説明

ビル用サッシの位置決め用測定治具及びビル用サッシの位置決め方法

【課題】 ビル用サッシの施工を熟練を要せずに正確且つ迅速容易に行うことができ、施工性の向上及び施工時間の短縮が図れるビル用サッシの位置決め用測定治具及びビル用サッシの位置決め方法を提供する。
【解決手段】 ビル用サッシ3のサッシ枠4を躯体1の開口部2に取付ける際にサッシ枠4の四隅に取付けて使用される位置決め用測定治具10であって、前記サッシ枠4の隅部から縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛り11a,12a,13aの付された測定片11a,12,13を有する測定治具本体10aと、該測定治具本体10aをサッシ枠4の各隅部に取付けるための取付部材10bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル用サッシの位置決め用測定治具及び該位置決め用測定治具を使用したビル用サッシの位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル用のサッシにおいては、先ず最初にビルの躯体の開口部に取付けられ、その後の内装工事等に際しての基準となることから、その位置決め、取付施工に高い精度が要求されている。このビル用サッシにおいては、従来、次のような施工方法が行われている。
【0003】
図9はビル用サッシの従来の施工方法を説明する説明図である。同図において、1はビルの躯体の一部を示し、2はその躯体1に設けられた窓用の開口部を示し、3はその開口部に取付けられるビル用のサッシを示している。このサッシ3は、例えばアルミ押出形材からなる上枠4a、下枠4b及び左右の縦枠4c,4dにより枠状に組み立てられたサッシ枠4を備えており、このサッシ枠4内には例えば引違い式の障子、或いは嵌め殺しのパネル等が取付けられる。サッシ枠4の取付作業時には、サッシ枠から障子やパネル等を取外しておくことが好ましい。
【0004】
前記施工においては、先ず、サッシ枠4を取付ける位置を決める。この場合、前記開口部2に複数個の楔5を介してサッシ枠4を位置調整可能に取付ける。次に、寸法測定器例えばコンベックスメジャーや直尺等を用いて各所の寸法を測定したり、サッシ枠4の所定箇所に罫書きを行い、水平ラインや垂直ラインのレーザー光を出すレーザー装置や下げ振り等を用いてサッシ枠の位置決め調整を行う。位置決めないし位置出しは、左右方向(横方向、ヨリともいう。)Xの位置決め(左右方向の傾きの修正を含む。)と、上下方向(縦方向、レベルともいう。)Yの位置決め(上下方向の傾きの修正を含む。)と、室内外方向(デハイリともいう。)Zの位置決め(室内外方向の傾きの修正を含む。)との三つの次元について行われる。
【0005】
なお、建物の躯体に対する建付け調整が容易に行えるようにした技術としては、例えば特許文献1に記載された開口用の枠体が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−141297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の位置決め施工方法においては、何度もコンベックスメジャー等を取り出しては測定する確認作業が多く、何処か一箇所を調整した際に、別の箇所の位置が狂いやすく、その狂いを発見しにくく、また、サッシ枠への罫書き作業(付加価値を生まない作業)を要するなど、ビル用サッシの施工に多くの時間を要すると共に、熟練を要するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、ビル用サッシの施工を熟練を要することなく正確且つ迅速容易に行うことができ、施工性の向上及び施工時間の短縮が図れるビル用サッシの位置決め施工用測定治具及びビル用サッシの位置決め施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち、請求項1に係る発明は、ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際にサッシ枠の四隅に取付けて使用される位置決め用測定治具であって、前記サッシ枠の隅部から縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する測定治具本体と、該測定治具本体をサッシ枠の各隅部に取付けるための取付部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際の位置決め方法であって、前記サッシ枠の四隅に、縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する治具本体と、該治具本体を取付けるための取付部材とを備えた位置決め用測定治具を取付け、横用レーザー装置と、縦用レーザー装置又は下げ振りとを用いて、横レーザー光と、縦レーザー光又は下げ振り糸とに対するサッシ枠の四隅の相対的位置を前記測定片で測定してサッシ枠を位置決めすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば次のような効果を奏することができる。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際にサッシ枠の四隅に取付けて使用される位置決め用測定治具であって、前記サッシ枠の隅部から縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する測定治具本体と、該測定治具本体をサッシ枠の各隅部に取付けるための取付部材とを備えているため、サッシ枠の四隅に位置決め用測定治具を取付けることにより、サッシ枠の位置決め測定作業を熟練を要することなく正確且つ迅速容易に行うことができるようになり、ビル用サッシの施工性の向上及び施工時間の短縮が図れる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際の位置決め方法であって、前記サッシ枠の四隅に、縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する治具本体と、該治具本体を取付けるための取付部材とを備えた位置決め用測定治具を取付け、横用レーザー装置と、縦用レーザー装置又は下げ振りとを用いて、横レーザー光と、縦レーザー光又は下げ振り糸とに対するサッシ枠の四隅の相対的位置を前記測定片で測定してサッシ枠を位置決めするため、ビル用サッシの施工を熟練を要することなく正確且つ迅速容易に行うことができ、施工性の向上及び施工時間の短縮が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施の形態に係るビル用サッシの位置決め用測定治具の斜視図、図2は図1の位置決め用測定治具に使用されている取付部材を示す斜視図、図3〜図5は図1の位置決め用測定治具を使用した位置決め方法を説明する説明図である。
【0015】
図1において、10はビル用サッシのサッシ枠4をビルの躯体に形成された開口部2に取付ける際に該サッシ枠4の四隅に取付けて使用される位置決め用測定治具である。この位置決め用測定治具10は、前記サッシ枠4の隅部から縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛り(寸法目盛り)11a,11b,11cの付された測定片11,12,13を有する測定治具本体10aと、該測定治具本体10aをサッシ枠4の各隅部に取付けるための取付部材10bとを備えている。
【0016】
前記三方向の測定片11,12,13は、上下方向の位置決め測定用として左右の縦枠4c,4dの長手方向に沿って配置される第1の測定片11と、左右方向の位置決め測定用として横枠である上枠4a又は下枠4bの長手方向に沿って配置される第2の測定片12と、室内外方向の位置決め測定用として室内外方向に沿って配置される第3の測定片13とからなる。これらの第1、第2及び第3の測定片11〜13は、それぞれの一端が一点(基点ないし零点)で交わって接合され、他端が互いに直交する三次元方向に延出されている。
【0017】
また、これらの第1、第2及び第3の測定片11〜13は、例えば幅が1.5〜2.5cm好ましくは2cm程度、長さが15〜25cm好ましくは20cm程度、厚さが1.5〜2mm好ましくは1.6mm程度の金属製の物差し状の板材からなっている。なお、第2の測定片12は後述の如く断面L字状に形成されていることが好ましい。第1、第2及び第3の測定片11,12,13には、長手方向に沿って寸法測定用の目盛り11a,12a,13aが零点(0)を基準に付されている。
【0018】
なお、目盛りとしては、測定片に直接印刷、刻設等されていてもよく、或いは金属製や樹脂製のテープ状のメジャーが貼り付けられていても良い。測定治具本体10aをサッシ枠4の隅部に取付ける手段として、第1の測定片11にはこれを縦枠4c,4dに着脱自在に取付けるための取付部材10bが設けられている。この場合、縦枠4c,4dには躯体1の開口部2の内周に取付けられる額縁(図示省略)に固定するために室内側に突出したリブ状のアングル部14aが形成されているため、この縦枠4c,4dのアングル部14aに第1の測定片11を取付けるようになっている。
【0019】
前記取付部材10bとしては、例えば書類等を綴じるためのバインダーが用いられている。このバインダーは、基板15aと、該基板15aに対して押圧付勢された挟み部材15bとからなり、基板15aと挟み部材15bとの間に書類等(本実施例では縦枠4cのアングル部14a)を挟み込んで保持するようになっている。図2に示すように、基板15aの一側部にはパイプ状の軸受部15cが設けられ、この軸受部15cの両端部に剛性を有する金属線材を折曲加工してなる挟み部材15bの両端部が挿入されて回動自在に支持されている。軸受部15c内に挿入された挟み部材15bの両端部には挟み部材15bを閉じ方向に弾発付勢する図示しないコイルバネが取付けられている。
【0020】
前記取付部材10bは、基板15aと挟み部材15bとの間で第1の測定片11を挟むように設けられ、基板15aが第1の測定片11の一方の面に溶接等で固定されている。挟み部材15bは、第1の測定片11の他方の面に押圧されており、これら挟み部材15bと第1の測定片11の他方の面との間で縦枠4c,4dのアングル部14aを挟み込むようになっている。
【0021】
第3の測定片13が左右に振れる(ぐらつく)のを抑制ないし防止するために、第2の測定片12を横枠である上枠4a又は下枠4b好ましくはこれらのアングル部14bに対して接触させて位置決め保持することが好ましい。図示例では、第2の測定片12は下枠4bのアングル部14bの上面に載置されるように断面L字状に折曲形成されている。第2の測定片12は、その水平片部12xが下枠4bのアングル部14bの上面に乗り、水平片部12xの前縁部より立ち上がった垂直片部12yの室内面に目盛り12aが付されている。また、前記垂直片部12yの前面下側部には下枠4bのアングル部14bの室内側前縁部に当接される位置決め用の当接板部12bが溶接等で一体的に設けられている。なお、この当接板部12bは、第2の測定片12に一体形成されていても良い。
【0022】
左右の縦枠アングル部14aに取付けられる位置決め用測定治具10は、左右対称に形成されている。図1に示す位置決め用測定治具10は、左側の縦枠アングル部14aの下方(左下隅部)又は右側の縦枠アングル部14aの上方(右上隅部)に取付けられて使用されるように構成されている。図1の位置決め用測定治具10を右側の縦枠アングル部14aの上方(右上隅部)に取付けて使用する場合、図1の位置決め用測定治具10を上下逆にし、第2の測定片12の水平片部12yを上枠アングル部(図示省略)の下面に当接させると共に位置決め用の当接板部12bを上枠アングル部の前縁部に当接させた状態で、第1の測定片11を右側の縦枠アングル部の上方に取付部材にて取付ければ良い。なお、第1の測定片11は、縦枠アングル部14aの内側面に配置されて取付けられる。
【0023】
次に、以上の構成からなる位置決め用測定治具1を用いてビル用サッシ3のサッシ枠4を位置決めする場合について図3〜図5を参照して説明する。先ず、建物の開口部2にサッシ枠4を配置し、楔5(図9参照)で保持したなら、サッシ枠4の四隅に4個の測定治具10を前述したようにそれぞれ取付け、横用レーザー装置16と、縦用レーザー装置17又は下げ振り18とを用いて、横レーザー光(水平ライン)16aと、縦レーザー光(垂直ライン)17a又は下げ振り糸(垂直ライン)18aとに対するサッシ枠4の四隅の相対的位置を前記測定片11,12,13で測定してサッシ枠4を位置決めする。位置決めに際してのサッシ枠4の移動調節は、従来と同様、作業員が楔5を緩めながら手作業で行う。
【0024】
例えば、室内外方向の位置決めを行う場合には、図3に示すように縦用レーザー装置17を躯体1の開口部2近くの床19に設置し、スイッチを入れることにより縦レーザー光の垂直ライン(具体的には垂直な光の面)17aが照射され、この垂直ライン17aが各測定治具10の第3の測定片13上に投影されることにより、その垂直ライン17aに対するサッシ枠4の四隅の相対的位置を各第3の測定片13により測定しつつサッシ枠4の四隅を室内外方向に移動調節して位置決めすれば良い。
【0025】
なお、縦用レーザー装置17の代わりに下げ振り18を使用して室内外方向の位置決めを行う場合には、図5に示すように躯体1の開口部2よりも上方の室内壁面に取付けた取付片20等を用いて左右の測定治具10の第3の測定片13に近接するように下げ振り18を垂らし、この下げ振り18の下げ振り糸(垂直ライン)18aに対してサッシ枠4の四隅の相対的位置を各第3の測定片13で測定しつつサッシ枠4の四隅を室内外方向に移動調節して位置決めすれば良い。
【0026】
左右方向の位置決めを行う場合には、縦用レーザー装置17を縦レーザー光の垂直ライン17aが左右何れか一側の上下の第2の測定片12,12上に投影されるように設置し、垂直ライン17aに対するサッシ枠4の一側の上下2隅の相対的位置を上下の第2の測定片12,12により測定しつつサッシ枠4を左右方向に移動調節して位置決めすれば良い。なお、縦用レーザー装置17の代わりに下げ振り18を使用して左右方向の位置決めを行う場合には、前記下げ振り18の下げ振り糸(垂直ライン)18aに対してサッシ枠4の一側の上下2隅の相対的位置を上下の第2の測定片12,12により測定しつつサッシ枠4の上下を左右方向に移動調節して位置決めすれば良い。
【0027】
上下方向の位置決めを行う場合には、図4に示すように横用レーザー装置16を躯体1の開口部2から少し離れた床19に設置し、スイッチを入れることにより横レーザー光の水平ライン(具体的には水平な光の面)16aが照射され、この水平ライン16aが例えば下部の左右の測定治具10の第1の測定片11,11上に投影されることにより、その水平ライン16aに対するサッシ枠4の左右の下部2隅の相対的位置を第1の測定片11により測定しつつサッシ枠4の左右を上下方向に移動調節して位置決めすれば良い。なお、横用レーザー装置16による横レーザー光16aの代わりに躯体1の開口部2に横糸を水平に張って水平ラインとしても良い。
【0028】
このように、前記ビル用サッシの位置決め用測定治具10又は該位置決め用測定治具10を用いたビル用サッシの位置決め方法によれば、ビル用サッシの施工を熟練を要せずに正確且つ迅速容易に行うことができ、ビル用サッシの施工性の向上及び施工時間の短縮が図れる。また、職人作業を標準化できるため、新人の早期育成が図れる。
【0029】
以上のようにしてサッシ枠4の位置決め作業(位置決め工程)が完了したなら、躯体1へのサッシ枠4の固定作業(固定工程)が行われる。図6は位置決めされたサッシ枠4を躯体1に固定する一例を示す要部横断面図である。同図において、21はサッシ枠4を固定するために躯体1に設けられた差筋アンカーを示し、22はサッシ枠4の縦枠4cを前記差筋アンカー21に溶接固定するために縦枠4cに設けられた固定金具を示し、23は内障子を開けた時に縦枠4cに衝突しないように手前で停止させるために下枠4b上に設けられたストッパーを示している。
【0030】
前記固定金具22は、縦枠4cの外側部に前記差筋アンカー21に対応して適宜取付けられている。固定金具22には、前記差筋アンカー21と対向する溶接接合用の突軸部22aが設けられている。この突軸部22aと差筋アンカー21とを溶接24で接合することによりサッシ枠4を躯体1に固定することができる。図示例では、差筋アンカー21の中心線と、サッシ芯(サッシ枠の室内外方向の中心)とが一致されている。また、差筋アンカー21は開口部2の左右の縦辺だけでなく、上下の横辺にも設けられている(図示省略)。
【0031】
前記サッシ枠4の固定作業においては、溶接時の熱でサッシ枠4の縦枠4c,4dが変形する傾向があることから、この縦枠4c,4dの変形(ハラミ)を防止するために、図7に示すように、縦枠4cに角柱状の変形防止治具25を添え木のように抱かせることが好ましい。図7はサッシ枠の躯体への固定時に用いられる変形防止治具の一例を概略的に示す斜視図、図8は図7の概略的要部横断面図である。なお、図7,図8においては、縦枠4cのアングル部が図示省略されている。
【0032】
この変形防止治具25は、軽量で強度の高い部材例えばアルミ製の中空形材からなっていることが好ましい。この変形防止治具25を縦枠4cの内側部に当接させた状態で固定するために、コ字状の固定部材26が用いられている。この固定部材26は、例えば金属製の棒軸をコ字状に屈曲形成してなる。固定部材26は、変形防止治具25の長手方向に適宜間隔で適宜個数配置されることが好ましい。
【0033】
また、前記固定部材26は、変形防止治具25の後面(室外側の面)に軸受27を介して略中央部が回動自在に且つ摺動自在に取付けられていることが紛失や脱落を防止し得る点で好ましい。縦枠4cに変形防止治具25を当接させ、両者を固定部材26の両端26a,26bで拘束したなら、変形防止治具25と固定部材26の一端26bとの間の隙間に楔28を打ち込むことにより両者(4c、25)を強固に固定することが好ましい。なお、固定部材26の少なくとも一方26aの接触面(縦枠4cに対する接触面)は曲面よりも平面に形成されている方が接触面積を大きくしてずれにくくできる点で更に良い。
【0034】
ところで、縦枠4cの固定金具22を差筋アンカー21に溶接する溶接作業時には、溶接時に発生する火花が下枠4b上の合成樹脂製のストッパー23に降り注ぎ、該ストッパー23を焼き焦がすおそれがある。そこで、この問題を解消するために、前記変形防止治具25の内側面の下部には前記ストッパー23を上方から覆い火花からストッパー23を保護するための庇29が、変形防止治具25の内側面の一部を切り起こして設けられていることが好ましい。サッシ枠4の固定作業が終了したなら、楔28を外し、固定部材26の両端26a,26bを室外側に回動退避させることにより変形防止治具25を縦枠4cから取外せばよく、変形防止治具25を容易に取外すことができる。
【0035】
前記変形防止治具25は、縦枠4cに取付けて用いられるため、サッシ枠4の位置決め測定用の機能が付加されていても良く、これにより付加価値を高めることができる。具体的には、変形防止治具25の前面(室内側の面)には、上下方向の位置決め測定用としての第1の目盛り(寸法目盛りともいう、以下同様。)31aが長手方向に沿って設けられていると共に、左右方向の位置決め測定用としての第2の目盛り32aが上部と下部にそれぞれ横に設けられている。また、変形防止治具25の前面には室内外方向の位置決め測定用としての第3の目盛り33aが付された測定片33が上部と下部にそれぞれ室内側に突出した状態で設けられていることが好ましい。なお、該測定片33は、不使用時には邪魔にならないように、ヒンジで折り畳み可能又は着脱自在に設けられていることが好ましい。
【0036】
このように構成された変形防止治具25によりサッシ枠4の位置決めを行う場合には、サッシ枠4の左右の縦枠4c,4dに変形防止治具をそれぞれ取付けたなら、前述した位置決め用測定治具とほぼ同様に、横用レーザー装置と、縦用レーザー装置又は下げ振りとを用いて、横レーザー光と、縦レーザー光又は下げ振り糸とに対するサッシ枠4の四隅の相対的位置を前記第1、第2及び第3の目盛り31a,32a,33aで測定してサッシ枠4を位置決めすれば良く、ビル用サッシの施工を熟練を要せずに正確且つ迅速容易に行うことができ、施工性の向上及び施工時間の短縮が図れる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は上記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係るビル用サッシの位置決め用測定治具の斜視図である。
【図2】図1の位置決め用測定治具に使用されている取付部材を示す斜視図である。
【図3】図1の位置決め用測定治具を使用した位置決め方法を説明する説明図である。
【図4】図1の位置決め用測定治具を使用した位置決め方法を説明する説明図である。
【図5】図1の位置決め用測定治具を使用した位置決め方法を説明する説明図である。
【図6】位置決めされたサッシ枠を躯体に固定する一例を示す要部横断面図である。
【図7】サッシ枠の躯体への固定時に用いられる変形防止治具の一例を概略的に示す斜視図である。
【図8】図7の概略的要部横断面図である。
【図9】ビル用サッシの従来の施工方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ビルの躯体
2 開口部
3 サッシ
4 サッシ枠
10 位置決め用測定治具
11,12,13 測定片
11a,12a,13a 目盛り
16 横用レーザー装置
17 縦用レーザー装置
18 下げ振り
16a 横レーザー光
17a 縦レーザー光
18a 下げ振り糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際にサッシ枠の四隅に取付けて使用される位置決め用測定治具であって、前記サッシ枠の隅部から縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する測定治具本体と、該測定治具本体をサッシ枠の各隅部に取付けるための取付部材とを備えたことを特徴とするビル用サッシの位置決め用測定治具。
【請求項2】
ビル用サッシのサッシ枠を躯体の開口部に取付ける際の位置決め施工方法であって、前記サッシ枠の四隅に、縦方向、横方向及び室内外方向内方の三方向に延出されると共に目盛りの付された測定片を有する治具本体と、該治具本体を取付けるための取付部材とを備えた位置決め用測定治具を取付け、横用レーザー装置と、縦用レーザー装置又は下げ振りとを用いて、横レーザー光と、縦レーザー光又は下げ振り糸とに対するサッシ枠の四隅の相対的位置を前記測定片で測定してサッシ枠を位置決めすることを特徴とするビル用サッシの位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−113288(P2007−113288A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306311(P2005−306311)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】