説明

ビレット同士の接合方法

【構成】 アルミニウム製押出用ビレット1、2同士の接合を、その端面1a、2a同士を圧接Pしながら溶接Wすることにより行う。
【効果】 フクレのない高品質押出材を安定生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウム等の金属製押出材の製造に用いられる押出用ビレット同士の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】建材関係を中心とした押出加工では、製造歩留まりの向上を目的に、長尺のビレットを用い、これをオンラインで最適長さに切断し、押出を行う方法が採られている。
【0003】そして、この方法では、切断して残ったビレット、即ち端尺ビレットを、一般に、次のビレットとともに押出に使用することが行われている。
【0004】その場合、従来、押出機のコンテナに端尺ビレットと次のビレットとを順次装入し、押出を行うか、あるいは、端尺ビレットと次のビレットとを溶接にて接合した上で、これをコンテナに装入し、押出を行うという方法が採られていた。
【0005】しかしながら、いずれの方法の場合も、押出をして得られた押出材の、ビレット接合部分に対応する部位にフクレを生じることがあり、品質の良い押出材を安定生産することが難しいという問題があった。
【0006】この発明は、上記のような従来の欠点を解消し、フクレのない品質良好な押出材を安定生産することができるビレット同士の接合方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的において、この発明は、ビレットの端面同士を圧接しながら溶接することを特徴とするビレット同士の接合方法を要旨とする。
【0008】この方法に使用されるビレットとしては、アルミニウムないしはその合金製ビレットが最も一般的である。
【0009】そして、圧接は、1〜10Kg/mm2 の範囲の圧力にて行うのが好ましい。1Kg/mm2 未満ではフクレが発生しやすくなり、また、圧力を10Kg/mm2 より高く設定しても効果に変わりはなく、かえってエネルギーが無駄に費やされるなどの問題を生じる。
【0010】また、接合される端面は、溶接前に、洗浄するのが好ましい。
【0011】更に、接合される端面は、目の細かいもの、例えば50〜10μの粗度を有するものにしておくのが好ましい。
【0012】
【作用】上記方法では、ビレットの端面同士の圧接作用により、両者間に介在していたガスが外部に放出される。従って、ビレット同士は、端面間にガスの存在しない状態で溶接接合され、このため、この接合ビレットを用いて押出を行うことにより、フクレのない押出材が得られる。
【0013】
【実施例】次に、この発明の実施例を説明する。
【0014】第1図に示されるように、直径180mmの一対のA6063合金ビレット(1)(2)を用意し、端部切断面(1a)(2a)を表面粗度30μに加工した後、洗浄し、端面(1a)(2a)同士を4Kg/mm2 の圧力(P)で圧接しつつその周縁部を周回状に溶接(W)した。そして、この接合ビレット(3)を用いて、一片の長さが50mmの角棒材を押出成形したところ、フクレのない角棒材が得られた。
【0015】
【発明の効果】上述の次第で、この発明のビレット同士の接合方法は、ビレットの端面同士を圧接しながら溶接するものであるから、ビレットの端面同士がその間からガスを排除した状態で接合され、フクレのない品質良好な押出材を安定生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)は接合前の状態を示すビレットの斜視図、図(ロ)は接合中におけるビレットの斜視図である。
【符号の説明】
1、2…ビレット
1a、2a…端面
3…接合ビレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビレットの端面同士を圧接しながら溶接することを特徴とするビレット同士の接合方法。

【図1】
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