説明

ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカーに基づく水硬性結合剤に対する添加剤

【課題】石灰石を含む又は含まないBCSAFセメントの凝結後における機械的強度獲得を改善する。
【解決手段】本発明は、組成物であって、当該組成物の総質量に対する相対的な質量により表すと0.01から3%の分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸又はその塩と、97から99.99%のビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)とを含む組成物に関係する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(Belite-Calcium-Sulphoaluminate-Ferrite Clinker;BCSAFクリンカー)と少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩とを含む組成物、前記組成物の水硬性結合剤調製のための使用、前記クリンカーを含むセメント、及び、ポリカルボン酸又はその塩を水硬性結合剤の機械的強度増強のために使用することに関係する。
【背景技術】
【0002】
BCSAFクリンカーは、小量のエーライト、従来のポルトランド型クリンカーの鉱物学的相の1つ、を含むか、又はエーライトを含まないクリンカーである。エーライトは、ケイ酸三カルシウム(CaSiO)の不純な形であり、一般にCS と表記される。
【0003】
明細書のこれ以後において、特に別途断らない限り、セメントの鉱物組成を指すために以下の省略表記を用いる。
・CはCaO(石灰)を表し、
・AはAl(アルミナ)を表し、
・FはFeを表し、
・SはSiO(シリカ)を表し、
・$はSOを表し、
・HはHO(水)を表す。
【0004】
このようなBCSAFクリンカーは、ポルトランド型クリンカーの生産に比べると、COの発生を大幅に削減できるという更なる利点を有する。BCSAFクリンカーを用いたセメントは事業者により開発されており、それがBCSAFセメントである。
【0005】
しかしながら、BCSAFクリンカーに基づき、同量のクリンカーに対して機械的強度が大きくなったBCSAFセメントを生産することが必要となっている。
【0006】
更に、BCSAFセメントを生産する際に、BCSAFクリンカーに石灰石を加えることが一般に行なわれ、石灰石充填材と呼ばれている(CaCO)。この石灰石は、セメント中のクリンカーの量を減らすことを可能とし、これによりCOの排出量を削減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/018569号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、石灰石は、水硬性が低く、BCSAFセメントが凝結した後の機械的強度の上昇を遅らせるという欠点を有する。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、石灰石を含む又は含まないBCSAFセメントの凝結後における機械的強度獲得を改善する手段を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
予期されないことに、発明者等は、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩をBCSAFクリンカーに混ぜて、機械的強度、特に長期的な(材齢28日)機械的強度を維持及び/又は増強できることを示した。
【0011】
前記目的のために、本発明が提供する組成物は、該組成物の総質量に対する質量%により表すと0.001から3%の分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸又はその塩と、97から99.99%のビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)とを少なくとも含み、BCSAFクリンカーは、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表すと、5から30%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)に対応する鉄アルミン酸カルシウム相と、10から35%のスルホアルミン酸カルシウム相《ye'elimite;イーリミット》(C$)と、40から75%のビーライト(CS)と、0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを含み、これらの相の分率を合計すると97%に等しいか又はこれを超える。
【0012】
また、本発明は、セメントであって、30から99.9%の前記組成物と、セメントの総質量に対する質量%において0.1から40%の硫酸カルシウムと、セメントの総質量に対する質量%において0.1から70%の鉱物添加物とを少なくとも含むセメントに関係する。
【0013】
また、本発明は、コンクリート又はモルタルであって、BCSAFセメントと、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩とを少なくとも含むものに関係する。
【0014】
また、本発明は、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩を、BCSAFセメントの凝結後の機械的強度を増加させるために使用することに関係する。
【0015】
最後に、本発明は、BCSAFセメントを骨材、水、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩及び任意で(optionally)添加剤と混合する工程を含むコンクリート又はモルタルの調製工程に関係する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少なくとも1つの以下に説明する決定的な利点を提供する。
【0017】
有利なことに、本発明のセメントは、長期的な、特に材齢28日以降における機械的強度が高い。
【0018】
本発明の提供する利点は、BCSAFクリンカーに石灰石を混合してクリンカーの量を減らしても、機械的強度獲得が遅れることなく、且つ、凝結後のセメントの強度が失われないことである。
【0019】
本発明の提供する他の利点は、ポリカルボン酸を本発明と共に用いることにより更にBCSAFセメントのペーストを流動化できることである。
【0020】
本発明の提供する他の利点は、本発明の組成物が現状の現代コンクリート利用に必要とされる性能と同等か又はそれを超える性能を有することである。
【0021】
最後に、本発明は、あらゆる工業、特に、建築業、セメント工業及びあらゆる建築市場(ビル、土木又はプレキャストプラント)において使用可能であるという利点を有する。
【0022】
本発明の他の利点及び特徴は、以下の説明と、純粋に例示のために示され限定するものではない例を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明において《水硬性結合剤(hydraulic binder)》との表現は、水が存在すると水和し、その水和によって機械的性質を有する固体を得ることができる性質を備えるあらゆる化合物として理解されるべきものである。本発明の水硬性結合剤は、特に、セメントであっても良い。
【0024】
本発明において《コンクリート(concrete)》との語は、水硬性結合剤と、骨材、水、任意で添加剤、及び、任意で鉱物添加物の混合物として理解されるべきものであり、例えば、高性能(high performance)コンクリート、超高性能コンクリート、高流動(self-placing)コンクリート、自己水平性(self-levelling)コンクリート、自己充填(self-compacting)コンクリート、繊維コンクリート、レディミックス(ready-mix)コンクリート、又は、着色(coloured)コンクリートであっても良い。プレストレストコンクリートについても、この定義で理解されるべきである。《コンクリート》の語は、仕上げを終えたコンクリートとしても理解されるべきものであり、例えば、ビシャン仕上げ(bush-hammered)コンクリート、打放し又は洗い出し(exposed or washed concrete)コンクリート、又は、鏡面仕上げ(polished)コンクリートであってもよい。《コンクリート》は、モルタルを含み、この場合、コンクリートは、水硬性結合剤、砂、水、任意で添加剤及び任意で鉱物添加物を含む。本発明の《コンクリート》の語は、生コンクリート、硬化コンクリートを区別せずに示す。
【0025】
本発明において《骨材(aggregates)》との語は、建築に用いられる粒状材料として理解されるべきものであり、フランスのXP P18−545規格(French XP P18-545 Standard)に定義される通り、天然、人工又は再利用のいずれであってもよい。骨材の例としては、砂利(gravel)、細砂混じり礫(fine sand gravel)、軽量骨材及び/又は人工骨材を挙げることができる。
【0026】
本発明において《鉱物添加物(mineral additions)》との表現は、スラグ(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.2章の定めによる)、鉄鋼スラグ、ポゾラン材(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.3章の定めによる)、フライアッシュ(fly ash,《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.4章の定めによる)、か焼頁岩(calcined shale、《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.5章の定めによる)、石灰石(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.6章の定めによる)、並びにシリカヒューム(silica fume、《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.7章の定めによる)、又は、これらの混合物として理解されるべきものである。
【0027】
本発明において《クリンカー》との語は、例えば石灰石及び粘土等を含む混合物(原料粉末)を焼成(クリンカー化)した後に得られる生成物として理解されるべきものである。
【0028】
本発明において《ポルトランドセメント》との表現は、NF EN 197−1《セメント》規格による、CEM I, CEM II, CEM III, CEM IV 又は CEM V 型のセメントとして理解されるべきものである。
【0029】
本発明において《ポルトランド型クリンカー》との表現は、NF EN 197−1《セメント》規格によるクリンカーとして理解されるべきものである。
【0030】
本発明の《BCSAF》との省略形は、ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライト(Belite-Calcium-Sulphoaluminate-Ferrite)として理解されるべきものである。
【0031】
本発明において《BCSAFセメント》との表現は、少なくとも1つのBCSAFクリンカーと、少なくとも1つの硫酸カルシウム源とを含むセメントとして理解されるべきものである。
【0032】
本発明において《BCSAFクリンカー》との語は、特許出願WO2006/018569に説明された工程によって得られるクリンカー、つまり、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%によって表すと5から30%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)により表される鉄アルミン酸カルシウム相と、10から35%のスルホアルミン酸カルシウム相《ye'elimite;イーリミット》(C$)と、40から75%のビーライト(CS)と、0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを少なくとも含み、これらの相の分率を合計すると97%に等しいか又はそれを超えるクリンカーとして理解されるべきものである。
【0033】
本発明において《相(phase)》との語は、鉱物学的相(mineralogical phase)として理解されるべきものである。
【0034】
本発明において《元素(element)》との語は、元素周期表による化学的な元素として理解されるべきものである。
【0035】
以下の語は、本発明に基づいて理解されるべきものである。
【0036】
S:不純なケイ酸三カルシウム(CaSiO):(エーライト)3(CaO)・(SiO
S:不純なケイ酸二カルシウム(CaSiO):(ビーライト)2(CaO)・(SiO
A:アルミン酸三カルシウム(CaAl):(アルミネート)3(CaO)・(Al
AF:鉄アルミン酸四カルシウム(CaAlFe10):(フェライト、アルミノフェライト又はブラウンミラー石(brownmillerite))4(CaO)・(Al)・(Fe)、又は、より一般的には、xを0.2から0.8とするとき一般式 2(CaO)・x(Al)・(1−x)(Fe)によって表される化合物
$:スルホアルミン酸カルシウム《ye'elimite;イーリミット》4(CaO)・3(Al)・(SO
石灰石:CaCO
石膏:CaSO・2(HO)
硫酸カルシウム0.5水和物(プラスター):CaSO・0.5H
無水硫酸カルシウム(硬石膏):CaSO
ペリクレース:MgO
シリカ又は石英:SiO
【0037】
本発明において《粘土(clay)》との語は、堆積岩であって、大部分が特定の鉱物、つまり、珪酸塩、一般には幾らか水和したケイ酸アルミニウムからなり、層状の構造(フィロケイ酸塩)又は繊維状の構造(海泡石(Sepiolite;セピオライト)及びパリゴルスキー石(palygorskite;パリゴルスカイト))を有するものとして理解されるべきものである。
【0038】
本発明において《凝結(setting)》との語は、水硬性結合剤が化学的水和反応によって固体状態となる過程として理解されるべきものである。凝結の次には一般に硬化の過程が続く。
【0039】
本発明において《硬化(hardning)》との語は、凝結段階が終わった後に水硬性結合剤が機械的性質を得ることとして理解されるべきものである。
【0040】
本発明において《建築現場における要素(elements for the construction field)》との表現は、建築の一部であるあらゆる要素として理解されるべきものであり、例えば床、スクリード(screed)、基礎、壁、間仕切壁、天井、梁、天板(worktop)、支柱(pllar)、橋脚、コンクリートブロック、管、柱(post)、蛇腹(cornice)、道路工事の要素(例えば舗装の縁)、屋根瓦、下水溝である。
【0041】
まず第1に、本発明は、組成物であって、該組成物の総質量に対する質量%により表すと、0.001から3%の分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸又はその塩と、97から99.99%のビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)とを少なくとも含み、BCSAFクリンカーは、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表すと5から30%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)により表される鉄アルミン酸カルシウム相と、10から35%のスルホアルミン酸カルシウム相《ye'elimite;イーリミット》(C$)と、40から75%のビーライト(CS)と、0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを少なくとも含む。これらの相の分率を合計すると97%に等しいか又はこれを超える。望ましくは98%、更には99%に等しいか又はこれらを超えることがより望ましく、最も望ましいのは100%に等しいことである。
【0042】
ビーライトは、当業者には良く知られた鉱物学的相であり、純粋な状態ではCaSiOの組成を有するが、不純物を含むこともある。
【0043】
《イーリミット》相は、鉱物学的相であって、純粋な状態ではCaALSO16の組成を有するが、不純物を含むこともある。
【0044】
鉄アルミン酸相は、鉱物学的相であって、純粋な状態ではxを0.2から0.8とするときC(1−x)の構成を有しているが、不純物を含むこともある。
【0045】
不純物は、元素周期表におけるどの元素でもあり得ると理解されるべきものである。
【0046】
望ましくは、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、燐、亜鉛、マンガン、チタニウム、フッ素及び塩素から選ばれた1つ又はそれ以上の二次的元素を含む。
【0047】
望ましくは、本発明の組成物は、該組成物の総質量に対する質量%により表すと0.01から3%、より望ましくは0.03から1%、最も望ましくは0.1から0.5%のポリカルボン酸を含む。
【0048】
本発明の組成物は、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、グルタミン酸から選ばれた少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩か、これらの混合物を含むことが有利である。
【0049】
望ましくは、本発明の組成物は、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸から選ばれた少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩か、それらの混合物を含む。
【0050】
最も望ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1つのクエン酸又はその塩を含む。
【0051】
好ましくは、本発明の組成物は、アルカノールアミンを更に含む。
【0052】
望ましくは、本発明の組成物は、更に、トリエタノールアミン(triethanolamine;TEA)、ジエタノールアミン(diethanolamine;DEA)、テトラキスヒドロキシエチルエチレンジアミン(tetrakis-hydroxy-ethyl-ethylene-diamine;THEED)、又は、メチルジエタノールアミン(methyl-diethanolamine;MDEA)から選ばれるアルカノールアミンを含む。
【0053】
最も望ましくは、本発明の組成物は、更に、ジエタノールアミン又はメチルジエタノールアミンを含む。
【0054】
望ましくは、本発明の組成物は、組成物の総質量に対する質量%において97から99.9%、より望ましくは99から99.97%、最も望ましくは99.5から99.9%のBCSAFクリンカーを含む。
【0055】
望ましくは、本発明の組成物は、ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)を含み、BCSAFクリンカーは、その総質量に対する質量%により表すと10から25%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)により表される鉄アルミン酸カルシウム相と、15から30%のスルホアルミン酸カルシウム(イーリミット)相(C$)と、45から70%のビーライト(CS)と、0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを含み、これらの相の分率を合計すると97%に等しいか又はこれを超えており、より望ましくは98%に等しいか又はこれを超えており、最も望ましくは100%である。
【0056】
更に望ましくは、本発明の組成物は、ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)を含み、BCSAFクリンカーは、その総質量に対する質量%により表すと10から25%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)により表される鉄アルミン酸カルシウム相と、20から30%のスルホアルミン酸カルシウム(イーリミット)相(C$)と、45から60%のビーライト(CS)と、0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを含み、これらの相の分率を合計すると97%に等しいか又はこれを超えており、より望ましくは98%に等しいか又はこれを超えており、最も望ましくは100%であり、組成物は、硫黄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、燐、亜鉛、マンガン、チタニウム、フッ素、塩素及びアルミニウムから選ばれた1つ又はそれ以上の二次的元素を含む。
【0057】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、主要な元素として、カルシウム、アルミニウム、シリカ、鉄、酸素及び硫黄を含んでいても良い。
【0058】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーは、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の主要な酸化物を含んでいても良い。
【0059】
CaO :45から61%
AI:8から22%
SiO:15から25%
Fe:3から15%
SO :2から10%。
【0060】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、燐、亜鉛、マンガン、チタニウム、フッ素、塩素から選ばれる1つ又はそれ以上の二次的元素を含んでいても良く、望ましくは、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表すと、それぞれの量として
酸化マグネシウムとして示される0から5%のマグネシウム、
酸化ナトリウムとして示される0から5%のナトリウム、
酸化カリウムとして示される0から5%のカリウム、
酸化ホウ素として示される0から3%のホウ素、
無水燐酸として示される0から7%の燐、
各元素の酸化物として示される0から5%の亜鉛、マンガン、チタニウム、又はこれらの混合物、
フッ化カルシウム及び塩化カルシウムとして示される0から3%のフッ素、塩素又はこれらの混合物、
を含み、前記の二次的元素の合計は15%と等しいかこれよりも小さい。
【0061】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化マグネシウムとして示される1から4%のマグネシウム、
酸化ナトリウムとして示される0.1から2%のナトリウム、
酸化カリウムとして示される0.1から2%のカリウム、
酸化ホウ素として示される0から2%のホウ素、
無水燐酸として示される0から4%の燐、
各元素の酸化物として示される0から3%の亜鉛、マンガン、チタニウム、又はこれらの混合物、
フッ化カルシウム及び塩化カルシウムとして示される0から3%のフッ素、塩素又はこれらの混合物、
を含むことが望ましい。
【0062】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化ナトリウムとして示される0.2から1.5%のナトリウム、
酸化カリウムとして示される0.2から1.5%のカリウム、
酸化ホウ素として示される0.2から2%のホウ素、
フッ化カルシウム及び塩化カルシウムとして示される0から1%のフッ素、塩素又はこれらの混合物、
を含むことが望ましい。
【0063】
望ましくは、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化ホウ素として示される0.2から2%のホウ素、
酸化カリウムとして表される0.1から2%のカリウム、
を含む。
【0064】
他の望ましい実施形態によると、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化ホウ素として表される0.2から2%のホウ素、
酸化ナトリウムとして示される0.1から2%のナトリウム、
を含む。
【0065】
他の望ましい実施形態によると、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化ホウ素として示される0.2から2%のホウ素、
を含むことが望ましい。
【0066】
他の望ましい実施形態によると、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化カリウムとして表される0.2から2%のカリウム、
酸化燐(P)として表される0.5から4%の燐、
を含む。
【0067】
他の望ましい実施形態によると、本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーの鉱物学的相は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表される以下の二次的元素、つまり、
酸化カリウムとして表される0.2から2%のカリウム、
酸化燐(P)として表される0.5から4%の燐、
酸化ホウ素として示される0.1%未満のホウ素、
を含む。
【0068】
本発明における相応しいホウ素源は、例えば、ホウ砂、ホウ酸、又は他のあらゆるホウ素を含む化合物であり、ホウ素源は、採石場に由来しても良いし、種々の工業工程の結果に由来しても良い。
【0069】
本発明の変形例では、BCSAFクリンカーは、ホウ砂も、ホウ素又はホウ素を含む化合物も含んでいない。
【0070】
望ましくは、本発明の組成物は、ナトリウム及びカリウムを二次的元素として含む。
【0071】
望ましくは、本発明の組成物のBCSAFクリンカーは、鉱物学的相CSを含まない。
【0072】
本発明の他の側面は、本発明の組成物を生産する過程を提供することであり、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩とBCSAFクリンカーとを接触させるステップを含む。本発明の組成物を生産する前記過程は、粉砕及び/又は均一化(homogenisation)のステップを任意で含んでいても良い。
【0073】
本発明の組成物におけるビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)は、特許出願WO2006/018569に説明されている過程によって得ても良いし、BCSAFクリンカーは、特許出願WO2006/018569に説明されているものと同じであっても良い。
【0074】
本発明の組成物におけるBCSAFクリンカーは、他の過程によって作成しても良く、特に、以下のようにしても良い。
【0075】
(a)原材料又は原材料の混合物を含む原料粉末を、クリンカー化によって、必要な比率のC(1−x)(xは0.2から0.8)、C$及びCSの相を得ることを可能とするように調製する
(b)工程(a)にて得た原料混合物に、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、燐、亜鉛、マンガン、チタニウム、フッ素、塩素のいずれか又はこれらの混合物から選ばれた二次的元素を供給する少なくとも1つの添加剤を加え且つ混合する。添加量は、クリンカー化の後に、前記に示した通り、二次的元素の対応する量がクリンカーの総質量に対して20%に等しいか又はそれより小さいようにする
(c)工程(b)にて得た混合物を、1150℃から1400℃、望ましくは1200℃から1325℃の温度において、硫酸カルシウムが二酸化硫黄に還元されるのを避けるために十分に酸化性の雰囲気中、少なくとも15分間、か焼する。
【0076】
望ましくは、工程(a)を行なうために適切な原材料は、以下のものである。つまり、
・シリカの供給源、例えば、砂、粘土、泥炭土、フライアッシュ、石炭燃焼灰、ポゾラン、シリカヒューム(該シリカの供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
・カルシウムの供給源、例えば、石灰石、泥炭土、フライアッシュ、石炭燃焼灰、スラグ、ポゾラン、都市ゴミ焼却灰(該カルシウムの供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
・アルミナの供給源、例えば、粘土、泥炭土、フライアッシュ、石炭燃焼灰、ポゾラン、ボーキサイト、アルミナ赤泥(alumina red mud)特にアルミナ採取時の工業廃棄物から得られるアルミナ泥、紅土(laterites)、斜長岩(anorthosite)、曹長石(albite)、長石(feldspar)(該アルミニウムの供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
・鉄の供給源、例えば、酸化鉄、紅土、鉄鋼スラグ、鉄鉱石(該鉄の供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
・硫酸カルシウムの供給源、例えば、石膏、硫酸カルシウム0.5水和物(α又はβ)又は無水硫酸カルシウム(本発明における該硫酸カルシウムの相応しい供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
を含む。
【0077】
工程(a)における原料粉末の調製は、原材料を混合することによって実施されても良い。原材料は工程(a)において接触させて混合しても良いし、任意で粉砕及び/又は均一化の工程を備えていても良い。望ましくは、工程(a)の原材料は、任意で工程(a)の前に乾燥されているか、又は、任意で工程(a)の前に、か焼されている。
【0078】
原材料は、窯の主な材料及び/又は窯の他の各材料を順次加えても良い。
【0079】
更に、焼却残渣(combustion residue)も窯に加えられて良い。
【0080】
工程(b)を実施するために適切な原材料は、
・ホウ素の供給源、例えば、ホウ砂、ホウ酸、コールマン石(colemanite)又は他のあらゆるホウ素を含む化合物(該ホウ素の供給源は採石場又は工業工程の結果に由来しても良い)
・マグネシウムの供給源、例えばマグネシウム塩
・ナトリウムの供給源、例えばナトリウム塩
・カリウムの供給源、例えばカリウム塩
・燐の供給源、例えば燐塩
・亜鉛の供給源、例えば酸化亜鉛
・マグネシウムの供給源、例えば酸化マグネシウム
・チタニウムの供給源、例えば酸化チタニウム
・フッ素の供給源、例えばフッ素塩
・塩素の供給源、例えば塩素塩
又は、これらの混合物
である。
【0081】
工程(b)を実施するために適切な原材料は、粉末状、半液体、液体又は固体である。
【0082】
工程(c)は、か焼工程であって、本発明によると燃焼工程である。本発明において《か焼(calcination )》との語は、工程(b)の化学的元素同士の反応であり、BCSAFクリンカーの鉱物学的相を形成する反応と理解されるべきものである。該過程は、従来のセメント工場の窯(例えばロータリーキルン)又は他の種類の窯(例えば連続窯)において実施できる。
【0083】
か焼は、望ましくは最低20分、より望ましくは最低30分、最も望ましくは最低45分行なわれるのが良い。
【0084】
《十分に酸化性の雰囲気(sufficiently oxidising atmosphere)》との語は、例えば、大気であるが、他の十分に酸化性の雰囲気を用いることもできると理解されるべきものである。
【0085】
本発明は、更に、少なくとも以下のもの、つまり、
・30から99.9%の本発明の組成物
・0.1から40%の硫酸カルシウム(セメントの総質量に対する質量%)
・0.1から70%の鉱物添加物(セメントの総質量に対する質量%)
を含むセメントに関係する。
【0086】
本発明のセメントは、望ましくは0.1から40%、より望ましくは0.1から20%、最も望ましくは0.1から10%の硫酸カルシウムを含む(セメントの総質量に対する質量%)。
【0087】
本発明に適した硫酸カルシウムは、望ましくは、天然又は合成の石膏、硫酸カルシウム0.5水和物(α又はβ)又は無水硫酸カルシウムである。本発明に適した硫酸カルシウムは、採石場又は工業工程の結果に由来しても良い
本発明のセメントは、望ましくは0.1から70%の鉱物性添加物、より望ましくは0.1から50%の鉱物添加物、最も望ましくは0.1から30%の鉱物添加物(セメントの総質量に対する質量%)を含む。
【0088】
好ましい実施形態によると、本発明のセメントは、以下から選ばれた鉱物添加物、つまり、スラグ(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.2章の定めによる)、鉄鋼スラグ、ポゾラン材(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.3章の定めによる)、フライアッシュ(fly ash,《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.4章の定めによる)、又は石灰石(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.6章の定めによる)、又はこれらの混合物の少なくとも1つを含む。
【0089】
本発明のある変形例によると、望ましい鉱物性添加物は石灰石である。
【0090】
鉱物性添加物の追加は、均質化又は共粉砕(co-grinding)により実施できる。
【0091】
ある変形例によると、本発明のセメントは、少なくともポルトランド型クリンカー、又は、タイプCEM I、CEM II、CEM III、CEM IV又はCEM V 型のポルトランドセメントを含む。
【0092】
ある変形例によると、本発明のセメントは、凝結遅延剤又は凝結促進剤を含む。
【0093】
本発明のある変形例によると、本発明のセメントは、適切な量(実験又は珪酸により決定される)の石膏又は他の形の硫酸カルシウム、及び、任意で適切な量の鉱物添加物、特に石灰石を、本発明の組成物と共粉砕することによって得られる。
【0094】
また、本発明は、少なくともBCSAFセメント、及び、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩とを含むコンクリート又はモルタル製の物体に関係する。本発明のある変形例のコンクリートは、BCSAFセメントを骨材、水及び通常の添加剤及び/又は鉱物添加物、と接触させることで得ても良い。水は、カルボン酸又はその塩を含んでいても良い。該コンクリートによると、カルボン酸は混合水に含まれていても良いし、骨材と一緒に存在しても良いし、鉱物性添加物、特に石灰石と共に存在しても良い。
【0095】
本発明はまた、少なくとも本発明のセメントを含むコンクリート又はモルタルに関係する。該コンクリートによると、ポリカルボン酸は、本発明のセメント共に存在する。
【0096】
本発明はまた、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩を、凝結後のBCSAFセメントの機械的強度を増加させるための使用に関係し、前記ポリカルボン酸は、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する。
【0097】
本発明に用いられるポリカルボン酸又はその塩は、混合水に、骨材に、又は、鉱物添加物に直接接触させられても良い。
【0098】
本発明の変形例の使用法によると、前記酸は、BCSAFセメントの混合水と共に存在する。
【0099】
本発明の変形例の使用法によると、前記酸は、骨材又は砂と共に存在する。
【0100】
本発明はまた、本発明のセメントを骨材、水及び任意で添加剤と混合する工程を含む、本発明のコンクリート又はモルタルの調整過程に関係する。
【0101】
本発明はまた、BCSAFセメントを骨材、水、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩及び任意で添加剤及び/又は鉱物添加物と混合する工程を含むコンクリート又はモルタルの調整過程に関係し、前記ポリカルボン酸は、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する。
【0102】
本発明はまた、本発明のコンクリート又はモルタル、又は、本発明のセメントを用いた建築現場における構成要素に関係する。
【0103】
以下の例は、その範囲を限定することなく発明を説明するものである。
【0104】
(実施例)
原料:
BCSAFクリンカーは、石灰石、カオリナイト(kaolinite )粘土、硫酸カルシウム、酸化鉄から得たものであり、その化学組成は、以下の表1に、総質量に対する質量%により示されている。
【0105】
【表1】

【0106】
BCSAFクリンカーの製造:
原材料の調製:原材料は、前もって個々に粉砕し、以下の特性を満たすようにする。
・200μmにおける残分0%
・100μmにおける最大残分10%。
【0107】
原材料の計量、混合及び均一化:本発明の方法における工程(a)による原材料の調製。計量は、下の表2に定められ、原料粉末の総質量に対する質量%によって表された比率に従って行なわれた。
【0108】
【表2】

【0109】
これらの構成要素の混合は、それぞれの生成物の計量の後、以下の順序に従って行なわれた:
・全ての構成要素が入ったビニール袋を振ることによる簡単な手作業の混合
・2kgの原料と2kgの脱塩水との混合物をジャーミルに4時間通させる
・乾燥炉内において110℃にて一晩乾燥する
・工程(a)にて得た1000gの原材料に26.59gのホウ砂を加え、アイリッヒ型のミキサーに3分間通すことにより均一化する
粒状化:本発明の方法における工程(a)に即して原料粉末を得た後、該原料粉末は直径約1cmの粒とするために造粒工程に供される。
【0110】
焼成:BCSAFクリンカーの焼成について、詳しい手順は以下の通りである。
・本発明の方法における工程(a)に即して得た原料粉末1kgによって満たされた4つの坩堝を用意する
・満たされた4つの坩堝(言い換えると、およそ4×250gの原料粉末)を覆い無しで炉に入れる
・温度勾配n°1:1000℃/時にて975℃まで昇温する
・975℃にて1時間維持する
・坩堝に覆いを付ける
・温度勾配n°2:300℃/時にて1350℃まで昇温する
・1350℃にて30分間維持した後、坩堝を空にして鋼製曹にて急冷する
BCSAFクリンカーは、ブレーン比表面積4000cm/gで得られる。
【0111】
本発明のセメントの生産:
以下の表3及び4に定められた比率は、本発明に即して作られたセメントの構成要素の比率を示す。
【0112】
硫酸カルシウムは、ル・パン工場(Le Pin plant、フランス)製の粉砕した無水硫酸カルシウム(AH)であって、100μmに等しいかそれ未満の粒度分布を有する。硫酸カルシウムの百分率は、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量により与えられている。
【0113】
【表3】

【0114】
添加剤(酸)の百分率は、セメントの総質量に対する質量により表されている。
【0115】
【表4】

【0116】
石灰石充填剤の百分率は、BCSAFクリンカー及び石灰石充填剤の合計質量に対する質量にて示されている。添加剤(酸及びアルカノールアミン)の百分率は、セメントの総質量に対する質量にて表されている。
【0117】
本発明のモルタルの生産:
モルタルは、EN196−1規格に沿って作られる。
【0118】
モルタルを作るための材料の量は、
・450gの前記のようにして得られたセメント
・1350gの標準化砂
・225gの水
である。
【0119】
結合剤を調製するには、ターブラ(Turbula)混合機を用いて全ての原材料を30分間混合する。混合手順は、EN196−1規格に従う。
【0120】
モルタルは鋼製の型に注がれ、当該型は、湿度調整(>97%)された保管庫に置かれる。モルタルを1日水和させた後、型からモルタルの角柱を取り外し、壊す日まで20℃の水中に浸漬される。
【0121】
EN196−1規格に即して材齢28日目に測定された圧縮機械強度が、下の表5及び6に与えられている。各モルタルについて、ポリカルボン酸を含まない対照用モルタルが製造されている。
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、前記組成物の総質量に対する質量%により表すと
0.01から3%の分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するポリカルボン酸又はその塩と、
97から99.99%のビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)と、
を少なくとも含み、BCSAFクリンカーは、BCSAFクリンカーの総質量に対する質量%により表すと
5から30%の一般式C(1−X)(Xは0.2から0.8)により表される鉄アルミン酸カルシウム相と、
10から35%のスルホアルミン酸カルシウム相《イーリミット》(C$)と、
40から75%のビーライト(CS)と、
0.01から10%の硫酸カルシウム、硫酸アルカリ、ペロブスカイト、ゲーレナイト、遊離石灰及びペリクレースから選ばれる1つ又はそれ以上の微量相及び/又はガラス相とを含み、
これらの相の百分率を合計すると97%に等しいか又はこれを超える組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物において、
前記組成物の総質量に対する質量%により表すと0.01から3%、より好ましくは0.03から1%、最も好ましくは0.1から0.5%のポリカルボン酸を含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1又は2において、
クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、グルタミン酸から選ばれた少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩か、それらの混合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項3において、
少なくとも1つのクエン酸又はその塩を含むことを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
アルカノールアミンを更に含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
ビーライト−スルホアルミン酸カルシウム−フェライトクリンカー(BCSAFクリンカー)は、鉱物学的相CSを含まないことを特徴とする組成物。
【請求項7】
セメントであって、少なくとも、
30から99.9%の請求項1〜6のいずれか1つの組成物と、
前記セメントの総質量に対する質量%により表すと0.1から40%の硫酸カルシウムと、
前記セメントの総質量に対する質量%により表すと0.1から70%の鉱物添加物とを含むことを特徴とするセメント。
【請求項8】
請求項7のセメントにおいて、
鉱物添加物は、スラグ(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.2章の定めによる)、鉄鋼スラグ、ポゾラン材(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.3章の定めによる)、フライアッシュ(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.4章の定めによる)並びに石灰石(《セメント》NF EN 197−1規格、5.2.6章の定めによる)又はこれらの混合物であることを特徴とするセメント。
【請求項9】
請求項7又は8のセメント及び少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩を少なくとも含み、前記ポリカルボン酸は分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するコンクリート又はモルタル。
【請求項10】
請求項7又は8のセメントにおける凝結後の機械的強度増強のために、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩を少なくとも1つ使用する方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記酸は、BCSAFセメントの混合水中に存在することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9のコンクリート又はモルタルを調製する方法において、
請求項7又は8のセメントと、骨材、水、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその塩及び任意で添加剤とを混合する工程を備え、
前記ポリカルボン酸は、分子毎に2つから4つのカルボキシル基を有するコンクリート又はセメントの調製方法。
【請求項13】
請求項9のコンクリート若しくはモルタル、又は、請求項7若しくは8のセメントを用いた建築部材。

【公表番号】特表2013−502365(P2013−502365A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525189(P2012−525189)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051524
【国際公開番号】WO2011/020958
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(599002870)ラファルジュ (19)
【Fターム(参考)】