ビレットおよび対応するビレットホルダー
ベースおよびフレームを含むビレットホルダーが説明される。そのベースとフレームとは連結可能であり、連結された場合、そのベースとフレームとは、ビレットがビレットホルダーに挿入され、または、ビレットホルダーから取り外される場合における開放配置と、ビレットがそのビレットホルダー内に保持される場合における閉鎖配置との間で相対的に移動可能とされる。ビレットホルダー内に保持され、1つ以上のオリエンテーションフィーチャを有するビレットも説明される。そのビレットは、基本的には、D形状を有することができる。さらに、ビレットから物品を製造する方法も説明される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビレット、対応するビレットホルダー、および前記ビレットホルダーの使用方法に関する。より詳細には、限定的ではないが、本発明は、歯科用部品の製造に使用されるビレットホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ビレットから例えば、フライス削りによって、部品を製造しやすくするためには、ビレットを作る材料、サイズ、形状、および製造すべき部品の複雑さ、材料費、並びに、特にビレットからの廃棄物などの幾つかの要因が、重要である。これらを考慮する他に、製造場所に関する要因もビレットのサイズおよび形状に影響を与える可能性がある。最後に、ビレットをホルダ内に固定する方法が、製造工程に影響を与えることもある。
【0003】
セラミック材料は、幾つかの用途に有用である。歯科産業では、一つ以上の歯の置換の美観を考慮することは重要であり、セラミック材料が使用されるが、金属置換物が使用される場合には遭遇しなかったことを製造で考慮しなければならない。セラミックがフライス削りまたは機械加工前に完全に焼結される場合、材料が機械加工し難くなり、工程に時間がかかる問題があり、セラミックがフライス削り前に部分的に焼結される場合、すなわち褐色状態の場合は、切削が比較的容易であるが、セラミックを最終密度まで焼結する際に起きる収縮を考慮して、部品を大き目にフライス削りしなければならない。
【0004】
歯科産業では、部品は複雑であり、比較的小さい。さらに、外面と内面の両方を製造しなければならない。以前は、一面、たとえば内面に加圧し、外面だけをフライス削りすることが知られており、このときは、部品の一面に工具で近づくだけでよかった。それには、装置の幾つかの異なる部片、および加圧工程で使用される様々な材料の在庫が必要とされる。
【0005】
また、幾つかの方向から近づくことができるようにするための、ビレットの周囲に配置された複数の工具を有する機械の使用も知られているが、こうした機械は、大型であり、複数の工具を使用するには複数のモータが必要であり、それによって、機械の複雑さ、および費用が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願第0803666.7号の明細書
【特許文献2】欧州特許第1613237号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の一面は、オリエンテーションフィーチャ(orientation feature)を有するビレットを含む。ビレットは、それから義歯を機械加工することができる歯科用ビレットでもよい。ビレットは,実質的にD形状を有することができる。
【0008】
オリエンテーションフィーチャは、ビレットをビレットホルダーに挿入することができる方向の数を制限することができる。ビレットをビレットホルダーに挿入することができる方向の数を2方向に、または、より好ましくは、単一方向に制限することができる。オリエンテーションフィーチャは、非対称のビレットを形作ることが好ましい。オリエンテーションフィーチャは、非対称のビレットの形状を1つ、2つ、または3つの回転軸の回りで回転することができる。好ましくは、ビレットは、どの軸の回りでも回転対称性を持たない。すなわち、全ての軸の回りで回転非対称である。
【0009】
非対称ビレットを使用することは、ビレットをビレットホルダーに一方向にだけ挿入することができることを指し、したがって、操作者または機械のプログラムが、ビレットの位置を知り、さらに重要なことには、ビレットが機械の動作範囲内に正しく挿入された場合、ビレットの境界は、工具との位置関係を保っている。
【0010】
オリエンテーションフィーチャは、非対称ビレットに回転を与える任意の形状を含むことができる。オリエンテーションフィーチャをビレットの一部として機械加工することができる。オリエンテーションフィーチャをビレットに固定することができる。オリエンテーションフィーチャをビレット内に形成する、または、ビレットに加えることができ、もしくは両方の組み合わせでもよい。オリエンテーションフィーチャは、たとえば、スロット、孔、もしくは突起、または複数のこうした形状を含むことができる。
【0011】
有利には、ロケーティングフィーチャー(locating feature)が、ビレットに設けられる。ビレットは、2つ以上のロケーティングフィーチャーを有することができる。前記ロケーティングフィーチャーは、設計が同様、または異なるものでもよい。ロケーティングフィーチャーの一例は、ビレットの周囲、または周囲の一部の回りに配置された溝である。ビレットがD形状のビレットの場合、ロケーティングフィーチャーは、D形状のビレットの1つまたは両方の縁部の周囲に配置された溝でもよい。ロケーティングフィーチャーの他の例は、ビレットの切り取られた角、または角の面取りなど、ビレットから切り取られた部分である。切り取られた角をビレットのオリエンテーションフィーチャとして追加で使用することができる。
【0012】
ロケーティングフィーチャーは、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットがビレットホルダーから落下するのを阻止することができる。たとえば、ビレットのロケーティングフィーチャーは、ビレット内の少なくとも1つの溝、またはビレット内の少なくとも1つのスロットを含むことができる。ロケーティングフィーチャーは、ビレットから除去された材料を含んで、ビレットがビレットホルダーの縁部に接触して着座するようにすることができる。こうすると、ビレットとビレットホルダーの相対運動が制限される、または実質的に阻止される。
【0013】
ロケーティングフィーチャーが非対称ビレットに回転を与える場合、ロケーティングフィーチャーも、オリエンテーションフィーチャであり得る。
【0014】
ビレットは「予備焼結ジルコニア」を含むことができる。「予備焼結ジルコニア」は、「褐色」、または「ビスク焼結(bisque‐fired)」、もしくは「ビスケット焼結(biscuit‐fired)」ジルコニアとしても知られている。ビレットは、たとえば、ポリマー、ワックス、金属、または他のセラミック材料を含むことができる。ビレットはこうした材料の組み合わせを含むことができる。たとえば、ビレットは、アルミナ、アルミナとジルコニアの混合物、(まだ中に結合剤を有する)グリーン(圧縮状態の)ジルコニア、または完全に焼結された、もしくはHIPされた(熱間等静圧圧縮成形された)ジルコニアを含むことができる。ビレットは、機械加工すべき任意の材料で製作可能とされる。
【0015】
本発明の第2の面は、ベース、およびフレームを備える、ビレットホルダーであって、
ベースとフレームは連結可能であり、連結された場合、ビレットがビレットホルダーに挿入され、または、ビレットホルダーから取り外されることができる場合の開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される場合の閉鎖配置の間で相対的に移動可能であるビレットホルダーを含む。
【0016】
ビレットをビレットホルダーの保持空洞内に保持することができる。ベースとフレームとは、ジョイントによって連結可能でもよい。このジョイントによって、ベースおよびフレームを開放配置と閉鎖配置との間で移動させることを可能にすることができる。ジョイントは複数のジョイントを含むことができる。
【0017】
ジョイントは、たとえば、ピボットジョイントを含むことができる。一例では、ベースとフレームとを4バーリンクシステムによって連結することができる。こうしたリンクシステムは、当業者に周知であろう。
【0018】
ベースとフレームとを摺動部によって連結することができる。2つの部材を移動可能に連結する他の方法は、当業者に周知であろう。
【0019】
フライス削り工程のために、ビレットホルダーがフライス盤に取り付けられる。適したフライス盤および取り付け方法の一例が、我々の同時係属出願である英国特許出願第0803666.7号(特許文献1)に記載されており、インデックスフィーチャを含むインデックスフレームが提供される。インデックスフィーチャは、ビレットホルダーとインデックスフレームの間の取り付けを行うことができ、ビレットホルダーをフライス盤に対して再方向付けすることができる。
【0020】
上述のようにビレットホルダーを使用することによって、ビレットホルダーがフライス盤に固定されている間に操作者がビレットの挿入および除去を行う場合、または最初にフライス盤から取り外す場合、操作者によるビレットの挿入、取り外し両方を制御することができる。具体的には、旋回するビレットホルダーを使用することによって、ビレットホルダーがフライス盤に固定されている間、操作者がビレットの挿入および取り外しを行う場合、または最初にフライス盤から取り外す場合、操作者によるビレットの挿入および取り外し両方を制御することができる。
【0021】
ビレットホルダーのベースは、ベース開口部を含むことができ、この開口部を通してビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができる。たとえば、機械からの工具が、ベース開口部を通り、ビレットホルダー内に保持されたビレットを加工することができる。
【0022】
ベース開口部は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるようにするサイズでもよい。ベース開口部を、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面の実質的に全ての機械加工可能な部分に近づくことができるように構成することができる。それによって、ビレットのできるだけ多くを一つ以上の部品に機械加工できるようにすることによって、材料の廃物を防ぐことができる。本明細書に上述したように、ベース開口部をビレットの表面の形状を補足するように形状付けることができる。
【0023】
ビレットホルダーのベース開口部を、ビレットのロケーティングフィーチャーを受けるように適合させることができる。ビレットのロケーティングフィーチャーを受けることによって、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内部の知られた、または画定された位置に固定することができる。
【0024】
好ましい一実施例では、ベースは摺動部を形成し、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはそれから取り外す場合に、その摺動部に沿ってビレットを移動させることができる。
【0025】
ベースは、少なくとも1つのリップフィーチャーを備えることができる。ベースは、2つ、3つ、または4つのリップフィーチャーなど、複数のリップフィーチャーを備えることができる。前記少なくとも1つのリップフィーチャーは、ビレットがビレットホルダー内部に保持された場合、特に、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットを支持するための停止部を提供して、ビレットが重力下でビレットホルダーの外に滑らないようにすることができる。ベースは、ビレットが開放配置のビレットホルダー内部に配置された場合、ビレットを保持するための少なくとも1つのリップフィーチャーを備えることができる。
【0026】
ベースは、たとえば、リングを形成することができ、または、ベースは、実質的にU字形状でもよく、もしくは、ベースは、フレームに連結された2つの別個のアームを備えることができる。
【0027】
ビレットホルダーのフレームは、フレーム開口部を含むことができ、その開口部を通してビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができる。ベース開口部と同様に、機械からの工具は、ベース開口部を通り、ビレットホルダー内に保持されたビレットを機械加工することができる。
【0028】
フレーム開口部は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるようにするサイズでもよい。フレーム開口部を、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面、即ち、使用面における実質的に全ての機械加工可能な部分に近づくことができるように構成することができる。それによって、ビレットのできるだけ多くを一つ以上の部品に機械加工できるようにすることによって、材料の廃物を防ぐことができる。本明細書に上述したように、フレーム開口部をビレットの使用面の形状を補足するように形状付けることができる。
【0029】
ビレットホルダーのフレーム開口部を、ビレットのロケーティングフィーチャーを受けるように適合させることができる。ビレットのロケーティングフィーチャーを受けることによって、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内部の知られた、または画定された位置に固定することができる。
【0030】
好ましくは、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内で保持するための少なくとも1つのリテイニングフィーチャーを含む。それによって、ビレットの使用可能な領域、および、ときにはビレットの完全性に影響を与える接着剤、またはグラブねじなどのねじなど、余分な固定補助を必要とせずにビレットをビレットホルダー内に保持することができる。リテイニングフィーチャーは、たとえば、少なくとも1つのフィンガー、つまみ、ピン、パッド、または棚状の突起でもよい。
【0031】
少なくとも1つのリテイニングフィーチャーをベースおよびフレームのうちの少なくとも1つに設けることができる。少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、ベースからベース開口部内に突き出ることができる。少なくとも1つのリテイニングフィーチャーはフレームからフレーム開口部内に突き出ることができる。好ましくは、少なくとも1つのリテイニングフィーチャーが、ベースおよびフレームそれぞれに設けられる。
【0032】
有利には、リテイニングフィーチャーは、使用の際に、リテイニングフィーチャーがビレットの面の面積と比較して小さい面積でビレットの面と接触するように配置される。これは、機械加工することができるビレットの表面積を最大にし、かつビレットを所定位置に保持するのに十分な接触も行うようにするためである。
【0033】
他に、部品の機械加工が完了した後、一部のビレットが残って、機械加工した部品を共に保持することができるようにすることが考えられる。
【0034】
好ましくは、締付け面積の機械加工可能な面積に対する比は、約8:1であり、その場合、ビレットは、表面積約6000mm2を有する。しかし、理解されるように、締付け面積の機械加工可能な面積に対する好ましい比は、異なるサイズのビレットでは異なってもよい。
【0035】
好ましくは、ベース上の少なくとも1つのリテイニングフィーチャーがフレーム上の少なくとも1つのリテイニングフィーチャーと協働して、ビレットに締付力を加え、ビレットがビレットホルダー内部で保持されるようにする。ビレットをビレットホルダーのリテイニングフィーチャーによって、機械加工によりビレットに加えられる全ての切削力および動的力に対抗するように十分にしっかり保持することができる。リテイニングフィーチャーを、ビレットがビレットホルダー内部に保持された場合にビレットに力を加えて、ビレットがビレットホルダー内部で揺動することができないように配置することができる。
【0036】
好ましくは、リテイニングフィーチャーは、締付力がビレットの縁部に加えられるように配置される。好ましくは、リテイニングフィーチャーは、締付力がビレットの厚さにわたりビレットに加えられるように配置される。リテイニングフィーチャーを、使用の際にリテイニングフィーチャーの間で締め付けられたビレットの領域が機械加工によって除去されないように配置することができる。こうすると、ビレットがリテイニングフィーチャーの間で剛性を維持することができ、従って、ビレットが締付力によって割れることがない。
【0037】
ビレットが機械加工されるとき、ビレットから材料が除去され、通常、それがビレットの幅にわたりビレットの剛性を低減させることになる。したがって、ビレットの幅にわたる締付けは、ビレットの亀裂を招く恐れがある。
【0038】
好ましい一実施例では、ビレットホルダーに閉鎖配置の場合ビレットホルダーを固定するためのクロージャが設けられる。クロージャがベースに旋回式に取り付けられる場合、有利には、クロージャにも旋回運動を制限し、旋回運動の規定された最大範囲を提供する停止部が設けられる。停止部をフレーム自体によって設けることができる。クロージャに、クロージャのビレットホルダーに対する運動を制限し、運動の規定された最大範囲を提供する停止部を設けることができる。
【0039】
さらに有利には、クロージャは、追加の固定具の必要がなく、手で作動可能である。それによって、ユーザが、工具および固定具を必要とすることなく、閉鎖位置のビレットホルダーを容易に固定することができる。
【0040】
クロージャを、閉鎖配置の場合ベースおよびフレームと同一平面上にあるように設計して、クロージャが閉鎖された場合、フライス削り工程を妨げないようにすることができる。
【0041】
クロージャは、たとえば、実質的にU字形状、または閉鎖リングでもよい。クロージャをベースまたはフレームのうちの少なくとも1つに設けることができる。クロージャの構成部品をベースおよびフレームそれぞれに設けることができる。
【0042】
クロージャを、閉鎖配置の場合クロージャがビレットホルダーのリテイニングフィーチャーに力を加えるように配置することができる。前記リテイニングフィーチャーは、そのとき、ビレットホルダー内部に保持されたビレットに力を加えることができる。
【0043】
ビレットホルダーは、少なくとも1つのロケーティングフィーチャーを含むことができる。ビレットホルダーは、ロケーティングフィーチャーを含むことができる。前記ロケーティングフィーチャーを、ビレットに設けられた全てのロケーティングフィーチャーの代わりに、またはそれに加えて、ビレットホルダー上に設けることができる。ビレットホルダーのロケーティングフィーチャーの一例は、ビレットホルダー内のビレットを支持するように適合された、ベース、フレーム、および/または(設けられている場合は)クロージャの周囲に配置された一つ以上のフィンガーである。ビレットホルダーのロケーティングフィーチャーは、たとえば、ビレットホルダー内のビレットを支持するように適合された、ベース、フレーム、および/または(設けられている場合は)クロージャに設けられた棚状の突起である。ロケーティングフィーチャーの組み合わせをビレットホルダーに設けることができる。
【0044】
ロケーティングフィーチャーは、ビレットホルダー上の少なくとも1つの突起でもよい。ビレットが前記突起に支えられてもよい。ロケーティングフィーチャーは、ベースまたはフレームのうちの少なくとも1つから突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ベース開口部またはフレームの開口部内に突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ベースとフレームとの間でビレットホルダーの保持空洞内に突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ビレットが支えられるビレットホルダー上の複数の突起でもよい。前記突起は、たとえば、ピン、またはつまみ、ねじ頭、もしくはフィンガーでもよい。ロケーティングフィーチャーは、たとえば、ベース開口部およびフレームの開口部のうちの少なくとも1つの面取りされた角を含むことができる。たとえば、面取りされた角は、ビレットホルダーの保持空洞の面取りされた角でもよい。
【0045】
ロケーティングフィーチャーは、リテイニングフィーチャーでもよいが、これは必ずしも必要ではない。ビレットホルダー上のロケーティングフィーチャーは、ビレット上のロケーティングフィーチャーと協働して、ビレットがビレットホルダー内部で位置決めされるようにすることができる。
【0046】
ビレットホルダーは、ビレット上のオリエンテーションフィーチャと協働するための少なくとも1つのオリエンテーションフィーチャを含むことができる。オリエンテーションフィーチャは、ビレットをビレットホルダー内に受けることができる方向の数を制限することができる。本明細書に上述したように、オリエンテーションフィーチャは、ビレット上のオリエンテーションフィーチャを補足することができる。
【0047】
例えば、オリエンテーションフィーチャは、ベース開口部およびフレーム開口部のうちの少なくとも1つを非対称にすることができる。オリエンテーションフィーチャは、ビレットホルダーの保持空洞を非対称にすることができる。本明細書に上述したように、ビレットホルダーのベース開口部、フレーム開口部、および保持空洞のうちの少なくとも1つをビレットの形状を補足するように形状付けることができる。
【0048】
本発明は、ビレットから物品を製造する方法であって、工具、およびビレットホルダーが取り付け可能な相対的に移動可能な部分を含むフライス盤を有し、ベースおよびフレームは連結され、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるベースおよびフレームを含むビレットホルダーを用意し、前記ビレットホルダーが開放配置において、ビレットを前記開放したビレットホルダーに挿入し、前記ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置まで移動し、前記ビレットを前記ビレットホルダー内に固定し、前記ビレットホルダーは、前記ビレットを前記ビレットホルダーに挿入する前または後に、前記フライス盤における相対的に移動する部分に取り付け可能とされる方法も提供する。
【0049】
本発明は、ビレットから物品を製造するさらなる方法であって、工具、およびビレットホルダーを取り付けることができる相対的に移動可能の部分を含むフライス盤を有し、ビレットホルダーを提供するステップであって、前記ビレットホルダーがベース、フレーム、およびピボットを備え、ベースとフレームは、ピボットによって連結され、開放配置と閉鎖配置の間で相対的に移動可能であり、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットを開放ビレットホルダーに挿入し、ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置に旋回させ、ビレットをビレットホルダー内に固定することを含み、ビレットをビレットホルダーに挿入する前または後に、ビレットホルダーをフライス盤の相対的に移動可能の部分に取り付けることができる方法も提供する。
【0050】
好ましくは、相対的に移動可能の部分は、フライス盤に対して回転可能なインデクサーである。インデクサーを工具に対して2つまたは3つの軸に移動させることができる。これらの軸は、x、y、および任意選択でzである。好ましい一実施例では、軸は互いに直交する。それによって、ビレットの様々な側面を工具に向けることができる。こうした構成の利点は、1つの工具を使用してビレットの様々な平面を切削することができるために機械が簡素化され、機械のサイズを縮小することができることである。
【0051】
本発明は、また、ビレットから物品を製造する他の方法であって、工具、およびビレットホルダーを取り付けることができる相対的に移動可能の部分を含むフライス盤を有し、ビレットホルダーを用意し、前記ビレットホルダーが、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができるように配置構成された第1の構成と、ビレットがビレットホルダー内に保持されるように配置構成された第2の構成の間で相対的に移動可能であるように構成された第1の部材および第2の部材を備え、ビレットホルダーが第1の構成の場合、ビレットを開放ビレットホルダーに挿入し、ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置に移動させ、ビレットをビレットホルダー内に固定することを含み、ビレットをビレットホルダーに挿入する前または後に、ビレットホルダーをフライス盤の相対的に移動可能の部分に取り付けることができる方法も提供する。
【0052】
さらに、ビレットホルダーであって、ベース、フレーム、および、ピボットを含み、このピボットによってベースとフレームが連結され、ベースおよびフレームを、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができる開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される閉鎖配置の間で移動させることが可能となるビレットホルダーが説明される。
【0053】
さらに、ビレットホルダーであって、第1の部材、および第2の部材を備え、
第1および第2の部材が、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができるように配置構成された第1の構成と、ビレットがビレットホルダー内に保持されるように配置構成された第2の構成の間で相対的に移動可能であるビレットホルダーが説明される。
【0054】
第1の構成は、開放配置でもよい。第2の構成は、閉鎖配置でもよい。第1の部材は、フレームを含むことができる。第2の部材は、ベースを含むことができる。
【0055】
第1の部材と第2の部材とを連結することができる。第1の部材と第2の部材が連結される場合、それらをジョイントによって連結することができる。ジョイントはベースおよびフレームを、ビレットをビレットホルダーに挿入する、または、それから、取り外すことができる開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で移動できるようにすることができる。
【0056】
ジョイントは、ピボットジョイントを含むことができる。ジョイントは、たとえば、複数のピボットジョイントなど、複数のジョイントを含むことができる。一例では、ベースとフレームを4バーリンクシステムによって連結することができる。こうしたシステムは、当業者に周知であろう。
【0057】
別法として、第1の部材と第2の部材とは、別個であるが、互いに取り付け可能でもよい。その場合、第1の部材および第2の部材に互いに固定するための固定具が、設けられることが好ましい。別個の固定部品を使用することができるが、それらは必要とされる部品の数を増やし、ユーザの使いやすさを低減するために、好ましくない。次に、添付図面を参照して、本発明が、一例により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1a】開放配置における第1のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図1b】ビレットホルダーのピボットジョイントを等角投影法により示す。
【図2】閉鎖配置における第1のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図3】ビレットを示す。
【図4a】第1のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図4b】第1のビレットホルダーにおける対応する形状部分と協働するビレットのオリエンテーションフィーチャを示す。
【図5】開放配置における第2のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図6】第2のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図7】開放配置における第3のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図8】第3のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図9】本発明に従うビレットホルダーおよびビレットを使用するフライス盤を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1aは、ベース10およびフレーム20を有するビレットホルダー100を示している。ベース10およびフレーム20は、ピボットジョイント30によって連結される。また、ベース10およびフレーム20を連接し、ベース10とフレーム20との間の旋回角度に制限をもたらすクロージャ40も設けられる。ベースおよびフレームは、通常、0°から18°までの角度の間で旋回することができ、約80°までが使用可能である。しかし、旋回角度が大きくなるに従って、機械の垂直移動可能範囲が大きくなり、したがって、機械のサイズも大きくなり、それが幾つかの環境では望ましくないので比較的小さい旋回角度が好ましい。好ましい実施例では、旋回角度は約0°から25°までの間にある。旋回角度は、約0°から16°までの間でもよい。明らかに、旋回角度は、ビレットの厚さの関数である。この例では、約18°の旋回角度が、厚さ20mmのビレットに適している。
【0060】
この例では、ベース10は、ビレットがビレットホルダー内に、かつ、フライス盤内に配置された場合、ビレットの一方の側面における工具に近づくことができるようにする開口部12を備えている。フレーム20は、ビレットがビレットホルダー内に配置された場合、ビレットの第2の側面における工具に近づくことができるようにする第2の開口部22を有する。ビレットにおける第1および第2の側面に近づくことができるようにする開口部は、実質的に同じ寸法および構成であることが好ましい。さらに、開口部は、ビレットとビレットホルダーのベースおよびフレームとの間の重なりを最小にすることが好ましい。それによって、ビレットの材料が、機械加工に最大限に使用され、したがって、廃棄物を最小限にする。
【0061】
ビレットの第1の側面を支持するための棚状の突起、またはフィンガー18が、ベース10上に設けられる。
【0062】
クロージャ40は、全体的にU字形状であり、旋回固定具42によってU字の各アーム44の端部付近の位置でベース10に旋回式に固定される。スロット46が、各アーム44の長さに沿って設けられ、フレーム20上のラグ24と協働する。ラグ24が、旋回固定具42に対して末端である、したがって、ベース10に対して末端であるスロット46の端部またはその付近に存在する場合、ビレットホルダーは(図で示したように)開放配置である。この構成では、クロージャ40は、フレーム20およびベース10に対して角度が付けられる。この例では、クロージャ40は、ベース10に対して概ね垂直である。ラグ24が、スロット46に沿って移動される場合、ビレットホルダーは、徐々に閉鎖される。前記閉鎖配置が、図2に示されている。ラグ24が、スロット46の端部に近づくに従って、ビレットホルダー内に保持されたビレットに、ベース10上のフィンガー18およびフレーム20上のフィンガー28によって締付力が、加えられる。ラグ24がスロット46の端部に到達する場合、ラグ24は、移動止め45内に入り、閉鎖されたクロージャ40、締め付けられたビレットを所定位置で保持する。
【0063】
次に、図1bを参照すると、ピボットジョイント30は、ベース10に固定されたピン12を含む。ピン12は、フレーム20の開口部26内に着座し、ピンの長さによって画定された軸の回りでベースが開口部26に対して回転し、旋回運動を行うことができるようにする。ビレットホルダー100のベース10およびフレーム20が、一方の側面、ピボット辺33に沿って接触したままにし、一緒に移動可能とされ、ピボットジョイント30の末端で、ベース10およびフレーム20の側面において、離れているように、ピボットジョイント30がビレットホルダー100の2つの隣接する角に設けられている。
【0064】
次に、図2を参照すると、ビレットホルダー100が閉鎖され、ビレット50を含むとき、クロージャ40は、開放配置から閉鎖配置に到達するまでベース10の旋回固定具42の周囲で旋回し、閉鎖配置では、フレームと実質的に同じ平面に横たわり、好ましくは、フレームと同じ高さである。したがって、ビレットホルダーが閉鎖された場合、クロージャ40は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの切削を妨げない。
【0065】
フレーム20には、ビレットの第2の側面を支持するためのフィンガーまたは棚状の突起28がさらに設けられる。
【0066】
図3は、ビレットホルダー内に固定されるようにしたビレット50を示している。ビレットは、実質的にD形状であり、一面の縁部の周囲に溝52を有し、その溝は、上面56を有する。ビレットは、面取りされた縁部、または角の切取部54を有し、したがって、ビレット50の形状は、ビレットホルダー内にビレットを一方向にだけ挿入することができるように設計される。さらに、ビレットは、接着剤または固定具なしでビレットホルダー内に保持されるように設計される。溝52の上面56は、ビレットホルダーの対応する部分に押し当てる棚状の突起をもたらす。
【0067】
ビレットが、予備焼結された、または褐色のセラミック材料の場合、グラブねじのような固定具の使用が、亀裂を起こし、または、固定具の周囲に集中されたビレット内部の欠陥を引き起こす可能性がある。そのような場合、並びに、接着剤が使用される場合、切削された部分が接着剤で汚染される、または、内部の亀裂により使用不能になる恐れがあるのでビレットの一領域が使用不能になる。したがって、本発明によるビレットの利点は、ビレットの使用可能な領域を最大にすることである。これは、1つのビレットから幾つかの部品を切削する場合に、部品の数が最大になり、廃棄材料が最小限に抑えられるので特に有利である。
【0068】
図4aは、ビレット50が部分的に挿入された状態でビレットホルダー100を示している。したがって、ビレットホルダーは、開放配置であり、クロージャ40は、ベース10に対してある角度にあり、即ち、平行でない。この例では、図4bで示されるように、面取りされた、即ち、切り取られた角54が、ビレットホルダー100のフレーム20上の対応する突起29と一致する状態で、D形状のビレット50の丸みが付けられた側部が最初に挿入される。
【0069】
ビレット50は、ビレットホルダーのベース10とフレーム20との間の開口60内に摺動する。ビレット50の溝52は、ベース10の開口部12よりも僅かに小さいのでビレットを挿入する工程が完了した場合、溝52の上面56(また図3参照)が、ベース10のフィンガー18に載る。したがって、溝52の上面56は、ビレット50をビレットホルダー内で支持する。
【0070】
図5は、開放配置の第2のビレットホルダー200を示す等角図である。図1aを参照した説明は、第2のビレットホルダー200に当てはまり、図5では、第2のビレットホルダー200の部品番号が第1のビレットホルダー100の部品番号に対応するように番号が付けられており、たとえば、図1aのベース10は、図5のベース210に対応し、図1aのフレーム20は、図5のフレーム220に対応する。第2のビレットホルダー200は、さらに、ベース210上のリップ201を含む。
【0071】
図5で示されるように、ビレットホルダー200が開放位置の場合、開口部202が、ベース210の第1の側部211、およびフレーム220の第1の側部221、並びにクロージャ240のアーム244によって、画定される。前記複数の側部は、フレーム20とベース10とを継ぎ合わせるピボット辺233の末端にある。ビレットは、開口部202を介してビレットホルダー200内に受け止められ得る。リップ201は、ビレットホルダー200の開口部202内に位置付けられ、ベース210の第1の側部211からフレーム220の第1の側部321に向かって突き出る。ビレットがビレットホルダーに挿入される場合、リップ201は、ビレットがビレットホルダー200から後退することを阻止する。これは、ビレットがビレットホルダー200と係合するための溝または他の特徴を持たないむくブロック(solid block)である場合、特に有用である。
【0072】
ピボットジョイント230は、ベース210およびフレーム220の側部に固定されたピン212を含む。ピン212は、フレーム220の開口部(図示せず)内に着座し、ベース210が、ピン212の長さによって画定された軸231の回りで開口部に対して回転して、旋回運動を行うことができるようにする。
【0073】
図6は、第2のビレットホルダー200に部分的に挿入されたビレット250を示している。ビレット250は、溝を持たず、ビレット250の主本体の縁部は、ベース210のフィンガー208と接触して、ビレット250が、ビレットホルダー200内に保持されるようになされる。おわかりのように、ビレット250がリップ201を超えて押し込まれた後、リップ201は、ビレット250がビレットホルダー200から後退することを阻止する。
【0074】
図7は、等角投影法により開放配置の第3のビレットホルダー300を示す。第2のビレットホルダー200に関して、図1を参照した説明は、第3のビレットホルダー300に総じて当てはまり、図6では、第3のビレットホルダー300の部品番号が第1のビレットホルダー100の部品番号に対応するように番号が付けられている。しかし、第3のビレットホルダー300は、説明された他のビレットホルダーとは異なるクロージャおよびベースを有する。
【0075】
第1および第2のビレットホルダーと同様に、第3のビレットホルダー300が開放位置にある場合、ベース310の第1の側部311、およびフレーム320の第1の側部321、並びにクロージャ340のアーム344によって開口部302が画定され、前記複数の側部は、フレーム320とベース310を継ぎ合わせるピボット辺333の末端にある。ビレットは、開口部302を介してビレットホルダー300内に受け止められ得る。第3のビレットホルダー300では、ベース310の第1の側部311は、切れ目なく続いていない。ベース310の第1の側部311は、互いに向かって延びる第1および第2の部分311aおよび311bを有し、この2つの部分311a、311bは、一致せず、間隙311cが、ベースの第1の側部311に存在する。間隙311cは、ユーザがビレットを取り出しやすくするものである。間隙311cは、ユーザがビレットをビレットホルダー300から取り外すとき、ユーザがビレットの上面および下面を把持し、ビレットの面と接触したままにすることができるようにする。
【0076】
第3のビレットホルダー300のクロージャ340は、説明される第1のビレットホルダー100および第2のビレットホルダー200のクロージャのように全体的にU字形状ではなく、全体的により長方形である。第3のビレットホルダー300のクロージャ340は、ビレットホルダー300のベース310およびフレーム320の第1の側部311、321の周囲を環状に囲む。ベース310の第1の側部311に対し実質的に平行に通る全体的に長方形のクロージャ340の第1の側部341は、クロージャ340を開位置から閉位置まで移動させるレバーとして使用され得る。閉位置の場合、全体的に長方形のクロージャ340の第1の側部341は、ベース310の第1の側部311と当接し、ベース310の第1の側部311の2つの部分311aと311bとの間の間隙をふさぐ。クロージャが閉位置にある場合、クロージャ340の第1の側部341は、ベース310の2つの部分311a、311bに力を加え、したがって、ベースのフィンガー318をビレットホルダー内に保持されたビレットに押し付ける。
【0077】
リップ301は、ビレットホルダー300の開口部302内に位置付けられ、ベース310の第1の側部311の部分311a、311bからフレーム220の第1の側部321に向かって突き出る。ビレットがビレットホルダーに挿入されるとき、リップ301は、ビレットがビレットホルダー300から後退することを阻止する。また、これは、ビレットがビレットホルダー300と係合するための溝または他の形状を全く持たないむくブロックである場合、特に有用である。
【0078】
図8は、第3のビレットホルダー300に部分的に挿入されたビレット350を示す。また、ビレット350は溝を持たないのでビレット350の本体部の縁部がベース310のフィンガー318と接触して、ビレット350がビレットホルダー300内に保持される。おわかりのように、ビレット350がリップ301を超えて押し込まれた後、リップフィンガー301は、ビレット350がビレットホルダー300から後退することを阻止する。
【0079】
図9は、本発明のビレットホルダー100およびビレット50と共に使用するのに適したフライス盤70を示している。フライス盤70は、卓上機械であり、ビレットから材料をフライス削りするための工具72を含む。この例では、工具72が相対的に固定されている。インデクサー(indexer)74は、工具72に対して3つの直交方向76に可動であり、ビレットホルダー100を保持する。インデクサー74は,ビレットホルダー100内に保持されたビレット50の様々な側面がフライス削りのために工具72に向けられ得るように、ピボット78の回りで回転可能である。
【0080】
ピボット78は、フライス盤に対する、従って,工具に対するインデクサーの回転軸をもたらし、さらに、インデクサーとビレットホルダーとの接触部である。この例では、インデクサーに凹部(図示せず)が設けられ、この凹部が、ビレットホルダーに設けられた突起32(図4aを参照)と協働する。2つのそのような凹部と突起との対が設けられ、その相互間の位置が、回転軸線をもたらす。
【0081】
使用の際,切削手法を実行する2つの方法がある。第1の方法では、ビレットが、フライス盤から離れたところにあるビレットホルダーに挿入される。次いで、ビレットホルダーがインデクサーに連結され、ビレットホルダーがフライス削りの一連の工程を開始するのに適した方向に回転される。
【0082】
第2の方法では、ビレットが挿入または取り外される間、ビレットホルダーが機械の動作範囲内でインデクサーに取り付けられたままである。クロージャが開放され、開放作用によって、ビレットホルダーのベースの一端が開口部を大きく開けるようにフレームに対して落下される。ベースの他端は、ピボットでフレームに取り付けられ、これによって、インデクサーに取り付けられる。ビレットがフレームの中から持ち上げられ、新しいビレットが挿入され、フレームによって所定位置に保持され、その一方、クロージャが閉鎖されるように手でクロージャに圧力が加えられる。これにより、ベースがもとの閉配置へ回転する。
【0083】
第2の方法には幾つかの利点がある。先ず、ビレットホルダーがインデクサーに取り付けられたままであるのでビレットホルダーの方向、したがって、ビレットホルダー内のビレットの方向が知られている。操作者またはセンサが、切削プログラムに方向を通知する、または、方向を二重チェックし、確認する必要がない。これは、ビレットが非対称であり、逆の場合はビレットの代わりにホルダが切削される恐れがあるので重要である。ビレットの除去および挿入工程は、ビレットがクロージャに対して準備された位置になるまで、両手を使用してビレットを操作することができるのでさらに制御されるが、第1の方法では、一方の手がビレットホルダーを保持する、即ち、固定するために必要とされる。
【0084】
フライス削り工程は、上述の第1または第2の方法により、ビレットの挿入によって開始される。フライス盤は、部品、例えば、ブリッジフレームワーク(bridge framework)を作製するために与えられた座標データから工具のための切削経路を作るフライス削り用ソフトウェアプログラムを含む。その座標データは、必要とされるブリッジフレームワークのモデルの走査によって得ることができる。
【0085】
ビレットの第1の側面が、機械加工される。示される構成は、ビレットの下に工具を有しているうえで有利であるということは、フライス削り工程中に生成される全ての粉塵の除去が重力によって助けられるということである。しかし、工具がビレットに対し垂直に上方に存在する逆の構成は、実行可能であるが、比較的多くの排出を行うことが必要とされる場合がある。さらに、上述のいずれの構成でも、工具が、相対的に移動可能であり、ビレットが相対的に固定される。
【0086】
ビレットの第1の側面が機械加工された後、それから、ビレットの他方の面を機械加工のための工具に向くようにビレットホルダーは、インデクサーを使用して回転可能とされるか、あるいは、代替的に、他の部分の第1の側面が、機械加工され得る。ビレットを工具に対して回転させる前に、ビレットの第1の側面の全表面または単に一部を機械加工することができる。
【0087】
ビレットホルダーを反転させてビレットの第2の側面が工具に向けられた場合、ビレットは、様々なロケーティングフィーチャを使用して支持される。部品の第2の側面が、機械加工される。部品をビレットに取り付ける幾つかのリテイニングウェブを残すことは、賢明であり、そのウェブは、後に手で取り外される。そうするための2つの理由があり、第1に、それによって部品の確認を容易にすることができ、第2に、部品がビレットから落下した場合、部品が損傷を受け、または誤認される恐れがあるからである。
【0088】
廃棄物を最小限に抑えるためには、16mmの厚さおよび20mmの厚さのビレットのように、歯科部品をフライス削りのための2つ以上の厚さを有するビレットを有することが有利であることがわかった。さらに、厚さ14mmのビレットおよび厚さ25mmのビレットも有用であることがわかった。明らかに、より多くの厚さが使用可能とされるが、これは、全範囲の様々なビレットが、製造され、用意される必要があるのでそれによって、工程に複雑さが加わり、ほぼ同じの厚さは、操作者により取り違えられる。廃棄物を最小限に抑える他の技法が、欧州特許第1613237号公報(特許文献2)に示されており、ビレットが、一般に入れ子と呼ばれる1つ以上の部品を製造するために使用される。
【0089】
セラミックばかりでなく、ビレットは、ワックス、チタンのような金属、ポリマー、およびガラスなどの歯科産業で一般に使用される他の物質から作製されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビレット、対応するビレットホルダー、および前記ビレットホルダーの使用方法に関する。より詳細には、限定的ではないが、本発明は、歯科用部品の製造に使用されるビレットホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ビレットから例えば、フライス削りによって、部品を製造しやすくするためには、ビレットを作る材料、サイズ、形状、および製造すべき部品の複雑さ、材料費、並びに、特にビレットからの廃棄物などの幾つかの要因が、重要である。これらを考慮する他に、製造場所に関する要因もビレットのサイズおよび形状に影響を与える可能性がある。最後に、ビレットをホルダ内に固定する方法が、製造工程に影響を与えることもある。
【0003】
セラミック材料は、幾つかの用途に有用である。歯科産業では、一つ以上の歯の置換の美観を考慮することは重要であり、セラミック材料が使用されるが、金属置換物が使用される場合には遭遇しなかったことを製造で考慮しなければならない。セラミックがフライス削りまたは機械加工前に完全に焼結される場合、材料が機械加工し難くなり、工程に時間がかかる問題があり、セラミックがフライス削り前に部分的に焼結される場合、すなわち褐色状態の場合は、切削が比較的容易であるが、セラミックを最終密度まで焼結する際に起きる収縮を考慮して、部品を大き目にフライス削りしなければならない。
【0004】
歯科産業では、部品は複雑であり、比較的小さい。さらに、外面と内面の両方を製造しなければならない。以前は、一面、たとえば内面に加圧し、外面だけをフライス削りすることが知られており、このときは、部品の一面に工具で近づくだけでよかった。それには、装置の幾つかの異なる部片、および加圧工程で使用される様々な材料の在庫が必要とされる。
【0005】
また、幾つかの方向から近づくことができるようにするための、ビレットの周囲に配置された複数の工具を有する機械の使用も知られているが、こうした機械は、大型であり、複数の工具を使用するには複数のモータが必要であり、それによって、機械の複雑さ、および費用が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願第0803666.7号の明細書
【特許文献2】欧州特許第1613237号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の一面は、オリエンテーションフィーチャ(orientation feature)を有するビレットを含む。ビレットは、それから義歯を機械加工することができる歯科用ビレットでもよい。ビレットは,実質的にD形状を有することができる。
【0008】
オリエンテーションフィーチャは、ビレットをビレットホルダーに挿入することができる方向の数を制限することができる。ビレットをビレットホルダーに挿入することができる方向の数を2方向に、または、より好ましくは、単一方向に制限することができる。オリエンテーションフィーチャは、非対称のビレットを形作ることが好ましい。オリエンテーションフィーチャは、非対称のビレットの形状を1つ、2つ、または3つの回転軸の回りで回転することができる。好ましくは、ビレットは、どの軸の回りでも回転対称性を持たない。すなわち、全ての軸の回りで回転非対称である。
【0009】
非対称ビレットを使用することは、ビレットをビレットホルダーに一方向にだけ挿入することができることを指し、したがって、操作者または機械のプログラムが、ビレットの位置を知り、さらに重要なことには、ビレットが機械の動作範囲内に正しく挿入された場合、ビレットの境界は、工具との位置関係を保っている。
【0010】
オリエンテーションフィーチャは、非対称ビレットに回転を与える任意の形状を含むことができる。オリエンテーションフィーチャをビレットの一部として機械加工することができる。オリエンテーションフィーチャをビレットに固定することができる。オリエンテーションフィーチャをビレット内に形成する、または、ビレットに加えることができ、もしくは両方の組み合わせでもよい。オリエンテーションフィーチャは、たとえば、スロット、孔、もしくは突起、または複数のこうした形状を含むことができる。
【0011】
有利には、ロケーティングフィーチャー(locating feature)が、ビレットに設けられる。ビレットは、2つ以上のロケーティングフィーチャーを有することができる。前記ロケーティングフィーチャーは、設計が同様、または異なるものでもよい。ロケーティングフィーチャーの一例は、ビレットの周囲、または周囲の一部の回りに配置された溝である。ビレットがD形状のビレットの場合、ロケーティングフィーチャーは、D形状のビレットの1つまたは両方の縁部の周囲に配置された溝でもよい。ロケーティングフィーチャーの他の例は、ビレットの切り取られた角、または角の面取りなど、ビレットから切り取られた部分である。切り取られた角をビレットのオリエンテーションフィーチャとして追加で使用することができる。
【0012】
ロケーティングフィーチャーは、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットがビレットホルダーから落下するのを阻止することができる。たとえば、ビレットのロケーティングフィーチャーは、ビレット内の少なくとも1つの溝、またはビレット内の少なくとも1つのスロットを含むことができる。ロケーティングフィーチャーは、ビレットから除去された材料を含んで、ビレットがビレットホルダーの縁部に接触して着座するようにすることができる。こうすると、ビレットとビレットホルダーの相対運動が制限される、または実質的に阻止される。
【0013】
ロケーティングフィーチャーが非対称ビレットに回転を与える場合、ロケーティングフィーチャーも、オリエンテーションフィーチャであり得る。
【0014】
ビレットは「予備焼結ジルコニア」を含むことができる。「予備焼結ジルコニア」は、「褐色」、または「ビスク焼結(bisque‐fired)」、もしくは「ビスケット焼結(biscuit‐fired)」ジルコニアとしても知られている。ビレットは、たとえば、ポリマー、ワックス、金属、または他のセラミック材料を含むことができる。ビレットはこうした材料の組み合わせを含むことができる。たとえば、ビレットは、アルミナ、アルミナとジルコニアの混合物、(まだ中に結合剤を有する)グリーン(圧縮状態の)ジルコニア、または完全に焼結された、もしくはHIPされた(熱間等静圧圧縮成形された)ジルコニアを含むことができる。ビレットは、機械加工すべき任意の材料で製作可能とされる。
【0015】
本発明の第2の面は、ベース、およびフレームを備える、ビレットホルダーであって、
ベースとフレームは連結可能であり、連結された場合、ビレットがビレットホルダーに挿入され、または、ビレットホルダーから取り外されることができる場合の開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される場合の閉鎖配置の間で相対的に移動可能であるビレットホルダーを含む。
【0016】
ビレットをビレットホルダーの保持空洞内に保持することができる。ベースとフレームとは、ジョイントによって連結可能でもよい。このジョイントによって、ベースおよびフレームを開放配置と閉鎖配置との間で移動させることを可能にすることができる。ジョイントは複数のジョイントを含むことができる。
【0017】
ジョイントは、たとえば、ピボットジョイントを含むことができる。一例では、ベースとフレームとを4バーリンクシステムによって連結することができる。こうしたリンクシステムは、当業者に周知であろう。
【0018】
ベースとフレームとを摺動部によって連結することができる。2つの部材を移動可能に連結する他の方法は、当業者に周知であろう。
【0019】
フライス削り工程のために、ビレットホルダーがフライス盤に取り付けられる。適したフライス盤および取り付け方法の一例が、我々の同時係属出願である英国特許出願第0803666.7号(特許文献1)に記載されており、インデックスフィーチャを含むインデックスフレームが提供される。インデックスフィーチャは、ビレットホルダーとインデックスフレームの間の取り付けを行うことができ、ビレットホルダーをフライス盤に対して再方向付けすることができる。
【0020】
上述のようにビレットホルダーを使用することによって、ビレットホルダーがフライス盤に固定されている間に操作者がビレットの挿入および除去を行う場合、または最初にフライス盤から取り外す場合、操作者によるビレットの挿入、取り外し両方を制御することができる。具体的には、旋回するビレットホルダーを使用することによって、ビレットホルダーがフライス盤に固定されている間、操作者がビレットの挿入および取り外しを行う場合、または最初にフライス盤から取り外す場合、操作者によるビレットの挿入および取り外し両方を制御することができる。
【0021】
ビレットホルダーのベースは、ベース開口部を含むことができ、この開口部を通してビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができる。たとえば、機械からの工具が、ベース開口部を通り、ビレットホルダー内に保持されたビレットを加工することができる。
【0022】
ベース開口部は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるようにするサイズでもよい。ベース開口部を、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面の実質的に全ての機械加工可能な部分に近づくことができるように構成することができる。それによって、ビレットのできるだけ多くを一つ以上の部品に機械加工できるようにすることによって、材料の廃物を防ぐことができる。本明細書に上述したように、ベース開口部をビレットの表面の形状を補足するように形状付けることができる。
【0023】
ビレットホルダーのベース開口部を、ビレットのロケーティングフィーチャーを受けるように適合させることができる。ビレットのロケーティングフィーチャーを受けることによって、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内部の知られた、または画定された位置に固定することができる。
【0024】
好ましい一実施例では、ベースは摺動部を形成し、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはそれから取り外す場合に、その摺動部に沿ってビレットを移動させることができる。
【0025】
ベースは、少なくとも1つのリップフィーチャーを備えることができる。ベースは、2つ、3つ、または4つのリップフィーチャーなど、複数のリップフィーチャーを備えることができる。前記少なくとも1つのリップフィーチャーは、ビレットがビレットホルダー内部に保持された場合、特に、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットを支持するための停止部を提供して、ビレットが重力下でビレットホルダーの外に滑らないようにすることができる。ベースは、ビレットが開放配置のビレットホルダー内部に配置された場合、ビレットを保持するための少なくとも1つのリップフィーチャーを備えることができる。
【0026】
ベースは、たとえば、リングを形成することができ、または、ベースは、実質的にU字形状でもよく、もしくは、ベースは、フレームに連結された2つの別個のアームを備えることができる。
【0027】
ビレットホルダーのフレームは、フレーム開口部を含むことができ、その開口部を通してビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができる。ベース開口部と同様に、機械からの工具は、ベース開口部を通り、ビレットホルダー内に保持されたビレットを機械加工することができる。
【0028】
フレーム開口部は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるようにするサイズでもよい。フレーム開口部を、ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面、即ち、使用面における実質的に全ての機械加工可能な部分に近づくことができるように構成することができる。それによって、ビレットのできるだけ多くを一つ以上の部品に機械加工できるようにすることによって、材料の廃物を防ぐことができる。本明細書に上述したように、フレーム開口部をビレットの使用面の形状を補足するように形状付けることができる。
【0029】
ビレットホルダーのフレーム開口部を、ビレットのロケーティングフィーチャーを受けるように適合させることができる。ビレットのロケーティングフィーチャーを受けることによって、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内部の知られた、または画定された位置に固定することができる。
【0030】
好ましくは、ビレットホルダーは、ビレットをビレットホルダー内で保持するための少なくとも1つのリテイニングフィーチャーを含む。それによって、ビレットの使用可能な領域、および、ときにはビレットの完全性に影響を与える接着剤、またはグラブねじなどのねじなど、余分な固定補助を必要とせずにビレットをビレットホルダー内に保持することができる。リテイニングフィーチャーは、たとえば、少なくとも1つのフィンガー、つまみ、ピン、パッド、または棚状の突起でもよい。
【0031】
少なくとも1つのリテイニングフィーチャーをベースおよびフレームのうちの少なくとも1つに設けることができる。少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、ベースからベース開口部内に突き出ることができる。少なくとも1つのリテイニングフィーチャーはフレームからフレーム開口部内に突き出ることができる。好ましくは、少なくとも1つのリテイニングフィーチャーが、ベースおよびフレームそれぞれに設けられる。
【0032】
有利には、リテイニングフィーチャーは、使用の際に、リテイニングフィーチャーがビレットの面の面積と比較して小さい面積でビレットの面と接触するように配置される。これは、機械加工することができるビレットの表面積を最大にし、かつビレットを所定位置に保持するのに十分な接触も行うようにするためである。
【0033】
他に、部品の機械加工が完了した後、一部のビレットが残って、機械加工した部品を共に保持することができるようにすることが考えられる。
【0034】
好ましくは、締付け面積の機械加工可能な面積に対する比は、約8:1であり、その場合、ビレットは、表面積約6000mm2を有する。しかし、理解されるように、締付け面積の機械加工可能な面積に対する好ましい比は、異なるサイズのビレットでは異なってもよい。
【0035】
好ましくは、ベース上の少なくとも1つのリテイニングフィーチャーがフレーム上の少なくとも1つのリテイニングフィーチャーと協働して、ビレットに締付力を加え、ビレットがビレットホルダー内部で保持されるようにする。ビレットをビレットホルダーのリテイニングフィーチャーによって、機械加工によりビレットに加えられる全ての切削力および動的力に対抗するように十分にしっかり保持することができる。リテイニングフィーチャーを、ビレットがビレットホルダー内部に保持された場合にビレットに力を加えて、ビレットがビレットホルダー内部で揺動することができないように配置することができる。
【0036】
好ましくは、リテイニングフィーチャーは、締付力がビレットの縁部に加えられるように配置される。好ましくは、リテイニングフィーチャーは、締付力がビレットの厚さにわたりビレットに加えられるように配置される。リテイニングフィーチャーを、使用の際にリテイニングフィーチャーの間で締め付けられたビレットの領域が機械加工によって除去されないように配置することができる。こうすると、ビレットがリテイニングフィーチャーの間で剛性を維持することができ、従って、ビレットが締付力によって割れることがない。
【0037】
ビレットが機械加工されるとき、ビレットから材料が除去され、通常、それがビレットの幅にわたりビレットの剛性を低減させることになる。したがって、ビレットの幅にわたる締付けは、ビレットの亀裂を招く恐れがある。
【0038】
好ましい一実施例では、ビレットホルダーに閉鎖配置の場合ビレットホルダーを固定するためのクロージャが設けられる。クロージャがベースに旋回式に取り付けられる場合、有利には、クロージャにも旋回運動を制限し、旋回運動の規定された最大範囲を提供する停止部が設けられる。停止部をフレーム自体によって設けることができる。クロージャに、クロージャのビレットホルダーに対する運動を制限し、運動の規定された最大範囲を提供する停止部を設けることができる。
【0039】
さらに有利には、クロージャは、追加の固定具の必要がなく、手で作動可能である。それによって、ユーザが、工具および固定具を必要とすることなく、閉鎖位置のビレットホルダーを容易に固定することができる。
【0040】
クロージャを、閉鎖配置の場合ベースおよびフレームと同一平面上にあるように設計して、クロージャが閉鎖された場合、フライス削り工程を妨げないようにすることができる。
【0041】
クロージャは、たとえば、実質的にU字形状、または閉鎖リングでもよい。クロージャをベースまたはフレームのうちの少なくとも1つに設けることができる。クロージャの構成部品をベースおよびフレームそれぞれに設けることができる。
【0042】
クロージャを、閉鎖配置の場合クロージャがビレットホルダーのリテイニングフィーチャーに力を加えるように配置することができる。前記リテイニングフィーチャーは、そのとき、ビレットホルダー内部に保持されたビレットに力を加えることができる。
【0043】
ビレットホルダーは、少なくとも1つのロケーティングフィーチャーを含むことができる。ビレットホルダーは、ロケーティングフィーチャーを含むことができる。前記ロケーティングフィーチャーを、ビレットに設けられた全てのロケーティングフィーチャーの代わりに、またはそれに加えて、ビレットホルダー上に設けることができる。ビレットホルダーのロケーティングフィーチャーの一例は、ビレットホルダー内のビレットを支持するように適合された、ベース、フレーム、および/または(設けられている場合は)クロージャの周囲に配置された一つ以上のフィンガーである。ビレットホルダーのロケーティングフィーチャーは、たとえば、ビレットホルダー内のビレットを支持するように適合された、ベース、フレーム、および/または(設けられている場合は)クロージャに設けられた棚状の突起である。ロケーティングフィーチャーの組み合わせをビレットホルダーに設けることができる。
【0044】
ロケーティングフィーチャーは、ビレットホルダー上の少なくとも1つの突起でもよい。ビレットが前記突起に支えられてもよい。ロケーティングフィーチャーは、ベースまたはフレームのうちの少なくとも1つから突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ベース開口部またはフレームの開口部内に突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ベースとフレームとの間でビレットホルダーの保持空洞内に突き出ることができる。ロケーティングフィーチャーは、ビレットが支えられるビレットホルダー上の複数の突起でもよい。前記突起は、たとえば、ピン、またはつまみ、ねじ頭、もしくはフィンガーでもよい。ロケーティングフィーチャーは、たとえば、ベース開口部およびフレームの開口部のうちの少なくとも1つの面取りされた角を含むことができる。たとえば、面取りされた角は、ビレットホルダーの保持空洞の面取りされた角でもよい。
【0045】
ロケーティングフィーチャーは、リテイニングフィーチャーでもよいが、これは必ずしも必要ではない。ビレットホルダー上のロケーティングフィーチャーは、ビレット上のロケーティングフィーチャーと協働して、ビレットがビレットホルダー内部で位置決めされるようにすることができる。
【0046】
ビレットホルダーは、ビレット上のオリエンテーションフィーチャと協働するための少なくとも1つのオリエンテーションフィーチャを含むことができる。オリエンテーションフィーチャは、ビレットをビレットホルダー内に受けることができる方向の数を制限することができる。本明細書に上述したように、オリエンテーションフィーチャは、ビレット上のオリエンテーションフィーチャを補足することができる。
【0047】
例えば、オリエンテーションフィーチャは、ベース開口部およびフレーム開口部のうちの少なくとも1つを非対称にすることができる。オリエンテーションフィーチャは、ビレットホルダーの保持空洞を非対称にすることができる。本明細書に上述したように、ビレットホルダーのベース開口部、フレーム開口部、および保持空洞のうちの少なくとも1つをビレットの形状を補足するように形状付けることができる。
【0048】
本発明は、ビレットから物品を製造する方法であって、工具、およびビレットホルダーが取り付け可能な相対的に移動可能な部分を含むフライス盤を有し、ベースおよびフレームは連結され、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるベースおよびフレームを含むビレットホルダーを用意し、前記ビレットホルダーが開放配置において、ビレットを前記開放したビレットホルダーに挿入し、前記ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置まで移動し、前記ビレットを前記ビレットホルダー内に固定し、前記ビレットホルダーは、前記ビレットを前記ビレットホルダーに挿入する前または後に、前記フライス盤における相対的に移動する部分に取り付け可能とされる方法も提供する。
【0049】
本発明は、ビレットから物品を製造するさらなる方法であって、工具、およびビレットホルダーを取り付けることができる相対的に移動可能の部分を含むフライス盤を有し、ビレットホルダーを提供するステップであって、前記ビレットホルダーがベース、フレーム、およびピボットを備え、ベースとフレームは、ピボットによって連結され、開放配置と閉鎖配置の間で相対的に移動可能であり、ビレットホルダーが開放配置の場合、ビレットを開放ビレットホルダーに挿入し、ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置に旋回させ、ビレットをビレットホルダー内に固定することを含み、ビレットをビレットホルダーに挿入する前または後に、ビレットホルダーをフライス盤の相対的に移動可能の部分に取り付けることができる方法も提供する。
【0050】
好ましくは、相対的に移動可能の部分は、フライス盤に対して回転可能なインデクサーである。インデクサーを工具に対して2つまたは3つの軸に移動させることができる。これらの軸は、x、y、および任意選択でzである。好ましい一実施例では、軸は互いに直交する。それによって、ビレットの様々な側面を工具に向けることができる。こうした構成の利点は、1つの工具を使用してビレットの様々な平面を切削することができるために機械が簡素化され、機械のサイズを縮小することができることである。
【0051】
本発明は、また、ビレットから物品を製造する他の方法であって、工具、およびビレットホルダーを取り付けることができる相対的に移動可能の部分を含むフライス盤を有し、ビレットホルダーを用意し、前記ビレットホルダーが、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができるように配置構成された第1の構成と、ビレットがビレットホルダー内に保持されるように配置構成された第2の構成の間で相対的に移動可能であるように構成された第1の部材および第2の部材を備え、ビレットホルダーが第1の構成の場合、ビレットを開放ビレットホルダーに挿入し、ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置に移動させ、ビレットをビレットホルダー内に固定することを含み、ビレットをビレットホルダーに挿入する前または後に、ビレットホルダーをフライス盤の相対的に移動可能の部分に取り付けることができる方法も提供する。
【0052】
さらに、ビレットホルダーであって、ベース、フレーム、および、ピボットを含み、このピボットによってベースとフレームが連結され、ベースおよびフレームを、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができる開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される閉鎖配置の間で移動させることが可能となるビレットホルダーが説明される。
【0053】
さらに、ビレットホルダーであって、第1の部材、および第2の部材を備え、
第1および第2の部材が、ビレットをビレットホルダーに挿入する、またはビレットホルダーから取り外すことができるように配置構成された第1の構成と、ビレットがビレットホルダー内に保持されるように配置構成された第2の構成の間で相対的に移動可能であるビレットホルダーが説明される。
【0054】
第1の構成は、開放配置でもよい。第2の構成は、閉鎖配置でもよい。第1の部材は、フレームを含むことができる。第2の部材は、ベースを含むことができる。
【0055】
第1の部材と第2の部材とを連結することができる。第1の部材と第2の部材が連結される場合、それらをジョイントによって連結することができる。ジョイントはベースおよびフレームを、ビレットをビレットホルダーに挿入する、または、それから、取り外すことができる開放配置と、ビレットがビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で移動できるようにすることができる。
【0056】
ジョイントは、ピボットジョイントを含むことができる。ジョイントは、たとえば、複数のピボットジョイントなど、複数のジョイントを含むことができる。一例では、ベースとフレームを4バーリンクシステムによって連結することができる。こうしたシステムは、当業者に周知であろう。
【0057】
別法として、第1の部材と第2の部材とは、別個であるが、互いに取り付け可能でもよい。その場合、第1の部材および第2の部材に互いに固定するための固定具が、設けられることが好ましい。別個の固定部品を使用することができるが、それらは必要とされる部品の数を増やし、ユーザの使いやすさを低減するために、好ましくない。次に、添付図面を参照して、本発明が、一例により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1a】開放配置における第1のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図1b】ビレットホルダーのピボットジョイントを等角投影法により示す。
【図2】閉鎖配置における第1のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図3】ビレットを示す。
【図4a】第1のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図4b】第1のビレットホルダーにおける対応する形状部分と協働するビレットのオリエンテーションフィーチャを示す。
【図5】開放配置における第2のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図6】第2のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図7】開放配置における第3のビレットホルダーを等角投影法により示す。
【図8】第3のビレットホルダーに部分的に挿入されたビレットを示す。
【図9】本発明に従うビレットホルダーおよびビレットを使用するフライス盤を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1aは、ベース10およびフレーム20を有するビレットホルダー100を示している。ベース10およびフレーム20は、ピボットジョイント30によって連結される。また、ベース10およびフレーム20を連接し、ベース10とフレーム20との間の旋回角度に制限をもたらすクロージャ40も設けられる。ベースおよびフレームは、通常、0°から18°までの角度の間で旋回することができ、約80°までが使用可能である。しかし、旋回角度が大きくなるに従って、機械の垂直移動可能範囲が大きくなり、したがって、機械のサイズも大きくなり、それが幾つかの環境では望ましくないので比較的小さい旋回角度が好ましい。好ましい実施例では、旋回角度は約0°から25°までの間にある。旋回角度は、約0°から16°までの間でもよい。明らかに、旋回角度は、ビレットの厚さの関数である。この例では、約18°の旋回角度が、厚さ20mmのビレットに適している。
【0060】
この例では、ベース10は、ビレットがビレットホルダー内に、かつ、フライス盤内に配置された場合、ビレットの一方の側面における工具に近づくことができるようにする開口部12を備えている。フレーム20は、ビレットがビレットホルダー内に配置された場合、ビレットの第2の側面における工具に近づくことができるようにする第2の開口部22を有する。ビレットにおける第1および第2の側面に近づくことができるようにする開口部は、実質的に同じ寸法および構成であることが好ましい。さらに、開口部は、ビレットとビレットホルダーのベースおよびフレームとの間の重なりを最小にすることが好ましい。それによって、ビレットの材料が、機械加工に最大限に使用され、したがって、廃棄物を最小限にする。
【0061】
ビレットの第1の側面を支持するための棚状の突起、またはフィンガー18が、ベース10上に設けられる。
【0062】
クロージャ40は、全体的にU字形状であり、旋回固定具42によってU字の各アーム44の端部付近の位置でベース10に旋回式に固定される。スロット46が、各アーム44の長さに沿って設けられ、フレーム20上のラグ24と協働する。ラグ24が、旋回固定具42に対して末端である、したがって、ベース10に対して末端であるスロット46の端部またはその付近に存在する場合、ビレットホルダーは(図で示したように)開放配置である。この構成では、クロージャ40は、フレーム20およびベース10に対して角度が付けられる。この例では、クロージャ40は、ベース10に対して概ね垂直である。ラグ24が、スロット46に沿って移動される場合、ビレットホルダーは、徐々に閉鎖される。前記閉鎖配置が、図2に示されている。ラグ24が、スロット46の端部に近づくに従って、ビレットホルダー内に保持されたビレットに、ベース10上のフィンガー18およびフレーム20上のフィンガー28によって締付力が、加えられる。ラグ24がスロット46の端部に到達する場合、ラグ24は、移動止め45内に入り、閉鎖されたクロージャ40、締め付けられたビレットを所定位置で保持する。
【0063】
次に、図1bを参照すると、ピボットジョイント30は、ベース10に固定されたピン12を含む。ピン12は、フレーム20の開口部26内に着座し、ピンの長さによって画定された軸の回りでベースが開口部26に対して回転し、旋回運動を行うことができるようにする。ビレットホルダー100のベース10およびフレーム20が、一方の側面、ピボット辺33に沿って接触したままにし、一緒に移動可能とされ、ピボットジョイント30の末端で、ベース10およびフレーム20の側面において、離れているように、ピボットジョイント30がビレットホルダー100の2つの隣接する角に設けられている。
【0064】
次に、図2を参照すると、ビレットホルダー100が閉鎖され、ビレット50を含むとき、クロージャ40は、開放配置から閉鎖配置に到達するまでベース10の旋回固定具42の周囲で旋回し、閉鎖配置では、フレームと実質的に同じ平面に横たわり、好ましくは、フレームと同じ高さである。したがって、ビレットホルダーが閉鎖された場合、クロージャ40は、ビレットホルダー内に保持されたビレットの切削を妨げない。
【0065】
フレーム20には、ビレットの第2の側面を支持するためのフィンガーまたは棚状の突起28がさらに設けられる。
【0066】
図3は、ビレットホルダー内に固定されるようにしたビレット50を示している。ビレットは、実質的にD形状であり、一面の縁部の周囲に溝52を有し、その溝は、上面56を有する。ビレットは、面取りされた縁部、または角の切取部54を有し、したがって、ビレット50の形状は、ビレットホルダー内にビレットを一方向にだけ挿入することができるように設計される。さらに、ビレットは、接着剤または固定具なしでビレットホルダー内に保持されるように設計される。溝52の上面56は、ビレットホルダーの対応する部分に押し当てる棚状の突起をもたらす。
【0067】
ビレットが、予備焼結された、または褐色のセラミック材料の場合、グラブねじのような固定具の使用が、亀裂を起こし、または、固定具の周囲に集中されたビレット内部の欠陥を引き起こす可能性がある。そのような場合、並びに、接着剤が使用される場合、切削された部分が接着剤で汚染される、または、内部の亀裂により使用不能になる恐れがあるのでビレットの一領域が使用不能になる。したがって、本発明によるビレットの利点は、ビレットの使用可能な領域を最大にすることである。これは、1つのビレットから幾つかの部品を切削する場合に、部品の数が最大になり、廃棄材料が最小限に抑えられるので特に有利である。
【0068】
図4aは、ビレット50が部分的に挿入された状態でビレットホルダー100を示している。したがって、ビレットホルダーは、開放配置であり、クロージャ40は、ベース10に対してある角度にあり、即ち、平行でない。この例では、図4bで示されるように、面取りされた、即ち、切り取られた角54が、ビレットホルダー100のフレーム20上の対応する突起29と一致する状態で、D形状のビレット50の丸みが付けられた側部が最初に挿入される。
【0069】
ビレット50は、ビレットホルダーのベース10とフレーム20との間の開口60内に摺動する。ビレット50の溝52は、ベース10の開口部12よりも僅かに小さいのでビレットを挿入する工程が完了した場合、溝52の上面56(また図3参照)が、ベース10のフィンガー18に載る。したがって、溝52の上面56は、ビレット50をビレットホルダー内で支持する。
【0070】
図5は、開放配置の第2のビレットホルダー200を示す等角図である。図1aを参照した説明は、第2のビレットホルダー200に当てはまり、図5では、第2のビレットホルダー200の部品番号が第1のビレットホルダー100の部品番号に対応するように番号が付けられており、たとえば、図1aのベース10は、図5のベース210に対応し、図1aのフレーム20は、図5のフレーム220に対応する。第2のビレットホルダー200は、さらに、ベース210上のリップ201を含む。
【0071】
図5で示されるように、ビレットホルダー200が開放位置の場合、開口部202が、ベース210の第1の側部211、およびフレーム220の第1の側部221、並びにクロージャ240のアーム244によって、画定される。前記複数の側部は、フレーム20とベース10とを継ぎ合わせるピボット辺233の末端にある。ビレットは、開口部202を介してビレットホルダー200内に受け止められ得る。リップ201は、ビレットホルダー200の開口部202内に位置付けられ、ベース210の第1の側部211からフレーム220の第1の側部321に向かって突き出る。ビレットがビレットホルダーに挿入される場合、リップ201は、ビレットがビレットホルダー200から後退することを阻止する。これは、ビレットがビレットホルダー200と係合するための溝または他の特徴を持たないむくブロック(solid block)である場合、特に有用である。
【0072】
ピボットジョイント230は、ベース210およびフレーム220の側部に固定されたピン212を含む。ピン212は、フレーム220の開口部(図示せず)内に着座し、ベース210が、ピン212の長さによって画定された軸231の回りで開口部に対して回転して、旋回運動を行うことができるようにする。
【0073】
図6は、第2のビレットホルダー200に部分的に挿入されたビレット250を示している。ビレット250は、溝を持たず、ビレット250の主本体の縁部は、ベース210のフィンガー208と接触して、ビレット250が、ビレットホルダー200内に保持されるようになされる。おわかりのように、ビレット250がリップ201を超えて押し込まれた後、リップ201は、ビレット250がビレットホルダー200から後退することを阻止する。
【0074】
図7は、等角投影法により開放配置の第3のビレットホルダー300を示す。第2のビレットホルダー200に関して、図1を参照した説明は、第3のビレットホルダー300に総じて当てはまり、図6では、第3のビレットホルダー300の部品番号が第1のビレットホルダー100の部品番号に対応するように番号が付けられている。しかし、第3のビレットホルダー300は、説明された他のビレットホルダーとは異なるクロージャおよびベースを有する。
【0075】
第1および第2のビレットホルダーと同様に、第3のビレットホルダー300が開放位置にある場合、ベース310の第1の側部311、およびフレーム320の第1の側部321、並びにクロージャ340のアーム344によって開口部302が画定され、前記複数の側部は、フレーム320とベース310を継ぎ合わせるピボット辺333の末端にある。ビレットは、開口部302を介してビレットホルダー300内に受け止められ得る。第3のビレットホルダー300では、ベース310の第1の側部311は、切れ目なく続いていない。ベース310の第1の側部311は、互いに向かって延びる第1および第2の部分311aおよび311bを有し、この2つの部分311a、311bは、一致せず、間隙311cが、ベースの第1の側部311に存在する。間隙311cは、ユーザがビレットを取り出しやすくするものである。間隙311cは、ユーザがビレットをビレットホルダー300から取り外すとき、ユーザがビレットの上面および下面を把持し、ビレットの面と接触したままにすることができるようにする。
【0076】
第3のビレットホルダー300のクロージャ340は、説明される第1のビレットホルダー100および第2のビレットホルダー200のクロージャのように全体的にU字形状ではなく、全体的により長方形である。第3のビレットホルダー300のクロージャ340は、ビレットホルダー300のベース310およびフレーム320の第1の側部311、321の周囲を環状に囲む。ベース310の第1の側部311に対し実質的に平行に通る全体的に長方形のクロージャ340の第1の側部341は、クロージャ340を開位置から閉位置まで移動させるレバーとして使用され得る。閉位置の場合、全体的に長方形のクロージャ340の第1の側部341は、ベース310の第1の側部311と当接し、ベース310の第1の側部311の2つの部分311aと311bとの間の間隙をふさぐ。クロージャが閉位置にある場合、クロージャ340の第1の側部341は、ベース310の2つの部分311a、311bに力を加え、したがって、ベースのフィンガー318をビレットホルダー内に保持されたビレットに押し付ける。
【0077】
リップ301は、ビレットホルダー300の開口部302内に位置付けられ、ベース310の第1の側部311の部分311a、311bからフレーム220の第1の側部321に向かって突き出る。ビレットがビレットホルダーに挿入されるとき、リップ301は、ビレットがビレットホルダー300から後退することを阻止する。また、これは、ビレットがビレットホルダー300と係合するための溝または他の形状を全く持たないむくブロックである場合、特に有用である。
【0078】
図8は、第3のビレットホルダー300に部分的に挿入されたビレット350を示す。また、ビレット350は溝を持たないのでビレット350の本体部の縁部がベース310のフィンガー318と接触して、ビレット350がビレットホルダー300内に保持される。おわかりのように、ビレット350がリップ301を超えて押し込まれた後、リップフィンガー301は、ビレット350がビレットホルダー300から後退することを阻止する。
【0079】
図9は、本発明のビレットホルダー100およびビレット50と共に使用するのに適したフライス盤70を示している。フライス盤70は、卓上機械であり、ビレットから材料をフライス削りするための工具72を含む。この例では、工具72が相対的に固定されている。インデクサー(indexer)74は、工具72に対して3つの直交方向76に可動であり、ビレットホルダー100を保持する。インデクサー74は,ビレットホルダー100内に保持されたビレット50の様々な側面がフライス削りのために工具72に向けられ得るように、ピボット78の回りで回転可能である。
【0080】
ピボット78は、フライス盤に対する、従って,工具に対するインデクサーの回転軸をもたらし、さらに、インデクサーとビレットホルダーとの接触部である。この例では、インデクサーに凹部(図示せず)が設けられ、この凹部が、ビレットホルダーに設けられた突起32(図4aを参照)と協働する。2つのそのような凹部と突起との対が設けられ、その相互間の位置が、回転軸線をもたらす。
【0081】
使用の際,切削手法を実行する2つの方法がある。第1の方法では、ビレットが、フライス盤から離れたところにあるビレットホルダーに挿入される。次いで、ビレットホルダーがインデクサーに連結され、ビレットホルダーがフライス削りの一連の工程を開始するのに適した方向に回転される。
【0082】
第2の方法では、ビレットが挿入または取り外される間、ビレットホルダーが機械の動作範囲内でインデクサーに取り付けられたままである。クロージャが開放され、開放作用によって、ビレットホルダーのベースの一端が開口部を大きく開けるようにフレームに対して落下される。ベースの他端は、ピボットでフレームに取り付けられ、これによって、インデクサーに取り付けられる。ビレットがフレームの中から持ち上げられ、新しいビレットが挿入され、フレームによって所定位置に保持され、その一方、クロージャが閉鎖されるように手でクロージャに圧力が加えられる。これにより、ベースがもとの閉配置へ回転する。
【0083】
第2の方法には幾つかの利点がある。先ず、ビレットホルダーがインデクサーに取り付けられたままであるのでビレットホルダーの方向、したがって、ビレットホルダー内のビレットの方向が知られている。操作者またはセンサが、切削プログラムに方向を通知する、または、方向を二重チェックし、確認する必要がない。これは、ビレットが非対称であり、逆の場合はビレットの代わりにホルダが切削される恐れがあるので重要である。ビレットの除去および挿入工程は、ビレットがクロージャに対して準備された位置になるまで、両手を使用してビレットを操作することができるのでさらに制御されるが、第1の方法では、一方の手がビレットホルダーを保持する、即ち、固定するために必要とされる。
【0084】
フライス削り工程は、上述の第1または第2の方法により、ビレットの挿入によって開始される。フライス盤は、部品、例えば、ブリッジフレームワーク(bridge framework)を作製するために与えられた座標データから工具のための切削経路を作るフライス削り用ソフトウェアプログラムを含む。その座標データは、必要とされるブリッジフレームワークのモデルの走査によって得ることができる。
【0085】
ビレットの第1の側面が、機械加工される。示される構成は、ビレットの下に工具を有しているうえで有利であるということは、フライス削り工程中に生成される全ての粉塵の除去が重力によって助けられるということである。しかし、工具がビレットに対し垂直に上方に存在する逆の構成は、実行可能であるが、比較的多くの排出を行うことが必要とされる場合がある。さらに、上述のいずれの構成でも、工具が、相対的に移動可能であり、ビレットが相対的に固定される。
【0086】
ビレットの第1の側面が機械加工された後、それから、ビレットの他方の面を機械加工のための工具に向くようにビレットホルダーは、インデクサーを使用して回転可能とされるか、あるいは、代替的に、他の部分の第1の側面が、機械加工され得る。ビレットを工具に対して回転させる前に、ビレットの第1の側面の全表面または単に一部を機械加工することができる。
【0087】
ビレットホルダーを反転させてビレットの第2の側面が工具に向けられた場合、ビレットは、様々なロケーティングフィーチャを使用して支持される。部品の第2の側面が、機械加工される。部品をビレットに取り付ける幾つかのリテイニングウェブを残すことは、賢明であり、そのウェブは、後に手で取り外される。そうするための2つの理由があり、第1に、それによって部品の確認を容易にすることができ、第2に、部品がビレットから落下した場合、部品が損傷を受け、または誤認される恐れがあるからである。
【0088】
廃棄物を最小限に抑えるためには、16mmの厚さおよび20mmの厚さのビレットのように、歯科部品をフライス削りのための2つ以上の厚さを有するビレットを有することが有利であることがわかった。さらに、厚さ14mmのビレットおよび厚さ25mmのビレットも有用であることがわかった。明らかに、より多くの厚さが使用可能とされるが、これは、全範囲の様々なビレットが、製造され、用意される必要があるのでそれによって、工程に複雑さが加わり、ほぼ同じの厚さは、操作者により取り違えられる。廃棄物を最小限に抑える他の技法が、欧州特許第1613237号公報(特許文献2)に示されており、ビレットが、一般に入れ子と呼ばれる1つ以上の部品を製造するために使用される。
【0089】
セラミックばかりでなく、ビレットは、ワックス、チタンのような金属、ポリマー、およびガラスなどの歯科産業で一般に使用される他の物質から作製されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレットホルダーであって、
ベースと、
フレームと、を含み、連結可能である前記ベースおよびフレームは、連結された場合、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入され、または、該ビレットホルダーから取り外される場合の開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される場合の閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるビレットホルダー。
【請求項2】
前記ベースおよびフレームは、ジョイントによって連結可能であり、該ジョイントは、前記ベースおよびフレームを前記開放配置と前記閉鎖配置との間の移動を可能とする請求項1に記載のビレットホルダー。
【請求項3】
前記ジョイントは、ピボットジョイントからなる請求項2に記載のビレットホルダー。
【請求項4】
前記ビレットホルダーの前記ベースは、前記ビレットホルダー内に保持されるビレットに近づくことができるようにするベース開口部を含む請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項5】
前記ベース開口部は前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるように構成される請求項4に記載のビレットホルダー。
【請求項6】
前記ベースは、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される場合、前記ビレットが移動し得る摺動部を形成する請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項7】
前記ベースは、ビレットが前記開放配置の前記ビレットホルダーの内部に配置された場合、前記ビレットを保持するための少なくとも1つのリップフィーチャーを含む請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項8】
前記ビレットホルダーの前記フレームは、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができるようにするためのフレームの開口部を含む請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項9】
前記フレームの開口部は、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるように構成される請求項8に記載のビレットホルダー。
【請求項10】
ビレットを前記ビレットホルダー内で保持するための少なくとも1つのリテイニングフィーチャーを備える請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項11】
前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、少なくとも1つの突起を含む請求項10に記載のビレットホルダー。
【請求項12】
前記ベースおよびフレームのうちの少なくとも一方は、それぞれ、開口部、ベースの開口部およびフレームの開口部を含み、前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記ベースおよびフレームのうちの少なくと一方から前記ベースの開口部およびフレームの開口部内にそれぞれ突き出る請求項11に記載のビレットホルダー。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、使用の際、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面と第1の領域上方で接触するように配置され、前記第1の領域は、前記ビレットの前記表面の面積と比較して小さい請求項10乃至請求項12のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項14】
少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記ベースおよび前記フレームそれぞれに設けられる請求項10乃至請求項13のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項15】
前記ベースにおける前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記フレームにおける前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーと協働し、前記ビレットホルダー内に前記ビレットを保持するようにビレットに締付力を加える請求項14に記載のビレットホルダー。
【請求項16】
前記ビレットホルダーは、閉鎖配置の場合、前記ビレットホルダーを固定するためのクロージャを備える請求項1乃至請求項15のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項17】
前記クロージャは、前記ビレットホルダーに対して開放配置と閉鎖配置との間で移動可能とされ、該クロージャは、前記ビレットホルダーに対する前記クロージャの移動を制限し、限定された前記移動の最大限をもたらす停止部を備える請求項16に記載のビレットホルダー。
【請求項18】
前記クロージャは、前記ビレットホルダーに枢着され、該クロージャは、前記旋回運動を制限し、限定された該旋回運動の最大限をもたらす停止部を備える請求項17に記載のビレットホルダー。
【請求項19】
前記クロージャは、手で作動可能である請求項16乃至請求項18のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項20】
前記クロージャは、付加的な固定具を必要とすることなく、固定可能である請求項16乃至請求項19のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項21】
前記クロージャは、開放配置と閉鎖配置との間で移動可能であり、該クロージャは、前記閉鎖配置の場合、前記ベースおよびフレームと同一平面上にある請求項16乃至請求項20のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項22】
ビレットを前記ビレットホルダー内に位置決めするための少なくとも1つのロケーティングフィーチャーを含む請求項1乃至請求項21のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項23】
前記少なくとも1つのロケーティングフィーチャーは、前記ビレットホルダーにおける少なくとも1つの突起を含む請求項22に記載のビレットホルダー。
【請求項24】
前記ビレットホルダーは、クロージャを備え、前記少なくとも1つのロケーティングフィーチャーは、前記ベース、フレーム、および、前記ビレットホルダー内で前記ビレットを支持するようにしたクロージャのうちの少なくとも1つの周囲に配置された1つ以上のフィンガーを含む請求項22または請求項23に記載のビレットホルダー。
【請求項25】
ビレットにおけるオリエンテーションフィーチャと協働するための少なくとも1つのオリエンテーションフィーチャを含む請求項1乃至請求項24のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項26】
前記ベースおよびフレームのうちの少なくとも一方は、複数の開口部を含み、前記オリエンテーションフィーチャは、非対称の前記開口部のうちの少なくとも1つを与える請求項25に記載のビレットホルダー。
【請求項27】
前記ビレットホルダーは、ビレット保持用キャビティを含み、前記オリエンテーションフィーチャは、非対称の前記保持用キャビティを与える請求項25または請求項26に記載のビレットホルダー。
【請求項28】
ビレットは、1つ以上のオリエンテーションフィーチャを有するビレットホルダー内に保持されるビレット。
【請求項29】
前記ビレットは、実質的にD形状を有する請求項28に記載のビレット。
【請求項30】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、非対称の前記ビレットを形作る請求項28または請求項29に記載のビレット。
【請求項31】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、非対称の前記ビレットの形状を全ての回転軸の回りで作る請求項30に記載のビレット。
【請求項32】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、スロット、孔、または突起のうちの少なくとも1つを含む請求項28乃至請求項31のうちのいずれかに記載のビレット。
【請求項33】
前記ビレットは、1つ以上のロケーティングフィーチャーを備える請求項28乃至請求項32のうちのいずれかに記載のビレット。
【請求項34】
前記1つ以上のロケーティングフィーチャーは、前記ビレットの周囲の少なくとも一部の回りに配置された溝を含む請求項33に記載のビレット。
【請求項35】
前記1つ以上のロケーティングフィーチャーは、前記ビレットからの切取部である請求項33または請求項34に記載のビレット。
【請求項36】
ビレットから物品を製造する方法であって、
工具、およびビレットホルダーが取り付け可能な相対的に移動可能な部分を含むフライス盤を有し、
ベースおよびフレームは連結され、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるベースおよびフレームを含むビレットホルダーを用意し、
前記ビレットホルダーが開放配置において、
ビレットを前記開放したビレットホルダーに挿入し、
前記ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置まで移動し、
前記ビレットを前記ビレットホルダー内に固定し、
前記ビレットホルダーは、前記ビレットを前記ビレットホルダーに挿入する前または後に、前記フライス盤における相対的に移動する部分に取り付け可能とされる方法。
【請求項1】
ビレットホルダーであって、
ベースと、
フレームと、を含み、連結可能である前記ベースおよびフレームは、連結された場合、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入され、または、該ビレットホルダーから取り外される場合の開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される場合の閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるビレットホルダー。
【請求項2】
前記ベースおよびフレームは、ジョイントによって連結可能であり、該ジョイントは、前記ベースおよびフレームを前記開放配置と前記閉鎖配置との間の移動を可能とする請求項1に記載のビレットホルダー。
【請求項3】
前記ジョイントは、ピボットジョイントからなる請求項2に記載のビレットホルダー。
【請求項4】
前記ビレットホルダーの前記ベースは、前記ビレットホルダー内に保持されるビレットに近づくことができるようにするベース開口部を含む請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項5】
前記ベース開口部は前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるように構成される請求項4に記載のビレットホルダー。
【請求項6】
前記ベースは、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される場合、前記ビレットが移動し得る摺動部を形成する請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項7】
前記ベースは、ビレットが前記開放配置の前記ビレットホルダーの内部に配置された場合、前記ビレットを保持するための少なくとも1つのリップフィーチャーを含む請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項8】
前記ビレットホルダーの前記フレームは、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットに近づくことができるようにするためのフレームの開口部を含む請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項9】
前記フレームの開口部は、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面のかなりの部分に近づくことができるように構成される請求項8に記載のビレットホルダー。
【請求項10】
ビレットを前記ビレットホルダー内で保持するための少なくとも1つのリテイニングフィーチャーを備える請求項1乃至請求項9のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項11】
前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、少なくとも1つの突起を含む請求項10に記載のビレットホルダー。
【請求項12】
前記ベースおよびフレームのうちの少なくとも一方は、それぞれ、開口部、ベースの開口部およびフレームの開口部を含み、前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記ベースおよびフレームのうちの少なくと一方から前記ベースの開口部およびフレームの開口部内にそれぞれ突き出る請求項11に記載のビレットホルダー。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、使用の際、前記ビレットホルダー内に保持されたビレットの表面と第1の領域上方で接触するように配置され、前記第1の領域は、前記ビレットの前記表面の面積と比較して小さい請求項10乃至請求項12のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項14】
少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記ベースおよび前記フレームそれぞれに設けられる請求項10乃至請求項13のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項15】
前記ベースにおける前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーは、前記フレームにおける前記少なくとも1つのリテイニングフィーチャーと協働し、前記ビレットホルダー内に前記ビレットを保持するようにビレットに締付力を加える請求項14に記載のビレットホルダー。
【請求項16】
前記ビレットホルダーは、閉鎖配置の場合、前記ビレットホルダーを固定するためのクロージャを備える請求項1乃至請求項15のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項17】
前記クロージャは、前記ビレットホルダーに対して開放配置と閉鎖配置との間で移動可能とされ、該クロージャは、前記ビレットホルダーに対する前記クロージャの移動を制限し、限定された前記移動の最大限をもたらす停止部を備える請求項16に記載のビレットホルダー。
【請求項18】
前記クロージャは、前記ビレットホルダーに枢着され、該クロージャは、前記旋回運動を制限し、限定された該旋回運動の最大限をもたらす停止部を備える請求項17に記載のビレットホルダー。
【請求項19】
前記クロージャは、手で作動可能である請求項16乃至請求項18のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項20】
前記クロージャは、付加的な固定具を必要とすることなく、固定可能である請求項16乃至請求項19のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項21】
前記クロージャは、開放配置と閉鎖配置との間で移動可能であり、該クロージャは、前記閉鎖配置の場合、前記ベースおよびフレームと同一平面上にある請求項16乃至請求項20のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項22】
ビレットを前記ビレットホルダー内に位置決めするための少なくとも1つのロケーティングフィーチャーを含む請求項1乃至請求項21のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項23】
前記少なくとも1つのロケーティングフィーチャーは、前記ビレットホルダーにおける少なくとも1つの突起を含む請求項22に記載のビレットホルダー。
【請求項24】
前記ビレットホルダーは、クロージャを備え、前記少なくとも1つのロケーティングフィーチャーは、前記ベース、フレーム、および、前記ビレットホルダー内で前記ビレットを支持するようにしたクロージャのうちの少なくとも1つの周囲に配置された1つ以上のフィンガーを含む請求項22または請求項23に記載のビレットホルダー。
【請求項25】
ビレットにおけるオリエンテーションフィーチャと協働するための少なくとも1つのオリエンテーションフィーチャを含む請求項1乃至請求項24のうちのいずれかに記載のビレットホルダー。
【請求項26】
前記ベースおよびフレームのうちの少なくとも一方は、複数の開口部を含み、前記オリエンテーションフィーチャは、非対称の前記開口部のうちの少なくとも1つを与える請求項25に記載のビレットホルダー。
【請求項27】
前記ビレットホルダーは、ビレット保持用キャビティを含み、前記オリエンテーションフィーチャは、非対称の前記保持用キャビティを与える請求項25または請求項26に記載のビレットホルダー。
【請求項28】
ビレットは、1つ以上のオリエンテーションフィーチャを有するビレットホルダー内に保持されるビレット。
【請求項29】
前記ビレットは、実質的にD形状を有する請求項28に記載のビレット。
【請求項30】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、非対称の前記ビレットを形作る請求項28または請求項29に記載のビレット。
【請求項31】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、非対称の前記ビレットの形状を全ての回転軸の回りで作る請求項30に記載のビレット。
【請求項32】
前記1つ以上のオリエンテーションフィーチャは、スロット、孔、または突起のうちの少なくとも1つを含む請求項28乃至請求項31のうちのいずれかに記載のビレット。
【請求項33】
前記ビレットは、1つ以上のロケーティングフィーチャーを備える請求項28乃至請求項32のうちのいずれかに記載のビレット。
【請求項34】
前記1つ以上のロケーティングフィーチャーは、前記ビレットの周囲の少なくとも一部の回りに配置された溝を含む請求項33に記載のビレット。
【請求項35】
前記1つ以上のロケーティングフィーチャーは、前記ビレットからの切取部である請求項33または請求項34に記載のビレット。
【請求項36】
ビレットから物品を製造する方法であって、
工具、およびビレットホルダーが取り付け可能な相対的に移動可能な部分を含むフライス盤を有し、
ベースおよびフレームは連結され、ビレットが前記ビレットホルダーに挿入される、または前記ビレットホルダーから取り外される開放配置と、ビレットが前記ビレットホルダー内に保持される閉鎖配置との間で相対的に移動可能であるベースおよびフレームを含むビレットホルダーを用意し、
前記ビレットホルダーが開放配置において、
ビレットを前記開放したビレットホルダーに挿入し、
前記ビレットホルダーを開放配置から閉鎖配置まで移動し、
前記ビレットを前記ビレットホルダー内に固定し、
前記ビレットホルダーは、前記ビレットを前記ビレットホルダーに挿入する前または後に、前記フライス盤における相対的に移動する部分に取り付け可能とされる方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−517874(P2012−517874A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550644(P2011−550644)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000289
【国際公開番号】WO2010/094922
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000289
【国際公開番号】WO2010/094922
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
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