説明

ビーチクリーナ構造

【課題】専用のトレーラを必要とせずにビーチクリーナ及びゴミ回収ステーションを運搬できるビーチクリーナ構造を提供する。
【解決手段】フレーム103の前端部にヒッチカプラ17aを備え、牽引車両に牽引されて砂地を走行し、散在するゴミを回収する第三ビーチクリーナ100の構造において、前記フレーム103の両側部に車輪105を着脱可能とし、前記フレーム103の一側面のサンドピン107を位置決め部として、前記車輪105装着時に前記第三ビーチクリーナ100をトレーラとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水浴場等の砂地に散在する様々なゴミを回収するビーリクリーナの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記ビーチクリーナは、牽引車両に牽引されて砂地を走行して散在するゴミを回収した後、砂地の所定位置に設置したゴミ回収ステーションに乗り上げることで、ゴミの回収を可能にしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−356827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記ビーチクリーナ及びゴミ回収ステーションは、所定の作業場所までトレーラに積載された状態で運搬されるが、専用のトレーラを必要とせずにビーチクリーナやゴミ回収ステーションを運搬できるような構成が要望されている。
そこでこの発明は、専用のトレーラを必要とせずにビーチクリーナ及びゴミ回収ステーションを運搬できるビーチクリーナ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、走行方向に沿って延びる縦部材(例えば実施例の縦部材101)と幅方向に延びる横部材(例えば実施例の横部材102)とでフレーム(例えば実施例のフレーム103)を形成し、前記横部材にサンドピン(例えば実施例のサンドピン107)を複数備えると共に、前記フレームの前端部には牽引部(例えば実施例のヒッチカプラ17a)を備え、牽引車両(例えば実施例の車両1)に牽引されて砂地を走行し、散在するゴミを回収するビーチクリーナ(例えば実施例の第三ビーチクリーナ100)の構造において、前記フレームの両側部に車輪(例えば実施例の車輪105)を着脱可能とし、前記フレームの一側面の前記サンドピンを位置決め部として、前記車輪装着時に前記ビーチクリーナをトレーラとすることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記フレーム上にフラット部(例えば実施例のフラット部109)を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前記フラット部に網状部(例えば実施例の網状部109a)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、各サンドピンを上向きとした状態で、フレーム両側に車輪を取り付けると共に、フレーム前端部の牽引部を用いて牽引車両で牽引することで、ビーチクリーナをトレーラとして用いることが可能となり、専用のトレーラを必要とせずに他のビーチクリーナやゴミ回収ステーションを運搬することが可能となる。このとき、フレーム上に積載した物品は、上向きの各サンドピンを用いて位置決め可能であり、かつフレーム下面が平坦に設けられることで、トレーラとしての最低地上高も確保し易くなる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、ビーチクリーナを前述の如くトレーラとして用いる場合に、フレーム上に物品を積載し易くなる。
【0009】
請求項3に記載した発明によれば、フレーム上への物品の積載性を向上できる一方、フラット部上への砂溜まり等を防止してメンテナンス性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示す車両1は、小型軽量に構成された車体の前後に、比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して主に不整地での走破性を高めた所謂ATV(All Terrain Vehicle)として構成される。車両1の車体フレーム4は、車幅方向中央部において前後に長いボックス構造を形成し、該車体フレーム4の略中央部には、車両1の原動機としてのエンジン5が搭載される。
【0011】
エンジン5は例えば水冷式単気筒エンジンであり、クランクシャフトの回転動力をギヤ噛み合い式の変速機を介して前後プロペラシャフト6a,6bに出力する。前後プロペラシャフト6a,6bに出力された回転動力は、前後減速装置7a,7bを介して左右前輪2又は後輪3にそれぞれ出力される。
ここで、車両1は前記変速機のギヤ比を電動により変更可能な所謂セミオート車両であり、例えば遠心クラッチを介することで、クラッチ操作を行わずにチェンジボタン等の操作のみで前記ギヤ比を変更可能である。このような車両1は、ベルト式の変速機を備えた車両と比べて、走行負荷が大きい走行や一定速度での走行にも好適である。
【0012】
左右前輪2は、車体フレーム4の前部に独立懸架式のフロントサスペンション8aを介して懸架され、左右後輪3は、車体フレーム4の後部に例えばスイングアーム式のリアサスペンション8bを介して懸架される。リアサスペンション8bのスイングアーム9の後端部には、トレーラ牽引用のトレーラヒッチ11が設けられる。なお、図中符号12aは車体フレーム4前部に支持されるフロントキャリアを、符号12bは車体フレーム4後部に支持されるリアキャリアをそれぞれ示す。
【0013】
上記車両1は、後述する第一及び第二ビーチクリーナ20,50並びにゴミ回収ステーション40を運搬するトレーラ13を牽引可能である。
トレーラ13は、例えばその車体フレーム14の下部両側に左右一対の車輪15を有すると共に、前記車体フレーム14上には上方に開放する上下に浅い箱型のキャリア16を有し、かつ車体フレーム14の前部下側から前方に向けて牽引アーム17を延出してなる。牽引アーム17の前端部には、前記トレーラヒッチ11に対応するヒッチカプラ17aが設けられる。
【0014】
キャリア16前後の左右両側の上縁部には、ゴミ回収ステーション40における後述する各連結パイプ46を支持する受け具16aが設けられる。受け具16aは上方に開放するV字状の凹部を有し、該凹部内に上下を逆にした搭載状態のゴミ回収ステーション40における前記連結パイプ46が落とし込まれて保持される。また、前記搭載状態のゴミ回収ステーション40上には、例えば後述する接地部材43に係合し移動を規制された状態で第二ビーチクリーナ50が搭載されると共に、例えばキャリア16内に収容された状態で第一ビーチクリーナ20が搭載される。
【0015】
なお、図1に示す各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40はトレーラ13への搭載状態を示し、図2以降に示す各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40は特に記載がなければ砂地上での使用状態を示す。また、図中線GLは地面(砂地上面)を、図中線CLは車両1及びこれに牽引される各ビーチクリーナ20,50並びにこれらを通過させるゴミ回収ステーション40(以下、車両等という)の左右中心を示し、矢印FRは前記車両等の走行方向(前後方向)における前方を、矢印UPは前記車両等の上下方向における上方を、矢印LHは前記車両等の左右方向における左方をそれぞれ示す。
【0016】
各ビーチクリーナ20,50は、車両1に牽引されて海岸等の砂地(砂浜)を走行しつつ、該砂地に散在する様々なゴミを回収する。各ビーチクリーナ20,50が集めたゴミは、砂地の所定箇所に設置されたゴミ回収ステーション40においてまとめて回収される。各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40は、例えばステンレス等の複数種の鋼材を溶接等の結合手段を用いて適宜組み立ててなる。なお、各ビーチクリーナ20,50をトラクターで牽引するようにしてもよい。
【0017】
図2,3に示すように、第一ビーチクリーナ20は、前記走行方向に沿って延びる複数(例えば十五本)の縦部材21を互いに幅方向(左右方向)にほぼ等間隔に並べてスノコ状のフレーム22を形成し、かつ各縦部材21に下方に突出する複数のサンドピン23を着脱可能に取り付けてなる。なお、第一ビーチクリーナ20は左右対称の構成を有している。
【0018】
縦部材21は、例えば円形鋼管(角形鋼管でもよい)を前後方向に沿って配置し、その前後端部を斜め上前方又は後方に屈曲させてなる。この縦部材21が側面視で重なるように左右に複数並置され、その前端を左右方向に沿って延びる例えば角形鋼管からなる前横部材24aに斜め下後方から突き当てて結合されると共に、後端を左右方向に沿って延びる例えば角形鋼管からなる後横部材24bに斜め下前方から突き当てて結合される。
これら各縦部材21及び横部材24a,24bからなる前記フレーム22は、上面視で横長の長方形状に形成される。なお、フレーム22の左右幅は車両1の左右幅に対して同等かやや大きく、かつ後述するゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間の左右幅よりも狭くなるように設定される。
【0019】
各縦部材21の前部、前後中間部、及び後部には、それぞれ前記サンドピン23を取り付け可能とされる。すなわち、複数のサンドピン23を前後三列に配置可能とされる。これにより、低速走行時における走行抵抗が抑えられ、かつ砂地の固さ等に応じてサンドピン23の本数を減らすことでさらに走行抵抗を抑えることが可能である。各サンドピン23のフレーム22下面からの突出長さは、砂地中の生態系への影響を抑えるべく最大100mmとされる。
このような第一ビーチクリーナ20が砂地を走行することで、散在する比較的大型のゴミ(ロープ、網、流木等)が、各サンドピン23に引っ掛かるあるいは絡まるようにして掻き集められる。
【0020】
図4を併せて参照し、サンドピン23は、縦部材21の下部外面に整合するように湾曲した板状部材25と、該板状部材25を上下に貫通するピン本体26と、該ピン本体26の下部と板状部材25の後部との間に跨る筋交い状のサポート部材27とを有してなり、下側ほど細い側面視三角形状に形成される。ピン本体26の上部は雄ネジ部26aとされ、この雄ネジ部26aが縦部材21を下方から貫通しその上方に突出した状態で、板状部材25が縦部材21の下面に当接し、この状態で雄ネジ部26aに袋ナット28を螺着し締め込むことで、サンドピン23が縦部材21に固定される。なお、縦部材21におけるピン本体26が貫通する部位には円筒状のカラー29が挿通固定されている。
【0021】
なお、図5に示すように、角形鋼管からなる縦部材21’に対しては、これに対応するサンドピン23’を用いればよい。すなわち、サンドピン23’は、縦部材21’の下部外面に整合するように断面コ字状をなす板状部材25’を有し、該板状部材25’が縦部材21’の下部に整合した状態で、雄ネジ部26aに袋ナット28を螺着し締め込むことで、サンドピン23’が縦部材21’に固定される。縦部材21’は、その断面形状における左右幅が比較的広く、このような縦部材21’を用いることで、第一ビーチクリーナ20の砂地に対する滑走性が向上する。また、ピン本体26の下端部を前方に屈曲させて折り返し部26bを形成すれば、ゴミ回収能力がさらに向上する。
【0022】
ここで、図6,7に示すように、第一ビーチクリーナ20のフレーム22上には、サンドピン23の砂中への沈み込み量を調整するための錘載せ部31が設置可能である。
図8を併せて参照し、錘載せ部31は、左右に並ぶベース部32を支持ブラケット33を介して一体に結合してなる。各ベース部32は前後に長い縦長のもので、フレーム22における隣り合う縦部材21の左右間隔と同一の左右間隔を有して配置される。各ベース部32の前後端部には、フレーム22に取り付けられて前後に並ぶサンドピン23の雄ネジ部26aを挿通可能な挿通孔32aが形成される。これら各ベース部32の前後中間部間に跨るように、後方に開放する断面コ字状をなして左右に延びる支持ブラケット33が渡設される。
【0023】
このような錘載せ部31は、フレーム22におけるサンドピン23を有する部位に対して、該サンドピン23との共締めにより取り付け可能であり、またサンドピン23を有さない部位に対しても、対応するボルト等により取り付け可能である。すなわち、フレーム22上の任意の部位に任意の数だけ錘載せ部31を設置可能である。
【0024】
図9を併せて参照し、錘載せ部31に支持されるウェイト34は、支持ブラケット33に後方から嵌合する下ブロック34aと、該下ブロック34aに上方から嵌合する上ブロック34bとに分割構成される。
下ブロック34aは、その前端部が支持ブラケット33内に入り込んだ状態で、これらを上下に貫通する係止ピン35aを介して支持ブラケット33に連結固定される。上ブロック34bは、その下部を下ブロック34aの上部に整合させた状態で、これらを上下に貫通する連結ボルト35bを介して下ブロック34aに連結固定される。
【0025】
ここで、図10,11に示すように、車両1のフロントキャリア12aには、第一ビーチクリーナ20にウェイト34を積載する等により走行抵抗が増加した場合にも、前輪荷重を確保して良好な駆動力を得るべく所定の錘載せ部31’が設置可能である。
錘載せ部31’は、フロントキャリア12aの上面に沿うベース部32’上に前記錘載せ部31と同様の支持ブラケット33を一体に設けてなる。ベース部32’は上面視長方形状の板状をなし、その前後下面側がフロントキャリア12aを構成する左右方向に沿うパイプ部材に着脱可能に取り付けられる。
【0026】
図12を併せて参照し、錘載せ部31’に支持されるウェイト34’は、支持ブラケット33に後方から嵌合する下ブロック34a’と、該下ブロック34a’に上方から嵌合する前記上ブロック34bとに分割構成される。
下ブロック34a’は、前記下ブロック34aに対して後方への延出量をやや増加させたもので、その前端部は前記係止ピン35aを介して支持ブラケット33に連結固定され、この下ブロック34a’の上部後側に上ブロック34bの下部が整合した状態で、前記連結ボルト35bを介して上下ブロック34a’,34bが連結固定される。このウェイト34’の重量は前記ウェイト34の重量よりも重く設定される。なお、砂地に対して各車輪が空転するような場合、さらに各車輪にタイヤチェーンを装着するようにしてもよい。
【0027】
図2,3を参照し、フレーム22の左右外側端から例えば三本目の縦部材21の前方には、第一ビーチクリーナ20を車両1で牽引するための牽引部37が設けられる。牽引部37は左右方向に直交する厚板状のもので、縦部材21前端部の傾斜に沿って並ぶように複数(例えば三つ)の連結孔37aが形成される。これら各連結孔37aの何れかには、車両1のトレーラヒッチ11に一端が連結される牽引ロッド38の他端が連結され、該牽引ロッド38を介して、第一ビーチクリーナ20が車両1に牽引される(図25参照)。
【0028】
このとき、前記牽引ロッド38の他端を各連結孔37aの何れに連結するかにより、第一ビーチクリーナ20の砂地への沈み込み等に応じた最適な牽引位置を設定可能である。図14を併せて参照し、牽引ロッド38は、トレーラヒッチ11に連結される一端側から左右牽引部37に向けて上面視V字状あるいはY字状に延びるもので、その前記一端側にはトレーラヒッチ11に対応する前記ヒッチカプラ17aが設けられる。
【0029】
フレーム22の左右外側には、その外側端から左右外方に向けて張り出すリフトアーム39が設けられる。リフトアーム39は、例えば上面視方形状をなす枠型のもので、その左右中間部は略水平とされ、かつ左右内側部が斜め下内側に、左右外側部が斜め下外側にそれぞれ屈曲形成される。これら左右リフトアーム39の外側端間の左右幅は、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間の左右幅に対して広く、車両1に牽引された第一ビーチクリーナ20が左右側部構造体41間に進入した際には、左右リフトアーム39が左右側部構造体41に乗り上げることで、第一ビーチクリーナ20が所定量リフトアップされる。なお、左右側部構造体41間の距離は車両1の左右幅よりも大きく、該車両1が左右側部構造体41間を通過可能である。
【0030】
図13,14に示すように、ゴミ回収ステーション40において、前述の如く第一ビーチクリーナ20がリフトアップされた際には、各サンドピン23が砂地上面から十分に離間すると共に、該各サンドピン23が掻き集めたゴミを砂地上に落下させることができ、もって該ゴミをまとめて回収可能となる。
【0031】
ゴミ回収ステーション40は、左右側部構造体41同士を前後一対の連結部材42により一体的に連結してなるもので、例えば前後対象かつ左右対称の構成を有している。
左右側部構造体41は、前後方向に沿う例えば円形鋼管からなるバー状の接地部材43上に、側面視で略前後対称の緩やかな山形をなす例えば円形鋼管からなる案内部材44を設け、これら各部材43,44の前後端部を互いに一体に結合してなる。
【0032】
左右接地部材43の前後端部には、上面視で前側又は後側ほど左右外側に位置するように傾斜するフート部材45が着脱可能に取り付けられる。各フート部材45は、各接地部材43と共に砂地上に接地するもので、これにより、ゴミ回収ステーション40がその接地面積を広げた状態で安定して設置される。
【0033】
図15を併せて参照し、連結部材42は、例えば左右方向に沿う円形鋼管からなるもので、その端部が接地部材43の前部又は後部の下側に設けられた連結パイプ46に着脱可能に差し込まれた状態で、左右側部構造体41を一体的に連結する。すなわち、ゴミ回収ステーション40は比較的大型であることから、複数の分割体(左右側部構造体41及び前後連結部材42)に分割可能とされる。
【0034】
接地部材43前後の連結パイプ46は、左右方向に沿う比較的短い円形鋼管からなり、その上部外周を接地部材43下側の切り欠きに整合させるようにしてこれに一体に結合される。すなわち、連結パイプ46は接地部材43下面から下方に突出しており、ゴミ回収ステーション40を砂地上に設置した際には砂中に食い込むことでゴミ回収ステーション40の移動を抑制する。
【0035】
連結パイプ46内に連結部材42の端部を所定量挿入した組み付け状態(例えば連結パイプ46及び連結部材42の外側端を一致させた状態)において、連結パイプ46及び連結部材42のそれぞれに形成された上下貫通孔42a,46aが例えば接地部材43の左右外方で重なり、これら各上下貫通孔42a,46aに所定の係止ピン47を差し込むことで、連結部材42及び接地部材43が前記組み付け状態で抜き差し不能に連結される。
【0036】
係止ピン47は、連結部材42及び連結パイプ46を貫通してさらに下方に突出して砂中に所定量差し込まれる。すなわち、係止ピン47は、ゴミ回収ステーション40の設置状態における所定位置からの移動を抑制する。そして、係止ピン47を取り外して連結パイプ46から連結部材42を抜き取れば、ゴミ回収ステーション40を左右側部構造体41と前後連結部材42とに分割可能である。
【0037】
図16,17に示すように、第二ビーチクリーナ50は、車両走行方向に沿って延びる複数(例えば三本)の縦部材51と、これらと略直交して幅方向(左右方向)に沿って延びる前後横部材52a,52bとを主として枠型のフレーム53を形成し、該フレーム53の前部には後述のキール54及びスクレーパ55を、後部には後述の網体56をそれぞれ備えてなる。なお、第二ビーチクリーナ50も左右対称の構成を有している。
【0038】
縦部材51は、例えば円形鋼管を前後方向に沿って配置し、その前後中間部を側面視で緩やかなクランク状に屈曲させることで、前部に対して後部をやや上方に変位させてなる。縦部材51の前部において、その前後中央部が緩やかに屈曲することで、該前部の前半部がやや前上がりに傾斜して設けられる。以下、縦部材51の前部前半部を前部傾斜部57とする。一方、縦部材51の後端部は上方に向けて湾曲して設けられている。縦部材51は角形鋼管からなるものであってもよい。
【0039】
この縦部材51が側面視で重なるように左右に複数並置され、その前端を左右方向に沿って延びる例えば角形鋼管からなる前横部材52aに後方から突き当てて結合されると共に、後端を左右方向に沿って延びる例えば円形鋼管からなる後横部材52bに下方から突き当てて結合される。これら各縦部材51及び横部材52a,52bを主とする前記フレーム53は、上面視で略正方形状に形成される。なお、フレーム53の左右幅は前記第一ビーチクリーナ20におけるフレーム22の左右幅と略同一とされる。
【0040】
左右中央の縦部材51と左右両側の縦部材51とのそれぞれの間には、これらの前部傾斜部57と側面視で重なるように傾斜したスクレーパフレーム58が左右に複数(例えば三本)並設される。スクレーパフレーム58は縦部材51と同径の円形鋼管(角形鋼管でもよい)からなり、その前端を前横部材52aに後方から突き当てて結合される一方、後端は何れの部材にも結合されない自由端とされる。なお、各スクレーパフレーム58と左右中央の縦部材51とはほぼ等間隔に並ぶのに対し、左右最外側のスクレーパフレーム58と左右両側の縦部材51とは間隔を狭めて配置される。
【0041】
各縦部材51の前部傾斜部57及び各スクレーパフレーム58には、第二ビーチクリーナ50の牽引走行時に砂及び比較的小さなゴミ(飲料容器、紙屑、タバコの吸殻等)を掻き上げる巻き上げ部としてのキール54及びスクレーパ55が取り付けられる。
図19,20を併せて参照し、キール54は、縦部材51の前部傾斜部57の後部及び各スクレーパフレーム58の後部に着脱可能に取り付けられるもので、前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58の下部外面に整合するように湾曲した板状部材61と、側面視で上方に開放するコ字状をなしてその両辺部が板状部材61を貫通するコ字状ピン62と、左右方向と略直交する板状をなして板状部材61の下端縁から下方に向けて延出するキール本体63とを有してなる。
【0042】
コ字状ピン62の両辺部上側は雄ネジ部62aとされ、これら両雄ネジ部62aが前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58を下方から貫通しその上方に突出した状態で、板状部材61が前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58の下面に当接し、この状態で両雄ネジ部62aに袋ナット64を螺着し締め込むことで、キール54が前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58に固定される。なお、前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58におけるコ字状ピン62の両辺部が貫通する部位にはそれぞれ円筒状のカラー65が挿通固定されている。
【0043】
キール54(キール本体63)の後端部には、複数のスクレーパ支持孔66が形成され、これら各スクレーパ支持孔66にはスクレーパ55が挿通支持される。スクレーパ55は、例えば左右方向に沿う断面円形の棒状のもので、各キール54に跨って上下スクレーパ支持孔66をそれぞれ貫通した状態でこれらに支持される。スクレーパ55は、砂浜やゴミの状況に合わせて選択的に支持することができ、かつ複数本支持することができる。スクレーパ55の両端部には、各キール54からの脱落を防止するべく所定の係止ピンを差し込む等の抜け止めが施される。なお、スクレーパ55の断面形状は円形に限らず、例えば前下がりの上面を有する半円形状等としてもよい。また、スクレーパ55が一本又は三本以上であってもよく、かつ上下ではなく左右又は斜めに並べて配置してもよい。
【0044】
各キール54及びスクレーパ55は砂中に適量沈み込むように設定され、この状態で第二ビーチクリーナ50が走行することで、各キール54が砂及びゴミを掻き分けると共にこれらを各スクレーパ55が掻き上げ、もってフレーム53後部の網体56内に巻き上げられた砂及びゴミが投入される。
【0045】
図16,17を参照し、フレーム53の左右外側端から例えば二本目のスクレーパフレーム58の前方には、第二ビーチクリーナ50を車両1で牽引するための牽引部67が設けられる。牽引部67は左右方向に直交する厚板状のもので、上下に並ぶ複数(例えば四つ)の連結孔67aが形成される。これら各連結孔67aの何れかには、車両1のトレーラヒッチ11に一端が連結される前記牽引ロッド38の他端が連結され、該牽引ロッド38を介して、第二ビーチクリーナ50が車両1に牽引される(図26参照)。
このとき、前記牽引ロッド38の他端を各連結孔67aの何れに連結するかにより、第二ビーチクリーナ50の地上高等に応じた最適な牽引位置を設定可能である。なお、左右牽引部67間の左右間隔は、前記左右牽引部37間の左右間隔とほぼ同一とされる。
【0046】
また、フレーム53における例えば左右最外側のスクレーパフレーム58の前方には、前スキー脚71を支持する前スキー支持パイプ72が設けられる。前スキー支持パイプ72は、前横部材52aを上下に貫通する例えば角形鋼管からなり、前スキー脚71における同じく角形鋼管からなる脚部材73を挿通支持可能とされる。前スキー脚71は、第二ビーチクリーナ50前部の地上高(砂地上面からの高さ)を所定高さに設定すると共に砂地に対する滑走性を高めるもので、前部が前上がりに湾曲する所定幅の前スキー板74上に脚部材73を立設してなる。
【0047】
前スキー支持パイプ72には左右貫通孔72aが形成されると共に、該左右貫通孔72aに対応する左右貫通孔73aが脚部材73に上下に複数(例えば四つ)形成され、該左右貫通孔73aの何れかをスキー支持パイプの左右貫通孔72aに重ねてこれらに所定の係止ピン等を差し込むことで、前スキー脚71に対するフレーム53前部の高さが決定され、もって第二ビーチクリーナ50前部の地上高が所定高さに設定される。すなわち、脚部材73の何れの左右貫通孔73aに前記係止ピン等を差し込むかによって、第二ビーチクリーナ50前部の地上高を調整可能であり、もって各キール54及びスクレーパ55の砂中への沈み込み量を調整可能である。
【0048】
また、後横部材52bの後部両側からは、例えば角形鋼管からなるエクステンションフレーム75が後方に延出し、該各エクステンションフレーム75の後端部には、後スキー脚76を支持する後スキー支持パイプ77が設けられる。後スキー支持パイプ77は、エクステンションフレーム75を上下に貫通する例えば角形鋼管からなり、後スキー脚76における同じく角形鋼管からなる脚部材78を挿通支持可能とされる。後スキー脚76は、前記前スキー脚71と同様の構成及び機能を有するもので、後スキー板79上に脚部材78を立設してなる。
【0049】
後スキー支持パイプ77には単一の左右貫通孔77aが形成されると共に、該左右貫通孔77aに対応する左右貫通孔78aが脚部材78に上下に複数(例えば四つ)形成され、該左右貫通孔78aの何れかをスキー支持パイプの左右貫通孔77aに重ねてこれらに所定の係止ピン等を差し込むことで、後スキー脚76に対するフレーム53後部の高さが決定され、もって第二ビーチクリーナ50後部の地上高が所定高さに設定される(すなわち、第二ビーチクリーナ50後部の地上高を調整可能である。)。なお、左右前スキー脚71の前スキー板74外側端間の左右幅は、フレーム53の左右幅と略同一とされ、左右後スキー脚76の後スキー板79外側端間の左右幅は、フレーム53の左右幅よりも狭くされる。
【0050】
フレーム53前後の左右外側には、その外側端から左右外方に向けて張り出す前後リフトアーム81a,81bがそれぞれ設けられる。各リフトアーム81a,81bは、例えば上面視で横長の方形状をなす枠型のもので、その左右中間部は略水平とされ、かつ左右内側部が斜め下内側に、左右外側部が斜め下外側にそれぞれ屈曲形成される。これら各リフトアーム81a,81bの外側端間の左右幅は、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間の左右幅に対して広く(換言すれば、第一ビーチクリーナ20における左右リフトアーム39の外側端間の左右幅と略同一とされ)、第二ビーチクリーナ50が左右側部構造体41間に進入した際には、各リフトアーム81a,81bが左右側部構造体41に乗り上げることで、第二ビーチクリーナ50が所定量リフトアップされる。
【0051】
ゴミ回収ステーション40において第二ビーチクリーナ50が前述の如くリフトアップされた際には、フレーム53後部の網体56が所定高さまで上昇し、該網体56をその左側のヒンジ82を介して回動させることで(図18参照)、網体56内に集められたゴミの回収作業を容易に行うことが可能となる。なお、第二ビーチクリーナ50においては、リフトアップさせない接地状態においても前記ゴミ収集作業を行うことが可能である。
【0052】
図21,22を併せて参照し、フレーム53左側の後リフトアーム81bには、網体56の左側部を回動自在に支持するヒンジ82の一部を構成する後ヒンジブラケット83が設けられる。後ヒンジブラケット83は、後リフトアーム81b基端側の前後に渡るもので、その前後端には上方に起立する前後壁84を有し、該前後壁84の先端側にはヒンジ軸82a用の前後貫通孔84aを形成してなる。前後壁84間には、後ヒンジブラケット83に対応して網体56左側に設けられた後ヒンジパイプ85が配置され、該後ヒンジパイプ85が前後方向に沿うヒンジ軸82aを介して後ヒンジブラケット83に回動自在に軸支される。
【0053】
また、上記後リフトアーム81bのやや前方には、該リフトアーム81bに対して左右幅を抑えた枠型の支持アーム86が設けられ、該支持アーム86には、前記後ヒンジブラケット83と同様の構成を有する前ヒンジブラケット87が支持される。前ヒンジブラケット87の前後壁88にはヒンジ軸82a用の前後貫通孔88aが形成される。前後壁88間には、前ヒンジブラケット87に対応して網体56左側に設けられた前ヒンジパイプ89が配置され、該前ヒンジパイプ89が前後方向に沿うヒンジ軸82aを介して前ヒンジブラケット87に回動自在に支持される。なお、各ヒンジパイプ85,89及びヒンジ軸82aは互いに同軸上に設けられる。
【0054】
図16,17に示すように、網体56は、前方及び上方に開放する箱型をなし、例えば鋼管を主とする枠型のフレームに所定サイズの網目を有する金網を取り付けてなる。この網体56が、前後方向ではフレーム53前後中央よりもやや前方となる位置からフレーム53後端部近傍に至るまで、左右方向ではフレーム53と略同一の左右幅を有するように設けられる。ここで、網体56の前端位置は、各キール54及びスクレーパ55が巻き上げた砂及びゴミを良好に捕集可能とするべく、各キール54の後端近傍すなわち各スクレーパ55近傍から後方に100〜300mm程離間する。より好ましくは、網体56の前端位置は、各キール54の後端近傍から後方に250mm程離間するのがよい。
【0055】
図18を併せて参照し、網体56は、上面視で横長の長方形状をなす底壁部92と、該底壁部92の後縁から略垂直に立ち上がる後壁部93と、底壁部92の両側縁から上側ほど左右外側に位置するようにやや傾斜して立ち上がる左右側壁部94とを有してなる。後壁部93及び左右側壁部94は、各キール54及びスクレーパ55が巻き上げたゴミを底壁部92上に収集可能とするべく、底壁部92の周囲を前側のみ開放して取り囲む囲い部91を形成する。
【0056】
底壁部92の前部はやや前下がりに傾斜する傾斜部92aとされ、該傾斜部92aよりも後方となる部位は略水平な水平部とされる。この水平部は、左右方向に沿う横部材を境に前水平部92bと後水平部92cとに区画される。
ここで、底壁部92の傾斜部92aには網目サイズ25mmの金網が装着され、前水平部92bには網目サイズ12mmの金網が装着され、後水平部92cには網目サイズ8mmの金網が装着される。
【0057】
このように、底壁部92の金網の網目サイズを前側ほど粗く設定することで、各キール54及びスクレーパ55が巻き上げる砂の内、比較的重量のある湿気を含んだ砂等は、底壁部92後側まで至らないことから、底壁部92前側の傾斜部92aにおける粗目の金網を通じて、目詰まり等を起こすことなく良好にふるい落とされる。一方、比較的軽量の乾いた砂等は、ゴミと共に底壁部92後側の水平部まで至り、これに装着される中目及び細目の金網を通じて前記砂等がふるい落とされると共に、前記ゴミは網目から脱落することなく良好に補集される。なお、各金網は、網目サイズ6,8,10,12,25mm程の範囲で適宜交換可能とされる。
【0058】
網体56の側壁部94は、底壁部92両側縁の上方に側面視で前後に長い長方形状の側壁本体94aを形成すると共に、該側壁本体94a後側の上方には側面視台形状の後部突出部94bを形成してなる。側壁本体94a及び後部突出部94bの後辺部は側面視略垂直をなして直線状に連なり、これら各後辺部を側辺部として網体56の後壁部93が設けられる。側壁部94(後部突出部94b)の上辺部と後壁部93の上辺部とは略同一高さとされる。
【0059】
網体56の左側壁部94の前後には、その側壁本体94aの中段及び下段のフレーム部材に跨るように前後ヒンジプレート95a,95bが設けられる。各ヒンジプレート95a,95bは側面視略正方形状をなす板状のもので、その外縁部分及び対角線部分を切り残すように適宜肉抜きが施されると共に、その前後縁部が左右内側に屈曲して補強フランジを形成する。各ヒンジプレート95a,95bの外側面には、前後ヒンジパイプ85,89がそれぞれ一体に接合されている。
【0060】
左右側壁部94の前部上側(左側壁部94においては前ヒンジプレート95aの上方)には、その上縁から上方に突出する持ち手96aが設けられる。持ち手96aは側面視で下方に開放するコ字状をなし、その上辺部を前後方向に沿わせると共に対応する側壁部94よりもやや外側に張り出すように傾斜して設けられる。また、後壁部93の左右上側には、その上縁から上方に突出する持ち手96bが設けられる。持ち手96bは後面視で下方に開放するコ字状をなし、その上辺部を左右方向に沿わせると共に後壁部93と略同一平面上に位置するように略垂直に設けられる。
【0061】
網体56の左側部は、前述の如くフレーム53の左側部に前記ヒンジ82を介して回動自在に連結支持されており、このような網体56の右側を上方に持ち上げるように前記ヒンジ82を介して網体56を回動させ、その底壁部92を略垂直にした起立状態とすれば、網体56内に集めたゴミが左側壁部94上に落下し、該左側壁部94沿いに前記ゴミが網体56外に排出される。
【0062】
このとき、網体56の囲い部91の各部(少なくともヒンジ82と反対側の部位)に持ち手96a,96bを設けることで、網体56を回動させてのゴミの回収作業が容易になる。また、横長の網体56における一短辺側(左側)にヒンジ82を配置したことで、網体56を起立させる際の回動軸から操作部(右側の持ち手)までの長さが確保され、網体56の回動操作が容易になる。
【0063】
網体56の左側壁部94(換言すれば囲い部91のヒンジ82側の壁部)は、前記ゴミの排出を良好に行うべく板部材が装着された壁部とされる。網体56の左側壁部94の上縁部は、前記起立状態においてゴミ回収ステーション40の外側よりも左方に張り出すように設定され(図18参照)、ゴミ回収ステーション40の左方に隣接してゴミ収集容器を配置すれば、左側壁部94をスロープにして網体56内に収集したゴミを前記容器内に直接投入可能である。なお、網体56の右側壁部94及び後壁部93は、網体56内に投入されたゴミの脱落を防止するべく、例えば粗めの金網がそれぞれ装着された網部とされる。
【0064】
フレーム53における左右両側の縦部材51上には、網体56左右両側の前後端の位置決めを行う左右前端又は後端ストッパ97a,97bがそれぞれ設けられる。各ストッパ97a,97bは、網体56前端又は後端に当接する略垂直な位置規制面と、その上方に仰向けに傾斜して連なる回動ガイド面とを有し、例えばボルト等を用いて縦部材51に着脱可能に取り付けられる。
【0065】
左右前端ストッパ97aの位置規制面には、使用状態(底壁部92を略水平にしてフレーム53上に当接させた状態)にある網体56の前端両側が当接すると共に、左右後端ストッパ97bの位置規制面には、前記使用状態にある網体56の後端両側が当接し、もって網体56のフレームに対する前後方向での位置決めがなされる。また、網体56を回動させて前記起立状態から使用状態に戻す際には、その前後端両側が各ストッパ97a,97bのガイド面に案内され、フレーム53上の所定位置に網体56がスムースに戻される。
【0066】
なお、図23に示すように、各ストッパ97a,97bの縦部材51への取り付け位置を前後に移動可能としてもよい。このとき、例えば網体56左側の前後ヒンジパイプ85,89の長さを前後ヒンジブラケット83,87の前後壁84,88間の間隔よりも短くする等により、各ストッパ97a,97bの移動に応じて網体56も前後に移動可能となる。このように、網体56の前端位置を砂地に応じて容易に変更可能とすることで、第二ビーチクリーナ50におけるゴミ補集能力の向上を図ることができる。
【0067】
次に、上記各ビーチクリーナ20,50を用いて砂浜を清掃する際の手順の概略について説明する。
まず、図1に示す如くトレーラ13に搭載して運搬したゴミ回収ステーション40を砂浜上の所定位置へ設置する。ここで、図1においては、ゴミ回収ステーション40を一体に組み立てた状態でトレーラ13に搭載可能としているが、これを前述の如く各側部構造体41及び連結部材42に分割した状態で搭載するようにしてももちろんよく、この場合、トレーラ13に対する積み降ろしを含めたゴミ回収ステーション40の設置作業が容易になる。なお、図1におけるゴミ回収ステーション40は、前記フート部材45のみ取り外されている。
【0068】
次いで、第一ビーチクリーナ20のサンドピン23の数や第二ビーチクリーナ50の各キール54及びスクレーパ55の砂中への沈み込み量等を決定する基準となる砂浜の硬さを測定する。この測定は、例えば所定サイズの鉄杭を砂浜上に所定高さから自由落下させ、その測定結果の平均値から砂浜の硬さを例えば三段階(柔らかい、標準、硬い)に評価することで行う。このように測定した砂浜の硬さや散在するゴミの状況等に応じて、サンドピン23の数、ウェイト34の重量、各スキー脚の取り付け高さ、及び各牽引部37,67への連結ロッド38の連結位置等を決定する。
【0069】
次いで、トレーラ13から第一ビーチクリーナ20を降ろし、上記砂浜の硬さの測定結果に基づく設定を施した後、該第一ビーチクリーナ20を車両1により牽引して砂浜上を一定速度で走行させる。このときの車両1及び第一ビーチクリーナ20の走行軌跡は、図24に示すように、砂地上の所定範囲内において、略正方形状に旋回しつつその旋回位置を移動させるもので、前記所定範囲をむらなく確実に清掃可能とされる。第一ビーチクリーナ20は、各サンドピン23を砂中に食い込ませつつ砂浜上の比較的大きなゴミを回収することから、走行抵抗も比較的大きく、その走行速度は5〜10km/h程の低速に設定される。
【0070】
上述の如く第一ビーチクリーナ20が砂浜上を走行し、そのフレーム22下に所定量のゴミが収集されると、第一ビーチクリーナ20が一旦ゴミ回収ステーション40に戻り、前記集めたゴミの回収作業が行われる。このとき、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間を車両1が通過した後に第一ビーチクリーナ20が左右側部構造体41間に進入すると、その左右リフトアーム39が左右側部構造体41に乗り上げて第一ビーチクリーナ20が所定量リフトアップされる(図13参照)。この状態で車両1及び第一ビーチクリーナ20を停止させ、砂地上に落下させたゴミの回収作業を行った後、再度車両1及び第一ビーチクリーナ20を走行させて前述のゴミ回収作業を繰り返す。
【0071】
第一ビーチクリーナ20により所定範囲の清掃を行った後には、次に同一範囲に対して第二ビーチクリーナ50を牽引走行させることで、砂浜上の比較的小さなゴミの回収を行う。このように、第一ビーチクリーナ20の後に第二ビーチクリーナ50を用いることで、細かなゴミに対応するキール54、スクレーパ55、及び網体56等の破損が抑えられる。なお、第二ビーチクリーナ50の走行軌跡も第一ビーチクリーナ20と同様のものとする。また、第二ビーチクリーナ50は、その走行時には第一ビーチクリーナ20の作用により砂浜が掘り起こされて柔らかくなっており、かつ各キール54及びスクレーパ55により砂及びゴミを巻き上げる必要があることから、その走行速度は第一ビーチクリーナ20に対してやや速い15〜25km/h程に設定される。
【0072】
第二ビーチクリーナ50が砂浜上を走行することで、比較的小さなゴミが砂と共に各キール54及びスクレーパ55により巻き上げられ、これらがフレーム53後部の網体56内に収集される。このとき、網体56の底壁部92前側から順に金網の網目サイズが細かくなるように設定したことで、収集したゴミが落下し難くかつ金網の目詰まりが抑えられる。
【0073】
上述の如く第二ビーチクリーナ50が砂浜上を走行し、その網体56内に所定量のゴミが収集されると、第二ビーチクリーナ50が一旦ゴミ回収ステーション40に戻り、前記集めたゴミの回収作業が行われる。このとき、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間を車両1が通過した後に第二ビーチクリーナ50が左右側部構造体41間に進入すると、その前後の左右リフトアーム81a,81bが左右側部構造体41に乗り上げて第二ビーチクリーナ50が所定量リフトアップされる。この状態で車両1及び第二ビーチクリーナ50を停止させ、網体56を回動させて集めたゴミの回収作業を行った後、再度車両1及び第二ビーチクリーナ50を走行させて前述のゴミ回収作業を繰り返す。
【0074】
ところで、図27,28に示すように、この実施例においては、比較的細かな場所の清掃にも適した第三ビーチクリーナ100を備え、該第三ビーチクリーナ100を、前記第一及び第二ビーチクリーナ20,50並びにゴミ回収ステーション40の運搬用のトレーラとして用いることが可能である。なお、図27,28は、第三ビーチクリーナ100への各ビーチクリーナ20,50並びにゴミ回収ステーション40の積載状態を示す。
【0075】
図29を併せて参照し、第三ビーチクリーナ100は、車両1の走行方向に延びる(詳細には後側ほど左右外側に位置するように傾斜して延びる)一対の縦部材101と、該各縦部材101の後端に跨って幅方向(左右方向)に延びる横部材102とで上面視三角形状のフレーム103を形成してなる。各縦部材101の後端は、横部材102の前面に突き当たってこれに結合される。
【0076】
図30を併せて参照し、横部材102は、各縦部材101の後端位置からさらに左右外側に延び、その両端部内側には車軸支持パイプ104が一体的に設けられる。車軸支持パイプ104には、所定の車輪105を回転自在に支持する車軸105aを挿入可能であり、この状態で所定の係止ピン104aを差し込む等の抜け止めを施すことで、横部材102の両端部に左右車輪105がそれぞれ軸支される。一方、前記抜け止めを解除すれば、横部材102から左右車輪105を取り外し可能である。なお、横部材102の左右幅(全長)は、前記ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41間の左右幅よりも広いものとされる。
【0077】
各縦部材101の前端部はフレーム103左右中央で互いに合流し、該合流部からは牽引アーム106が前方に延出し、該牽引アーム106の前端部には車両1のトレーラヒッチ11に対応する前記ヒッチカプラ17aが設けられる。このヒッチカプラ17aを介してフレーム103前端部と車両1とが連結可能となり、前記車輪105を取り付けた状態又は車輪105を取り外した状態において、第三ビーチクリーナ100が車両に牽引されて砂浜を走行する。
【0078】
横部材102の一側面には、各部材101,102が形成する平面状のフラット部109と略直交するように複数のサンドピン107が立設される。各サンドピン107は、横部材102の長手方向(左右方向)に沿って等間隔に配置されており、該各サンドピン107を下向きにすると共に前記車輪105を取り外した状態の第三ビーチクリーナ100を車両1で牽引することで、該第三ビーチクリーナ100が熊手として機能して砂浜に散在するゴミが回収される。
【0079】
ゴミ回収後には、第三ビーチクリーナ100をゴミ回収ステーション40に進入させ、横部材102両側を側部構造体に乗り上げさせてこれをリフトアップすれば、砂地上に落下させたゴミをまとめて回収可能である。なお、横部材102の他側面には、該他側面と共に断面三角形状を形成するチャンネル部材108が設けられ、該チャンネル部材108を下にして第三ビーチクリーナ100を牽引することで、清掃後の砂浜を平らにならすことが可能である。また、チャンネル部材108を断面三角形状とすることで、該チャンネル部材108が積極的に砂浜に食い込み易くなり、第三ビーチクリーナ100の整地性を向上できる。
【0080】
一方、各サンドピン107を上向きにすると共に前記車輪105を取り付けた状態の第三ビーチクリーナ100を車両1で牽引することで、第三ビーチクリーナ100が前記トレーラとして機能する。このとき、各サンドピン107には、フレーム103上に搭載されたゴミ回収ステーション40の後側の連結部材42が前方から当接することで、第三ビーチクリーナ100に対するゴミ回収ステーション40の後方への移動が規制され、該ゴミ回収ステーション40の前側の連結部材42に第二ビーチクリーナ50の各キール54の後端が前方から当接することで、第二ビーチクリーナ50の後方への移動が規制され、かつゴミ回収ステーション40の後側の連結部材42に第一ビーチクリーナ20の後横部材24bが前方から当接することで、第一ビーチクリーナ20の後方への移動が規制される。
【0081】
フレーム103のフラット部109の後部には、各縦部材101及び横部材102に跨る網状部109aが設けられる。網状部109aは格子状の金網からなり、前記トレーラとしての使用時には、ゴミ回収ステーション40の前記フート部材45等の物品のフレーム103上への搭載を容易にでき、かつ該物品のフレーム103上からの脱落を防止できると共に、フラット部109上に砂や水が溜まることを防止して清掃及びメンテナンス等を容易にできる。
【0082】
以上説明したように、上記実施例におけるビーチクリーナ構造は、走行方向に沿って延びる縦部材101と幅方向に延びる横部材102とでフレーム103を形成し、前記横部材102にサンドピン107を複数備えると共に、前記フレーム103の前端部にはヒッチカプラ17aを備え、牽引車両1に牽引されて砂地を走行し、散在するゴミを回収する第三ビーチクリーナ100の構造において、前記フレーム103の両側部に車輪105を着脱可能とし、前記フレーム103の一側面の前記サンドピン107を位置決め部として、前記車輪105装着時に前記ビーチクリーナ100をトレーラとするものである。
【0083】
この構成によれば、各サンドピン107を上向きとした状態で、フレーム103両側に車輪105を取り付けると共に、フレーム103前端部のヒッチカプラ17aを用いて牽引車両1で牽引することで、第三ビーチクリーナ100をトレーラとして用いることが可能となり、専用のトレーラ13を必要とせずに他のビーチクリーナ20,50やゴミ回収ステーション40を運搬することが可能となる。このとき、フレーム103上に積載した物品は、上向きの各サンドピン107を用いて位置決め可能であり、かつフレーム103下面が平坦に設けられる、トレーラとしての最低地上高も確保し易くなる。
【0084】
また、上記ビーチクリーナ構造においては、前記フレーム103上にフラット部109を設けたことで、第三ビーチクリーナ100を前述の如くトレーラとして用いる場合に、フレーム103上に物品を積載し易くなる。
【0085】
さらに、上記ビーチクリーナ構造においては、前記フラット部109に網状部109aを備えることで、フレーム103上への物品の積載性を向上できる一方、フラット部109上への砂溜まり等を防止してメンテナンス性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の実施例におけるビーチクリーナ等をトレーラに積載して運搬する際の側面図である。
【図2】この実施例における第一ビーチクリーナの側面図である。
【図3】図2の上面図である。
【図4】上記第一ビーチクリーナのサンドピンの説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA矢視図である。
【図5】上記サンドピンの変形例の説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA矢視図である。
【図6】上記第一ビーチクリーナに錘載せ部を取り付けた側面図である。
【図7】図6の上面図である。
【図8】図6の錘載せ部の説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図9】図6の錘乗せ部及びこれに取り付くウェイトの分解説明図である。
【図10】牽引車両のフロントキャリアに錘載せ部を取り付けた側面図である。
【図11】図10の上面図である。
【図12】図10の錘載せ部及びこれに取り付くウェイトの分解説明図である。
【図13】この実施例におけるゴミ回収ステーションの側面図である。
【図14】図13の上面図である。
【図15】上記ゴミ回収ステーションの分割構造部の斜視説明図である。
【図16】この実施例における第二ビーチクリーナの側面図である。
【図17】図16の上面図である。
【図18】図16の後面図である。
【図19】上記第二ビーチクリーナのフレーム前部の側面図である。
【図20】図19のA矢視図である。
【図21】上記第二ビーチクリーナの網体用ヒンジ周辺の側面図である。
【図22】(a)は図21のA矢視図、(b)は図21のB矢視図である。
【図23】上記第二ビーチクリーナの網体を前後移動可能とした例を示し、(a)は網体が後退位置にある側面図、(b)は網体が前進位置にある側面図である。
【図24】この実施例のビーチクリーナで砂浜を清掃する際の車両の走行軌跡を示す説明図である。
【図25】上記第一ビーチクリーナの車両牽引状態を示す側面図である。
【図26】上記第二ビーチクリーナの車両牽引状態を示す側面図である。
【図27】この実施例における第三ビーチクリーナをトレーラとして用いる際の側面図である。
【図28】図25の上面図である。
【図29】上記第三ビーチクリーナの上面図である。
【図30】上記第三ビーチクリーナの部分拡大図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
17a ヒッチカプラ(牽引部)
100 第三ビーチクリーナ
101 縦部材
102 横部材
103 フレーム
105 車輪
107 サンドピン
109 フラット部
109a 網状部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向に沿って延びる縦部材と幅方向に延びる横部材とでフレームを形成し、前記横部材にサンドピンを複数備えると共に、前記フレームの前端部には牽引部を備え、牽引車両に牽引されて砂地を走行し、散在するゴミを回収するビーチクリーナの構造において、
前記フレームの両側部に車輪を着脱可能とし、前記フレームの一側面の前記サンドピンを位置決め部として、前記車輪装着時に前記ビーチクリーナをトレーラとすることを特徴とするビーチクリーナ構造。
【請求項2】
前記フレーム上にフラット部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のビーチクリーナ構造。
【請求項3】
前記フラット部に網状部を備えることを特徴とする請求項2に記載のビーチクリーナ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−277816(P2007−277816A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101618(P2006−101618)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】