説明

ピクセルブロックを符号化及び再構成する方法と装置

【課題】ピクセルブロックの符号化方法を提供する。
【解決手段】方法は、動きベクトルからピクセルブロックの予測ブロックを決定するステップ(10)と、前記ピクセルブロックと前記予測ブロックとの間の残差を計算するステップ(12)と、前記残差を符号化するステップ(14)とを有する。前記予測ブロックを決定するステップは、サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定するステップ(110)と、前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換するステップ(120)と、前記第1の変換ブロックを前記第1の変換の逆変換であり基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部によりシフトされた第2の変換で変換された第2のブロックに変換する(130)、前記予測ブロックは前記第2の変換ブロックから取り出される(140)ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して画像符号化の分野に関する。本発明は、より詳しくは、ピクセルブロックの符号化方法と、かかるブロックの再構成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
サブピクセルの精度で動きベクトルを推定できる動き推定モジュールを有するビデオ符号化装置が知られている。例えば、この動き推定モジュールは、補間フィルタを用いて1/2ピクセル、1/4ピクセル、場合によっては1/8ピクセルで補間されたピクセルの変位を推定する。
【0003】
(位相相関などの)コリレータや、1/8ピクセル未満のサブピクセル精度で動きベクトルを推定できるグローバル動き推定を用いる動き推定モジュールが知られている。
【0004】
サイズが大きくて精度が1/8ピクセルに制限されている通常の補間フィルタでは、動き補償をする動きベクトルの成分が1/8ピクセル未満のサブピクセル精度である場合、正確な動き補償ができない。このような、1/2ピクセルの補間をする通常の補間フィルタが、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ISO/IEC標準14496−10 セクション8.4.2.2
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を解消することである。この目的のため、本発明は、ピクセルブロックの符号化方法であって、動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定するステップと、前記ピクセルブロックと前記予測ブロックとの間の残差を計算するステップと、前記残差を符号化するステップとを有する符号化方法に関する。有利にも、前記予測ブロックを決定するステップは、サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定するステップと、前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換するステップと、前記第1の変換ブロックを前記第1の変換の逆変換であり基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部によりシフトされた第2の変換で変換された第2のブロックに変換する、前記予測ブロックは前記第2の変換ブロックから取り出されるステップとを有する。
【0007】
第1の実施形態では、前記中間予測ブロックは、成分が前記動きベクトルの成分の整数部分である中間動きベクトルから前記ピクセルブロックの動き補償により求めたブロックに、動きの方向に少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの成分の端数部分だけシフトされる。
【0008】
第1の実施形態では、前記中間予測ブロックは、前記中間予測ブロックのサイズが前記動きベクトルの成分の整数部分に対応する変位より必ず大きいように、符号化するピクセルのブロックと同じ場所のブロックに、動きの方向に、少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの成分の端数部分だけシフトされる。
【0009】
本発明の一特徴によると、前記中間予測ブロックのサイズは2のべき乗である。
【0010】
本発明の他の一特徴によると、前記第1の変換は2次元離散余弦変換である。
【0011】
本発明は、ピクセルブロックの再構成方法にも関する。該再構成方法は、動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定するステップと、前記ピクセルブロックの残差を復号するステップと、前記予測ブロックと前記残差から前記ピクセルブロックを再構成するステップとを有する。有利にも、前記予測ブロックを決定するステップは、サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定するステップと、前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換するステップと、前記第1の変換ブロックを前記第1の変換の逆変換であり基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部によりシフトされた第2の変換で変換された第2のブロックに変換する、前記予測ブロックは前記第2の変換ブロックから取り出されるステップとを有する。
【0012】
本発明は、ピクセルブロックの符号化装置に関する。該装置は、動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定する手段と、前記ピクセルブロックと前記予測ブロックとの間の残差を計算する手段と、前記残差を符号化する手段とを有する。有利にも、前記予測ブロックを決定する手段は、サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定する手段と、前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換する手段と、前記第1の変換ブロックを、基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部だけシフトされた、前記第1の変換の逆変換である第2の変換で変換された第2のブロックに変換する手段と、前記第2の変換ブロックから前記予測ブロックを取り出す手段とを有する。
【0013】
また、本発明は、ピクセルブロックの再生を目的としたストリームの復号装置に関する。該復号装置は、動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定する手段と、前記ストリームからの前記ピクセルブロックの残差を復号する手段と、前記予測ブロックと前記残差から前記ピクセルブロックを再構成する手段とを有する。有利にも、前記予測ブロックを決定する手段は、サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定する手段と、前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換する手段と、前記第1の変換ブロックを、基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部だけシフトされた、前記第1の変換の逆変換である第2の変換で変換された第2のブロックに変換する手段と、前記第2の変換ブロックから前記予測ブロックを取り出す手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付した図面を参照して、非限定的な実施形態と有利な実装により、より良く理解され、説明される。
【図1】本発明による符号化方法を示す図である。
【図2】符号化するブロックBcと中間予測ブロックb′とを示す図である。
【図3】符号化するブロックBcと中間予測ブロックb′とを示す図である。
【図4】変換されたブロックB2と予測ブロックBpとを示す図である。
【図5】本発明による再構成方法を示す図である。
【図6】本発明による符号化装置を示す図である。
【図7】本発明による復号装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による、画像IcのピクセルブロックBcを符号化する方法を示す。BcはサイズM×M(Mは整数)のブロックである。ピクセルブロックBcは画像シーケンスの画像Icの一部である。ステップ10において、成分(Vx,Vy)を有する動きベクトルから、符号化するピクセルブロックBcの予測ブロックBpを決定する。ここで、Vx=dx+dxrsかつVy=dy+dyrsであり、(dx,dy)は成分の整数部分であり、(dxrs、dyrs)は成分の端数部分である。例えば、Vx=2.28の場合、dx=2かつdxrs=0.28であり、Vx=−3.73の場合、dx=−3かつdxrs=−0.73である。ブロックBcに関連する動きベクトルVpは、例えば、位相相関やグローバル動き推定による動き推定から得られる。Vpは、現在画像Icと基準画像Irとの間のブロックBcの変位を示す。本発明は、動きベクトルVpを求めるのに使われる方法によってはまったく限定されない。予測ブロックBpを決定するステップ10は、動き補償ステップとしても知られているが、図2に示した第1の実施形態のように、中間動きベクトルから基準画像Irにおける中間予測ブロックb′を決定するステップ110を有する。中間動きベクトルの成分は、図2に示したように、動きベクトルVpの成分の整数部分(dx,dy)である。中間予測ブロックb′は、成分(dx,dy)の中間動きベクトルからブロックBcの動き補償により求められるブロックbを含むb′はサイズがN×Nであり、Nは必ずMよりも大きい。第1の変形例では、N=M+1である。より詳しくは、ブロックb′は、図2に示したように、ブロックbに、変位/動きの方向の側の2辺に少なくとも1ピクセルずつの行と列を加えることにより得られる。動きの方向は動きベクトルVpで与えられる。このように、図2では、サブピクセル変位は、ブロックb′では右下向きに起こる。結果として、ブロックb′は、ブロックbに対して上辺に1ピクセルの行と左辺に1ピクセルの列とを加えたブロックである。
【0016】
例えば、ブロックBcを符号化し、関連する予測ブロックBpがサイズ8×8のブロックであるとき、中間予測ブロックb′は、図2に示したように、ブロックbに、動きの方向に1ピクセルの行と列を加えることにより求めたサイズが9×9のブロックである。

第2の実施形態では、中間予測ブロックb′は、ブロックbに、その変位/動きの方向の2辺に必要なだけのピクセルの行と列を加えることにより得られ、Nは2のべき乗になる。この変形例により高速変換アルゴリズムを使えるようになる。
【0017】
中間予測ブロックb′は、ステップ120において、次元Nの第1の変換Tで、第1変換ブロックB1に変換される。Tは、例えば、基底関数c(i,j)が次のように定義された分離可能なDCT(「離散余弦変換」)変換である:
【数1】

その結果、
【数2】

第1変換ブロックB1は、ステップ130において、第1の変換の第2の逆変換で、基底関数が動きベクトルVpの成分の端数部分(dxrs、dyrs)だけシフトされた第2変換ブロックB2に変換される。第2の変換は、例えば、基底関数が次のように定義された逆DCT変換である:
【数3】

【数4】

それゆえ基底関数は、図2を参照して説明した場合、動きベクトルの成分の端数部分(dxrs、dyrs)だけシフトされる。
【0018】
その結果、
【数5】

ステップ140において、余録ブロックBpは、ブロックbに対応する部分を、第2変換ブロックB2から取り出すことにより得られる。図2の場合、ブロックBpは、第1のピクセル行と第1のピクセル列をB2から削除することにより得られる。
【0019】
それゆえ、中間予測ブロックb′は、逆変換(3)と(4)による中間予測ブロックb′内の画像信号のサブピクセル変位が、中間予測ブロックb′のピクセルからブロックbのピクセルまで実行されるように(すなわち、動きと反対の方向に)、ピクセル行とピクセル列とを加えることにより、ブロックbから得られる。
【0020】
ステップ12において、ピクセルブロックBcと予測ブロックBpとの間の残差または残差ブロックを計算する。残差は、一般的に、符号化するピクセルブロックBcと、ステップ10で決定された予測ブロックBpとをピクセルごとに差分することにより計算する。場合によって、差分を、輝度変化モデルを考慮して重み付けする。
【0021】
ステップ14において、残差を符号化して符号化データストリームにする。このステップは、一般的に、残差の変換、量子化、及びエントロピー符号化の各ステップを有する。これらのステップは当業者には周知であり、これ以上は説明しない。このステップ14は、場合によっては、符号化するピクセルブロックBcに関連する動きベクトルVpの符号化を含む。一変形例では、動きベクトルは符号化されない。例えば、符号化するピクセルブロックBcに関連する動きベクトルVpは、同じテンプレートマッチングタイプの方法で、符号化器側と復号器側で決定される。
【0022】
第2の実施形態によると、ステップ110で決定された昼間予測ブロックb′は、画像Ir中のブロックBcと同じ場所のブロックbを拡大することにより、すなわち図3に示したように、ベクトルVpの整数部分(dx,dy)に対応する変位より必ずおおきいサイズN×N(すなわち、N>dx,N>dy)まで、動きの方向に1つ以上のピクセル行とピクセル列を加えることにより、ブロックbから得られる。このサイズは、例えば、高速変換アルゴリズムを使えるようにするため、2のべき乗である。
【0023】
中間予測ブロックb′は、ステップ120において、第1の変換Tで、第1変換ブロックB1に変換される。Tは、例えば、分割可能なDCT(「離散余弦変換」)である。その結果、
<外1>

第1変換ブロックB1は、ステップ130において、第1の変換の第2の逆変換で、基底関数が動きベクトルの成分の整数部分と端数部分だけシフトされた第2変換ブロックB2に変換される。
【0024】
第2の変換は、例えば、基底関数が次のように定義された逆DCT変換である:
【数7】

【数8】

それゆえ基底関数は、図3を参照して説明した場合、動きベクトルVpの成分だけシフトされる。
【0025】
その結果、
【数9】

ステップ140において、余録ブロックBpは、同じ場所のブロックbに対応する部分を、第2変換ブロックB2から取り出すことにより得られる。図4ではブロックBpをハッチングした。
【0026】
本発明による符号化方法の優位性のひとつは、通常の補間フィルタのサポートより小さいサポートを用いることである。そのため、1/4ピクセル補間(interpolation)の場合、通常の補間フィルタは6係数の長さを有する。かかる補間フィルタの使用により、画像のエッジに問題が生じ、パッディング法(padding techniques)の使用が必要となる。本発明による方法により、この問題から抜け出すことができる。確かに、画像のエッジでは、N=M+1である第1の実施形態を用いるのが好ましい。
【0027】
図5は、本発明による、符号化データのストリームFからピクセルブロックBcを再構成する方法を表す。
【0028】
符号化方法のステップと同じステップは、図5において、同じ参照数字を用いて示し、改めて説明はしない。
【0029】
ステップ10において、成分(Vx,Vy)の動きベクトル(Vx=dx+dxrsかつVy=dy+dyrs)から符号化するピクセルブロックの予測ブロックを決定する。このベクトルは、例えば、符号化データのストリームFの一部を符号化したものである。一変形例では、ベクトルVpはテンプレートマッチングにより決まる。ステップ10は、具体的に、予測ブロックBpを決定するステップ110、120、130及び140を有する。これらのステップは、図1を参照して説明した符号化方法のステップと同じである。符号化方法について説明した実施形態の変形例は、復号方法にも適用可能である。
【0030】
ステップ22において、ストリームFからの再構成するブロックBcの残差を復号する。このステップは、一般的に、ストリームFの少なくとも一部のエントロピー復号と、逆量子化と、逆変換とを含む。これらのステップは当業者には周知であり、これ以上は説明しない。これらは、符号化方法のステップ14で実行するステップの逆ステップである。
【0031】
ステップ24において、残差と予測ブロックBpからブロックBcを再構成する。ブロックBcは、一般的に、ステップ10で決定された残差と予測ブロックをピクセルごとに加えることにより再構成される。場合によっては、この和を、輝度変化モデルを考慮して重み付けする。
【0032】
本発明は、図6を参照して説明する符号化装置12と、図7を参照して説明する復号装置13にも関する。この図では、図示したモジュールは機能ユニットであり、必ずしも物理的に区別可能なユニットに対応するものではない。例えば、これらのモジュールは全体を、またはその一部を、1つの部品や回路にまとめてもよいし、または同一ソフトウェアの機能としてもよい。逆に、複数の物理的実体により構成されたモジュールがあってもよい。
【0033】
符号化装置12は画像のシーケンスの一部である画像Iを入力される。各画像は画素のブロックに分割されており、各画素ブロックには、例えば、輝度及び/又は色度(chrominance)の少なくとも1つの画像データが関連付けられている。符号化装置12は、時間的予測をする符号化を実施する。図6には、時間的予測すなわち「インター(INTER)」符号化による符号化に関する符号化装置12のモジュールのみが示されている。図示していないがビデオ符号化装置の当業者には知られているその他のモジュールは、「イントラ(INTRA)」符号化を実施するが、これは空間的予測を含むこともあれば、含まないこともある。特に、符号化装置12は、現在ブロックBcからピクセルごとに予測ブロックBpを減算して、「res」で示す残差または残差ブロックを生成できる計算モジュールADD1を有する。さらに、残差ブロックresを変換し量子化して量子化データを生成できるモジュールTQを有する。変換Tは例えばDCTである。符号化装置12はさらに、量子化データを符号化して、符号化データストリームFを生成するエントロピー符号化モジュールCODを有する。さらに、モジュールTQの逆操作を実行するモジュールITQを有する。モジュールITQは、逆量子化とそれに続く逆変換とを実行する。モジュールITQは計算モジュールADD2に接続されている。計算モジュールADD2は、モジュールITQからのデータブロックと予測ブロックBpとをピクセルごとに加算して、再構成画像データブロックを生成する。生成された再構成画像データブロックはメモリMEMに記憶される。
【0034】
符号化装置12は、ブロックBcと、メモリMEMに記憶された参照画像Irとの間の少なくとも1つの動きベクトルVpを推定できる動き推定モジュールMEも有する。参照画像は事前に符号化され再構成されたものである。一変形例では、現在ブロックBcとIrに対応するソース画像との間の動き推定を行う。この場合には、メモリMEMは動き推定モジュールMEには接続されない。当業者には周知な方法では、動き推定モジュールは、基準画像Ir中の、対応するソース画像中の、動きベクトルを検索し、現在ブロックBcと、前記動きベクトルを用いて特定される基準画像Ir中の、対応する各ソース画像中のブロックとの間で計算されるエラーを最小化する。一変形例によると、動きベクトルは位相相関またはグローバル動き推定により決定される。動きデータは、動き推定モジュールMEから決定モジュールDECISIONに送られる。決定モジュールは、所定の符号化モードセットの中からブロックBcに用いる符号化モードを選択できる。選択された符号化モードは、例えば、ビットレート歪みタイプの基準を最小化するものである。しかし、本発明は、この選択方法には限定されず、選択されるモードをアプリオリタイプ基準などの他の基準によって選択することも可能である。決定モジュールDECISIONにより選択された符号化モードと、時間的予測モードすなわち「インター」モードの場合の動きベクトルなどの動きデータとは、予測モジュールPREDに送信される。動きベクトルと選択された符号化モードとは、さらに、エントロピー符号化モジュールCODに送信され、ストリームFに符号化される。予測モードINTERが決定モジュールDECISIONにより保持されると、予測モジュールPREDは、動き推定モジュールMEにより決定された動きベクトルから、前に再構成されメモリMEMに記憶された基準画像Ir中の予測ブロックBpを決定する。予測モードINTRAが決定モジュールDECISIONにより保持されている場合、予測モジュールPREDは、現在の画像中、前に符号化しメモリMEMに記憶されたブロック中の予測ブロックBpを決定する。
【0035】
予測モジュールPREDは、図1を参照して説明した符号化方法のステップ110、120、130及び140により、予測ブロックBpを決定できる。
【0036】
図7を参照して復号装置13を説明する。復号装置13は、画像シーケンスを表す符号化データストリームFを入力として受け取る。ストリームFは、例えば符号化装置12により送信される。復号装置13は、復号データ、例えば符号化モードと画像のコンテンツに関する復号データを生成できるエントロピー復号モジュールDECを有する。復号装置13は、さらに動きデータ再構成モジュールを有する。第1の実施形態では、動きデータ再構成モジュールは、動きベクトルを表すストリームFの一部を復号するエントロピー復号モジュールDECである。
【0037】
一変形例では、図7には図示していないが、動きデータ再構成モジュールは動き推定モジュールである。復号装置13により動きデータを再構成するこの方法は、「テンプレートマッチング」として知られている。
【0038】
画像コンテンツに関する復号データは、逆量子化とその後の逆変換を実行できるモジュールITQに送信される。モジュールITQは、符号化ストリームFを生成した符号化装置12のモジュールITQと同様である。モジュールITQは計算モジュールADDに接続されている。計算モジュールADDは、モジュールITQからのデータブロックと予測ブロックBpとをピクセルごとに加算して、再構成画像データブロックを生成する。生成された再構成画像データブロックはメモリMEMに記憶される。復号装置13は、符号化装置12の予測モジュールPREDと同様の予測モジュールPREDも有する。予測モードINTERを復号すると、予測モジュールPREDは、前に再構成されメモリMEMに記憶された基準画像Irにおいて、エントロピー復号モジュールDECにより現在のブロックBcに対して復号された動きベクトルVpから予測ブロックBpを決定する。予測モードINTRAが復号されると、予測モジュールPREDは、前に再構成されメモリMEMに記憶されたブロック中の現在の画像において、予測ブロックBpを決定する。
【0039】
予測モジュールPREDは、図5を参照して説明した再構成方法のステップ110、120、130及び140により、予測ブロックBpを決定できる。
【0040】
本発明による符号化装置と復号装置は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途プロセッサ、またはこれらの組み合わせなどのいろいろな形体で実施することができる。好ましくは、本原理は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて実施できる。また、プログラム記録装置に有体的に化体されたアプリケーションプログラムとしてソフトウェアを実施してもよい。そのアプリケーションプログラムは、好適なアーキテクチャを有する機械にアップロードされ、実行される。好ましくは、機械は、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力(I/O)インターフェイス等のハードウェアを有するコンピュータプラットフォームで実施される。コンピュータプラットフォームはオペレーティングシステムとマイクロコードも含んでもよい。ここに説明した様々なプロセスや機能は、オペレーティングシステムにより実行できる、マイクロ命令コードの一部やアプリケーションプログラムの一部(またはこれらの組み合わせ)であってもよい。また、追加的データ記憶装置や印刷装置等その他の様々な周辺装置をコンピュータプラットフォームに接続してもよい。
【0041】
変形例では、本発明による符号化装置と復号装置は、純粋なハードウェアにより実施される。例えば、専用コンポーネント(例えば、ASIC、FPGA、VLSIなど)や、一デバイスに集積された複数の電子コンポーネントなどの形態や、ハードウェア要素とソフトウェア要素のミックスの形態で実施される。
【0042】
明らかに、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0043】
特に、本技術分野の当業者は、上記の実施形態を適宜変形して、または組み合わせて、その効果を享有することができる。特に、本発明は、DCTを用いて説明したが、他の可分な又は非可分な変換に適用できる。
【0044】
また、本発明は、いかなる形状のブロックにも、すなわち四角形でないブロックにも適用できる。前述のように、本発明はSADCTタイプの形状適応的変換など、他の変換にも適用できる。特に、SADCTは次の文献に説明されている:
Kaup
A., Panis S., On the Performance of the Shape Adaptive DCT in Object-based
coding of motion compensated difference Images; 1997
Stasinski
R., Konrad J., Reduced-complexity shape-adaptive dct for region-based image
coding, USA; 1998
本発明は、ピクセルブロックについて説明したが、一画像の複数のブロックにも適用でき、複数画像のシーケンスの複数ブロックにも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルブロックの符号化方法であって、
動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定するステップと、
前記ピクセルブロックと前記予測ブロックとの間の残差を計算するステップと、
前記残差を符号化するステップとを有し、
前記符号化方法は、前記予測ブロックを決定するステップが、
サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定するステップと、
前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換するステップと、
前記第1の変換ブロックを前記第1の変換の逆変換であり基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部によりシフトされた第2の変換で変換された第2のブロックに変換する、前記予測ブロックは前記第2の変換ブロックから取り出されるステップとを有することを特徴とする、符号化方法。
【請求項2】
前記中間予測ブロックは、成分が前記動きベクトルの成分の整数部分である中間動きベクトルから前記ピクセルブロックの動き補償により求めたブロックに、動きの方向に少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、
前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの成分の端数部分だけシフトされた、
請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
前記中間予測ブロックは、前記中間予測ブロックのサイズが前記動きベクトルの成分の整数部分に対応する変位より必ず大きいように、符号化するピクセルのブロックと同じ場所のブロックに、動きの方向に、少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、
前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの全成分だけシフトされた、
請求項1に記載の符号化方法。
【請求項4】
前記中間予測ブロックのサイズは2のべき乗である、
請求項1ないし3いずれか一項に記載の符号化方法。
【請求項5】
前記第1の変換は2次元離散余弦変換である、
請求項1ないし4いずれか一項に記載の符号化方法。
【請求項6】
ピクセルブロックの再構成方法であって、
動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定するステップと、
前記ピクセルブロックの残差を符号化するステップと、
前記予測ブロックと前記残差から前記ピクセルブロックを再構成するステップと、
前記再構成方法は、前記予測ブロックを決定するステップが、
サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定するステップと、
前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換するステップと、
前記第1の変換ブロックを前記第1の変換の逆変換であり基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部によりシフトされた第2の変換で変換された第2のブロックに変換する、前記予測ブロックは前記第2の変換ブロックから取り出されるステップとを有することを特徴とする、再構成方法。
【請求項7】
前記中間予測ブロックは、成分が前記動きベクトルの成分の整数部分である中間動きベクトルから前記ピクセルブロックの動き補償により求めたブロックに、動きの方向に少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、
前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの成分の端数部分だけシフトされた、
請求項6に記載のピクセルブロックの再構成方法。
【請求項8】
前記中間予測ブロックは、前記中間予測ブロックのサイズが前記動きベクトルの成分の整数部分に対応する変位より必ず大きいように、符号化するピクセルのブロックと同じ場所のブロックに、動きの方向に、少なくとも一行のピクセルと少なくとも一列のピクセルとを加えることにより決定され、
前記第2の変換の基底関数は前記動きベクトルの全成分だけシフトされた、
請求項6に記載のピクセルブロックの再構成方法。
【請求項9】
前記中間予測ブロックのサイズは2のべき乗である、
請求項6ないし8いずれか一項に記載のピクセルブロックの再構成方法。
【請求項10】
前記第1の変換は2次元離散余弦変換である、
請求項6ないし9いずれか一項に記載のピクセルブロックの再構成方法。
【請求項11】
ピクセルブロックの符号化装置であって、
動きベクトルから前記ピクセルブロックの予測ブロックを決定する手段と、
前記ピクセルブロックと前記予測ブロックとの間の残差を計算する手段と、
前記残差を符号化する手段とを有し、
前記符号化装置は、前記予測ブロックを決定する手段が、
サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定する手段と、
前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換する手段と、
前記第1の変換ブロックを、基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部だけシフトされた、前記第1の変換の逆変換である第2の変換で変換された第2のブロックに変換する手段と、
前記第2の変換ブロックから前記予測ブロックを取り出す手段とを有することを特徴とする、符号化装置。
【請求項12】
前記符号化装置は、請求項1ないし5いずれか一項に記載の符号化方法のステップを実行する、
請求項11に記載の符号化装置。
【請求項13】
ストリームの復号装置であって、
動きベクトルからピクセルブロックの予測ブロックを決定する手段と、
前記ストリームからの前記ピクセルブロックの残差を復号する手段と、
前記予測ブロックと前記残差から前記ピクセルブロックを再構成する手段とを有し、
前記復号装置は、前記予測ブロックを決定する手段が、
サイズが前記ピクセルブロックのサイズより必ず大きい中間予測ブロックを決定する手段と、
前記中間予測ブロックを、第1の変換で変換された第1のブロックに変換する手段と、
前記第1の変換ブロックを、基底関数が前記動きベクトルの各成分の少なくとも一部だけシフトされた、前記第1の変換の逆変換である第2の変換で変換された第2のブロックに変換する手段と、
前記第2の変換ブロックから前記予測ブロックを取り出す手段とを有することを特徴とする、復号装置。
【請求項14】
前記復号装置は、請求項6ないし10いずれか一項に記載の再構成方法のステップを実行する、
請求項13に記載の復号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62801(P2013−62801A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−200573(P2012−200573)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】