説明

ビーム

【課題】アジャスタ部のスライド時に発生する音を小さくする。
【解決手段】本発明に係るビームは、本体部1と、該本体部1に収納可能なアジャスタ部2とを有するビームであって、アジャスタ部2に形成される長孔4と、該長孔4に挿通され、両端が本体部1に固定されるピン5とを備え、長孔4の端縁部4bに吸音材3Bが設けられていることを特徴とする。吸音材3Bによって、ピン5と長孔4の端縁部4bとの直接接触を防ぐことができ、かつピン5が吸音材3Bに衝突した時に発生する音も吸収することができる。したがって、アジャスタ部2のスライド時に発生する音を小さくすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックなどの車両に搭載されるコンテナ内に掛け渡されるビームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、本体部と、該本体部に収納可能なアジャスタ部とを有するビームが記載されている。このビームは、アジャスタ部に形成される長孔と、該長孔に挿通され、両端が本体部に固定されるピンと、アジャスタ部が本体部に収納されている時に、ピンが嵌り込み、該ピンを保持する保持部を有するばねとを備えて構成される。
【0003】
しかしながら、上記のビームでは、強度等を考慮して、本体部及びアジャスタ部の両方が金属製であるため、ビームの着脱時において、アジャスタ部をスライドさせた時に、アジャスタ部と本体部とが接触し、高い金属音が周辺に響き渡るという問題があった。また、アジャスタ部が本体部内に収納される時には、ピンがばねの保持部に嵌り込むが、この時、ピンが長孔の端縁部に衝突して、高い金属音を発生されるという問題もあった。さらに、アジャスタ部が本体部内から引き出される時にも、ピンが長孔の端縁部に衝突して、高い金属音を発生させるという問題があった。
【特許文献1】特開平9−267893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、アジャスタ部のスライド時に発生する音を小さくすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のビームを提供する。
1.本体部と、該本体部に収納可能なアジャスタ部とを有するビームであって、前記アジャスタ部に形成される長孔と、該長孔に挿通され、両端が前記本体部に固定されるピンとを備え、前記長孔の端縁部に吸音材が設けられていることを特徴とするビーム。
2.前記アジャスタ部が前記本体部に収納されている時に、前記ピンが嵌り込み、前記ピンを保持する保持部を有するばねとを備え、前記ばねの保持部が前記長孔の端縁部と前記ピンとの接触を防ぐ位置に設けられていることを特徴とする前記1記載のビーム。
3.前記アジャスタ部のスライド時に、前記アジャスタ部の前記本体部に接触する部分に吸音材が設けられていることを特徴とする前記1又は2に記載のビーム。
【発明の効果】
【0006】
前記1記載の本発明によれば、長孔の端縁部に吸音材が設けられているため、吸音材によって、ピンと長孔の端縁部との直接接触を防ぐことができ、かつピンが吸音材に衝突した時に発生する音も吸収することができる。したがって、アジャスタ部のスライド時に発生する音を小さくすることが可能になる。
前記2記載の本発明によれば、ばねの保持部が長孔の端縁部とピンとの接触を防ぐ位置に設けられているため、ピンが第1ばねの保持部に嵌り込んだ時に長孔の端縁部に衝突することを防ぐことができる。したがって、アジャスタ部のスライド時に発生する音を小さくすることが可能になる。
前記3記載の本発明によれば、アジャスタ部の本体部に接触する部分に吸音材が設けられているため、吸音材によって、アジャスタ部と本体部との直接接触を防ぐことができ、かつアジャスタ部のスライド時に発生する音も吸収することができる。したがって、アジャスタ部のスライド時に発生する音をより小さくすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の実施例1に係るビームを示す全体図、図2は正面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るビームは、本体部1及びアジャスタ部2を有して構成される。
【0009】
本体部1は、断面略四角形の金属製の管材から成る。
【0010】
アジャスタ部2は、本体部1の両端にそれぞれ設けられる。アジャスタ部2は、図1において、本体部1の右端側に示されるように、本体部1内に収納可能であり、ビームをコンテナ内に掛け渡す時には、図1において、本体部1の左端側に示されるように、本体部1内から引き出される。
【0011】
アジャスタ部2は、図3に示したように、2つのリップ溝形鋼の各背面部を結合させて構成される。アジャスタ部2のスライド時に、アジャスタ部2の本体部1に接触する部分、すなわち、アジャスタ部2を構成する各リップ溝形鋼の上面部2a、下面部2b及びリップ部2cには、吸音材3Aが設けられる(図2及び図3参照)。
【0012】
吸音材3Aは、アジャスタ部2にコーティングしたものであってもよいし、シート状のものをアジャスタ部2に接着したものであってもよい。
【0013】
本実施例に係るビームによれば、アジャスタ部2のスライド時に、アジャスタ部2の本体部1に接触する部分に吸音材3Aが設けられているため、吸音材3Aによって、アジャスタ部2と本体部1との直接接触を防ぐことができ、かつアジャスタ部2のスライド時に発生する音も吸収することができる。したがって、アジャスタ部2のスライド時に発生する音を小さくすることができる。
【実施例2】
【0014】
図4は本発明の実施例2に係るビームを示す全体図、図5は正面図である。これらの図に示したように、本実施例に係るビームは、本体部1、アジャスタ部2、長孔4、ピン5、ばね6及び吸音材3Bを有して構成される。
【0015】
本体部1は、断面略四角形の金属製の管材から成る。
【0016】
アジャスタ部2は、本体部1の両端にそれぞれ設けられる。アジャスタ部2は、図4に示したように、本体部1内に収納可能であり、ビームをコンテナ内に掛け渡す時には、図6に示したように、本体部1内から引き出される。
【0017】
アジャスタ部2には、長孔4が設けられている。長孔4は、アジャスタ部2がスライドする方向に沿って形成される。
【0018】
ピン5は、長孔4に挿通され、両端が本体部1に固定されている。
【0019】
ばね6は、基端部6aがアジャスタ部2に固定されている。ばね6は、アジャスタ部2が本体部1に収納されている時に、ピン5が嵌り込み、該ピン5を保持する保持部6bを有する(図4参照)。ばね6の保持部6bによってピン5が保持されることにより、アジャスタ部2が本体部1内から不用意に引き出されることを防ぐことができる。
【0020】
ばね6の保持部6bは、長孔4の端縁部4aとピン5との接触を防ぐ位置に設けられている(図4参照)。すなわち、アジャスタ部2が本体部1内に収納される時に、ピン5が長孔4の端縁部4aより前に保持部6bに当接するよう、保持部6bの位置が設定されている。
【0021】
吸音材3Bは、長孔4の端縁部4bに設けられている。吸音材3Bは、長孔4の端縁部4bにコーティングしたものであってもよいし、所定形状のものを長孔4の端縁部4bに接着したものであってもよい。また、吸音材3Bは、長孔4の両側の端縁部4a,4bにそれぞれ設けられていてもよい。
【0022】
本実施例に係るビームによれば、ばね6の保持部6bが長孔4の端縁部4aとピン5との接触を防ぐ位置に設けられ、かつ長孔4の端縁部4bに吸音材3Bが設けられているため、アジャスタ部2が本体部1内に収納される時には、ばね6の保持部6bによって、ピン5が長孔4の端縁部4aに衝突することを防ぐことができる一方、アジャスタ部2が本体部1内から引き出される時には、吸音材3Bによって、ピン5が長孔4の端縁部4bに衝突することを防ぐことができる。したがって、アジャスタ部2のスライド時に発生する音を小さくすることができる。
【0023】
なお、本実施例に係るビームに対して、実施例1のように、吸音材3Aを設けてもよい。この場合、アジャスタ部2のスライド時に発生する音を非常に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1に係るビームを示す全体図である。
【図2】本発明の実施例1に係るビームを示す正面図である。
【図3】吸音材が設けられたアジャスタ部を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例2に係るビームの全体図であって、アジャスタ部が本体部内に収納された時の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係るビームを示す正面図である。
【図6】本発明の実施例2に係るビームの全体図であって、アジャスタ部が本体部内から引き出された時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 本体部
2 アジャスタ部
3A,3B 吸音材
4 長孔
5 ピン
6 ばね
6b 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部に収納可能なアジャスタ部とを有するビームであって、
前記アジャスタ部に形成される長孔と、
該長孔に挿通され、両端が前記本体部に固定されるピンとを備え、
前記長孔の端縁部に吸音材が設けられていることを特徴とするビーム。
【請求項2】
前記アジャスタ部が前記本体部に収納されている時に、前記ピンが嵌り込み、前記ピンを保持する保持部を有するばねとを備え、
前記ばねの保持部が前記長孔の端縁部と前記ピンとの接触を防ぐ位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のビーム。
【請求項3】
前記アジャスタ部のスライド時に、前記アジャスタ部の前記本体部に接触する部分に吸音材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のビーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−190767(P2009−190767A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34273(P2008−34273)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(594016768)アンクラジャパン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】