンパン70をユニット本体10から取り外す際には、ドレン配管押さえ76と、ドレン配管押さえ76に貫通するドレン排水管77とを、ドレンパン70とともに、ユニットケース11の底板13を取り外した下方開口部40から取り外すことができる。
【0047】
続いて、ユニットケース11に室内熱交換ユニット80を固定しているねじ4を取り外す。詳述すると、ねじ孔64B、ねじ孔69Aに螺合されているねじ4をユニットケース11の外側から取り外すと共に、ねじ孔64A、ねじ孔69Bに螺合されているねじ4をユニットケース11の内側から取り外す。こうして、室内熱交換ユニット80は、熱交換室R2の下方開口部40を介してユニットケース11の下方に一体に引き出してユニット本体10から取り外すことができる。この構成によれば、室内熱交換ユニット80を、天井パネル35を取り外して、被調和室2側から容易に取り外すことができるため、作業スペースの限られた天井裏空間34内での作業を減らすことができ、室内熱交換器60のメンテナンス性を向上することができる。
【0048】
側板14Aにはまた、配管押さえ68の近傍にポンプユニット75が取り付けられている。ポンプユニット75は、図11に示すように、ドレンポンプ78と、ドレンポンプ78が固定される固定具79とを一体に備える。固定具79は、ドレンポンプ78が固定されるポンプ固定部79Aと、側板14Aに形成されるポンプユニット75を取り付けるためのポンプ取付用開口75Aを塞ぐ蓋部79Bと、が樹脂で一体に成形されている。ドレンポンプ78と、蓋部79Bとの間には、ドレンポンプ78がドレンパン70から吸い上げた水をユニットケース11外に排水するための排水管76が接続されている。
【0049】
ポンプユニット75は、ドレンポンプ78と、固定具79とを一体に、側板14Aから着脱自在に備えられ、蓋部79Bを側板14Aにねじ等で固定されている。これにより、ドレンポンプ78は、ポンプユニット75と一体に容易にユニットケース11から取り外すことができ、室内熱交換器60に補助冷媒管67に接続した配管施工後でも、ポンプユニット75をユニットケース11から取り外すことができ、ドレンポンプ78のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0050】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、ユニット本体10の内側を、仕切板55により、熱交換器60を収容する熱交換室R2と、送風ファン50を収容する送風室R1とに仕切り、送風ファン50で吸い込んだ空気を、熱交換器60で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置1において、熱交換器60の下面のドレンパン70を底板13で覆い、底板13には、ユニット本体10の長手方向に延出し、ドレンパン70に当接して、当該ドレンパン70を下方から押し上げて支持するビード71,72を設けたため、ビード71,72によって底板13の強度が向上され底板13の変形を防止することができるとともに、ビード71,72がドレンパン70をユニット本体10の内側に固定する補助的役割を果たし、ドレンパン70が熱交換室R2の1次側室65A側の静圧によって下方に押し下げられるのを防止することができる。これにより、ドレンパン70に当接する熱交換器60が、ドレンパン70が下方に押し下げられることで、ドレンパン70から浮き上がった状態となり、ドレンパン70と、熱交換器60の下端部62Cとの間隙から1次側室65Aの空気が2次側室65Bに流れ込むことがなく、熱交換器60の熱交換効率が低下するのを防止することができる。
【0051】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、仕切板55と熱交換器60との間の下方に位置するため、静圧が高くなる仕切板55と熱交換器60との間の1次側室65Aの下方にビード71,72を設けて、1次側室65Aの静圧によってドレンパンが下方に押し下げられるのを効果的に防止することができる。
【0052】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、熱交換器60とドレンパン70との当接部73の下方に位置する第1ビード71を含み、ドレンパン70が、該第1ビード71と熱交換器60間に挟持されるため、当接部73に対してドレンパンを下方から押し上げて支持することができ、1次側室65A内の高い静圧によって、ドレンパン70が下方に押し下げられて、ドレンパン70から熱交換器60が浮いた状態になるのを防ぐことができる。これにより、ドレンパン70と、熱交換器60の下端部62Cとの間隙から1次側室65Aの空気が2次側室65Bに流れ込むのを防止し、熱交換器60の熱交換効率が低下するのを防止することができる。
【0053】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、仕切板55とドレンパン70との当接部の近傍の下方に位置する第2ビード72を含み、該第2ビード72に対向して、仕切板55にドレンパン70の側面上端70Aが当接する位置決め板74Aを設け、ドレンパン70が、該第2ビード72と位置決め板74A間に挟持されるため、第2ビード72で、位置決め板74Aに対してドレンパン70の側面上端70Aを下方から押し上げて、ドレンパンを支持することができ、1次側室65A内の高い静圧によって、ドレンパン70が下方に押し下げられるのを防止することができる。
【0054】
また、本発明を適用した実施形態によれば、熱交換器60が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部61及び下側熱交換部62を含み、くの字の頂点に対向させて送風ファン50の吹き出し口50Dを設けたため、ユニットケース11を高さ寸法を変えることなく、熱交換器60の容量(熱交換面積)を大きくすることができる。
【0055】
また、本発明を適用した実施形態によれば、送風ファン50は遠心送風機であるシロッコファンであるため、大きな静圧を得ることができ、送風ファン50の下流に室内熱交換器60、及び、天井板33まで延びる比較的長い吹出ダクト54を備えた構成のビルトイン型空気調和装置であっても、大きな送風量を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ビルトイン型空気調和装置
R1 送風室
R2 熱交換室
10 ユニット本体
13 底板
13A 熱交換室側底板
13B 送風室側底板
25 溝
50 送風ファン
55 仕切板
60 室内熱交換器(熱交換器)
61 上側熱交換部
62 下側熱交換部
70 ドレンパン
70A 側面上端
71 第1ビード(ビード)
72 第2ビード(ビード)
73 当接部
74A 位置決め板
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井部に設置された室内機を備えるビルトイン型空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の天井裏空間等の天井部に設置される室内機と、当該室内機に冷媒配管を介して接続される室外機とを備えるビルトイン型空気調和装置が知られている。この種のビルトイン型空気調和装置では、室外機に圧縮機、及び、室外熱交換器を収容し、室内機に室内熱交換器、及び、送風機を収容し、圧縮機、室外熱交換器、及び、室内熱交換器を冷媒配管で接続して冷媒回路を構成すると共に、送風機によって室内熱交換器に送風され、室内熱交換器内を流れる冷媒と熱交換した調和空気を吹出ダクトを介して被調和室に吹き出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−162064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビルトイン型空気調和装置の室内機では、ユニットケースの内部を、天板、及び、底板に略垂直に設けられる仕切板で、送風ファンを収容する送風室と、熱交換器を収容する熱交換室とに区分け、熱交換室は、さらに、熱交換器によって熱交換器の上流側の1次側室と、下流側の2次側室とに区分けされている。熱交換室では、熱交換器が通風抵抗となり、1次側室で静圧が高くなる。熱交換室の底部には、熱交換器からのドレン水を受けるドレンパンが底板に支持されて設けられている。熱交換器は、下端部がドレンパンに当接した状態で取り付けられているが、ドレンパンが1次側室での高い静圧によってユニットケース11の下方に押し下げられて、熱交換器の下端部がドレンパンから浮き上がった状態となる場合がある。熱交換器の下端部がドレンパンから浮き上がった状態となった場合、1次側室の空気が、ドレンパンと熱交換器下端部との間の隙間から2次側室に流れ、熱交換効率が低下するという問題がある。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、1次側室の静圧によってドレンパンが下方に押し下げられるのを防止したビルトイン型空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ユニット本体の内側を、仕切り板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたことを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記ビードが、前記仕切り板と前記熱交換器との間の下方に位置する構成としても良い。また、前記ビードが、前記熱交換器と前記ドレンパンとの当接部の下方に位置する第1ビードを含み、前記ドレンパンが、該第1ビードと前記熱交換器間に挟持される構成としても良い。また、前記ビードが、前記仕切り板と前記ドレンパンとの当接部の近傍の下方に位置する第2ビードを含み、該第2ビードに対向して、前記仕切り板に前記ドレンパンの側面上端が当接する位置決め板を設け、前記ドレンパンが、該第2ビードと前記位置決め板間に挟持される構成としても良い。また、前記熱交換器が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部及び下側熱交換部を含み、くの字の頂点に対向させて前記送風ファンの吹き出し口を設けた構成としても良い。また、前記送風機は遠心送風機である構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユニット本体の内側を、仕切り板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたため、ビードによって底板の強度が向上され底板の変形を防止することができるとともに、ビードがドレンパンをユニット本体10の内側に固定する補助的役割を果たし、ドレンパンが熱交換室の1次側室側の静圧によって下方に押し下げられるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るビルトイン型空気調和装置を示す側面図である。
【図2】室内ユニットの外観斜視図である。
【図3】室内ユニットを下面側から視た外観斜視図である。
【図4】室内ユニットの内部構成を示す図である。
【図5】室内ユニットの断面図である。
【図6】熱交換室の断面図である。
【図7】室内熱交換ユニットの斜視図である。
【図8】一方側固定部材の斜視図である。
【図9】他方側固定部材を示す図であり、(A)は他方側固定部材の正面図、(B)は、他方側固定部材を室内熱交換器に取り付けた状態を示す正面図である。
【図10】室内熱交換ユニットを取り外す際の室内ユニットの配管引出側を示す斜視図である。
【図11】ポンプユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明を適用した実施形態に係るビルトイン型空気調和装置1は、不図示の室外ユニットと、室外ユニットに冷媒配管で接続された室内ユニット5と、から構成される。図示は省略したが、室外ユニットは、建物の屋上等の屋外に配設され、室外空気と熱交換して冷房運転時には冷媒を凝縮させて外気に熱を放出し、暖房運転時には冷媒を蒸発させて外気から熱を取り込むものである。ビルトイン型空気調和装置1は、この冷媒を室外ユニットと、室内ユニット5の室内熱交換器(熱交換器)60との間で循環させて、被調和室2の空気調和を行う。
【0010】
室内ユニット5は、図1に示したように、建物31の天井32と天井板33との間の天井裏空間34内に懸吊して配設され、室内熱交換器(熱交換器)60と、室内熱交換器60に送風する送風ファン50を収容して構成されるユニット本体10と、ユニット本体10から天井板33に延びる吸込みダクト53、及び、吹出ダクト54とを有して構成される。
ユニット本体10のユニットケース11は、天板12、底板13、側板14A,14B、吸込側パネル15、及び、吹出側パネル(前板)16を備え、略矩形に形成される。ユニットケース11は、側板14A,14Bに固定された複数の吊金具41を備える。ユニット本体10は、これらの吊金具41を天井32から垂下された吊ボルト42に止着させて、天井裏空間34内に懸吊される。天井板33には、適宜の位置に、特に、ユニット本体10の真下近傍に、着脱自在の天井パネル35が取り付けられ、この天井パネル35を取り外すことで、被調和室2側から、室内ユニット5の各種メンテナンスを行うことができる。
【0011】
ユニットケース11は、一対の対向する側面に配置された吸込側パネル15、及び、吹出側パネル16を備え、送風ファン50の上流側に配置された吸込側パネル15に形成された吸込口17と、室内熱交換器60の下流側に配置された吹出側パネル16に形成された吹出口18とを有している。天井板33の適宜位置には、被調和室2内と天井裏空間34とを連通させる吸気口51と、給気口52とが設けられる。ユニットケース11の吸込口17と、天井板33の吸気口51とは、吸込みダクト53で接続される。また、ユニットケース11の吹出口18と、天井板33の給気口52とは、吹出ダクト54で接続される。
【0012】
室内ユニット5は、送風ファン50の駆動により、被調和室2内の空気を吸気口51、吸込みダクト53、吸込口17を介してユニット本体10内に吸い込み、吸い込んだ空気を室内熱交換器60に送風して室内熱交換器60内を流れる冷媒と熱交換をさせ、調和空気を、吹出口18、吹出ダクト54、給気口52を介して、被調和室2内に供給する。つまり、室内ユニット5は、被調和室2の空気を吸い込んで、室内熱交換器60内を流れる冷媒と熱交換させた調和空気を再び被調和室2に吹出している。
【0013】
図2に示すように、ユニットケース11の、一方側の側面を形成する側板14Aには、メンテナンスパネル56と、ポンプユニット75と、蓋体(配管押さえ)68とが着脱自在に取り付けられている。メンテナンスパネル56は、ユニットケース11内に収容された不図示の電装ユニットのメンテナンスを行うために側板14Aに設けられたメンテナンス用開口を塞ぐように側板14Aに取り付けられる。ポンプユニット75は、後述するドレンパン70からドレン水をくみ上げるドレンポンプ78と、ドレンポンプ78の固定具79とで構成され、側板14Aに設けられたポンプ取付用開口75Aを介してドレンポンプ78をユニットケース11内に収容すると共に、固定具79でこのポンプ取付用開口75Aを塞ぐようにして側板14Aに取り付けられる。蓋体68は、室内熱交換器60に接続され、側板14Aを切欠き68Cを介して貫通する補助冷媒管67を押さえるために配設される。また、側板14Aに蓋体68を取り付けたときには、側板14Aに形成された切欠き68Cを塞ぐように構成されている。
【0014】
このように、ユニットケース11の側板14A側に、電装ユニットと、ドレンポンプ78と、補助冷媒管67と、をまとめて配置したため、ユニット本体10のメンテナンス性を向上することができる。
ポンプユニット75の下方には、側板14Aを下方に開口するように切り欠いたドレン配管用切欠き19が設けられる。このドレン配管用切欠き19には、ドレン配管押さえ76が、ドレン配管用切欠き19に着脱自在に嵌合されて備えられている。ドレン配管押さえ76には、ドレン排水管77が貫通する孔76A(図10参照)が設けられ、後述するドレンパン70に接続されたドレン排水管77は、この孔76Aから突出し配設されている。例えばユニット本体10のメンテナンス時に、ドレンパン70内に残存しているドレン水を排出させるときには、このドレン排水管77を介してドレン水をユニット本体10の外部に排出させることができる。
【0015】
吹出側パネル16には、吹出口18の両側方外側に上下に並べてねじ孔69A,69Aが形成されている。天板12には、ねじ孔69Aとユニットケース11のユニット幅W方向の略同じ位置に、ねじ孔69B,69Bが形成されている。これらの各ねじ孔69A,69Bには、詳述については後述するが、室内熱交換器60をユニットケース11に固定するためのねじ4(図5参照)が螺合される。
【0016】
ユニット本体10内では、吸込口17から吸い込まれた空気は、ユニットケース11の奥行L方向に沿って吹出口18に向かって流れ、室外ユニット間で循環する冷媒は、この空気の流れとは略直行し、ユニットケース11のユニット幅W方向に沿って流れるように構成されている。
【0017】
図3に示すように、底板13は、ユニットケース11の奥行L方向に、2分割され、吸込口17側の送風室側底板13Bと、吹出口18側の熱交換室側底板13Aとから構成される。熱交換室側底板13Aには、ユニットケース11の奥行L方向の所定の位置に、ユニットケース11の幅方向(長手方向)に延出する第1ビード71、及び、第2ビード72が形成される。ビード71,72は、第1ビード71のように連続した一本のビードであっても良いし、或いは、第2ビード72のように、複数本に分割して形成されていても良い。底板13は、金属製の薄い板状部材から形成され、ビード71,72は、この板状部材にプレス加工等を施して形成される。各ビード71,72の長さ、形成する位置、及び、形成する数は、底板13の大きさ、形状、厚みに対して適宜に変更可能である。ユニットケース11の奥行Lの寸法は、室内ユニット5の出力によって適宜に変更可能であり、奥行L寸法の小さなユニットケース11では、底板13も短くなり、この場合、例えば、ビード71,72は、同じ長さで、ユニットケース11の幅W方向いっぱいに設けられている構成であっても良い。熱交換室側底板13Aは、ビード71,72を備えるため、強度が向上される。
【0018】
図4は、ユニットケース11から、天板12を取り外した図である。ユニットケース11の内部は、図4に示すように、天板12、及び、底板13に略垂直に設けられた仕切板55で、送風ファン50を収容する送風室R1と、室内熱交換器60を収容する熱交換室R2とに区分けされる。仕切板55は金属の板材などで形成される。
【0019】
送風ファン50には、遠心送風ファンであるシロッコファンが用いられる。送風ファン50は、多数の羽根を備えた筒状のファン本体50Aが、ファンケース50Bに収容され、ファン本体50Aの軸方向に延びるモータ軸50Cが、ファンモータ20に連結され、このファンモータ20の駆動によってファン本体50Aが回転する。送風室R1に収容される送風ファン50の数は、ユニットケース11の寸法(室内ユニット5の出力容量)に合わせて適宜に変更可能である。また、本実施形態では、送風室R1には、複数の送風ファン50が一本のモータ軸50Cによって連結されて備えられ、単一のファンモータ20でこれらの複数の送風ファン50が同様に回転駆動するが、これに限らず、複数の送風ファン50のそれぞれがファンモータ20を備える構成であっても良い。仕切板55には開口55Aが設けられ、送風ファン50の送風口(吹き出し口)50Dは開口55Aに接続されて熱交換室R2側に露出している。
【0020】
室内熱交換器60は、図5に示すように、平板状の上側熱交換部61と、下側熱交換部62とを含み、これらの上側熱交換部61と、下側熱交換部62とが、側面視で略くの字状に組み合わせて連結されている。この構成によれば、室内熱交換器60は、平板状の2つの熱交換部61,62を側面視で略くの字状に連結させて構成されているため、平板状の熱交換器を縦置きに配置する場合に比べて、熱交換器の高さを低く抑えて、且つ、熱交換面積を広くすることができる。
【0021】
上側熱交換部61、下側熱交換部62は、ともに、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であり、通風方向に延びる一対の管板と、管板間に互いに間隔を開けて配置される複数のフィン板と、これらフィン板を貫通する複数のチューブを備えて構成されている。チューブは、前後に複数列(本実施形態では3列)、上下に複数段に並べられて、各チューブの端に設けられたU字部(Uベント)によって1本の冷媒配管として連結されている。
【0022】
上側熱交換部61は、上端部61Cが天板12の下面傍らまで延在し、下側熱交換部62は、下端部62Cが後述するドレンパン70と当接し、これによって、熱交換室R2は、室内熱交換器60によって、室内熱交換器60の上流側の1次側室65Aと、室内熱交換器60の下流側の2次側室65Bとに区分けされる。また、上側熱交換部61および下側熱交換部62は、同じ幅で形成されて、ユニット幅Wの略一杯に収容されている。
【0023】
上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、下側熱交換部62の1次側室65Aに対向する、空気の流入側面62Aの上に、上側熱交換部61の下端部(下端)61Aが乗り上げ、重ねた状態で配置されている。上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、このように、下側熱交換部62の空気の流入側面62A上に、上側熱交換部61の下端部61Aを重ねて、互いに略直角に、側面視で略くの字状に連結される。つまり、室内熱交換器60のくの字の頂点60Aは、下側熱交換部62の上端部62Bの吹出口18側角部で形成される。また、上側熱交換部61は、下側熱交換部62の上端部62Bよりも送風ファン50側、つまり、1次側室65A側に寄せて配置され、上側熱交換部61の空気の流出側面61Bと、下側熱交換部62の上端部62Bとの間には、段差60Cが形成される。
【0024】
上側熱交換部61で発生し、自重で流出側面61Bを伝って流れる結露水等のドレン水は、上側熱交換部61の空気の流出側面61Bと、下側熱交換部62の上端部62Bとの間に形成された段差60Cで受け止められて、下側熱交換部62の表面を伝って流れる。これにより、上側熱交換部61で発生したドレン水が、上側熱交換部61と、下側熱交換部62との連結部60Bから飛散するのを防止することができる。
【0025】
送風ファン50は、送風口50Dからの吹き出し方向が上側熱交換部61と、下側熱交換部62との連結部60Bに向かうように、送風口50Dが斜め下向きに設けられるように配置される。室内熱交換器60は、上側熱交換部61のチューブ段数が6段に構成され、下側熱交換部62のチューブ段数が10段に構成される。つまり、上側熱交換部61と、下側熱交換部62とは、同じ厚さ、同じ幅で形成され、かつ、下側熱交換部62の熱交換面積が、上側熱交換部61の熱交換面積よりも大きく形成されている。これにより、送風ファン50の吹出し方向が下向きで、かつ、下側熱交換部62の熱交換面積が大きく形成されているため、上側熱交換部61と、下側熱交換部62とを通る空気の量をそれぞれ略同じにすることができ、上側熱交換部61と、下側熱交換部62との熱交換面内での温度差を小さくして、室内熱交換器60内での熱交換効率の均一化を図ることができる。
【0026】
室内熱交換器60は、くの字の開放側が図4に示したように、送風ファン50の送風口50Dに対向する向きで配置される構成であっても良いし、或いは、図示は省略したが、くの字の頂点側が送風ファン50の送風口50Dに対向する向きで配置される構成であっても良い。熱交換器60は、下側熱交換部62の水平方向に対する傾きαが37度より小さくならないように配置される。下側熱交換部62の水平方向に対する傾き角度を37度以上とすることにより、ドレン水が下側熱交換部62を伝って流れにくくなるのを防止することができ、熱交換器60の熱交換能力がドレン水の付着により低下するのを防止することができる。
【0027】
室内熱交換器60の下方には、室内熱交換器60のドレン水を受けるドレンパン70が配置される。ドレンパン70は、熱交換室R2の底面一杯を覆い、底板13に支持される。ドレンパン70は、発砲スチロール製であり、室内熱交換器60のドレン水を受ける内側は防水、防カビのために、樹脂シート等で覆われる。これにより、ドレンパン70を軽量化することができる。ドレンパン70には、底部が一段低くなったドレン溜まり70Aが形成され、このドレン溜まり70Aには、図示は省略したが、ドレンポンプ78の吸込み口が配置されている。
【0028】
また、ドレンパン70には、下側熱交換部62の下端部62Cが当接する当接部73が形成される。この当接部73には、図示は省略したが、緩衝材がドレンパン70の幅方向に略一杯に延在している構成であっても良い。
底板13は、送風室R1側の底面を覆う送風室側底板13Bと、熱交換室R2側の底面を覆う熱交換室側底板13Aとに分割されている。ドレンパン70は、熱交換室側底板13Aを取り外すことで、ユニットケース11から着脱自在に備えられる。ドレンパン70は、4側面が底面に対して立ち上がった箱形状に形成される。仕切板55、及び、吹出側パネル16の熱交換室R2側の面には、ドレンパン70の側面上端が当接する位置決め板74Aがユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数設けられている。つまり、ドレンパン70は、位置決め板74A,75と、熱交換室側底板13Aとの間に挟まれた状態で保持される。このように、ドレンパン70は、熱交換室側底板13Aに支持されてユニットケース11内に収容されるため、熱交換室側底板13Aを取り外して、ユニットケース11の底面側から容易に脱着させることができる。
【0029】
熱交換室側底板13Aには、図6に示したように、上述したビード71,72が形成されている。ビード71,72は、仕切板55と熱交換器60との間の1次側室65Aの下方に位置する。第1ビード71は、下側熱交換部62の下端部62Cと、ドレンパン70とが当接する当接部73の下方に位置する。つまり、ユニットケース11に室内熱交換器60、ドレンパン70、及び、熱交換室側底板13Aを取り付けた状態で、下側熱交換部62の下端部62Cと、ドレンパン70と、が当接する当接部73、及び、熱交換室側底板13Aの第1ビード71が、上下方向に並ぶように構成されている。
第2ビード72は、ドレンパン70の側面上端70Aと、仕切板55に取り付けられた位置決め板74Aと、が当接する位置の下方に設けられる。つまり、ユニットケース11にドレンパン70と、熱交換室側底板13Aとを取り付けた状態で、仕切板55に取り付けられた位置決め板74Aと、ドレンパン70の側面上端70Aと、が当接する当接部、及び、第2ビード72と、上下方向に並ぶように構成されている。
【0030】
仕切板55は、上側仕切板55Bと、下側仕切板55Cとから構成される。下側仕切板55Cは、一枚の板が略L字状に折り曲げられて、上側仕切板55Bに接着される接続部74Bと、ユニットケース11の底面の一部を形成する底板部74Cと、を一体に備えるように形成される、備える。また、下側仕切板55Cには、位置決め板74Aが一体に形成されている。位置決め板74Aは、接続部74Bの上部に、ユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数設けられた延出部位を、接続部74Bに対して略直角に、底板部74Cとは逆方向に折り曲げて形成される。
【0031】
熱交換室側底板13Aは、ユニットケース11の奥行L方向の一方側が、仕切板55よりも送風室R1側に延出している。熱交換室側底板13Aは、この一方側が底面側から下側仕切板55Cの底板部74Cに、ユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数箇所、ねじ3でねじ留めされて固定される。
前板16は、断面視略コ字状に上下をユニットケース11の内側に折り曲げて、天部16A、及び、底部16Bが形成される。底部16Bには、熱交換室側底板13Aの他方側が、底面側からユニットケース11の幅方向に所定間隔を空けて複数箇所、ねじ3でねじ留めされて固定される。このように、熱交換室側底板13Aは、ユニットケース11の底面側から底部16B、及び、底板部74Cに、幅方向の両端部を押し当てた状態で、ねじ3でねじ留めされているため、天井パネル35を取り外した被調和室2側からでも容易に取り外すことができ、熱交換室R2のメンテナンス性を向上することができる。
天部16Aには、天板12がねじで固定されて、室内熱交換器60の上端60Dと、天板12との間には、2次側室65の上面を覆う発泡材等によって形成された断熱材21が取り付けられる。
【0032】
ところで、熱交換室R2内では、室内熱交換器60が通風抵抗となるため、1次側室65A内で静圧が高くなる。この1次側室65Aで、ドレンパン70は、下側熱交換部62の下端部62Cと第1ビード71の間、及び、位置決め板74Aと第2ビード72の間に挟持される。これによって、ビード71,72は、ドレンパン70を補助的に固定する役割をはたし、簡単な構成で、ドレンパン70が1次側室65A側の静圧によって浮き上がるのを防止することができる。
【0033】
室内熱交換器60の幅方向の両幅端部には、図7に示すように、一端側固定部材63Aと、他端側固定部材63Bがそれぞれ取り付けられている。固定部材63A,63Bは、樹脂により成形され、固定部材63A,63B間に室内熱交換器60を挟み込みようにして、室内熱交換器60と一体に固定される。
室内熱交換器60の一端部には、一端側固定部材63Aが固定される。室内熱交換器60の一端部には、この一端部に取り付けられた管板と一体に形成され、上側熱交換部61の上端部61Cと、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aとへ延出する固定部8が設けられる(図6参照)。一端側固定部材63Aは、この固定部8に、ねじ8aで螺合されて、室内熱交換器60に固定される。
【0034】
図8は、一端側固定部材63Aを、図7中に示した矢印方向から視た図である。一端側固定部材63Aには、図8に示すように、室内熱交換器60の管板から突出するUベントが挿入される複数のベント孔81が形成される。各ベント孔81は、管板から突出するUベントの位置に対応付けて形成され、一端側固定部材63Aは、各ベント孔81にUベントを挿入することで、位置決めされて、上述したように固定部8をねじ留めすることで、簡単に室内熱交換器60に取り付けることができる。ベント孔81には、外周に沿って周壁81Aが形成される。周壁81Aは、ベント孔81に挿入されるUベントの高さと略同じ高さに形成される。また、一端側固定部材63Aの幅W2は、ベント孔81に挿入されるUベントの高さと略同じに形成される。周壁81A、及び、一端側固定部材63Aにより、管板から突出するUベントの周囲を囲み、室内熱交換器60をユニットケース11から着脱する際に、Uベントが他の部材にぶつかるのを防ぐことができる。また、各ベント孔81にUベントを挿入することで、一端側固定部材63Aを室内熱交換器60に対して、位置決め、及び、仮固定することができ、固定部材63を容易に室内熱交換器60に一体に固定することができる。
【0035】
室内熱交換器60の他端側には、図7に示すように、他端側固定部材63Bが取り付けられる。他端側固定部材63Bからは、室内熱交換器60を、ガス管、及び、液管に接続するための補助冷媒管67が延出している。補助冷媒管67は、ガス管への接続用であるガス管用補助冷媒管67Aと、液管への接続用である液管用補助冷媒管67Bとから構成される。補助冷媒管67は、他端側固定部材63B側にまとめられており、室内熱交換器60から一端側固定部材63Aの外側には突出する部材が無いように構成されている。
【0036】
他端側固定部材63Bは、図9(A)、図9(B)に示すように、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aに沿って、略くの字に形成された溝25を有する。溝25には、凹部26が形成され、凹部26には、管板9を固定するねじ7が螺合されるねじ孔26Aが設けられる。他端側固定部材63Bは、上側熱交換部61及び下側熱交換部62の空気の流出側面61B,62Aに溝25を沿うようにして、室内熱交換器60の2次側から管板9に固定される。管板9には、管板9に一体に形成され、管板9から延出する板材9Aを備える。板材9Aは、溝25に形成された凹部26に挿入される。板材9Aと、凹部26とは、ねじ7で螺合されて、他端側固定部材63Bが、室内熱交換器60と一体に固定される。このように、他端側固定部材63Bは、室内熱交換器60の2次側に管板9に沿って溝25を備えるため、室内熱交換器60に接続される補助冷媒管67に干渉することなく取り付けることができる。
このようにして、室内熱交換器60と、固定部材63A,63Bと、補助冷媒管67とは、室内熱交換ユニット80として一体化され、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11に一体に着脱自在に取付けられる。
【0037】
固定部材63A,63Bには、図7、図8、図9に示すように、室内熱交換ユニット80をユニットケース11にねじで固定するためのねじ孔64A,64Bが形成されている。ねじ孔64Aは、ユニットケース11の天板12に形成されたねじ孔69Bに対応する位置に設けられ、これらのねじ孔69B、及び、ねじ孔64Aをねじで螺合して、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11の天板12に固定される。ねじ孔64Aは、一端側固定部材63Aに設けられたように、一端側固定部材63Aに一体に形成されていても良いし、或いは、他端側固定部材63Bに設けられたように、他端側固定部材63Bに一体に固定される金属製のブラケット等に形成されていても良い。固定部材63A,63Bには、ねじ孔64Bが内部に形成されるボス部64Cが備えられ、ボス部64Cの内側には、ねじ孔64Aを介してねじが螺合されるねじ山がきられている。
【0038】
ねじ孔64Bは、ユニットケース11の吹出側パネル16に形成されたねじ孔69Aに対応する位置に設けられる。ねじ孔69Aは、室内熱交換器60と略同じ幅に形成された吹出口18の近傍に上下に並べて複数設けられ、これらのねじ孔69A、及び、ねじ孔64Bをねじで螺合して、室内熱交換ユニット80は、ユニットケース11の吹出側パネル16に固定される。
このように固定部材63A,63Bは、熱交換室R2において、室内熱交換器60の両側面側から、室内熱交換器60の上流側の1次側室65Aと、2次側室65Bとを仕切る役割を果たす。また、固定部材63A,63Bは、断熱性に優れた樹脂材により形成されるため、固定部材63A,63Bには、断熱材を貼りつけることなく、2次側室65Bと、1次側室65Aとを断熱することができる。
【0039】
室内熱交換ユニット80は、幅方向の両側端部に取り付けた固定部材63A,63Bに設けたねじ孔64A,64Bを用いて、天板12、と、吹出側パネル16とに固定されて、ユニット本体10の内側に固定することができる。これにより、固定部材63A,63Bは、室内熱交換器60の両側面側で1次側室65Aと2次側室65Bとを仕切る役割を果たすとともに、室内熱交換器60をユニット本体10内に固定する役割を果たすため、例えば、仕切板55に室内熱交換器60を固定するための固定具を設けて、室内熱交換器60をユニット本体10の内側に固定する場合にくらべて、部品点数の削減と、取付作業性の向上を図ることができる。また、室内熱交換器60から送風ファン50側への固定具の飛び出しがなく、熱交換室R2の1次側室65Aでの通風抵抗を低減させることができる。
【0040】
また、室内熱交換器60の一端側に取り付けられる一端側固定部材63Aに、管板から突出するUベントが挿入されるベント孔81を設け、室内熱交換器60の他端側に取り付けられる他端側固定部材63Bは、管板9の2次側形状に沿った形状に形成された溝25を備えるため、室内熱交換器60の両端から外側に突出する部材と干渉することなく、室内熱交換器60を両端側から挟み込むようにして固定部材63A,63Bを取り付けることができる。このように、互いに異なる形状に形成された一対の固定部材63A,63Bとを用いて、室内熱交換器60を、室内熱交換器60に接続される補助冷媒管67と一体にユニット本体10内に着脱自在に備えることができ、室内熱交換器60のメンテナンス性が向上する。室内熱交換ユニット80は、詳細については後述するが、図10に示した下方開口部40から熱交換室R2内に挿入可能に備えられる。
【0041】
図10は、熱交換室側底板13A、及び、ドレンパン70を取り外した状態のユニット本体10を斜め下側から視た図である。このようにユニットケース11の下面には、熱交換室側底板13A、及び、ドレンパン70を取り外すことで、熱交換室R2の底全体に亘る下方開口部(開口部)81が形成される。
側板14Aには、蓋体(配管おさえ)68と、ドレンポンプを固定する固定具79と、内部に収容される電装ユニット用のメンテナンスパネル56とが、それぞれ別体に形成されて、着脱自在に取り付けられている。図10は、説明の便宜上、蓋体68をユニットケース11から取り外している状態を示している。
【0042】
ユニットケース11の側板14Aには、蓋体68が取り付けられる切欠き68Cが設けられる。切欠き68Cは、ユニットケース11の下方に開口し、下方開口部40と連通するように形成される。室内熱交換器60から側板14Aの外方に突出する補助冷媒管67は、この切欠き68Cを介して、室内熱交換器60と一体に下方開口部40から熱交換室R2内に挿入される。側板14Aには、切欠き68Cに、補助冷媒配管が挿入可能に下方を開口する逆U字溝66A,66Bを備えている。つまり、切欠き68Cは、各逆U字溝66A,66Bが補助冷媒管67に対応する位置に配置されるように形成されている。
【0043】
蓋体68は、この逆U字溝66A,66Bに対応する位置に設けられた上方に開口するU字溝68A,68Bを備える。蓋体68は、側板14Aの切欠き68Cを塞ぎ、蓋体68の下部に設けられたねじ孔68D,68Dに挿入される不図字のねじで、側板14Aに固定される。蓋体68には、ねじ孔68D,68Dの上方に、蓋体68の長さ寸法L2に亘る取っ手68Eが形成され、この取っ手68Eを手で押さえて、蓋体68を側板14Aから着脱させることができる。側板14Aに蓋体68を取り付けたときには、蓋体68のU字溝68A,68Bと、側板14Aの逆U字溝66A,66Bとの協働により、補助冷媒管67が側板14Aに保持される。
【0044】
また、蓋体68には、U字溝68Bと、取っ手68Eの間に注水用開口85形成される。注水用開口85は、通常は、蓋体68にねじ等で固定される蓋86で閉封されている。ユニット本体10の取り付け時等、ユニット本体10内でのドレン水の流れを確認する際には、この注水用開口85から蓋86を取り外し、注水用開口85を介して熱交換室R2内に注水を行ってドレン水の流れを確認する。
【0045】
蓋体68は、ユニットケース11の側板14Aにねじ等によって固定され、これらのねじを取り外して、ユニットケース11から下方に取り外すことができる。蓋体68を側板14Aから取り外すことで、切欠き68Cは、下方開口部40と連通する。これにより、ユニットケース11には、室内熱交換ユニット80から補助冷媒管67を取り外すことなく室内熱交換ユニット80をユニットケース11から下方に引き出して取り外すことができるように底面側が開放される。
【0046】
室内熱交換ユニット80を取り外す際には、まず、ビルトイン型空気調和装置1のポンプダウン運転を行い、図示は省略したが、室外ユニット、或いは、冷媒回収機に室内熱交換器60内の冷媒を全て回収して、バルブを閉じ、室内熱交換器60を冷媒回路から断絶する。次に、天井パネル35を取り外した天井板33の開口を介して、ユニットケース11から、熱交換室側底板13A、ドレンパン70、及び、配管押さえ68を取り外して、ユニットケース11の下部に室内熱交換ユニット80を下方に取り外すための開口を設ける。
ドレンパン70に接続されたドレン排水管77は、側板14Aに形成された下方に開口する配管用切欠き19に嵌合するドレン配管押さえ76を介してユニットケース11の外部に突出するため、ドレンパン70をユニット本体10から取り外す際には、ドレン配管押さえ76と、ドレン配管押さえ76に貫通するドレン排水管77とを、ドレンパン70とともに、ユニットケース11の底板13を取り外した下方開口部40から取り外すことができる。
【0047】
続いて、ユニットケース11に室内熱交換ユニット80を固定しているねじ4を取り外す。詳述すると、ねじ孔64B、ねじ孔69Aに螺合されているねじ4をユニットケース11の外側から取り外すと共に、ねじ孔64A、ねじ孔69Bに螺合されているねじ4をユニットケース11の内側から取り外す。こうして、室内熱交換ユニット80は、熱交換室R2の下方開口部40を介してユニットケース11の下方に一体に引き出してユニット本体10から取り外すことができる。この構成によれば、室内熱交換ユニット80を、天井パネル35を取り外して、被調和室2側から容易に取り外すことができるため、作業スペースの限られた天井裏空間34内での作業を減らすことができ、室内熱交換器60のメンテナンス性を向上することができる。
【0048】
側板14Aにはまた、配管押さえ68の近傍にポンプユニット75が取り付けられている。ポンプユニット75は、図11に示すように、ドレンポンプ78と、ドレンポンプ78が固定される固定具79とを一体に備える。固定具79は、ドレンポンプ78が固定されるポンプ固定部79Aと、側板14Aに形成されるポンプユニット75を取り付けるためのポンプ取付用開口75Aを塞ぐ蓋部79Bと、が樹脂で一体に成形されている。ドレンポンプ78と、蓋部79Bとの間には、ドレンポンプ78がドレンパン70から吸い上げた水をユニットケース11外に排水するための排水管76が接続されている。
【0049】
ポンプユニット75は、ドレンポンプ78と、固定具79とを一体に、側板14Aから着脱自在に備えられ、蓋部79Bを側板14Aにねじ等で固定されている。これにより、ドレンポンプ78は、ポンプユニット75と一体に容易にユニットケース11から取り外すことができ、室内熱交換器60に補助冷媒管67に接続した配管施工後でも、ポンプユニット75をユニットケース11から取り外すことができ、ドレンポンプ78のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0050】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、ユニット本体10の内側を、仕切板55により、熱交換器60を収容する熱交換室R2と、送風ファン50を収容する送風室R1とに仕切り、送風ファン50で吸い込んだ空気を、熱交換器60で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置1において、熱交換器60の下面のドレンパン70を底板13で覆い、底板13には、ユニット本体10の長手方向に延出し、ドレンパン70に当接して、当該ドレンパン70を下方から押し上げて支持するビード71,72を設けたため、ビード71,72によって底板13の強度が向上され底板13の変形を防止することができるとともに、ビード71,72がドレンパン70をユニット本体10の内側に固定する補助的役割を果たし、ドレンパン70が熱交換室R2の1次側室65A側の静圧によって下方に押し下げられるのを防止することができる。これにより、ドレンパン70に当接する熱交換器60が、ドレンパン70が下方に押し下げられることで、ドレンパン70から浮き上がった状態となり、ドレンパン70と、熱交換器60の下端部62Cとの間隙から1次側室65Aの空気が2次側室65Bに流れ込むことがなく、熱交換器60の熱交換効率が低下するのを防止することができる。
【0051】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、仕切板55と熱交換器60との間の下方に位置するため、静圧が高くなる仕切板55と熱交換器60との間の1次側室65Aの下方にビード71,72を設けて、1次側室65Aの静圧によってドレンパンが下方に押し下げられるのを効果的に防止することができる。
【0052】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、熱交換器60とドレンパン70との当接部73の下方に位置する第1ビード71を含み、ドレンパン70が、該第1ビード71と熱交換器60間に挟持されるため、当接部73に対してドレンパンを下方から押し上げて支持することができ、1次側室65A内の高い静圧によって、ドレンパン70が下方に押し下げられて、ドレンパン70から熱交換器60が浮いた状態になるのを防ぐことができる。これにより、ドレンパン70と、熱交換器60の下端部62Cとの間隙から1次側室65Aの空気が2次側室65Bに流れ込むのを防止し、熱交換器60の熱交換効率が低下するのを防止することができる。
【0053】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ビード71,72が、仕切板55とドレンパン70との当接部の近傍の下方に位置する第2ビード72を含み、該第2ビード72に対向して、仕切板55にドレンパン70の側面上端70Aが当接する位置決め板74Aを設け、ドレンパン70が、該第2ビード72と位置決め板74A間に挟持されるため、第2ビード72で、位置決め板74Aに対してドレンパン70の側面上端70Aを下方から押し上げて、ドレンパンを支持することができ、1次側室65A内の高い静圧によって、ドレンパン70が下方に押し下げられるのを防止することができる。
【0054】
また、本発明を適用した実施形態によれば、熱交換器60が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部61及び下側熱交換部62を含み、くの字の頂点に対向させて送風ファン50の吹き出し口50Dを設けたため、ユニットケース11を高さ寸法を変えることなく、熱交換器60の容量(熱交換面積)を大きくすることができる。
【0055】
また、本発明を適用した実施形態によれば、送風ファン50は遠心送風機であるシロッコファンであるため、大きな静圧を得ることができ、送風ファン50の下流に室内熱交換器60、及び、天井板33まで延びる比較的長い吹出ダクト54を備えた構成のビルトイン型空気調和装置であっても、大きな送風量を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ビルトイン型空気調和装置
R1 送風室
R2 熱交換室
10 ユニット本体
13 底板
13A 熱交換室側底板
13B 送風室側底板
25 溝
50 送風ファン
55 仕切板
60 室内熱交換器(熱交換器)
61 上側熱交換部
62 下側熱交換部
70 ドレンパン
70A 側面上端
71 第1ビード(ビード)
72 第2ビード(ビード)
73 当接部
74A 位置決め板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体の内側を、仕切板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、
前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、
前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたことを特徴とするビルトイン型空気調和装置。
【請求項2】
前記ビードが、前記仕切板と前記熱交換器との間の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項3】
前記ビードが、前記熱交換器と前記ドレンパンとの当接部の下方に位置する第1ビードを含み、前記ドレンパンが、該第1ビードと前記熱交換器間に挟持されることを特徴とする請求項1または2に記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項4】
前記ビードが、前記仕切板と前記ドレンパンとの当接部の近傍の下方に位置する第2ビードを含み、該第2ビードに対向して、前記仕切板に前記ドレンパンの側面上端が当接する位置決め板を設け、前記ドレンパンが、該第2ビードと前記位置決め板間に挟持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項5】
前記熱交換器が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部及び下側熱交換部を含み、くの字の頂点に対向させて前記送風ファンの吹き出し口を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項6】
前記送風機は遠心送風機であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項1】
ユニット本体の内側を、仕切板により、熱交換器を収容する熱交換室と、送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンで吸い込んだ空気を、前記熱交換器で熱交換して吹き出すビルトイン型空気調和装置において、
前記熱交換器の下面のドレンパンを底板で覆い、
前記底板には、前記ユニット本体の長手方向に延出し、前記ドレンパンに当接して、当該ドレンパンを下方から押し上げて支持するビードを設けたことを特徴とするビルトイン型空気調和装置。
【請求項2】
前記ビードが、前記仕切板と前記熱交換器との間の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項3】
前記ビードが、前記熱交換器と前記ドレンパンとの当接部の下方に位置する第1ビードを含み、前記ドレンパンが、該第1ビードと前記熱交換器間に挟持されることを特徴とする請求項1または2に記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項4】
前記ビードが、前記仕切板と前記ドレンパンとの当接部の近傍の下方に位置する第2ビードを含み、該第2ビードに対向して、前記仕切板に前記ドレンパンの側面上端が当接する位置決め板を設け、前記ドレンパンが、該第2ビードと前記位置決め板間に挟持されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項5】
前記熱交換器が側面視で略くの字に連結される上側熱交換部及び下側熱交換部を含み、くの字の頂点に対向させて前記送風ファンの吹き出し口を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【請求項6】
前記送風機は遠心送風機であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のビルトイン型空気調和装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−11393(P2013−11393A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144142(P2011−144142)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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